【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明に係る技術的範囲が下記実施例の記載内容に限定されることはなく、本発明に適合する範囲で変更を加えて実施することも当然のことながら可能である。
【0044】
[実施例1]
平均粒径10μm以下のSnO
2粉と、平均粒径10μm以下のZnO粉と、第1添加元素Mとして平均粒径20μm以下のBi
2O
3粉、および、第2添加元素Xとして平均粒径20μm以下のTa
2O
5粉を用意した。
【0045】
SnとZnの原子数比Sn/(Sn+Zn)が0.5となるようにSnO
2粉とZnO粉を調合し、第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.01、第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.001となるように、Bi
2O
3粉とTa
2O
5粉を調合した。
【0046】
そして、調合された原料粉末と純水、有機バインダー、分散剤を原料粉末濃度が60質量%となるように混合タンクにて混合した。
【0047】
次に、硬質ZrO
2ボールが投入されたビーズミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ型)を用いて、原料粉末の平均粒径が1μm以下となるまで湿式粉砕を行った後、10時間以上混合撹拌してスラリーを得た。尚、原料粉末の平均粒径の測定にはレーザー回折式粒度分布測定装置(島津制作所製、SALD-2200)を用いた。
【0048】
次に、得られたスラリーをスプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、ODL-20型)にて噴霧および乾燥し造粒粉を得た。
【0049】
次に、得られた造粒粉末をゴム型へ充填し、冷間静水圧プレスで294MPa(3ton/cm
2)の圧力をかけて成形し、得られた直径約250mmの成形体を常圧焼成炉に投入し、700℃まで焼結炉内に空気(酸素濃度21体積%)を導入した。焼成炉内の温度が700℃になったことを確認した後、「焼結工程」として、酸素濃度が80体積%となるように酸素を導入し、1400℃まで昇温させ、かつ、1400℃で15時間保持した。
【0050】
次に、「焼結後保持工程」として、酸素濃度80体積%のままに1000℃まで降温させ、かつ、1000℃で15時間保持した。
【0051】
保持時間が終了した後は酸素導入を止め、冷却を行い、実施例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0052】
次に、平面研削盤(日立ビアメカニクス社製GHL)を用いて、実施例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を直径200mm、厚み5mmに研削加工した。研削砥石はレジンボンド、粒度#140のダイヤモンドホイールを用いた。切り込み量0.015mm、テーブル速度25m/minの条件で研削した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0053】
この加工体の密度をアルキメデス法で測定したところ、相対密度は97.9%であった。また、比抵抗を4探針法で測定したところ、0.09Ω・cmであった。
【0054】
次に、この加工体の一部を乳鉢で粉砕して粉末にし、X線回折装置(PANalytical社製X’Pert-PRO)を用いて分析した結果、SnO
2、Zn
2SnO
4の他に、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していることが確認された。この結果を表1に示す。
【0055】
[実施例2]
SnとZnの原子数比Sn/(Sn+Zn)が0.1となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0056】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は96.4%であり、比抵抗値は0.23Ω・cmであった。
【0057】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0058】
[実施例3]
SnとZnの原子数比Sn/(Sn+Zn)が0.9となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0059】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は95.2%であり、比抵抗値は0.33Ω・cmであった。
【0060】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例4]
第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.0001となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0062】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は97.5%であり、比抵抗値は0.21Ω・cmであった。
【0063】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0064】
[実施例5]
酸素濃度を100体積%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0065】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は98.8%であり、比抵抗値は0.022Ω・cmであった。
【0066】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0067】
[実施例6]
第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.1となる割合で調合し、「焼結工程」の保持時間を10時間、酸素濃度を70体積%とし、「焼結後保持工程」の保持時間を10時間、酸素濃度を70体積%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0068】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は95.3%であり、比抵抗値は0.15Ω・cmであった。
【0069】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0070】
[実施例7]
第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.001となる割合で調合し、焼結温度を1450℃とし、「焼結後保持工程」の温度を1100℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0071】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は97.1%であり、比抵抗値は0.060Ω・cmであった。
【0072】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0073】
[実施例8]
第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.04となる割合で調合し、焼結温度を1200℃とし、「焼結後保持工程」の温度を800℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0074】
この酸化物焼結体を実施例1と同様にして研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。相対密度は96.2%であり、比抵抗値は0.17Ω・cmであった。
【0075】
また、実施例1と同様にX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
[実施例9〜
11、参考例12、実施例13〜15]
第1添加元素Mとして、SiO
2粉(実施例9)、TiO
2粉(実施例10)、GeO
2粉(実施例11)、In
2O
3粉(
参考例12)、CeO
2粉(実施例13)、Al
2O
3粉(実施例14)、Ga
2O
3粉(実施例15)を用い、第1添加元素Mの原子数比M/(Sn+Zn+M+Ta)を0.04とし、第2添加元素Xとして、実施例1と同じTa
2O
5粉を用い、第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+M+Ta)が0.1となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9〜
11、参考例12、実施例13〜15に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0078】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0079】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ95.1%、0.10Ω・cm(実施例9)、94.2%、0.26Ω・cm(実施例10)、96.8%、0.031Ω・cm(実施例11)、97.2%、0・090Ω・cm(
参考例12)、98.3%、0.11Ω・cm(実施例13)、92.2%、0.45Ω・cm(実施例14)、96.1%、0.16Ω・cm(実施例15)であった。
【0080】
更に、実施例1と同様に各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるSiO
2(実施例9)、TiO
2(実施例10)、GeO
2(実施例11)、In
2O
3(
参考例12)、CeO
2(実施例13)、Al
2O
3(実施例14)、および、Ga
2O
3(実施例15)をそれぞれ生成していた。結果を表2に示す。
【0081】
[実施例16〜
18、参考例19、実施例20〜22]
第1添加元素Mとして、SiO
2粉(実施例16)、TiO
2粉(実施例17)、GeO
2粉(実施例18)、In
2O
3粉(
参考例19)、CeO
2粉(実施例20)、Al
2O
3粉(実施例21)、Ga
2O
3粉(実施例22)を用い、第1添加元素Mの原子数比M/(Sn+Zn+M+Ta)を0.001とし、第2添加元素Xとして、実施例1と同じTa
2O
5粉を用い、第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+M+Ta)が0.1となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例16〜
18、参考例19、実施例20〜22に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0082】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0083】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ91.8%、0.022Ω・cm(実施例16)、94.4%、0.25Ω・cm(実施例17)、95.3%、0.016Ω・cm(実施例18)、93.3%、0・061Ω・cm(
参考例19)、96.6%、0.053Ω・cm(実施例20)、94.8%、0.079Ω・cm(実施例21)、95.8%、0.052Ω・cm(実施例22)であった。
【0084】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるSiO
2(実施例16)、TiO
2(実施例17)、GeO
2(実施例18)、In
2O
3(
参考例19)、CeO
2(実施例20)、Al
2O
3(実施例21)、および、Ga
2O
3(実施例22)をそれぞれ生成していた。結果を表2に示す。
【0085】
[実施例23〜
25、参考例26、実施例27〜29]
第1添加元素Mとして、SiO
2粉(実施例23)、TiO
2粉(実施例24)、GeO
2粉(実施例25)、In
2O
3粉(
参考例26)、CeO
2粉(実施例27)、Al
2O
3粉(実施例28)、Ga
2O
3粉(実施例29)を用い、第1添加元素Mの原子数比M/(Sn+Zn+M+Ta)を0.04とし、第2添加元素Xとして、実施例1と同じTa
2O
5粉を用い、第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+M+Ta)が0.0001となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例23〜
25、参考例26、実施例27〜29に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0086】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0087】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ96.6%、0.31Ω・cm(実施例23)、95.5%、0.098Ω・cm(実施例24)、97.7%、0.0096Ω・cm(実施例25)、97.2%、0・022Ω・cm(
参考例26)、98.5%、0.0081Ω・cm(実施例27)、95.2%、0.023Ω・cm(実施例28)、96.0%、0.014Ω・cm(実施例29)であった。
【0088】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるSiO
2(実施例23)、TiO
2(実施例24)、GeO
2(実施例25)、In
2O
3(
参考例26)、CeO
2(実施例27)、Al
2O
3(実施例28)、および、Ga
2O
3(実施例29)をそれぞれ生成していた。結果を表2に示す。
【0089】
[実施例30〜
32、参考例33、実施例34〜36]
第1添加元素Mとして、SiO
2粉(実施例30)、TiO
2粉(実施例31)、GeO
2粉(実施例32)、In
2O
3粉(
参考例33)、CeO
2粉(実施例34)、Al
2O
3粉(実施例35)、Ga
2O
3粉(実施例36)を用い、第1添加元素Mの原子数比M/(Sn+Zn+M+Ta)を0.001とし、第2添加元素Xとして、実施例1と同じTa
2O
5粉を用い、第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+M+Ta)が0.0001となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例30〜
32、参考例33、実施例34〜36に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0090】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0091】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ96.3%、0.19Ω・cm(実施例30)、95.5%、0.041Ω・cm(実施例31)、96.9%、0.0077Ω・cm(実施例32)、94.4%、0・019Ω・cm(
参考例33)、96.0%、0.055Ω・cm(実施例34)、97.6%、0.014Ω・cm(実施例35)、92.2%、0.0077Ω・cm(実施例36)であった。
【0092】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるSiO
2(実施例30)、TiO
2(実施例31)、GeO
2(実施例32)、In
2O
3(
参考例33)、CeO
2(実施例34)、Al
2O
3(実施例35)、および、Ga
2O
3(実施例36)をそれぞれ生成していた。結果を表2に示す
【0093】
【表2】
【0094】
[実施例37〜39]
第1添加元素Mとして、実施例1と同じBi
2O
3粉を用い、第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+X)を0.04とし、第2添加元素Xとして、Nb
2O
5粉(実施例37)、WO
3粉(実施例38)、MoO
3粉(実施例39)を用い、第2添加元素Xの原子数比X/(Sn+Zn+Bi+X)が0.1となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例37〜39に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0095】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0096】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ95.4%、0.13Ω・cm(実施例37)、95.2%、0.088Ω・cm(実施例38)、93.3%、0.33Ω・cm(実施例39)であった。
【0097】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表3に示す。
【0098】
[実施例40〜42]
第1添加元素Mとして、実施例1と同じBi
2O
3粉を用い、第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+X)を0.001とし、第2添加元素Xとして、Nb
2O
5粉(実施例40)、WO
3粉(実施例41)、MoO
3粉(実施例42)を用い、第2添加元素Xの原子数比X/(Sn+Zn+Bi+X)が0.1となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例40〜42に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0099】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0100】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ96.5%、0.068Ω・cm(実施例40)、94.7%、0.17Ω・cm(実施例41)、96.5%、0.096Ω・cm(実施例42)であった。
【0101】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表3に示す。
【0102】
[実施例43〜45]
第1添加元素Mとして、実施例1と同じBi
2O
3粉を用い、第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+X)を0.04とし、第2添加元素Xとして、Nb
2O
5粉(実施例43)、WO
3粉(実施例44)、MoO
3粉(実施例45)を用い、第2添加元素Xの原子数比X/(Sn+Zn+Bi+X)が0.0001となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例43〜45に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0103】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0104】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ97.3%、0.25Ω・cm(実施例43)、94.4%、0.28Ω・cm(実施例44)、92.8%、0.76Ω・cm(実施例45)であった。
【0105】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表3に示す。
【0106】
[実施例46〜48]
第1添加元素Mとして、実施例1と同じBi
2O
3粉を用い、第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+X)を0.001とし、第2添加元素Xとして、Nb
2O
5粉(実施例46)、WO
3粉(実施例47)、MoO
3粉(実施例48)を用い、第2添加元素Xの原子数比X/(Sn+Zn+Bi+X)が0.0001となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例46〜48に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0107】
そして、実施例1と同様に、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。
【0108】
また、各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の相対密度と比抵抗値は、それぞれ97.7%、0.041Ω・cm(実施例46)、91.6%、0.085Ω・cm(実施例47)、92.9%、0.036Ω・cm(実施例48)であった。
【0109】
更に、実施例1と同様にして各実施例に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体をX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3を生成していた。結果を表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
[比較例1]
SnとZnの原子数比Sn/(Sn+Zn)が0.05となる割合で調合したこと以外は実施例1同様にして比較例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0112】
そして、実施例1と同様にして比較例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3の生成が認められた。
【0113】
しかし、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は87.0%、比抵抗値は600Ω・cmであり、相対密度90%以上かつ比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0114】
[比較例2]
SnとZnの原子数比Sn/(Sn+Zn)が0.95となる割合で調合したこと以外は実施例1同様にして、比較例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0115】
そして、実施例1と同様にして比較例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3の生成が認められた。
【0116】
しかし、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は85.0%、比抵抗値は1000Ω・cmであり、相対密度90%以上かつ比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0117】
[比較例3]
1400℃での焼結時に、炉内酸素濃度を68体積%としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0118】
そして、実施例1と同様にして比較例3に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3の生成が認められた。
【0119】
しかし、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は86.5%、比抵抗値は47000Ω・cmであり、相対密度90%以上かつ比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0120】
[比較例4]
「焼結工程」の焼結温度を1170℃とし、「焼結後保持工程」の保持温度を700℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0121】
そして、実施例1と同様にして比較例4に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりを発生していた。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物は検出されなかった。
【0122】
更に、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は81.4%、比抵抗値は94000Ω・cmであり、相対密度90%以上かつ比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0123】
[比較例5]
「焼結工程」の焼結温度を1500℃とし、「焼結後保持工程」の保持温度を1200℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0124】
そして、実施例1と同様にして比較例5に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりを発生していた。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物は検出されなかった。
【0125】
更に、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は86.9%、比抵抗値は12Ω・cmであり、相対密度90%以上かつ比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0126】
[比較例6]
「焼結工程」の後に「焼結後保持工程」を実施しないで冷却したこと以外は実施例1と同様にして、比較例6に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。1100℃から800℃までの降温に要した時間は7時間であった。
【0127】
そして、実施例1と同様にして比較例6に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりを発生していた。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物は検出されなかった。
【0128】
更に、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は82.0%、比抵抗値は730000Ω・cmであり、相対密度90%以上かつ比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0129】
[比較例7]
第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.00009となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、比較例7に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0130】
そして、実施例1と同様にして比較例7に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3の生成が認められた。
【0131】
しかし、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は93.5%、比抵抗値は260Ω・cmであり、相対密度90%以上の特性は達成できたが、比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0132】
[比較例8]
第2添加元素Xの原子数比Ta/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.15となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、比較例8に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0133】
そして、実施例1と同様にして比較例8に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3の生成が認められた。
【0134】
しかし、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は92.2%、比抵抗値は110Ω・cmであり、相対密度90%以上の特性は達成できたが、比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0135】
[比較例9]
第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.0009となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、比較例9に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0136】
そして、実施例1と同様にして比較例9に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりを発生していた。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物は検出されなかった。
【0137】
更に、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は85.0%、比抵抗値は0・89Ω・cmであり、比抵抗1Ω・cm以下の特性は達成できたが、相対密度90%以上の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0138】
[比較例10]
第1添加元素Mの原子数比Bi/(Sn+Zn+Bi+Ta)が0.05となる割合で調合したこと以外は実施例1と同様にして、比較例10に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
【0139】
そして、実施例1と同様にして比較例10に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を研削加工した結果、砥石の目詰まりは発生しなかった。また、実施例1と同様にしてX線回折分析したところ、上記M含有化合物であるBi
2O
3の生成が認められた。
【0140】
しかし、相対密度と比抵抗値を測定したところ、相対密度は96.9%、比抵抗値は5500Ω・cmであり、相対密度90%以上の特性は達成できたが、比抵抗1Ω・cm以下の特性を達成できないことが確認された。結果を表4に示す。
【0141】
【表4】