(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外層、中間層、高周波感受性層、内層の順に配設する共押出多層フィルムにおいて、外層または中間層がポリアミド樹脂で構成され、高周波感受性層が酢酸ビニル含有率10質量%以上30質量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体で構成され且つ厚さ50μm以上であり、内層が融点90℃以上130℃以下であり、且つ低密度ポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種類以上の成分Aと、高密度ポリエチレン樹脂およびガラス転移温度50℃以上140℃以下のノルボルネン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類以上を成分Bとし、成分Aを50質量%以上95質量%未満、成分Bを5質量%以上50質量%未満の割合で含有するポリオレフィン系樹脂で構成され且つ高周波感受性層に隣接し厚さ3μm以上50μm以下であり、フィルムが日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法に適合することを特徴とする医療用多層フィルム。
【背景技術】
【0002】
従来より、軟質塩化ビニル(PVC)からなるフィルム・シートを高周波ウェルダー加工し製袋・薬液充填し、医療用輸液バッグの製造がなされてきている。
高周波ウェルダー加工とは、熱可塑性樹脂に高周波エネルギーを与えて高分子鎖を運動させることで得られる熱を利用し、熱可塑性樹脂のシートを溶着溶断、または型押し加工する技術である。
【0003】
近年は、脱ハロゲンの要求が高く、PVCと物性が類似するエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなるフィルム・シートが用いられるケースが増えつつあるが、EVAに高周波ウェルダー加工適性を持たせるためには、酢酸ビニル共含有率が高くなければならないため、フィルム・シートの製造における熱劣化懸念がある。
そのため、医療用輸液バッグの市場全体としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、もしくはポリプロピレン(PP)主体のフィルム・シートをヒートシール、トリミングし製袋加工するケースが、次第に増えてきている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
しかしながら、医療用輸液バッグ加工メーカーにとっては、既設の高周波ウェルダー加工機からヒートシール製袋機へ設備更新するにはコストも大きいため、高周波ウェルダー加工機の利用し稼働率を向上させるためのフィルム・シートの提供が望まれている。
【0005】
一方で、PVCやEVAの単体フィルム・シートでは(例えば、特許文献3)、実用上は、フィルム・シート製造時にブロッキングしやすく、製袋加工時のハンドリングが悪いため、エンボス加工等で表面を荒らしたフィルム・シートを使用するケースが多い。
しかしながら、これらの場合は、表面を意図的に荒らしているため、外部ヘーズが高く内容物視認性に劣る。加えて、エンボス加工するため、輸液バッグを構成するフィルム・シートを表裏2枚用意する必要があり、製袋品、特に内面側の衛生性を担保するために製袋加工工程において洗浄、UV殺菌処理等の工程が増え、またそれらの管理もより煩雑となる問題があり、加えてコストの観点からも好ましいとは言えない。
【0006】
また例えば、特許文献4では、シール層に隣接する第2層に、α−オレフィンと他のモノマーとの共重合体とポリアミド系樹脂2〜15質量%とを混合させて高周波シール性を付与し、シール層にプロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン系エラストマーを用い低温時の落下強度を付与させる技術が開示されている。しかしながら、このような技術の場合、その高周波シール性は低く、実用上は、高周波の出力を強めたり時間をかけたりする必要があり、生産安全性や生産効率の点で問題がある。
輸液バッグ等の包装体としては、製造、流通、保管等の使用時を想定した、内容物を収納した袋状形態において、荷重がかかる場合や落下した場合にも破袋しない強さも必要不可欠であり、高周波ウェルダーの良好な加工生産性と、安定かつ十分強いシール強度とを兼備することが求められている。
【0007】
他方、輸液バッグをはじめとする医療用包装体は、同時にガスバリア性も求められることもある。例えば、酸素に敏感な薬剤を保管、流通させる際、従来はガラスアンプルが用いられてきたが、使用時の煩雑さや流通コスト等の観点で、近年になりプラスチック製容器への包装体変更が多くなっている。
プラスチック製容器のガスバリア機能層として、一般的なガスバリア性高低順は、金属箔>金属蒸着フィルム>ガスバリア性樹脂であるが、金属箔や金属蒸着フィルムをガスバリア層として利用する場合は、概して接着剤等を使用したドライラミネート法による積層方法がとられる(例えば、特許文献5)。しかしながら、接着剤を含む構成を医療用包装体に使用する場合、接着剤成分が内容物側へ溶出する懸念があり、また製造工程が増えることでコストが高くなるといった問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のフィルムは、外層、中間層、高周波感受性層、内層の順に配設する共押出多層フィルムであり、高周波感受性層と内層は互いに隣接して配設する。医療用包装体に用いる際には、フィルムの内層側同士を合わせて高周波ウェルダー加工することにより、内層側に内容物を収容できる袋体等の包装体を作製できる。
以下、各層の構成について詳述する。
【0013】
<ポリアミド樹脂層>
本発明のフィルムは、外層または中間層に、ポリアミド樹脂層を設けることで、フィルムに柔軟性と強度を付与することが出来、包装体が落下した際や包装体に大きな荷重がかかった際に破けにくくなる。
ポリアミド樹脂を最外層に配する場合は、フィルムおよび包装体に強度を付与できる他に、光沢性も向上し外観が良好となる。
ポリアミド樹脂の種類は特に限定しないが、耐衝撃強度、低吸湿性、低溶出性、耐候性、フィルム製膜時の低温押出性などを考慮すると、炭素数が11以上のラクタムの開環重合もしくは炭素数が11以上のω―アミノ酸を縮重合して得られるポリアミド11、ポリアミド12、もしくはそれらの混合物が好適に使用できる。
ラクタムの例としてはウンデカンラクタム、ラウリルラクタムが挙げられ、公知の開環重合方法により、各ラクタム原料からナイロン11、ナイロン12を得ることが出来る。
上記ポリアミド樹脂層の厚みは、フィルム総厚に対し、下限は、フィルム強度を付与できる点から3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。上限は、フィルムの良好な柔軟性を維持する点から15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
【0014】
<ガスバリア層>
本発明のフィルムは、外層と高周波感受性層との間に中間層を設け、中間層をガスバリア性樹脂で構成することで、医療用包装体に必要な酸素バリア性を付与することが可能となる。
ガスバリア性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やメタキシレンジアミンが重合されたMXナイロン(MXD)を好適に用いることができる。ガスバリア性と柔軟性のバランスの点では、EVOHの使用が好適である。
【0015】
<高周波感受性層>
本発明のフィルムは、内層に隣接して、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる高周波感受性層を配する。高周波感受性層とは、高周波により誘電加熱が起き、フィルムに高周波ウェルダー加工適性を付与する層を云う。
【0016】
高周波感受性層を構成するEVAの酢酸ビニル含有率は、10質量%以上30質量%以下であり、好ましくは15質量%以上25質量%以下、より好ましくは20質量%以上25質量%以下である。
酢酸ビニル含有率が10質量%以上であると、高周波ウェルダー加工時によって医療用包装体として満足なシール強度を得ることが出来、酢酸ビニル含有率が30質量%以下であると、多層フィルム製膜時のEVAの熱劣化が発生し難く、安定した製膜が可能となる。
【0017】
高周波感受性層の厚さは50μm以上であり、好ましくは75μm以上、より好ましくは100μm以上である。厚みの下限が50μm以上であると、高周波ウェルダー加工時に医療用包装体として満足なシール強度を得ることができる。厚みの上限は特に限定されないが、医療用包装体として過剰な厚さを有しない範囲が良く、一般に200μm以下が適当である。
【0018】
<内層>
本発明のフィルムは、高周波感受性層に隣接して、ポリオレフィン系樹脂から構成されるシール層を配する。内層は、高周波ウェルダー加工によって高周波感受性層が内部発熱し、その熱により最内層層同士が溶融密着シール出来る機能を有する。
【0019】
内層に用いるポリオレフィン系樹脂は、以下に説明する成分Aと成分Bを混合して用いることが好ましい。
内層の成分Aは、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)から選ばれる少なくとも1種類以上であり、融点90℃以上130℃以下であることが好ましい。シール強度が強く、透明性が高いフィルムを得る観点からは、LLDPEの使用が好適である。
内層の成分Aの融点の下限は、95℃以上がより好ましく、上限は125℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。融点が90℃以上のLDPE、LLDPEを用いると、ブロッキングが発生し難く、製膜時の巻取りや製袋加工時のハンドリングが安定する。融点が130℃以下のLDPE、LLDPEを用いると、製袋時の高周波ウェルダー加工により高周波感受性層で得られた発熱エネルギーを利用したシール層の溶融シールが十分に為され、医療用包装体として満足なシール強度を得ることができる
【0020】
内層の成分Bは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ガラス転移温度50℃以上140℃以下のノルボルネン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類以上であることが好ましい。
成分Aに対し、成分Bを混合することによりフィルムの剛性や耐ブロッキング性を向上させることができる。
【0021】
ここで、ノルボルネン系樹脂とは、ノルボルネン骨格を有する樹脂を云う。例えば、サイクリックオレフィンポリマー(COP)やサイクリックオレフィンコポリマー(COC)などを用いることができる。
ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度は、下限は70℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましい。上限は、130℃以下がより好ましく、120℃以下が更に好ましい。ガラス転移温度が50℃以上であると、フィルム製膜時の巻取りや、製袋加工時のハンドリングが安定し、ガラス転移温度が140℃以下であると、多層フィルム製膜時の押出が安定する。
【0022】
内層における成分Aと成分Bの混合比率は、成分Aが50質量%以上95質量%未満、成分Bが5質量%以上50質量%未満が好適である。より好ましくは、成分Aが60質量%以上80質量%未満、成分Bが20質量%以上40質量%未満である。
成分Aが50質量%以上であると、高周波ウェルダー加工時に高周波感受性層で得られた発熱エネルギーでシール層同士が十分に溶融密着し、成分Aが95質量%未満であると、ブロッキング抑制効果が維持され、フィルムハンドリングが容易となる。
【0023】
内層の厚さは3μm以上50μm以下である。下限は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上限は45μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。3μm以上であると、共押出多層フィルム製膜が安定し、50μm以下であると、高周波ウェルダー加工が良好に出来る。
【0024】
<フィルム構成>
本発明のフィルムは、内層にシール層、シール層に隣接して高周波感受性層、外層または中間層にポリアミド樹脂層を配するものであり、その他の中間層や外層は、フィルムに要求されるガスバリア性、柔軟性、強度、層間密着性などの物性を勘案して構成することができる。例えば、外層、中間層、高周波感受性層の各層間には、接着性樹脂層を配して層間密着性を向上させる。
本発明のフィルムの構成例を以下に示す。ただし、本発明範囲を限定するものではなく、発明趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することは可能である。
層構成表記において、ポリエチレン層をPE、ポリプロピレン層をPP、ガスバリア層をEVOHまたはMXD、ポリアミド層をPA、接着性樹脂層をAD、高周波感受性層をEVA、シール層をシールと表記する。
【0025】
・{PEまたはPP}/AD/PA/EVOH/AD/EVA/シール
・{PEまたはPP}/AD/EVOH/PA/AD/EVA/シール
・{PEまたはPP}/AD/PA/EVOH/PA/AD/EVA/シール
・PA/EVOH/AD/EVA/シール
・PA/EVOH/PA/AD/EVA/シール
・PA/MXD/AD/EVA/シール
・PA/AD/EVOH/AD/EVA/シール
・PA/AD/EVOH/PA/AD/EVA/シール
・PA/AD/MXD/AD/EVA/シール
【0026】
本発明のフィルム総厚は、医療用包装体としてのフィルム強度や柔軟性、内容物の形状や重量、等に合わせ適宜選択することができ、100〜500μm程度が包装体加工や包装体の使用において便利である。フィルム強度を求める場合は150μm以上、柔軟性や軽量化を求める場合は350μm以下が好ましい。
【0027】
本発明のフィルムを構成する原材料樹脂は、多層フィルムおよび包装体に求められる衛生性および日本薬局方への適合性を鑑み、原材料自体が日本薬局方に適合していることが望ましいが、本発明を限定するものではない。
【0028】
本発明のフィルムは、製法は限定されないが、以下の係る要件から、共押出の水冷インフレーション法により製膜されることが好ましい。共押出法を選択することで接着剤を使用することなく積層が可能となり製造コストが抑えられ、また内容物側への溶出懸念も小さくでき、水冷インフレーション法を選択することで透明性が高くかつ製膜されたチューブ内の衛生性を担保することが可能となる。
【0029】
本発明の医療用包装体は、上記の本発明のフィルムを用いて内容物を収容して包装するものである。包装体の形状は、内容物の形状や使用目的によって適宜選択でき、例えば、内容物の周囲を四辺直線や曲線でシールした袋体、底面に奥行きを持たせ縦置きできるパウチなどが挙げられる。また、包装体をフックに引っ掛ける為にシール部に穴を設けたりすることができる。
本発明の医療用包装体の製法は、高周波ウェルダー加工が適する。高周波出力の強度や時間は適宜選択できるが、包装体に必要なシール強度を安定して加工生産できる範囲で、安全性および生産効率を考慮し低出力短時間で行うと良い。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1〜3、比較例1〜4、比較例6>
各層樹脂を単軸押出機により溶融混練押出をし、インフレーション法にて樹脂温度200℃で共押出成形したのち、20℃の冷却水で急冷製膜し、無延伸多層フィルムを得た。
各例のフィルムの層構成は、外層側から順に記す。
【0031】
各例に用いた原材料は次の通りである。
原材料樹脂の融点、ガラス転移温度の測定は、JIS K 7121に準拠して行った。
また、医療用とは、日本薬局方プラスチック製医薬品容器に適合したものを云う。
【0032】
PE1: 直鎖状低密度ポリエチレン(融点95℃、医療用)+高密度ポリエチレン(融点135℃、医療用)、混合質量比50:50
AD: 無水マレイン酸変性ポリプロピレン系エラストマー、医療用
EVOH: エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン含有率32モル%
PA : ナイロン12
EVA1: エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有率20質量%、医療用
EVA2: エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有率15質量%、医療用
EVA3: エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有率25質量%、一般工業用
PE2: 直鎖状低密度ポリエチレン(融点121℃、医療用)+高密度ポリエチレン(融点135℃、医療用)、混合質量比70:30
PE3: 高密度ポリエチレン(融点135℃)+シクロオレフィンポリマー(ガラス転移温度100℃)、混合質量比60:40
【0033】
<実施例1>
PE1(60μm)/AD(30μm)/EVOH(35μm)/PA(10μm)/AD(30μm)/EVA1(140μm)/PE2(15μm)
【0034】
<実施例2>
PA(10μm)/EVOH(35μm)/AD(20μm)/EVA2(100μm)/PE2(5μm)
【0035】
<実施例3>
PE1(30μm)/AD(20μm)/EVOH(35μm)/PA(10μm)/AD(20μm)/EVA2(140μm)/PE3(15μm)
<比較例1>
PE1(30μm)/AD(20μm)/EVOH(35μm)/AD(20μm)/EVA2(45μm)/PE2(5μm)
【0036】
<比較例2>
PE1(30μm)/AD(20μm)/EVOH(35μm)/AD(20μm)/EVA2(70μm)/PE2(80μm)
【0037】
<比較例3>
PE1(30μm)/AD(20μm)/EVOH(35μm)/AD(20μm)/PE2(50μm)
【0038】
<比較例4>
PE1(30μm)/AD(20μm)/EVOH(35μm)/AD(20μm)/EVA1(100μm)
【0039】
<比較例5>
比較例4と同じ層構成のフィルムを共押出Tダイ法により製膜し、EVA1の表面にエンボス処理を施した。
【0040】
<比較例6>
PE1(40μm)/EVA3(150μm)/PE2(40μm)
【0041】
各例で得た多層フィルムについて、以下の評価を行い、結果を表2に示す。
<評価項目1、透明性>
JIS K 7105に準拠してヘーズ(%)を測定して評価した。
○; ヘーズ15%未満
×; ヘーズ15%以上
【0042】
<評価項目2、ブロッキング性>
インフレーション法で得たフィルムは、チューブ開口性から、次の基準で評価した。
○; 簡単な手しごきで開口できる場合
×; 手でしごいても開口できない場合
Tダイ法で得たフィルムは、フィルムロールからの巻き出しから、次の基準で評価した。
○; ブロッキングせずに巻き出せる場合
×; ブロッキングを伴って巻き出される場合
【0043】
<評価項目3、高周波ウェルダー加工適性>
フィルムのシール層同士を密着させた状態で、クインライト電子精工社製NKC−3000Sを用い、高周波出力目盛45、高周波印加時間1秒間の条件でシールを実施した後、引張試験機により15mm幅のシール強度を測定して評価した。
○; シール強度2.0kgf/15mm幅以上
×; シール強度2.0kgf/15mm幅未満
【0044】
<評価項目4、日本薬局方試験>
フィルムを日本薬局方プラスチック容器試験法に基づき表1の試験を行い、評価した。
○; すべての試験項目の規格値に適合する場合
×; 1つ以上の試験項目において不適合となる場合
【0045】
【表1】
【0046】
<評価項目5、落袋強度>
フィルムのシール層同士を密着させた状態で、クインライト電子精工社製NKC−3000Sを用い、高周波出力目盛45、高周波印加時間1秒間、シール幅10mmの条件で、縦25cm、横35cmで3辺シールし、次いで水1Lを入れた後、残る1辺を同条件でシールして袋体を作製した。
その作製した水入り袋体を、4辺を水平にして高さ1mからコンクリート面に落下させ、評価した。
○; 破袋(シール抜け、エッジ切れ等)しなかった場合
×; 破袋した場合
【0047】
【表2】
【0048】
以上の評価より、実施例1〜3は、透明性、耐ブロッキング性、高周波ウェルダーによるシール強度、落袋強度の何れも良好であり、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験にも適合する。また実施例2のフィルムは光沢が良く、評価項目5の袋体は他に比べとりわけ美観であった。
【0049】
一方、比較例1は高周波感受性層厚が薄く、また、比較例2はシール層が厚く、比較例3は高周波感受性層が無く、シール強度が基準未達であった。
比較例4は、内層にEVAが表出しておりブロッキングが発生した。
また、比較例1〜4は上記の結果から、落体強度の測定は行わなかった。
比較例5は、内層のEVA表面にエンボス加工を施し、ブロッキングを防ぐことはできたが、表面凹凸形状により透明性が劣った。
比較例6は、一般工業用EVAを用いた影響で、日本薬局方試験に適合することが出来なかった。
また、比較例5〜6は、ポリアミド樹脂層を有さず、落袋強度は低かった。