(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のシステムであって、上記ビーム走査装置が、音響光学式ビーム偏向器、電子光学式ビーム偏向器、ポリゴンスキャナ、レゾナントスキャナ及びガルバノメータスキャナのうち少なくとも1個を有するシステム。
請求項20に記載のシステムであって、上記対物レンズの光軸が上記リレイレンズの光軸からずれており、且つその対物レンズの焦平面が上記サンプルに対し平行且つ近距離なシステム。
請求項12に記載のシステムであって、上記ビームスキャナが音響光学式ビーム偏向器、電子光学式ビーム偏向器、ポリゴンスキャナ、レゾナントスキャナ及びガルバノメータスキャナのうち少なくとも1個を含むシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す被開示主題を詳細に参照する。幾つかの実施形態及びその具体的特徴との関係で本件開示を具体的に図示及び記述してある。本願中で説明する諸実施形態は限定としてではなく例証として解されるべきである。いわゆる当業者には直ちに明らかになるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく、形態及び細部に様々な変形及び修正を施すことができる。
【0013】
図1〜
図9を通じ、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るスポット走査イメージング向け電子ランタイムアライメントシステム及び方法を示す。本件開示の諸実施形態が目指しているのは、スポット走査システムにおける被サンプリング点の位置(即ちサンプリンググリッド)を修正することである。ある種の実施形態では、照明ビームの掃引タイミングを基準にしてデータ捕捉タイミングを制御することにより被サンプリング点の位置が修正される。また、ある種の実施形態では、照明ビームを偏向させて各ラインの開始位置を独立的に制御することにより被サンプリングラインの位置が修正される。スポット走査型ウェハ検査システムについては、この参照を以てそれらの全容が本願に繰り入れられるところの特許文献1及び2に概記されている。機械的手段を媒介にした画像サンプリング検査システムのアライメント補正については、この参照を以てその全容が本願に繰り入れられるところの特許文献3に概記されている。
【0014】
スポット走査型イメージングシステムによれば、照明源(例.レーザ)からの照明光でダイ上を走査し、そのダイからの照明光をそのダイ上の個々の位置から集めることにより、ダイの画像を点単位で生成することができる。注記すべきことに、ダイから照明光を集めるのには1個又は複数個の検出器を用いればよい。更に注記すべきことに、それら被サンプリング点の物理的位置を以てサンプリンググリッドが定まり、更にはその画像の画素が定まる。点単位での検出と1個又は複数個の検出器の使用とを組み合わせ、各被サンプリング点から情報を集めることで、高分解能且つ高感度な画像の生成が可能となる。
【0015】
ウェハ検査システムによれば、注目ダイの計測画像を生成すること及びその計測画像を参照画像と比較することにより、ダイの欠陥を検出することができる。ある種の実施形態ではその参照画像にデータベースから取り寄せた画像が含まれよう。また、ある種の実施形態ではその参照画像に他の1個又は複数個のダイの画像が含まれよう。更に、ある種の実施形態ではその参照画像がコンピュータ生成画像とされよう。二画像の比較は、画像ベース減算等、任意の方法によって達成可能である。
【0016】
電子ランタイムアライメントの第1の目的は、被計測物体上の被サンプリング位置が参照画像上の対応する位置に対し整列されるよう、計測画像のサンプリンググリッドを参照画像と整列させることにある。ある実施形態によれば、サンプル画像に備わるフィーチャ(形状素)を参照画像上のフィーチャに対し整列させる後続の画像位置揃え手順により、それら参照画像及びサンプル画像を更に整列させることができる。参照画像及び計測画像は、共に、それら画像を形成する個別画素のアレイにて所与画素により画像エリア関連情報が表現されるようディジタル化したものである。この場合、有形物体(例.ウェハ)の画像とはその物体の近似的表現、特にその物体の被サンプリングエリアに関し集積された情報が各画素により表される表現のことである。例えば、被計測物体上の被サンプリング位置の反復配列を画像として表現し、その画像中で、被サンプリング位置により計測画像内画素の中心位置を表現することができる。その上で、計測画像の各画素を参照画像の対応する画素と直に比較すればよい。ウェハ検査システムの正確性は、参照画像のサンプリンググリッドに対する計測画像のサンプリンググリッドの整列の正確性により、少なくとも部分的に左右される。
【0017】
ご認識頂けるように、ランタイムアライメントシステムの性能はシステム帯域幅によって少なくとも部分的に描出することができ、またそのシステム帯域幅により、補正を適用可能な速度、補正を適用可能な空間分解能等、複数の要因を記述することができる。更に注記すべきことに、機械的運動を伴うシステムの帯域幅は物理的制約による制限を受けうる。電子ランタイムアライメントの第2の目的は、電子的な駆動信号を利用することで、広帯域幅アライメントと併せ高速度補正及び高空間分解能を可能にすることにある。
【0018】
図1に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り電子ランタイムアライメントを伴うスポット走査型イメージングシステム100を示す。ある実施形態では照明源101により照明ビーム102が生成される。また、ある実施形態ではビーム偏向器106によりそのビーム102が走査ビーム108に変換される。更に、ある実施形態では対物レンズ110によりその走査ビーム108がウェハ112の表面上に集束され、それにより走査線122が発生する。注記すべきことに、1個又は複数個のビーム偏向器106には本件技術分野で既知な任意種類のビーム偏向器が含まれうるのであって、その例としては音響光学式ビーム偏向器、電子光学式ビーム偏向器、ポリゴンスキャナ、レゾナントスキャナ、ガルバノメータスキャナ等がある。そして、相次ぐ走査の狭間に走査線122の方向に対し直交する方向へとサンプルステージを動かすことで、ウェハ112の二次元画像が生成される。
【0019】
ある実施形態では1個又は複数個のビーム調光素子104がビーム偏向器106に前置される。この1個又は複数個のビーム調光素子104には、ビーム102の調光に適し本件技術分野で既知な任意の光学素子が含まれうる。例えば1個又は複数個のレンズ、1個又は複数個の偏光子、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個の波長板、1個又は複数個のビーム整形器等がその1個又は複数個のビーム調光素子104に含まれうる。ある実施形態では1個又は複数個のビーム調光素子104によりビーム102が拡大され、ビームスキャナ106の入射開口がそのビームで満たされる。また、ある実施形態では1個又は複数個のビーム調光素子104によりビーム102の偏向状態が調整される。更に、ある実施形態では1個又は複数個のビーム調光素子104によりビーム102の空間プロファイルが修正される。
【0020】
また、ある実施形態に係るシステム100ではリレイレンズ107がビーム偏向器106に後置され、それにより
走査ビーム108が集光される。ある実施形態では、ビームスキャナ106から差し向けられた集束走査ビーム108がリレイレンズ107により平行光化され、平行光化された走査ビーム108がそのリレイレンズにより1個又は複数個の光学素子109へと差し向けられる。また、ある実施形態では1個又は複数個のビーム調光素子105が対物レンズ110に前置される。この1個又は複数個のビーム調光素子105には、
走査ビーム108の調光に適し本件技術分野で既知な任意の光学素子が含まれうる。例えば1個又は複数個のレンズ、1個又は複数個の倍率コントローラ、1個又は複数個の偏光子、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個の波長板、1個又は複数個のビーム整形器等がその1個又は複数個のビーム調光素子105に含まれうる。ある実施形態における1個又は複数個のビーム調光素子105には、ウェハ112上での
走査ビーム108の集束サイズを調整するのに適した倍率コントローラが含まれる。
【0021】
注記すべきことに、本システム100ではウェハ112上を複数本の
走査ビーム108で同時に走査することができる。更に注記すべきことに、本件技術分野で既知な任意の方法を用い複数本の
走査ビーム108を生成することができる。例えば1個又は複数個の回折性光学素子を用い複数本の走査ビームを生成することができる。ある実施形態では1個又は複数個の回折性光学素子が対物レンズに前置され、その素子により
走査ビーム108が1本又は複数本の走査ビーム108へと分岐される。また、ある実施形態では、
走査ビーム108の2Dアレイがウェハ112上に同時集束するよう、1個又は複数個の光学素子(例.1個又は複数個の回折性光学素子)により対物系110の焦平面を回動させる。
【0022】
また、ある実施形態に係るシステム100は、ウェハ112を堅持及び位置決めするステージアセンブリ120を有する。ステージアセンブリ120は、本件技術分野で既知な任意のサンプルステージアーキテクチャを有するものとすることができる。ある実施形態ではステージアセンブリ120がリニアステージを有する。また、ある実施形態ではステージアセンブリ120が回動ステージを有する。ウェハ112には未パターニング半導体ウェハ等が含まれうる。注記すべきことに、複数本の走査線122に沿った相次ぐ走査の狭間にウェハ112を並進させることによって、そのウェハ112の二次元画像を生成することができる。更に注記すべきことに、1個又は複数個のビーム偏向器106には本件技術分野で既知な任意種類のビーム偏向器が含まれうるのであって、その例としては1個又は複数個の音響光学式ビーム偏向器、1個又は複数個の電子光学式ビーム偏向器、1個又は複数個のポリゴンスキャナ、1個又は複数個のレゾナントスキャナ、1個又は複数個のガルバノメータスキャナ等がある。
【0023】
注記すべきことに、照明源101には本件技術分野で既知な任意の照明源が含まれうる。非限定的な例を以て言えば、1個又は複数個のレーザ光源を有し一組の波長又は波長域を発生させうるよう構成された任意のレーザシステム等が、照明源101に含まれうる。そのレーザシステムは任意種類のレーザ輻射、例えば赤外輻射、可視輻射及び/又は紫外(UV)輻射等を生成するよう構成することができる。ある実施形態では照明源101がレーザシステムとされ、連続波(CW)レーザ輻射を発するようそのレーザシステムが構成される。また、ある実施形態では照明源101がパルスレーザ光源とされる。更に、ある実施形態では変調出力をもたらすよう照明源101が構成される。例えば、照明源101を音響光学変調器又は電子光学変調器で変調することで、時間的に整形された照明光を供給することができる。
【0024】
また、ある実施形態では照明源101が1個又は複数個のエキシマレーザシステムを有する。非限定的な例を以て言えば、例えば、活性ガスとして分子状フッ素を有し157nmのレーザ光を輻射するエキシマレーザ等が照明源
101に含まれうる。また、ある実施形態では、照明源101が1個又は複数個のダイオードレーザシステム(例.445nmで発光する1個又は複数個のダイオード)を有する。
【0025】
ある実施形態では照明源
101が1個又は複数個のダイオードレーザを有する。また、ある実施形態では照明源
101が1個又は複数個のダイオードポンピング型ソリッドステートレーザを有する。例えば、照明源
101を、その波長が例えば266nmのダイオードポンピング型ソリッドステートレーザを有するものにすることができる。また、ある実施形態では照明源101が1個又は複数個の周波数変換レーザシステムを有する。例えば、照明源101を、532nmなる定格中心照明波長を有する光を発するのに適していて周波数逓倍システムとの結合で以てその中心波長が266nmの照明をもたらす周波数変換レーザ等を、有するものとすることができる。
【0026】
ある実施形態では、ウェハ112上の複数本の走査線122から反射光及び/又は散乱光を同時に集めうるよう1個又は複数個の検出器が配置される。ある実施形態では、ウェハ
112で反射された照明光を集めるべく検出器118が配置される。この検出器118は「反射率センサ」又は「明視野センサ」として動作させるとよい。例えば、検出器118を用いそのサンプルの反射率マップを生成することができる。また例えば、検出器118を用い構造高、膜厚、誘電率等といったウェハ
112特性を監視することができる。また、ある実施形態では、ウェハ
112の表面に対し垂直に配置された検出器116によって、ウェハ表面に直交する方向の散乱光が検出される。加えて、ウェハ表面の構造から直に反射されてきた光を検出器116によって検出することができる。ある実施形態では、ウェハ112から散乱されてきた光が検出器114a及び114bによって検出される。この場合、被サンプリング点に対するその検出器の位置に従い、1個又は複数個の検出器114
a、114bに前方散乱光、側方散乱光又は後方散乱光が集まることとなろう。注記すべきことに、この1個又は複数個の検出器114a、114b、116及び118には本件技術分野で既知な任意の検出器が含まれうる。例えば、CCD検出器、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)及び/又は光電子増倍管(PMT)等が検出器114a、114b、116又は118に含まれうる。更に注記すべきことに、この1個又は複数個の検出器114a、114b、116又は118を、ウェハ112上の複数個の検出領域(例.1本又は複数本の走査線122の1個又は複数個の領域)から同時に信号を検出するよう構成されたマルチチャネル検出器とすることができる。おわかり頂けるように、検出器(例.114a、114b、116又は118)のチャネル間クロストークは、所与検出領域からの照明光(例.散乱光)がある単一のチャネルでのみ検出されるようウェハ112上の検出領域同士を分離させることで、抑えることができる。
【0027】
図2に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るスポット走査システムでのビーム経路を示す。ある実施形態ではビーム102が照明源101により生成され、そのビームがビーム偏向
器上に入射する。ビーム偏向器
は、ビーム
102をある角度域に亘り掃引させるので、その角度域により角速度が定まる。例えば、
ビーム102はビーム偏向器により第1位置204aから第2位置204bまで偏向される。ビーム偏向
器には本件技術分野で既知な任意のビーム偏向器が含まれうる。例えば、音響光学偏向器、電子光学偏向器、ポリゴン偏向器、レゾナント偏向器、ガルバノメータ偏向器等でビーム偏向
器を形成することができる。ある実施形態におけるビーム偏向
器は音響光学偏向器であり、固体媒質202bで形成されると共にトランスデューサ202aが結合されていて、その固体媒質202b内を伝搬する超音波を発生させるべくそのトランスデューサ202aが構成されている。固体媒質202bの特性例えば屈折率が伝搬波によって修正されるため、ビーム102は、固体媒質202bとの相互作用により超音波波長に応じ偏向される。更に、その超音波は固体媒質202b内を媒体内音速で伝搬するので、駆動信号の周波数だけでなく固体媒質202b内音速によっても超音波の波長が左右される。ある実施形態では、トランスデューサ202aによって、コントローラ130により生成された駆動信号に応じ超音波が生成される。
【0028】
ある実施形態では、レンズアセンブリ206によってビーム
102の角度掃引が
走査ビーム
108の直線掃引に変換され、そのレンズアセンブリ206から差し向けられる。ある実施形態ではレンズ
アセンブリ206によってその
走査ビーム
108が平行光化される。また、ある実施形態では、
レンズアセンブリ206の1個又は複数個のレンズによって
走査ビーム
108の空間プロファイルが修正される。更に、ある実施形態ではレンズアセンブリ206によって
走査ビーム
108の直径が拡張される。
【0029】
ある実施形態では、移動レンズとして構成された音響光学偏向器210へと
走査ビーム
108が差し向けられる。トランスデューサ210aはコントローラ130に可通信結合されており、その周波数が直線的に変化する超音波からなるチャープパケッ
トを発生させ、固体媒質210b内のある
走査方向214に沿いそのパケットを伝搬させる。このチャープパケッ
トは、上記チャープパケッ
ト上に入射した
走査ビーム
108が線216上のある位置に集束するよう移動円柱レンズとして動作するのであり、光ビー
ムのうち、そのチャープパケッ
トの比較的低周波数な部分に入射した部分が、そのチャープパケッ
トのうち比較的高周波数な部分に入射した部分よりも、小さく偏向されることとなる。ある実施形態における円柱レンズ209は、チャープパケッ
トにより誘起された焦点の方向に対し直交する平面内に走査ビーム108を集束させる。その際、円柱レンズ209の軸は走査方向214に対し平行な方向を向く。円柱レンズ209は、(例.
図2に示すように)音響光学偏向
器の前に配置してもよいし、音響光学偏向
器の直後に配置してもよい。ある実施形態では
走査ビーム
108の位置及び直線掃引速度がチャープパケッ
トの伝搬と同期化される。こうすることで、移動中の
位置212aのチャープパケッ
ト上に
位置208aのビー
ムを入射させることができ、そのチャープパケッ
トが位置212aから212bへと伝搬するにつれ、
位置208aのビー
ムが相応に位置208aから位置208bへと移動することとなる。結果として、チャープパケッ
トから差し向けられた走査ビーム108がある線216上に集束され、その線沿いがその走査ビームで直線的に走査される。注記すべきことに、チャープパケッ
トの幅は固体媒質210bの長さ未満にすることができる。更に注記すべきことに、複数個のチャープパケッ
トを固体媒質210b内で同じ手順内時刻にて伝搬させることができる。
【0030】
また、ある実施形態では、レンズと「フラッドモード」で動作する単一の音響光学偏向
器とによりビームスキャナ106が形成される。この場合、そのレンズ
アセンブリ206によってビーム102が拡大され、静止ビーム
102で以て音響光学偏向
器の全長が照明される。そのため、伝搬中の1個又は複数個のチャープパケッ
トをその静止ビーム
102の一部分により持続的に照明可能な一方、そのビーム
102のうち伝搬中の1個又は複数個のチャープパケッ
トに入射しない部分が、音響光学偏向
器により集束されないままとなる。
【0031】
ある実施形態では、レンズ107により走査ビーム108が平行光化され、対物レンズ110によりその走査ビーム108がウェハ112上に集束される。ある実施形態では、テレセントリックな構成となるようそれらリレイレンズ107及び対物レンズ110が配置される。また、ある実施形態ではリレイレンズ107及び対物レンズ110が共通光軸を共有する。また、ある実施形態では、対物レンズ110の光軸222を、リレイレンズ107の光軸220に対し、平行のままシフトさせる。これにより、対物レンズ110の光軸222を、ウェハ112上の集束走査ビーム108の走査線122上にセンタリングすることができる。ある種の実施形態によれば、
システム100に更なる光学素子を組み込むこと、例えばリレイレンズ
107・対物レンズ
110間に位置するようにプリズム及び/又はミラー等を組み込むことができる。非限定的な例を以て言えば、
システム100に、リレイレンズ
107の瞳を対物レンズ
110上にセンタリングするよう構成された1個又は複数個のミラーを組み込むことができる。
【0032】
図3は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る走査及び画像捕捉用の駆動信号、特に計測画像のうち3個の画素カラムを生成するための3回の直線走査に係るものを示すタイミング
図300である。ある実施形態ではチャープパケット駆動信号302が音響光学偏向
器のトランスデューサ210aに送られ、チャープパケッ
トに係る超音波の直線変化性周波数がそれにより定まる。チャープパケット駆動信号302は一連のチャープパケット周波数ランプ303
a,303b,303cを有しており、各チャープパケット周波数ランプ303a,303b,303cがチャープパケッ
トに対応している。従って、各チャープパケット周波数ランプ303a,303b,303cに応じた走査ビーム108の直線走査によって、計測画像中の画素カラムが生成される。ある実施形態では、チャープパケット駆動信号302に係るチャープパケット周波数ラン
プによりチャープパケッ
トに係る開始周波数、終了周波数及び帯域幅が定まる。また、ある実施形態では、チャープパケット周波数ラン
プの幅に応じチャープパケット212の幅が定まる。更に、ある実施形態では、チャープパケット周波数ランプ303
a,303b,303c間を隔てる遅延310により、走査ビーム108の走査とその次の走査との間の遅延が定まる。
【0033】
また、ある実施形態ではビーム走査駆動信号304がビーム偏向
器のトランスデューサ202aに送られ、チャープパケッ
ト上に向かう
走査ビーム
108の偏向がその信号により制御される。ビーム走査駆動信号304は一連のビーム走査周波数ラン
プを有しており、固体媒質202b内超音波周波数ひいてはビーム
102の偏向角をそのランプにより制御することができる。その際には、チャープパケット周波数ランプ303aに係るチャープパケッ
トに対する
走査ビーム
108の位置がビーム走査周波数ランプ305aにより制御され、チャープパケット周波数ランプ303bに係るチャープパケット上に向かう
走査ビーム
108の偏向がビーム走査周波数ランプ305bにより制御され、且つチャープパケット周波数ランプ303cに係るチャープパケット上に向かう
走査ビーム
108の偏向がビーム走査周波数ランプ305cにより制御される。
【0034】
注記すべきことに、本件開示の全実施形態でビーム走査駆動信号304が必要なわけではない。一例としては、音響光学偏向
器の全長が静止ビーム
102で照明されるよう、システム100に備わる単一の音響光学偏向
器を「フラッドモード」で動作させ、伝搬している1個又は複数個のチャープパケッ
トを持続的に照明する例がある。
【0035】
また、ある実施形態では画像捕捉駆動信号306が1個又は複数個の検出器(例.114a、114b、116又は118)に送られ、ウェハ112上での走査ビーム108の直線走査に係るデータ捕捉窓がその信号により定まる。ある実施形態では、その画像捕捉駆動信号306が一連の画像捕捉パル
スを有し、画像捕捉パル
スのうちに1個又は複数個の検出器(例.114a、114b、116又は118)によりデータが捕捉される。その場合、チャープパルス周波数ランプ303aに係るチャープパル
ス向けの画像捕捉窓が画像捕捉パルス307aにより定まり、チャープパルス周波数ランプ303bに係るチャープパル
ス向けの画像捕捉窓が画像捕捉パルス307bにより定まり、且つチャープパルス周波数ランプ303cに係るチャープパル
ス向けの画像捕捉窓が画像捕捉パルス307cにより定まる。また、ある実施形態では、チャープパケット周波数ランプの始期に対しある遅
延(例.312a、312b及び312c)で以て画像捕捉パル
スが発生する。
【0036】
また、ある実施形態ではサンプリング駆動信号308が1個又は複数個の検出器(例.114a、114b、116又は118)に送られ、画像捕捉
窓内サンプリングタイミングがその信号により制御される。ウェハ112上での所与被サンプリング位置の在処は、画像捕捉駆動信号306の始期からのサンプリングスポット遅
延と、サンプリング駆動信号308内パルスとにより定めることができる。ある実施形態では、サンプリングスポット遅延314−1により第1の被サンプリング位置が定まり、サンプリングスポット遅延314−2により第2の被サンプリング位置が定まる。注記すべきことに、どの検出器(例.114a、114b、116又は118)からのデータ収集も本件技術分野で既知な任意方法を用い実行することができる。例えば、検出器(例.114a、114b、116又は118)の出力をディジタル化するよう構成されているアナログディジタルコンバータを、サンプリング駆動信号308によってトリガすればよい。また、ある実施形態では、そのサンプリング駆動信号
308に含まれるパルスが、アナログディジタルコンバータのサンプリングクロックに対応する、ある一定の繰り返し速度を有する。更に、ある実施形態によれば、サンプリングスポット遅
延を個別に制御することでサンプリング位置のスポット単位制御を行うことができる。
【0037】
ある実施形態では、そのウェハ112上の新たな個所を対象にして各直線走査を実行できるよう、サンプルステージ120によってウェハ112をビーム走査方向に直交する方向へと並進させる。一般に、ウェハ
112のサンプリンググリッドは、サンプリング駆動信号308のサンプリング速度並びにサンプルステージ120の並進の双方によって定まる。また、ある実施形態では、1回又は複数回の直線走査がウェハ112の並進に先立ち実行される。走査ビーム108による複数回のスキャンは、例えば、システムノイズを低減する上で望ましいと言えよう。
【0038】
サンプリンググリッドはウェハ112上での被サンプリング点の位置を定めるグリッドであり、例えばウェハ112配置時からある原アライメント誤差、機械振動、エアウィグル、気流及び/又は
走査ビーム108のドリフト等を含め複数通りの要因の帰結として、参照画像のサンプリンググリッドに対しミスアライメント(誤整列)になりうる。一般に、ランタイムアライメントシステムの帯域幅によって、ランタイムアライメントシステムによりアライメント誤差を補正可能な速度及び感度が規定される。ある実施形態ではアライメント誤差がライン単位ベースで緩和される。この場合、アライメント補正を
走査ビーム108の走査線毎に個別実行することができる。ある実施形態によれば、1回目の直線走査を実行することで、ウェハ112のサンプリンググリッドの粗アライメントを特定することができる。次いで、ウェハ112の位置に対する調整を、画像捕捉駆動信号
306及び/又はサンプリング駆動信号
308により開始させればよい。その上で2回目の直線走査を実行することで、ウェハ112のサンプリンググリッドが参照画像のサンプリンググリッドと最適整列するよう最終画像を生成することができる。また、ある実施形態ではアライメント誤差が点単位ベースで持続的に緩和される。この場合、被サンプリング位置からのフィードバックを持続的に利用することで、後続の走査個所におけるサンプリング位置を調整することができる。
【0039】
図4〜
図8に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るランタイムアライメント補正を示す。注記すべきことに、本システム100によれば、走査ビーム108の偏向角を、或いはウェハ112から集まった反射光及び/又は散乱光がサンプリングされるタイミングを、直に修正することにより
、広帯域幅電子ランタイムアライメントを適用することができる。この場合、本システム100により適用される補正の速度は主にコントローラ130のクロック速度に依存する。ある実施形態では、チャープパケット駆動信号302・画像捕捉駆動信号306間遅
延の調整を通じ走査線216の開始位置及び終了位置が修正される。ある実施形態における遅延の最小調整量は、それら駆動信号に係る時間サイクル316の周期長である。時間サイクル316の1回分という遅延調整量は、駆動信号308に係るサンプリングパルス間の周期の一部分に相当しうるものであり、更には、計測画像上での被サンプリング点の位置に対する画素の一部分相当の修正に相当しうるものである。このようにして、サブ画素リアルタイムアライメントを実行することができる。ウェハ112上での被サンプリング位置の在処に対応する調整量は、ビーム108によってウェハ112上が走査される速度、ひいてはチャープパケッ
トの固体媒質210b内伝搬速度に関係する。チャープパケット駆動信号302に対し画像捕捉駆動信号306を負シフトさせると、ウェハ112上での被サンプリング位置の在処が走査線122の始点方向にシフトする。同様に、チャープパケット駆動信号302に対し画像捕捉駆動信号306を正シフトさせると、ウェハ112上での被サンプリング位置の在処が走査線122の終点方向にシフトする。注記すべきことに、ウェハ112上での走査方向は(例.
図2に示すように)中間走査線216の方向に対し逆になりうる。
【0040】
また、ある実施形態ではサンプリング駆動信号308の修正を通じ各被サンプリング点の位置が個別調整される。ウェハ112上の各被サンプリング位置に係るサンプリングスポット遅
延を調整することで、ウェハ112のサンプリンググリッドを参照画像のサンプリンググリッドに対し最適整列させることができる。サンプリングスポット遅
延を短くするとウェハ112上では走査線122に沿い+y方向に被サンプリング位置がシフトし、サンプリングスポット遅
延を長くするとその走査線122に沿い−y方向に被サンプリング位置がシフトする。また、ある実施形態では、各被サンプリング位置に係る
画像捕捉駆動信号遅
延及びサンプリングスポット遅
延双方が、電子ランタイムアライメント中に同時調整される。この場合、そのシステム100により広帯域幅画素単位アライメント補正を実行することができる。
【0041】
図4A及び
図4Bに示すように、ある実施形態では、直線走査中の走査ビーム108の開始位置及び終了位置が、チャープパケッ
トの開始周波数402及び終了周波数403の調整を通じ調整される。開始周波数及び終了周波数に対するこの修正により、チャープパケッ
トが偏向され中間走査線216沿いに
位置108aの走査ビーム108が
位置108bに集束される度合いが、修正される。
図4Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、第1組の開始周波数402a及び終了周波数403aを有するチャープパケッ
トで以て構成された音響光学偏向
器の簡略模式図である。このチャープパケットは、方向214に沿い位置212aから位置212bへと伝搬する移動レンズとして動作する。
図4Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、第2組の開始周波数402b及び終了周波数403bを有しやはり方向214に沿い位置212aから位置212bへと伝搬するチャープパケッ
トで以て構成された、音響光学偏向
器の簡略模式図である。そのため、
走査ビーム108の集束位置が、開始周波数402及び終了周波数403間の差異に応じ
図4Bでは
図4Aよりも+y方向にシフトしている。こうして走査線216全体が+y方向にシフトし、それに呼応して被サンプリング点の位置がシフトする。また、ある実施形態によれば、チャープパケッ
トの開始周波数402及び終了周波数403を低下させることで、走査線216の開始個所及び終了個所を−y方向にシフトさせることができる。ある実施形態では、所与チャープパケッ
トに係る開始周波数402及び終了周波数403が、コントローラ130によりトランスデューサ210aへと駆動信号304に載せて送られる。注記すべきことに、ウェハ112上での走査方向は(例.
図2に示すように)中間走査線216の方向とは逆になりうる。このようにして、ウェハ112のサンプリンググリッドの広帯域幅ランタイムアライメントが、各走査線216の開始位置及び終了位置を修正することにより達成される。更に注記すべきことに、光学素子の物理的運動無しで動作するビーム偏向器(例.
図4A及び
図4Bに示したそれ)によれば、光学素子(例.反射素子又は屈折素子)の物理的運動が存するビーム偏向器よりも広帯域幅な補正を実現することができる。
【0042】
注記すべきことに、y方向における走査ビーム108の集束位置は、チャープパケットの帯域幅に少なくとも部分的に関係している。そのため、開始周波数402及び終了周波数403の修正による走査線216沿い集束位置のy方向調整を適宜構成することにより、走査中にz方向沿い焦点が保たれるよう一定の帯域幅を保つことができる。
【0043】
ある実施形態では、ウェハ112の画像の各画素がそのウェハ112のある単一位置のサンプルに関連付けされる。ウェハ112上をスポットでy方向に走査し、走査中に複数個の位置でそのウェハ112から反射光及び/又は散乱光を集めて画素のカラムを生成することによって、画像のカラムが生成される。そのサンプルをx方向に並進させて更なる走査を実行することによって、更なるカラムが生成される。
図5A〜
図5Cに、本件開示の一実施形態に係るランタイムアライメント、特に被計測物体と関連するサンプリンググリッドのy方向(例.直線走査沿い方向)沿い誤差を補正するためのそれを示す。
【0044】
図5A中、参照画像502は参照サンプリンググリッド504を伴っており、参照フィーチャに係る複数個の物体画素506を有している。計測画像512はランタイムアライメントが施されていない画像であり、被計測フィーチャに係る複数個の物体画素516を有している。被計測サンプリンググリッド514はランタイムアライメントが施されていないときの被サンプリング点の位置を特定するグリッドであり、参照サンプリンググリッド504に対し誤整列している。具体的には、
計測画像512のカラム9での直線走査に係る物体画素516が、参照画像502に対し、画素長にほぼ等しい長さ分、シフトしている。被計測サンプリンググリッド514のこうしたミスアライメントの起因としては、非限定的な例を以て言えば、計測プロセス中のサンプルステージ120の振動があろう。ランタイムアライメントにより被計測物体上での被サンプリング位置の位置を調整することによって、その補正サンプリンググリッド524が参照サンプリンググリッド504に整列している補正画像522を得ることができる。その補正画像522では被計測物体に係る物体画素526が適正に整列する。
【0045】
図5Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り補正画像522がもたらされるランタイムアライメントに係るタイミング図である。
図5Aによれば、計測画像512のカラム9内画素が−y方向に1画素分シフトしている。計測画像512のカラム9内画素のこうしたミスアライメントを補正するには、カラム9向け画像捕捉窓に係る遅
延を縮めることで、カラム9向けの走査ビーム108の走査でのサンプリングを早めに開始させればよい。具体的には、チャープパケット周波数ランプ303d・画像捕捉信号307d間を定格遅延312dにすることで補正画像522のカラム1〜8が得られる。チャープパケット周波数ランプ303e・画像捕捉信号307e間を修正版の遅延312eにすることで補正画像522のカラム9が得られる。遅延312eは遅延312dに対し時間サイクル316の1個分だけ、即ち計測画像512の1画素に相当する分だけ長めである。補正画像522のカラム10及び11は、定格遅延312dと等しい
、チャープパケット周波数ランプ303fと画像捕捉信号307fの間の遅延312fを用いることで得られる。
【0046】
図5Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り補正画像522がもたらされるランタイムアライメントに係る別のタイミング図である。計測画像512のカラム9内画素のミスアライメントを、直線走査中の走査ビーム108の開始位置及び終了位置を修正することによって補正するものである。直線走査中の走査ビーム108の開始位置及び終了位置は、チャープパケッ
トの開始周波数402及び終了周波数403によって制御される。具体的には、チャープパケット駆動信号302のレベル330a及び331aを定格値とし、ひいては開始周波数及び終了周波数を定格値(例.402a及び403a)とすることで、補正画像522のカラム1〜8が得られる。チャープパケット駆動信号302のレベル330b及び331bを修正値とし、ひいては開始周波数及び終了周波数を修正値(例.402b及び403b)とすることで、補正画像のカラム9が得られる。開始周波数及び終了周波数(例.402b及び403b)は、どの走査線でもチャープパケッ
トの帯域幅が一定に保たれるように修正される。その際には、補正画像522のカラム9向けの走査ビーム108の偏向角が調整される。補正画像522のカラム10及び11は、チャープパケット駆動信号302のレベル330c及び331cを定格値330a及び331aに等しくすることで得られる。
【0047】
図6A及び
図6Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るランタイムアライメント、特に被計測物体に関連するサンプリンググリッドのx方向(例.サンプルステージ120の運動方向)誤差を補正するそれを示す。
図6A中、参照画像602は参照サンプリンググリッド604を伴っており、参照フィーチャに係る複数個の物体画素606を有している。計測画像612はランタイムアライメントが施されていない画像であり、被計測フィーチャに係る複数個の物体画素616を有している。被計測サンプリンググリッド614はランタイムアライメントが施されていないときの被サンプリング点の位置を特定するグリッドであり、参照サンプリンググリッド604に対し誤整列している。具体的には、物体画素616が参照画像602に対し、x方向沿いに約(1/4)画素分、シフトしている。被計測サンプリンググリッド614のこうしたミスアライメントの起因としては、非限定的な例を以て言えば、計測プロセス中のサンプルステージ120の不正確な運動があろう。ランタイムアライメントにより被計測物体上での被サンプリング位置の在処を調整することにより、その補正サンプリンググリッド624が参照サンプリンググリッド604に整列している補正画像622を得ることができる。その補正画像622では被計測物体に係る物体画素626が適正に整列している。
【0048】
図6Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り補正画像622がもたらされるランタイムアライメントに係るタイミング図である。物体画素
616のミスアライメントを、相次ぐ走査間の遅延310を調整することで補正するものである。具体的には、チャープパケット周波数ラン
プ間を時間サイクル316の20倍相当の定格遅延310aにすることで、補正画像622のカラム1〜4が得られる。(1/4)画素分のシフトを補償すべく時間サイクル316の25倍相当の修正遅延310bとすることで、補正画像622のカラム5が得られる。時間サイクル316の20倍相当の定格遅延310aとすることで、補正画像622のカラム6〜11が得られる。また、ある実施形態では、サンプルステージ120を調整することによりx方向のアライメント誤差が調整される。注記すべきことに、x方向沿いアライメント誤差をy方向沿いアライメント誤差と同時に調整することができる。
【0049】
注記すべきことに、上掲の議論は、所与時点にてサンプル上が1個の集束照明スポットにより走査されるスポット走査システムを指向していた。これらの議論は専ら例証目的で提示されており、限定事項として解されるべきではない。ある実施形態では、走査線216沿いにある複数通りの位置が同時に照明されるよう、複数個のチャープパケッ
トを音響光学偏向
器内に順次伝搬させる。こうした構成のことを、マルチスポット走査システムと呼ぶことができる。また、ある実施形態によれば、2Dアレイを構成する
走査ビーム108をウェハ112の表面上に同時に集束させ、それらで走査することができる。更に、ある実施形態では、ビーム偏向器106・対物系110間に配置された回折性光学素子により、走査ビーム108を同時に複数本の走査ビーム108へと分岐させ、それらをウェハ112上に同時に集束させる。
【0050】
図7は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るシステム100、特に3本の走査ビーム108に係る3個の画像捕捉スポットで以てウェハ112上が同時に走査されるそれを示すタイミング図である。それら3本の走査ビーム108は本件技術分野で既知な任意の方法により生成することができる。ある実施形態では、走査ビーム108を3本の走査ビーム108へと分岐させるよう構成された光学素子をビーム偏向器106より後段、対物光学
レンズ110より前段に配置し、その光学素子によってそれら3本の走査ビーム108を発生させる。画像捕捉駆動信号306−1及びサンプリング駆動信号308−1は第1走査ビーム108に係る信号であり、画像捕捉駆動信号306−2及びサンプリング駆動信号308−2は第2走査ビーム108に係る信号であり、そして画像捕捉駆動信号306−3及びサンプリング駆動信号308−3は第3走査ビーム108に係る信号である。1個のチャープパケット駆動信号302及びビーム走査駆動信号304が3個のスポット全てに関わっている。
【0051】
マルチスポットシステム100ではランタイムアライメントを各走査ビーム108に個別適用することができる。更に、複数本の走査ビーム108によるランタイムアライメントを用いることで、複数本の走査ビーム108の結合視野に係るイメージング収差を部分的に補正することができる。例えば、マルチスポットシステム100により、ピンクッション歪み、バレル歪み等を含め収差を部分的に補正することができる。
図8A及び
図8Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るマルチスポットシステム100におけるピンクッション歪みの部分補正を示す。
図8Aに示されているのは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る、参照画像802、832及び862、ランタイムアライメントが施されていない計測画像812、842及び872、並びに3スポットシステム100に係りランタイムアライメントが施されている補正画像822、852及び882である。ある実施形態では、正方形フィーチャに係る物体画素814を有する画像が第1スポットを用いて生成され、隅部フィーチャに係る物体画素844を有する画像が第2スポットを用いて生成され、そして線状フィーチャに係る物体画素874を有する画像が第3スポットを用いて生成される。ピンクッション収差が現れているため、第1スポットに係りランタイムアライメントが施されていない被計測サンプリンググリッド816内の物体画素814が−y方向にシフトしており、第2スポットに係りランタイムアライメントが施されていない被計測サンプリンググリッド846内の物体画素842が正確にイメージングされており、そしてランタイムアライメントが施されていない被計測サンプリンググリッド876内の物体画素874が+y方向にシフトしている。スポット1及び3に係るサンプリンググリッド826、856及び886をランタイムアライメントにより調整することで、補正サンプリンググリッド826、856及び886が参照サンプリンググリッド806、836及び866に整列している補正画像822及び882を、得ることができる。収差補正性の調整を施さずとも、参照サンプリンググリッド836を基準にして補正サンプリンググリッド856を調整することができる。
【0052】
図8Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り補正画像822、852及び882がもたらされるランタイムアライメントに係るタイミング図である。3個のスポット間での画素のミスアライメントを、各スポットに係る
画像補正駆動信号遅
延を修正することにより補正するものである。具体的には、スポット2に係る補正画像852を定格遅延312−2を用い取得し、スポット1に係る補正画像822を、遅延312−2より時間サイクル316の1個分長い遅延312−1を用い取得し、そして、スポット3に係る補正画像882を、遅延312−2より時間サイクル316の1個分短い遅延312−3を用い取得するものである。
【0053】
注記すべきことに、
図7、
図8A及び
図8Bに係る3スポットシステム100並びに上掲の対応する記述は専ら例証目的で提示されたものであり、限定事項として解されるべきではない。マルチスポットシステムには複数本の走査ビーム108及びそれらに係るスポットを具備させることができる。更に、複数個のスポットに係る収差補正を各スポットに対する個別調整で以て同時に調整することが可能である。
【0054】
注記すべきことに、上述され且つ
図1〜
図9中に示されているシステム100に備わる一群の光学系は、専ら例証のために提示されたものであり、限定事項として解されるべきではない。推認できる通り、複数個の等価的又は付加的な光学的手段を本件開示の技術的範囲内で利用することができる。同じく推認できる通り、例えば円対称レンズ、円柱レンズ、ビーム整形器、ミラー、波長板、偏光子、フィルタ等を含め、1個又は複数個の光学素子をシステム内に配置することができる。非限定的な例を以て言えば、円柱レンズをビーム偏向器106より前段、或いはそのビーム偏向器より後段に配置することで、ウェハ112上での
走査ビーム108の空間プロファイルを修正することができる。
【0055】
図9は、本件開示の一実施形態に係るスポット走査型ウェハ検査システムのランタイムアライメント方法900のフロー図である。ステップ902では照明ビーム102が生成される。ステップ904では第1画像が格納される。ある実施形態では、その第1画像上の諸画素の中心位置により第1サンプリンググリッドが定まる。ステップ906では、ビーム走査装置、サンプルを堅持するためのサンプルステージ、並びにそのサンプルから受光する1個又は複数個の検出器のうち、少なくとも1個に一組の駆動信号(例.駆動信号302、304、306及び/又は308)を送ることで、1本又は複数本の直線走査線に沿いサンプルの少なくとも一部分をビームで直線的に走査させる。ある実施形態では、一組の駆動信号に基づき1本又は複数本の直線走査線沿いの1個又は複数個の被サンプリング位置にてそのサンプル(例.ウェハ)をサンプリングすることにより、第2画像が生成される。また、ある実施形態では、その1個又は複数個の被サンプリング位置を以て第2サンプリンググリッドが定まる。更に、ある実施形態では、1個又は複数個の被サンプリング位置に係るデータを第2画像の1個又は複数個の画素に対応付ける。ステップ908では、第2サンプリンググリッドの少なくとも一部分を第1サンプリンググリッドの少なくとも一部分と比較することで一通り又は複数通りのオフセット誤差が求められる。ステップ910では、一組の駆動信号のうち少なくとも1個の駆動信号を一通り又は複数通りのオフセット誤差に基づき調整することで、第2サンプリンググリッドを第1サンプリンググリッドと重ね合わせる。
【0056】
本願記載の主題では、時として、他の部材に含まれ又は接続・連結されている様々な部材が描出される。ご理解頂けるように、描出されているそれらのアーキテクチャは単なる例示であり、実際のところは同じ機能を提供する他の多様なアーキテクチャを実施することができる。概念的には、同じ機能を提供するどの部材配置も、その所望機能が提供されるよう効果的に「連携」する。従って、特定の機能を提供すべく本願中で組み合わされる任意の二部材を、アーキテクチャや介在部材にかかわらず、所望機能が提供されるよう互いに「連携」しているものと捉えることができる。同様に、そのように連携している任意の二部材を、所望機能を提供すべく互いに「接続・連結」又は「結合」されている二部材として捉えることができ、また、そのように連携させることが可能な任意の二部材を、所望機能を提供すべく互いに「結合可能」な二部材として捉えることができる。結合可能の具体例としては、例えば、物理的に相互作用可能であり及び/又は物理的に相互作用する部材、及び/又は無線連絡可能であり及び/又は無線連絡する部材、及び/又は論理的に相互作用し及び/又は論理的に相互作用可能な部材等がある。
【0057】
信ずるところによれば、本件開示及びそれに付随する長所の多くは上掲の記述により理解されるであろうし、被開示主題から離隔することなく又はその必須な長所を全て犠牲にすることなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な変形を施せることが、明らかであろう。記述済の形態は単なる例示であり、そうした変形を包括及び包含することが後掲の特許請求の範囲の意図である。更に、本件開示が別記請求項により定義されることをご理解頂きたい。