(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6547541
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】縮径装置
(51)【国際特許分類】
B21G 3/14 20060101AFI20190711BHJP
A61F 2/95 20130101ALI20190711BHJP
B21D 41/04 20060101ALN20190711BHJP
【FI】
B21G3/14
A61F2/95
!B21D41/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-183910(P2015-183910)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-56478(P2017-56478A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】児玉 直樹
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07886661(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0128818(US,A1)
【文献】
特公昭47−13528(JP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/53182(US,A1)
【文献】
米国特許第6651478(US,B1)
【文献】
米国特許第6968607(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2014/128968(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/283596(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/213520(US,A1)
【文献】
特許第5242159(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2013/74712(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/30418(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/258833(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/239428(US,A1)
【文献】
特表2011−526162(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/162432(US,A1)
【文献】
特表2013−503016(JP,A)
【文献】
特表2007−525275(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/274342(US,A1)
【文献】
特表2008−541836(JP,A)
【文献】
米国特許第7628051(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/173061(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/127707(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/68216(US,A1)
【文献】
特許第4989652(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2005/229670(US,A1)
【文献】
特許第4685796(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2004/181236(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/128818(US,A1)
【文献】
特許第4921708(JP,B2)
【文献】
米国特許第6176116(US,B1)
【文献】
特表2004−525704(JP,A)
【文献】
特公昭25−3800(JP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/148909(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/213049(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/234537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21G 3/14
A61F 2/95
B21D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコマ体と、
複数の前記コマ体の基端部をそれぞれ回動可能に保持する複数の支点支持部が円周方向に沿って装着されるリングと、を有する縮径装置であって、
複数の前記コマ体の先端部が組み合わされて開口部が構成され、
前記リングを回転させることで、複数の前記コマ体がそれぞれの前記支点支持部を中心として回動し、複数の前記コマ体の先端部が連携して半径方向に移動して前記開口部の内径を変化させるように構成してあり、
複数の前記支点支持部の中心を結ぶ円の直径をPCDとし、前記支点支持部の中心から当該支点支持部に保持してあるコマ体の先端部までの距離をL0とした場合に、L0/PCDが0.5005よりも大きく、かつ、0.504より小さいことを特徴とする縮径装置。
【請求項2】
前記L0/PCDが0.5008以上0.5020以下であることを特徴とする請求項1に記載の縮径装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばステントなどの医療器具の外径を小さく変形させるための縮径装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばステントなどの医療器具の外径を小さく変形させるための縮径装置としては、たとえば下記に示す特許文献1が知られている。従来の縮径装置では、リングを回転させることで、複数のコマ体がそれぞれの支点支持部を中心として回動し、複数のコマ体の先端部が連携して半径方向に移動して開口部の内径を変化させるように構成してある。
【0003】
従来の縮径装置では、複数の支点支持部の中心を結ぶ円の直径をPCDとし、支点支持部の中心から当該支点支持部に保持してあるコマ体の先端部までの距離をL0とした場合に、L0/PCDが正確に0.5と成るように設計されている。このように設計することで、たとえばPCDが62mmの場合には、開口の内径を12mmから0mmまでの縮径が可能になる。
【0004】
しかしながら、従来の縮径装置では、開口の内径を狭めていく過程において、隣接するコマ体の先端部の間に、最大で0.1mm程度の隙間(ギャップ)が形成される。そのため、ステントを構成する線材の線径が0.1mmより小さいと、線材がコマ体の先端部の間の隙間に入り込み、製品としてのステントを傷ませてしまうおそれがあった。
【0005】
近年では、線材の線径が小さいステントも開発されており、そのようなステントの外径を小さくするために用いられる縮径装置では、コマ体間の隙間を小さくする技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2004/0128818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、縮径対象物の外径を、縮径対象物の一部が噛み込まれることなく、良好に変化させることができる縮径装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、コマ体間の隙間を小さくすることに関して鋭意検討した結果、複数の支点支持部の中心を結ぶ円の直径をPCDとし、支点支持部の中心から当該支点支持部に保持してあるコマ体の先端部までの距離をL0とした場合に、L0/PCDを0.5よりも大きくすることで、コマ体間の隙間を小さくすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る縮径装置は、
複数のコマ体と、
複数の前記コマ体の基端部をそれぞれ回動可能に保持する複数の支点支持部が円周方向に沿って装着されるリングと、を有する縮径装置であって、
複数の前記コマ体の先端部が組み合わされて開口部が構成され、
前記リングを回転させることで、複数の前記コマ体がそれぞれの前記支点支持部を中心として回動し、複数の前記コマ体の先端部が連携して半径方向に移動して前記開口部の内径を変化させるように構成してあり、
複数の前記支点支持部の中心を結ぶ円の直径をPCDとし、前記支点支持部の中心から当該支点支持部に保持してあるコマ体の先端部までの距離をL0とした場合に、L0/PCDが0.5よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明の縮径装置では、L0/PCDを0.5よりも大きくすることのみで、コマ体間の隙間を小さくすることができる。その結果、本発明の縮径装置を用いて、たとえばステントなどの縮径対象物の外径を、縮径対象物の一部が縮径装置のコマ体間の隙間に噛み込まれることなく、良好に縮径させることができる。したがって、縮径されたステントなどの製品は、ダメージを受けること無く、保護チューブなどに挿入されて搬送可能になる。
【0011】
L0/PCDの下限は、好ましくは0.5005より大きく、さらに好ましくは0.5008以上、さらにまた好ましくは0.5010より大きい。L0/PCDの上限は、好ましくは0.504より小さく、さらに好ましくは0.503より小さく、さらにまた好ましくは0.5020以下である。
【0012】
このような関係となるように縮径装置を構成することで、コマ体間の隙間を、最大で、好ましくは0.08mm以下、さらに好ましくは0.07mm以下、特に好ましくは0.05mm以下に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る縮径装置の一部透明な斜視図である。
【
図4】
図4(A)は
図1に示す補助リングの平面図、
図4(B)は
図4(A)に示す補助リングの側面図である。
【
図5】
図5(A)は
図1に示すコマ体の正面図、
図5(B)は
図5(A)に示すコマ体の平面図、
図5(C)は
図5(A)に示すコマ体の底面図である。
【
図8】
図8は
図1に示す一方の蓋を取り除いた縮径装置のPCDとL0との関係を示す平面図である。
【
図9A】
図9Aは
図1に示す一方の蓋を取り除き縮径装置を別の角度から見た一部破断斜視図である。
【
図9B】
図9Bは
図9Aに示す縮径装置から駆動リングおよび補助リングを取り除いた状態の一部破断斜視図である。
【
図10A】
図10Aは
図1に示す一方の蓋とケースを取り除き縮径装置を別の角度から見た要部斜視図である。
【
図11B】
図11Bは
図11Aに示す状態から開口部を狭める方向に駆動リングを動かす状態を示すコマ体の集合体の平面図である。
【
図11C】
図11Cは
図11Bに示す状態からさらに開口部を狭める方向に駆動リングを動かした状態を示すコマ体の集合体の平面図である。
【
図11D】
図11Dは
図11Cに示す状態からさらに開口部を狭める方向に駆動リングを動かした状態を示すコマ体の集合体の平面図である。
【
図12】
図12は本発明の実施例および比較例に係る縮径装置の開口の縮径直径とコマ間のギャップとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る縮径装置2は、たとえば医療器具のステント(図示省略)の外径を縮径させるために用いられる器具であり、複数のコマ体4と、駆動リング6aと補助リング6b,6cとを有する。これらの複数のコマ体4と駆動リング6aと補助リング6b,6cとは、円筒状のケース10の内部に装着され、ケース10のZ軸方向の両端には、蓋12a,12bが装着してある。
【0015】
ケース10の胴体外周には、固定レバー20の先端部が固定してある。固定レバー20には、リンクレバー24を介して回動レバー22が装着してある。なお、
図1では、ケース10および蓋12a,12bは、2点鎖線で示してあり、内部が見えるように図示してある。また、固定レバー20、回動レバー22およびリンクレバー24も同様に、2点鎖線で示してある。なお、図面において、ケース10の中心軸がZ軸と平行であり、固定レバー20の長手方向がX軸と平行であり、Y軸は、X軸およびZ軸に相互に垂直な軸である。
【0016】
蓋12a,12bの図示が省略してある
図2に示すように、ケース10の胴体外周部に固定してある固定レバー20の先端部の内部には、空洞部21が形成してある。空洞部21の内部に、リンク片28が回動軸30を回動支点として矢印A2方向(またはその逆)に回動自在に装着してある。回動軸30は、固定レバー20の空洞部21の内部で固定レバー20に取り付けられる。
【0017】
リンク片28の回動先端部には、回動軸31を介して操作レバー22の先端部が取り付けてあり、操作レバー22は、回動軸31を回動支点として固定レバー20に対して矢印A1方向(またはその逆)に回動可能になっている。リンク片28の回動先端部には、回動軸31とは別の位置で、駆動ピン32が固定してある。駆動ピン32は、
図1に示す駆動リング6aの外周部に一体的に形成してある駆動凸部34の駆動用長孔36に係合する。なお、回動軸30,31および駆動ピンの軸芯は、Z軸に平行である。
【0018】
図2に示すように、回動レバー22を固定レバー20に対して矢印A1方向に回動させると、リンクレバー24の作用により、回動軸30を支点としてリンク片28を矢印A2方向に回動させることになる。その結果、リンク片28の駆動ピン32は、駆動用長孔36の中を長手方向に移動し、しかも、駆動凸部34に矢印A3方向の回動駆動力を付与する。
【0019】
駆動凸部34は、
図1に示す駆動リング6aと一体になっていることから、駆動凸部34に矢印A3方向の回動駆動力が付与されると、駆動リング6aは、矢印A3方向に回動駆動される。次に、駆動リング6aおよび補助リング6b,6cとコマ体4との関係について説明する。
【0020】
図3(A)および
図3(B)に示すように、駆動リング6aは、内周部37aが円形の開口になっている円板状のリング本体33aを有する。リング本体33aには、表裏面を貫通する貫通孔38aが円周方向に沿って略等間隔で複数形成してある。各貫通孔38aには、
図1および
図2に示す支点支持ピン8が通される。
【0021】
このリング本体33aの外周部の一部に、駆動凸部34が半径方向に突出するように一体化して形成してある。駆動凸部34には、駆動用長孔36が形成してある。駆動用長孔36は、リング本体33aの半径方向に細長く形成してあり、駆動用長孔36の幅(周方向長さ)は、
図2に示す駆動ピン32が入り込む程度の幅である。
【0022】
図3(B)に示すように、駆動凸部34は、切欠き35を介して駆動リング6aの軸方向に1対で形成してある。切欠き35には、
図2に示すリンク片28が挟み込まれ、リンク片28の表裏面にそれぞれ突出してある駆動ピン32が、各駆動凸部34の駆動用長孔36の内部に入り込んで係合する。
【0023】
図4(A)および
図4(B)に示すように、補助リング6b,6cは、内周部37b,37cが円形の開口になっている円板状のリング本体33b,33cを有する。リング本体33b,33cには、表裏面を貫通する貫通孔38b,38cが円周方向に沿って略等間隔で複数形成してある。各貫通孔38b,38cには、
図1および
図2に示す支点支持ピン8が通される。支点支持ピン8の長手方向がZ軸に平行である。
【0024】
図5(A),
図5(B)および
図5(C)に示すように、各コマ体4は、全体としては、支点支持ピン8の長手方向に沿って細長い板本板4dを有し、板本体4dの短手方向の一端にある先端部4aが、鋭角状の刃先形状を有している。各コマ体4の先端部4aの集合が、
図2に示すように、Z軸方向に延びる開口部4bとなる。開口部4bは、後述するように、先端部4aの動きに応じて、その内径が変化する。
【0025】
板本体4dの短手方向の他端である基端部4cの長手方向の中央部には、駆動リング装着溝42が形成してあると共に、基端部4cの長手方向の両端部には、補助リング装着溝44が形成してある。また、基端部4cには、長手方向に貫通する貫通孔4eが形成してあり、貫通孔4eには、支点支持ピン8が挿通してある。
【0026】
図5(A)に示す駆動リング装着溝42には、
図1に示すように、駆動リング6aが挿入され、
図3に示す駆動リング6aの円周方向に形成してある貫通孔38aに支点支持ピン8が通されるようになっている。また、
図5(A)に示す補助リング装着溝44には、
図1に示すように、補助リング6b,6cが挿入され、
図4に示す補助リング6b,6cの円周方向に形成してある貫通孔38b,38cに支点支持ピン8が通されるようになっている。支点支持ピン8の両端は、
図9Aに示すように、補助リング6b,6cから突出するように構成されていても良い。なお、
図9Bは、
図9Aに示す駆動リング6aおよび補助リング6cを取り除いた状態を示す。
【0027】
図5(A)に示す板本体4dの先端部4aから短手方向に所定距離引き込んだ位置で、板本体4dの長手方向の両端には、ピン穴4fが形成してある。ピン穴4fには、案内ピン40が嵌合してあり、案内ピン40が、板本体4dの長手方向の両端から突出するようになっている。
【0028】
図6および
図7(A)および
図7(B)に示すように、蓋12a,12bは、円板形状の蓋本体13を有し、蓋本体13の中央部に、円形の出入口14が形成してある。出入口14の内径は、
図2に示す開口部4bの最大外径よりも大きく設定してあり、たとえばステントなどの縮径対象物が出入りする部分となる。
【0029】
蓋本体13の内面(
図1に示すコマ体4のZ軸方向端面と向き合う面)には、出入口14の外周に沿って円周方向に略等間隔で半径方向に細長い長穴状の案内溝18が複数形成してある。案内溝18の数は、
図1に示すように配置されるコマ体4の数に等しく、
図2に示す案内ピン40の数とも一致する。各案内溝18には、
図11B〜
図11Dに示すように、案内ピン40が半径方向に移動自在に係合する。
【0030】
図6および
図7(A)および
図7(B)に示すように、蓋本体13の内面には、その外周部に、円周方向に沿って延びる案内凸部16が形成してあっても良い。案内凸部16は、たとえば
図1に示すケース10の内部に入り込み、案内凸部16の内側で、支点支持ピン8の両端の円周方向の回転移動を案内可能になっている。
【0031】
図8に示すように、本実施形態では、複数の支点支持ピン8の中心を結ぶ円の直径をPCDとし、支点支持ピンの中心から当該支点支持ピンに保持してあるコマ体4の先端部までの距離をL0とした場合に、L0/PCDが0.5よりも大きい。好ましくは、L0/PCDの下限は、好ましくは0.5005より大きく、さらに好ましくは0.5008以上、さらにまた好ましくは0.5010より大きい。L0/PCDの上限は、好ましくは0.504より小さく、さらに好ましくは0.503より小さく、さらにまた好ましくは0.5020以下である。
【0032】
次に、本実施形態に係る縮径装置2の動きについて説明する。
図1および
図2に示す開口部4bの内部に、たとえば医療用ステントなどの縮径対象物を入れた後に、
図2に示す状態から、回動レバー22を固定レバー20に対して矢印A1方向に回動させると、リンクレバー24の作用により、回動軸30を支点としてリンク片28を矢印A2方向に回動させることになる。その結果、リンク片28の駆動ピン32は、駆動用長孔36の中を長手方向に移動し、しかも、駆動凸部34に矢印A3方向の回動駆動力を付与する。
【0033】
図10Aおよび
図11Bに示すように、駆動凸部34に矢印A3方向の回動駆動力が付与されると、駆動リング6aも矢印A3方向に回転(回動)する。駆動リング6aと補助リング6b,6cとは、
図9Aにも示すように、支点支持ピン8を介して連結してあることから、駆動リング6aが回転すると補助リング6b,6cも同様に移動する。
【0034】
各支点支持ピン8は、
図5Aに示すように、コマ体4の貫通孔4eに対して回転自在に挿入してあることから、駆動リング6aが回転すると、コマ体4の貫通孔4eに対して回転自在に挿入してある各支点支持ピン8も、
図11Bから
図11Cに示すように矢印A3方向に移動する。なお、各支点支持ピン8は、コマ体4の貫通孔4eに対して固定しても良く、その場合には、各支点支持ピン8は、リング6a〜6cの貫通孔38a〜38cに対して回転自在に保持される。
【0035】
図1に示すケース10と蓋12a,12bは固定してあるため、蓋12a,12bの内面に形成してある案内溝18(
図6参照)に沿って、
図11Bに示す案内ピン40が半径方向の内側に案内される。そのため、駆動リング6aが矢印A3方向に回動すると、複数のコマ体4がそれぞれの支点支持ピン8を中心として矢印A4方向に回動し、各コマ体4の先端部4aは、
図11Cから
図11Dに示すように、連携して半径方向に移動して開口部4bの内径を縮径させる方向に変化させる。
【0036】
開口部4bには、たとえばステントなどの縮径対象物が挿入してあることから、開口部4bの縮径と共に、ステントも、その外径が縮径される。
図1および
図2に示す固定レバー20に対して、回動レバー22を矢印A1と反対方向に回動させることで、上述した動作と逆の動作が行われ、開口部4bを開くことができ、開かれた開口部4bから、縮径されたステントなどを取り出すことができる。
【0037】
本実施形態の縮径装置2では、
図8に示すように、L0/PCDを0.5よりも大きくすることのみで、各コマ体4間の隙間を小さくすることができる。特に、隣接するコマ体4の先端部4aの間の隙間を小さくすることができる。その結果、縮径装置2を用いて、たとえばステントなどの縮径対象物の外径を、縮径対象物の一部が縮径装置2のコマ体4間の隙間に噛み込まれることなく、良好に縮径させることができる。したがって、縮径されたステントなどの製品は、ダメージを受けること無く、保護チューブなどに挿入されて搬送可能になる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0039】
たとえば、コマ体4の具体的な形状や配置個数などに関しては、図示する実施形態に限定されず、種々に改変することができる。また、固定レバー20および回動レバー22の形状、あるいはこれらのレバー20,22を連結するリンクの構造なども種々に改変することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例および比較例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0041】
実施例1
図8に示すコマ体4の長さL0を31.0mmとし、PCDが61.75mmとなるように、駆動リング6aおよび補助リング6b,6bに形成される貫通孔38a〜38cの位置を調整して
図1〜
図11Dに示す縮径装置を組み立てた。コマ体4の総数は、12個であった。
【0042】
コマ体4の先端部4aにおいて、隣接するコマ体4の相互間の隙間(ギャップ)を画像寸法測定器「IM−6020」(キーエンス社製)により測定した。開口部4bの内径(縮径直径)の変化に対するコマ体相互間のギャップを調べた結果を
図12に示す。また、コマ体間の最大ギャップと、開口部4bの最大縮径直径と最小縮径直径とを、表1に示す。
【0043】
実施例2
図8に示すコマ体4の長さL0を31.0mmとし、PCDが61.8mmとなるように、貫通孔38a〜38cの位置を調整した以外は、実施例1と同様にして、縮径装置を組み立てた。
【0044】
開口部4bの内径(縮径直径)の変化に対するコマ体相互間のギャップを調べた結果を
図12に示す。また、コマ体間の最大ギャップと、開口部4bの最大縮径直径と最小縮径直径とを、表1に示す。
【0045】
実施例3
図8に示すコマ体4の長さL0を31.0mmとし、PCDが61.9mmとなるように、貫通孔38a〜38cの位置を調整した以外は、実施例1と同様にして、縮径装置を組み立てた。
【0046】
開口部4bの内径(縮径直径)の変化に対するコマ体相互間のギャップを調べた結果を
図12に示す。また、コマ体間の最大ギャップと、開口部4bの最大縮径直径と最小縮径直径とを、表1に示す。
【0047】
比較例1
図8に示すコマ体4の長さL0を31.0mmとし、PCDが62.0mmとなるように、貫通孔38a〜38cの位置を調整した以外は、実施例1と同様にして、縮径装置を組み立てた。
【0048】
開口部4bの内径(縮径直径)の変化に対するコマ体相互間のギャップを調べた結果を
図12に示す。また、コマ体間の最大ギャップと、開口部4bの最大縮径直径と最小縮径直径とを、表1に示す。
【0049】
比較例2
図8に示すコマ体4の長さL0を31.0mmとし、PCDが62.1mmとなるように、貫通孔38a〜38cの位置を調整した以外は、実施例1と同様にして、縮径装置を組み立てた。
【0050】
開口部4bの内径(縮径直径)の変化に対するコマ体相互間のギャップを調べた結果を
図12に示す。また、コマ体間の最大ギャップと、開口部4bの最大縮径直径と最小縮径直径とを、表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
評価
表1に示すように、L0/PCDを0.5000より大きくすることのみで、コマ体4の相互間のギャップを小さくすることができることが確認された。特に、L0/PCDの下限を、好ましくは0.5005より大きく、さらに好ましくは0.5008以上、さらにまた好ましくは0.5010より大きくすることで、コマ体間の隙間を、最大で、好ましくは0.08mm以下、さらに好ましくは0.07mm以下、特に好ましくは0.05mm以下に小さくすることができることが確認できた。
【0053】
また、表1および
図12に示すように、L0/PCDを大きくすると、最小縮径直径が大きくなるので、L0/PCDの上限は、好ましくは0.504より小さく、さらに好ましくは0.503より小さく、さらにまた好ましくは0.5020以下であることが確認された。
【符号の説明】
【0054】
2… 縮径装置
4… コマ体
4a… 先端部
4b… 開口部
4c… 基端部
4d… 板本体
4e… 貫通孔
4f… ピン穴
6a… 駆動リング
6b,6c… 補助リング
8… 支点支持ピン(支点支持部)
10… ケース
12a,12b… 蓋
13… 蓋本体
14… 出入口
16… 案内凸部
18… 案内溝
20… 固定レバー
21… 空洞部
22… 回動レバー
24… リンクレバー
28… リンク片
30,31… 回動軸
32… 駆動ピン
33a〜33c…リング本体
34… 駆動凸部
35… 切欠き
36… 駆動用長孔
37a〜37c… 内周部
38a〜38c… 貫通孔
40… 案内ピン
42… 駆動リング装着溝
44… 補助リング装着溝