(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ステート処理における起動時の駆動電流は、前記波長可変レーザ光源の光立ち上がり電流に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光源制御方法。
前記波長可変レーザ光源の光出力は、予め取得された前記駆動電流と前記光出力との関係に基づいて制御されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光源制御方法。
前記第2ステート処理時における前記波長可変レーザ光源の光出力の測定値は、前記波長可変レーザ光源から出射されるレーザ光の検出において、複数の検出における検出値の単純平均値、若しくは加算値、若しくは移動平均値とすることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光源制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る光源制御方法および光源制御装置を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各層の厚さや厚さの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0016】
(実施形態)
図1は、波長可変型レーザモジュールの構成例を模式的に示す図である。
図1に示される波長可変型レーザモジュールは、実施形態に係る光源制御方法を使用する光源の構成例を示している。さらに言えば、
図1に示される波長可変型レーザモジュールの構成は、実施形態に係る光源制御方法を使用する光源の構成例に過ぎず、実施の範囲を限定するものではない。
【0017】
図1に示すように、波長可変型レーザモジュール100は、波長可変光源部200と光源制御装置300とを主要な構成要素として備えている。波長可変光源部200は、光源制御装置300からの制御に応じて所望の波長および出力のレーザ光を出力し、当該レーザ光を後段の装置に供給する。光源制御装置300は、例えばユーザーインターフェイスを備えた上位の制御装置と接続されており、当該上位の制御装置を介したユーザーからの指示に従って、波長可変光源部200を制御する。なお、波長可変型レーザモジュール100は、波長可変光源部200と光源制御装置300とを別体として備えることもできるが、光源制御装置300と波長可変光源部200とを同一の回路基板上に実装することも可能である。
【0018】
図1に示すように、波長可変光源部200は、レーザ光源210と波長検知部220と光分波器230とパワーモニタ240と光ファイバ260とを備えている。
【0019】
レーザ光源210は、さらに詳しく、DFB−LD(Distributed Feedback Laser Diode:分布帰還型レーザダイオード)211と光導波路212と光合波器213とSOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)214とペルチェ素子215とレーザ温度モニタ素子216とを備えている。なおDFB−LD211と光導波路212と光合波器213とSOA214は、単一の半導体チップの上に形成することも可能である。
【0020】
レーザ光源210は、それぞれ異なる波長のレーザ光を前端面から出射するストライプ形状の複数のDFB−LD211を備えている。各DFB−LD211は、温度を調整することによってその発振波長を制御することができる。各DFB−LD211は、ペルチェ素子215の上に載置されており、ペルチェ素子215によって温度が変更可能なように構成されている。また、ペルチェ素子215の上にはレーザ温度モニタ素子216が設けられ、DFB−LD211の温度を監視することが可能である。
【0021】
DFB−LDは3nm〜4nm程度の範囲内で発振波長を変化させることができるので、各DFB−LD211の発振波長を3nm〜4nm程度の間隔でずらして各DFB−LD211の発振波長を設計する。これにより、レーザ光源210は、複数のDFB−LD211のうち、所望のレーザ光の波長を得るのに適した1個のDFB−LD211を選択して駆動すると共にDFB−LD211の温度を制御することによって、単体のDFB−LDよりも広帯域な連続した波長帯域に亘ってレーザ光を出射することができる。
【0022】
複数のDFB−LD211の何れかが出射したレーザ光は、光導波路212および光合波器213を経由することによって1つの光路に導かれ、SOA214によって増幅された後に、レーザ光源210から出射される。
【0023】
光分波器230は、レーザ光源210から出力されたレーザ光の大半を波長可変光源部200から出力するために光ファイバ260に結合する。同時に、レーザ光源210から出力されたレーザ光の一部をパワーモニタ240と波長検知部220とに分波して供給する。光ファイバ260は光分波器230から入力されたレーザ光を出力し、図示しない後段の装置に供給する。
【0024】
パワーモニタ240は、入力された光の強度に応じた電気信号を出力するフォトダイオードを利用した測定器である。したがって、パワーモニタ240から出力される電気信号を光ファイバ260から出力されるレーザ光の出力に換算することができる。
【0025】
波長検知部220は、さらに詳しく、波長フィルタ221とペルチェ素子222とフィルタ温度モニタ素子223と波長モニタ250とを備えている。波長フィルタ221は、光の波長に対して周期的な透過特性を有し、例えばエタロンフィルタが用いられる。エタロンフィルタは、温度に依存してこの周期的な波長透過特性が波長方向にシフトするという性質を有している。
【0026】
波長フィルタ221は、ペルチェ素子222の上に載置されており、ペルチェ素子222によって温度が変更可能に構成されている。また、ペルチェ素子222の上にはフィルタ温度モニタ素子223が設けられ、波長フィルタ221の温度を監視することが可能である。
【0027】
光分波器230によって分波されたレーザ光は、波長検知部220の波長フィルタ221を透過して、波長モニタ250に入射される。波長モニタ250は、パワーモニタ240と同様に、入力された光の強度に応じた電気信号を出力するフォトダイオードを利用した測定器である。したがって、波長モニタ250から出力される電気信号は、レーザ光源210から出力されたレーザ光の強度に波長フィルタ221の透過特性を乗じたものとなる。
【0028】
先述のように、波長フィルタ221は、光の波長に対して周期的な透過特性を有する。そこで、波長モニタ250から出力される電気信号(PD2)とパワーモニタ240から出力される電気信号(PD1)との比(これをPD電流比という)を考えると、PD電流比(PD2/PD1)も、光の波長に対して周期的な値となる。しかも、波長フィルタ221における周期的な波長透過特性は、波長フィルタ221の温度に依存して波長方向にシフトする。
図2は、2つの波長フィルタ221の温度におけるPD電流比の例を示すグラフである。
【0029】
図2のグラフに示される曲線は、弁別曲線と呼ばれ、測定されるPD電流比と出力されているレーザ光の波長との関係を示している。したがって、
図2に示されるような弁別曲線を用いてPD電流比を監視すれば、レーザ光源210から出力されたレーザ光の波長に誤差が生じた場合に、その誤差を検知することができる。また、波長フィルタ221の温度を制御すれば弁別曲線を波長方向にシフトすることができるので、レーザ光源210から出力すべき所望のレーザ光の波長に対応した弁別曲線を得ることが可能である。
【0030】
次に、光源制御装置300の構成について説明する。なお、
図1に示す光源制御装置300の構成は、機能をブロックで表示したものであり、図示されるブロックが物理的に分離されていることを意味するものではない。
【0031】
図1に示すように、光源制御装置300は、DFB−LD選択回路311と、DFB−LD電流制御回路312と、レーザ温度モニタ回路321と、レーザ温度制御回路322と、SOA制御回路330と、PD1電流モニタ回路341と、PD2電流モニタ回路342と、エタロン温度モニタ回路351と、エタロン温度制御回路352と、デジタル演算器360と、メモリ370とを備えている。
【0032】
DFB−LD選択回路311は、デジタル演算器360からの指令に従い、複数のDFB−LD211のうち1つを選択するための回路である。具体的には、DFB−LD211に電流を供給するための回路のスイッチを切り替えることで実現することが可能である。DFB−LD電流制御回路312は、デジタル演算器360からの指令に従い、DFB−LD211に供給する電流を制御するための回路である。
【0033】
レーザ温度モニタ回路321は、レーザ温度モニタ素子216の温度を検出することによりDFB−LD211の温度を特定し、DFB−LD211の温度のデータをデジタル信号としてデジタル演算器360へ送信する。一方、レーザ温度制御回路322は、デジタル演算器360から指示された温度にDFB−LD211がなるように、ペルチェ素子215に供給する電流を制御する。
【0034】
SOA制御回路330は、デジタル演算器360からの指示に基づいて、SOA214に供給される駆動電流を制御し、SOA214の利得を調整する。
【0035】
PD1電流モニタ回路341およびPD2電流モニタ回路342は、それぞれ、パワーモニタ240および波長モニタ250から出力された電流をデジタル信号に変換し、デジタル演算器360へ送信する。
【0036】
エタロン温度モニタ回路351は、フィルタ温度モニタ素子223の温度を検出することにより波長フィルタ221の温度を特定し、波長フィルタ221の温度のデータをデジタル信号としてデジタル演算器360へ送信する。一方、エタロン温度制御回路352は、デジタル演算器360から指示された温度に波長フィルタ221がなるように、ペルチェ素子222に供給する電流を制御する。
【0037】
メモリ370は、デジタル演算器360が制御パラメータを算出するために必要な目標値、および制御プログラムを各種記憶している。とくに、本実施形態では、第1の目標値と第2の目標値とがメモリ370に記憶されており、第1の目標値は、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムへの影響がない程度の光出力として設定されており、第2の目標値は、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムが要求する光出力として設定されている。例えば、第1の目標値は、パワーモニタ240にて発光を認識可能な光出力の最低値とすることも可能である。
【0038】
デジタル演算器360は、いわゆるCPUと呼ばれる演算装置である。デジタル演算器360は、レーザ温度モニタ回路321、PD1電流モニタ回路341、PD2電流モニタ回路342、および、エタロン温度モニタ回路351から受信した波長可変光源部200の状態のデータから適切な制御パラメータを算出し、DFB−LD選択回路311、DFB−LD電流制御回路312、レーザ温度制御回路322、SOA制御回路330、および、エタロン温度制御回路352に制御信号を送信する。
【0039】
デジタル演算器360は、メモリ370に記憶された制御プログラムを実行するように構成されており、具体的には、当該制御プログラムは、光ON命令からレーザ光源210の光出力が第1の目標値に達するまでの間において、レーザ光源210の光出力と第1の目標値との差が小さくなるように、SOA制御回路330を介してSOA214への駆動電流を制御する第1ステート処理と、レーザ光源210の光出力が第1の目標値に達した後、第2の目標値に達するまでの間において、第1の目標値と第2の目標値との間を略線形にステップ上昇する線形目標値とレーザ光源210の光出力との差が小さくなるように、SOA制御回路330を介してSOA214への駆動電流を制御する第2ステート処理と、レーザ光源210の光出力が第2の目標値に達した後における、レーザ光源210の光出力と第2の目標値との差が小さくなるように、SOA制御回路330を介してSOA214への駆動電流を制御する第3ステート処理とを少なくとも含んでいる。
【0040】
以下、上記光源制御装置300の構成例を用いて光源制御方法の説明を行う。
【0041】
(第1実施例)
以下、
図3から
図6を参照しながら第1実施例に係る光源制御方法について説明する。
図3から
図5は、第1実施例に係る光源制御方法のフローを示す図であり、
図6は、第1実施例に係る光源制御方法に従うレーザ光源の光出力のグラフを示す図である。
【0042】
図3は、第1実施例に係る光源制御方法の第1ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図3に示される第1ステート処理は、
図6における時刻0から時刻t1までの処理に対応している。
【0043】
図3に示すように、ステップS111では、光源制御装置300が、パワーモニタ240を用いてレーザ光源210の光出力をモニタリングする。そして、ステップS112では、光源制御装置300のデジタル演算器360が、メモリ370に記憶されている第1の目標値とモニタリングした光出力のモニタ値を比較し、第1の目標値との誤差を演算する。
【0044】
その後、ステップS113では、演算された第1の目標値との誤差が小さくなるように、デジタル演算器360が、SOA214に供給すべき駆動電流を演算し、SOA制御回路330を介してSOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0045】
ステップS114では、レーザ光源210の光出力が第1の目標値に収束したか否かを判定し、第1の目標値に収束していない場合(No)、第1ステート処理における制御周期を終了し、再度の第1ステート処理における制御周期を開始することになる。一方、第1の目標値に収束している場合(Yes)、ステップS115にて、第2のステート処理へ進む。
【0046】
図6に示されるように、以上の第1ステート処理によって、レーザ光源210の光出力は、時刻0から時刻t1までの間に非線形ではあるものの第1の目標値まで上昇する。
【0047】
図4は、第1実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図4に示される第2ステート処理は、
図6における時刻t1から時刻t2までの処理に対応している。
【0048】
図4に示すように、ステップS121では、第1ステート処理と同様に、光源制御装置300が、パワーモニタ240を用いてレーザ光源210の光出力をモニタリングする。一方、第2ステート処理では、ステップS122にて、第1の目標値と第2の目標値との間を略線形にステップ上昇する線形目標値を作成する。すなわち、一回前の制御周期における目標値に対して所定の値を加えたものを新たな目標値として設定することで、経過時間に応じた目標値更新処理を行う。
【0049】
そして、ステップS123では、光源制御装置300のデジタル演算器360が、線形目標値とモニタリングした光出力のモニタ値を比較し、線形目標値との誤差を演算する。
【0050】
その後、ステップS124では、線形目標値との誤差が小さくなるように、デジタル演算器360が、SOA214に供給すべき駆動電流を演算し、SOA制御回路330を介してSOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0051】
ステップS125では、レーザ光源210の光出力が第2の目標値に到達したか否かを判定し、第2の目標値に到達していない場合(No)、第2ステート処理における制御周期を終了し、再度の第2ステート処理における制御周期を開始することになる。一方、第2の目標値に到達している場合(Yes)、ステップS126にて、第3のステート処理へ進む。
【0052】
図6に示されるように、以上の第2ステート処理によって、レーザ光源210の光出力は、時刻t1から時刻t2までの間に略線形に第1の目標値から第2の目標値まで上昇する。なお、ここで「略線形」とは、上記のようなステップ近似を含む線形のことをいう。
【0053】
図5は、第1実施例に係る光源制御方法の第3ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図5に示される第3ステート処理は、
図6における時刻t2以降の処理に対応している。
【0054】
図5に示すように、ステップS131では、光源制御装置300が、パワーモニタ240を用いてレーザ光源210の光出力をモニタリングする。そして、ステップS132では、光源制御装置300のデジタル演算器360が、メモリ370に記憶されている第2の目標値とモニタリングした光出力の値を比較し、第2の目標値との誤差を演算する。
【0055】
その後、ステップS133では、演算された第2の目標値との誤差が小さくなるように、デジタル演算器360が、SOA214に供給すべき駆動電流を演算し、SOA制御回路330を介してSOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0056】
先述のように、第2の目標値は、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムが要求する光出力であるので、第3ステート処理では、ここで1つの制御周期を終了とし、第3ステート処理における制御周期を継続実行することになる。
【0057】
以上のように、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムへの影響がない程度の光出力として設定された第1の目標値と、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムが要求する光出力として設定された第2の目標値とを用いた第1ステート処理と第2ステート処理と第3ステート処理とを組み合わせた光源制御方法に従えば、後段のシステムへの悪影響を及ぼす非線形の光出力の立ち上がりを抑制することができる。
【0058】
(第2実施例)
以下、
図7を参照しながら第2実施例に係る光源制御方法について説明する。
図7は、第2実施例に係る光源制御方法に従うレーザ光源の光出力のグラフを示す図である。なお、第2実施例に係る光源制御方法のフローは、実質的に第1実施例と同じであるので、ここでは記載を省略する。
【0059】
第2実施例に係る光源制御方法は、制御処理の手順としては第1実施例と同じであるが、第2ステート処理時では、第3ステート処理時よりも制御周期が短いことを特徴としている。
【0060】
図7に示すように、第2ステート処理時では、レーザ光源210の光出力が適切な範囲に収まるように、上限マスクと下限マスクが設定されることがある。ところが、第2ステート処理時の制御周期が長いと、レーザ光源210の光出力が上限マスクと下限マスクの範囲から逸脱してしまう虞がある。先述のように、第2ステート処理における線形目標値は、一回前の制御周期における目標値に対して所定の値を加えたものを新たな目標値として設定することで作成されるので、制御周期が長いと、
図7に示されるように、各ステップが大きくなってしまうからである(図中領域A参照)。
【0061】
そこで、第2実施例に係る光源制御方法は、第2ステート処理時の制御周期を、第3ステート処理時よりも短くすることで、レーザ光源210の光出力が適切な範囲に収まるようにする。
【0062】
以上の第2実施例に係る光源制御方法によっても、後段のシステムへの悪影響を及ぼす非線形の光出力の立ち上がりを抑制することができ、さらに、第2ステート処理時の制御精度も向上する。
【0063】
(第3実施例)
以下、
図8を参照しながら第3実施例に係る光源制御方法について説明する。
図8は、第3実施例に係る光源制御方法に従うレーザ光源の光出力のグラフを示す図である。なお、第3実施例に係る光源制御方法のフローは、実質的に第1実施例と同じであるので、ここでは記載を省略する。
【0064】
第3実施例に係る光源制御方法は、制御処理の手順としては第1実施例と同じであるが、第2ステート処理時における線形目標値にオフセット値が加算されていることを特徴としている。
【0065】
図8に示すように、第3実施例においても、上限マスクと下限マスクが設定されることを想定し、レーザ光源210の光出力が上限マスクと下限マスクの範囲から逸脱してしまう虞を考える(図中領域B参照)。第3実施例に係る光源制御方法は、第2ステート処理時における線形目標値に所定のオフセット値を加算することで、レーザ光源210の光出力が適切な範囲に収まるようにする。
【0066】
以上の第3実施例に係る光源制御方法によっても、後段のシステムへの悪影響を及ぼす非線形の光出力の立ち上がりを抑制することができ、さらに、第2ステート処理時の制御精度も向上する。
【0067】
(第4実施例)
以下、
図9および
図10を参照しながら第4実施例に係る光源制御方法について説明する。
図9は、第4実施例に係る光源制御方法に従うレーザ光源の光出力のグラフを示す図である。なお、第4実施例に係る光源制御方法のフローは、実質的に第1実施例と同じであるので、ここでは記載を省略する。
【0068】
第4実施例に係る光源制御方法は、制御処理の手順としては第1実施例と同じであるが、第1ステート処理における起動時の駆動電流がレーザ光源210の光立ち上がり電流に設定されていることを特徴としている。
【0069】
図10は、SOAに供給する駆動電流とレーザ光源の光出力との関係を示すグラフである。
図10に示すように、SOA214に供給する駆動電流が低い場合、レーザ光源210からはレーザ光が出射しないが、SOA214に供給する駆動電流がある値(図中I0)を超えると、レーザ光源210からレーザ光が出射するようになる。レーザ光源210からレーザ光が出射し始める駆動電流の値を光立ち上がり電流と呼び、第4実施例に係る光源制御方法では、第1ステート処理における駆動電流の初期値をこの光立ち上がり電流に設定する。
【0070】
すると、
図9に示すように、レーザ光源210の光出力が第1の目標値に達するまでの時間は、t1であったものが、t1’に短縮される。もちろん、レーザ光源210の光出力が第1の目標値に達するまでの時間が短縮されることによって、結果的に、レーザ光源210の光出力が第2の目標値に達するまでの時間も、t2であったものが、t2’に短縮される。
【0071】
すなわち、以上の第4実施例に係る光源制御方法によっても、後段のシステムへの悪影響を及ぼす非線形の光出力の立ち上がりを抑制することができ、さらに、レーザ光源210の光出力が使用水準に達するまでの時間も短縮される。
【0072】
(第5実施例)
以下、
図11から
図14を参照しながら第5実施例に係る光源制御方法について説明する。
図11から
図13は、第5実施例に係る光源制御方法のフローを示す図であり、
図14は、第5実施例に係る光源制御方法に従うレーザ光源の光出力のグラフを示す図である。なお、
図11から
図13に示される光源制御方法のフローは、第1実施例に係る光源制御方法のフローと共通部分が多いので、以下の説明では、当該共通部分についての説明は簡略する。
【0073】
図11は、第5実施例に係る光源制御方法の第1ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図11に示すように、第1ステート処理では、ステップS511にて、レーザ光源210の光出力をモニタリングし、ステップS512にて、第1の目標値とモニタリングした光出力の値を比較する。そして、ステップS513にて、演算された第1の目標値との誤差が小さくなるように、SOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0074】
その後、ステップS514では、レーザ光源210の光出力が第1の目標値に収束したか否かを判定し、第1の目標値に収束していない場合(No)、第1ステート処理における制御周期を終了し、再度の第1ステート処理における制御周期を開始することになる。一方、第1の目標値に収束している場合(Yes)、ステップS515にて、第2のステート処理へ進む。
【0075】
図12は、第5実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図12に示すように、第5実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理では、ステップS521にて、光源制御装置300のデジタル演算器360が、経過時間に応じた指示すべき駆動電流値をメモリ370から取得する。そして、ステップS522にて、メモリ370から取得した駆動電流値を用いて、SOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0076】
すなわち、第5実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理では、レーザ光源210の光出力が線形に上昇するような駆動電流との関係を予めメモリ370内に記憶しておき、経過時間に応じて、メモリ370内に記憶されている駆動電流を読み出しながら、レーザ光源210の光出力を制御するフィードフォワード制御が行われている。
【0077】
ステップS523では、メモリ370から取得した駆動電流が最終指示電流値に到達したか否かを判定し、最終指示電流値に到達していない場合(No)、第2ステート処理における制御周期を終了し、再度の第2ステート処理における制御周期を開始することになる。一方、最終指示電流値に到達している場合(Yes)、ステップS524にて、第3のステート処理へ進む。ここで、最終指示電流値とは、レーザ光源210の光出力が第2の目標値となる駆動電流値としてメモリ370に記憶されているものである。
【0078】
図14に示されるように、以上の第2ステート処理によって、時々刻々、時刻t1から時刻tnまで、レーザ光源210の光出力は、第1の目標値から第2の目標値まで略線形に上昇する。
【0079】
図13は、第5実施例に係る光源制御方法の第3ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図13に示すように、第3ステート処理では、ステップS531にて、レーザ光源210の光出力をモニタリングし、ステップS532にて、第2の目標値とモニタリングした光出力の値を比較する。そして、ステップS533にて、第2の目標値との誤差が小さくなるように、SOA214に供給する駆動電流を制御する。
【0080】
第2の目標値は、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムが要求する光出力であるので、第3ステート処理では、ここで1つの制御周期を終了とし、第3ステート処理における制御周期を継続実行する。
【0081】
以上のように、以上説明した光源制御方法によっても、後段のシステムへの悪影響を及ぼす非線形の光出力の立ち上がりを抑制することができる。
【0082】
(第6実施例)
以下、
図15から
図19を参照しながら第6実施例に係る光源制御方法について説明する。
図15から
図17は、第6実施例に係る光源制御方法のフローを示す図であり、
図18は、パワーモニタの検出値のデジタル変換を示す図であり、
図19は、1ステップあたりのばらつきが抑制されることを示す図である。なお、
図15から
図19に示される光源制御方法のフローは、第1実施例に係る光源制御方法のフローと共通部分が多いので、以下の説明では、当該共通部分についての説明は簡略する。
【0083】
図15は、第6実施例に係る光源制御方法の第1ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図15に示すように、第1ステート処理では、ステップS611にて、レーザ光源210の光出力をモニタリングし、ステップS612にて、第1の目標値とモニタリングした光出力の値を比較する。そして、ステップS613にて、演算された第1の目標値との誤差が小さくなるように、SOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0084】
その後、ステップS614では、レーザ光源210の光出力が第1の目標値に収束したか否かを判定し、第1の目標値に収束していない場合(No)、第1ステート処理における制御周期を終了し、再度の第1ステート処理における制御周期を開始することになる。一方、第1の目標値に収束している場合(Yes)、ステップS615にて、第2のステート処理へ進む。
【0085】
図16は、第6実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図16に示すように、第6実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理では、ステップS621にて、パワーモニタ平均化処理が行われる。
【0086】
ここで、パワーモニタ平均化処理とは、光出力の大きさに応じてパワーモニタ240から出力される電流をPD1電流モニタ回路341でデジタル変換する際の平均化処理をいう。パワーモニタ240で検出した光出力の検出値は、電流の大きさとしてパワーモニタ240から出力され、
図18に示されるように、PD1電流モニタ回路341でデジタル変換される。この際、複数の光出力の検出値を平均してデジタル変換する。例えば16回の平均化をする場合には、16回分の検出値の単純平均値、若しくは加算値、若しくは移動平均値を、平均化した検出値として扱う。ここで、16回分の検出値の単純平均値とは、検出値を16回分ごとにまとめて平均した値であり、16回分の検出値の移動平均値とは、逐次検出される検出値を先入れ先出し法で更新させながら16回分の検出値を平均した値である。
【0087】
第6実施例に係る光源制御方法では、第2ステート処理時におけるレーザ光源210の光出力の測定値を、複数の検出における検出値の平均値とする。とくに、第2ステート処理時における平均回数は、第3ステート処理時における平均回数よりも大きくする。これにより、有効分解能が増え、パワーモニタ240の分解能が向上する。その結果、
図19に示されるように、第6実施例に係る光源制御方法では、1ステップ当たりの光出力のばらつきが抑制できる。
【0088】
その後、第6実施例に係る光源制御方法の第2ステート処理では、第1実施例と同様に、ステップS621にて、パワーモニタ240を用いてレーザ光源210の光出力をモニタリングし、ステップS622にて、第1の目標値と第2の目標値との間を略線形にステップ上昇する線形目標値を作成する。そして、ステップS623にて、線形目標値とモニタリングした光出力の値との誤差を演算する。その後、ステップS624にて、演算された線形目標値との誤差が小さくなるように、SOA214に指示する駆動電流を設定する。
【0089】
ステップS625では、レーザ光源210の光出力が第2の目標値に到達したか否かを判定し、第2の目標値に到達していない場合(No)、第2ステート処理における制御周期を終了し、再度の第2ステート処理における制御周期を開始することになる。一方、第2の目標値に到達している場合(Yes)、ステップS626にて、第3のステート処理へ進む。
【0090】
図17は、第6実施例に係る光源制御方法の第3ステート処理における1つの制御周期内のフローを示す図である。
図17に示すように、第3ステート処理では、ステップS631にて、レーザ光源210の光出力をモニタリングし、ステップS632にて、第2の目標値とモニタリングした光出力の値を比較する。そして、ステップS633にて、第2の目標値との誤差が小さくなるように、SOA214に供給する駆動電流を制御する。
【0091】
第2の目標値は、波長可変型レーザモジュール100の後段のシステムが要求する光出力であるので、第3ステート処理では、ここで1つの制御周期を終了とし、第3ステート処理における制御周期を継続実行する。
【0092】
以上の第6実施例に係る光源制御方法によっても、後段のシステムへの悪影響を及ぼす非線形の光出力の立ち上がりを抑制することができ、さらに、第2ステート処理時における1ステップ当たりの光出力のばらつきが抑制できる。
【0093】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。例えば、以上説明した実施形態では、レーザ光源として、アレイ型の半導体レーザ素子を用いたが、合波器や半導体光増幅器を備えない構成やDBRレーザ素子(分布ブラッグ反射型半導体レーザ素子)による単一縦モード半導体レーザ素子とすることもできる。また、レーザ光源は必ずしも波長を変更可能である必要もない。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。