【実施例】
【0052】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。なお、グリセロールを含有するポリエステルポリオールは水酸基価から計算される理論数平均分子量と上記の測定方法による数平均分子量が大きく異なるため、実測の数平均分子量を記載する。
【0053】
なお、本発明において、数平均分子量または重量平均分子量は、GPCカラムLF−804(昭和電工社製)を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにて、示差屈折率検出器(Waters社製Waters2414)により検出された保持時間より測定した。
【0054】
(製造例1)グリセロールとエチレングリコールと無水フタル酸からなるポリエステルポリオール「Gly7EG5oPA11」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸626.7部、エチレングリコール125.3部、グリセロール248部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が2mgKOH/g以下でエステル化反応を終了し、数平均分子量2300のポリエステルポリオール「Gly7EG5oPA11」を得た。
【0055】
(製造例2)グリセロールと無水フタル酸からなるポリエステルポリオール「Gly9oPA10」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸567.6部、グリセロール330.9部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を190℃に保持した。その後、酸価が40mgKOH/gになったところで無水フタル酸101.5部を追添し、酸価が70mgKOH/gになったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1200のポリエステルポリオール「Gly9oPA10」を得た。
【0056】
(製造例3)無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール「EGoPA900」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸697部、エチレングリコール303部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量900のポリエステルポリオール「EGoPA900」を得た。
【0057】
(製造例4) グリセロールとエチレングリコールと無水フタル酸からなるポリエステルポリオール「Gly1EG3oPA3.4」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸644.1部、エチレングリコール238.2部、グリセロール117.8部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が2mgKOH/g以下でエステル化反応を終了し、数平均分子量1100のポリエステルポリオール「Gly1EG3oPA3.4」を得た。
【0058】
(製造例5) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5AA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸319.9部、アジピン酸315.6部、エチレングリコール364.6部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量820のポリエステルポリオール「EGoPA5AA5−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA5AA5−850」1000部とXDI917.7部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が17%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が15.8%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−850−XDI」を得た。
【0059】
(製造例6) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5AA5−500を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−500−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸303.0部、アジピン酸298.9部、エチレングリコール398.1部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量510のポリエステルポリオール「EGoPA5AA5−500」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA5AA5−500」1000部とXDI1475.9部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が22%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が19.2%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−500−XDI」を得た。
【0060】
(製造例7) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5AA5−2000を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−2000−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸333.7部、アジピン酸329.2部、エチレングリコール337.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量1930のポリエステルポリオール「EGoPA5AA5−2000」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA5AA5−500」1000部とXDI390.4部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が10%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が8.5%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−2000−XDI」を得た。
【0061】
(製造例8) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA7AA3−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA7AA3−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸447.0部、アジピン酸189.0部、エチレングリコール363.9部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量800のポリエステルポリオール「EGoPA7AA3−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA7AA3−850」1000部とXDI944.6部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が16%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が14.4%のポリイソシアネート化合物「EGoPA7AA3−850−XDI」を得た。
【0062】
(製造例9) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA1AA9−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA1AA9−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸64.2部、アジピン酸570.0部、エチレングリコール365.8部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量840のポリエステルポリオール「EGoPA1AA9−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA1AA9−850」1000部とXDI899.6部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が14%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が12.8%のポリイソシアネート化合物「EGoPA1AA9−850−XDI」を得た。
【0063】
(製造例10) 無水フタル酸とアジピン酸とプロピレングリコールとからなるポリエステルポリオールPGoPA5AA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「PGoPA5AA5−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸293.3部、アジピン酸289.4部、プロピレングリコール417.3部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を180℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量700のポリエステルポリオール「PGoPA5AA5−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「PGoPA5AA5−850」1000部とXDI1069.4部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が18%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が15.5%のポリイソシアネート化合物「PGoPA5AA5−850−XDI」を得た。
【0064】
(製造例11) 無水フタル酸とアジピン酸とネオペンチルグリコールとからなるポリエステルポリオールNPGoPA5AA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「NPGoPA5AA5−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸249.6部、アジピン酸246.2部、ネオペンチルグリコール504.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を200℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量720のポリエステルポリオール「NPGoPA5AA5−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「NPGoPA5AA5−850」1000部とXDI1050.6部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が18%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が15.7%のポリイソシアネート化合物「NPGoPA5AA5−850−XDI」を得た。
【0065】
(製造例12) 無水フタル酸とコハク酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5SuA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5SuA5−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸342.5部、コハク酸273.0部、エチレングリコール384.5部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量830のポリエステルポリオール「EGoPA5SuA5−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA5SuA5−850」1000部とXDI906.3部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が16%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が14.3%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5SuA5−850−XDI」を得た。
【0066】
(製造例13) 無水フタル酸とマレイン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5MA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5MA5−850−XDI」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸344.2部、マレイン酸269.7部、エチレングリコール386.1部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が2mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価から計算される理論数平均分子量810のポリエステルポリオール「EGoPA5MA5−850」を得た。
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記「EGoPA5MA5−850」1000部とXDI930.5部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が18%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が15.7%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5MA5−850−XDI」を得た。
【0067】
(製造例14) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5AA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−850−TDI」の製造方法
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記製造例5「EGoPA5AA5−850」1000部とTDI849.6部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が16%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が14.5%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−850−TDI」を得た。
【0068】
(製造例15) 無水フタル酸とアジピン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA5AA5−850を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−850−MDI」の製造方法
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記製造例5「EGoPA5AA5−850」1000部とMDI2220.6部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が20%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が18.8%のポリイソシアネート化合物「EGoPA5AA5−850−MDI」を得た。
【0069】
(製造例16) 無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール「EGoPA900」を中心骨格にもつイソシアネート化合物「EGoPA900−XDI」の製造方法
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコに上記製造例3「EGoPA900」1000部とXDI1207.6部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が18%以下になったところでウレタン化反応を終了し、NCO%が14.9%のポリイソシアネート化合物「EGoPA900−XDI」を得た。
【0070】
製造例1〜4で得られた実施例及び比較例用のポリエステルポリオール(B)の原料モノマー組成、樹脂の数平均分子量、多価アルコール全成分に対するグリセロール含有率(モル%)、多価カルボン酸全成分に対するオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の含有率(モル%)と、前述の方法で測定したガラス転移温度(℃)を表1に示す。
【0071】
製造例5〜16で得られた実施例及び比較例用のポリイソシアネート化合物(A)の原料モノマー組成、NCO%(分子中のイソシアネート基の重量分率)、多価カルボン酸全成分に対するオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の含有率(モル%)を表2に、製造例11〜16で得られた実施例及び比較例用のポリイソシアネート化合物の原料モノマー組成、NCO%(分子中のイソシアネート基の重量分率)、多価カルボン酸全成分に対するオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の含有率(モル%)を表2、3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
表中の略語は以下の意味である。
XDI:メタキシリレンジイソシアネート
TDI:トリレンジイソシアネート
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
なお、使用したイソシアネートは以下の通りである。
・XDI: 三井化学(株)製「タケネート500」(不揮発成分100%)
・TDI: 東ソー(株)製「コロネートT−100」(不揮発成分100%)
・MDI: 東ソー(株)製「ミリオネートMT」(不揮発成分100%)
NCO%:ポリイソシアネート化合物(A)に対するイソシアネート基含有量であり、測定値である。
【0076】
(実施例及び比較例)
実施例及び比較例のコーティング剤の配合比率や使用するフィルムは、表4〜に示した。
【0077】
(コーティング剤の調製)
製造例で合成したポリエステル(B)を2-ブタノンに添加し、常温でスターラーで撹拌した。いずれのポリエステルも溶媒に完全に溶解した溶液を調整することができた。得られた溶液に、製造例で合成したポリイソシアネート化合物(A)あるいは市販のイソシアネート化合物を添加し、常温でスターラーで撹拌し均一なコーティング剤を調製した。
【0078】
ここで、市販のイソシアネート化合物は以下の通りである。
・D−110N: 三井化学(株)製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートアダクト体、不揮発成分75.0%、溶媒酢酸エチル)
・KW−75: DIC(株)製「ディックドライKW−75」(トリレンジイソシアネートアダクト体、不揮発成分75.0%、溶媒酢酸エチル)
・T−1890:EVONIC社製「VESTANATT−1890/100」(イソホロンジイソシアネートイソシアヌレート体、不揮発成分100%)を酢酸エチルで希釈し不揮発成分70%に調製したもの
・タケネート500: 三井化学(株)製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート、不揮発成分100%)
【0079】
(ガスバリア性フィルムの製造方法 コーティング剤の塗工方法)
得られたコーティング剤を、蒸着フィルムの蒸着面側にバーコーター#2を用いて塗布量0.5g/m
2(固形分)となるように塗工し、ドライヤーで80℃の熱風により溶媒を揮発させた後、150℃設定の乾燥機中に30秒間設置し、均一なコーティング層を有するガスバリア性フィルムを得た。
基材である蒸着フィルムとしては、以下を使用した。
・アルミ蒸着PETフィルム:1510#12(東レフィルム加工(株)製)
未延伸フィルム
・LLDPEフィルム:TUX-HC#40(三井化学東セロ(株)製)
未延伸蒸着フィルム
・アルミ蒸着CPPフィルム:2203#25(東レフィルム加工(株)製)
・アルミ蒸着LLDPEフィルム:TUX-F#30(三井化学東セロ(株)製)
【0080】
(ガスバリア性フィルムの評価方法)
ガスバリア性フィルムの、酸素透過率測定、水蒸気透過率測定、ラミネート強度測定、耐ブロッキング性(塗膜乾燥特性)により評価した。
ガスバリア性フィルムは、(X)または(Y)のフィルムを使用した。
【0081】
(X)ガスバリア性フィルム
前述の「ガスバリア性フィルムの製造方法」で得たガスバリア性フィルムをそのまま使用した。
【0082】
(Y)ガスバリア性フィルムを用いた積層フィルム
第一の基材にディックドライLX−500とKW−75(いずれもDIC社製)を10/1の配合比で配合し、不揮発分が20%となるように酢酸エチルを配合して得た接着剤を、バーコーター#9を用いて塗布量2.0g/m
2(固形分)となるように塗工し、ドライヤーで80℃の熱風により溶媒を揮発させた。
次いで温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにて第二の基材とドライラミネートして、積層フィルムを得た。この積層フィルムを40℃/3日間かけて硬化させ、「積層フィルム」とした。
第一の基材または第二の基材としては、前述の「ガスバリア性フィルムの製造方法」で得たガスバリア性フィルムを使用した。第一の基材として使用する場合には、接着剤の塗布面がコーティング層となるように塗工した。
ここで、使用したフィルム略称は以下の通りである。
・PETフィルム:E5100#12(東洋紡績(株)製)
延伸蒸着フィルム
・アルミ蒸着PETフィルム:1510#12(東レフィルム加工(株)製)
未延伸フィルム
・LLDPEフィルム:TUX-HC#40(三井化学東セロ(株)製)
未延伸蒸着フィルム
・アルミ蒸着CPPフィルム:2203#25(東レフィルム加工(株)製)
・アルミ蒸着LLDPEフィルム:TUX-F#30(三井化学東セロ(株)製)
【0083】
(1)酸素透過率測定方法
(X)のガスバリア性フィルム、(Y)の積層フィルム、及び参考例として未処理の蒸着フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なお、RHは湿度を示す。
【0084】
(2)水蒸気透過率測定方法
(X)のガスバリア性フィルム、(Y)の積層フィルム、及び参考例として未処理の蒸着フィルムを、Illinois社製水蒸気透過率測定装置7002を用いて、伝導度法「ISO−15106−3」に準じ、40℃90%RHの雰囲気下で測定した。
【0085】
(3)ラミネート強度測定方法
(X)のガスバリア性フィルム、(Y)の積層フィルム、及び参考例として未処理の蒸着フィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、(株)エー・アンド・デイ製卓上型材料試験機STB−1225Lを用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、積層フィルム間を180度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度をラミネート強度とした。ラミネート強度の単位はN/15mmとした。
【0086】
(4)耐ブロッキング性(塗膜乾燥特性)
(X)のガスバリア性フィルムを、乾燥させた直後の状態を指で触ることによる指触官能試験で比較した。粘着性が残存しない場合は○、粘着性が残存した場合は×とした。この時点で粘着性が残存した場合には乾燥後にロールに巻いた状態で取り扱えない可能性が高いことを示す。
【0087】
実施例及び比較例の結果を表4〜表12に示す。表では使用した主剤、硬化剤、溶剤の種類及び配合量を記した。これらに加えて、各種評価結果を記した。表中「−」は未測定であることを表し、配合量における数字は「部」を表し空欄は「ゼロ」を表す。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
【表11】
【0096】
【表12】
【0097】
表中、略語は以下の意味である。
Gly比率:Gly比率(モル%)
DC酸含有率:ジカルボン酸含有率(モル%)
測定Mn:数平均分子量(測定値)
Tg:ガラス転移温度(DSC測定値)
設計Mn :数平均分子量(設計値)
実:実施例
比:比較例
基材:基材フィルム
酸素透過率:酸素透過率 (cc/m2/day/atm@90%RH)
水蒸気透過率:水蒸気透過率 (g/m2/day)
ラミネート強度:ラミネート強度 (N/15mm) 180度剥離
硬化膜中のDC酸含有率:硬化膜中のオルト配向性芳香族ジカルボン酸比率(重量%)
Ad−cf:接着剤の凝集破壊
PE伸:LLDPEフィルム伸び
蒸着/コート:蒸着層とコート層間での剥離
「Ad−cf」および「PE伸」は、蒸着層とコート層の密着性が良好であることを示し、「蒸着/コート」は、蒸着層とコート層の密着性が良好でないことを示す。
【0098】
(参考例1〜3)
本発明の蒸着フィルム用コーティング剤のガスバリア効果を明確化するため、参考例として各実施例、比較例に使用した蒸着フィルムの未処理状態(即ち本発明のコーティング前)の酸素透過率、水蒸気透過率を測定した。結果を表13に示す。
【0099】
【表13】
【0100】
以上、実施例1〜15に示された、前記多価カルボン酸成分(A1)の全量に対し、10〜70モル%のオルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物の少なくとも1種を含有し、前記多価アルコール成分(B2)の全量に対し、50〜100モル%のグリセロールを含有するコーティング剤は、参考例のコーティング剤を塗布していない蒸着フィルムと比べ、酸素、水蒸気とも低い透過率を示しバリア機能を向上させるコーティング剤として優れた特性を示した。また、いずれの実施例においても、積層フィルムにおいて高いラミネート強度を示すとともに、優れた耐ブロッキング性(塗膜乾燥特性)を示した。
【0101】
一方、比較例1〜4では一定のバリア機能の向上は認められるが、硬化剤の化学構造に由来する硬い塗膜となったために、積層フィルムにおいてラミネート強度をほとんど示さなかった。また、同じく本発明の必須構造を持たない比較例5〜7では、ガス乾燥後に強い粘着性が残存し、ブロッキング等の問題の可能性が強く示唆された。