特許第6550029号(P6550029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6550029基板処理装置、ノズル基部および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550029
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】基板処理装置、ノズル基部および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20190711BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20190711BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20190711BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20190711BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/31 E
   H01L21/302 201Z
   C23C16/44 J
   H01L21/324 R
   H01L21/22 511S
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-189639(P2016-189639)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-56280(P2018-56280A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀成
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−152833(JP,A)
【文献】 特開2015−185578(JP,A)
【文献】 特開2012−069845(JP,A)
【文献】 特開2010−199160(JP,A)
【文献】 特開2007−258580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
H01L 21/22
H01L 21/302
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管と前記反応管を下方から支持するマニホールドとにより構成され、内部で基板を処理する処理容器と、
前記基板に対して処理ガスを供給するノズルと、
前記ノズルを前記処理容器内に立設させる接続部と、を有し、
前記接続部は、
前記マニホールドに設けられた導入部に挿入される筒部と前記筒部の端部に形成される板部とで構成される固定部と、
前記板部と係合する係合部と前記ノズルが設置される設置部とで構成され、前記固定部に取り付けられる取付け部と、を有し、
前記係合部には切欠きが形成されており、前記板部と前記切欠きが当接されるように構成される基板処理装置。
【請求項2】
前記板部は、第一面と、前記第一面に垂直に交わる第二面とを備え、
前記切欠きの二側面が前記第一面および前記第二面と当接することにより、前記ノズルの位置が決定される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記取付け部の下方に設置され、前記ノズルの傾きを調整する調整部が設置される台座部をさらに有する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記取付け部の下側から前記取付け部を押し上げることにより、前記ノズルの傾きを調整するよう構成される請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記板部の幅は、前記切欠きの深さよりも広く形成される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記板部および前記切欠きは長方形状に形成され、前記切欠きの長辺は、前記板部の長辺よりも長く形成される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記板部の短辺は、前記切欠きの短辺よりも長く形成される請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記設置部は、内管と外管とを備え、前記内管と前記外管との間に形成された円環状の空間に前記ノズルを挿入するよう構成される請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記切欠きは、前記切欠きの長辺の中心位置が、前記内管の中心位置よりも外方にずれるように形成される請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板に対して処理ガスを供給するノズルを、前記基板を処理する反応管と前記反応管を下方から支持するマニホールドとにより構成される処理容器内に立設させるためのノズル基部であって、
前記ノズル基部は、
前記マニホールドに形成される導入部に挿入される筒部と、前記筒部の端部に形成される板部とを備える固定部と、
前記板部と係合する係合部と前記ノズルが設置される設置部とで構成され、前記固定部に取り付けられる取付け部と、を有し、
前記係合部には切欠きが形成されており、前記板部と前記切欠きが当接されるように構成されるノズル基部。
【請求項11】
反応管と、前記反応管を下方から支持するマニホールドとにより構成され、基板を処理する処理容器内に前記基板を搬入する工程と、
前記処理容器内の前記基板に対し、接続部によって前記処理容器内に立設されるノズルから処理ガスを供給し、前記基板を処理する工程と、
前記処理容器から前記基板を搬出する工程と、を有する半導体装置の製造方法であって、
前記接続部は、
前記マニホールドに設けられた導入部に挿入される筒部と前記筒部の端部に形成される板部とで構成される固定部と、
前記板部と係合する係合部と前記ノズルが設置される設置部とで構成され、前記固定部に取り付けられる取付け部と、を有し、
前記係合部には切欠きが形成されており、前記板部と前記切欠きが当接されるように構成される半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、ノズル基部および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程における基板処理では、例えば、複数枚の基板を一括して処理する縦型基板処理装置が使用されている。縦型基板処理装置では処理ガスを供給するノズルは、インレットに設けられたガス導入ポートに接続され固定されることで反応管内に設置される。ノズルのメンテナンスは反応管外から行われる場合が多く、メンテナンス作業に時間がかかってしまうことがあった。そのため、反応管内からメンテナンスが可能なように、反応管内からノズルを取外しできるよう、ノズルの下部構造の工夫が行われてきた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−185578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルの下部構造を工夫する場合、製作に費用がかかってしまったり、ノズル設置時にぐらつきが生じてしまったりする場合がある。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズル脱着時のメンテナンス性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
反応管と前記反応管を下方から支持するマニホールドとにより構成され、内部で基板を処理する処理容器と、
前記基板に対して処理ガスを供給するノズルと、
前記ノズルを前記処理容器内に立設させる接続部と、を有し、
前記接続部は、
前記マニホールドに設けられた導入部に挿入される筒部と前記筒部の端部に形成される板部とで構成される固定部と、
前記板部と係合する係合部と前記ノズルが設置される設置部とで構成され、前記固定部に取り付けられる取付け部と、を有し、
前記係合部には切欠きが形成されており、前記板部と前記切欠きが当接されるように構成される技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ノズル脱着時のメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の一例を概略的に示す縦断面図である。
図2】本発明の実施形態で好適に用いられる処理容器下部の一例を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態で好適に用いられる処理容器下部の縦断面図である。
図4】本発明の実施形態で好適に用いられる固定部の斜視図である。
図5】本発明の実施形態で好適に用いられる固定部の正面図である。
図6】本発明の実施形態で好適に用いられる取付け部の斜視図である。
図7】本発明の実施形態で好適に用いられる取付け部の背面図である。
図8】本発明の実施形態で好適に用いられる取付け部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。全図面中、同一または対応する構成については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。処理容器の中心へ向かう方向を前側(正面側)、処理容器の中心から外方へ向かう方向を後ろ側(背面側)とする。また、処理容器の上方へ向かう方向を上側、処理容器の下方へ向かう方向を下側とする。
【0009】
本実施形態において、基板処理装置は、半導体装置(デバイス)の製造方法における製造工程の一工程として熱処理等の基板処理工程を実施する縦型基板処理装置(以下、処理装置と称する)2として構成されている。図1に示すように、処理装置2は、円筒形状の反応管10と、反応管10の外周に設置された加熱手段(加熱機構)としてのヒータ12とを備える。反応管は、例えば石英やSiCにより形成される。
【0010】
図1に示すように、反応管10には、円筒部の外方に突出するように、供給バッファ室10Aと排気バッファ室10Bが対面して形成されている。供給バッファ室10Aの内部は、隔壁10Cによって複数の空間(ノズル室)に区画されている。供給バッファ室10Aの各空間には、後述するノズル44a、44bがそれぞれ設置される。供給バッファ室10Aに面する内壁(処理室14側)には、複数のスリット10Dがそれぞれ複数の空間に対応するように縦方向に多段に形成されている。反応管10には、温度検出器としての温度検出部が、反応管10の外壁に沿って設置されている。
【0011】
反応管10の下端開口部には、反応管10を支持する支持部としての円筒形状のマニホールド18が、Oリング等のシール部材(密閉部材)20を介して連結され、反応管10の下端を支持している。マニホールド18の内径は、バッファ室10Aの外径と略同じ径で形成され、例えばステンレス等の金属により形成される。マニホールド18には、後述するガス供給管36a、30bがそれぞれ接続されるガス導入部としてのガス導入ポート56a、56b(以下、ポートと称する)が形成される。反応管10およびマニホールド18によって処理容器11が形成され、処理容器11の内部には、基板としてのウエハWを処理する処理室14が形成される。
【0012】
マニホールド18の下端開口部は円盤状の蓋部22によって開閉される。蓋部22は、例えば金属により形成される。蓋部22の上面にはOリング等のシール部材20が設置されており、これにより、処理容器11内と外気とが気密にシールされる。蓋部22上には、断熱部24が載置される。
【0013】
処理室14は、複数枚、例えば25〜150枚のウエハWを垂直に棚状に支持する基板保持具としてのボート26を内部に収納する。ボート26は、蓋部22および断熱部24の孔を貫通する回転軸28により、断熱部24の上方に支持される。回転軸28は反応管10の内部を気密にシールした状態で回転可能に構成される。蓋部22は昇降機構としてのボートエレベータ32により上下方向に駆動される。これにより、ボート26および蓋部22が一体的に昇降され、反応管10に対してボート26が搬入出される。
【0014】
処理装置10は、基板処理に使用されるガスを処理室14内に供給するガス供給機構34を備えている。ガス供給機構34が供給するガスは、成膜される膜の種類に応じて換えられる。ここでは、ガス供給機構34は、原料ガス供給部、反応ガス供給部および不活性ガス供給部を含む。
【0015】
反応ガス供給部は、ガス供給管36aを備え、ガス供給管36aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)38aおよび開閉弁であるバルブ40aが設けられている。ガス供給管36aはポート56a、後述する接続部60aを介してノズル44aに接続される。ノズル44aは、供給バッファ室10A内のノズル室に上下方向に沿ってボート26の最上段のウエハWの高さ位置まで立設される。ノズル44aには、ボート26に保持されるウエハWに向かって開口する複数のガス噴出孔(供給孔)が形成されている。ノズル44aの供給孔を通して供給バッファ室10A内に反応ガスが拡散され、供給バッファ室10Aのスリット10Dを介してウエハWに対して反応ガスが供給される。
【0016】
以下、同様の構成で、原料ガス供給部には、供給管36b、MFC38b、バルブ40b、ノズル44bが設けられている。不活性ガス供給部には、供給管36c、36d、MFC38c、38d、バルブ40c、40d、ノズル44a、44bおよびスリット10Dが設けられている。
【0017】
反応管10には、排気バッファ室10Bに連通するように、排気管46が取り付けられている。排気管46には、処理室14内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ48および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ40を介して、真空排気装置としての真空ポンプ52が接続されている。このような構成により、処理室14内の圧力を処理に応じた処理圧力とすることができる。
【0018】
図2に示すように、供給バッファ室10A側の反応管10の内壁の下端には開口部10Eが形成されている。開口部10Eを形成することにより、ノズル交換等のメンテナンスの際、反応管10の内側(処理室14側)からノズルを脱着することが可能となるため、反応管10を取り外す等の作業を省略することができ、メンテナンス時間を短縮させることができる。
【0019】
図2、3に示すように、開口部10E下方のマニホールド18には、ガス導入部としてのポート56a、56bが各ノズル室に対応するように設置されている。以下、ノズル44と称する場合は、少なくともノズル44aおよび44bのうちいずれか一方を示すことを意味する。ガス供給管36、ポート56、接続部60についても同様である。図3に示すように、ポート56は、マニホールド18内外を連通するように形成され、マニホールド18外方に向けて延出している。ノズル44は、開口部10Eからそれぞれ各ノズル室内に挿入され、ノズル基部としての接続部60によって処理容器11内に設置される。接続部60の構成については後述する。ポート56下方には台座部92が形成される。
【0020】
図1に示すように、回転機構30、ボートエレベータ32、ガス供給機構34のMFC38a〜38dおよびバルブ40a〜40d、APCバルブ50には、これらを制御するコントローラ100が接続される。コントローラ100は、例えば、CPUを備えたマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなり、処理装置2の動作を制御するよう構成される。コントローラ100には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置102が接続されている。
【0021】
コントローラ100には記憶媒体としての記憶部104が接続されている。記憶部104には、処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、処理条件に応じて処理装置2の各構成部に処理を実行させるためのプログラム(レシピとも言う)が、読み出し可能に格納される。
【0022】
記憶部104は、コントローラ100に内蔵された記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリ)であってもよいし、可搬性の外部記録装置(磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)であってもよい。また、コンピュータへのプログラムの提供は、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。プログラムは、必要に応じて、入出力装置102からの指示等にて記憶部104から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をコントローラ100が実行することで、処理装置2は、コントローラ100の制御のもと、所望の処理を実行する。
【0023】
次に、接続部60の構成について説明する。
【0024】
図3に示すように、接続部60はポート56に固定される固定部70と、固定部70に取り付けられる取付け部80とで構成される。
図4に示すように、固定部70は、筒部72と板部74とで構成される。筒部72は中空の円筒形状に形成され、ポート56に挿入され固定される。筒部72の外径はポート56の直径以下であって、ガス供給管36の外径と略同じ寸法に形成される。また、筒部72の内径は、ガス供給管36の内径と略同じ寸法に形成される。板部74は、筒部72の端部に多角形の板状に形成される。ここでは、長方形状に形成されており、上下方向の第一面S1と、第一面S1に垂直に交わる水平方向(左右方向)の第二面S2を有する。板部74の表面積は、筒部72の外径の断面積よりも大きく形成される。図4に示すように、固定部70は、板部74が処理容器11の内側に位置するように、好ましくは、板部74がマニホールド18の内壁面に接するように構成される。筒部72はポート56に挿入されると、その端部がガス供給管36と密閉部材を介してシールされる。
【0025】
図5に示すように、板部74の略中央には、筒部72の中空部と連通する連通孔74Aが形成される。連通孔74Aは、筒部72の中心と連通孔74Aの中心とが同一直線上となるように形成されている。図3に示すように、連通孔74Aの直径は、筒部72の内径よりも小さく形成されている。このような構成により、ガス流路を部分的に狭めることができる。
【0026】
図3図4に示すように、板部74の角は斜めに除去されており、面取り加工が施されている。また、板部74のうち、マニホールド18に接する面(背面側の面)の角部のほうが、マニホールド18に接しない面、すなわち、取付け部80に接する面(正面側の面)の角部よりも深く面取り加工されている。このような構成により、マニホールド18と板部74および、板部74と取付け部80とを精度よく固定することができる。
【0027】
連通孔74Aの外側には、左右に1つずつねじ穴としての孔部74Bが形成されている。孔部74Bの中心は、連通孔74Aの中心と同一の直線L1上になるように形成され、かつ、連通孔74Aの中心を境界として左右対称の位置に形成されている。このような構成により、取付け部80を設置した際、板部74に対する荷重の偏りを抑制することができ、固定部70の破損を抑制し、ノズル44を安定して設置することができる。
【0028】
図6に示すように、取付け部80は、係合部82と設置部84とで構成される。係合部82は多角形のブロック形状であり、背面側(マニホールド18側)で固定部70に係合されるよう構成される。設置部84は円筒形状であり、係合部82の上面から立ち上がるように形成され、ノズル44が設置される。なお、係合部82と設置部84とは一体に形成される。
【0029】
図8に示すように、設置部84は外管84Aと内管84Bを備える二重管構造であり、外管84Aと内管84Bとの間の円環状の空間にノズル44が挿入され固定される。図7に示すように、外管84Aの上端は、背面側の部分が一段高くなるように形成されており、外管84Aの上端と内管84Bの上端は略同じ高さとなるように形成されている。また、図3図6に示すように、外管84Aの上方であって、正面側(処理室14側)には、ノズル44を設置部84に固定するピン90を設置するための窓部84Cが形成されている。内管84Bは後述する係合部82の中空部に接続される。
【0030】
図3に示すように、係合部82には、係合部82の上面と背面とを連通するように、内部に中空の空間が形成されている。図8に示すように、係合部82の角部はR面(曲面)取り加工が施され、丸みを帯びた形状となっている。R面取りは、上面視において、内管と同心円となるように円状に加工される。図6に示すように、係合部82の下面は、左右が一部切欠かれた形状であり、下端の前側の角部は面取り加工が施されている。係合部82の下面の左右を一部切欠くことにより、開口部10Eにカバーを設置する際、カバーの固定部材と係合部82とが干渉することを防ぐことができる。
【0031】
係合部82の背面側の側面(固定部70に対向する面)には、切欠き82Aが形成されおり、切欠き82Aに板部74が係合するよう構成されている。切欠き82Aには、板部74の連通孔74Aと同一形状の連通孔82Bおよび孔部74Bと同一寸法の孔部82Cがそれぞれ形成されている。孔部82Cは、係合部82の正面側から背面側へ貫通するように形成されている。図2に示すように、係合部82の孔部82Cに固定部材としてのボルト64を挿通し、板部74部の孔部74Bにねじ止めすることにより、固定部70と取付け部80とが固定される。
【0032】
図7に示すように、切欠き82Aは、長方形状であり、一側方および下方が開放されるように形成されている。言い換えれば、切欠き82Aは、係合部82の背面に上下方向の第一面S3と、第一面に垂直に交わる水平方向の第二面S4とを形成するように構成される。すなわち、背面視において、切欠き82A以外の部分がL字状となるように、切欠き82Aは二側面のみを備えるように構成される。孔部82Cの中心は、連通孔82Aの中心を通る直線L2上に位置するように形成され、また、直線L2は、切欠き82Aの短辺の中心線C1より下方を通るように形成されている。さらに、切欠き82Aの短辺の長さは、板部74の短辺の長さよりも短く形成されている。このような構成により、取付け部80下方に、ノズル44の傾き(水平)を調整するためのバッファ空間を設けることができる。また、固定部70に取付け部80を取り付けた際、板部74が切欠き84Aよりも下方に延出した状態となるため、前後方向および左右方向のぐらつきを抑制することができる。
【0033】
切欠き82Aの連通孔82Bの中心は、係合部82(内管84B)の中心を通る直線L3上に位置するように構成される。切欠き82Aの長辺の長さは板部74の長辺の長さよりも長く形成されており、直線L3を境として、切欠き82Aの長辺の長さが左右非対称となるように形成されている。より具体的には、図7に向かって左側(直線L3から第一面S3方向)の長さよりも、右側(直線L3から第一面S3の反対方向)の長さの方が長く形成されている。すなわち、直線L3は、切欠き82Aの長辺の中心線C2より左方を通るように形成されている。このような構成により、固定部70に取付け部80を取り付けた際、切欠き82Aが板部74よりも一側方に延出した状態となるため、水平方向のぐらつきを抑制することができる。
【0034】
図3に示すように、切欠き82Aの深さ(第1面S3および第2面S4の幅)は、板部74の幅(第1面S1および第2面S2の幅)よりも狭く形成されている。このような構成により、固定部70に取付け部80を取り付けた際、反応管10とノズルとの間に所定の間隔を形成することができ、接触によるノズル破損を抑制することができる。
【0035】
少なくとも取付け部80および板部74の表面には電解研磨が施されており、かつ、表面が平坦となるように滑らかに形成されている。このような構成により、係合部82と板部74との接触面が密に接合されるため、Oリング等の密閉部材を使用せずに当接部分をシールすることが可能となる。すなわち、切欠き82Aと板部74とが面接触することにより、当接部分がシールされる。また、大気圧よりも低い圧力の減圧下における基板処理工程で本構成を用いることにより、さらにシール性を向上させることが可能となる。よりシール性を向上させたい場合は、Oリング等の密閉部材を併用しても良い。
【0036】
係合部82の下方には台座部92が設置されている。台座部92は、板部74の下端が接するような位置に設置されていても良い。台座部92には調整部94が設置されており、台座部92下方から調整部94を挿通することで、取付け部80の下面に調整部94を接触させ、取付け部80を押し上げることができる。ノズル44が前後方向に傾いて設置された際、調整部94によって取付け部80を押し上げることにより、ノズル44が垂直に立設されるようにノズル44の傾きを調整することができる。
【0037】
次に、ノズルの取付け方法について説明する。
ノズル44を処理容器11内へ取り付ける際、まず、台座部92をマニホールド18から取り外す。次に、取付け部80の円筒部74に予め挿入され固定されたノズル44の先端を、供給バッファ室14A内へ搬入し、取付け部80をマニホールド18に平行に上方向に移動させる。切欠き82Aが板部74と同じか少し高い位置まで到達したら、取付け部80を固定部70へ押し当てるように、板部74に切欠き82Aを当接させ、板部74に係合部82を載置する。言い換えれば、板部74の第一面S1と切欠き82Aの第一面S3および板部74の第二面S2と切欠き82Aの第二面S4とをそれぞれ当接させる。すなわち、板部74の第一面S1および第二面S2と切欠き82Aの二側面とを当接させる。これにより、ノズル44が処理容器11内で位置決めされる。ノズル44が位置決めされると、ボルト64を取り付け、取付け部80と固定部70とを固定する。その後、台座部92を取り付ける。ノズル44が前後方向に傾いている場合、台座部92の下方より調節部94によって取付け部80を押し上げることにより、傾きを調節する。
【0038】
次に、上述の処理装置2を用い、基板上に膜を形成する処理(成膜処理)について説明する。ここでは、ウエハWに対して、原料ガスとしてシリコン含有ガスであるDCS(SiH2 Cl2 :ジクロロシラン)ガスと、反応ガスとして酸素含有ガスであるO2 (酸素)ガスとを供給することで、ウエハW上にシリコン酸化(SiO2)膜を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、処理装置2を構成する各部の動作はコントローラ100により制御される。
【0039】
複数枚のウエハWがボート26に装填(ウエハチャージ)されると、ボート26は、ボートエレベータ32によって処理室14内に搬入(ボートロード)され、反応管10の下部開口は蓋部22によって気密に閉塞(シール)された状態となる。
【0040】
処理室14内が所定の圧力および所定の温度に安定すると、成膜処理を実施する。
[原料ガス供給工程]
先ず、処理室14内のウエハWに対してDCSガスを供給する。
【0041】
[原料ガス排気工程]
次に、DCSガスの供給を停止し、真空ポンプ52により処理室14内を真空排気する。この時、不活性ガス供給部から不活性ガスとしてNガスを処理室14内に供給しても良い(不活性ガスパージ)。
【0042】
[反応ガス供給工程]
次に、処理室14内のウエハWに対してO2ガスを供給する。
【0043】
[反応ガス排気工程]
次に、O2ガスの供給を停止し、真空ポンプ52により処理室14内を真空排気する。この時、不活性ガス供給部からNガスを処理室14内に供給しても良い。
【0044】
上述した4つの工程を行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことにより、ウエハW上に、所定組成および所定膜厚のSiO2膜を形成することができる。
【0045】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
所定膜厚の膜を形成した後、不活性ガス供給部からNガスが供給され、処理室14内がNガスに置換されると共に、処理室14の圧力が常圧に復帰される。その後、ボートエレベータ32により蓋部22が降下されて、ボート26が反応管10から搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済ウエハWはボート26より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0046】
ウエハWにSiO2膜を形成する際の処理条件としては、例えば、下記が例示される。
処理温度(ウエハ温度):300℃〜700℃、
処理圧力(処理室内圧力)1Pa〜4000Pa、
DCSガス:100sccm〜10000sccm、
2ガス:100sccm〜10000sccm、
2ガス:100sccm〜10000sccm、
それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内の値に設定することで、成膜処理を適正に進行させることが可能となる。
【0047】
<本実施形態による効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0048】
(1)処理容器内側からガスノズルの設置ができるため、メンテナンス作業の時間を短縮することができる。従来はノズルの水平部分をマニホールドに固定していたため、ノズルメンテナンスの際に処理容器下部周辺を分解することがあった。これに対し本発明は、固定部をマニホールドに固定させた状態で、取付け部を脱着可能な構成としたことにより、ノズルメンテナンスの際に、取付け部のみを取り外しすればよく、処理容器下部周辺を分解する必要がないため、メンテナンス時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。また、処理容器下部周辺を分解する必要がないため、メンテナンス前後でプロセスの再現性を確保できる。
【0049】
(2)取付け部を下方向から移動させて固定部に設置できるため、垂直を保ったままノズルを供給バッファ室内に搬入することができる。これにより、ノズルを供給バッファ室内に斜めに搬入することがないため、ノズルが供給バッファ室の側壁に接触してノズルや反応管が傷ついたり破損したりすることを抑制することができる。また、ノズルを供給バッファ室内に垂直に搬入することができるため、供給バッファ室の容積を小さくすることができる。これにより、ガスの制御性を向上させることができるため、成膜品質を向上させることができる。
【0050】
(3)取付け部を前後方向に移動させて固定部に設置できるため、ノズルが供給バッファ室の天井に接触してノズルや反応管が傷ついたり破損したりすることを抑制することができる。従来は、一度ノズルを上方向に大きく持ち上げて設置するため、ノズルと供給バッファ室の天井との接触を避けるように、供給バッファ室内の上方にメンテナンス用の空間を形成することがあった。これに対し本発明によれば、ノズルを上方向に大きく持ち上げることなく、取付け部を前方向から設置することができるため、供給バッファ室上方にメンテナンス用の空間を形成する必要がない。そのため、供給バッファ室の天井を低くすることができ、供給バッファ室内でのガスの拡散を均一にすることができ、膜の均一性を向上させることができる。
【0051】
(4)取付け部の二側面と固定部の二側面をそれぞれ当接させることで、上下左右方向のノズルの位置決めを行うことができ、ノズルの設置を容易にすることができる。すなわち、二側面のみでノズルの位置決めをすることができるため、二側面以外の他の側面を開放させることができ、固定部周辺での取付け部の移動範囲を小さくすることができる。
【0052】
(5)取付け部と固定部の接触部分を面シールとすることにより、Oリングを用いずともシール性を維持することができるため、基板処理のプロセスの幅を広げることが可能となる。特に、減圧処理を行う場合は、より効果的にシール可能である。取付け部と固定部の接触部分は処理容器内のため、仮に、接触部分からごく微量の漏出があったとしても、処理容器外や、プロセスに悪影響を及ぼすことがない。また、面シールにより、Oリングの耐熱性能を考慮する必要がないため、高温の基板処理を行うことができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
例えば、原料ガスとしてDCSガスを用いる例について説明したが、DCSガスの他、HCD(Si2Cl6:ヘキサクロロジシラン)ガス、MCS(SiH3Cl:モノクロロシラン)ガス、TCS(SiHCl3:トリクロロシラン)ガス等のシラン原料ガスを用いても良い。また、3DMAS(Si[N(CH3)2]3H:トリスジメチルアミノシラン)ガス、BTBAS(SiH2[NH(C4H9)]2:ビスターシャリブチルアミノシラン)ガス等のアミン系シラン原料ガスや、MS(SiH4:モノシラン)ガス、DS(Si2H6:ジシラン)ガス等の無機系シラン原料ガスを用いることもできる。
【0055】
また例えば、上述の実施形態では、SiO2膜を形成する例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、アンモニア(NH)ガス等の窒素(N)含有ガス(窒化ガス)、プロピレン(C)ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl)ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、SiN膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiBN膜、SiBCN膜等を形成することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
また例えば、本発明は、ウエハW上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む膜、すなわち、金属系膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。
【0057】
上述の実施形態では、ウエハW上に膜を堆積させる例について説明したが、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、ウエハWやウエハW上に形成された膜等に対して、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の処理を行う場合にも、好適に適用可能である。
【0058】
また、上述の実施形態や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態や変形例と同様な処理条件とすることができる。
【符号の説明】
【0059】
2・・・基板処理装置
11・・・処理容器
60・・・接続部
70・・・固定部
80・・・取付け部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8