(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パレットと、前記パレット上に対向して立設される一対の褄枠と、前記一対の褄枠に各々設置されロール製品の軸方向端部から突出した支管端部を支持する支管受け部とを有し、前記ロール製品を両側で支持することにより前記ロール製品を前記パレット上に保持するロール製品用ラックであって、
前記支管受け部の各々は、
前記支管端部の形状に沿った形状を有し前記支管端部が載置される底部と、前記底部の上方に形成される一対の傾斜面を有し前記支管端部を上方から下降させたときに前記支管端部の径方向位置を前記底部の上部に案内する傾斜案内部と、を有する支管受けと、
前記底部に前記支管端部が設置されたときに前記支管端部の軸方向外側となる位置に配置され前記支管端部の軸方向外側への移動を制限する支管ストッパーと、
前記支管受けの上部開口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材が前記支管受けの上部開口を閉塞した際に前記支管受けに載置された前記支管端部の上部に接して前記支管端部の上方への移動を制限する支管押さえと、を有する支管押さえ部とを有するとともに、
さらに、前記支管受け部の各々は、前記底部の前記支管ストッパーが配置されている側の上部に着脱自在に装着され、傾斜面を有し、前記支管端部を上方から下降させたときに前記支管端部の軸方向位置を前記底部の上部に案内する支管案内治具、を取り付けるための支管案内治具受け部を有し、
前記支管案内治具は、前記傾斜面を有し前記支管端部の軸方向位置を前記底部の上部に案内する案内部と、板状部材であって前記支管受け部に形成された前記支管案内治具受け部としての差込孔に差し込まれる差込部とを有することを特徴とするロール製品用ラック。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のロール製品用ラックの一実施形態について、
図1〜
図7を参照して説明する。
本実施形態のロール製品用ラックは、ロール製品の両端部から外側に突出した支管端部を両側で支持することによりロール製品をパレット上に保持する形態のラックである。1のラックには1本のロール製品が収容される。収容するロール製品は特定の径の支管のものに限られるが、長さは少なくとも長短2種類の長さのロール製品が収容できるようになっている。
【0015】
以下、そのロール製品用ラックの構成について説明する。
図1に示すように、ロール製品用ラック1は、パレット100、パレット100の四隅に各々設置されたコーナー金具200、一対の褄枠300、褄枠300に各々形成された支管受け部400、支管受け部400に各々装着される支管案内治具500(
図1においては、図中手前の支管受け部400に対して装着される支管案内治具500のみ示す)、及び、2本の連結ロッド600を有する。
【0016】
パレット100は、ロール製品用ラック1の基台である。パレット100は、平面形状が長方形で所定の高さを有する直方体形状の部材である。パレット100の4側面には、各々、ロール製品用ラック1を移動する際にフォークリフトの爪部が差し込まれるリフト用凹部110が形成されている。
【0017】
パレット100の四隅の各々には、
図2に示すように、パレット100の長手方向に沿って2箇所、褄枠300を設置する際に褄枠300の支柱310が差し込まれる差込孔120a及び120b(以下、これらを単に差込孔120と言う場合もある)が形成されている。第1の差込孔120aはパレット100の長手方向の端部に形成され、第2の差込孔120bは、パレット100の長手方向において第1の差込孔120aの内側の所定の位置に形成される。前述したように、ロール製品用ラック1は長短2種類のロール製品を収容することができるものであるが、長いロール製品を収容する際には褄枠300は第1の差込孔120aに対して設置され、短いロール製品を収容する際には褄枠300は第2の差込孔120bに対して設置され、これによりパレット100の長手方向の両端部に対向配置される一対の褄枠300の間隔が、収容対象のロール製品の長さに対応して調整できるようになっている。なお、
図1〜3及び6の各図示例は、いずれも、褄枠300が第1の差込孔120aに対して設置されている状態を示すものである。
【0018】
パレット100の長手方向の側面の両端部には、
図1に示すように、ロール製品用ラック1を折り畳んだ時に連結ロッド600を装着しておく折り畳み時連結ロッド受け部130が設置されている。後述するように、連結ロッド600の両端部は「L」字形状に折り曲げられて係止部610に形成されている。折り畳み時連結ロッド受け部130は、この係止部610が嵌挿される筒状の部材である。ロール製品用ラック1が折り畳まれているとき、すなわち、褄枠300がパレット100上に立設されていないときは、2本の連結ロッド600は各々、係止部610がパレット100の長手方向側面の両端部の折り畳み時連結ロッド受け部130に嵌挿され、パレット100の長手方向の側面に沿って保持される。
【0019】
パレット100の下部四隅には、各々、段積み金具140が設置されている。段積み金具140は、ロール製品用ラック1が組み立て状態又は折り畳み状態で段積みされる場合に下段のロール製品用ラック1の上部と各々係合し、上下段のロール製品用ラック1に相互に横ズレが生じないようにする係合部材である。段積み金具140は、周囲に縁が形成された板面、すなわち皿状の部材が、下向きに開口するように設置されたものである。
【0020】
ロール製品用ラック1を段積みする場合、ロール製品用ラック1が組み立てられているときはパレット100上に立設された褄枠300の支柱310の上端部が、また、ロール製品用ラック1が折り畳まれているときはコーナー金具200の上縁部が、各々下段のロール製品用ラック1の最上部であって、下段のロール製品用ラック1の上角部となる。従って、段積み金具140は、ロール製品用ラック1が組み立てられた状態で段積みされる場合は下段のロール製品用ラック1の褄枠300の支柱310の上端部と係合し、ロール製品用ラック1が折り畳まれた状態で段積みされる場合は、
図7に示すように、下段のロール製品用ラック1のコーナー金具200の上縁部と係合する。
【0021】
また、ロール製品用ラック1が組み立てられた状態において各褄枠300は、パレット100の第1の差込孔120aに対して設置される場合と、第2の差込孔120bに対して設置される場合があり、これにより褄枠300の設置位置が異なる。段積み金具140は褄枠300がいずれの差込孔120aまたは120bに対して設置されたとしても、その支柱310の上端部が段積み金具140と係合されるように構成する。すなわち、段積み金具140は、
図2、3及び5に示すように、パレット100の上面に水平な面において、第1の差込孔120a、第2の差込孔120b及びコーナー金具200の上端面を全て被覆するようなサイズ及び配置に形成されている。
【0022】
パレット100の上面には、
図1に示すように、ロール製品用ラック1のロール製品収容空間の底部を規定する底板180が載置されている。底板180は、パレット100の四隅位置では各々第1及び第2の差込孔120a及び120bがパレット100の上面に露出するように、差込孔120a及び120bの箇所を除いてパレット100の上面の全体を被覆している。
【0023】
コーナー金具200は、支管受け部400を有する褄枠300をパレット100上に適切に立設し、その立設状態を維持するための部材であって、パレット100の四隅に各々設置される断面「L」字形状の金属製部材である。コーナー金具200は、
図1に示すように、パレット100の長手方向に沿った第1の面201及びパレット100の短手方向に沿った第2の面202を有する。
【0024】
第1の面201の上縁部には、
図1及び
図3に示すように、褄枠300の支柱310の係合ピン312(
図4参照)が係合する係合溝220が2箇所形成されている。そのうち第1の係合溝220aは、パレット100の上面に形成されている第1の差込孔120aの垂直方向真上に形成され、第2の係合溝220bは、パレット100の上面に形成されている第2の差込孔120bの垂直方向真上に形成されている。すなわち、第1の差込孔120aと第1の係合溝220a、及び、第2の差込孔120bと第2の係合溝220bは、各々、パレット100の長手方向における中心位置が等しくなるように形成されている。
【0025】
褄枠300をパレット100上に立設する際には、褄枠300の支柱310の差込部311がパレット100の上面に形成された第1の差込孔120a又は第2の差込孔120bに差し込まれるが、これと同時に、褄枠300の支柱310の係合ピン312がコーナー金具200の第1の面201の上縁に形成された第1の係合溝220a又は第2の係合溝220bに落とし込まれ係合される。差込部311が第1の差込孔120aに差し込まれるときには係合ピン312は第1の係合溝220aに係合され、差込部311が第2の差込孔120bに差し込まれるときには係合ピン312は第2の係合溝220bに係合される。
【0026】
これにより、褄枠300の支柱310は差込部311の箇所と係合ピン312の箇所の2箇所でその位置が規定されることとなり、褄枠300がコーナー金具200の第1の面201に沿ってパレット100の上面方向あるいはロール製品用ラック1の外側方向に傾倒することが防止される。このようにして、褄枠300の支柱310は、すなわち褄枠300は、パレット100の第1の差込孔120aの位置、又はパレット100の第2の差込孔120bの位置のいずれかにおいて、パレット100の上面に対して垂直な姿勢で移動不能に設置される。
【0027】
また、コーナー金具200は、
図7を参照して前述したように、ロール製品用ラック1が折り畳まれた状態で段積みされる場合に支柱とされる。すなわち、折り畳まれたロール製品用ラック1を段積みする場合には、コーナー金具200の上縁の上に、上に段積みされるロール製品用ラック1のパレット100の段積み金具140が載置され、順に段積みされる。そのために、コーナー金具200は、そのパレット100の上面からの高さが、パレット100から一対の褄枠300を取り外してパレット100の底板180の上面に横置きにして載置した場合のその厚みよりも高くなるように形成される。
【0028】
褄枠300は、ロール製品の支管を保持する支管受け部400をパレット100の上部に設置するとともに、支管受け部400にロール製品が収容された状態でこれを適切に保持するための部材である。支管受け部400は、ロール製品の支管が実際に載置される部材であり、載置された部材を適切に保持する部材である。支管受け部400は、褄枠300と一体的に形成されているので、以下、褄枠300及び支管受け部400の構成についてまとめて説明する。
【0029】
褄枠300は、
図4に示すように、一対の支柱310、補強材320及び端壁パネル330を有し、補強材320及び端壁パネル330に対して支管受け部400が設置されている。換言すれば、褄枠300は、支管受け部400が設置された補強材320及び端壁パネル330の両側に支柱310が固定された構成である。支管受け部400は、支管受け410、支管ストッパー430及び支管押さえ部460を有する。
【0030】
一対の支柱310は、各々、筒状の金属製棒状部材である。各支柱310の下側端部は、褄枠300をパレット100上に立設する際にパレット100の差込孔120に差し込まれる差込部311となる。
【0031】
支柱310の中間部分には、褄枠300の枠面に沿った方向に支柱310を貫通する係合ピン312が設置されている。係合ピン312は、
図4に示すように、その両端部が各々支柱310から突起状に突出するように設置されるが、このうち褄枠300の外側に突起する突起部分は、褄枠300をパレット100上に立設する際にコーナー金具200の係合溝220a又は200bと係合する突起部を形成する。なお、本明細書においては、この突起部分を単に係合ピン312と称する場合もある。
【0032】
図3に示すように、褄枠300の両側の各支柱310の差込部311をパレット100の上面の第1の差込孔120a又は第2の差込孔120bのいずれかに差し込み、支柱310の外側面に突出している係合ピン312を、差込部311を差し込んだ第1の差込孔120a又は第2の差込孔120bに対応するコーナー金具200の第1の係合溝220a又は第2の係合溝220bに係合させることにより、各支柱310は、すなわち褄枠300は、パレット100上にコーナー金具200に沿って、パレット100上に立設される。そして、一対の褄枠300をパレット100の長手方向の両端部で上述のように立設することにより、これら一対の褄枠300がパレット100上に対向設置される。
【0033】
各支柱310の上部の褄枠300の外側となる面には、組み立て時連結ロッド受け部318が設置されている。組み立て時連結ロッド受け部318は、ロール製品用ラック1を組み立てたときに、パレット100上に対向して立設された褄枠300の各対向する支柱310の上端部間を連結ロッド600により連結するために、連結ロッド600の両端の「L」字形状に折り曲げられた係止部610が嵌挿される筒状の部材である。
【0034】
一対の褄枠300がパレット100の長手方向の両端部に立設された状態において、その一対の褄枠300の対向する各支柱310の上端部を連結ロッド600により連結することにより、各褄枠300が傾倒すること等を防止することができ、一対の褄枠300をより安定して強固にパレット100上に立設することができ、ロール製品用ラック1の剛性も高めることができる。また、ロール製品を各支管受け部400に収容した状態で連結ロッド600で褄枠300の上部を連結することにより、一対の褄枠300の上方が開く等の状態防ぐことができ、ロール製品の脱落等を防ぎ、ロール製品をより安全に保持することができる。
【0035】
また、一対の褄枠300の各支柱310は、ロール製品用ラック1が組み立てられた状態で段積みされる際に、その支柱となる。すなわち、褄枠300の各支柱310、すなわちパレット100の四隅の四本の支柱310は、上に段積みされるロール製品用ラック1のパレット100の四隅下部に設置されている段積み金具140に係合当接し、その四隅位置において上に段積みされるロール製品用ラック1を支持する。
なお、これに関連し、支柱310の高さは、ロール製品用ラック1にロール製品を収容した際に、その収容したロール製品の外周面の最上部よりもさらに高くなるように規定される。
【0036】
補強材320は、一対の支柱310を連結し、端壁パネル330とともにこれらを褄枠300として一体化する部材である。補強材320は、
図4に示すように、各支柱310に垂直に配置されて2本の支柱310を連結する上下2本の水平方向補強材321及び322と、水平方向補強材321及び322の中央部においてこれらを相互に連結する垂直方向補強材323とを有する。各補強材321〜323は、各々、支柱310と同様に筒状の金属製棒状部材である。
【0037】
補強材320は、
図4に示すように、褄枠300の下方において支柱310を連結する。具体的には、差込部311と係合ピン312との間において各支柱310と補強材320の水平方向補強材321及び322とが接続される。そして上側水平方向補強材321の上に、端壁パネル330を介して支管受け部400が設置される。なお、支管受け部400の中の支管ストッパー430は、端壁パネル330に沿って上側水平方向補強材321上に設置される。
【0038】
端壁パネル330は、各褄枠300において一対の支柱310の間の上側水平方向補強材321の上に設置され、補強材320とともに2本の支柱310を連結して褄枠300を構成する。端壁パネル330は、金属製板材で形成され、上縁部分は折り曲げ加工されて補強され上枠331に形成されている。端壁パネル330は、支管受け部400が設置される基材となる。
【0039】
支管受け部400は、載置されるロール製品の側面から飛び出ている支管端部を受け、これが脱落しないよう保持する部材である。支管受け部400は、
図4及び
図5に示すように、ロール製品の支管端部が載置される支管受け410、載置された支管端部の軸方向外側への移動を規制する支管ストッパー430、及び、載置された支管端部の上方向への移動を規制する支管押さえ部460を有する。支管受け410は端壁パネル330の中央上部に形成され、支管ストッパー430は端壁パネル330の中央下部で上側水平方向補強材321上に端壁パネル330に沿って設置され、支管押さえ部460は、端壁パネル330の上枠331に対して設置される。
【0040】
支管受け410は、半円状底部(底部)411、垂直延長部412及び傾斜案内部(傾斜面)413を有する。これら半円状底部411〜傾斜案内部413は、所定幅の帯状金属製板材を順次折り曲げ及び湾曲させることにより、あるいは、別途加工された各部位を順次溶接することにより、図示のごとき形状に形成される。これら半円状底部411〜傾斜案内部413は、同じ形状の開口に形成された端壁パネル330の中央上部に溶接により設置される。その際、端壁パネル330の上縁をフランジ状に形成し半円状底部411〜傾斜案内部413を支持する補強部に形成するのが好ましい。
【0041】
半円状底部411は、ロール製品の支管の形状に沿った径(厳密には、後述する緩衝材415の厚みを考慮し必要に応じて拡径される)の半円形状の部分であり、ロール製品の支管端部が落とし込まれ載置される。半円状底部411には、ロール製品用ラック1を搬送等する際の衝撃や振動を緩和するために、ゴム製の緩衝材415が図示せぬボルトにより設置されている。
【0042】
傾斜案内部413は、半円状底部411にロール製品の支管端部を落とし込む際に、支管端部の径方向の位置を半円状底部411の上部に案内する傾斜面である。ロール製品の支管端部を半円状底部411に落とし込む際、支管端部の径方向の位置が半円状底部411の上部からずれていた場合、支管端部は、下方に移動されるに従い傾斜案内部413に沿ってその径方向位置は半円状底部411の上部に移動されることとなり、最終的に垂直延長部412を通過して半円状底部411へ落とし込まれる。
【0043】
垂直延長部412は、半円状底部411の上端両側面をそのまま上方に延長した平らな面であって、半円状底部411と後述する傾斜案内部413とを接続してこれらを所望の位置関係に配置するとともに、半円状底部411にロール製品の支管を落とし込む際の通路を形成する。なお、半円状底部411と垂直延長部412とを合わせて「U」字形状の支管受けとして形成することも可能である。支管受け410は、実質的に半円状底部411、垂直延長部412及び傾斜案内部413の各部位を有する構造となっていれば、その細部の構造あるいはそれ以外の構造は任意に構成してよい。
【0044】
支管ストッパー430は、支管受け410の半円状底部411の軸方向の一方の側であって、褄枠300をパレット100上に立設した場合に外側となる側に設置され、半円状底部411に載置されたロール製品の支管端部が所定の位置よりさらに軸方向外側に移動しようとする時にその移動を阻止する。支管ストッパー430の中央上部は、図示のごとく、半円状底部411の下部を塞ぐように設置されており、これにより、ロール製品の支管端部が、換言すればロール製品が、所定の位置よりさらに外側に移動しようとするときにロール製品の支管端部と干渉し、その移動を防止する。また、対向配置された支管受け部400において各々支管ストッパー430により支管端部の軸方向外側への移動が防止されることにより、ロール製品は軸方向の移動はいずれの方向へも防止され、ロール製品はロール製品用ラック1上の適切な位置に保持されることとなる。
【0045】
支管ストッパー430は、
図4に示すように、水平方向中央部がロール製品の支管の移動を規制するストッパー面434に形成されている。支管ストッパー430の両側端部には、支管ストッパー430を端壁パネル330に溶接により設置するための所定幅の端部溶接面432が形成されており、両側の端部溶接面432とストッパー面434との間は、ストッパー面434を端壁パネル330から所定の距離離して半円状底部411の外側に配置するための垂直接続面433で接続されている。垂直接続面433は、端部溶接面432及びストッパー面434に対して垂直に形成された面である。これらストッパー面434及び両側の端部溶接面432、垂直接続面433は、金属製板状部材を順次折り曲げ加工することにより形成される。
【0046】
また、ストッパー面434の外側には、支管案内治具500が差し込まれる差込孔(支管案内治具受け部)441を形成するためのガイド部材440が設置されている。ガイド部材440は、ストッパー面434と同じ高さを有する断面「コ」字形状の部材であり、金属製板状部材を折り曲げ加工することにより形成されたものである。ガイド部材440は、凹部形状(「コ」字形状)の開口面がストッパー面434により閉塞される向きで、ストッパー面434に外面中央部に溶接により設置される。これにより、ガイド部材440とストッパー面434との間に差込孔441が形成される。なお、差込孔441の形状、換言すればガイド部材440の形状は、後述する支管案内治具500の差込部520に対応する形状、サイズとされる。
【0047】
ガイド部材440の下縁を含む支管ストッパー430の下縁435は、褄枠300の上側水平方向補強材321の上面に溶接により設置されている。
【0048】
支管押さえ部460は、端壁パネル330の上枠331に対して一方の端部を回動軸として回動可能に設置される棒状の部材であって、支管受け410の上部開口を閉塞あるいは開放する部材である。支管押さえ部460が開放状態とされた場合には、支管受け410に対してロール製品の支管端部が、換言すればロール製品用ラック1に対してロール製品が、収容あるいは取り出し可能な状態となる。また、支管押さえ部460が閉塞状態とされた場合には、支管受け410に収容されているロール製品の支管端部の上面に後述する支管押さえ470が接触する状態となり、支管受け410からロール製品の支管端部が、すなわち、ロール製品用ラック1からロール製品が、保持された取り出し不能な状態となる。
【0049】
支管押さえ部460は、開閉部材461、支管押さえ470及び止め金具480を有する。
開閉部材461は、端壁パネル330の上枠331に回動軸462を中心として回動自在に装着された断面「コ」字形状の金属製棒状部材である。開閉部材461は、支管受け410の上部開口(傾斜案内部413の上端縁の間)の幅よりも長い細長い形状を有し、「コ」字形状の断面の開放面が下方になるように設置されている。開閉部材461は、支管受け410の上部開口を閉塞する時は、下方に開放している凹部に、回動軸462が形成されている側と対向する側の上枠331の端部が嵌合される形態となり、支管受け410の上部開口を開閉する。換言すれば、開閉部材461は、閉塞時においては、支管受け410により分断された端壁パネル330の上枠331を接続するような形態で、支管受け410の上部開口に設置される。
【0050】
支管押さえ470は、開閉部材461の長手方向の略中央に設置され、開閉部材461が閉じられた場合に支管受け410に載置されたロール製品の支管の上面に当接する。支管押さえ470は、断面「L」字形状の金属製板材であり、開閉部材461を閉じた状態でパレット100の上面に垂直な姿勢となる一方の面が支管押さえ470の開閉部材461への設置面となり、開閉部材461が閉じた状態でパレット100の上面に平行な姿勢となる他方の面がロール製品の支管を実際に押える押え面となる。
【0051】
支管押さえ470の設置面には、2つの設置孔471が形成されている。また、支管押え基材461の外面中央部の支管押さえ470の設置孔471に対応する位置には、図示せぬ支管押え設置孔が形成されている。支管押さえ470の設置孔471と開閉部材461の図示せぬ設置孔との位置を合わせ、これに螺子472を貫通させてこれらを結合することにより、支管押さえ470は開閉部材461に固定設置される。
【0052】
支管押さえ470の押え面、すなわち、開閉部材461を閉じた状態でパレット100の上面に対向する下方向を指向する面には、中央部が奥方向に向かって円弧に近い「V」字形状に凹んだ形状の緩衝材475が、図示せぬリベットにより設置されている。緩衝材475は、その「V」字形状の谷を形成する溝部分が、支管押さえ470の押え面の短手方向となるように、すなわち、ロール製品用ラック1にロール製品を収容した場合にその軸方向となるように設置される。
【0053】
支管押え基材461の回動軸462とは反対側の端部外面には、留め金具受け部468が固定設置されている。留め金具受け部468には、褄枠300の端壁パネル330に設置されている止め金具480が着脱自在に係合される。止め金具480が留め金具受け部468に係合された状態では、支管押え基材461が支管受け410の上部開口端を閉じた状態で、開閉部材461の回動が制限された状態である。従って、支管受け410に収容されたロール製品の支管端部は、支管押さえ470により上方を押えられて支管受け410に固定保持された状態が維持される。
【0054】
また、止め金具480が留め金具受け部468から外された状態では、支管押え基材461は回動可能な状態となる。そして、開閉部材461が回動されて支管受け410の上部開口が開放された状態になると、ロール製品の支管端部は、支管受け410から取り外し可能となる。
【0055】
支管案内治具500は、ロール製品をロール製品用ラック1に収容する際に、ロール製品の両側に突出している支管端部がロール製品用ラック1の長手方向両側に設置されている支管受け410に適切に収容されるように、そのロール製品の支管端部の軸方向の位置を、換言すればロール製品の軸方向の位置を、適切な位置に案内する治具である。
【0056】
支管案内治具500は、
図1には1つしか図示していないが、パレット100上に立設される一対の褄枠300の各々に装着される。
また、支管案内治具500は、ロール製品用ラック1にロール製品を収容する時にのみ用いる。従って、ロール製品用ラック1にロール製品を収容した後、ロール製品用ラック1を輸送等する場合、支管案内治具500をロール製品用ラック1とともに搬送してもよいが、ロール製品を取り出す際には使用しないので、支管案内治具500は搬送しなくてもよい。ロール製品を回収した後に、ロール製品用ラック1が折り畳まれて回送されるのであれば、支管案内治具500は、ロール製品をロール製品用ラック1に収容する場所にのみ準備してあればよい。
【0057】
支管案内治具500は、ロール製品の支管端部の軸方向位置を支管受け410の上方の適切な位置に案内する案内部510と、支管案内治具500を支管受け部400に設置するための差込部520とを有する。また、案内部510は、上方向に向かって外側に傾斜した傾斜部(傾斜面)511と垂直部512とを有する。
【0058】
支管案内治具500は、
図6に示すように、差込部520が支管受け部400の支管ストッパー430に形成された差込孔441に差し込まれることにより、支管受け部400に対して設置される。支管案内治具500が設置された状態においては、案内部510の垂直部512は、支管受け部400の支管ストッパー430とともに、ロール製品の支管端部の最も外側の位置を規定する垂直壁面となる。また、案内部510の傾斜部511は、垂直部512の上縁から外側に向かって傾斜した状態に設置される。
【0059】
従って、ロール製品の支管端部を半円状底部411に落とし込む際、支管端部の軸方向の位置が垂直部512及び支管ストッパー430で規定される最も外側の位置よりさらに外側にずれていた場合、ロール製品の支管端部は、傾斜部511に沿ってその軸方向位置が垂直部512及び支管ストッパー430で規定される位置に移動され、最終的に垂直部512を通過して支管ストッパー430より内側で半円状底部411内へ落とし込まれることとなる。
【0060】
対向配置された褄枠300の両方においてこのように支管案内治具500を設置してロール製品を収容することにより、ロール製品が軸方向のいずれの方向にずれていたとしても、ずれて飛び出していた方の支管案内治具500の傾斜部511によりロール製品の軸方向位置は適切な位置に戻される。その結果、ロール製品の軸方向位置は適正な位置に調整され、その両側の支管端部は一対の支管受け410に適切に載置され保持されることとなる。
なお、ロール製品が支管受け410に収容されたら、支管案内治具500は差込孔441から抜き取られ、別途保管あるいはロール製品用ラック1とともに搬送等される。
【0061】
連結ロッド600は、ロール製品用ラック1が組み立てられた状態において、対向する一対の褄枠300の対向する各支柱310の上部外側を連結する部材である。連結ロッド600は、金属製棒状部材の両端部を、所定の長さ「L」字形状に曲げて係止部610に形成した部材である。
【0062】
連結ロッド600は、ロール製品用ラック1が組み立てられた状態においては、褄枠300の各支柱310の上部外側に設置された組み立て時連結ロッド受け部318に係止部610が係合され、対向配置された褄枠300の上端部をその両側で連結する。また、ロール製品用ラック1が折り畳まれた状態においては、パレット100の長手方向側面の両端部に設けられた折り畳み時連結ロッド受け部130に両端の係止部610が係合され、パレット100の側面に沿って保持される。
【0063】
連結ロッド600は、軸方向長さを可変に構成してある。すなわち、連結ロッド600は、図示しないが、真っ直ぐな角パイプで構成してある連結パイプと、その連結パイプの一端に固定してあるL字状の第1棒材と、連結パイプの他端の内部に入り込み、連結パイプに対して軸方向移動自在に取り付けられるL字状の第2棒材とを有する。連結パイプの他端内部に入り込んでいる第2棒材には、その長手方向に沿って、例えば2カ所に取り付け孔が形成してある。連結パイプの他端からの第2棒材の突出長さを調節し、いずれかの取り付け孔を選択してボルト等により第2棒材を連結パイプの他端に接続することで、連結ロッド600の長さを調節することができる。
【0064】
褄枠300が、パレット100の第1の差込孔120aに対して設置された場合、すなわち、長いロール製品を収容する場合には、連結ロッド600は長い状態に調整され、上述したように褄枠300の上部を連結する。また、褄枠300が、パレット100の第2の差込孔120bに対して設置された場合、すなわち、短いロール製品を収容する場合には、連結ロッド600は短い状態に調整され、同じく上述したように褄枠300の上部を連結する。
以上、ロール製品用ラック1の各部の説明である。
【0065】
次に、このような構成のロール製品用ラック1の使用形態について説明する。
ロール製品用ラック1を使用してロール製品を搬送又は保管する場合には、まず、パレット100の上に折り畳まれた褄枠300を、パレット100の上で立設させ、褄枠300の支柱310の差込部311を、パレット100の四隅に形成してある差込孔120a、120bのいずれかに差し込む。いずれの差込孔120a、120bに、支柱310の下端10aを差し込むかは、収容対象のロール製品の支管の軸方向の長さによる。
【0066】
具体的には、ロール製品の支管の軸方向の長さが短い場合には、各褄枠300の支柱310の差込部311は内側の差込孔120bに差し込む。そうすれば、対向配置される褄枠300の間隔は短くなり、支管受け部400は支管の長さが短いロール製品を保持するために都合良くなる。また、ロール製品の支管の長さが長い場合には、各褄枠300の支柱310の差込部311は外側の差込孔120aに差し込む。そうすれば、対向配置される褄枠300の間隔は長くなり、支管受け部400は支管の長さが長いロール製品を保持するために都合良くなる。
【0067】
連結ロッド600は、ロール製品用ラック1が折り畳まれた状態では、パレット100の長手方向側面にある折り畳み時連結ロッド受け部130に装着されているので、ロール製品用ラック1を組み立てる時は、折り畳み時連結ロッド受け部130から連結ロッド600を取り外し、支柱310の上部にある組み立て時連結ロッド受け部318に掛け渡す。この際、設置した褄枠300の位置に応じて、連結ロッド600の長さも前述した方法で適宜調整する。
【0068】
連結ロッド600を装着してロール製品用ラック1を組み立て状態にしたら、各褄枠300の支管受け部400に、支管案内治具500を装着する。支管案内治具500は、差込部520を支管ストッパー430に形成された差込孔441に差し込むことにより容易に設置することができる。
そして、ロール製品を収容する作業に移る。
【0069】
ロール製品用ラック1にロール製品を収容するには、各支管受け部400の支管押さえ部460を回動させて支管受け410の上部開口を解放した状態で、ロール製品を上からパレット100上に下ろし、支管両端部を支管受け部400の支管受け410に載置する。具体的には、各支管端部を支管受け410の半円状底部411に落とし込む。その際、ロール製品の軸方向位置は、支管受け部400に装着された支管案内治具500により、前述したように適正な位置に案内される。また、ロール製品の径方向位置は、これも前述したように支管受け部400の支管受け410の傾斜案内部413により適正な位置に案内される。したがって、比較的精度の低い操作であっても、ロール製品を適切な収容位置に配置することができ、これにより、ロール製品の支管端部を適切に支管受け部400の支管受け410に収容する、換言すれば、ロール製品を適切にロール製品用ラック1に収容することができる。
【0070】
ロール製品用ラック1にロール製品を収容したら、支管受け部400に装着されている支管案内治具500を取り外す。次に、支管押さえ部460を回動させて支管受け410の上部開口を閉塞し、止め金具480を操作して止め金具480と留め金具受け部468とを係合させ、支管押さえ部460を回動不能にする。その結果、支管押さえ部460による支管受け410の上部開口の閉塞状態が維持される。またこれにより、支管押さえ部460に設置された支管押さえ470が支管受け410に収容されたロール製品の支管端部を上面から緩衝材475を介して押えることとなり、ロール製品の支管端部は安全かつ確実に支管受け部400に保持される。これにより、ロール製品のロール製品用ラック1への収容作業が終了であり、ロール製品を収容したロール製品用ラック1は、適宜、保管あるいは輸送等される。
【0071】
ロール製品用ラック1の輸送等が終了し、ロール製品用ラック1からロール製品を取り出す際には、各支管受け部400の支管押さえ部460を回動させて支管受け410の上部開口を解放した状態で、ロール製品の支管を支管受け410から上に吊り上げ、ロール製品をロール製品用ラック1の上方に引き上げれば良い。
【0072】
ロール製品用ラック1を使用した後にこれを折り畳む場合は、まず、連結ロッド600を褄枠300の支柱310の上端部から外し、パレット100のコーナー金具200の外面に形成してある折り畳み時連結ロッド受け部130に取り付ける。その後、褄枠300をパレット100から取り外し、パレット100の上に横置きに載置する。これでロール製品用ラック1の折り畳み作業は終了である。
【0073】
パレット100上に折り畳まれた一対の褄枠300の高さは、コーナー金具200の高さよりも低いので、
図7に示すように、パレット100の上に一対の褄枠300を折り畳んで載せたままで、コーナー金具200の上に、折り畳んだ状態の別のロール製品用ラック1のパレット100の底部を載せることができる。したがって、使用前あるいは使用後のラックの保管のために場所を取らず、省スペースが図られる。
【0074】
このように、本実施形態のロール製品用ラック1は、支管案内治具500が支管受け部400に装着できる構成となっており、ロール製品をロール製品用ラック1に収容するときには、ロール製品の軸方向位置が若干ずれていてもロール製品をパレット100上に下降させる段階で、その軸方向位置は適正な位置に調整される。従って、ロール製品の支管端部の支管受け部400への載置作業、換言すれば、ロール製品のロール製品用ラック1への収容作業を容易に効率よく迅速に行うことができる。
【0075】
また、そのときにロール製品の支管端部が載置される軸方向位置は、支管案内治具500により最も適切な位置に調整されるので、ロール製品の両端部は支管受け部400により適切に支持され保持される。その結果、ロール製品を安全にパレット100上に保持することができ、ロール製品の保管や輸送等を安全確実に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態のロール製品用ラック1においては、支管受け410の上部に傾斜案内部413が設けられているので、ロール製品の支管端部の径方向位置も、支管案内治具500による軸方向位置の場合と同様に、これもまた収容時に正確な位置に案内される。従って、ロール製品の収容を効率よく迅速に正確に行うことができ、ロール製品の保管や輸送等をより一層安全確実に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態のロール製品用ラック1の支管受け部400は、半円形状の半円状底部411を有する支管受け410を有しており、ロール製品の支管端部をその支管の形状に沿った円弧状の受け面により支持する構成となっている。従って、支管受け410の全体でロール製品の荷重を支持することができ、例えばV字形状の支管受けにより2箇所で支管を支持する場合のようにロール製品の荷重が支管受けの一部に局所的にかかる状態を防ぐことができる。したがって、支管受けあるいは支管受け部の破損等の危険性を低減することができ、この点においても安全確実にロール製品の支管を支持することができる。
【0078】
また、支管受け410の半円状底部411のロール製品の支管端部が載置される面には緩衝材415が設置されている。従って、ロール製品用ラック1を輸送等する際にロール製品の支管端部に加わる振動や衝撃を吸収することができ、輸送時等におけるロール製品の損傷等を防ぎを、ロール製品を安全に搬送等することができる。
【0079】
また、ロール製品用ラック1においては、支管受け410に載置したロール製品の支管上面も、緩衝材475を介して支管押さえ470により押さえられている。また、その緩衝材475は、中央部が奥方向に向かって円弧に近い「V」字形状に凹んだ断面形状を有する緩衝材475となっている。従って、支管受け部400に載置されたロール製品の支管端部に対するあらゆる方向の振動や衝撃を適切に吸収することができ、ロール製品の支管端部をより一層安定して保持することができる。その結果、輸送時等におけるロール製品の損傷等をより確実に防ぐことができ、ロール製品を安全に搬送等することができる。
【0080】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0081】
例えば、パレット100の四隅に形成される褄枠300を立設するための差込孔120a、120bの数は、特に限定されず、各コーナー部でパレット100の長手方向(ロール製品をロール製品用ラック1に収容するときにロール製品の軸方向となる方向)に沿って3つ以上であっても良い。
【0082】
また、ロール製品用ラック1を構成する各部の材料も任意の材料でよい。ただし、ロール製品の荷重を受ける部分は、スチールやステンレスなどの金属で構成することが好ましい。
【0083】
また、ロール製品用ラック1が収容対象とするロール製品は、例えば磁気テープ、液晶用フィルム、金属箔、各種フィルムシート、織物などが支管の回りに巻回してあるものであれば任意の製品でよく、何ら限定されるものではない。また、ロール製品の支管は、中実棒材あるいは中空パイプでも良く、その材質は、特に限定されず、金属でもプラスチックなどでも良い。支管が中空パイプである場合には、支管の両端部は、キャップにより閉塞してあっても良い。