特許第6550801号(P6550801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550801
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】金属含有汚泥の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/147 20190101AFI20190722BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20190722BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20190722BHJP
   C08L 33/16 20060101ALI20190722BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   C02F11/147
   B01D21/01 107
   C02F11/00 C
   C08L33/16
   C08K3/08
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-43284(P2015-43284)
(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-159280(P2016-159280A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】磯部 和美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達哉
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201309(JP,A)
【文献】 特開平07−256298(JP,A)
【文献】 特開2013−215708(JP,A)
【文献】 特開2014−180648(JP,A)
【文献】 川村 和明,高分子凝集剤の開発と今後の展望,高分子 51巻 7月号,2002年,第504−507頁,URL,https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/51/7/51_7_504/_pdf/-char/ja [retrieved on 2018-08-17]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/52−56、11/00−20
B01D 21/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有汚泥をpH10〜13となるよう調整した後、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩化アルキル4級塩構造単位としてジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩構造単位を有し、アニオン性構造単位としてアクリル酸塩(塩)構造単位を有し、ノニオン性構造単位としてのアクリルアミド構造単位を有する両性高分子凝集剤を添加して脱水処理を行う金属含有汚泥の処理方法であって、
前記両性高分子凝集剤は前記両性高分子凝集剤を構成する全モノマー構造単位に対して、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩構造単位を40.0〜52.5質量%、アクリルアミド構造単位を含有量40.0〜52.5質量%、アクリル酸(塩)構造単位を5.0〜10.0質量%含有することを特徴とする金属含有汚泥の処理方法。
【請求項2】
前記金属含有汚泥に水酸化カルシウムを添加してpH10〜13となるよう調整することを特徴とする請求項1に記載の金属含有汚泥の処理方法。
【請求項3】
金属汚泥が、鉱山廃水、化学工場廃水、製錬所廃水、製鉄所廃水、メッキ工場廃水、塗料系廃水及びゴミ焼却場廃水の処理過程で得られるものである請求項1又は2のいずれか一項に記載の金属含有汚泥の処理方法。
【請求項4】
前記金属含有汚泥がチタンを含む金属含有汚泥である請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属含有汚泥の処理方法。
【請求項5】
前記金属含有汚泥中のチタン濃度が0.01〜1質量%である請求項4に記載の金属含有汚泥の処理方法。
【請求項6】
金属含有汚泥中の固形物の濃度が1.0質量%以上6.0質量%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属含有汚泥の処理方法。
【請求項7】
金属含有汚泥100質量部に対して前記両性高分子凝集剤を200〜500ppm添加する請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属含有汚泥の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属含有汚泥の処理方法に関し、特に、チタン、マグネシウム及びカルシウムを含む金属含有汚泥にアルカリを添加し、続けて高分子凝集剤を添加する金属含有汚泥の処理方法に関する。
【0002】
金属含有汚泥は、鉱山廃水、化学工場廃水、製錬所廃水、製鉄所廃水、メッキ工場廃水、塗料系廃水、ゴミ焼却場廃水などの処理過程より生じる。
【0003】
従来、重金属を含め、金属を含有する汚泥や廃水の処理方法としては、2官能性単量体単位を含む両性高分子凝集剤による処理方法(特許文献1)、アルカリ凝集沈殿を行った後に、高分子凝集剤で処理を行う方法(特許文献2,3)が提案されている。
【0004】
しかしながら、前記特許文献1〜3の方法は、いずれもフロック形成後、機械脱水に耐え得る十分に強固なフロックを形成させることができなかった。そのため、単位時間当たりの汚泥の処理量を大きくすることができず、ケーキ含水率も十分に低下させることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−309405号公報
【特許文献2】特開2013−141641号公報
【特許文献3】特開2008−264626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属含有汚泥の脱水処理において、凝集フロックの強度を高めて機械脱水に耐え得る十分に強固なフロックを形成させることで汚泥の脱水効率を向上し、ケーキ含水率の低下が達成できる金属含有汚泥の脱水方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、金属含有汚泥、特に、チタン、マグネシウム及びカルシウムを含む金属含有汚泥に、アルカリでpH調整した後、特定の高分子凝集剤を添加することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、金属含有汚泥をpH10〜13となるよう調整した後、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩化アルキル4級塩構造単位を有する両性高分子凝集剤を添加して脱水処理を行う金属含有汚泥の処理方法に存する。
【0009】
また、本発明は、前記金属含有汚泥がチタンを含む金属含有汚泥である請求項1に記載の金属含有汚泥の処理方法に存する。
【0010】
また、本発明は、前記金属含有汚泥中のチタン濃度が0.01〜1質量%である前記の金属含有汚泥の処理方法に存する。
【0011】
また、本発明は、前記ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩化アルキル4級塩構造単位がジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩構造単位である前記の金属含有汚泥の処理方法に存する。
【0012】
更に、本発明は、金属含有汚泥100質量部に対して前記両性高分子凝集剤を200〜500ppm添加する前記の金属含有汚泥の処理方法に存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の金属含有汚泥の処理方法によれば、金属含有汚泥の脱水処理において、凝集フロックの強度を高めて機械脱水に耐え得る十分に強固なフロックを形成させることで汚泥の脱水効率を向上し、ケーキ含水率の低下が達成できる金属含有汚泥の脱水方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。
尚、以下「ppm」は特に断りのない限り質量基準とする。本発明の金属含有汚泥の処理方法は、チタン、マグネシウム及びカルシウムを含む金属含有汚泥をpH10〜13に調整することにより金属を水酸化物として析出させる。ここにジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩化アルキル4級塩構造単位を有する両性高分子凝集剤を汚泥に200〜500ppm添加することで、高分子凝集剤の添加量不足及び過剰添加を起こすことなく、汚泥中の懸濁粒子の荷電中和による高分子鎖の絡まりを生じさせ、更に静電相互作用を起こすことで凝集作用を高めることができる。このため、フロックが細かくなりがちな金属含有汚泥に対しても、後工程の機械脱水に十分耐え得る強度を持ち合わせたフロックを形成させることができる。そのため、汚泥の処理量の向上、かつ、ケーキの脱水効果の向上を期待することができる。
【0015】
金属含有汚泥としては、チタンを0.01〜1質量%含み、更にマグネシウム及びカルシウムが含まれていれば、その他の成分の種類や濃度については特に限定されないが、前記金属含有汚泥中の固形物(以下TSと記す)の濃度は通常1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。また、6.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。前記範囲内であれば、前記金属含有汚泥をpH調整して析出した金属を凝集フロックに巻き込みながら凝集フロックを形成できるので、前記汚泥中の金属と固形物を効率的に除去することができる。
【0016】
前記金属含有汚泥のpH調整は、汚泥にアルカリを添加して行うことができる。前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などを挙げることができる。中でも廃水中の金属の析出のし易さより、前記pH調整用のアルカリとしては、水酸化カルシウムが好ましい。
【0017】
チタン、マグネシウム及びカルシウムを含む金属含有汚泥に水酸化カルシウムを添加してpHを調整し、金属水酸化物を析出させる。pH調整後のpHは10以上が好ましく、10.5以上がより好ましい。また、13以下が好ましい。pH10未満では汚泥中の金属を十分に捕集できず。pH13を超えると後工程で使用する両性高分子凝集剤がエステル系化合物である場合にはエステル基が加水分解を引き起こしてしまい、十分な強度を持つフロックを形成することができなくなる。
【0018】
高分子凝集剤は水溶液にしてから汚泥と混合することが好ましい。高分子凝集剤の水溶液の濃度は、通常0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、2質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。前記範囲内であれば、高分子凝集剤を効率よく前記汚泥に添加することができる。
【0019】
本発明の前記両性高分子凝集剤としては、カチオン性モノマー構造単位がジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩化アルキル4級塩であり、中でも、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩が好ましい。前記両性高分子凝集剤を構成する全モノマー構造単位に対するジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩構造単位の含有量は40.0〜52.5質量%が好ましい。ノニオン性モノマー構造単位としては、アクリルアミドが好ましく、アニオン性モノマー構造単位としては、アクリル酸(塩)が好ましい。前記両性高分子凝集剤を構成する全モノマー構造単位に対するそれぞれの含有量は、アクリルアミド構造単位の含有量は40.0〜52.5質量%、アクリル酸(塩)構造単位の含有量は5.0〜10.0質量%であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の前記両性高分子凝集剤の汚泥への添加量は200ppm以上が好ましく、250ppm以上がより好ましい。また、500ppm以下が好ましく、350ppm以下がより好ましい。前記範囲内であれば、高分子凝集剤を添加・撹拌する際に、高分子凝集剤が未反応となって残ることが無いため、ケーキの脱水効率が向上する。
【0021】
両性高分子凝集剤を汚泥に添加することで、汚泥中の懸濁粒子の荷電中和による高分子鎖の絡まりが生じ、更に静電相互作用を起こすことで凝集作用が高まる。このため、フロックが細かくなりがちな金属含有汚泥に対しても、後工程の機械脱水に十分耐え得る強度を持ち合わせたフロックを形成させることができる。そのため、汚泥の処理量の向上、かつ、ケーキの脱水効果の向上を期待することができる。
【0022】
本発明の前記両性高分子凝集剤を汚泥に添加する際に、無機凝結剤や有機凝結剤を併用することもできる。
【0023】
前記無機凝結剤としては、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄などを挙げることができる。中でも、汚泥の脱水性能が高いことから、硫酸バンドが好ましい。
【0024】
前記有機凝結剤としては、例えば、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアルキルアミノアルキルメタクリレートアルキルクロライド4級塩、ポリ(ジアルキルアミノアルキルアクリレートアルキルクロライド4級塩−アクリルアミド)、カチオン性界面活性剤などを挙げることができる。汚泥の脱水性能が高いので、ポリジアルキルアミノアルキルメタクリレートアルキルクロライド4級塩とポリ(ジアルキルアミノアルキルアクリレートアルキルクロライド4級塩−アクリルアミド)が好ましい。
【0025】
フロックを形成した後は、脱水機を用いてフロックを脱水し、脱水ケーキを得ることができる。脱水機の形式としては、例えば、フィルタープレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機、圧入式スクリュープレス型脱水機、真空型脱水機、ベルトプレス型脱水機、遠心型脱水機、多重円板型脱水機などが挙げられる。中でも、汚泥の脱水効率が高いのでフィルタープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機が好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の記載によって限定されるものではない。なお、本実施例及び比較例における「%」は特に断りのない限り「質量%」を示す。
【0027】
実施例及び比較例に使用した高分子凝集剤を表1に示す。表中の数値は各高分子凝集剤中のカチオン性モノマー構造単位、アニオン性モノマー構造単位、ノニオン性モノマー構造単位の含有率を質量%で示したものである。
【0028】
【表1】

AAm:アクリルアミド
DME:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩
DMC:ジメチルアミノエチルメタアクリレート塩化メチル4級塩
MBAA:メチレンビスアクリルアミド
AA:アクリル酸(塩)
【0029】
(実施例1)
チタン、マグネシウム及びカルシウムを含む塗料系金属含有汚泥に水酸化カルシウムを添加してpH11.8に調整した。調整後の汚泥のTSは、財団法人日本下水道協会編「下水試験方法上巻1997年度版」p116に従い測定したところ、5.38%であった。また、pH調整後の汚泥のチタン含有量はJIS H 1632−1:2014に記載のICP発光分光分析法で測定したところ、0.05質量%であった。前記汚泥300mLを500mLビーカーに取り、両性高分子凝集剤A(水溶液濃度0.3質量%)を25mL(汚泥への添加率250ppm)添加し、スパチュラを用いて200rpmで30秒撹拌してフロックを形成した。目視により平均フロック径を測定することでフロック径とした。50メッシュのナイロン製の濾布でフロックが形成した汚泥を濾過し、濾液の濁度を目視で評価した。濾液の濁度は以下の基準で判断した。
【0030】
−:濾液がほとんど透き通っており、浮遊物はほぼ見られない(SS量目安:50ppm未満)。
+:濾液に一部濁りが見られ、浮遊物がわずかに存在する(SS量目安:50ppm以上100ppm未満)。
++:濾液に部分的に濁りが見られ、浮遊物がところどころ存在する(SS量目安:100ppm以上200ppm未満)。
+++:濾液に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在する(SS量目安:200ppm以上500ppm未満)。
++++:濾液に全体的に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在し、一部粗大な大きさで存在する(SS量目安:500ppm以上1000ppm未満)。
【0031】
濾過後、濾布上に残ったフロックを0.1MPaの圧力で1分間プレス脱水して脱水ケーキを得、脱水ケーキの含水率を測定した。含水率の測定は、財団法人日本下水道協会編「下水試験方法上巻1997年度版」p296〜297に従い測定した。
【0032】
(実施例2)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Bに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0033】
(実施例3)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Cに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0034】
(実施例4)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH10.3にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0035】
(実施例5)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH12.5にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0036】
(実施例6)
両性高分子凝集剤Aの汚泥への添加率を200ppmにしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0037】
(実施例7)
両性高分子凝集剤Aの汚泥への添加率を400ppmにしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0038】
(比較例1)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Dに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0039】
(比較例2)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Dに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0040】
(比較例3)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH9.2にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0041】
(比較例4)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH13.8にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0042】
(比較例5)
両性高分子凝集剤Aをカチオン性高分子凝集剤Fに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0043】
(比較例6)
両性高分子凝集剤Aをアニオン性高分子凝集剤G(水溶液濃度0.1質量%)を75mL(汚泥への添加率250ppm)添加することに替えた以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0044】
実施例及び比較例における各試験結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
(実施例8)
チタン、マグネシウム及びカルシウムを含む塗料系金属含有汚泥に対し、水酸化カルシウムを添加してpH10.9に調整した。調整後の汚泥のTSは、4.59%であった。また、チタンの含有量はJIS H 1632−1:2014に記載のICP発光分光分析法で測定したところ、0.65質量%であった。前記汚泥300mLを500mLビーカーに取り、両性高分子凝集剤A(水溶液濃度0.3%)を35mL(汚泥への添加率350ppm)添加し、スパチュラを用いて200rpmで30秒撹拌した。フロック径の測定、濾液の濁度の判定、脱水ケーキの作製及び含水率の測定は実施例1と同様に行った。
【0047】
(実施例9)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Bに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0048】
(実施例10)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Cに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0049】
(実施例11)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH10.0にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0050】
(実施例12)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH13.0にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0051】
(実施例13)
両性高分子凝集剤Aの添加率を200ppmにしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0052】
(実施例14)
両性高分子凝集剤Aの添加率を450ppmにしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0053】
(比較例7)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Dに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0054】
(比較例8)
両性高分子凝集剤Aを両性高分子凝集剤Eに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0055】
(比較例9)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH9.5にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0056】
(比較例10)
水酸化カルシウムによる汚泥のpH調整をpH14.0にしたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0057】
(比較例11)
両性高分子凝集剤Aをカチオン性高分子凝集剤Fに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0058】
(比較例12)
両性高分子凝集剤Aをアニオン性高分子凝集剤G(水溶液濃度0.1質量%)を117mL(汚泥への添加率350ppm)添加することに替えたこと以外は実施例1と同様にして処理を行った。
【0059】
実施例及び比較例における各試験結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表2と表3の通り、本発明の処理方法に従えば、実施例1〜7及び実施例8〜14の通り、フロック径は大きくなり、含水率が低下する。これに対し、比較例3、4、9及び10の通りpH調整後の汚泥のpHが10〜13を外れると、フロック径が小さく、含水率が高くなる。
【0062】
また、比較例1、2、7及び8の通り、両性高分子凝集剤中のカチオン性モノマー構造単位が異なると、含水率が低下しなくなる。
カチオン性高分子凝集剤のみあるいはアニオン性高分子凝集剤のみで処理をした場合にもフロックが形成されにくく、含水率が低下しない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、金属含有汚泥にアルカリを添加し、続けて高分子凝集剤を添加する金属含有汚泥の処理方法として広く適用できる。