特許第6547506号(P6547506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6547506
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】窒化物半導体結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/38 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
   C30B29/38 D
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-155223(P2015-155223)
(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公開番号】特開2017-31029(P2017-31029A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保 秀一
【審査官】 谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−006772(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/029569(WO,A1)
【文献】 特開2010−189270(JP,A)
【文献】 特開2010−052967(JP,A)
【文献】 特開2008−143772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、重力および遠心力の方を利用して斜面上で互いに密着させた状態で、該集合シード上に窒化物半導体を成長させることを含む、窒化物半導体結晶の製造方法。
【請求項2】
集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、少なくとも重力を利用して斜面上で互いに密着させた状態で、該集合シード上に窒化物半導体を成長させることを含む、窒化物半導体結晶の製造方法。
【請求項3】
集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、少なくとも遠心力を利用して互いに密着させた状態で、該集合シード上に窒化物半導体を成長させることを含む、窒化物半導体結晶の製造方法。
【請求項4】
集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、重力および遠心力の方を利用して斜面上で互いに密着させた状態で、該集合シード上に連結層を形成して連結層付き集合シードを得る第1ステップと、該連結層付き集合シード上に窒化物半導体を成長させる第2ステップと、を有する窒化物半導体結晶の製造方法。
【請求項5】
集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、少なくとも重力を利用して斜面上で互いに密着させた状態で、該集合シード上に連結層を形成して連結層付き集合シードを得る第1ステップと、該連結層付き集合シード上に窒化物半導体を成長させる第2ステップと、を有する窒化物半導体結晶の製造方法。
【請求項6】
合シードを構成する複数のタイルシード同士を、少なくとも遠心力を利用して互いに密着させた状態で、該集合シード上に連結層を形成して連結層付き集合シードを得る第1ステップと、該連結層付き集合シード上に窒化物半導体を成長させる第2ステップと、を有する窒化物半導体結晶の製造方法。
【請求項7】
前記第1ステップでは前記連結層を窒化物半導体で形成する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第2ステップでは前記連結層上に窒化物半導体を成長させる、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記連結層がアモルファス連結層である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体は、窒化物系III−V族化合物半導体、III族窒化物系化合物半導体、GaN系半導体などとも呼ばれ、典型例としてGaNを含む他、AlN、InN、AlGaN、AlInN、GaInN、AlGaInNなどのように、GaNのGaの一部または全部が他の周期表13族元素(B、Al、In)に置換された化合物を含む。窒化物半導体は、通常、六方晶系に属するウルツ鉱型の結晶構造を備える。
【0003】
窒化物半導体の代表的な成長方法として、HVPE(ハイドライド気相エピタキシー)法が広く用いられている。
HVPE法で窒化物半導体を成長させる場合、シードとして、複数の板状シードを結晶方位が揃うように並べてなる集合シードを用いることができる(特許文献1〜3)。以下では、この集合シードを用いて行う窒化物半導体の成長方法を「タイリング法」と呼ぶことにする。また、タイリング法において、集合シードを構成するために用いられる個々の板状シードを、「タイルシード」と呼ぶことにする。
【0004】
典型的なタイリング法では、図1に示すタイルシード10のような、矩形の主表面を有する板状シードが複数準備され、それらが図2に示すように、HVPE装置の成長チャンバー内に置かれるサセプター100上に並べられて、集合シードS10が構成される。そして、図3に示すように、集合シードS10上に窒化物半導体20が成長される。
ここで、タイルシード10の2つの主表面のうち、その上に窒化物半導体20がエピタキシャル成長される主表面をおもて面といい、その反対側(サセプターを向く側)の主表面を裏面というものとする。
【0005】
集合シードS10の上面に段差が生じないよう、各タイルシード10はおもて面と裏面が平行とされ、タイルシード間では厚さのバラツキが可能な限り抑えられる。
タイルシード間における、おもて面の面方位のバラツキを抑えることも重要である。例えば、タイルシードの側面を特定の結晶面と平行になるよう形成したうえで、該側面同士が密着するようにタイルシードを並べれば、タイルシードの主表面に平行な結晶軸の方向を、集合シードを構成するタイルシード間で精度よく一致させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−143772号公報
【特許文献2】特開2010−275171号公報
【特許文献3】特開2011−026181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
HVPE装置の成長チャンバー内に設けられるサセプターは、しばしば回転式である。回転式サセプター上にタイルシードを並べ集合シードを構成した場合、サセプターの回転開始時に発生する慣性力や、サセプターの回転により生じる遠心力によって、タイルシードの配列に乱れが生じる可能性がある。
厚さを減じることでタイルシードを軽くすれば、サセプターの回転に関連して発生する慣性力や遠心力は小さくなるが、その半面、反応容器内に導入されるアンモニア流やキャリアガス流の影響による配列乱れが生じ易くなる。
このような結晶成長開始前のタイルシードの配列乱れについて、その防止策は全く検討されていないのが実情である。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、集合シードを構成するタイルシードの配列乱れが結晶成長開始前に発生することを防ぎ、タイリング法を用いて製造する窒化物半導体結晶の品質および歩留りを改善する技術を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に記載する、窒化物半導体結晶の製造方法が提供される。
(1)集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、重力および遠心力の少なくとも一方を利用して互いに密着させた状態で、該集合シード上に窒化物半導体を成長させることを含む、窒化物半導体結晶の製造方法。
(2)集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、重力および遠心力の少なくとも一方を利用して互いに密着させた状態で、該集合シード上に連結層を形成して連結層付き集合シードを得る第1ステップと、該連結層付き集合シード上に窒化物半導体を成長させる第2ステップと、を有する窒化物半導体結晶の製造方法。
(3)前記第1ステップでは前記連結層を窒化物半導体で形成する、前記(2)に記載の製造方法。
(4)前記第2ステップでは前記連結層上に窒化物半導体を成長させる、前記(3)に記載の製造方法。
(5)前記連結層がアモルファス連結層である、前記(2)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
集合シードを構成するタイルシードの配列乱れが結晶成長開始前に発生することを防ぎ、タイリング法を用いて製造する窒化物半導体結晶の品質および歩留りを改善する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、タイルシードの斜視図である。
図2図2は、サセプター上で構成された集合シードの斜視図である。
図3図3は、集合シード上に窒化物半導体が成長したところを示す斜視図である。
図4図4(a)〜(e)は、それぞれ、タイルシードの主表面の形状を例示する図面である。
図5図5は、タイルシードの斜視図である。
図6図6は、集合シードの斜視図である。
図7図7は、サセプターの側面図である。
図8図8は、サセプターの斜面上に複数のタイルシードを並べて、集合シードを構成したところを示す側面図である。
図9図9は、サセプターの斜面上に複数のタイルシードを並べて構成された集合シード上に、窒化物半導体が成長したところを示す側面図である。
図10図10(a)は、タイルシードと窒化物半導体との複合体を示す側面図であり、図10(b)は、図10(a)に示す複合体の窒化物半導体部分をスライスしたところを示す側面図である。
図11図11は、サセプターの構造を示す図面であり、図11(a)は平面図、図11(b)は図11(a)のX−X線の位置における断面図である。
図12図12は、サセプター上に複数のタイルシードを並べて、集合シードを構成したところを示す図面であり、図12(a)は平面図、図12(b)は図12(a)のX−X線の位置における断面図である。
図13図13は、サセプターの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第一実施形態
本発明の第一実施形態は、窒化物半導体結晶の製造方法に関し、集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、重力を利用して互いに密着させた状態で、該集合シード上に窒化物半導体を成長させることを含むものである。
本第一実施形態の詳細を以下に説明する。
【0013】
(タイルシードの準備)
タイルシードは、HVPE法、Naフラックス法、アモノサーマル法、その他任意の結晶成長方法で成長させた窒化物半導体結晶から作製することができる。
タイリング法を用いて成長させた窒化物半導体結晶から、タイルシードを作製することも可能である。
タイルシードを構成する窒化物半導体の組成は、製造しようとする窒化物半導体結晶の組成と同じまたは近い組成とすることが好ましい。したがって、GaN結晶を製造する場合には、GaNからなるタイルシードを用いることが好ましい。
タイルシードは長手方向を有しており、その主表面は、該長手方向に沿って伸びる互いに平行な2つの辺を有する形状であればよい。したがって、タイルシードの主表面の形状は、図4(a)〜(e)に例示する形状であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0014】
図5は、タイルシードの一例を示す模式図である。図5を参照すると、タイルシード10は、一方の主表面であるおもて面11と、他方の主表面である裏面12と、当該タイルシードの長手方向に平行な側面である2つの第一側面13と、該長手方向の末端に位置する側面である2つの第二側面14とを有している。
おもて面11および裏面12は、互いに平行である。後のステップで、おもて面11上には窒化物半導体がエピタキシャル成長される。
2つの第一側面13は、主表面を挟んで反対側に位置しており、かつ、互いに平行である。
2つの第二側面14も、主表面を挟んで反対側に位置しており、これらは互いに平行であってもよいし、平行でなくてもよい。
【0015】
準備する複数のタイルシード間では、おもて面の面方位を一致させるとともに、2つの第一側面の面方位をそれぞれ一致させる。そうすることによって、図6に示すように、複数のタイルシード10を、第一側面13同士が密着するように並べて集合シードS10を構成したときに、全てのタイルシード10の結晶方位が一致する。なお、図6では、主表面の形状とサイズが同じタイルシードが並べられているが、集合シードを構成するタイルシードの主表面の形状とサイズを揃えることは必須ではない。
【0016】
(集合シードの構成)
本第一実施形態では、上記準備した複数のタイルシードで集合シードを構成するにあたり、重力を利用して、タイルシード同士を互いに密着させる。
そのためには、例えば、図7に側面図を示すように、斜面101と、該斜面101の下方に配置された段差102とを備える、サセプター100を使用することができる。斜面101の傾斜は、もしも段差102が無かったならば、該斜面上に置いたタイルシードが静止摩擦力に抗して滑り落ちる程度に、急であることが必要である。
図7に示すサセプターの斜面上に複数のタイルシードを並べて、集合シードを構成したところを図8に示す。図8を参照すると、4枚のタイルシード10が、おもて面11を上にして、第二側面13同士が接するように、サセプター100の斜面101上に並んでいる。
複数のタイルシード10は斜面101の傾斜方向に沿って並べられていることから、重力の作用によって、タイルシード同士が互いに密着する。したがって、タイルシード間の結晶方位のズレは極めて小さくなる。
斜面101とタイルシードの裏面12の少なくとも一方、好ましくは両方を平滑に仕上げて、斜面とタイルシードの間に生じる摩擦力を小さくすると、この効果をより確実に発生させることができる。
【0017】
(窒化物半導体の成長)
上述のサセプターを、傾斜面上に構成された集合シードごと、HVPE装置の成長チャンバー内に設置して、該集合シード上に窒化物半導体を成長させる。
集合シードに対する原料ガス(アンモニアおよび塩化ガリウムを含む)およびキャリアガス(H2、N2またはこれらの混合ガス)の供給方向に限定はなく、横からであってもよいし、上からであってもよいし、斜め上からであってもよい。
窒化物半導体の成長中、サセプターを垂直軸周りに回転させることもできる。一例では、集合シード上に層状に成長する窒化物半導体がタイルシード同士を結合させるまではサセプターを静止させておき、結合後に回転を開始することもできる。
サセプターの姿勢を変更できる機構を設けておき、集合シード上に層状に成長する窒化物半導体がタイルシード同士を結合させた後は、タイルシードのおもて面が水平となるようにサセプターの姿勢を変更してもよい。
【0018】
図9は、図7に示すサセプター100上に複数のタイルシード10を並べて構成した集合シード上に、窒化物半導体20がエピタキシャル成長したところを示す側面図である。
図10(a)は、窒化物半導体の成長が完了した後、タイルシード10と窒化物半導体20との複合体をサセプター100から取り外したところを示している。この複合体からタイルシード10を取り除くことなく、図10(b)に示すように窒化物半導体20部分をスライスして窒化物半導体ウエハ21を得ることができる。
図10(b)では、スライス方向がタイルシード10の主表面に対し傾斜しているが、必須ではなく、タイルシードの主表面と平行であってもよい。
【0019】
2.第二実施形態
本発明の第二実施形態は、窒化物半導体結晶の製造方法に関し、集合シードを構成する複数のタイルシード同士を、遠心力を利用して互いに密着させた状態で、該集合シード上に窒化物半導体を成長させることを含むものである。
本第二実施形態で使用するタイルシードは、第一実施形態で使用するものと同じである。第二実施形態が第一実施形態と異なるのは、複数のタイルシードで集合シードを構成する際に、タイルシードの第一側面同士を密着させる力として、重力ではなく遠心力を利用する点である。
【0020】
遠心力を発生させるためには、例えば、図11に示す構造を有するサセプターを使用することができる。図11(a)は平面図であり、サセプター100は中心Cを有する円形で、外周部にはリング形の段差102が設けられている。図11(b)は、図11(a)のX−X線の位置における断面図であり、一点鎖線は中心Cを通る回転軸を示している。サセプター100は該回転軸を中心に回転可能とされる。
【0021】
図11に示すサセプター上に複数のタイルシードを並べて、集合シードを構成したところを図12に示す。図12(a)は平面図であり、図12(b)は図12(a)のX−X線の位置における断面図である。この例では、3つの集合シードが構成されている。
集合シードS10の各々は、4枚のタイルシード10を、おもて面11を上にして、第二側面13同士が接するように並べることにより構成されている。タイルシードをこのように並べたうえで、サセプター100を、回転軸を中心に回転させると、遠心力の作用によってタイルシード同士が互いに密着する。その結果、各集合シードにおいて、タイルシード間の結晶方位のズレが極めて小さくなる。
【0022】
サセプター上に構成された集合シード上には、通常のHVPE法を用いて窒化物半導体を成長させることができる。集合シードに対する原料ガス(アンモニアおよび塩化ガリウムを含む)およびキャリアガスの供給方向に限定はなく、横方向からであってもよいし、上方からであってもよいし、斜め上方からであってもよい。
集合シード上に窒化物半導体結晶を成長させた後は、第一実施形態と同様にして、その窒化物半導体結晶からウエハを切り出すことができる。
【0023】
変形実施形態では、図11に示すサセプターを変形し、図13に断面図を示すように、リング形突起102の内側部分を中心から外周に向かって傾斜させることができる。この変形サセプターを用いると、重力と遠心力の両方を利用して、集合シードを構成するタイルシード同士を密着させることが可能である。重力を援用する分、遠心力の発生に必要なサセプターの回転を緩やかにすることができるので、サセプター回転に伴い原料ガス流が乱れることを防止できる。
【0024】
3.第三実施形態
本第三実施形態は、集合シードを構成するタイルシード同士を重力と遠心力の少なくとも一方を利用して密着させる点では、前述の第一および第二実施形態と共通している。しかし、第一および第二実施形態では、集合シード上にワンステップで窒化物半導体結晶を成長させるのに対し、第三実施形態では、最初の気相プロセスでタイルシード同士を連結する連結層を形成し、その後、別の気相プロセス(通常はHVPE)で、連結層付き集合シード上に窒化物半導体を成長させる点で、第一および第二実施形態と異なっている。
【0025】
本第三実施形態で使用するタイルシードは、第一および第二実施形態で使用するものと同じである。また、タイルシードの第一側面同士を密着させる方法も、第一および第二実施形態で使用する方法と同じである。
本第三実施形態では、重力と遠心力の少なくとも一方を利用して、集合シードを構成する複数のタイルシード同士を互いに密着させた状態で、集合シード上に連結層を成長させる。
【0026】
連結層は、当該連結層でタイルシード間を連結して得られる連結層付き集合シードがハンドリング可能となる厚さを有していればよく、例えば、タイルシードの厚さの3分の1以上、2分の1以上、3分の2以上、同等以上、1.5倍以上などとすることができる。連結層の厚さに特に上限はないが、通常、タイルシードの厚さの2倍以下である。
【0027】
連結層の材料は、例えば窒化物半導体である。窒化物半導体からなる連結層は、MOCVD法、HVPE法、スパッタリング法、パルス蒸着法等の気相成長法を用いて、集合シード上に窒化物半導体をエピタキシャル成長させることにより形成することができる。
窒化物半導体からなる連結層は、集合シードの一方面側にのみ成長させてもよいし、両方の面上に成長させてもよい。この場合、先に形成する方の連結層を、前述の方法で複数のタイルシード同士を互いに密着させながら、成長させればよい。
【0028】
窒化物半導体で連結層を形成した後、その連結層上にHVPE法で窒化物半導体を厚く成長させ、バルク窒化物半導体結晶を得ることができる。この場合、連結層を構成する窒化物半導体の組成は、製造しようとする窒化物半導体結晶と同じまたは近い組成とすることが好ましい。連結層の表面は、平坦化処理(研磨、CMP、ドライエッチング等)を行ってから、窒化物半導体の成長に供することもできる。
窒化物半導体で連結層を形成した後、得られた連結層付き集合シードの、連結層が形成されていない側の面上に、HVPE法で窒化物半導体を厚く成長させ、バルク窒化物半導体結晶を得ることも可能である。
【0029】
連結層を、窒化物半導体層ではなく、アモルファス連結層とすることも可能である。アモルファス連結層とは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のアモルファス材料からなる連結層であり、プラズマCVD法のようなプロセス温度の比較的低い方法で形成することが可能である。アモルファス連結層上には窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させることができないので、アモルファス連結層を形成できるのは集合シードの一方面側のみである。
集合シードの一方面側にアモルファス連結層を形成する場合、必須ではないが、他方面側に窒化物半導体からなる連結層を成長させてもよい。この場合、アモルファス連結層と窒化物半導体連結層のいずれを先に形成してもよい。先に形成する方の連結層は、前述の方法で複数のタイルシード同士を互いに密着させながら形成する。
【符号の説明】
【0030】
10 タイルシード
11 おもて面
12 裏面
13 第一側面
14 第二側面
S10 集合シード
20 窒化物半導体
21 窒化物半導体ウエハ
100 サセプター
101 斜面
102 段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13