特許第6551682号(P6551682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6551682-振動篩装置 図000002
  • 特許6551682-振動篩装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551682
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】振動篩装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/28 20060101AFI20190722BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B07B1/28 Z
   B07B1/46 K
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-47897(P2016-47897)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-159269(P2017-159269A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】立原 和季
(72)【発明者】
【氏名】加藤 篤史
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−155661(JP,U)
【文献】 実開昭54−050389(JP,U)
【文献】 実開平03−011468(JP,U)
【文献】 実開昭57−043870(JP,U)
【文献】 実開昭58−019789(JP,U)
【文献】 実開昭54−181070(JP,U)
【文献】 特開2005−087075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/28
B07B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、該ケース内に設けられたスクリーンと、前記ケースを振動させる振動手段と、を備えた振動篩装置であって、
前記ケースには、
篩分けされて前記スクリーン上に残留した残留物を前記ケース外に排出する残留物排出口が設けられており、
該残留物排出口から排出された残留物を排出する、一端が前記ケースの残留物排出口の近傍に設けられ一端から他端に向かって下傾した内底面を有する排出シュートを備えており、
該排出シュートは、
前記ケースが振動していない状態では、該ケースと非接触となるように設けられており、
前記排出シュートと前記ケースの間に緩衝部材が設けられており、
該緩衝部材は、
前記振動手段によって前記ケースが振動すると、該緩衝部材を介して、前記排出シュートと前記ケースが接触するように設けられている
ことを特徴とする振動篩装置。
【請求項2】
ケースと、該ケース内に設けられたスクリーンと、前記ケースを振動させる振動手段と、を備えた振動篩装置であって、
前記ケースには、
篩分けされて前記スクリーン上に残留した残留物を前記ケース外に排出する残留物排出口が設けられており、
該残留物排出口から排出された残留物を排出する、一端が前記ケースの残留物排出口の近傍に設けられ一端から他端に向かって下傾した内底面を有する排出シュートを備えており、
該排出シュートは、
前記ケースが振動していない状態では、該ケースと非接触となるように設けられており、
前記排出シュートを基礎に固定する脚部を備えており、
該脚部は、
前記排出シュートを該脚部の軸方向に沿って移動可能に保持する移動部を備えており、
該移動部が、
前記脚部の軸方向に沿って伸縮し得る弾性部材を備えている
ことを特徴とする振動篩装置。
【請求項3】
前記排出シュートと前記ケースの間に緩衝部材が設けられており、
該緩衝部材は、
前記振動手段によって前記ケースが振動すると、該緩衝部材を介して、前記排出シュートと前記ケースが接触するように設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の振動篩装置。
【請求項4】
前記脚部を複数備えており、
各脚部は、
長さを調整する軸長調整部を備えている
ことを特徴とする請求項2または3記載の振動篩装置。
【請求項5】
前記排出シュートの内底面には、超高分子ポリエチレンからなる層が形成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の振動篩装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動篩装置に関する。さらに詳しくは、振動篩装置において、篩別された物質を排出するシュートを備えた振動篩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大きさの異なる物質が混合した混合物から、その大きさによって物質を選別する場合には、所定の目を有する網などを有する篩が使用される。つまり、篩に混合物を入れて、篩をゆすったり振動させたりすれば、混合物を篩分けすることができる。
【0003】
このような篩分けを機械的行う装置として、振動スクリーンを有する振動篩装置がある(特許文献1参照)。振動篩装置は、混合物を供給する供給部と、水平や若干斜めに配置したスクリーン(網)と、この網を振動させる振動部と、篩分けされた物質を排出する排出部と、スクリーン上に残った物質を排出する篩上排出部と、を備えている。このため、スクリーン上に篩分けする混合物を載せて振動部を作動させれば、スクリーン上の混合物を篩分けすることができる。すると、スクリーンを通過した物質を排出部から外部に排出できる。また、スクリーン上に残った物質も、篩上排出部から排出することができる。
【0004】
振動篩装置からスクリーン上に残った物質を排出する篩上排出部には、一般的には排出シュートが使用される。排出シュートは傾斜した内底面を有しており、その一端から内底面上に物質が供給されれば、物質が内底面上を滑ったり転がったりして、排出シュートの他端から物質を排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−25975号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した構造を有する振動篩装置では、振動篩装置の篩上排出部から排出シュートの内底面上に物質を落下させることによって排出シュートに物質が供給される。篩上排出部から排出される物質はある程度の大きさを有するので、物質が落下した際の衝撃が大きく、その衝撃によって、排出シュートの内底面の変形や破損などの損傷が生じてしまう場合がある。かかる損傷が生じれば、排出シュートの内底面上を物質が移動しにくくなってしまい、悪くすると物質が排出シュート内に詰まってしまう可能性がある。したがって、排出シュートの内底面が損傷した場合には、物質の移動が維持されるように、補修等のメンテナンスが必要になる。
【0007】
一方、製錬プロセスなどの設備に振動篩装置が設けられた場合には、篩分けが連続して実施されるので、排出シュートにも物質が連続的に供給されることになる。つまり、排出シュートの内底面には繰り返し衝撃が加わる状況になる。すると、排出シュートの内底面の損傷は比較的短時間で発生する可能性があるので、排出シュートを頻繁にメンテナンスしなければならない。
【0008】
排出シュートの補修には、振動篩装置の作動を停止しなければならず、振動篩装置の停止に伴って設備も停止しなければならない場合がある。すると、排出シュートを頻繁にメンテナンスした場合には、設備自体の稼働効率が低下する可能性がある。
【0009】
そこで、排出シュートの損傷を防止する方法として、内底面に緩衝部材を張り付けて耐衝撃性を高めたり、排出シュート自体の剛性を強化したり振動篩装置と分離したりして耐振動性を高めたりする等の方法が採用されている。
【0010】
しかし、内底面に緩衝部材を張り付けて耐衝撃性を高めた場合、落下の衝撃は緩和できるものの、物質が移動するエネルギーも吸収されてしまう。すると、落下後に物質が排出シュート内を移動する力も低減する場合があり、物質の移動不良により、排出シュートが詰まってしまう可能性がある。
【0011】
耐振動性を高めるために剛性を強化する方法としては、排出シュートに使用する材料の肉厚を増加したり材質を変更したりすることが考えられる。一般的には、炭素鋼等の鉄板によって排出シュートは形成されるが、材料肉厚の増加は、振動篩装置の重量増加により処理能力低下や亀裂が入りやすくなるなどの問題が生じる。また、鉄板に比べて軽量かつ耐久性の高い素材によって排出シュートを製造した場合には、製造や維持費用の負担が増大する可能性が高い。しかも、かかる材料は繰り返し応力に対しては、必ずしも鉄板に対して優位性があるとはいえない。
【0012】
一方、排出シュートを振動篩装置の本体から分離して固定シュートとする方法もある。この場合には、振動篩装置の振動が固定シュートに加わらないので、耐振動性を考慮しなくてもよくなる。
【0013】
固定シュートの場合、振動篩装置の発生する振動を物質の移動に利用できないので、振動篩装置から固定シュートに物質をスムースに供給することが求められる。具体的には、振動篩装置から固定シュートに供給された物質が、固定シュート上をスムースに移動するようにしなければならない。固定シュート上をスムースに移動させる方法としては、例えば、振動篩装置から固定シュートに物質が落下する落差を大きくしたり、固定シュートの内底面の傾斜を大きくしたりするなどの方法が考えられる。
【0014】
しかし、後工程との接続や設置スペース等の制約から落差や傾斜角度には限界があり、必ずしも適切な落差や傾斜角度とすることができるとは限らない。
しかも、落差を大きくした場合には、物質が固定シュートの内底面に落下した際の衝撃が大きくなり、耐振動性が向上しても耐衝撃性は低下してしまう。
【0015】
以上のように、現状では、物質のスムースな排出を維持しつつ損傷を防止できるシュートがなく、かかるシュートを有する振動篩装置が求められている。
【0016】
本発明は上記事情に鑑み、シュートによる物質の排出を維持しつつシュートの損傷を防止できる振動篩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1発明の振動篩装置は、ケースと、該ケース内に設けられたスクリーンと、前記ケースを振動させる振動手段と、を備えた振動篩装置であって、前記ケースには、篩分けされて前記スクリーン上に残留した残留物を前記ケース外に排出する残留物排出口が設けられており、該残留物排出口から排出された残留物を排出する、一端が前記ケースの残留物排出口の近傍に設けられ一端から他端に向かって下傾した内底面を有する排出シュートを備えており、該排出シュートは、前記ケースが振動していない状態では、該ケースと非接触となるように設けられており、前記排出シュートと前記ケースの間に緩衝部材が設けられており、該緩衝部材は、前記振動手段によって前記ケースが振動すると、該緩衝部材を介して、前記排出シュートと前記ケースが接触するように設けられていることを特徴とする。
第2発明の振動篩装置は、ケースと、該ケース内に設けられたスクリーンと、前記ケースを振動させる振動手段と、を備えた振動篩装置であって、前記ケースには、篩分けされて前記スクリーン上に残留した残留物を前記ケース外に排出する残留物排出口が設けられており、該残留物排出口から排出された残留物を排出する、一端が前記ケースの残留物排出口の近傍に設けられ一端から他端に向かって下傾した内底面を有する排出シュートを備えており、該排出シュートは、前記ケースが振動していない状態では、該ケースと非接触となるように設けられており、前記排出シュートを基礎に固定する脚部を備えており、該脚部は、前記排出シュートを該脚部の軸方向に沿って移動可能に保持する移動部を備えており、該移動部が、前記脚部の軸方向に沿って伸縮し得る弾性部材を備えていることを特徴とする。
第3発明の振動篩装置は、第2発明において、前記排出シュートと前記ケースの間に緩衝部材が設けられており、該緩衝部材は、前記振動手段によって前記ケースが振動すると、該緩衝部材を介して、前記排出シュートと前記ケースが接触するように設けられていることを特徴とする。
第4発明の振動篩装置は、第2または第3発明において、前記脚部を複数備えており、各脚部は、長さを調整する軸長調整部を備えていることを特徴とする。
第5発明の振動篩装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記排出シュートの内底面には、超高分子ポリエチレンからなる層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明によれば、ケースと排出シュートは固定されていないが、ケースが振動した際に排出シュートと接触すれば、ケースの振動を排出シュートに伝達することができる。すると、ケースの振動を排出シュート内の残留物を移動させる力にできるので、排出シュート内において残留物をスムースに移動させることができる。しかも、ケースと排出シュートが直接接触している場合に比べて、排出シュートに加わる振動を小さくできるので、振動による排出シュートの損傷を防止できる。しかも、ケースが振動した際に、ケースと排出シュートは緩衝部材を介して接触するので、両者が接触する際の損傷を防止できる。
第2発明によれば、ケースと排出シュートは固定されていないが、ケースが振動した際に排出シュートと接触すれば、ケースの振動を排出シュートに伝達することができる。すると、ケースの振動を排出シュート内の残留物を移動させる力にできるので、排出シュート内において残留物をスムースに移動させることができる。しかも、ケースと排出シュートが直接接触している場合に比べて、排出シュートに加わる振動を小さくできるので、振動による排出シュートの損傷を防止できる。しかも、弾性部材によって排出シュートが移動可能に保持されているので、排出シュートをケースの振動により振動させやすくなる。
第3発明によれば、ケースが振動した際に、ケースと排出シュートは緩衝部材を介して接触するので、両者が接触する際の損傷を防止できる
4発明によれば、脚部の長さを調整すれば、排出シュートの高さや内底面の傾きを調整できるので、残留物の状態に合わせて排出シュートを適切な状態にすることができる。
第5発明によれば、残留物が落下した際の衝撃を緩和できるので、排出シュートの損傷を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の振動篩装置1の概略説明図である。
図2】他の実施形態の振動篩装置1の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の振動篩装置は、大きさの異なる物質を複数含む混合物を篩分けするものであり、シュートの損傷を防ぎつつ篩分けされた残留物を安定して排出することができるようにしたことに特徴を有している。
【0021】
本発明の振動篩装置は、混合物を篩分けする種々の用途で使用できる。例えば、製造設備などにおいて、前工程で製造された混合物を篩分けして、所定の大きさの物質を次工程等に供給する装置として使用することができる。製造設備などとしては、HPAL(高圧酸浸出法)プロセスや鉱石の選鉱分離等を挙げることができる。HPAL(高圧酸浸出法)プロセスを用いて低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルなどの有価金属を回収する設備において、不要な岩石等を含むオーバーサイズの鉱石を有用な鉱石と分離して排出する装置等として、本発明の振動篩装置を使用することができる。
【0022】
(本実施形態の振動篩装置1)
本実施形態の振動篩装置1は、他の装置などから供給された混合物を、スクリーン3によって所定の大きさ以下の物質と残留物MRに篩分けして、他の装置等に供給するものである。
【0023】
本実施形態の振動篩装置1は、残留物MRを排出する排出シュート10に特徴を有しているが、まず、本実施形態の振動篩装置1の概略を説明する。
【0024】
図1において、符号2は本実施形態の振動篩装置1のケースを示している。このケース2は中空な部材であり、上方からその内部に混合物が供給されるようになっている。このケース2は、バネ等の緩衝部材を介して、床等のベースBに対して移動できるように設けられており、ケース2を上下に振動させる振動手段と連結されている。
【0025】
図1に示すように、ケース2の内部には、ケース2内の空間を上下に分離するように、スクリーン3が設けられている。このスクリーン3は、網等の表裏を貫通する孔が設けられたシート状や板状の部材である。つまり、スクリーン3は、その上面に混合物が供給されると、所定の大きさよりも小さい物質は孔を通過させて下方に落下させ、その物質よりも大きい残留物MRはスクリーン3上に残留させるように設けられている。
【0026】
また、ケース2の排出端部(図1では右端)には、その残留物排出口2cが設けられている。この残留物排出口2cは、残留物排出口2cの上端がスクリーン3よりも上方に位置するように設けられている。つまり、スクリーン3上の残留物MRを、外部に落下させることができるように残留物排出口2cは設けられている。
【0027】
図1に示すように、ケース2の排出端部近傍には、排出シュート10が設けられている。具体的には、排出シュート10は、底板11とカバー12に囲まれた空間10hを有しており、その一端部がケース2の残留物排出口2cを覆うように設けられている。
【0028】
この排出シュート10の底板11は、その一端部がケース2の排出端部の下方まで延びており、その内底面11aが、一端部から他端部に向かって(図1では左端から右端に向かって)下傾するように設けられている。
【0029】
そして、排出シュート10は、複数本の脚部15によって、ケース2とは独立してベースB等に設置されている。しかも、排出シュート10は、ケース2が振動していない状態では、ケース2とは直接接触しない状態となるように、複数本の脚部15によって保持されている。
【0030】
以上のような構成であるので、振動手段によってケース2を振動させながら、スクリーン3上に混合物を供給すれば、スクリーン3によって、篩分けされた物質と残留物MRに篩分けすることができる。そして、スクリーン3上の残留物MRは残留物排出口2cを通して排出シュート10に供給することができる。
【0031】
排出シュート10は、その底板11の内底面11aが一端部から他端部に向かって下傾するように設けられているので、空間10h内の残留物MRは、底板11の内底面11a上を、滑ったり転動したりして、排出シュート10の他端に向かって移動する。
【0032】
したがって、ケース2の残留物排出口2cから排出シュート10に供給された残留物MRを、排出シュート10の空間10hを通して、排出シュート10の他端から外部に排出することができる。
【0033】
なお、ケース2内において、スクリーン3は水平に配置してもよいし、若干斜めに傾斜させて、残留物排出口2cに向かって下傾するように設けてもよい。ケース2の振動により残留物MRはスクリーン3上の位置が変化するので、スクリーン3を水平に配置しても、残留物MRを残留物排出口2cまで移動させることができる。しかし、スクリーン3を残留物排出口2cに向かって下傾するように設ければ、より短時間かつ確実に残留物MRを残留物排出口2cまで移動させることができる。
【0034】
また、スクリーン3を通過した物質は、ケース2の下部から外部に排出されるが、この物質を排出する方法はとくに限定されない。ケース2の底板に排出口を設けて外部に排出してもよいし、底板を設けずにタンク等に直接落下させてもよい。
【0035】
(排出シュート10について)
本実施形態の振動篩装置1では、排出シュート10は、ケース2が振動していない状態では、ケース2とは直接接触しない状態となるように、複数本の脚部15によって保持されている。しかし、排出シュート10は、ケース2が振動するとケース2の振動が伝達されるようになっている。
以下、排出シュート10の構造を説明する。
【0036】
上述したように、底板11は、その一端部がケース2の下端部の下方に配置されている。具体的には、ケース2の排出端部において残留物排出口2cが設けられている位置の下方に、底板11の一端部が、ケース2の排出端部の下端から離間した状態になるように配置されている。
【0037】
この底板11の一端部には、振動伝達部11bが設けられている。この振動伝達部11bは、その上面に緩衝部材20が設けられている。この緩衝部材20は、例えば、硬質ゴムやシリコン樹脂等のように弾性を有する素材によって形成されたものである。
【0038】
そして、緩衝部材20は、ケース2が振動していない状態では、その上面がケース2の下端部とは接触しないが、ケース2が振動すると、その上面をケース2の下端部に接触させることができるように設けられている。
【0039】
具体的には、ケース2が振動していない状態において、緩衝部材20の上面とケース2の下端部との間に、ケース2が振動した際の上下移動するストロークよりも短い隙間が形成されるように、緩衝部材20は設けられている。例えば、ケース2が振動していない状態において、両者間の隙間Lが約50〜100mm程度となるように緩衝部材20が設けられている。
【0040】
以上のような構造とすれば、振動手段によってケース2が振動すると、緩衝部材20とケース2の下端部が接触離間を繰り返す状態となるので、ケース2が振動すれば、底板11(つまり、排出シュート10)も振動させることができる。つまり、ケース2と排出シュート10は固定されていないが、ケース2の振動を排出シュート10に伝達することができる。すると、ケース2の振動を排出シュート10内部の残留物MRを移動させる力にできるので、排出シュート10内において残留物MRをスムースに移動させることができる。
【0041】
しかも、ケース2の振動は、ケース2が緩衝部材20に接触している状態のときにだけ伝達される。すると、排出シュート10がケース2に固定されていたり直接接触したりしている場合に比べて、排出シュート10に加わる振動を小さくできる。つまり、ケース2の振動に起因して排出シュート10が受ける力を小さくできるので、振動に起因する排出シュート10の損傷を防止できる。
【0042】
なお、ケース2の下端部と底板11の振動伝達部11bは、ケース2の振動していない状態において、直接または緩衝部材20を介して接触させてもよい。この場合でも、ケース2が振動した際に、ケース2の下端部と底板11の振動伝達部11bが離間する状態(ケース2の下端部または底板11の振動伝達部11bが緩衝部材20から離間する状態も含む)が生じるように設けられていればよい。
【0043】
(複数本の脚部15の移動部16)
とくに、複数本の脚部15が、排出シュート10をその軸方向(図1では上下方向)に沿って移動可能に保持する移動部16を設けていれば、ケース2から伝達された振動によって排出シュート10を効果的に振動させることができる。つまり、ケース2から伝達される振動がそれほど大きくなくても、その振動によって残留物MRをスムースに移動させることができる程度の振動を排出シュート10に生じさせることができる。
【0044】
移動部16の構成は、排出シュート10をその軸方向に沿って移動可能に保持でき、しかも、収縮可能かつ復元力を有する弾性部材を有しているものであれば、とくに限定されない。弾性部材も、収縮可能かつ復元力を有するものであればよく、とくに限定されない。例えば、弾性部材として、コイルスプリングやゴム、空気ばね等を使用することができる。
【0045】
例えば、図1に示すように、移動部16として、排出シュート10に一端が連結された軸部16aと、この軸部16aを脚部15の軸方向に沿って移動可能に保持する軸受部16bと、軸部16aの一端に設けられたフランジfと軸受部16bとの間に設けられたコイルスプリング16cと、を有する構造とする。すると、ケース2は振動すると上下に移動するが、ケース2が下方に移動して排出シュート10を下方に押すように力が加わればその力によってコイルスプリング16cが収縮して排出シュート10は下方に移動する。一方、ケース2が上方に移動して排出シュート10を下方に押す力が除去されれば、コイルスプリング16cは伸長して排出シュート10は上方に移動する。つまり、振動によるケース2の上下方向の移動に連動して、排出シュート10をある程度のストロークで上下に移動させることができる。つまり、上述したような移動部16を設ければ、移動部16が無い場合に比べて、排出シュート10の移動量を大きくできる。したがって、ケース2の振動に起因して、残留物MRをスムースに移動させることができる程度の振動を排出シュート10に生じさせることができる。
【0046】
なお、コイルスプリング16cは、圧縮した状態で取り付けられているほうが、復元力を発生させやすいという利点が得られる。
また、上記のようにコイルスプリング16cを使用した際には、排出シュート10が振動したときにコイルスプリング16cが脱落することを防止するために、フランジfや軸受部16bに凸形状のガイドを設けることが望ましい。この凸形状のガイドをコイルスプリング16cの両端に差し込んだ状態とすれば、コイルスプリング16cを安定した状態で取り付けておくことができる。
【0047】
(複数本の脚部15の軸長調整部17)
各脚部15は、その長さを調整する軸長調整部17を備えていることが望ましい。かかる軸長調整部17によって各脚部15の長さを調整すれば、ケース2が振動していない状態における緩衝部材20とケース2の下端部の距離を調整することが可能となる。すると、ケース2が振動した際に、ケース2から排出シュート10に加わる振動の状態を、残留物MRに合わせて適切に調整できる。
【0048】
また、排出シュート10の高さや底板11の内底面11aの傾きを調整できるので、排出シュート10の傾きや高さも、残留物MRの状態に合わせて適切な状態にすることができる。
【0049】
軸長調整部17の構成は、各脚部15の長さを調整できるのであれば、とくに限定されない。例えば、図1に示すように、プレート16bと基台17aを調整ボルト17bによって連結し、プレート16bと基台17aの間にスペーサー17s(例えば中空な筒状のスペーサ)を配置した構成とする。すると、スペーサー17sの長さを調整して調整ボルト17bによってプレート16bと基台17aを固定すれば、脚部15の長さを変更することができる。
【0050】
(緩衝部材20について)
上記例では、緩衝部材20を底板11の一端部に設けた場合を説明した。しかし、緩衝部材20は、ケース2の下端部に設けてもよいし、底板11の一端部とケース2の下端部の両方に設けてもよい。いずれの場合でも、ケース2が振動していない状態において、緩衝部材20を介して底板11の一端部とケース2の下端部が接触していない状態に設けられる。
【0051】
また、緩衝部材20は必ずしも設けなくてもよい。つまり、ケース2が振動した際に、底板11の一端部とケース2の下端部が直接接触するようにしてもよい。しかし、緩衝部材20を設けておけば、両者が直接接触する場合に比べて、両者の損傷を防止できるという利点が得られる。
【0052】
(スクリーン3と底板11の段差について)
底板11の内底面11aからスクリーン3までの高さはとくに限定されないが、残留物MRが落下する際の騒音や衝撃に起因する底板11の損傷を防ぎつつ、底板11の内底面11a上に供給された残留物MRをスムースに移動させる上では、150〜300mm程度が好ましい。
【0053】
(底板11の構造について)
底板11の上面には、残留物MRが落下する際の騒音や衝撃に起因する底板11の損傷を防ぐ上では、衝撃吸収性を有する層11pを設けることが望ましい。かかる層11pを構成する素材などはとくに限定されないが、超高分子ポリエチレンなどを採用することができる。とくに、複数枚の超高分子ポリエチレンのシート状部材を底板11上に並べるようにすれば、摩擦が少なく滑りやすいため残留物MRの滞留を防止しやすくなる。また、シートが損傷した際に個別に交換できるので、メンテナンスなどの作業時間を短くできるという利点が得られる。
【0054】
なお、底板11は、平板状の部材で形成してもよいし、断面略U字状等の溝状の部材で形成してもよい。
【0055】
(排出シュート10の他の構成)
排出シュート10の底板11は一枚でもよいが、排出シュート10の剛性を高める上では、図2に示すように底板11を二重構造とし、その上で排出シュート10の側面には補強用フレーム10fを設けることが望ましい。かかる構成とすれば、振動に対して、排出シュート10自体の剛性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の振動篩装置は、ある程度の大きさを有する塊を含む混合物を篩分けする装置に適している。
【符号の説明】
【0057】
1 振動篩装置
2 ケース
2c 残留物排出口
3 スクリーン
10 排出シュート
11 底板
12 カバー部
15 脚部
16 移動部
17 軸長調整部
20 緩衝部材
M 混合物
MR 残留物

図1
図2