特許第6548787号(P6548787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6548787基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548787
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20190711BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   H01L21/306 J
   H01L21/304 642A
   H01L21/304 648G
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-128765(P2018-128765)
(22)【出願日】2018年7月6日
(62)【分割の表示】特願2015-16198(P2015-16198)の分割
【原出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-157235(P2018-157235A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尊三
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−277006(JP,A)
【文献】 特開2012−222071(JP,A)
【文献】 特開2008−053484(JP,A)
【文献】 特開2013−175592(JP,A)
【文献】 特開平06−252122(JP,A)
【文献】 特開2001−023952(JP,A)
【文献】 特開2012−018981(JP,A)
【文献】 特開2010−109064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304−21/3063、21/308、21/311、
21/465−21/467、
C23F 1/00− 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部に前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理液貯留部の内部の前記処理液を循環させる処理液循環部と、
前記処理液を排出させる処理液排出部と、
前記処理液中の濃度を計測する濃度センサと、
前記処理液供給部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記基板の処理中に、前記処理液循環部で前記処理液を断続的に循環させ、循環させた前記処理液を前記処理液排出部から所定のタイミングで断続的に排出させるとともに、前記処理液供給部から新たな前記処理液を前記所定のタイミングで断続的に供給させ、排出させた前記処理液について前記処理液中の濃度を前記濃度センサで所定のタイミングで断続的に計測させ
前記濃度センサで前記処理液中の濃度を計測する前記所定のタイミングは、前記処理液排出部から前記処理液を排出させる前記所定のタイミングよりも頻度を少なくしたことを特徴とする基板液処理装置。
【請求項2】
処理液貯留部に貯留した基板を処理するための処理液を処理液循環部で断続的に循環し、循環する前記処理液を処理液排出部から所定のタイミングで断続的に排出するとともに、処理液供給部から新たな前記処理液を前記所定のタイミングで供給し、排出する前記処理液について前記処理液中の濃度を濃度センサで所定のタイミングで断続的に計測し、
前記濃度センサで前記処理液中の濃度を計測する前記所定のタイミングは、前記処理液排出部から前記処理液を排出する前記所定のタイミングよりも頻度を少なくしたことを特徴とする基板液処理方法。
【請求項3】
基板を処理するための処理液を貯留する処理液貯留部と、
前記処理液貯留部に前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理液貯留部の内部の前記処理液を循環させる処理液循環部と、
前記処理液を排出させる処理液排出部と、
前記処理液中の濃度を計測する濃度センサと、を有する基板液処理装置を用いて、前記基板の液処理を実行させる基板液処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体において、
前記処理液循環部で前記処理液を断続的に循環させ、循環させた前記処理液を前記処理液排出部から所定のタイミングで断続的に排出させるとともに、前記処理液供給部から新たな前記処理液を前記所定のタイミングで断続的に供給させ、排出させた前記処理液について前記処理液中の濃度を前記濃度センサで所定のタイミングで断続的に計測させ
前記濃度センサで前記処理液中の濃度を計測する前記所定のタイミングは、前記処理液排出部から前記処理液を排出する前記所定のタイミングよりも頻度を少なくしたことを特徴とする基板液処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する処理液中の濃度(たとえば、シリコン濃度)を計測する基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体部品やフラットパネルディスプレイなどの製造には、半導体ウエハや液晶基板などの基板に対してエッチング液(処理液)でエッチング処理する基板液処理装置が用いられている。
【0003】
従来の基板液処理装置は、基板を処理するための処理液を貯留する処理液貯留部と、処理液貯留部に処理液を供給する処理液供給部と、処理液貯留部で貯留した処理液を循環させて処理液の加熱等を行う処理液循環部とを有している。
【0004】
そして、基板液処理装置は、処理液貯留部に貯留した処理液に複数枚の基板を浸漬させて基板を処理液で液処理する(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−23952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の基板液処理装置では、処理液で基板を繰返し処理すると、基板の処理によって処理液に含有される不純物等の濃度が増加してしまい、基板を良好に処理することができなくなる。たとえば、基板をリン酸水溶液(エッチング液)でエッチング処理する場合には、処理液の能力(エッチングレート)が処理液中のシリコン濃度に依存するために処理液中のシリコン濃度を一定範囲内に保持する必要があるが、基板の処理を繰り返すことでエッチング液中のシリコン濃度が増加し、処理液の能力が低下して基板を良好にエッチング処理することができなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、処理液貯留部に貯留した基板を処理するための処理液を処理液循環部で断続的に循環し、循環する前記処理液を処理液排出部から所定のタイミングで断続的に排出するとともに、処理液供給部から新たな前記処理液を前記所定のタイミングで供給し、排出する前記処理液について前記処理液中の濃度を濃度センサで所定のタイミングで断続的に計測し、前記濃度センサで前記処理液中の濃度を計測する前記所定のタイミングは、前記処理液排出部から前記処理液を排出する前記所定のタイミングよりも頻度を少なくすることにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、基板を良好に液処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基板液処理装置を示す平面説明図。
図2】エッチング処理装置を示す説明図。
図3】処理液排出部を示す説明図。
図4】基板液処理方法を示す説明図。
図5】基板液処理方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る基板液処理装置及び基板液処理方法並びに基板液処理プログラムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、基板液処理装置1は、キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6、制御部7を有する。
【0013】
キャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板(シリコンウエハ)8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。
【0014】
このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。ここで、キャリアストック12は、製品となる基板8をロット処理部6で処理する前に一時的に保管する。また、キャリアストック13は、製品となる基板8をロット処理部6で処理した後に一時的に保管する。
【0015】
そして、キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9をキャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12やキャリア載置台14に搬送する。また、キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9をキャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13やキャリアステージ10に搬送する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
【0016】
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容された基板8を組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。
【0017】
このロット形成部3には、複数枚の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、基板8の搬送途中で基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
【0018】
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いて基板8をロット載置部4に搬送し、ロット載置部4でロットを形成する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。なお、基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)の基板8を支持する処理前基板支持部と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)の基板8を支持する処理後基板支持部の2種類を有している。これにより、処理前の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の基板8等に転着するのを防止する。
【0019】
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。
【0020】
このロット載置部4には、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。搬入側ロット載置台17及び搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
【0021】
そして、ロット載置部4では、ロット形成部3で形成したロットが搬入側ロット載置台17に載置され、そのロットがロット搬送部5を介してロット処理部6に搬入される。また、ロット載置部4では、ロット処理部6からロット搬送部5を介して搬出されたロットが搬出側ロット載置台18に載置され、そのロットがロット形成部3に搬送される。
【0022】
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。
【0023】
このロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚の基板8を保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
【0024】
そして、ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受渡す。また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受渡す。さらに、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
【0025】
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。
【0026】
このロット処理部6には、基板8の乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、基板8の洗浄処理を行う洗浄処理装置25と、基板8のエッチング処理を行う2台のエッチング処理装置26とが並べて設けられている。
【0027】
乾燥処理装置23は、処理槽27に基板昇降機構28を昇降自在に設けている。処理槽27には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることで、処理槽27に供給した乾燥用の処理ガスで基板8の乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。
【0028】
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
【0029】
洗浄処理装置25は、洗浄用の処理槽30とリンス用の処理槽31とを有し、各処理槽30,31に基板昇降機構32,33を昇降自在に設けている。洗浄用の処理槽30には、洗浄用の処理液(SC−1等)が貯留される。リンス用の処理槽31には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
【0030】
エッチング処理装置26は、エッチング用の処理槽34とリンス用の処理槽35とを有し、各処理槽34,35に基板昇降機構36,37を昇降自在に設けている。エッチング用の処理槽34には、エッチング用の処理液(リン酸水溶液)が貯留される。リンス用の処理槽35には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
【0031】
これら洗浄処理装置25とエッチング処理装置26は、同様の構成となっている。エッチング処理装置26について説明すると、基板昇降機構36,37には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。エッチング処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、基板昇降機構36でそのロットを昇降させることでロットを処理槽34のエッチング用の処理液に浸漬させて基板8のエッチング処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。また、エッチング処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構37で受取り、基板昇降機構37でそのロットを昇降させることでロットを処理槽35のリンス用の処理液に浸漬させて基板8のリンス処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構37からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。
【0032】
このエッチング処理装置26では、所定濃度の薬剤(リン酸)の水溶液(88.3重量%のリン酸水溶液)を処理液(エッチング液)として用いて基板8を液処理(エッチング処理)する。
【0033】
エッチング処理装置26は、図2に示すように、所定濃度のリン酸水溶液(88.3重量%のリン酸水溶液)からなる処理液を貯留するとともに基板8を処理するための処理液貯留部38と、処理液貯留部38に処理液を供給するための処理液供給部39と、処理液貯留部38に貯留された処理液を循環させるための処理液循環部40と、処理液貯留部38から処理液を排出する処理液排出部41とを有する。
【0034】
処理液貯留部38は、上部を開放させた処理槽34の上部周囲に上部を開放させた外槽42を形成し、処理槽34と外槽42に処理液を貯留する。処理槽34では、基板8を基板昇降機構36によって浸漬させることで液処理する処理液を貯留する。外槽42では、処理槽34からオーバーフローした処理液を貯留するとともに、処理液循環部40によって処理槽34に処理液を供給する。
【0035】
処理液供給部39は、処理液貯留部38に処理液とは異なる濃度(処理液よりも低い濃度)の薬剤(リン酸)の水溶液(85重量%のリン酸水溶液)を供給するための水溶液供給部43と、処理液貯留部38に水(純水)を供給するための水供給部44とで構成されている。
【0036】
水溶液供給部43は、所定濃度(85重量%)及び所定温度(25℃)のリン酸水溶液を供給するための水溶液供給源45を処理液貯留部38の外槽42に流量調整器46を介して接続する。流量調整器46は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
【0037】
水供給部44は、所定温度(25℃)の純水を供給するための水供給源47を処理液貯留部38の外槽42に流量調整器48を介して接続する。流量調整器48は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
【0038】
処理液循環部40は、処理液貯留部38の外槽42の底部と処理槽34の底部との間に循環流路49を形成する。循環流路49には、ポンプ50、ヒーター51、フィルター52が順に設けられている。ポンプ50及びヒーター51は、制御部7に接続されており、制御部7で駆動制御される。そして、処理液循環部40は、ポンプ50を駆動させることで外槽42から処理槽34に処理液を循環させる。その際に、ヒーター51で処理液を所定温度(165℃)に加熱する。
【0039】
処理液排出部41は、処理液貯留部38から処理液を排出する第1の処理液排出部53と、処理液循環部40から処理液を排出する第2の処理液排出部54とで構成されている。
【0040】
第1の処理液排出部53は、処理液貯留部38の処理槽34の底部に外部の排液管と連通する排出流路55を接続し、排出流路55に開閉弁56を設けている。開閉弁56は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御される。
【0041】
第2の処理液排出部54は、処理液循環部40の循環流路49の中途部(ヒーター51とフィルター52の間)に外部の排液管と連通する排出流路57を接続し、排出流路57に開閉弁58を設けている。さらに、排出流路57の中途部(開閉弁58の下流側)に外部の排液管と連通するバイパス流路59を接続し、バイパス流路59に開閉弁60と処理液中のシリコン濃度を計測するための濃度センサ61を順に設けている。開閉弁58,60は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御される。濃度センサ61は、制御部7に接続されており、制御部7によって処理液中のシリコン濃度が計測される。
【0042】
このように、基板液処理装置1では、濃度センサ61を処理液循環部40から分岐した第2の処理液排出部54に設けているために、処理液循環部40から処理液を排出する時だけ濃度センサ61に処理液が接液するようにしている。これにより、基板液処理装置1では、処理液によって濃度センサ61が浸食されたり処理液に含有された不純物が濃度センサ61に付着することによって濃度センサ61が故障や誤作動してしまうのを防止することができる。また、基板液処理装置1では、濃度センサ61から析出等した塵が処理液に混入することで基板8にパーティクルが付着して基板8を良好に液処理できなくなるのを防止することができる。
【0043】
ここで、濃度センサ61は、図2及び図3(a)に示すように排出流路57から分岐したバイパス流路59に設けた場合に限られず、図3(b)に示すように循環流路49から分岐したバイパス流路62に設けてもよく、図3(c)に示すように排出流路57に設けてもよい。濃度センサ61を排出流路57に設けた場合には、処理液貯留部38で貯留される処理液の一部(処理液循環部40から排出される処理液)だけが濃度センサ61に接液することになり、濃度センサ61をバイパス流路59,62に設けた場合には、さらに処理液循環部40から排出される処理液の一部(バイパス流路59,62から排出される処理液)だけが濃度センサ61に接液することになる。そのため、濃度センサ61をバイパス流路59,62に設けることで、濃度センサ61に処理液が接液する時間(頻度)をより一層短く(少なく)することができる。
【0044】
エッチング処理装置26は、水溶液供給部43によって所定濃度(85重量%)及び所定温度(25℃)のリン酸水溶液を処理液貯留部38に供給し、処理液循環部40によって所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)になるように加熱して処理液を生成し、処理液を処理液貯留部38に貯留する。また、エッチング処理装置26は、加熱によって蒸発する水の量に相応する量の純水を水供給部44によって処理液貯留部38に供給する。これにより、エッチング処理装置26は、処理液貯留部38の処理槽34に所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)の処理液を貯留し、その処理液に基板昇降機構36によって基板8を浸漬させることで、基板8をエッチング処理する。
【0045】
また、エッチング処理装置26は、処理液排出部41によって処理液貯留部38の処理液の一部(又は全部)を排出するとともに、処理液供給部39によって新規に処理液(水溶液又は/及び純水)を供給して、処理液貯留部38に貯留する処理液を適宜更新(交換)する。
【0046】
制御部7は、基板液処理装置1の各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御する。
【0047】
この制御部7は、たとえばコンピュータであり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体63を備える。記憶媒体63には、基板液処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記憶媒体63に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板液処理装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体63に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体63にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体63としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0048】
基板液処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御部7で各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御することで、基板8を処理する。
【0049】
この基板液処理装置1で基板8をエッチング処理する場合、記憶媒体63に記憶された基板液処理プログラムに従って制御部7でエッチング処理装置26などを以下に説明するように制御する(図4参照。)。
【0050】
まず、基板液処理装置1は、基板8のエッチング処理を開始する前に処理液貯留部38に貯留する処理液を交換する(処理液交換工程)。
【0051】
この処理液交換工程において、制御部7は、処理液供給部39によって処理液貯留部38に処理液を供給させるとともに、処理液循環部40によって処理液を循環させながら加熱させて、所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)の処理液を生成させる。その後、制御部7は、基板昇降機構36によってダミーのシリコンウエハを処理液に所定時間浸漬させて、処理液中のシリコン濃度が所定濃度となるようにする。この処理液交換工程において、制御部7は、処理液循環部40によって処理液を循環させ、所定のタイミングで開閉弁58を開放させて処理液を処理液循環部40から第2の処理液排出部54を介して排液させる。そして、制御部7は、所定のタイミング(たとえば、処理液交換工程の終了直前)開閉弁60を開放させて濃度センサ61で処理液中のシリコン濃度を計測させる。制御部7は、濃度センサ61で計測したシリコン濃度が所定濃度範囲内でない場合には警報し処理を中断する。なお、処理液交換工程では、処理液を処理液循環部40で常時循環させてもよく、また、断続的に循環させてもよく、また、たとえば、ダミーのシリコンウエハを処理液に所定時間浸漬させ、シリコンウエハを浸漬させた直後はしばらく循環を停止させ、所定のタイミングから循環させてもよい。
【0052】
ここでは、予めシリコンウエハの浸漬時間とシリコン濃度との関係を調べておき、ダミーのシリコンウエハを処理液に所定時間浸漬させることでシリコン濃度が所定濃度範囲となるようにしているが、濃度センサ61に所定のタイミングでシリコン濃度を計測させ、シリコン濃度が所定濃度範囲となるまでダミーのシリコンウエハを処理液に浸漬させるように制御してもよい。なお、開閉弁60を開放させて濃度センサ61で計測させるタイミングは、開閉弁58を開放させて処理液を排出させるタイミングよりも頻度を少なくしたほうが、濃度センサ61に処理液が接液する時間(頻度)をより一層短く(少なく)することができる。
【0053】
濃度センサ61で計測したシリコン濃度が所定濃度範囲内になった後に、基板液処理装置1は、基板8のエッチング処理を行う(基板液処理工程)。
【0054】
この基板液処理工程では、基板8を処理槽34に搬入する基板搬入工程と、処理槽34で基板8を処理する基板処理工程と、処理槽34から基板8を搬出する基板搬出工程とを行う。
【0055】
基板搬入工程では、基板昇降機構36を処理槽34の内部から上昇させた後に、同時に処理する1ロット分の基板8をロット搬送機構19から基板昇降機構36へと搬送させ、その後、基板8を保持した基板昇降機構36を処理槽34の内部へと降下させる。これにより、処理槽34に貯留された処理液に基板8が浸漬される。
【0056】
基板処理工程では、処理槽34の内部で基板昇降機構36を降下させた状態のまま所定時間保持させる。これにより、基板8が処理液に所定時間浸漬され、基板8がエッチング処理される。
【0057】
基板搬出工程では、基板8を保持した基板昇降機構36を処理槽34の内部から上昇させた後に、同時に処理した1ロット分の基板8を基板昇降機構36からロット搬送機構19へと搬送させる。
【0058】
この基板液処理工程において、基板8が処理液でエッチング処理されると、処理液に含有されるシリコンの濃度が徐々に増加する。処理液の能力(エッチングレート)が処理液中のシリコン濃度に依存するために処理液中のシリコン濃度を一定濃度範囲内に保持する必要がある。そのため、制御部7は、基板8のエッチング処理中にポンプ50を駆動させて処理液循環部40で処理液を循環させ、所定のタイミングから断続的に開閉弁58を開放させて処理液の一部を処理液循環部40から第2の処理液排出部54を介して排出させるとともに、処理液供給部39から新たな処理液を供給させる。そして、制御部7は、所定のタイミング(たとえば、基板液処理工程の開始直後や終了直前)で開閉弁60を開放させて濃度センサ61で処理液中のシリコン濃度を計測させる。制御部7は、濃度センサ61で計測したシリコン濃度が所定濃度範囲内でない場合には警報し処理を中断する。なお、基板液処理工程では、処理液を処理液循環部40で断続的に循環させてもよく、また、常時循環させてもよい。
【0059】
ここでは、予め基板8のエッチング時間とエッチング処理中の処理液の排出量と新規の処理液の供給量とシリコン濃度との関係を調べておき、基板8のエッチング処理中に所定量の処理液を排出するとともに、所定量の処理液を新たに供給することでシリコン濃度が所定濃度範囲となるようにしているが、濃度センサ61に所定のタイミングでシリコン濃度を計測させ、シリコン濃度が所定濃度以上となった場合に基板液処理工程を終了するように制御してもよい。なお、ここでも開閉弁60を開放させて濃度センサ61で計測させるタイミングは、開閉弁58を開放させて処理液を排出させるタイミングよりも頻度を少なくしたほうが、濃度センサ61に処理液が接液する時間(頻度)をより一層短く(少なく)することができる。
【0060】
基板液処理装置1は、基板搬入工程と基板処理工程と基板搬出工程とを所定回数繰り返して行った後に、処理液のシリコン濃度が所定範囲内となるように調整する(調整工程)。
【0061】
この調整工程において、制御部7は、処理液供給部39によって処理液貯留部38に処理液を供給させるとともに、処理液循環部40によって処理液を循環させながら加熱させて、所定濃度(88.3重量%)及び所定温度(165℃)の処理液を生成させるとともに、処理液中のシリコン濃度が所定濃度となるように調整する。この調整工程において、制御部7は、処理液循環部40によって処理液を循環させ、所定のタイミングから断続的に開閉弁58を開放させて処理液を処理液循環部40から第2の処理液排出部54を介して排液させるとともに、処理液供給部39から新たな処理液を供給させる。そして、制御部7は、所定のタイミング(たとえば、調整工程の終了直前)で開閉弁60を開放させて濃度センサ61で処理液中のシリコン濃度を計測させる。制御部7は、濃度センサ61で計測したシリコン濃度が所定濃度範囲内でない場合には警報し、処理槽34への基板8の搬入を中断する。なお、調整工程では、処理液を処理液循環部40で常時循環させてもよく、また、断続的に循環させてもよく、また、しばらく循環を停止させ、所定のタイミングから循環させてもよい。
【0062】
ここでは、処理液の排出量と新規の処理液の供給量とシリコン濃度との関係を調べておき、所定量の処理液の排出し、所定量の処理液を新たに供給することでシリコン濃度が所定濃度範囲となるようにしているが、濃度センサ61に所定のタイミングでシリコン濃度を計測させ、シリコン濃度が所定濃度範囲となるまで処理液を排出し、新規の処理液を供給するように制御してもよい。なお、開閉弁60を開放させて濃度センサ61で計測させるタイミングは、開閉弁58を開放させて処理液を排出させるタイミングよりも頻度を少なくしたほうが、濃度センサ61に処理液が接液する時間(頻度)をより一層短く(少なく)することができる。
【0063】
以上に説明したように、上記基板液処理装置1では、処理液貯留部38に貯留した基板8を処理するための処理液を処理液循環部40で循環し、循環する処理液を処理液循環部40の途中で分岐した第2の処理液排出部54から排出し、排出する処理液中のシリコン濃度を第2の処理液排出部54に設けた濃度センサ61で計測する。
【0064】
これにより、上記基板液処理装置1では、濃度センサ61が処理液に接液する時間を短くすることができ、濃度センサ61の故障や誤作動等の発生を防止することができるとともに、濃度センサ61から析出等した塵が基板8にパーティクルとなって付着するのを防止することができ、基板8を良好に液処理することができる。
【0065】
なお、その他の実施形態として、図4に示した実施形態では、基板液処理工程および調整工程において、処理液中のシリコン濃度を一定濃度範囲内に保持するため、制御部7は、基板8のエッチング処理中にポンプ50を駆動させて処理液循環部40で処理液を循環させ、所定のタイミングから断続的に開閉弁58を開放させて処理液の一部を処理液循環部40から第2の処理液排出部54を介して排出させるとともに、処理液供給部39から新たな処理液を供給しているが、これに限られることはなく、図5に示すように所定のタイミングから所定時間で連続的に開閉弁58を開放させて処理液の一部を処理液循環部40から第2の処理液排出部54を介して排出させるとともに、処理液供給部39から新たな処理液を供給するようにしてもよい。
【0066】
また、基板液処理工程において、基板液処理工程の開始からたとえば工程の途中まで連続的に処理液を排出するとともに、処理液を供給するようにし、その後は処理液の排出も供給も行なわないようにしてもよく、また、基板液処理工程の開始からたとえば処理の途中まで処理液の排出も供給も行なわないようにし、途中から終了まで連続的に処理液を排出するとともに、処理液を供給するようにしてもよい。
【0067】
また、その他の実施形態として、開閉弁60を開放させて濃度センサ61で計測させるタイミングは、開閉弁58を開放させて処理液を排出させている間の所定のタイミング(たとえば、基板液処理工程の開始直後や終了直前)とすることで、濃度センサ61に処理液が接液する時間(頻度)をより一層短く(少なく)することができる。
【0068】
また、その他の実施形態として、たとえば、排出する処理液中のシリコン濃度を第2の処理液排出部54に設けた濃度センサ61で複数回計測した値を基に、基板液処理工程において、複数の計測値からシリコン濃度の上昇率を求め、基板8を処理する間にシリコン濃度が所定濃度範囲を超えると想定されると判断した場合は、シリコン濃度が所定濃度範囲を超えないよう処理液を排出する排出量および新規の処理液の供給する供給量を補正してもよい。
【0069】
また、その他の実施形態として、濃度センサ61に処理液が接液する時間(頻度)をより一層短く(少なく)するために、第2の処理液排出部54に設けた濃度センサ61に処理液を通液しない間は、処理液が残留しないように、たとえば、濃度センサ61に不活性ガスまたは純水を供給し、処理液を除去するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 基板液処理装置
7 制御部
8 基板
38 処理液貯留部
39 処理液供給部
40 処理液循環部
41 処理液排出部
61 濃度センサ
図1
図2
図3
図4
図5