(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551267
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】セメントモルタル組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20190722BHJP
C04B 24/38 20060101ALI20190722BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20190722BHJP
E04F 13/02 20060101ALI20190722BHJP
E04F 15/12 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B24/38 A
C04B24/38 Z
C04B24/26 D
E04F13/02 A
E04F15/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-46488(P2016-46488)
(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公開番号】特開2017-160090(P2017-160090A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 秀和
(72)【発明者】
【氏名】山川 勉
【審査官】
浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102381858(CN,A)
【文献】
特開昭61−247650(JP,A)
【文献】
特開2007−269501(JP,A)
【文献】
特表2011−503333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性セルロースエーテル、タピオカを原料とする澱粉誘導体、セメント、骨材及び水を含むセメントモルタル組成物であって、タピオカを原料とする澱粉誘導体が、ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はヒドロキシエチル化澱粉であるセメントモルタル組成物。
【請求項2】
更に、ポリアクリルアミドを含む請求項1記載のセメントモルタル組成物。
【請求項3】
前記水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースである請求項1又は2記載のセメントモルタル組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシエチルメチルセルロースである請求項3記載のセメントモルタル組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが、アルキル基の置換度が1〜2、ヒドロキシアルキル基の置換モル数が0.05〜0.45のものである請求項3又は4記載のセメントモルタル組成物。
【請求項6】
ヒドロキシプロピル化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉が、置換モル数が0.01〜0.50のものである請求項1〜5のいずれか1項記載のセメントモルタル組成物。
【請求項7】
前記水溶性セルロースエーテルとタピオカを原料とする澱粉誘導体との添加比率が、質量比として51:49〜99:1である請求項1〜6のいずれか1項記載のセメントモルタル組成物。
【請求項8】
前記水溶性セルロースエーテルの添加量が、セメント及び骨材の合計量100質量部に対して0.02〜1.2質量部であり、タピオカを原料とする澱粉誘導体の添加量が、セメント及び骨材の合計量100質量部に対して0.002〜0.6質量部である請求項1〜7のいずれか1項記載のセメントモルタル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントモルタル組成物に関し、更に詳しくは、流動性の経時的な変化が少なく、鏝塗り作業性が優れ、かつ凝結時間が短く、工期を短縮可能なセメントモルタル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
左官材等の鏝で塗布するセメントモルタル組成物は、古くは天然物の「つのまた」等の海藻から得られる糊を加えることにより、塗布時の良好な作業性を確保していた。その後、半合成樹脂として水溶性セルロースエーテルが開発され、広く使用されている。
【0003】
このようなセメントモルタル組成物に関し、要求される物性として、良好な作業性(鏝による塗り易さ・仕上げのし易さ)、高い保水性(ドライアウト等による硬化不良防止)、ダレ防止性(タイルのズレ防止)等が求められており、作業現場での合理化が進む近年、これらの要求はますます高度になってきている。
例えば、特許文献1(特開2007−269501号公報)では、メチルセルロース系増粘剤と加工澱粉を使用する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−269501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、使用する加工澱粉の原料品質が限定されておらず、鏝塗り作業性の改善が十分でなかったり、凝結時間が著しく遅くなるなど、所望の特性が満足に得られない場合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、流動性の経時的な変化が少なく、鏝塗り作業性が優れ、かつ凝結時間が短く、工期を短縮可能なセメントモルタル組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、水溶性セルロースエーテルとタピオカを原料とした澱粉誘導体とを用いることにより、上記課題に対して顕著な効果を発現することを見出した。即ち、水溶性セルロースエーテル、タピオカを原料とする澱粉誘導体、セメント、骨材及び水をセメントモルタル組成物に配合すること、更に好ましくはポリアクリルアミドを配合することによって、流動性の経時的な変化が少なく、安定的に鏝塗り作業性が良好となり、かつ凝結時間が短く、工期の短縮が可能となり、馬鈴薯を原料とする澱粉誘導体を使用した場合には達成し得ない格別な作用効果を付与できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
従って、本発明は下記のセメントモルタル組成物を提供する。
〔1〕
水溶性セルロースエーテル、タピオカを原料とする澱粉誘導体、セメント、骨材及び水を含
むセメントモルタル組成物
であって、タピオカを原料とする澱粉誘導体が、ヒドロキシプロピル化澱粉及び/又はヒドロキシエチル化澱粉であるセメントモルタル組成物。
〔2〕
更に、ポリアクリルアミドを含む〔1〕記載のセメントモルタル組成物。
〔3〕
前記水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースである〔1〕又は〔2〕記載のセメントモルタル組成物。
〔4〕
前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシエチルメチルセルロースである〔3〕記載のセメントモルタル組成物。
〔5〕
前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが、アルキル基の置換度が1〜2、ヒドロキシアルキル基の置換モル数が0.05〜0.45のものである〔3〕又は〔4〕記載のセメントモルタル組成物。
〔6〕
ヒドロキシプロピル化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉
が、置換モル数が0.01〜0.50のものである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のセメントモルタル組成物。
〔7〕
前記水溶性セルロースエーテルとタピオカを原料とする澱粉誘導体との添加比率が、質量比として51:49〜99:1である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のセメントモルタル組成物。
〔8〕
前記水溶性セルロースエーテルの添加量が、セメント及び骨材の合計量100質量部に対して0.02〜1.2質量部であり、タピオカを原料とする澱粉誘導体の添加量が、セメント及び骨材の合計量100質量部に対して0.002〜0.6質量部である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のセメントモルタル組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、流動性の経時的な変化が少なく、鏝塗り作業性が優れ、かつ凝結時間が短く、工期を短縮可能なセメントモルタル組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のセメントモルタル組成物は、水溶性セルロースエーテル、タピオカを原料とする澱粉誘導体、セメント、骨材及び水を含有し、更に好ましくはポリアクリルアミドを含有する。
【0011】
本発明のセメントモルタル組成物は、保水性、可塑性を確保するため、水溶性セルロースエーテルを含む。
水溶性セルロースエーテルとして具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース等のアルキルセルロースが挙げられるが、本発明においては、保水性、鏝塗り作業の点から、特にヒドロキシアルキルアルキルセルロースを使用することが好ましく、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースである。
【0012】
更に、上記水溶性セルロースエーテルは、保水性、凝結遅延性の点から、アルキル基の置換度が1〜2であることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.9、更に好ましくは1.4〜1.8である。また、ヒドロキシアルキル基の置換モル数が0.05〜3であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.9、更に好ましくは0.15〜2.8である。
具体的にヒドロキシアルキルアルキルセルロースでは、アルキル基の置換度が好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.2〜1.9、更に好ましくは1.4〜1.8であり、ヒドロキシアルキル基の置換モル数が好ましくは0.05〜0.45、より好ましくは0.10〜0.40、更に好ましくは0.15〜0.35である。
ヒドロキシアルキルセルロースでは、ヒドロキシアルキル基の置換モル数が好ましくは0.05〜3.00、より好ましくは0.10〜2.90、更に好ましくは0.15〜2.80である。
アルキルセルロースでは、アルキル基の置換度が好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.2〜1.9、更に好ましくは1.4〜1.8である。
【0013】
なお、上記水溶性セルロースエーテルにおいて、アルキル基の置換度は、セルロースのグルコース環単位当たり、アルコキシ基で置換された水酸基の平均個数であり、ヒドロキシアルキル基の置換モル数は、セルロースのグルコース環単位当たりに付加したヒドロキシアルコキシ基の平均モル数である(以下同様。)。
上記の水溶性セルロースエーテルの置換度(アルキル基の置換度、ヒドロキシアルキル基の置換モル数)の測定方法としては、第16改正日本薬局方記載のヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の置換度分析方法により測定される値から算出できる。
【0014】
水溶性セルロースエーテルの粘度は、保水性、鏝塗り作業性の点から、B−H型粘度計の回転数20rpmにおいて、20℃における1質量%の水溶液粘度が、好ましくは5〜30,000mPa・s、より好ましくは10〜25,000mPa・s、更に好ましくは15〜23,000mPa・s、とりわけ好ましくは30〜22,000mPa・sである。
【0015】
水溶性セルロースエーテルの添加量は、保水性、鏝塗り作業性の点から、後述するセメント及び骨材の合計量(以下、主成分系の合計量と略記。)100質量部に対し、好ましくは0.02〜1.2質量部、より好ましくは0.03〜0.7質量部、更に好ましくは0.04〜0.55質量部である。
【0016】
本発明では、鏝塗り作業性改善を目的として、タピオカを原料とする澱粉誘導体を用いる。タピオカを原料とした澱粉誘導体は、馬鈴薯など他の原料から製造した澱粉誘導体に比べ、セメントへの凝結遅延性が少なく、工期の短縮が可能となる。
【0017】
タピオカを原料とした澱粉誘導体としては、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等が挙げられ、1種又は2種以上を使用し得るが、特に、鏝塗り作業性改善の点から、ヒドロキシプロピル化澱粉を使用することが好ましい。
【0018】
上記澱粉誘導体の置換モル数は、鏝塗り作業性の点から、好ましくは0.01〜0.50、より好ましくは0.05〜0.45、更に好ましくは0.10〜0.40である。
上記澱粉誘導体の置換モル数とは、澱粉のグルコース環当たりに付加したヒドロキシプロピル基、ヒドロキシエチル基等の置換基のモル数をいう。澱粉誘導体の置換モル数の測定方法としては、澱粉・関連糖質実験法(中村,貝沼編,学会出版センター)に記載の方法が挙げられ、この方法によって測定できる。
【0019】
タピオカを原料とした澱粉誘導体の粘度は、鏝塗り作業性の点から、B−H型粘度計の回転数20rpmにおいて、20℃における5質量%の水溶液粘度が、好ましくは5〜50,000mPa・s、より好ましくは10〜40,000mPa・s、更に好ましくは20〜30,000mPa・s、とりわけ好ましくは40〜20,000mPa・sである。
【0020】
タピオカを原料とした澱粉誘導体の添加量は、鏝塗り作業性改善の点から、主成分系の合計量100質量部に対して0.002〜0.6質量部が好ましく、より好ましくは0.015〜0.3質量部、更に好ましくは0.02〜0.2質量部である。
【0021】
更に、水溶性セルロースエーテルとタピオカを原料とする澱粉誘導体との添加比率は、質量比として好ましくは51:49〜99:1、より好ましくは60:40〜97:3、更に好ましくは70:30〜95:5である。添加比率が上記範囲内であると、保水性と鏝塗り作業性がより優れる。上記範囲外の場合、保水性と鏝塗り作業性改善の両方を満足できない場合がある。
【0022】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、超早強ポルトランドセメント等の各種のセメントを用いることができる。
【0023】
セメントの添加量は、強度、硬化後の表面ひび割れの点から、主成分系の合計量100質量部中15〜85質量部が好ましく、より好ましくは20〜80質量部、更に好ましくは25〜75質量部である。
【0024】
骨材としては、一般の生コン製造や左官用細骨材に用いられる川砂、山砂、海砂、陸砂、珪砂等が好適である。粒径は、好ましくは0.075〜5mm、より好ましくは0.075〜2mm、更に好ましくは0.075〜1mmである。
【0025】
骨材の添加量は、主成分系の合計量100質量部中15〜85質量部が好ましく、より好ましくは20〜80質量部、更に好ましくは25〜75質量部である。なお、セメントと骨材の合計は100質量部である。
【0026】
また、骨材の一部を無機又は有機増量材と置き換えてもよい。
この場合、無機増量材としては、フライアッシュ、高炉スラグ、タルク、炭酸カルシウム、大理石粉(石灰石粉)、パーライト、シラスバルーン等が挙げられる。有機増量材としては、発泡スチレンビーズ、発泡エチレンビニルアルコールの粉砕物等が挙げられる。なお、無機又は有機増量材は、粒径5mm以下のものが、通常使用され、これを好適に使用できる。
【0027】
水の添加量は、強度、材料分離、鏝塗り作業性の点から、主成分系の合計量100質量部に対して15〜40質量部が好ましく、より好ましくは16〜37質量部、更に好ましくは17〜35質量部である。
【0028】
本発明においては、更に、セメントモルタル組成物のダレ防止を目的として、上記以外の他の水溶性高分子物質を使用することができる。この場合、水溶性高分子物質としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の合成高分子物質や、ペクチン、ゼラチン、カゼイン、ウェランガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム等の天然物由来の高分子物質が挙げられる。これらの中では、特にダレ防止の点から、ポリアクリルアミドを使用することが好ましい。
なお、上記水溶性高分子物質、特にポリアクリルアミドを添加する場合、その添加量は、ダレ防止の点から、主成分系の合計量100質量部に対して0.0005〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.05質量部である。
【0029】
更に、本発明のセメントモルタル組成物では、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、公知の減水剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、高分子エマルジョン、有機短繊維などを使用することができ、添加量は本発明の効果を損なわない範囲で通常量である。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0031】
[実施例、比較例]
<使用材料>
(1)下記の表1に記載の水溶性セルロースエーテル
(2)下記の表2に記載の澱粉誘導体
(3)ポリアクリルアミド;SS−200(ハイモ社製)
(4)セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋マテリアル社製)
(5)骨材;珪砂5・6号(三河珪石社製)
(6)水
【0032】
なお、表1、2中のHPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロース、HEMCはヒドロキシエチルメチルセルロース、HPSはHPS;ヒドロキシプロピル化澱粉の略記である。
また、表1中の置換度はアルキル基の置換度、置換モル数はヒドロキシアルキル基の置換モル数であり、これらは上記と同様に第16改正日本薬局方記載のヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の置換度分析方法によって測定した値から算出した。表2中の置換モル数は、澱粉のグルコース環当たりに付加した置換基のモル数であり、澱粉・関連糖質実験法(中村,貝沼編,学会出版センター)に記載の方法によって測定した。
表1、2中の粘度は、B−H型粘度計(回転数20rpm)での測定値である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
上記材料を使用して下記方法でセメントモルタルを混練し、調製したセメントモルタル組成物を下記方法で評価した。結果を表3、4に示す。
【0036】
<セメントモルタル混練方法>
粉体材料(セメント、骨材、水溶性セルロースエーテル、澱粉誘導体、ポリアクリルアミド)を予めドライブレンドしておき、5リットルのモルタルミキサーに投入した。次いで、粉体材料を攪拌しながら所定量の水を投入した。混練は低速で3分間行い、その後、以下の測定を実施した。
【0037】
<評価方法>
1.セメントモルタル温度
セメントモルタルの練り上がり温度は、20±3℃になるように材料温度を調整した。
2.テーブルフロー試験
JIS R 5201に準じた。
3.軟度変化率
JIS A 6916に準じた。
4.保水率
JIS A 6916に準じた。
5.単位容積質量
JIS A 1171に準じた。
6.凝結始発時間
JIS A 6204に準じた。
7.曲げ強度
作製は、JIS R 5201に準じ、養生はJIS A 1171に準じた。
8.鏝塗り作業性(官能試験)
作業員5人による評価の平均値とした。5段階で官能評価し、基準を3とし、5は最も塗り易く、1は最も塗り難いことを示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
表3に示すように、水溶性セルロースエーテルとタピオカを原料とした澱粉誘導体を併用した本発明のセメントモルタル組成物(実施例1〜8)は、軟度変化率が0に近く(流動性の経時変化が少ない)、凝結始発時間が短く、鏝塗り作業性も良好であり、所望の特性が得られた。これに対して、表4に示すように、馬鈴薯を原料とした澱粉誘導体を使用したセメントモルタル組成物(比較例1〜3)は、軟度変化率の経時変化が大きく(流動性の経時変化が多い)、また、保水性も低いため、鏝塗り作業性に悪影響を及ぼす結果となった。