(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間膜は、当該合わせガラスの前記上辺の端部において、当該合わせガラスの底辺の端部よりも厚さが厚くなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の合わせガラス。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明について説明する。
【0019】
(従来の車両用の合わせガラスについて)
本発明による車両用の合わせガラスの特徴をより良く理解するため、まず、
図1を参照して、従来の車両用の合わせガラスの構成について簡単に説明する。
【0020】
図1には、従来の車両用の合わせガラスの模式的な断面図を示す。
【0021】
図1に示すように、従来の車両用の合わせガラス1は、第1のガラス基板10と、第2のガラス基板20と、両ガラス基板10、20の間に配置された中間膜30とで構成される。
【0022】
中間膜30は、2つのガラス基板10、20を相互に結合する役割を有する。また、中間膜30は、外線遮蔽性材料を有する。
【0023】
前述のように、赤外線遮蔽性材料は、波長700nm〜1000nmの領域において、光線透過率を有意に低下することができる。従って、赤外線遮蔽性材料を含む中間膜30を有する車両用の合わせガラス1では、車両内の温度上昇を有意に抑制することができる。
【0024】
ここで、車両用の合わせガラスには、しばしば、レインセンサ、衝突防止センサ、白線検知器、およびナイトビジョン装置などのセンサ装置が配置される場合がある。
【0025】
しかしながら、車両用の合わせガラス1では、中間膜30が赤外線遮蔽性材料を含むため、車両用の合わせガラス1にそのようなセンサ装置を設置することは難しい。中間膜30に含まれる赤外線遮蔽性材料によって、センサ装置を作動する際に利用される可視光(長波長側)〜近赤外線の波長の光線が遮蔽されてしまうからである。
【0026】
このように、従来の車両用の合わせガラス1では、車両内の温度上昇の抑制効果と、センサ装置の適正作動とを両立させることは難しい。
【0027】
これに対して、本発明では、車両用の合わせガラスであって、
第1のガラス基板と第2のガラス基板の間に配置された中間膜を有し、
前記中間膜は、前記第1のガラス基板に近い側から、第1の外層、内層、および第2の外層を有し、
前記内層は、前記第1の外層および第2の外層に比べて低いショア硬度を有し、
前記第1の外層および第2の外層は、赤外線遮蔽性材料を含み、
前記第1の外層の、当該合わせガラスの上辺の端部には、赤外線遮蔽性材料が実質的に含有されていない第1の非遮蔽性部分が形成され、該第1の非遮蔽性部分は、無着色樹脂を有し、および/または
前記第2の外層の、当該合わせガラスの上辺の端部には、赤外線遮蔽性材料が実質的に含有されていない第2の非遮蔽性部分が形成され、該第2の非遮蔽性部分は、無着色樹脂を有することを特徴とする合わせガラスが提供される。
【0028】
このような本発明による車両用の合わせガラスでは、中間膜が、赤外線遮蔽性材料を含む第1の外層および赤外線遮蔽性材料を含む第2の外層を有するため、車両内の温度上昇を有意に抑制することができる。
【0029】
また、本発明による車両用の合わせガラスでは、第1の外層および第2の外層の少なくとも一方は、当該合わせガラスの上辺の端部に、赤外線遮蔽性材料が実質的に含有されていない非遮蔽性部分を有する。また、この非遮蔽性部分は、無着色樹脂を有し、好ましくは、無着色樹脂から成る。
【0030】
このような車両用の合わせガラスの構成では、合わせガラスの上辺側に、可視光(長波長側)〜近赤外線の波長を有する光線を遮蔽しない、高透過性領域を提供することができる。従って、センサ装置を車両用の合わせガラスのこの高透過性領域に配置することにより、センサ装置を適正に作動させることが可能となる。
【0031】
以上の効果により、本発明による車両用の合わせガラスでは、センサ装置の作動に悪影響を及ぼさずに、車両内の温度上昇を有意に抑制することができる。
【0032】
(本発明の一実施例による車両用の合わせガラスについて)
次に、
図2および
図3を参照して、本発明の一実施例による車両用の合わせガラスについて、詳しく説明する。
【0033】
図2には、本発明の一実施例による車両用の合わせガラス(以下、「第1の車両用合わせガラス」と称する)の正面図を模式的に示す。また、
図3には、
図2に示した第1の車両用合わせガラスのA−A線に沿った断面図を模式的に示す。
【0034】
図2に示すように、第1の車両用合わせガラス100は、第1の主表面101を有し、該第1の主表面101の反対側には、第2の主表面102が存在する。第1の車両用合わせガラス100は、上辺170を有する。第1の車両用合わせガラス100は、第1の主表面101から見たとき、第1の領域103Aと、第2の領域103Bとを有する。
【0035】
図3に示すように、第1の車両用合わせガラス100は、第1のガラス基板110と、第2のガラス基板120と、両ガラス基板110、120の間に配置された中間膜130とで構成される。
【0036】
第1のガラス基板110は、相互に対向する第1および第2の表面111、112を有する。また、第2のガラス基板120は、相互に対向する第1および第2の表面121、122を有する。このうち、第1のガラス基板110の第1の表面111は、第1の車両用合わせガラス100の第1の主表面101を構成し、第2のガラス基板120の第1の表面121は、第1の車両用合わせガラス100の第2の主表面102を構成する。
【0037】
中間膜130は、2つのガラス基板110、120を相互に結合する役割を有する。また、中間膜130は、3つの層を有する。すなわち、中間膜130は、第1のガラス基板110に近い側から、第1の外層140、内層145、および第2の外層150を、この順に積層することにより構成される。
【0038】
内層145は、第1および第2の外層層140、150に比べて、可塑剤の含有量が多くなっており、このため、相対的により柔らかくなっている。このような中間膜130の構成では、他の層に比べて柔らかい内層145が中央部分に配置されているため、可聴域内の周波数の音波が減衰されやすくなる。従って、このような構成を有する第1の車両用合わせガラス100では、良好な遮音性能を発揮することができる。
【0039】
ここで、本願では、中間膜130の各層140、145、150の柔軟性(硬度)は、室温(25℃)でのショア硬度で規定するものとする。ショア硬度とは、JIS K6253(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験)、またはASTM D2240(ゴム特性・ジュロメータ硬さ試験方法)に準拠した方法によって測定される測定対象の硬度を意味する。
【0040】
なお、
図3からは明確ではないが、中間膜130の第1および第2の外層層140、150内には、赤外線遮蔽性材料が分散されている。第1および第2の外層層140、150内に赤外線遮蔽性材料を分散させることにより、第1の車両用合わせガラス100において、赤外線遮蔽性能を発現させることができ、これにより車内の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
再度
図3を参照すると、中間膜130を構成する第1の外層140は、第1の車両用合わせガラス100の上辺170の端面側に、第1の非遮蔽性部分160aを有する。同様に、第2の外層150は、第1の車両用合わせガラス100の上辺170の端面側に、第2の非遮蔽性部分160bを有する。
【0042】
第1の外層140の第1の非遮蔽性部分160aおよび第2の外層150の第2の非遮蔽性部分160bは、
図2における第1の車両用合わせガラス100の第1の領域103Aに対応する。換言すれば、第1の外層140および第2の外層150の、非遮蔽性部分160aおよび160bが配置された領域が、第1の車両用合わせガラス100の第1の領域103Aとなり、第1の外層140および第2の外層150の、非遮蔽性部分160aおよび160bが配置されていない領域が、第1の車両用合わせガラス100の第2の領域103Bとなる。
【0043】
ここで、第1の非遮蔽性部分160aには、無着色樹脂から成るものの、赤外線遮蔽性材料は実質的に分散されていない。同様に、第2の非遮蔽性部分160bには、無着色樹脂から成るものの、赤外線遮蔽性材料は実質的に分散されていない。すなわち、第1の外層140は、赤外線遮蔽性材料を実質的に含有しない第1の非遮蔽性部分160aと、赤外線遮蔽性材料が分散されたその他の部分とで構成される。同様に、第2の外層150は、赤外線遮蔽性材料を実質的に含有しない第2の非遮蔽性部分160bと、赤外線遮蔽性材料が分散されたその他の部分とで構成される。
【0044】
第1の外層140をこのように構成することにより、第1の外層140の面内に、赤外線遮蔽性能を有する部分と、実質的に赤外線遮蔽性能を有しない部分とを形成することができる。同様に、第2の外層150の面内に、赤外線遮蔽性能を有する部分と、実質的に赤外線遮蔽性能を有しない部分とを形成することができる。
【0045】
また、これにより、第1の車両用合わせガラス100の主表面101、102に、赤外線遮蔽性能を有しない第1の領域103Aと、赤外線遮蔽性能を有する第2の領域103Bとを形成することができる。
【0046】
このような構成の第1の車両用合わせガラス100では、第2の領域103Bの存在により、車両内の温度上昇を有意に抑制することができる。また、センサ装置を第1の領域103Aに配置した場合、センサ装置を作動させる際に必要な光線が遮蔽されることが有意に軽減または回避され、センサ装置を適正に作動させることが可能となる。
【0047】
(第1の車両用合わせガラス100の各構成部材について)
次に、
図2および
図3に示したような第1の車両用合わせガラス100を構成する各部材について詳しく説明する。
【0048】
(第1の車両用合わせガラス100)
前述のように、第1の車両用合わせガラス100は、第1の領域103Aおよび第2の領域103Bを有する。
【0049】
第1の領域103Aの幅(端部(上辺170)からの長さ)は、特に限られない。第1の領域103Aの幅は、例えば50mm〜200mmの範囲であっても良い。
【0050】
なお、第1の領域103Aは、必ずしも、第1の車両用合わせガラス100の上辺170全体に構成されている必要はない。例えば、第1の領域103Aは、第1の車両用合わせガラス100の上辺170の一部に形成されていても良い。
【0051】
また、第1の車両用合わせガラス100は、例えば車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス、またはルーフガラス等に適用されても良い。
【0052】
また、第1の車両用合わせガラス100は、略平坦な形状であっても良く、あるいは一部または全部が曲面形状を有しても良い。
【0053】
(ガラス基板110、120)
第1のガラス基板110は、ガラスで構成される限り、いかなる組成であっても良い。また、第1のガラス基板110は、例えば、複数の部材を積層することにより構成されても良く、例えば、ガラス板と樹脂板の積層体であっても良い。
【0054】
第1のガラス基板110の厚さは、特に限られないが、フロントガラスを想定した場合、第1のガラス基板110の厚さは、例えば、1.0mm〜2.5mmの範囲である。
【0055】
第2のガラス基板120に対しても、第1のガラス基板110と同様のものが使用できる。
【0056】
(中間膜)
中間膜130は、前述のように、少なくとも3つの層140、145、150から構成される。
【0057】
各層は、例えば、ポリビニルアセタール系の樹脂、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体系の樹脂で構成されても良い。
【0058】
いずれかの層がポリビニルアセタール系の樹脂の場合、ポリビニルアセタールの種類は、特に限られない。ポリビニルアセタールは、例えば、ポリビニルブチラールであっても良い。
【0059】
各層における可塑剤の量は特に限られないが、通常の場合、内層145は、可塑剤の含有量が最も多いこと留意する必要がある。なお、通常の場合、第1の外層140と第2の外層150に含まれる可塑剤の含有量は、ほぼ等しい。
【0060】
可塑剤の種類は、特に限られない。可塑剤は、例えば、トリエチレングリコール ジ−2−エチルヘキサノネートであっても良い。
【0061】
前述のように、内層145は、外層140、150に比べて、室温でのショア硬度が低くなっている。なお、第1の外層140と第2の外層150の室温でのショア硬度は、実質的に等しくても異なっていても良い。
【0062】
(赤外線遮蔽性材料)
第1の外層140および/または第2の外層150に含まれる赤外線遮蔽性材料は、特に限られない。
【0063】
無機材料系の赤外線遮蔽性材料としては、例えば、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W、V、およびMoの金属、酸化物、窒化物、ならびに硫化物から選定された材料、またはこれらにSbもしくはFをドープした材料が挙げられる。無機材料系の赤外線遮蔽性材料は、特に、アンチモンがドープされた酸化スズ、またはスズがドープされた酸化インジウムであることが好ましい。赤外線遮蔽性材料が粒子状である場合、その粒径は特に限られないが、例えば、0.2μm以下であっても良く、例えば0.0001μm〜0.15μmの範囲である。
【0064】
有機系の赤外線遮蔽性材料としては、例えば、ジイモニウム系色素、アンスラキノン系色素、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素、ジチオール系金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素等が挙げられる。有機系の赤外線遮蔽性材料は、フタロシアニン系色素が好ましい。
【0065】
これらの赤外線遮蔽性材料は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。フタロシアニン系色素は、近赤外線波長領域に急峻な吸収を示す。従って、より広範囲の赤外線吸収能が要求される場合には、フタロシアニン系色素と、ITO微粒子、ATO微粒子および複合タングステン酸化物微粒子から選ばれる少なくとも1種を組合せて使用することが好ましい。
(車両用の合わせガラスの製造方法について)
次に、
図4を参照して、
図2および3に示したような第1の合わせガラスの製造方法の一例について、簡単に説明する。
【0066】
図4に示すように、この合わせガラスの製造方法は、
(i)第1のガラス基板、第2のガラス基板、および中間膜を製造するステップ(ステップS110)と、
(ii)前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板の間に前記中間膜を配置して、積層体を構成するステップ(ステップS120)と、
(iii)前記積層体を減圧環境下で加圧および加熱するステップ(ステップS130)と、
を有する。
【0067】
なお、上記ステップのうち、ステップS120およびステップS130は、当業者には良く知られている。また、第1のガラス基板および第2のガラス基板の製造方法としては、従来の方法が使用できる。そこで、ここでは、特にステップS110における中間膜の製造方法について、詳しく説明することにする。
【0068】
また、以下の説明では、明確化のため、各部材を示す際に、
図2および
図3に示した参照符号を使用する。
【0069】
(中間膜130の製造方法)
まず、以下の手順で、中間膜130の第1の外層140および第2の外層150用の混合原料(混合原料Aと称する)を調製する。
【0070】
樹脂原料、赤外線遮蔽性材料、および可塑剤溶液を準備する。樹脂原料は、前述のような材料、すなわちポリビニルアセタール系の樹脂、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体系の樹脂などであっても良い。また、可塑剤溶液としては、前述のような材料、すなわちトリエチレングリコール ジ−2−エチルヘキサノネートなどを用いることができる。
【0071】
次に、可塑剤溶液中に赤外線遮蔽性材料を溶解させる。なお、可塑剤溶液には、任意で、顔料、酸化防止剤、および/または有機系紫外線吸収材を添加しても良い。
【0072】
次に、この赤外線遮蔽性材料を溶解させた可塑剤溶液を樹脂原料に添加し、混合、混練することにより、混合原料Aを調製する。
【0073】
次に、以下の手順で、非遮蔽性部分160aおよび非遮蔽性部分160b用の混合原料(混合原料Bと称する)を調製する。
【0074】
樹脂原料および可塑剤溶液を準備する。樹脂原料は、混合原料Aの調製時に使用されるものと同様のものであっても良いが、無着色樹脂である必要がある。また、可塑剤溶液としては、混合原料Aの調製時に使用されるものと同様のものを用いても良い。可塑剤溶液には、任意で、顔料、酸化防止剤、および/または有機系紫外線吸収材を添加しても良い。
【0075】
次に、この可塑剤溶液を樹脂原料に添加し、混合、混練することにより、混合原料Bを調製する。
【0076】
さらに、以下の手順で、内層145用の混合原料(混合原料Cと称する)を調製する。
【0077】
樹脂原料および可塑剤溶液を準備する。樹脂原料は、混合原料Aの調製時に使用されるものと同様のものであっても良い。また、可塑剤溶液としては、混合原料Aの調製時に使用されるものと同様のものを用いても良い。可塑剤溶液には、任意で、顔料、酸化防止剤、および/または有機系紫外線吸収材を添加しても良い。
【0078】
次に、この可塑剤溶液を樹脂原料に添加し、混合、混練することにより、混合原料Cを調製する。ここで、樹脂原料に添加される可塑剤溶液の量は、混合原料Aを調製する場合に比べて多いことに留意する必要がある。内層145は、外層140、150に比べて、柔らかくする必要があるからである。
【0079】
次に、前述の工程で得られた混合原料A〜Cを用いて一度に押出成形を行い、中間膜130用のフィルムを製造する。
【0080】
押出成形の際には、混合原料Bを両側から挟むように混合原料Aを配置した構成(外層用構成部分と称する)が2組形成されるように、各混合原料を配置する。また、各外層用構成部分の間に、混合原料Cが配置されるように、各混合原料を配置する。このような配置状態で、一度に押出成形を行うことにより、例えば
図3に示したような層構造を有する中間膜130を製造することができる。
【0081】
なお、中間膜130は、上記以外の方法で製造されても良いことは、当業者には明らかである。
【0082】
(本発明の一実施例による車両用の合わせガラスについて)
次に、
図5を参照して、本発明の一実施例による別の車両用の合わせガラスについて説明する。
【0083】
図5には、本発明の一実施例による別の車両用の合わせガラス(以下、「第2の車両用合わせガラス」と称する)の断面図を模式的に示す。
【0084】
図5に示すように、第2の車両用合わせガラス200は、基本的に、前述の
図2および
図3に示した第1の車両用合わせガラス100と同様の構成を有する。従って、
図5において、
図2および
図3と同様の部材には、
図2および
図3に示した参照符号に100を加えた参照符号が付されている。
【0085】
ただし、第2の車両用合わせガラス200は、中間膜230の第2の外層250が非遮蔽性部分を有しない点で、第1の車両用合わせガラス100とは、異なっている。すなわち、第2の車両用合わせガラス200では、第2の外層250の全体に、赤外線遮蔽性材料が分散されている。
【0086】
一方、第1の外層240は、第1の車両用合わせガラス100の場合と同様に、第2の車両用合わせガラス200の上辺270の端面側に、非遮蔽性部分260を有し、この非遮蔽性部分260は、無着色樹脂を有する。
【0087】
このような構成の第2の車両用合わせガラス200においても、第1の車両用合わせガラス100と同様の効果、すなわち車両内の温度上昇の抑制と、センサ装置の適正作動の両方の効果を得ることができることは当業者には明らかであろう。
【0088】
なお、
図5の例では、非遮蔽性部分260は、中間膜230の第1の外層240の端部に設けられている。しかしながら、非遮蔽性部分260は、中間膜230の第2の外層250の端部に設けられても良い。
【0089】
(本発明の一実施例による車両用の合わせガラスについて)
次に、
図6を参照して、本発明の一実施例によるさらに別の車両用の合わせガラスについて説明する。
【0090】
図6には、本発明の一実施例によるさらに別の車両用の合わせガラス(以下、「第3の車両用合わせガラス」と称する)の断面図を模式的に示す。
【0091】
図6に示すように、第3の車両用合わせガラス300は、基本的に、前述の
図5に示した第2の車両用合わせガラス200と同様の構成を有する。従って、
図6において、
図5と同様の部材には、
図5に示した参照符号に100を加えた参照符号が付されている。
【0092】
ただし、第3の車両用合わせガラス300は、中間膜330が、第3の車両用合わせガラス300の底辺の側から上辺370の側に向かって、厚さが増加する構成を有する点が、第2の車両用合わせガラス200とは異なっている。
【0093】
より具体的には、第1の外層340、内層345、および第2の外層350は、いずれも第3の車両用合わせガラス300の底辺の側から上辺370の側に向かって、厚さが厚くなっている。中間膜330の底辺と上辺の膜厚差は、例えば0.5〜1.0mmである。
【0094】
また、第1の外層340は、第2の車両用合わせガラス200の場合と同様に、第3の車両用合わせガラス300の上辺370の端面側に、非遮蔽性部分360を有し、この非遮蔽性部分360は、無着色樹脂を有する。
【0095】
一般に、中間膜の第1の外層の端部に非遮蔽性部分を導入する際に、第1の外層の厚さが薄すぎると、そのような非遮蔽性部分を適正に配置することが難しい場合がある。
【0096】
しかしながら、第3の車両用合わせガラス300では、非遮蔽性部分360は、第1の外層340の、厚さが厚い方の端部(すなわち、上辺370側の端部)に配置されている。この場合、第1の外層340の端部に、非遮蔽性部分360をより容易かつ適正に配置することが可能になるという利点が得られる。
【0097】
このような構成の第3の車両用合わせガラス300においても、第1および第2の車両用合わせガラス100、200と同様の効果、すなわち車両内の温度上昇の抑制と、センサ装置の適正作動の両方の効果を得ることができることは当業者には明らかであろう。
【0098】
特に、底辺から上辺に向かって厚さが厚くなる中間膜を有する従来の車両用合わせガラスでは、車両用合わせガラスの上辺の側に、熱遮蔽性材料を含む厚い中間膜が存在することになるため、可視光(長波長側)〜近赤外線の波長を有する光線が遮蔽される傾向がより顕著になる。
【0099】
しかしながら、第3の車両用合わせガラス300では、第1の外層340の上辺370の側の端部に、熱遮蔽性材料を含まない非遮蔽性部分360が配置されている。このため、第3の車両用合わせガラス300では、上辺370側の領域において、可視光(長波長側)〜赤外線の波長を有する光線が遮蔽されるという問題に対して、より大きな効果が得られる。
【0100】
なお、
図6の例では、非遮蔽性部分360は、中間膜330の第1の外層340の端部に設けられている。しかしながら、非遮蔽性部分360は、中間膜330の第2の外層350の端部に設けられても良い。
【0101】
あるいは、非遮蔽性部分360は、中間膜330の第1の外層340および第2の外層350の両方の端部に形成されても良い。
【0102】
以上、本発明の一実施例によるいくつかの車両用の合わせガラスの構成について説明した。しかしながら、本発明がこれらの態様に限られないことは当業者には明らかである。
【0103】
例えば、
図6に示した第3の車両用合わせガラス300では、中間膜330を構成する3層340、345、350の全てが底辺から上辺に向かって厚さが厚くなる構成となっている。しかしながら、中間膜330を構成する第1の外層340および/または第2の外層350のみが底辺から上辺に向かって厚さが厚くなる構成となっていても良い(すなわち、少なくとも中間膜330を構成する内層345は、実質的に均一な厚さを有しても良い)。
【0104】
その他にも第1〜第3の車両用合わせガラス100、200、300において、様々な変更および修正が可能であることは当業者には明らかである。