(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの不織布を備える2つのシート部材と左右方向に伸縮可能な弾性部材を備える第1部材と、不織布を備える第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを溶着された溶着部を有する吸収性物品の製造方法であって、
前記第1部材の前記左右方向と交差する厚さ方向において、2つの前記シート部材の間に、前記左右方向に伸長させた伸長状態の前記弾性部材を配置する弾性部材配置工程と、
前記第1部材の前記厚さ方向に、前記第2部材を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記伸長状態を緩和させて緩和状態にする緩和工程と、
前記第1部材の前記左右方向の一端部と、前記第2部材の前記左右方向の一端部とを溶着して前記溶着部を形成する溶着工程と、を有しており、
前記緩和工程の後に、前記緩和状態において前記溶着工程を行うことを特徴とする吸収性物品の製造方法。
少なくとも1つの不織布を備える2つのシート部材と左右方向に伸縮可能な弾性部材を備える第1部材と、不織布を備える第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを溶着された溶着部を有する吸収性物品の製造装置であって、
前記第1部材の前記左右方向と交差する厚さ方向において、2つの前記シート部材の間に、前記左右方向に伸長させた伸長状態の前記弾性部材を配置させる弾性部材配置部と、
前記第1部材の前記厚さ方向に、前記第2部材を重ね合わせる重ね合わせ部と、
前記伸長状態を緩和させて緩和状態にする緩和部と、
前記第1部材の前記左右方向の一端部と、前記第2部材の前記左右方向の一端部とを溶着して前記溶着部を形成する溶着形成部と、を有しており、
前記緩和部において前記伸長状態の伸長を緩和させた後に、前記溶着形成部において、前記緩和状態で、前記溶着部を形成することを特徴とする吸収性物品の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
少なくとも1つの不織布を備える2つのシート部材と左右方向に伸縮可能な弾性部材を備える第1部材と、不織布を備える第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを溶着された溶着部を有する吸収性物品の製造方法であって、前記第1部材の前記左右方向と交差する厚さ方向において、2つの前記シート部材の間に、前記左右方向に伸長させた伸長状態の前記弾性部材を配置する弾性部材配置工程と、前記第1部材の前記厚さ方向に、前記第2部材を重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記伸長状態を緩和させて緩和状態にする緩和工程と、前記第1部材の前記左右方向の一端部と、前記第2部材の前記左右方向の一端部とを溶着して前記溶着部を形成する溶着工程と、を有しており、前記緩和工程の後に、前記緩和状態において前記溶着工程を行うことを特徴とする吸収性物品の製造方法である。
【0010】
このような吸収性物品の製造方法によれば、弾性部材の伸長を緩和させてから溶着を行うことで、溶着部における第1部材の不織布の坪量を増加させることができるため、溶着部における第1部材と第2部材との溶着をより強固にすることができる。
【0011】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記緩和工程において、前記弾性部材を、前記伸長状態と自然状態との間の状態となるように緩和させ、前記シート部材を、前記左右方向に複数の皺が形成される状態とすることが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品の製造方法によれば、第1部材は、弾性部材を完全に自然状態にした場合よりも、緩和工程後に行う溶着工程の溶着をより正確な位置に行うことができる。
【0013】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記シート部材は、第1シート部材であり、前記弾性部材は、第1弾性部材であり、前記第2部材は、少なくとも1つの不織布を備える2つの第2シート部材と、前記左右方向に伸縮可能な第2弾性部材を備えていることが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品の製造方法によれば、第1部材と第2部材との溶着をより強固にすることができるため、パンツ型おむつにおいて、腹側胴回り部と背側胴回り部との接合をより強固にすることができる。
【0015】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1シート部材同士を溶着するシート溶着部を形成するシート溶着工程を有しており、前記シート溶着工程を、前記弾性部材配置工程の後、且つ前記重ね合わせ工程の前に行い、前記シート溶着工程において、前記第1シート部材の前記左右方向の一端部から他端部まで、前記シート溶着部を間欠に配置して、前記左右方向に沿った溶着列を形成し、前記溶着列を、前記左右方向と交差する上下方向に所定の間隔を空けて、少なくとも2列以上形成し、前記第1弾性部材は、前記上下方向に隣接する前記溶着列の間に設けられており、前記所定の間隔は、前記伸長状態の前記第1弾性部材の太さよりも長く、自然状態の前記第1弾性部材の太さよりも短いことが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品の製造方法によれば、弾性部材を接着剤で接着させる必要がないため、弾性部材を接着剤で接着させる場合よりも、第1部材をより柔らかくすることができる。
【0017】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記弾性部材配置工程、前記シート溶着工程、前記重ね合わせ工程、前記緩和工程、及び前記溶着工程において、前記第1部材は前記左右方向に連続した状態であり、
前記溶着工程の後に、連続した状態の前記第1連続部材を切断して、切断された状態の前記第1部材を形成する切断工程を有しており、前記切断工程を、前記伸長状態を緩和させた状態で行うことが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品の製造方法によれば、切断工程を弾性部材の伸長を緩和させた状態で行うことで、弾性部材は、伸長状態よりも太くなるため、シート溶着部によって固定された状態を維持しやすくなり、第1部材を切断しても、弾性部材がシート溶着部から抜けてしまう恐れを軽減させることができる。また、弾性部材が収縮しようとする力を軽減させるために、第1部材の切断後に弾性部材がシート溶着部による固定から抜けてしまう恐れを軽減させることができる。
【0019】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記溶着工程において、少なくとも1つの前記シート溶着部と前記厚さ方向に重なる位置に前記溶着部を形成することが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品の製造方法によれば、左右方向に隣接するシート溶着部の間に形成された皺の上から溶着部を形成すると、溶着部における第1部材の不織布の坪量を増加させることができるため、溶着部における第1部材と第2部材との溶着をより強固にすることができる。
【0021】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記溶着工程において、2つ以上の前記シート溶着部と前記厚さ方向に重なる位置に前記溶着部を形成することが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品の製造方法によれば、左右方向に隣接するシート溶着部の間に形成された皺の上から溶着部を形成すると、溶着部における第1部材の不織布の坪量をより確実に増加させることができるため、溶着部における第1部材と第2部材との溶着をより強固にすることができる。
【0023】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記溶着部は、前記上下方向に沿って複数配置されており、前記上下方向に隣接する前記溶着部の間隔は、前記所定の間隔よりも長いことが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上下方向に隣接する溶着部の間の長さが、溶着列の間の長さよりも短い場合よりも、弾性部材が溶着部によって切断されてしまう恐れを軽減させることができる。
【0025】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記溶着部の前記左右方向の長さは、前記シート溶着部の前記左右方向の長さよりも長いことが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品の製造方法によれば、溶着部の左右方向の長さが、シート溶着部の左右方向の長さよりも短い場合よりも、溶着部における第1部材の不織布の坪量をより確実に増加させることができるため、溶着部における第1部材と第2部材との溶着をより強固にすることができる。
【0027】
かかる吸収性物品の製造方法であって、前記第1弾性部材は、複数設けられており、前記溶着部は、前記上下方向に沿って複数配置されており、前記上下方向に隣接する前記第1弾性部材の間隔は、前記溶着部の前記上下方向の長さよりも大きいことが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品の製造方法によれば、溶着部によって第1弾性部材が切断されてしまう恐れを軽減させることができる。
【0029】
少なくとも1つの不織布を備える2つのシート部材と左右方向に伸縮可能な弾性部材を備える第1部材と、不織布を備える第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを溶着された溶着部を有する吸収性物品の製造装置であって、前記第1部材の前記左右方向と交差する厚さ方向において、2つの前記シート部材の間に、前記左右方向に伸長させた伸長状態の前記弾性部材を配置させる弾性部材配置部と、前記第1部材の前記厚さ方向に、前記第2部材を重ね合わせる重ね合わせ部と、前記伸長状態を緩和させて緩和状態にする緩和部と、前記第1部材の前記左右方向の一端部と、前記第2部材の前記左右方向の一端部とを溶着して前記溶着部を形成する溶着形成部と、を有しており、前記緩和部において前記伸長状態の伸長を緩和させた後に、前記溶着形成部において、前記緩和状態で、前記溶着部を形成することを特徴とする吸収性物品の製造装置である。
【0030】
このような吸収性物品の製造装置によれば、弾性部材の伸長を緩和させてから溶着を行うことで、溶着部における第1部材の不織布の坪量を増加させることができるため、溶着部における第1部材と第2部材との溶着をより強固にすることができる。
【0031】
===実施形態===
本実施形態の吸収性物品の製造方法及び製造装置は、例えば、吸収性物品の一例として使い捨ておむつ1の製造ラインで使用される。
図1は、パンツ型使い捨ておむつ1の概略斜視図である。吸収性物品の一例として、
図1に示す所謂3ピースタイプのおむつ1を例に挙げて以下の実施形態を説明する。本実施形態のパンツ型使い捨ておむつは乳幼児用としても大人用としても利用可能である。また、本発明に係る吸収性物品は、乳幼児だけでなく大人用のパンツ型使い捨ておむつ、テープ型使い捨ておむつ、生理用のショーツ型ナプキンとしても利用可能である。
【0032】
===パンツ型使い捨ておむつ1の基本構成===
図2Aは、展開状態且つ伸長状態のおむつ1を肌側面側から見た概略平面図である。
図2Bは、
図2A中のX−X矢視で示す概略断面図である。
図3は、展開状態且つ伸長状態の腹側部材30を非肌側から見た概略平面図である。「展開状態」とは、おむつ1の両側部の、腹側部材(「第1部材」ともいう。)30の側部(「端部」ともいう。)30aと背側部材40(「第2部材」ともいう。)の側部(「端部」ともいう。)40aとの接合をそれぞれ分離し、開いておむつ1全体を平面的に展開した状態である。「伸長状態」とは、おむつ1の皺が視認できなくなる程度まで、おむつ1が備える弾性部材を伸長させた状態を示す。具体的には、おむつ1を構成する各部材(例えば、後述する腹側部材30等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態を示す。
図2中のC−C線は左右方向における中心線である。
図2Bでは、便宜上、接着剤を省略して示している。以下の説明において、腹側部材30について説明した構成は、背側部材40の構成と同様である。
【0033】
図1に示すように、パンツ型のおむつ1は上下方向と左右方向と前後方向とを有し、おむつ1には胴回り開口部BH及び一対の脚回り開口部LHが形成されている。上下方向において、胴回り開口部BH側を上側とし、着用者の股下となる側を下側とする。
図2Aの状態(展開かつ伸長状態)のおむつ1の上下方向を「長手方向」、長手方向の一方側を「腹側」、他方側を「背側」ともいい、長手方向における略中央部C10側を「下側」ともいう。前後方向において、着用者の腹側となる側を前側とし、着用者の背側となる側を後側とする。また、おむつ1は
図2Bに示すように厚さ方向を有し、厚さ方向において着用者に接触する側を肌側とし、その逆側を非肌側とする。
【0034】
おむつ1は、所謂3ピースタイプであり、吸収性本体10と腹側部材30、背側部材40とを有する。腹側部材30、背側部材40は平面視略長方形状であり、その長手方向が左右方向に沿っている。腹側部材30は、着用者の腹側部を覆い、背側部材40は、着用者の背側部を覆う。吸収性本体10は平面視略長方形形状である。吸収性本体10の腹側の端部10eaと背側の端部10ebは、それぞれ腹側部材30、背側部材40の肌側面と重ね合されている。
【0035】
図2Aの展開状態にて示されるように、おむつ1は、中心線C−Cに対して左右対称な形状を有している。吸収性本体10の腹側の端部10ea、背側の端部10ebの非肌側面と腹側部材30、背側部材40の肌側面とを接着剤等(不図示)により接合し、
図2Aに示す展開状態から、腹側部材30と背側部材40とが対向するように吸収性本体10を二つ折りし、腹側部材30の左右方向の両側部30aと背側部材40の左右方向の両側部40aとをサイド溶着部SSで溶着接合することにより、おむつ1はパンツ型となる。
【0036】
腹側部材30及び背側部材40はそれぞれ、不織布等の柔軟な2枚のシート部材(肌側シート部材31と非肌側シート部材32、肌側シート部材41と非肌側シート部材42)と、左右方向に伸縮する複数の糸ゴム(弾性部材)35、45とを備える。複数の糸ゴム35、45は、上下方向に間隔を空けて並んで配されるとともに、左右方向に伸長した状態で2枚のシート部材(31と32、41と42)の間に固定されている。したがって、腹側部材30及び背側部材40は左右方向に伸縮可能であり、着用者の胴回りにフィットする。
【0037】
吸収性本体10は、トップシート13と、吸収体11と、バックシート15とを備え、それぞれホットメルト等の接着剤によって接着されている。トップシート13は液透過性シートであればよく、親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等を例示できる。バックシート15は液不透過性シートであればよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、疎水性のSMS不織布等を例示できる。トップシート13及びバックシート15は吸収体11全体を覆う大きさとする。
【0038】
吸収体11は、平面視略矩形形状であり、液体を吸収する吸収性コア11cを備える。吸収性コア11cは、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を成形したもので、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等が含有されたものでもよい。
【0039】
また、吸収性本体10は、左右方向の端部に設けられた長手方向に伸縮するレッグギャザーLGと、吸収体11より肌側に設けられた横漏れを防止するための防漏壁部としての立体ギャザーLSGが、バックシート15によって形成されている。レッグギャザーLG及び立体ギャザーLSGは、それぞれ長手方向(上下方向)に伸長する弾性部材17、弾性部材18を備えている。
【0040】
腹側部材30は、肌側から順に肌側シート31、弾性部材(第1弾性部材)35、非肌側シート32が厚さ方向に重ねられており、
図3に示すように、上下方向(長手方向)及び左右方向に離散的に配された複数のシート溶着部jで溶着接合されている。同様に、背側部材40は、肌側から順に肌側シート41、弾性部材(第2弾性部材)45、非肌側シート42が厚さ方向に重ねられており、上下方向及び左右方向に離散的に配された複数のシート溶着部jで溶着接合されている。なお、糸ゴム35、45は、接着剤で接着されていない。
【0041】
肌側シート31、41及び非肌側シート32、42は、それぞれ不織布からなるシートであり、具体的には、スパンボンド不織布である。但し、これに限らず、SMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布等の不織布を用いてもよい。また、本実施形態においては、不織布の構成繊維として熱可塑性樹脂のポリプロピレン(PP)の単独繊維を用いているが、これに限られない。例えば、ポリエチレン(PE)などの他の熱可塑性樹脂の単独繊維を用いても良いし、PE及びPP等の鞘芯構造を有した複合繊維を用いても良い。さらに、肌側シート31、41及び非肌側シート32、42の全てが不織布でなくてもよく、肌側シート31、41又は非肌側シート32、42のいずれか一方については、不織布以外の他の柔らかいシート素材を用いてもよい。
【0042】
シート溶着部jは、腹側部材30の左右方向の一端部から他端部まで、間欠に配置されており、左右方向に沿った溶着列Lを形成している。溶着列Lは、上下方向に複数列設けられている。糸ゴム35は、上下方向に隣接する溶着列Lの間に設けられている。具体的には、
図5において、糸ゴム35は、上側の溶着列L1と下側の溶着列L2の間に設けられている。つまり、上下方向に設けられたシート溶着部jによって、糸ゴム35が、上下方向に過度に動いてしまう恐れを軽減させている。
【0043】
===パンツ型使い捨ておむつ1の製造方法===
以下、おむつ1の製造方法について説明する。
図4は、おむつ1の製造工程を示すフロー図である。
図5は、製造ラインでおむつ1が製造される様子を一部斜視図で示す概略平面図である。
図6Aは、
図5中のA部の概略拡大図である。
図6Bは、
図5中のB部の概略拡大図である。
図6Cは、
図5中のC部の概略拡大図である。
図6Dは、
図5中のD部の概略拡大図である。
図7Aは、
図6A中のa−a矢視で示す断面について説明する模式図である。
図7Bは、
図6B中のb−b矢視で示す断面について説明する模式図である。
図7Cは、
図6C中のc−c矢視で示す断面について説明する模式図である。
図7Dは、
図6D中のd−d矢視で示す断面について説明する模式図である。
【0044】
図5等において、各シート31、32、41、42の厚さ方向及び搬送方向と直交する方向を「CD方向」又は「上下方向」といい、搬送方向を「左右方向」ともいう。また、
図6A〜
図6D及び
図7A〜
図7Dにおいて、以下、腹側部材30について説明するが、背側部材40についても同様である。
図5及び
図6A〜
図6Dに示すP1は、左右方向に連続するおむつ1、1同士の間の境界位置BLを搬送方向に製品ピッチP1として仮想的に設定している。そして、CLは、この製造ラインの終端に位置する第9加工位置PK9において、境界位置BLを切断対象位置として切断する切断位置CLである。また、
図7Aに示す
図6A中のa−a矢視で示す断面図、
図7Bに示す
図6B中のb−b矢視で示す断面図、
図7Cに示す
図6C中のc−c矢視で示す断面図、
図7Dに示す
図6D中のd−d矢視で示す断面図は、それぞれおむつ1における腹側部材30の断面の同じ部分を示している。
【0045】
図4に示すように、非肌側シート搬送工程(S301)、糸ゴム配置工程(S302)、肌側シート配置工程(S303)、シート部材溶着工程(S304)を行うことで腹側部材30を形成し、非肌側シート搬送工程(S401)、糸ゴム配置工程(S402)、肌側シート配置工程(S403)、シート溶着工程(S404)を行うことで背側部材40を形成する。そして、吸収性本体配置工程(S505)、重ね合わせ工程(S506)、緩和工程(S507)、サイド溶着工程(S508)、切断工程(S509)を行うことで、おむつ1を形成する。
【0046】
以下、
図5を参照しながら各工程について説明する。なお、切断工程(S508)で個々のおむつ1に切断をするまでの各工程においては、各部材(肌側シート31、41、非肌側シート32、42、糸ゴム35、45、おむつ1)は、それぞれ搬送方向に連続している。
【0047】
まず、第1加工位置PK1において、非肌側シート搬送工程(S301、S401)を行う。具体的には、搬送方向に連続した状態の非肌側シート32、42を不図示の搬送ローラー等の搬送装置を用いて搬送方向の下流に向かってそれぞれ搬送する。
【0048】
次に、第2加工位置PK2において、糸ゴム配置工程(S302、S402)を行う。糸ゴム配置工程は、搬送方向に連続した状態の複数の糸ゴム35、45を、搬送された非肌側シート32、42の厚さ方向の上側から、CD方向に所定の間隔を空けてそれぞれ載置する。糸ゴムの配置は、不図示の搬送ローラー等の搬送装置(弾性部材配置部)でなされる。糸ゴム配置工程における糸ゴム35、45は、所定の伸長倍率まで伸長させた伸長状態である。
【0049】
伸長倍率とは、糸ゴム35、45のそれぞれ全長E1を、自然長たる無負荷状態(自然状態)の全長E0の何倍まで伸ばしているかを示すR(R=E1/E0)である。そして、本実施形態における所定の伸長倍率Rは、例えば、R=1.5〜4.0から選択することができる。本実施形態においては、R=2.0で行う。
【0050】
続いて、第3加工位置PK3において、肌側シート配置工程(S303、S403)を行う。肌側シート配置工程は、糸ゴム35、45が配置された非肌側シート32、42の厚さ方向の上側からそれぞれ肌側シート31、41を載置させる。これによって、
図6Aに示すように、非肌側シート配置工程(S303、S403)後のA部は、伸長状態の糸ゴム35が、肌側シート31と非肌側シート32に挟まれた状態となる。そして、搬送方向の下流に向かって搬送する。
【0051】
このとき、
図7Aに示すように、伸長状態の糸ゴム35は、自然状態の糸ゴム35の太さよりも伸長した分だけ細くなっている。また、肌側シート31と非肌側シート32は、搬送方向の下流側から引っ張るように搬送されるため、適度な張力が加えられた状態で搬送される。
【0052】
続いて、第4加工位置PK4において、シート部材溶着工程(S304、S404)を行う。
図5におけるB部は、シート部材溶着工程後の状態を示している。シート部材溶着工程は、肌側シート31と非肌側シートを、複数のシート溶着部j、j・・・で接合して、腹側部材30、背側部材40を形成する。シート溶着部jは、腹側部材30及び背側部材40の左右方向の一端部から他端部まで、つまり、搬送方向の下流側の切断位置CLの領域から上流側の切断位置CLの領域まで、間欠に配置される。シート部材溶着工程後のB部において、
図6Bに示すように、シート溶着部jは、略正方形状であり、搬送方向に隣り合うシート溶着部jとの間に間隔を空けつつ、搬送方向に沿って並んだ複数列の溶着列LがCD方向に沿うように配置されている。
【0053】
図7Bに示す断面構造からわかるように、肌側シート31と非肌側シート32とを溶着接合することで、肌側シート31と非肌側シート32は一体化される。なお、シート部材溶着工程においても、糸ゴム35を伸長状態で搬送し、自然状態の糸ゴム35よりも細くなっている。また、シート部材31、32に適度な張力を加えた状態で搬送する。
【0054】
この複数のシート溶着部jは、肌側シート31、41と非肌側シート32、42とをそれぞれ接合するだけでなく、糸ゴム35、45を取り付ける役目も担っている。糸ゴム35を挟んで、CD方向両側に位置するシート溶着部jの間隔(所定の間隔)Dj(
図8参照)は、略等間隔で、第1加工位置PK1において所定の伸長倍率まで伸長状態にした糸ゴム35のCD方向の大きさよりも大きく、自然長たる無負荷状態における糸ゴム35のCD方向の大きさよりも小さい。これによって、糸ゴム35を自然状態に近づけると、糸ゴム35の太さは太くなり、シート溶着部j同士によって糸ゴム35を上下方向からの狭圧で抑制することができる。このように、伸縮を利用して糸ゴム35をシート溶着部jに固定することで、糸ゴム35を固定するための接着剤の量を減らしたり、接着剤を使わないようにすることができるため、腹側部材30をより柔らかくして、肌触りを向上させることができる。
【0055】
シート溶着部jの形成は、不図示の超音波溶着装置を用いて行うことができる。超音波溶着装置は、例えば、法線方向に振動する振動面を有したホーンと、搬送方向に沿って回転するアンビルロールを有し、アンビルロールは、この振動面を受けるべく各サイド溶着部SSに対応した凸部を外周面に有している。
【0056】
次に、第5加工位置PK5において、吸収性本体配置工程(S505)を行う。吸収性本体配置工程は、腹側部材30と背側部材40との間に、不図示の別工程で形成された単票状の吸収性本体10を架け渡して、固定する。吸収性本体10を固定すると、腹側部材30、背側部材40とともに略梯子状のおむつ1の連続体となる。吸収性本体10の配置は、例えば、不図示の回転ドラム装置を用いて行うことができる。回転ドラム装置は、搬送方向に沿って回転する回転ドラムを有し、回転ドラムは、外周面に吸収性本体10を離脱可能に保持する複数の保持部を有している。吸収性本体配置工程は、糸ゴム35を伸長状態で搬送し、シート部材31、32に適度な張力を加えた状態で搬送する。
【0057】
そして、第6加工位置PK6において、重ね合わせ工程(S506)を行う。重ね合わせ工程は、吸収性本体10のCD方向の所定位置CL1(
図2A参照)で、吸収性本体10の2つ折りを行う。これにより、腹側部材30の腹側シート31と非肌側シート32、背側部材40の肌側シート41と非肌側シート42とを厚さ方向に重ねた状態とする。重ね合わせ工程は、糸ゴム35を伸長状態で搬送し、シート部材31、32に適度な張力を加えた状態で搬送する。
【0058】
重ね合わせ工程は、例えば、不図示の折り曲げガイド装置(重ね合わせ部)を用いて行うことができる。折り曲げガイド装置は、搬送方向の所定位置に配置されたガイド板やガイドローラーを有する。そして、ガイド板やガイドローラーは、その配置位置を通過する連続した略梯子状のおむつ1の連続体を2つ折り形状になるように案内する。
【0059】
続いて、第7加工位置PK7において、緩和工程(S507)を行う。緩和工程は、糸ゴム35、45の伸長状態を緩めて、伸長を緩和させた状態とする工程である。C部(
図6C)においては、緩和工程後の状態を示している。糸ゴム35、45の伸長を緩和させた緩和状態とは、糸ゴム35の伸長状態と自然状態との間の状態をいい、本実施形態においては、糸ゴム配置工程(S302、402)における伸長状態の糸ゴム35、45の長さの50%〜70%の長さとなるまで収縮させた状態をいう。緩和工程は、例えば、不図示の搬送ローラー等を備える変速搬送装置(緩和部)を用いて行うことができる。変速搬送装置は、複数の搬送ローラーを備え、第7加工位置PK7においては、第1ローラーが非肌側シート部材配置(S301)から重ね合わせ工程(S506)までの略一定の速度で搬送し、C部の下流側の領域において、第1ローラーよりも速度の遅い第2ローラーを用いて搬送する。この第1ローラーと第2ローラーの各回転速度を調整することで、糸ゴム35の緩和度合いや肌側シート31、非肌側シート32に形成される皺を調整することができる。
【0060】
図6Cは、糸ゴム35、45の伸長を緩めた状態のC部を示している。
図6Cに示すように、糸ゴム35の伸長を緩和させることで、糸ゴム35は搬送方向に収縮する。本実施形態においては、糸ゴム配置工程(S302)等の伸長状態の糸ゴム35の60%の長さとなるまで収縮させた状態であり、且つ糸ゴム35の自然状態よりも伸長させた状態である。このように、緩和工程及びその後の工程において、糸ゴム35を自然状態まで伸長させるよりも、糸ゴム35を、糸ゴム配置工程(S302)等の伸長状態と、自然長たる無負荷状態との間の状態となるように緩和させることが好ましい。糸ゴム35を自然状態まで緩ませた状態にすると、製造ライン上における位置決めが困難となり、後述の溶着工程(S508)及び切断工程(S509)を正確な位置に行うことができない恐れがある。そこで、糸ゴム35を適度に伸長させ、適度に緩めた状態とすることで、下流の工程において、より正確な位置への加工が可能となる。
【0061】
なお、
図6Cに示す腹側部材30の領域は、
図6A及び
図6Bに示す領域と同じ領域を示している。つまり、
図6Cに示すピッチP1は、糸ゴム35の収縮によって、
図6Aに示す糸ゴム配置工程(S302)及び
図6Bに示すシート部材溶着工程(S304)のときのピッチP1の60%の長さになる。便宜上、
図6A〜
図6Dにおいては、各図面を右側(搬送方向の上流側)に揃えて示しており、
図6C及び
図6Dについては、おむつ1が搬送方向に連続した状態であるが、左側(搬送方向の下流側)については、省略して示している。
【0062】
このとき、腹側部材30の糸ゴム35は、伸長状態のときよりも搬送方向において短くなり、上下及び厚さ方向に太くなる。さらに、肌側シート31と非肌側シート32のシート溶着部jを除く部分は、それぞれ肌側と非肌側に向かって凸となるように各シート部材31、32が緩んだ状態となる。つまり、肌側シート31と非肌側シート32は、搬送方向に隣接するシート溶着部j同士の間に、上下方向に凹凸となった少なくとも1つの皺が形成されて、
図6Cに示す領域において、搬送方向に複数の皺が形成される。
【0063】
図7Cに示すように、糸ゴム35の伸長の緩和によって、肌側シート31と非肌肌側シート32の皺が形成されると、肌側シート31と非肌側シート32の不織布の繊維の坪量(単位面積当たりの不織布の重さ)が増加する。つまり、
図7Bにおける肌側シート31と非肌側シート32の不織布の量(重さ)と、
図7Cにおける肌側シート31と非肌側シート32の不織布の量(重さ)は、同じである。しかし、
図7Cに示す緩和工程後については、糸ゴム35の収縮によって、面積が小さくなるため、単位面積当たりの不織布の量が増加する。
【0064】
その後、第8加工位置PK8において、サイド溶着工程(S508)を行う。溶着工程において、厚さ方向に重ねられた腹側部材30の肌側シート31と非肌側シート32と、背側部材40の肌側シート41と非肌側シート42とを、緩和工程で行った糸ゴム35、45の伸長を緩和させた状態のまま、切断位置CLの両側の各位置でそれぞれ溶着して一対のサイド溶着部SS、SS・・・を形成する。このサイド溶着部SS、SS・・・を形成することで、腹側部材30と背側部材40が接合される。複数のサイド溶着部SSは、略同じ形状を有しており、左右方向に長い矩形形状で、CD方向に並んで間欠に配置されている。
【0065】
サイド溶着部SSの形成は、例えば、不図示の超音波溶着装置(溶着形成部)を用いて行うことができる。超音波溶着装置は、例えば、法線方向に振動する振動面を有したホーンと、搬送方向に沿って回転するアンビルロールを有し、アンビルロールは、この振動面を受けるべく各サイド溶着部SSに対応した凸部を外周面に有している。
【0066】
図6Dは、糸ゴム35の伸長を緩めた状態でサイド溶着部SSを形成した状態のD部を示している。
図7Dにおけるサイド溶着部SSは、厚さ方向について、腹側部材30側の略半分の領域を示し、背側部材40側の略半分の領域を省略している。
図6Dに示すように、
図6Cに示した糸ゴム35、45の伸長を緩めた状態のまま、切断位置CLの両側であって、腹側部材30と背側部材40のそれぞれ下流側の端部同士と、腹側部材30と背側部材40のそれぞれ上流側の端部同士を接合する、複数のサイド溶着部SSがCD方向に間欠に設けられている。
【0067】
図7Dに示すように、緩和工程で形成された上下方向に沿った凹凸を有する皺(
図6C、
図7C)は、サイド溶着部SSの形成によって、肌側シート31、41、非肌側シート32、42は厚さ方向からそれぞれ潰されて搬送方向に略平行な状態になる。サイド溶着工程は、糸ゴム35、45の伸縮を緩和させた状態で行うため、糸ゴム35、45の収縮によって、腹側部材30、背側部材40の、それぞれ不織布の坪量が、糸ゴム35、45の伸長状態よりも増加した状態となる。その結果、糸ゴム35、45の伸長状態で腹側部材30と背側部材40を溶着して接合した場合よりも、糸ゴム35、45を緩和状態で腹側部材30と背側部材40を溶着して接合した場合の方が、溶着強度が強くなる。これは、溶着接合が、不織布を溶融し、溶融された互いの不織布同士を接合するものであるためである。そのため、不織布の含有量が多いほど接合強度が向上する。
図1に示す、パンツ型の使い捨ておむつ1を着用させようとする際や着用中に、腹側部材30と背側部材40の左右方向の端部(側端30a、40a)が裂けてしまう恐れを軽減させることができる。
【0068】
また、腹側部材30及び背側部材40の通気性を向上させるため、コストを下げるため、又は肌触りを向上させるために、腹側部材30及び背側部材40の不織布の坪量をそれぞれ低くさせたとしても、腹側部材30と背側部材40との溶着強度を向上させることができる。つまり、緩和工程において糸ゴム35、45の伸長を緩和させて、腹側部材30及び背側部材40に皺を形成させた状態でサイド溶着部SSを形成することで、腹側部材30及び背側部材40の不織布の坪量が小さい場合でも、サイド溶着部SSにおける腹側部材30と背側部材40の不織布の坪量を、皺によってより大きくすることができるため、サイド溶着部SSの強度を向上させることができる。
【0069】
また、
図8に示すように、少なくとも1つのシート溶着部jと厚さ方向に重なる位置にサイド溶着部SSを形成することが好ましい。また、2つ以上のシート溶着部jに厚さ方向から重なるサイド溶着部SSを形成することがより好ましい。上述のように、糸ゴム35、45を緩和状態にすることで、搬送方向に隣接するシート溶着部j同士の間に皺が形成される。少なくとも1つのシート溶着部jの上からサイド溶着部SSを形成すると、シート溶着部j同士の間の皺の少なくとも一部を押し潰す形状となりやすくなる。また、2つ以上のシート溶着部jと厚さ方向で重なるサイド溶着部SSを備えることで、より確実にシート溶着部j同士の間の皺を押し潰すことができる。これによって、サイド溶着部SSにおける腹側部材30及び背側部材40の不織布の坪量を増加させることになり、サイド溶着部SSの溶着強度を向上させることができる。
【0070】
図8に示すように、上下方向に隣接するサイド溶着部SSの間隔Dsが、上下方向に隣接するシート溶着部jの間隔Djよりも長いことが好ましい(Ds>Dj)。糸ゴム35、45は、上下方向に隣接するシート溶着部jの間に位置しているため、上下方向に隣接するサイド溶着部SSの間隔Dsが、上下方向に隣接するシート溶着部jの間隔Djよりも短い場合よりも、サイド溶着部SSを形成する際に糸ゴム35、45を切断してしまう恐れを軽減させることができる。
【0071】
また、サイド溶着部SSの左右方向の長さWsは、シート溶着部jの左右方向の長さWjよりも長いことが好ましい(Ws>Wj)。サイド溶着部SSの左右方向の長さWsがシート溶着部jの左右方向の長さWjよりも短い場合は(Ws<Wj)、左右方向において、シート溶着部jが設けられた部分のみに重なる領域にサイド溶着部SSを形成してしまう恐れがある。この場合には、緩和工程において、糸ゴム35、45の伸長を緩和させても、サイド溶着部SSが皺を押し潰すように溶着しづらくなってしまうため、サイド溶着部SSにおける不織布の坪量を増やすことが困難になってしまう。この点、サイド溶着部SSの左右方向の長さWsが、シート溶着部jの左右方向の長さWjよりも長い場合は(Ws>Wj)、シート溶着部jの左右方向の外側に設けられた皺をサイド溶着部SSの形成時に押し潰しやすくなるため、サイド溶着部SSにおける不織布の坪量を増加させやすくなり、サイド溶着部SSの溶着強度を向上させることができる。
【0072】
また、上下方向に隣接する糸ゴム35の間隔(Db)が、サイド溶着部SSの上下方向の長さ(Hs)よりも大きいことが好ましい(Db>Hs)。なお、
図8のように、上下方向に隣接する糸ゴム35の間隔Dbが等間隔でない場合には、糸ゴム35の間隔Dbが最も小さい部分が、サイド溶着部SSの上下方向の長さ(Hs)よりも大きいことがより好ましい。これによって、サイド溶着部SSを形成した際に、糸ゴム35を切断してしまう恐れをより軽減させることができる。
【0073】
最後に、第9加工位置PK9において、切断工程(S509)を行う。切断工程において、搬送方向に連続した状態のおむつ1を、糸ゴム35、45の伸長を緩和させた状態のまま、切断位置CLで切断し、個々のおむつ1を形成する。この切断工程によって、搬送方向に連続した状態の、肌側シート31、41、非肌側シート32、42、糸ゴム35、45がそれぞれ切断位置CLで切断される。
【0074】
切断工程は、サイド溶着工程と同様に、緩和工程で行った糸ゴム35、45の伸長を緩和させた状態のまま行うことが好ましい。糸ゴム35、45の伸長を緩和させると、糸ゴム35、45の太さが太くなり、糸ゴム35、45をシート溶着部j、サイド溶着部SS同士でCD方向から狭圧させた状態とさせやすくなる。シート溶着部j、サイド溶着部SSによって固定された状態で糸ゴム35、45を含む腹側部材30及び背側部材40を切断することで、糸ゴム35、45を伸長させた状態で切断した場合よりも、シート溶着部jによって糸ゴム35、45が固定された状態を維持しやすくなる。また、糸ゴム35、45を伸長させた状態で切断工程を行った場合、切断直後に上下方向及び前後方向に細くなった糸ゴム35、45が強い力で収縮しようとするため、サイド溶着部SSやシート溶着部jによって固定された糸ゴム34、45がサイド溶着部SS、シート溶着部jによる固定から抜けてしまう恐れがある。この点、糸ゴム35、45の伸長を緩和させた状態で切断工程を行うことで、糸ゴム35、45が収縮しようとする力を軽減させることができ、個々のおむつ1の糸ゴム35、45がサイド溶着部SS、シート溶着部jによる固定から抜けてしまう恐れを軽減させることができる。
【0075】
切断工程は、例えば、不図示のカッター装置(切断部)を用いて行うことができる。カッター装置は、搬送方向に沿って回転する一対のロールを有する。そして、一方のロールは、外周面にカッター刃を有するカッターロールであり、他方のロールは、カッター刃を外周面で受けるアンビルロールである。
【0076】
なお、
図7B、
図7C、
図7Dに示す断面図おいて、シート溶着部j及びサイド溶着部SSをそれぞれ矩形形状で表したが、実際は、溶着された領域はなだらかに変化するため、必ずしも矩形形状とはならず、その境界についても曖昧となる。
【0077】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0078】
上述の実施形態においては、糸ゴム35を有する腹側部材30と糸ゴム45を有する背側部材40とを溶着接合するサイド溶着部SSの前に緩和工程(S507)を設け、糸ゴム35、45を緩和させた状態でサイド溶着工程(S508)を行ったが、これに限られない。弾性部材を有する一方の部材(第1部材)と弾性部材を有していない他方の部材(第2部材)との接合に本発明を適用してもよい。
【0079】
図9は、他の実施形態を説明する図である。
図9に示す使い捨ておむつ100は、テープ型のおむつであり、外装シート101、吸収体102を有しており、外装シート101の左右方向のそれぞれ外側には、長手方向の一方側の端部に弾性部材を備えたサイドパネル103が設けられ、サイドパネル103の左右方向のそれぞれ外側にフック部材104が設けられている。サイドパネル103及びフック部材104は、それぞれ不織布を備えている。このおむつ100の製造過程における、サイドパネル103にフック部材104を接合する工程に、本発明を適用することができる。具体的には、サイドパネル103にフック部材104を溶着接合する前に、サイドパネル103の伸長した弾性部材を緩和状態にし、緩和状態でサイドパネル103とフック部材104を溶着接合してもよい。このようにすることで、サイドパネル103とフック部材104との接合をより強固にすることができ、保護者等が乳幼児におむつ100を着用させようとする際や、乳幼児がおむつ100を着用している際に、フック部材104がサイドパネル103から剥離してしまう恐れをより軽減させることができる。
【0080】
なお、上述の実施形態において、腹側部材30及び背側部材40が備える弾性部材を糸ゴム(35、45)として例示して説明したが、これに限らない。糸ゴムの代わりに、例えば伸縮性フィルムや伸縮性不織布等のシート状の弾性部材を単数又は複数配してもよい。
【0081】
さらに、上述の実施形態においては、シール溶着部j、サイド溶着部SSは、超音波シール装置を用いて超音波接合をしたが、これに限られない。他の溶着方法を用いてもよい。例えば、加熱された一対のロールを有するヒートシール装置を用いてもよい。
【0082】
また、シール溶着部j及びサイド溶着部SSは必ずしも矩形形状である必要はない。それぞれ、矩形形状に限らず、楕円形状、円形状、平行四辺形状等、任意の形状を採用することができる。
【0083】
サイド溶着部SSについても、必ずしも複数のサイド溶着部SSを上下方向に間欠に配置しなくてもよい。例えば、おむつ1の左右方向の端部の上端から下端まで設けられたサイド溶着部SSを両側部に1つずつ設けるものであってもよい。