特許第6547360号(P6547360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6547360CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶の育成方法およびSGGG単結晶基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6547360
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶の育成方法およびSGGG単結晶基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/28 20060101AFI20190711BHJP
   C30B 15/00 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   C30B29/28
   C30B15/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-60823(P2015-60823)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-166118(P2016-166118A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-44698(P2015-44698)
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095223
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 章三
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】松井 正好
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−168606(JP,A)
【文献】 Hideo Kimura et al.,Minimization of lattice parameter change in Czochralski grown (Gd1-xYx)Ga5O12 garnet single crystal,Journal of crystal growth,Elseviier Science Publishers,1992年 5月 1日,Volume 119, issue 3-4,pp.313-316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/28
C30B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法によりCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶を育成する方法において、
下記組成式(1)で示される原料融液を用いると共に、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37%〜47%の範囲に設定して育成することを特徴とするSGGG単結晶の育成方法
(Gd3.036-xCax)(Ga4.964-x-2yMgyZrx+y)O12 (1)
[但し、組成式(1)中のx、yは、0.320≦x≦0.330、および、0.308≦y≦0.320である。]
【請求項2】
格子定数が12.4945〜12.4975Åで、かつ、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面内の2次元座標で特定される同一位置における格子定数の差が0.0002Å以下であるSGGG単結晶を育成することを特徴とする請求項1に記載のSGGG単結晶の育成方法
【請求項3】
下記組成式(2)で示されるSGGG単結晶を育成することを特徴とする請求項1または2に記載のSGGG単結晶の育成方法
(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yMgyZrx+y)O12 (2)
[但し、組成式(2)中のx、yは、0.304≦x≦0.336、および、0.259≦y≦0.320である。]
【請求項4】
単結晶の育成方向における結晶方位が<111>であるSGGG単結晶を育成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のSGGG単結晶の育成方法
【請求項5】
単結晶の育成方向と直交する任意の2平面間における育成方向の長さが100mm以下であるSGGG単結晶を育成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のSGGG単結晶の育成方法
【請求項6】
希土類鉄ガーネット単結晶膜を液相エピタキシャル成長法(LPE法)により育成する際に用いられるSGGG単結晶基板の製造方法において、
下記組成式(1)で示される原料融液を用い、上記チョクラルスキー法により、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37%〜47%の範囲に設定して、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面内の2次元座標で特定される同一位置における格子定数の差が0.0002Å以下で、かつ、育成方向における結晶方位が<111>であるSGGG単結晶を育成する工程と
育成されたSGGG単結晶をその育成方向と直交する方向へ切断して下記組成式(2)で示されると共に、格子定数が12.4945〜12.4975ÅであるSGGG単結晶基板を製造する工程、
を具備することを特徴とするSGGG単結晶基板の製造方法
(Gd3.036-xCax)(Ga4.964-x-2yMgyZrx+y)O12 (1)
[但し、組成式(1)中のx、yは、0.320≦x≦0.330、および、0.308≦y≦0.320である。]
(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yMgyZrx+y)O12 (2)
[但し、組成式(2)中のx、yは、0.304≦x≦0.336、および、0.259≦y≦0.320である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶の育成方法に係り、特に、チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法により育成されたSGGG単結晶の結晶トップ部と結晶ボトム部間における格子定数の分布が均一化されているSGGG単結晶の育成方法およびSGGG単結晶を切断して製造されるSGGG単結晶基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光アイソレータは、磁界を印加することにより入射光の偏光面を回転させるファラデー回転子を有しており、近年、光アイソレータは、光通信の分野だけでなくファイバーレーザー加工機にも使用されるようになってきている。
【0003】
このような光アイソレータに使用されるファラデー回転子の材料として、CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(Substituted Gd3Ga512:SGGG)単結晶を基板(非磁性ガーネット単結晶基板)とし、該SGGG基板上に液相エピタキシャル(Liquid Phase Epitaxy;LPE)成長させて得られる酸化物ガーネット単結晶膜が知られており(特許文献1〜2、非特許文献1参照)、該ガーネット単結晶膜の中でも、希土類鉄ガーネット単結晶膜(RIG:Rare-earth iron garnet)は近赤外領域で高い透過率を有しかつ大きなファラデー効果を示す優れた材料である。
【0004】
尚、非磁性ガーネット単結晶基板については、該単結晶の育成方向における結晶方位が<111>である[すなわち、非磁性ガーネット単結晶基板の(111)面上にLPE法により酸化物ガーネット単結晶膜が育成されている]基板が利用されている(特許文献3および特許文献4参照)。
【0005】
ところで、希土類鉄ガーネット(RIG)単結晶膜は、基板上に、液相エピタキシャル(LPE)成長法を用い、300〜500μm程度の厚さに育成されるため、基板の格子定数をRIG単結晶膜に整合させる必要がある。基板とRIG単結晶膜との格子定数差が大き過ぎる場合、基板とRIG単結晶膜間に応力が発生し、基板ごと割れて収率の低下を引き起こすからである。
【0006】
そこで、RIG単結晶膜と格子定数を整合させるため、基板として使用されるSGGGは、格子定数12.383Åのガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶(GGG:Gd3Ga512)に、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)を添加して12.494〜12.500Åの格子定数を得ている。
【0007】
但し、SGGGは添加元素(Ca、Mg、Zr)の濃度に依存して格子定数が変化するため、RIG単結晶膜の格子定数と整合するSGGG基板を製造するには、SGGG単結晶を育成する際、SGGG単結晶内において格子定数が均一になるよう添加元素の濃度分布を制御する必要がある。
【0008】
一方、RIG単結晶膜の液相エピタキシャル(LPE)法においては、RIG単結晶膜を育成する際、SGGG基板との格子定数差が大きくなり過ぎないように溶液組成を調整する等して、割れ等による収率低下の防止策が採られている。
【0009】
尚、上記CaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶は、(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yMgyZrx+y)O12、(GdCa)3(GaMgZr)512、(GdCaGaMgZr)812等の組成式で表わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−238294号公報
【特許文献2】特開2003−238295号公報
【特許文献3】特開平11−199390号公報
【特許文献4】特開2000−89165号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】D. Mateika, R. Laurien, Ch. Rusche, J. Crystal Growth 56 (1982) 677
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法により育成されるSGGG単結晶においては、原料融液から単結晶化する際に添加元素(Ca、Mg、Zr)が偏析するため、育成初期の結晶トップ部と育成終盤の結晶ボトム部とで格子定数は均一にならない。
【0013】
しかし、LPE法によるRIG単結晶膜の生産性を向上させるため、SGGG単結晶基板には格子定数における均一性の向上が求められている。育成されたSGGG単結晶の結晶トップ部とボトム部とで格子定数の差が大きい場合(SGGG単結晶基板における格子定数の均一性が悪い場合)、LPE法でRIG単結晶膜の育成を行うに際し、結晶トップ部から得られたSGGG基板と結晶ボトム部から得られたSGGG基板とで育成条件を変える必要が生じ、個々の格子定数に合わせて溶液組成や育成条件の調整操作が必要となる煩雑さを有するからである。この場合、SGGG単結晶基板における格子定数の均一性を向上させることで、RIG単結晶膜の育成時における上記調整操作を省略することができ、RIG単結晶膜の生産性を向上させることが可能となる。
【0014】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、チョクラルスキー(CZ)法により育成されたSGGG単結晶の結晶トップ部と結晶ボトム部間における格子定数の分布が均一化されているSGGG単結晶の育成方法を提供し、合わせてSGGG単結晶から製造されるSGGG単結晶基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため本発明者が鋭意研究を行った結果、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料融液中のカルシウムとマグネシウムの原子比Ca/Mgを一定範囲に制御し、かつ、添加元素(Ca、Mg、Zr)の偏析を避けるため、原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を50%未満の所定範囲に設定することで解決できることを見出すに至った。
【0016】
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法によりCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶を育成する方法において、
下記組成式(1)で示される原料融液を用いると共に、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37%〜47%の範囲に設定して育成することを特徴とする。
(Gd3.036-xCax)(Ga4.964-x-2yMgyZrx+y)O12 (1)
[但し、組成式(1)中のx、yは、0.320≦x≦0.330、および、0.308≦y≦0.320である。]
【0017】
また、第2の発明は、
第1の発明に記載のSGGG単結晶の育成方法において、
格子定数が12.4945〜12.4975Åで、かつ、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面内の2次元座標で特定される同一位置における格子定数の差が0.0002Å以下であるSGGG単結晶を育成することを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載のSGGG単結晶の育成方法において、
下記組成式(2)で示されるSGGG単結晶を育成することを特徴とし、
(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yMgyZrx+y)O12 (2)
[但し、組成式(2)中のx、yは、0.304≦x≦0.336、および、0.259≦y≦0.320である。]
第4の発明は、
第1の発明〜第3の発明のいずれかに記載のSGGG単結晶の育成方法において、
単結晶の育成方向における結晶方位が<111>であるSGGG単結晶を育成することを特徴とし、
第5の発明は、
第1の発明〜第4の発明のいずれかに記載のSGGG単結晶の育成方法において、
単結晶の育成方向と直交する任意の2平面間における育成方向の長さが100mm以下であるSGGG単結晶を育成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る第の発明は、
希土類鉄ガーネット単結晶膜を液相エピタキシャル成長法(LPE法)により育成する際に用いられるSGGG単結晶基板の製造方法において、
下記組成式(1)で示される原料融液を用い、上記チョクラルスキー法により、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37%〜47%の範囲に設定して、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面内の2次元座標で特定される同一位置における格子定数の差が0.0002Å以下で、かつ、育成方向における結晶方位が<111>であるSGGG単結晶を育成する工程と
育成されたSGGG単結晶をその育成方向と直交する方向へ切断して下記組成式(2)で示されると共に、格子定数が12.4945〜12.4975ÅであるSGGG単結晶基板を製造する工程、
を具備することを特徴とする
(Gd3.036-xCax)(Ga4.964-x-2yMgyZrx+y)O12 (1)
[但し、組成式(1)中のx、yは、0.320≦x≦0.330、および、0.308≦y≦0.320である。]
(Gd3-xCax)(Ga5-x-2yMgyZrx+y)O12 (2)
[但し、組成式(2)中のx、yは、0.304≦x≦0.336、および、0.259≦y≦0.320である。]
【発明の効果】
【0020】
チョクラルスキー(CZ)法により育成される本発明に係るSGGG単結晶は、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面(例えば、直胴部から選択された結晶トップ部と結晶ボトム部)内の2次元座標で特定される同一位置における格子定数の差が0.0002Å以下であることから格子定数の分布が均一化されている。
【0021】
従って、結晶トップ部から得られたSGGG基板と結晶ボトム部から得られたSGGG基板における格子定数の均一性に優れ、LPE法によりRIG単結晶膜を育成する際、結晶トップ部から得られたSGGG基板と結晶ボトム部から得られたSGGG基板とで育成条件を変える必要がないため、従来と比較してRIG単結晶膜の生産性を向上できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るSGGG単結晶の育成方法に用いられる製造装置の概略構成を示す説明図。
図2】本発明に係るSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部と結晶ボトム部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(1)チョクラルスキー法によるSGGG単結晶の育成方法
図1は、本発明に係るCaMgZr置換型ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(SGGG)単結晶の育成方法に用いられる製造装置の概略構成を示す説明図である。
【0025】
この製造装置は、公知のチョクラルスキー法によりSGGG単結晶を育成する育成炉1を備えている。育成炉1の構造を簡単に説明すると、育成炉1は、筒状のチャンバー2と、このチャンバー2の内側に設置された高周波コイル10と、この高周波コイル10の内側に配置された断熱材3およびイリジウム製坩堝8を有している。尚、上記育成炉1の寸法は、製造するSGGG単結晶の大きさに依存するが、一例として直径0.6m、高さ1m程度である。
【0026】
また、上記育成炉1には開口部(図示せず)が2箇所設けられており、これ等開口部を介して不活性ガス、好適には窒素ガスが給排され、結晶育成時のチャンバー2内は不活性ガスで満たされる。尚、育成炉1内には、上記坩堝8底部の下側に温度を計測する図示外の温度計(熱電対)が設置されている。
【0027】
また、上記高周波コイル10は銅管で構成され、図示外の制御部を通じ投入電力が制御されて坩堝8が高周波加熱されると共に温度調節がなされる。また、上記チャンバー2の内側で高周波コイル10内には断熱材3が配置されており、複数の断熱材3により囲まれた雰囲気によりホットゾーン5が形成されている。
【0028】
上記ホットゾーン5の上下方向における温度勾配は高周波コイル10への投入電力量を制御することによって変化させることができ、かつ、断熱材3の形状と構成(材質)によっても広範囲に変化させることができる。更に、高周波コイル10の坩堝8に対する相対位置を調整することによりホットゾーン5の温度勾配を微調整することができる。尚、上記断熱材3は、高融点の耐火物により構成されている。
【0029】
また、上記坩堝8はカップ状に形成され、その底部が断熱材3上に配置されかつ断熱材3により保持されている。また、坩堝8の上方側には、種結晶6と成長したSGGG単結晶を保持しかつ引き上げるための引き上げ軸4が設置されており、引き上げ軸4は軸線を中心に回転させることができる。
【0030】
そして、坩堝8内に原料を充填し、育成炉1のチャンバー2内に上記坩堝8を配置しかつ高周波コイル10により加熱して原料を融解させ、その後、原料融液9に種結晶6を接触させて徐々に温度を降下させ、同時に引き上げ軸4を徐々に引き上げることにより種結晶6の下部側において原料融液9を順次結晶化させる。そして、育成条件に従い高周波コイル10への投入電力を調整し、所望とする直径のSGGG単結晶7を育成することが可能となる。図2は育成されたSGGG単結晶7を示し、符号11はSGGG単結晶7の直胴部における結晶トップ部、符号12はSGGG単結晶7の直胴部における結晶ボトム部をそれぞれ示している。
【0031】
尚、単結晶の育成方向における結晶方位が<111>である非磁性ガーネット単結晶基板が広く用いられているため、育成されるSGGG単結晶7の育成方向における結晶方位は<111>であることが好ましい。
【0032】
また、SGGG単結晶の肩部を育成するとき、ファセット成長に伴う歪の発生を抑制するため、「界面反転操作」を行って界面形状を凸から平坦にしている。また、単結晶育成に係る一連の温度モニタは上記温度計(熱電対)により行われる。
【0033】
更に、SGGGが原料融液から単結晶化する際の添加元素(Ca、Mg、Zr)の偏析を回避するため、原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37%〜47%の範囲に設定している。
【0034】
尚、原料融液の上記固化率が37%〜47%の範囲内に設定された場合でも、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面(例えば、直胴部から選択された結晶トップ部と結晶ボトム部)間の育成方向の長さ(2平面間距離)が増大すると単結晶良品率が低下してしまうことがある(単結晶の直胴部長が115mmである実施例5参照)。このため、単結晶の育成方向と直交する任意の2平面間における育成方向の長さは100mm以下であることが好ましい。
【0035】
そして、上記SGGG単結晶は、純度99.99%の酸化ガドリニウム(Gd23)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)を、下記組成式(1)で示される比率に混合した原料を用いてチョクラルスキー法により育成されている。
(Gd3.036−xCa)(Ga4.964−x−2yMgZrx+y)O12 (1)
[但し、組成式(1)中のx、yは、0.320≦x≦0.330、および、0.308≦y≦0.320である。]
【0036】
ところで、チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法によるSGGG単結晶の直胴部における育成条件は、本出願人が開発した育成法(特願2014−182970号明細書参照)の条件が採用されている。すなわち、従来の育成条件(原料融液の加熱条件、界面反転操作等従来から採用されている自動制御による条件)を維持したまま、結晶育成炉内の原料融液9表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配を7〜14℃/cm、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配を19〜23℃/cmの範囲に維持すると共に、SGGG単結晶の直胴部上端から0mm〜30mmまでの直胴部育成中、上記種結晶6の回転数を22〜30rpm内の一定値(例えば22rpm)に設定し、直胴部上端から30mmを越えた以降の直胴部育成中、上記一定値(例えば22rpm)から一定の比率で回転数を減少させて直胴部上端から83mm直胴部が育成した時点における種結晶6の回転数が18〜21rpm(例えば18rpm)となるように管理しながらSGGG単結晶の直胴部を育成している。
【0037】
(2)液相エピタキシャル法によるRIG単結晶膜の育成方法
育成されたSGGG単結晶は育成炉1から取り出され、熱歪を除去するアニール処理が施された後、規格に合わせた厚さに切断され、更に両面研磨されて本発明に係るSGGG単結晶基板に加工される。
【0038】
その後、磁気光学効果を有し、ファラデー回転子の材料となる(YbTbBi)3Fe512等のRIG単結晶膜を、液相エピタキシャル法により本発明に係るSGGG単結晶基板上に育成させる。
【0039】
尚、上記SGGG単結晶を切断しかつ両面研磨されて得られた本発明に係るSGGG単結晶基板の格子定数は、エックス線回折装置(Philips社製PANalytical X’pert PRO MRD)を用いて測定されている。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
【0041】
実施例と比較例に係る育成装置には図1に示す製造装置が用いられ、実施例と比較例に係るSGGG単結晶の直胴部における育成条件は特願2014−182970号明細書に記載された上記条件が採用されている。
【0042】
また、SGGG単結晶の育成方向と直交する任意の2平面については、育成したSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部と結晶ボトム部を選択し、かつ、結晶トップ部と結晶ボトム部内の2次元座標で特定される同一位置における格子定数をエックス線回折装置により測定し、結晶トップ部と結晶ボトム部における格子定数差の大小に基づきSGGG単結晶の良否を評価している。
【0043】
尚、下記組成式(GdCaGaMgZr)812は、Gd、Ca、Ga、Mg、Zrの各原子のモル数の合計とO原子のモル数との比が「8:12」となることを意味するものとする(以下同様)。
【0044】
[実施例1]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.706:0.330:4.018:0.308:0.638、および、Ca/Mg=0.330/0.308=1.07となるように秤量した。
【0045】
尚、Ca=0.330(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.308(0.308≦y≦0.320)に設定され、実施例1においては上記組成式(1)の要件を満たす組成になっている。
【0046】
また、上記原料については冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、チャンバーを閉めた後、高周波コイルに電力を投入して原料を融解させた。続いて、結晶方位が<111>である棒状種結晶の先端を原料融液に浸け、原料融液表面から引き上げ方向1cmまでの雰囲気における温度勾配が7℃/cm、1cmを越え引き上げ方向10cmまでの雰囲気における温度勾配が19℃/cmの条件でSGGG単結晶を育成した。
【0047】
尚、直胴部上端から0mm〜30mmまでの直胴部を育成する際には、種結晶の回転数を22rpmに設定し、直胴部上端から30mmを越えた以降の直胴部を育成する際には、22rpmから一定の比率で回転数を減少させて直胴部上端から83mm直胴部が育成した時点での種結晶の回転数が18rpmとなるように管理しながらSGGG単結晶直胴部の育成を行い、組成式(Gd2.670Ca0.330)(Ga4.054Mg0.308Zr0.638)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶(4.7kg)を育成した。
【0048】
尚、実施例1に係るSGGG単結晶の育成において、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]
=[(4.7kg÷12.6kg)×100]=37.3%
に設定して育成されている。
【0049】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0050】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4970Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4972Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0002Å(12.4972Å−12.4970Å)であった。
【0051】
[実施例2]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.712:0.324:4.012:0.314:0.638、および、Ca/Mg=0.324/0.314=1.03となるように秤量した。
【0052】
尚、Ca=0.324(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.314(0.308≦y≦0.320)に設定され、実施例2においても上記組成式(1)の要件を満たす組成になっている。
【0053】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.676Ca0.324)(Ga4.048Mg0.314Zr0.638)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0054】
尚、実施例2に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0055】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0056】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4965Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4966Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0001Å(12.4966Å−12.4965Å)であった。
【0057】
[実施例3]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.716:0.320:4.004:0.320:0.640、および、Ca/Mg=0.320/0.320=1.00となるように秤量した。
【0058】
尚、Ca=0.320(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.320(0.308≦y≦0.320)に設定され、実施例3においても上記組成式(1)の要件を満たす組成になっている。
【0059】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.680Ca0.320)(Ga4.040Mg0.320Zr0.640)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0060】
尚、実施例3に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0061】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0062】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4966Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4967Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0001Å(12.4967Å−12.4966Å)であった。
【0063】
[実施例4]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.716:0.320:4.004:0.320:0.640、および、Ca/Mg=0.320/0.320=1.00となるように秤量した。
【0064】
尚、Ca=0.320(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.320(0.308≦y≦0.320)に設定され、実施例4においても上記組成式(1)の要件を満たす組成になっている。
【0065】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.680Ca0.320)(Ga4.040Mg0.320Zr0.640)O12で示される直径83mmで直胴部長100mmのSGGG単結晶(4.7kg×100mm/80mm=5.9kg)を育成した。
【0066】
尚、実施例4に係るSGGG単結晶の育成においては、原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]について、37.3%×100mm/80mm=46.6%に設定して育成されている。
【0067】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0068】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4966Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4968Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0002Å(12.4968Å−12.4966Å)であった。
【0069】
[実施例5]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.716:0.320:4.004:0.320:0.640、および、Ca/Mg=0.320/0.320=1.00となるように秤量した。
【0070】
尚、Ca=0.320(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.320(0.308≦y≦0.320)に設定され、実施例5においても上記組成式(1)の要件を満たす組成になっている。
【0071】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料15.0kgを直径150mm、高さ180mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.680Ca0.320)(Ga4.040Mg0.320Zr0.640)O12で示される直径83mmで直胴部長115mmのSGGG単結晶(6.8kg)を育成した。
【0072】
尚、実施例5に係るSGGG単結晶の育成においては、原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]について、6.8kg/15.0kg×100=45.3%に設定して育成されている。
【0073】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0074】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4969Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4971Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0002Å(12.4971Å−12.4969Å)であった。
【0075】
尚、本実施例においては、結晶底部にクラックが発生したため、育成された単結晶良品(育成方向でクラックの無い部分)率は82.6%であった。
【0076】
[比較例1]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.703:0.333:4.031:0.300:0.633、および、Ca/Mg=0.333/0.300=1.11となるように秤量した。
【0077】
尚、Ca=0.333(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.300(0.308≦y≦0.320)に設定され、比較例1においては上記組成式(1)におけるxとyの要件を満たさない組成になっている。
【0078】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.667Ca0.333)(Ga4.067Mg0.300Zr0.633)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0079】
尚、比較例1に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0080】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0081】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4950Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4960Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0010Å(12.4960Å−12.4950Å)であり、格子定数の差(0.0002Å以下)に係る条件を満たさないものであった。
【0082】
[比較例2]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.706:0.330:4.028:0.303:0.633、および、Ca/Mg=0.330/0.303=1.09となるように秤量した。
【0083】
尚、Ca=0.330(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.303(0.308≦y≦0.320)に設定され、比較例2においては上記組成式(1)におけるyの要件を満たさない組成になっている。
【0084】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.670Ca0.330)(Ga4.064Mg0.303Zr0.633)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0085】
尚、比較例2に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0086】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0087】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4954Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4960Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0006Å(12.4960Å−12.4954Å)であり、格子定数の差(0.0002Å以下)に係る条件を満たさないものであった。
【0088】
[比較例3]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.717:0.319:4.001:0.322:0.641、および、Ca/Mg=0.319/0.322=0.99となるように秤量した。
【0089】
尚、Ca=0.319(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.322(0.308≦y≦0.320)に設定され、比較例3においても上記組成式(1)におけるxとyの要件を満たさない組成になっている。
【0090】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.681Ca0.319)(Ga4.037Mg0.322Zr0.641)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0091】
尚、比較例3に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0092】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0093】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4966Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4969Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0003Å(12.4969Å−12.4966Å)であり、格子定数の差(0.0002Å以下)に係る条件を満たさないものであった。
【0094】
[比較例4]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.726:0.310:4.008:0.323:0.633、および、Ca/Mg=0.310/0.323=0.96となるように秤量した。
【0095】
尚、Ca=0.310(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.323(0.308≦y≦0.320)に設定され、比較例4においても上記組成式(1)におけるxとyの要件を満たさない組成になっている。
【0096】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.690Ca0.310)(Ga4.044Mg0.323Zr0.633)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0097】
尚、比較例4に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0098】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0099】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4948Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4953Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0005Å(12.4953Å−12.4948Å)であり、格子定数の差(0.0002Å以下)に係る条件を満たさないものであった。
【0100】
[比較例5]
SGGG単結晶をチョクラルスキー法で育成するため、組成式(GdCaGaMgZr)812で示される原料を、原子比Gd:Ca:Ga:Mg:Zr=2.726:0.310:4.014:0.320:0.630、および、Ca/Mg=0.310/0.320=0.97となるように秤量した。
【0101】
尚、Ca=0.310(0.320≦x≦0.330)、および、Mg=0.320(0.308≦y≦0.320)に設定され、比較例5においては上記組成式(1)におけるxの要件を満たさない組成になっている。
【0102】
また、上記原料は、冷間等方圧加圧法による嵩密度の増加と、加熱による炭素除去の処理を施した後、該原料12.6kgを直径150mm、高さ150mmのイリジウム坩堝に充填し、以下、実施例1と略同一条件によりSGGG単結晶の育成を行い、組成式(Gd2.690Ca0.310)(Ga4.050Mg0.320Zr0.630)O12で示される直径83mmで直胴部長80mmのSGGG単結晶を育成した。
【0103】
尚、比較例5に係るSGGG単結晶の育成においても、育成時における原料融液の固化率[(結晶重量÷原料重量)×100]を37.3%に設定して育成されている。
【0104】
次に、育成されたSGGG単結晶の直胴部における結晶トップ部(直胴部の上端)と結晶ボトム部(直胴部の下端)を切断し、かつ、両面研磨加工を施した後、上記エックス線回折装置を用いて、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)と結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数を測定した。
【0105】
測定の結果、結晶トップ部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶トップ部)の格子定数は12.4948Å、かつ、結晶ボトム部から得られたSGGG単結晶基板(すなわち、結晶ボトム部)の格子定数は12.4954Åで、結晶ボトム部と結晶トップ部における格子定数の差は0.0006Å(12.4954Å−12.4948Å)であり、格子定数の差(0.0002Å以下)に係る条件を満たさないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係るSGGG単結晶によれば、結晶トップ部と結晶ボトム部間における格子定数の分布が均一化されていることから、結晶トップ部から得られたSGGG基板と結晶ボトム部から得られたSGGG基板における格子定数の均一性に優れている。そして、LPE法によりRIG単結晶膜を育成する際、結晶トップ部から得られたSGGG基板と結晶ボトム部から得られたSGGG基板とで育成条件を変える必要がない分、RIG単結晶膜における生産性の向上が図れるため、光アイソレータ用ファラデー回転子に用いられるRIG単結晶膜を低コストで提供できる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0107】
1 育成炉
2 チャンバー
3 断熱材
4 引き上げ軸
5 ホットゾーン
6 種結晶
7 SGGG単結晶
8 坩堝
9 原料融液
10 高周波コイル
11 結晶トップ部
12 結晶ボトム部
図1
図2