【文献】
ソルト・サイエンス・シンポジウム2012「海水・塩の科学」開催について,2013年 1月24日,URL,http://www.saltscience.or.jp/web_salence/2013No4_sympo2012.pdf
【文献】
Web-そるえんす,URL,http://www.saltscience.or.jp/web_salence/web_salence1.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物が、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート又はトリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレートである、請求項1又は2に記載の硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法。
前記感光性樹脂組成物が、トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法。
前記ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物が、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート又はトリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレートである、請求項9又は10に記載の感光性樹脂組成物。
前記感光性樹脂組成物が、トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含有する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、(ポリ)オキシエチレン鎖はオキシエチレン基又はポリオキシエチレン基を意味し、(ポリ)オキシプロピレン鎖はオキシプロピレン基又はポリオキシプロピレン基を意味する。
【0023】
また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0024】
さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0025】
本明細書においてタッチパネル用基材の硬化膜は、電極を有するセンシング領域、金属配線を有する額縁領域、又はその他の領域に設けることができる。タッチパネル用基材の硬化膜は、いずれかの領域のみに設けてもよく、複数の領域に設けてもよい。さらには、センシング領域に形成された電極の一部に設ける等、硬化膜を設ける位置及び範囲は、その使用の目的等に応じて適宜選択することが可能である。
【0026】
図1は、本発明の感光性エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示される感光性エレメント1は、支持フィルム10と、支持フィルム上に設けられた本発明に係る感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層(感光層)20と、感光層20の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とからなる。
【0027】
本実施形態の感光性エレメントは、タッチパネル用基材の硬化膜の形成に好適に用いることができる。
【0028】
支持フィルム10としては、重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等が挙げられる。
【0029】
支持フィルム10の厚さは、被覆性の確保と、支持フィルムを介して露光する際の解像度の低下を抑制する観点から、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましく、20〜35μmであることが特に好ましい。
【0030】
感光層20を構成する感光性樹脂組成物は、(A)成分:バインダーポリマー、(B)成分:ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含有する光重合性化合物、(C)成分:光重合開始剤と、を含有する。
【0031】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物によれば、10μm以下の厚みでも充分な低透湿性及び高い防錆性を有する硬化膜を形成することができる。
【0032】
(A)成分のバインダーポリマーとしては、例えば、カルボキシル基を有するポリマーを用いることができる。この場合、感光層の活性光線照射後の硬化膜部分以外を除去する際にアルカリ現像にて除去することができる。また、アルカリ現像等の現像工程を用いずに打ち抜き加工等にて上記所定部分以外を除去する場合には、カルボキシル基を有さなくても良い。
【0033】
本実施形態において、(A)成分は、(a)(メタ)アクリル酸、及び(b)(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含有する共重合体が好適である。
【0034】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステルが挙げられる。
【0035】
上記共重合体は、さらに、上記の(a)成分又は(b)成分と共重合し得るその他のモノマーを構成単位に含有していてもよい。
【0036】
上記の(a)成分又は(b)成分と共重合し得るその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びビニルトルエンが挙げられる。(A)成分であるバインダーポリマーを合成する際、上記のモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
バインダーポリマーの重量平均分子量は、解像度の見地から、10,000〜200,000であることが好ましく、15,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましく、40,000〜100,000であることが極めて好ましい。なお、重量平均分子量は、本願明細書の実施例と同一の条件で測定することができる。
【0038】
バインダーポリマーの酸価は、所望の形状を有する硬化膜を容易に形成する観点から、75mgKOH/g以上とすることが好ましく、硬化膜形状の制御容易性と硬化膜の防錆性との両立を図る観点から75〜200mgKOH/gであることがより好ましく、75〜150mgKOH/gであることがさらに好ましく、75〜120mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0039】
(A)成分であるバインダーポリマーの酸価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価の測定対象であるバインダーポリマー1gを精秤する。上記精秤したバインダーポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
酸価=0.1×Vf×56.1/(Wp×I/100)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定したバインダーポリマー含有する溶液の質量(g)を示し、Iは測定したバインダーポリマー含有する溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。なお、バインダーポリマーを合成溶媒や希釈溶媒などの揮発分と混合した状態で配合する場合は、精秤前に予め、揮発分の沸点よりも10℃以上高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去してから酸価を測定する。
【0040】
(A)成分であるバインダーポリマーの水酸基価は、防錆性をより向上させる観点から、50mgKOH/g以下であることが好ましく、45mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0041】
(A)成分の水酸基価は、次のようにして測定することができる。
まず、水酸基価の測定対象であるバインダーポリマー1gを精秤する。上記精秤したバインダーポリマーに、10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えてこれを均一に溶解し、100℃で1時間加熱する。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱する。その後、自動滴定機(平沼産業株式会社製「COM−1700」)を用いて、0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定することにより測定する。なお、水酸基価は次式により算出できる。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。なお、バインダーポリマーを合成溶媒や希釈溶媒と混合した状態で配合する場合は、予め、係る合成溶媒や希釈溶媒の沸点よりも10℃以上高い温度で1〜4時間加熱し、上記溶媒を除去してから水酸基価を測定する。
【0042】
(B)成分である光重合性化合物としては、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含む。具体的には、水分の進入を防止し、透湿性をより低下させるために、下記一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0043】
【化3】
[一般式(1)中、Xは、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を示す。Rは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示す。R
1、R
2は、水素原子又はメチル基を示す。n、mは0〜2を示す。p+q=0〜10を示す。]
【0044】
上記一般式(1)で表される化合物は、Xに含まれるジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造が嵩高い構造を有することで、光硬化後の物理的相互作用により低透湿性と高い防錆性を両立することができる。
【0045】
上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。Rはエチレン基又はプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。またプロピレン基はn−プロピレン基及びイソプロピレン基のいずれであってもよい。
【0046】
上記一般式(1)において、n、mは0〜2を示す。ここでn、mは炭素数1〜4のアルキレン基が、分子中にどの程度付加されているかを示すものである。従って、単一の分子については整数値を示すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。
【0047】
上記一般式(1)で表される化合物としては、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート又はトリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは商業的には、NKエステルDCP、NKエステルA−DCP(いずれも新中村化学工業株式会社製)として入手可能である。
【0048】
(B)成分である光重合性化合物としては、上記一般式(1)で表される化合物の他に、一官能ビニルモノマー、二官能ビニルモノマー、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーを混合しても良い。
【0049】
上記一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分の好適な例である共重合体の合成に用いられるモノマーとして例示したモノマーが挙げられる。
【0050】
上記二官能ビニルモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
上記3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールにα,β−不飽和飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物などが挙げられる。
【0052】
これらの中でも、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーを含有することが好ましい。
【0053】
3つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと上記一般式(1)を組み合わせて用いる場合、使用する割合に特に制限はないが、光硬化性、低透湿性及び防錆性を得る観点から、3つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの割合が、感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物の合計量100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましい。
【0054】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物における(A)成分及び(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、それぞれ(A)成分が35〜85質量部、(B)成分が15〜65質量部であることが好ましく、(A)成分が40〜80質量部、(B)成分が20〜60質量部であることがより好ましく、(A)成分が50〜70質量部、(B)成分が30〜50質量部であることがさらに好ましく、(A)成分が55〜65質量部、(B)成分が35〜45質量部であることが特に好ましい。
【0055】
(A)成分及び(B)成分の含有量を上記範囲内とすることにより、塗布性あるいは感光性エレメントでのフィルム性を充分に確保しつつ、充分な感度が得られ、光硬化性、現像性、低透湿性及び防錆性を充分に確保することができる。
【0056】
本実施形態において、(C)成分である光重合開始剤として、オキシムエステル化合物を含むことが好ましい。オキシムエステル化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物又は下記一般式(4)で表される化合物を含むことがより好ましい。このような感光性樹脂組成物を用いることにより、基材上に、薄膜であっても充分な防錆性を有する硬化膜を形成することができる。この硬化膜は、透明性にも充分優れる。
【0058】
上記一般式(2)中、R及びR
1は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示すが、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることがより好ましく、メチル基、シクロペンチル基、フェニル基又はトリル基であることがさらに好ましい。
また、R
2は、無置換、OH、COOH、O(CH
2)OH、O(CH
2)
2OH、COO(CH
2)OH又はCOO(CH
2)
2OHを示すが、無置換、O(CH
2)OH、O(CH
2)
2OH、COO(CH
2)OH又はCOO(CH
2)
2OHであることが好ましく、無置換、O(CH
2)
2OH又はCOO(CH
2)
2OHであることがより好ましい。
【0060】
上記一般式(3)中、R
3は、炭素数1〜6のアルキル基を示すが、プロピル基であることが好ましい。R
4は、NO
2又はArCOを示すが、Arはアリール基を示し、Arとしては、トリル基が好ましい。また、R
5及びR
6は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はトリル基を示すが、メチル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましい。
【0062】
上記一般式(4)中、R
7は、炭素数1〜6のアルキル基を示すが、エチル基であることが好ましい。また、R
8はアセタール結合を有する有機基であるが、下記式(4−1)に示す化合物が有する置換基であることが好ましい。さらに、R
9及びR
10は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はトリル基を示すが、メチル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0063】
上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、下記式(2−1)で表される化合物が挙げられる。これは、アデカクルーズNCI−930(株式会社ADEKA製、商品名)として入手可能である。
【0065】
上記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、下記式(3−1)及び(3−2)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物は、それぞれDFI−091、DFI−020(いずれもダイトーケミックス株式会社製、商品名)として入手可能である。
【0068】
上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、下記式(4−1)で表される化合物が挙げられる。アデカオプトマーN−1919(株式会社ADEKA製、商品名)として入手可能である。
【0070】
光重合開始剤は、上記一般式(2)で表される化合物、上記一般式(3)で表される化合物又は上記一般式(4)で表される化合物(オキシムエステル化合物)以外の光重合開始剤を併用して使用することもできる。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9´−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;3級アミン化合物;オキサゾール系化合物などが挙げられる。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0071】
(C)成分である光重合開始剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることがさらに好ましい。(C)成分の含有量は、光感度及び解像性に優れる点では、0.1質量部以上が好ましく、可視光透過率に優れる点では、20質量部以下であることが好ましい。
【0072】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、トリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含有することが好ましい。これにより、透湿性の低下に加えさらに銅等の金属を保護することにより防錆性が向上し、防錆性を有する硬化膜を形成することができる。硬化膜の防錆性をより向上させる観点から、メルカプト基を有するトリアゾール化合物、メルカプト基を有するテトラゾール化合物、メルカプト基を有するチアジアゾール化合物、アミノ基を有するトリアゾール化合物又はアミノ基を有するテトラゾール化合物を含有することがより好ましい。
【0073】
これらの中でもアミノ基を有するテトラゾール化合物を含有することが好ましい。具体的には、下記一般式(D−1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0074】
【化11】
上記一般式(D−1)中のR
11及びR
12は、各々独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アミノ基、メルカプト基、又はカルボキシメチル基を示し、R
11及びR
12の少なくともひとつは、アミノ基を有する。
【0075】
上記一般式(D−1)で表されるテトラゾール化合物の中でも、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノ−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、又は1−カルボキシメチル−5−アミノ−テトラゾールが好ましい。
【0076】
上記一般式(D−1)で表されるテトラゾール化合物は、その水溶性塩であっても好適である。具体例としては、1−メチル−5−アミノ−テトラゾールのナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0077】
これらの中でも、金属電極との密着性、現像容易性、透明性の観点から、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが特に好ましい。
【0078】
これらのテトラゾール化合物及びその水溶性塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.05〜10.0質量部とすることが好ましく、0.1〜2.0質量部とすることがより好ましく、0.2〜1.0質量部とすることがさらに好ましい。
【0080】
ところで、タッチパネルのITO電極上の一部に保硬化膜を設ける場合、例えば、センシング領域には硬化膜を形成せずに、額縁領域のITO電極及びITO電極上に銅などの金属層を形成した部分に硬化膜を設ける場合、全体に感光層を設けた後に露光、現像を行って不要な部分を除去することができる。この場合、感光層は、保護する電極に対する密着性は充分有しつつ、不要な部分では現像残りが生じないように良好な現像性が求められる。このような場合の密着性と現像性とを両立する観点から、本発明の感光性樹脂組成物は、光重合性不飽和結合を含むリン酸エステル(以下、(E)成分ともいう)を含有することが好ましい。
【0081】
(E)成分である光重合性不飽和結合を含むリン酸エステルとしては、形成する硬化膜の防錆性を充分確保しつつ、ITO電極に対する密着性と現像性とを高水準で両立する観点から、リン酸エステルとしては、下記の構造を有する化合物を用いることが好ましい。当該化合物は、PM21(日本化薬株式会社製)などの市販品が入手可能である。
【0083】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、その他、必要に応じて、シランカップリング剤等の密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤などを(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、各々0.01〜20質量部程度含有させることができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0084】
ここで、感光性樹脂組成物の可視光透過率は以下のようにして求められる。まず、支持フィルム上に感光性樹脂組成物を含有する塗布液を、乾燥後の厚みが10μm以下となるように塗布し、これを乾燥することにより、感光性樹脂組成物層(感光層)を形成する。次に、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物層(感光層)が接するようにラミネータを用いてラミネートする。こうして、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物層及び支持フィルムが積層された測定用試料を得る。次に、得られた測定用試料に紫外線を照射して感光性樹脂組成物層を光硬化した後、紫外可視分光光度計を用いて、測定波長域400〜700nmにおける透過率を測定する。
【0085】
なお、上述した好適な透過率とは、上記波長域における透過率の最小値を意味する。
【0086】
一般的な可視光波長域の光線である400〜700nmの波長域における透過率が90%以上であれば、タッチパネル(タッチセンサー)のセンシング領域の透明電極を保護する場合や、タッチパネル(タッチセンサー)の額縁領域の金属層(例えば、ITO電極上に銅層を形成した層)を保護したときにセンシング領域の端部から保護膜が見える場合において、センシング領域での画像表示品質、色合い、輝度が低下することを充分抑制することができる。
【0087】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、基材上に感光層を形成するために用いることができる。例えば、感光性樹脂組成物を溶媒(溶剤)に均一に溶解又は分散させて得ることのできる塗布液を調製し、基材上に塗布することで塗膜を形成し、乾燥により溶媒を除去することで感光層を形成することができる。溶媒としては、従来公知のものを適宜用いることができる。
【0088】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、感光性エレメント1のように、感光性フィルムに製膜して用いることが好ましい。感光性フィルムを、タッチパネル用基材上に積層することにより、ロールツーロールプロセスが容易に実現できる、溶剤(溶媒)乾燥工程が短縮できるなど、製造工程の短縮やコスト低減に大きく貢献することができる。
【0089】
感光性エレメント1の感光層20は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を含有する塗布液を調製し、これを支持フィルム10上に塗布、乾燥することにより形成できる。塗布液は、上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物を構成する各成分を溶剤に均一に溶解又は分散することにより得ることができる。溶剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用できる。
【0090】
感光層の厚みは、硬化膜形成により生じるタッチパネル(タッチセンサー)表面の段差が極力小さくなるよう、乾燥後の厚みで1μm以上、9μm以下であることが好ましく、1μm以上、8μm以下であることがより好ましく、2μm以上、8μm以下であることがさらに好ましいく、3μm以上、8μm以下であることが特に好ましい。
【0091】
本実施形態においては、感光層20が、可視光線透過率の最小値が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
【0092】
感光層20の粘度は、感光性エレメントをロール状とした場合に、感光性エレメント1の端面から感光性樹脂組成物がしみ出すことを1カ月以上防止する点及び感光性エレメント1を切断する際に感光性樹脂組成物の破片が基板に付着して引き起こされる活性光線を照射する際の露光不良や現像残り等を防止する点から、30℃において、15〜100MPa・sであることが好ましく、20〜90MPa・sであることがより好ましく、25〜80MPa・sであることがさらに好ましい。
【0093】
なお、上記の粘度は、感光性樹脂組成物から形成される直径7mm、厚さ2mmの円形の膜を測定用試料とし、この試料の厚さ方向に、30℃及び80℃で1.96×10
−2Nの荷重を加えたときの厚さの変化速度を測定し、この変化速度からニュートン流体を仮定して粘度に換算した値である。
【0094】
保護フィルム30(カバーフィルム)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンの積層フィルム等が挙げられる。
【0095】
保護フィルム30の厚さは、5〜100μm程度が好ましいが、ロール状に巻いて保管する観点から、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、40μm以下であることが特に好ましい。
【0096】
本実施形態においては、上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物及び溶媒を含有する塗布液を、タッチパネル用基材上に塗布し、乾燥して、感光性樹脂組成物からなる感光層20を設けてもよい。この用途の場合においても、感光層は上述した、膜厚、可視光線透過率を満たすことが好ましい。
【0097】
次に、タッチパネル用基材に硬化膜を形成する方法について説明する。
図2は、本発明の硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
【0098】
本実施形態の硬化膜付きタッチパネル用基材の製造方法は、タッチパネル用電極110及び120を有する基材100上に、上記の本実施形態に係る感光性樹脂組成物を含む感光層20を設ける第1工程(
図2(a))と、感光層20の所定部分を、活性光線の照射により硬化させる第2工程(
図2(b))と、活性光線の照射後に所定部分以外の感光層を除去し、電極の一部又は全部を被覆する感光性樹脂組成物の硬化膜パターンからなる保護膜22を形成する第3工程(
図2(c))と、を備える。こうして、タッチ入力シートである保護膜付きタッチパネル(タッチセンサー)200が得られる。
【0099】
本実施形態で使用される基材100としては、一般にタッチパネル(タッチセンサー)用として用いられる、ガラス板、プラスチック板、セラミック板等の基板が挙げられる。この基板上には、保護膜となる樹脂硬化膜を形成する対象となるタッチパネル用電極が設けられる。電極としては、ITO、Cu、Al、Mo等の電極、TFT等が挙げられる。また、基板上には、基板と電極との間に絶縁層が設けられていてもよい。
【0100】
また、タッチパネル用基材の他にも透明性が要求される基材を用いることができる。具体的には、ITO等の電極配線の不可視化のための光学調整膜用基材、プラズマディスプレイパネル(PDP)用基材、液晶ディスプレイ(LCD)モジュール用基材、フラットパネルディスプレイ(FPD)用基材が挙げられる。
【0101】
図2に示されるタッチパネル用電極110及び120を有する基材100は、例えば、以下の手順で得ることができる。PETフィルムなどの基材100上に、ITO、Cuの順にスパッタより金属膜を形成した後、金属膜上にエッチング用感光性フィルムを貼り付け、所望のレジストパターンを形成し、不要なCuを塩化鉄水溶液等のエッチング液で除去した後、レジストパターンをはく離除去する。
【0102】
上記第1工程〜上記第3工程では、従来公知の条件を用いることができる。これにより、本発明に係る硬化膜付きタッチパネル用基材を製造することができる。
【0103】
次に、
図3、
図4及び
図5を用いて、本発明の硬化膜の使用箇所の一例を説明する。
図3は、静電容量式のタッチパネルの一例を示す模式上面図である。
図3に示されるタッチパネルは、透明基板101の片面にタッチ位置座標を検出するためのタッチ画面102があり、この領域の静電容量変化を検出するための透明電極103及び透明電極104が基板101上に設けられている。透明電極103及び透明電極104はそれぞれタッチ位置のX座標及びY座標を検出する。
【0104】
透明基板101上には、透明電極103及び透明電極104からタッチ位置の検出信号を外部回路に伝えるための引き出し配線105が設けられている。また、引き出し配線105と透明電極103及び透明電極104とは、透明電極103及び透明電極104上に設けられた接続電極106により接続されている。また、引き出し配線105の透明電極103及び透明電極104との接続部と反対側の端部には、外部回路との接続端子107が設けられている。本発明に係る感光性樹脂組成物は、引き出し配線105、接続電極106及び接続端子107の保護膜122を形成するために好適に用いることができる。この際に、センシング領域にある電極を同時に保護することもできる。
図3では、保護膜122により、引き出し配線105、接続電極106、センシング領域の一部電極及び接続端子107の一部を保護しているが、保護膜を設ける箇所は適宜変更してもよい。例えば、
図4に示すように、タッチ画面102を全て保護するように保護膜123を設けてもよい。
【0105】
図5を用いて、
図3に示したタッチパネルにおいて、透明電極と引き出し配線の接続部の断面構造を説明する。
図5は、
図3に示されるC部分のV‐V線に沿った部分断面図であり、透明電極104と引き出し配線105の接続部を説明するための図である。
図5の(a)に示すように、透明電極104と引き出し配線105とは、接続電極106を介して電気的に接続されている。
図5の(a)に示すように、透明電極104の一部、並びに、引き出し配線105及び接続電極106の全部が、保護膜122で覆われている。同様に、透明電極103と引き出し配線105とは、接続電極106を介して電気的に接続されている。なお、
図5の(b)に示すように、透明電極104と引き出し配線105とが直接、電気的に接続されていてもよい。上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、上記構造部分の保護膜としての樹脂硬化膜パターンの形成のための使用に好適である。
【0106】
本実施形態における、タッチパネルの製造方法について説明する。まず、基材100上に設けられた透明電極101上に、透明電極(X位置座標)103を形成する。続いて、透明電極(Y位置座標)104を形成する。透明電極103及び透明電極104の形成は、透明基材100上に形成した透明電極層を、エッチングする方法などを用いることができる。
【0107】
次に、透明基板101の表面に、外部回路と接続するための引き出し配線105と、この引き出し配線と透明電極103及び透明電極104を接続する接続電極106を形成する。引き出し配線105及び接続電極106は、透明電極103及び透明電極104の形成後に形成しても、各透明電極形成時に同時に形成してもよい。引き出し配線105及び接続電極106の形成は、金属スパッタリング後、エッチング法などを用いることができる。引き出し配線105は、例えば、フレーク状の銀を含有する導電ペースト材料を使って、スクリーン印刷法を用いて、接続電極106を形成するのと同時に形成することができる。次に、引き出し配線105と外部回路とを接続するための接続端子107を形成する。
【0108】
上記工程により形成された透明電極103及び透明電極104、引き出し配線105、接続電極106、並びに、接続端子107を覆うように、本実施形態に係る感光性エレメント1を圧着し、上記電極上に感光層20を設ける。次に、転写した感光層20に対し、所望の形状にフォトマスクを介してパターン状に活性光線Lを照射する。活性光線Lを照射した後、現像を行い、感光層20の所定部分以外を除去することで、感光層20の所定部分の硬化物からなる保護膜122を形成する。このようにして、保護膜122を備えるタッチパネルを製造することができる。
【0109】
次に、
図6〜
図10を用いて、本発明に係る硬化膜の使用箇所を説明する。本発明の硬化膜は、例えば、
図7〜
図10の保護膜(絶縁膜)124としても好適に使用することができる。
【0110】
図6は、透明電極(X位置座標)103及び透明電極(Y位置座標)104が同一平面上に存在する静電容量式タッチパネルの一例を示す平面図であり、
図7は、その一部切欠き斜視図である。
図8は、
図7中のVI−VI線に沿った部分断面図である。上記静電容量式タッチパネルは、透明基板101上に、静電容量変化を検出して、X位置座標とする透明電極103と、Y位置座標とする透明電極104とを有する。これらのX、Y位置座標とするそれぞれの透明電極103、104には、タッチパネルとしての電気信号を制御するドライバ素子回路(図示せず)の制御回路に接続するための引き出し配線105a及び105bを有する。
【0111】
透明電極(X位置座標)103と透明電極(Y位置座標)104とが交差する部分には、絶縁膜124が設けられている。
【0112】
透明電極(X位置座標)103及び透明電極(Y位置座標)104が同一平面上に存在する静電容量式タッチパネルの製造方法について説明する。
【0113】
静電容量式タッチパネルの製造方法は、例えば、透明導電材料を用いた公知の方法により、透明電極(X位置座標)103と、後にY位置座標を検出する透明電極104となる透明電極の一部を透明基板101上に予め形成した基板を用いてもよい。
図9は、透明電極が同一平面に存在する静電容量式タッチパネルの製造方法の一例を説明するための図であり、(a)は透明電極を備える基板を示す一部切欠き斜視図であり、(b)は得られる静電容量式タッチパネルを示す一部切欠き斜視図である。
図10は、透明電極が同一平面に存在する静電容量式タッチパネルの製造方法の一例を説明するための図である。
【0114】
まず、
図9(a)及び
図10(a)に示されるような、透明電極(X位置座標)103と、透明電極の一部104aとが予め形成された基板を用意し、透明電極103の一部(透明電極の一部104aに挟まれる部分)に絶縁膜124を設ける(
図10の(b))。その後、公知の方法により、導電パターンが形成される。この導電パターンにより透明電極のブリッジ部104bを形成することができる(
図10(c))。この透明電極のブリッジ部104bにより、予め形成された透明電極の一部104a同士を導通することができ、透明電極(Y位置座標)104が形成される。
【0115】
予め形成された透明電極は、例えば、ITOなどを用いた公知の方法により形成されてもいてもよい。また、引き出し配線105a,105bは、透明導電材料の他、Cu、Ag等の金属などを用いた公知の方法で形成することが可能である。また、引き出し配線105a、105bが予め形成された基板を用いてもよい。
【0116】
図11は、その他の静電容量式タッチパネルの一例を示す部分平面図である。
図11に記載の構成は、タッチパネルの狭額縁化を意図したものである。
図11では、透明基板101上の透明電極104から延びた透明電極配線104c上に透明絶縁膜125が設けられており、さらに透明絶縁膜125上に引き出し配線105が設けられている。透明絶縁膜125の必要箇所の上下には開口部108が設けられており、透明電極104と引き出し配線105とが接続、導通されている。本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、上記構造の部分絶縁膜としての樹脂硬化膜パターンとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0118】
[バインダーポリマー溶液(A1)の作製]
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が約65,000、酸価が78mgKOH/g、水酸基価が2mgKOH/gのバインダーポリマーの溶液(固形分45質量%)(A1)を得た。
【0119】
【表1】
【0120】
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
GPC条件
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製、製品名)
【0121】
[酸価の測定方法]
また、酸価は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を、130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、酸価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、このポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解した。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=0.1×Vf×56.1/(Wp×I/100)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
【0122】
[水酸基価の測定方法]
水酸基価は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を、130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、水酸基価を測定すべきポリマー1gを精秤した後、精秤した感光性樹脂組成物を三角フラスコに入れ、10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えてこれを均一に溶解し、100℃で1時間加熱した。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱後、自動滴定機(平沼産業株式会社製「COM−1700」)を用いて、0.5mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定を行った。そして、次式により水酸基価を算出した。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。
【0123】
(実施例1〜8、比較例1〜5)
[感光性樹脂組成物を含有する塗布液の作製]
表2、表3に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、感光性樹脂組成物を含有する塗布液を作製した。
【0124】
[感光性エレメントの作製]
支持フィルムとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記で作製した感光性樹脂組成物を含有する塗布液を支持フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、感光性樹脂組成物からなる感光層(感光性樹脂組成物層)を形成した。得られた感光層の厚さは5μmであった。
【0125】
次いで、得られた感光層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、感光性エレメントを作製した。
【0126】
[透湿度測定]
得られた感光性樹脂組成物溶液(V−1)を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、アプリケータを用いて均一に塗布し、厚み40μmの感光性エレメント(E−2)を作製した。得られた感光性エレメント(E−2)をNo.5Cろ紙(アドバンテック製)上に感光層が接するようにロール温度80℃、基板送り速度0.6m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)0.5MPaの条件でラミネートし、No.5Cろ紙上に感光層及びポリエチレンテレフタレートフィルムが積層した積層体を作製した。
【0127】
上記で得られた積層体を作製後、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、ポリエチレンテレフタレートフィルム面垂直上方より露光量5×10
2J/m
2で(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した。
【0128】
次いで、感光層上に積層されている支持フィルムを剥離して除去し、さらに感光層側上方より露光量1×10
4J/m
2で(i線(波長365nm)における測定値)紫外線を照射し、厚さ40μmの感光層の硬化物が形成された透湿度測定用試料を得た。
【0129】
次いで、JIS規格(Z0208)を参考に、透湿度測定としてカップ法を実施した。測定カップ内に乾燥させた20gの塩化カルシウムを入れ、上記試験用試料から直径70mmの大きさにはさみで切り取った円形試料で蓋をし、恒温恒湿槽内にて60℃、90%RHの条件で24時間放置した。放置前後の質量変化から透湿度を算出し、以下の評点に従って透湿性を評価した。表4及び表5に測定結果を示した。
A : 透湿度≦350(g/m
2・24h)である。
B : 350<透湿度≦450(g/m
2・24h)である。
C : 透湿度>450(g/m
2・24h)である。
【0130】
[硬化膜の透過率の測定]
得られた感光性エレメントのカバーフィルムであるポリエチレンフィルムをはがしながら、厚さ1mmのガラス基板上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成株式会社製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10
5Pa(厚さが1mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたため、このときの線圧は9.8×10
3N/m)の条件でラミネートして、ガラス基板上に、感光層及び支持フィルムが積層された積層体を作製した。
【0131】
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量5×10
2J/m
2で(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、支持フィルムを除去し、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、厚さ5μmの硬化膜を有する透過率測定用試料を得た。
【0132】
次いで、得られた試料を株式会社日立ハイテクノロジーズ製、紫外可視分光光度計(U−3310)を使用して、測定波長域400〜700nmで可視光線透過率を測定し、最小値を算出した。表4及び表5に測定結果を示した。
【0133】
[硬化膜の塩水噴霧試験(人工汗液耐性評価試験)]
得られた感光性エレメントのポリエチレンフィルムをはがしながら、スパッタ銅付きポリイミドフィルム(東レフィルム加工株式会社製)上に、感光層が接するようにラミネータ(日立化成株式会社製、商品名HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10
5Pa(厚さが1mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたため、この時の線圧は9.8×10
3N/m)の条件でラミネートして、スパッタ銅上に、感光層及び支持フィルムが積層された積層体を作製した。
【0134】
次いで、得られた積層体の感光層に、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、感光層側上方より露光量5×10
2J/m
2で(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を照射した後、支持フィルムを剥離して除去し、さらに感光層側上方より露光量1×10
4J/m
2で(i線(波長365nm)における測定値)紫外線を照射し、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置した。厚み5.0μmの硬化膜が形成された人工汗液耐性評価用試料を得た。
【0135】
次いで、JIS規格(Z 2371)を参考に、塩水噴霧試験機(スガ試験機株式会社製STP−90V2)を用いて、試験槽内に前述の試料を載置し、濃度50g/Lの塩水(pH=6.7)を試験槽温度35℃、噴霧量1.5mL/hで48時間噴霧した。噴霧終了後、塩水を拭き取って、評価用試料の表面状態を観察し、以下の評点に従って評価した。表4及び表5に測定結果を示した。
A : 硬化膜表面に全く変化なし。
B : 硬化膜表面にごくわずかな痕跡が見えるが、銅は変化なし。
C : 硬化膜表面に痕跡が見えるが、銅は変化なし。
D : 硬化膜表面に痕跡があり、かつ銅が変色する。
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
表2の成分の記号は以下の意味を示す。(A)成分(A1):モノマー配合比(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル=12/58/30(質量比))である共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテル/トルエン溶液、重量平均分子量65,000、酸価78mgKOH/g、水酸基価2mgKOH/g、Tg60℃。
【0138】
(B)成分
A−DCP(新中村化学工業株式会社製、製品名)
【0139】
【化13】
(一般式(1)で、p=q=0、n=m=1、X=ジシクロペンタニル基)
T−1420(T):ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(日本化薬株式会社製)
A−DOG:ジオキサングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
BPE−100:エトキシ化ビスフェノールAメタクリレート、EO2.6mol(新中村化学工業株式会社製)
BPE−200:エトキシ化ビスフェノールAメタクリレート、EO4.0mol(新中村化学工業株式会社製)
FA−321M:EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、EO10mol(日立化成株式会社製)
【0140】
(C)成分
IRGACURE OXE01:1,2−オクタンジオン,1−[(4−フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF社製)
NCI−930:アデカクルーズNCI−930(前記式(2−1)、株式会社ADEKA製)
N−1919:アデカオプトマーN−1919(前記式(4−1)、株式会社ADEKA製)
DFI−091:ダイトーケミックス株式会社製(前記式(3−1)、他の光重合開始剤)
【0141】
(D)成分
B−6030:5−アミノ−1H−テトラゾール(千代田ケミカル株式会社製、商品名:チオエールB−6030)
(E)成分
PM21:光重合性不飽和結合を含むリン酸エステル(エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート、日本化薬株式会社製)
その他
AW500:Antage W−500、2,2´−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(川口化学工業株式会社製)
ADDITIVE8032:シリコーンレベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製)
メチルエチルケトン:東燃化学株式会社製
【0142】
【表4】
【0143】
【表5】
【0144】
表3に示した(B)成分として、ジシクロペンタニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物(上記一般式(5))を用いた実施例1〜8においては、5μmの膜厚において高い透明性を有しながら、低透湿性と高い防錆性(塩水噴霧試験)を両立することができた。
一方、比較例1においては、比較的高い防錆性(塩水噴霧試験)を得ることができたが、透湿性が比較的高く、両立することはできなかった。また、比較例2〜5においては、低透湿性と高い防錆性(塩水噴霧試験)を両立することができなかった。