特許第6552488号(P6552488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6552488オルガノシロキサン、硬化性シリコーン組成物、および半導体装置
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  • 特許6552488-オルガノシロキサン、硬化性シリコーン組成物、および半導体装置 図000028
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552488
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】オルガノシロキサン、硬化性シリコーン組成物、および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20190722BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20190722BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20190722BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20190722BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20190722BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20190722BHJP
   C08K 5/5455 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20190722BHJP
   C08G 77/26 20060101ALI20190722BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   C07F7/18 X
   C09J183/07
   C09J11/08
   C09J183/05
   C08L83/05
   C08L83/07
   C08K5/5455
   H01L23/30 F
   H01L33/56
   C08G77/26
   C09J11/06
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-525685(P2016-525685)
(86)(22)【出願日】2015年5月29日
(86)【国際出願番号】JP2015002718
(87)【国際公開番号】WO2015186324
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2018年5月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-115579(P2014-115579)
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯村 智浩
(72)【発明者】
【氏名】戸田 能乃
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 さわ子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 侑典
(72)【発明者】
【氏名】古川 晴彦
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−52029(JP,A)
【文献】 特開2010−138380(JP,A)
【文献】 特開2009−275206(JP,A)
【文献】 特開2000−344895(JP,A)
【文献】 米国特許第4374986(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
C08G 77/26
C08K 5/5455
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化23】
(式中、Rは同じかまたは異なる、脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜12のアルケニル基であり、Rは同じかまたは異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは一般式:
【化24】
(式中、Rは前記と同じであり、Rは同じかまたは異なるアルキレン基であり、pは0〜50の整数、qは0または1である。)
で表される基であり、mは0〜50の整数、nは1〜50の整数である。}
で表されるオルガノシロキサン。
【請求項2】
がエチレン基またはプロピレン基である、請求項1に記載のオルガノシロキサン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のオルガノシロキサンからなる接着促進剤。
【請求項4】
請求項1または2に記載のオルガノシロキサンを接着促進剤として含有する硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
ヒドロシリル化反応で硬化する、請求項4に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
ヒドロシリル化反応で硬化する硬化性シリコーン組成物が、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(C)成分に含まれるアルケニル基の合計1モルに対して、0.1〜10モルとなる量のケイ素原子結合水素原子を提供する量}、
(C)請求項1または2に記載のオルガノシロキサンからなる接着促進剤 0.1〜10質量部、および
(D)ヒドロシリル化反応用触媒(本組成物の硬化を促進するに十分な量)
から少なくともなる、請求項5に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
さらに、(E)ヒドロシリル化反応抑制剤{(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部}を含有する、請求項6に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
半導体素子が、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物の硬化物により封止されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
半導体素子が発光素子である、請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオルガノシロキサン、これを接着促進剤として含有する硬化性シリコーン組成物、およびこれを用いて作製した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物は、一般に、金属や有機樹脂、特に、熱可塑性樹脂等の基材に対する接着性が乏しいため、例えば、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、エポキシ基、グリシドキシ基、アルコキシシリル基から選ばれる1種以上の官能基と、架橋性のビニル基とヒドロシリル基(Si−H基)から選ばれる1種以上の基をそれぞれ有するイソシアヌル酸誘導体かならる接着促進剤、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる硬化性シリコーン組成物(特許文献1参照)、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、アリル基、エポキシ基、およびオルガノシロキシ基を一分子中に有するイソシアヌル環含有オルガノシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる硬化性シリコーン組成物(特許文献2参照)、およびケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシシリル基および/またはエポキシ基と、2価のシロキシ単位含有基をそれぞれ有するイソシアヌル酸誘導体と、アルコキシ基および/またはエポキシ基を有しかつイソシアヌル環を含有しないシランまたはシロキサン化合物からなる接着促進剤、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる硬化性シリコーン組成物(特許文献3参照)が提案されている。
【0003】
しかし、これらの硬化シリコーン組成物といえども、硬化途上で接触している基材に対する接着力は十分ではないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−065161号公報
【特許文献2】特開2011−057755号公報
【特許文献3】特開2011−208120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規なオルガノシロキサン、これを接着促進剤として含有し、各種基材に対する接着性が優れた硬化物を形成する硬化性シリコーン組成物、および該組成物を用いてなる、信頼性が優れる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のオルガノシロキサンは、一般式:
【化1】
(式中、Rは同じかまたは異なる、脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Rは炭素数2〜12のアルケニル基であり、Rは同じかまたは異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは一般式:
【化2】
(式中、Rは前記と同じであり、Rは同じかまたは異なるアルキレン基であり、pは0〜50の整数、qは0または1である。)
で表される基であり、mは0〜50の整数、nは1〜50の整数である。}
で表される。
【0007】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、上記のオルガノシロキサンを接着促進剤として含有し、好ましくは、ヒドロシリル化反応で硬化するものであり、さらに好ましくは、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(C)成分に含まれるアルケニル基の合計1モルに対して、0.1〜10.0モルのケイ素原子結合水素原子を提供する量}、
(C)上記のオルガノシロキサンからなる接着促進剤 0.01〜50質量部、および
(D)ヒドロシリル化反応用触媒(本組成物の硬化を促進するに十分な量)
から少なくともなるものである。
【0008】
本発明の半導体装置は、半導体素子が上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物により封止されていることを特徴とし、好ましくは、この半導体素子が発光素子である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のオルガノシロキサンは新規な化合物で、硬化性シリコーン組成物に優れた接着性を付与できるという特徴がある。また、本発明の硬化性シリコーン組成物は、硬化途上で接触している各種基材に対する接着性が優れる硬化物を形成するという特徴がある。さらに、本発明の半導体装置は、半導体素子が上記組成物の硬化物により被覆されているので、信頼性が優れるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の半導体装置の一例であるLEDの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに、本発明のオルガノシロキサンについて詳細に説明する。
本発明のオルガノシロキサンは、一般式:
【化3】
で表される。
【0012】
式中、Rは同じかまたは異なる、脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜12の一価炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0013】
式中、Rは炭素数2〜12のアルケニル基である。具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。
【0014】
式中、Rは同じかまたは異なる炭素数1〜3のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0015】
式中、Xは一般式:
【化4】
で表される基である。
【0016】
式中、Rは同じかまたは異なる、脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。
【0017】
式中、Rは同じかまたは異なる炭素数2〜12のアルキレン基である。具体的には、エチレン、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基が例示され、好ましくは、エチレン基、プロピレン基である。
【0018】
式中、pは0〜50の整数であり、好ましくは0〜30の整数であり、更に好ましくは0〜10の整数である。また、式中、qは0または1である。
【0019】
式中、mは0〜50の整数であり、好ましくは0〜30の整数であり、さらに好ましくは0〜15の整数である。また、式中、nは1〜50の整数であり、好ましくは1〜30の整数であり、さらに好ましくは1〜15の整数である。また、m+nは2〜100の整数であり、好ましくは、2〜50の整数であり、さらに好ましくは、2〜30の整数である。これは、mが上限以上であると、硬化性シリコーン組成物への溶解性が減少するためであり、nが下限以上であると接着促進剤が硬化性シリコーン組成物へ取り込まれやすくなるからであり、一方、上限以下であると硬化阻害を起こしにくくなるからである。また、m+nが下限以上であると硬化性シリコーン組成物に溶解しやすくなるからであり、一方、上限以下であると取り扱い性が向上するからである。
【0020】
このようなオルガノシロキサンを調製する方法は限定されず、例えば、一般式:
【化5】
で表されるオルガノシロキサンと、一般式:
【化6】
で表される化合物を、酸もしくは塩基触媒下で反応させる方法が挙げられる。
【0021】
上記のオルガノシロキサンにおいて、式中のRは同じかまたは異なる、脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。。また、式中、Rは炭素数2〜12のアルケニル基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、mおよびnは前記と同様の整数である。
【0022】
このようなオルガノシロキサンとしては、次のようなものが例示される。なお、式中、m’は1〜50の整数、nは1〜50の整数である。
【化7】
【化8】
【化9】
【0023】
また、上記の化合物において、式中、Rは同じかまたは異なる、脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、Rは同じかまたは異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、Rは同じかまたは異なる炭素数2〜12のアルキレン基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、pは前記と同様の整数であり、qは0または1である。
【0024】
このような化合物としては、次のようなものが例示される。
【化10】
【0025】
上記の調製方法では、上記のオルガノシロキサン1モルに対して、上記の化合物が少なくとも1モル〜2モルとなる量を反応させることが必要である。これは、上記の化合物の量が上記範囲の下限以上であると、得られるオルガノシロキサンが硬化性シリコーン組成物に十分な接着性を付与でき、一方、上記範囲の上限以下であると、得られるオルガノシロキサンがヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物中のケイ素原子結合水素原子と反応し、得られる硬化物の透過率を向上できるからである。
【0026】
上記の調製方法で用いる酸としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、シュウ酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、イオン交換樹脂が例示される。また、上記の調製方法で用いるアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機アルカリ;トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アミノ基を有するアルコキシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ナトリウムシラノレート、カリウムシラノレート等の有機塩基化合物が例示される。
【0027】
上記の調製方法において、有機溶剤を使用することができる。使用できる有機溶剤としては、エーテル類、ケトン類、アセテート類、芳香族あるいは脂肪族炭化水素、γ−ブチロラクトン、およびこれらの2種以上の混合物が例示される。好ましい有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、γ−ブチロラクトン、トルエン、キシレンが例示される。
【0028】
上記の調製方法では、この反応は、加熱により促進され、有機溶媒を使用する場合には、その還流温度で反応を行うことが好ましい。
【0029】
次に、本発明の硬化性シリコーン組成物について説明する。
本発明の硬化性シリコーン組成物は、上記のオルガノシロキサンを接着促進剤として含有することを特徴とする。このような硬化性シリコーン組成物の硬化機構は限定されず、ヒドロシリル化反応、縮合反応、ラジカル反応が例示され、好ましくは、ヒドロシリル化反応である。このヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物としては、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン{(A)成分と(C)成分に含まれるアルケニル基の合計1モルに対して、0.1〜10モルのケイ素原子結合水素原子を提供する量}、
(C)上記のオルガノシロキサンからなる接着促進剤 0.01〜50質量部、および
(D)ヒドロシリル化反応用触媒
から少なくともなるものが好ましい。
【0030】
(A)成分は本組成物の主剤である、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数が2〜12個のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1〜12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6〜20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7〜20個のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。なお、(A)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。
【0031】
(A)成分の分子構造は特に限定されず、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、および三次元網状構造が例示される。(A)成分は、これらの分子構造を有する1種のオルガノポリシロキサン、あるいはこれらの分子構造を有する2種以上のオルガノポリシロキサン混合物であってもよい。
【0032】
(A)成分の25℃における性状は限定されず、例えば、液状または固体状である。(A)成分が液状である場合、その25℃における粘度は1〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。なお、この粘度は、例えば、JIS K 7117−1に準拠したB型粘度計を用いた測定により求めることができる。
【0033】
このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH)SiO1/2単位と(CH)(CH=CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH)(CH=CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体の他、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Vi、Phはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基を示し、x、x’はそれぞれ1〜5,000の整数である。
ViMeSiO(MeSiO)SiMeVi
ViPhMeSiO(MeSiO)SiMePhVi
ViPhSiO(MeSiO)SiPhVi
ViMeSiO(MeSiO)(PhSiO)x'SiMeVi
ViPhMeSiO(MeSiO)(PhSiO)x'SiPhMeVi
ViPhSiO(MeSiO)(PhSiO)x'SiPhVi
ViMeSiO(MePhSiO)SiMeVi
MePhViSiO(MePhSiO)SiMePhVi
PhViSiO(MePhSiO)SiPhVi
ViMeSiO(PhSiO)(PhMeSiO)x'SiMeVi
ViPhMeSiO(PhSiO)(PhMeSiO)x'SiPhMeVi
ViPhSiO(PhSiO)(PhMeSiO)x'SiPhVi
【0034】
(B)成分は本組成物の架橋剤であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。(B)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状が挙げられ、好ましくは、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹枝状である。(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置は限定されず、例えば、分子鎖の末端および/または側鎖が挙げられる。また、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子以外のケイ素原子結合の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、(B)成分の粘度は限定されないが、25℃における粘度が1〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、1〜1,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0035】
このような(B)成分としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、1−グリシドキシプロピル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−グリシドキシプロピル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−グリシドキシプロピル−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、トリメトキシシランの加水分解縮合物、(CH)HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、および(CH)HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とからなる共重合体の他、次のようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンが例示される。なお、式中、Me、Vi、Phはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基を示し、y、y’はそれぞれ1〜100の整数であり、c、d、e、fはそれぞれ正の数であり、ただし、c、d、e、fの合計は1である。
HMeSiO(PhSiO)ySiMe
HMePhSiO(PhSiO)ySiMePhH
HMeNaphSiO(PhSiO)ySiMeNaphH
HMePhSiO(PhSiO)y(MePhSiO)y'SiMePhH
HMePhSiO(PhSiO)y(MeSiO)y'SiMePhH
(HMeSiO1/2)(PhSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(PhSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(NaphSiO3/2)
(HMeSiO1/2)(NaphSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(HMeSiO1/2)(PhSiO3/2)
(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2)(PhSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(PhSiO2/2)(PhSiO3/2)
(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2)(NaphSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(PhSiO2/2)(NaphSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(HMeSiO1/2)(NaphSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2)(NaphSiO3/2)
(HMePhSiO1/2)(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2)(PhSiO3/2)
【0036】
(B)成分の含有量は、(A)成分および(C)成分に含まれるアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量であり、好ましくは、0.5〜5モルとなる量である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物の機械的特性が良好であり、一方、上記範囲の下限以上であると、得られる組成物の硬化性が良好であるからである。
【0037】
(C)成分は本組成物に接着性を付与するための接着促進剤である。(C)成分については前記の通りである。(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜50質量部の範囲内であり、好ましくは、0.1〜20質量部の範囲内である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物に十分な接着性を付与できるからであり、一方、上記範囲の下限以下であると、得られる組成物の硬化性を阻害しにくくなり、また、得られる硬化物の着色等を抑制することができるからである。
【0038】
(D)成分は、本組成物の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示される。特に、本組成物の硬化を著しく促進できることから、(D)成分は白金系触媒であることが好ましい。この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体が例示され、好ましくは、白金−アルケニルシロキサン錯体である。
【0039】
(D)成分の含有量は、本組成物の硬化を促進するために有効な量である。具体的には、(D)成分の含有量は、本組成物の硬化反応を十分に促進できることから、本組成物に対して、質量単位で、(D)成分中の触媒金属が0.01〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましく、さらには、0.01〜100ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特には、0.01〜50ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0040】
また、本組成物には、その他任意の成分として、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾール等の(E)ヒドロシリル化反応抑制剤を含有してもよい。本組成物において、この(E)成分の含有量は限定されないが、上記(A)成分〜(D)成分の合計100質量部に対して、0.0001〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0041】
さらに、本組成物には、硬化途上で接触している基材に対する硬化物の接着性を向上させるため、(C)成分以外の接着促進剤を含有してもよい。この接着促進剤としては、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を一分子中に少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基が例示され、特に、メトキシ基が好ましい。また、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換もしくは非置換の一価炭化水素基;3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;3,4−エポキシブチル基、7,8−エポキシオクチル基等のエポキシアルキル基;3−メタクリロキシプロピル基等のアクリル基含有一価有機基;水素原子が例示される。この有機ケイ素化合物はケイ素原子結合アルケニル基またはケイ素原子結合水素原子を有することが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、アルキルシリケートが例示される。このオルガノシロキサンオリゴマーあるいはアルキルシリケートの分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、環状、網状が例示され、特に、直鎖状、分枝鎖状、網状であることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物;一分子中にケイ素原子結合アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子、およびケイ素原子結合アルコキシ基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物、ケイ素原子結合アルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物またはシロキサン化合物と一分子中にケイ素原子結合ヒドロキシ基とケイ素原子結合アルケニル基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物との混合物、メチルポリシリケート、エチルポリシリケート、エポキシ基含有エチルポリシリケートが例示される。
【0042】
さらに、本組成物には、本組成の硬化物で封止もしくは被覆してなる発光素子から放出される光の波長を変換して、所望の波長の光を得るための蛍光体を含有してもよい。このような蛍光体としては、発光ダイオード(LED)に広く利用されている、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体等からなる黄色、赤色、緑色、青色発光蛍光体が例示される。酸化物系蛍光体としては、セリウムイオンを包含するイットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系緑色〜黄色発光蛍光体、セリウムイオンを包含するテルビウム、アルミニウム、ガーネット系のTAG系黄色発光蛍光体、および、セリウムやユーロピウムイオンを包含するシリケート系緑色〜黄色発光蛍光体が例示される。酸窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するケイ素、アルミニウム、酸素、窒素系のサイアロン系赤色〜緑色発光蛍光体が例示される。窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、ケイ素、窒素系のカズン系赤色発光蛍光体が例示される。硫化物系蛍光体としては、銅イオンやアルミニウムイオンを包含するZnS系緑色発色蛍光体が例示される。酸硫化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するYS系赤色発光蛍光体が例示される。これらの蛍光体は、1種もしくは2種以上の混合物を用いてもよい。本組成物において、蛍光体の含有量は、(A)成分〜(D)成分の合計量に対して、0.1〜70質量%の範囲内であり、好ましくは、1〜20質量%の範囲内である。
【0043】
また、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、シリカ、ガラス、アルミナ、酸化亜鉛等の無機質充填剤;ポリメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粉末;耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤、溶剤等を含有してもよい。
【0044】
本組成物には、さらに、空気中の硫黄含有ガスによる、光半導体装置における銀電極や基板の銀メッキの変色を十分に抑制するためにAl、Ag、Cu、Fe、Sb、Si、Sn、Ti、Zr、および希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を表面被覆した酸化亜鉛微粉末、アルケニル基を有さない有機ケイ素化合物で表面処理した酸化亜鉛微粉末、および炭酸亜鉛の水和物微粉末からなる群より選ばれる、平均粒子径が0.1nm〜5μmである少なくとも一種の微粉末を含有してもよい。
【0045】
酸化物を表面被覆した酸化亜鉛微粉末において、希土類元素としては、イットリウム、セリウム、ユーロピウムが例示される。酸化亜鉛微粉末の表面の酸化物としては、Al、AgO、AgO、Ag、CuO、CuO、FeO、Fe、Fe、Sb、SiO、SnO、Ti、TiO、Ti、ZrO、Y、CeO、Eu、およびこれらの酸化物の2種以上の混合物が例示される。
【0046】
有機ケイ素化合物で表面処理した酸化亜鉛微粉末において、この有機ケイ素化合物はアルケニル基を有さないものであり、オルガノシラン、オルガノシラザン、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、およびオルガノシロキサンオリゴマーが例示され、具体的には、トリメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のオルガノクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリオルガノアルコキシシラン;これらのオルガノアルコキシシランの部分縮合物;ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン;ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、シラノール基もしくはアルコキシ基を有するオルガノシロキサンオリゴマー、RSiO3/2単位(式中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基で例示されるアルケニル基を除く一価炭化水素基である。)やSiO4/2単位からなり、シラノール基またはアルコキシ基を有するレジン状オルガノポリシロキサンが例示される。
【0047】
また、本組成物には、空気中の硫黄含有ガスによる銀電極や基板の銀メッキの変色をさらに抑制することができることから、任意の成分として、トリアゾール系化合物を含有してもよい。具体的には、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸メチル、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、アミノベンゾトリアゾール、シクロヘキサノ[1,2−d]トリアゾール、4,5,6,7−テトラヒドロキシトリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、1−N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]トリルトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]トリルトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(1−ブチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(1−オクチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1−(2',3'−ジ−ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(2',3'−ジ−カルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−6−カルボン酸、1−オレオイルベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド、4−アミノウラゾール、および1,2,4−トリアゾール−5−オンが例示される。このトリアゾール系化合物の含有量は特に限定されないが、本組成物中に質量単位で0.01ppm〜3%の範囲内となる量であり、好ましくは、0.1ppm〜1%の範囲内となる量である。
【0048】
本組成物には、さらに、得られる硬化物の熱エージングによるクラックを抑制するため、その他任意の成分として、セリウム含有オルガノポリシロキサンを含有してもよい。セリウム含有オルガノポリシロキサンは、例えば、塩化セリウムまたはカルボン酸のセリウム塩と、シラノール基含有オルガノポリシロキサンのアルカリ金属塩との反応により調製することができる。
【0049】
上記カルボン酸のセリウム塩としては、2−エチルヘキサン酸セリウム、ナフテン酸セリウム、オレイン酸セリウム、ラウリン酸セリウム、およびステアリン酸セリウムが例示される。
【0050】
また、上記シラノール基含有オルガノポリシロキサンのアルカリ金属塩としては、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのカリウム塩、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのナトリウム塩、分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、一方の分子鎖片末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのカリウム塩、および分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、一方の分子鎖片末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのナトリウム塩が例示される。なお、このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基等の炭素数が1〜12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基等の炭素数が6〜20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基等の炭素数が7〜20個のアラルキル基;ならびにこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。
【0051】
上記の反応は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノール等のアルコール;トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、およびヘプタン等の脂肪族炭化水素;ミネラルスプリット、リグロイン、および石油エーテル等の有機溶媒中で、室温もしくは加熱することにより行われる。また、得られる反応生成物は、必要に応じて有機溶媒や低沸点成分を留去したり、沈析物をろ過することが好ましい。また、この反応を促進するために、ジアルキルホルムアミド、ヘキサアルキルホスホアミド等を添加してもよい。このようにして調製されるセリウム含有オルガノポリシロキサン中のセリウム原子の含有量は0.1〜5質量%の範囲内であるものが好ましい。
【0052】
セリウム含有オルガノポリシロキサンの含有量は限定されないが、好ましくは、本組成物に対するセリウム原子が質量単位で10〜2,000ppmの範囲内となる量、20〜2,000ppmの範囲内となる量、20〜1,000ppmの範囲内となる量、あるいは、20〜500ppmの範囲内となる量である。これは、セリウム含有オルガノポリシロキサンの含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の耐熱性を向上することができ、一方、上記範囲の上限以下であると、光半導体デバイスに用いた場合の発光色度変化を少なくすることができるからである。
【0053】
本組成物は室温もしくは加熱により硬化が進行するが、迅速に硬化させるためには加熱することが好ましい。この加熱温度としては、50〜200℃の範囲内であることが好ましい。
【0054】
次に、本発明の半導体装置について詳細に説明する。
本発明の半導体装置は、上記の硬化性シリコーン組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする。このような本発明の半導体装置としては、発光ダイオード(LED)、フォトカプラー、CCDが例示される。また、半導体素子としては、発光ダイオード(LED)チップ、固体撮像素子が例示される。
【0055】
本発明の半導体装置の一例である単体の表面実装型LEDの断面図を図1に示した。図1で示されるLEDは、発光素子(LEDチップ)1がリードフレーム2上にダイボンドされ、この発光素子(LEDチップ)1とリードフレーム3とがボンディングワイヤ4によりワイヤボンディングされている。この発光素子(LEDチップ)1の周囲には枠材5が設けられており、この枠材5の内側の発光素子(LEDチップ)1が、本発明の硬化性シリコーン組成物の硬化物6により封止されている。
【0056】
図1で示される表面実装型LEDを製造する方法としては、発光素子(LEDチップ)1をリードフレーム2にダイボンドし、この発光素子(LEDチップ)1とリードフレーム3とを金製のボンディングワイヤ4によりワイヤボンドし、次いで、発光素子(LEDチップ)1の周囲に設けられた枠材5の内側に本発明の硬化性シリコーン組成物を充填した後、50〜200℃で加熱することにより硬化させる方法が例示される。
【実施例】
【0057】
本発明のオルガノシロキサン、硬化性シリコーン組成物、および半導体装置を実施例により詳細に説明する。なお、式中、Me、Vi、Ph、Epはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基、3−グリシドキシプロピル基を示す。
【0058】
[参考例1]
反応容器に、フェニルトリメトキシシラン 400g(2.02mol)および1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサン 93.5g(0.30mol)を投入し、予め混合した後、トリフルオロメタンスルホン酸 1.74g(11.6mmol)を投入し、撹拌下、水 110g(6.1mol)を投入し、2時間加熱還流を行った。その後、85℃になるまで加熱常圧留去を行った。次いで、トルエン 89gおよび水酸化カリウム 1.18g(21.1mmol)を投入し、反応温度が120℃になるまで加熱常圧留去を行い、この温度で6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、酢酸 0.68g(11.4mmol)を投入し、中和した。生成した塩を濾別した後、得られた透明な溶液から低沸点物を加熱減圧除去して、平均単位式:
(MePhViSiO1/2)0.23(PhSiO3/2)0.77
で表されるオルガノポリシロキサンレジン 347g(収率:98%)を調製した。
【0059】
[実施例1]
反応容器に、平均式:
【化11】
で表されるオルガノシロキサン 190g、式:
【化12】
で表される化合物 598g、およびカリウムシラノレート 0.23gを加え、120〜130℃で6時間加熱し、淡黄色液体を得た。この液体は、NMR分析の結果、平均式:
【化13】
(式中、Xは、式:
【化14】
で表される基である。)
で表されるオルガノシロキサンであることがわかった。
【0060】
[実施例2]
反応容器に、式:
【化15】
で表されるオルガノシロキサン 26g、式:
【化16】
で表される化合物 30g、および水酸化カルシウム 1.7gを加え、100℃で6時間加熱し、淡黄色液体を得た。この液体は、NMR分析の結果、平均式:
【化17】
(式中、Xは、式:
【化18】
で表される基である。)
で表されるオルガノシロキサンであることがわかった。
【0061】
[実施例3]
反応容器に、式:
【化19】
で表されるオルガノシロキサン 10g、式:
【化20】
で表される化合物 9.8g、水酸化カルシウム 1.1gを加え、120〜130℃で6時間加熱し、淡黄色液体を得た。この液体は、NMR分析の結果、平均式:
【化21】
(式中、Xは、式:
【化22】
で表される基である。)
で表されるオルガノシロキサンであることがわかった。
【0062】
[実施例4〜8、比較例1〜3]
下記の成分を用いて、表1に示した硬化性シリコーン組成物を調製した。なお、表1中、(D)成分の含有量は、質量単位における、硬化性シリコーン組成物に対する白金金属の含有量(ppm)で示した。また、表1中、SiH/Viは、(A)成分および(C)成分に含まれるアルケニル基の合計1モルに対する、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数を示した。
【0063】
(A)成分として、次の成分を用いた。
(A−1)成分: 平均単位式:
(MeViSiO1/2)0.2(PhSiO3/2)0.8
で表されるオルガノポリシロキサン
(A−2)成分: 参考例1で調製した、平均単位式
(MePhViSiO1/2)0.23(PhSiO3/2)0.77
で表されるオルガノポリシロキサン
(A−3)成分: 粘度3,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン
【0064】
(B)成分として、次の成分を用いた。
(B−1)成分: 式:
HMeSiOPhSiOSiMe
で表されるオルガノトリシロキサン
【0065】
(C)成分として、次の成分を用いた。
(C−1)成分: 実施例1で調製したオルガノシロキサンからなる接着促進剤
(C−2)成分: 実施例2で調製したオルガノシロキサンからなる接着促進剤
(C−3)成分: 実施例3で調製したオルガノシロキサンからなる接着促進剤
(C−4)成分: 25℃における粘度が30mPa・sである分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサンオリゴマーと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの縮合反応物からなる接着促進剤
【0066】
(D)成分として、次の成分を用いた。
(D−1)成分: 白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンの溶液(白金として0.1質量%含有する溶液)
【0067】
硬化性シリコーン組成物の硬化物の接着力を次のようにして測定した。
【0068】
[接着力]
直径5mmの穴を開けた、厚さ2mmのフッ素樹脂製のスペーサーを接着用テストパネル(アルミニウム板、PPA樹脂板、銀板)上に設置し、上記スペーサーの穴の中に硬化性シリコーン組成物を流し込んだ後、150℃の熱風循環式オーブン中で1時間放置することで、直径5mm×高さ2mmの円柱状の硬化物を作製した。この硬化物を、ダイシェア強度測定装置を用い50mm/分の速度で剥離し、そのときの荷重(MPa)を測定した。
【0069】
硬化性シリコーン組成物を用いて次のようにして表面実装型の発光ダイオード(LED)を作製した。
【0070】
[発光ダイオードの作製]
底部が塞がった円筒状のポリフタルアミド(PPA)樹脂製枠材5(内径2.0mm、深さ1.0mm)の内底部の中心部に向かって、リードフレーム2、3が側壁から延出しており、リードフレーム2の中央部上にLEDチップ1が載置されており、LEDチップ1とリードフレーム3はボンディングワイヤ4により電気的に接続している未封止の発光ダイオード内に、脱泡した硬化性シリコーン組成物をディスペンサーにより注入した。その後、加熱オーブン中、100℃で30分、続いて150℃で1時間加熱して、硬化性シリコーン組成物を硬化させることにより、図1に示す発光ダイオードを作製した。
【0071】
[インク試験]
上記の方法で作製した16個の発光ダイオードを、市販の赤インクに浸漬し、50℃で24時間放置した。放置後、顕微鏡で赤インクの発光ダイオード内への浸み込みを観察し、次のように評価した。
◎: インクの浸み込みが確認された発光ダイオードが2個以下である。
△: インクの浸み込みが確認された発光ダイオードが3個〜8個である。
×: インクの浸み込みが確認された発光ダイオードが9個以上である。
【0072】
[ワイヤー切断]
上記の方法で作製した16個の発光ダイオードを、−40℃で30分間、次いで125℃で30分間の温度サイクルを1サイクルとするヒートサイクル試験を1000サイクル行い、その後、通電してLEDの点灯を調査し、次のように評価した。
◎: 点灯した発光ダイオードが14個以上である。
○: 点灯した発光ダイオードが8個〜13個である。
△: 点灯した発光ダイオードが7個以下である。
【0073】
【表1】
【0074】
[実施例8〜9、比較例4〜5]
次の成分を用いて、表2に示した硬化性シリコーン組成物を調製した。なお、表2中、(D)成分の含有量は、質量単位における、硬化性シリコーン組成物に対する白金金属の含有量(ppm)で示した。また、表2中、SiH/Viは、(A)成分および(C)成分に含まれるアルケニル基の合計1モルに対する、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数を示した。
【0075】
(A)成分として、上記(A−2)成分以外に、次の成分を用いた。また、粘度は25℃における値であり、JIS K 7117−1に準拠してB型粘度計を用いて測定した。また、ビニル基の含有量は、FT−IR、NMR、GPC等の分析によって測定した。
(A−4)成分: 粘度300mPa・sであり、平均式:
MeViSiO(MeSiO)150SiMeVi
で表される分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)
(A−5)成分: 粘度10,000mPa・sであり、平均式:
MeViSiO(MeSiO)500SiMeVi
で表される分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.15質量%)
(A−6)成分: 25℃において白色固体状で、トルエン可溶性である、平均単位式:
(MeViSiO1/2)0.15(MeSiO1/2)0.47(SiO4/2)0.38(HO1/2)0.0001
で表される一分子中に2個以上のビニル基を有するオルガノポリシロキサンレジン(ビニル基の含有量=5.4質量%)
(A−7)成分: 25℃において白色固体状で、トルエン可溶性である、平均単位式:
(MeViSiO1/2)0.15(MeSiO1/2)0.38(SiO4/2)0.47(HO1/2)0.01
で表される一分子中に2個以上のビニル基を有するオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=4.2質量%)
(A−8)成分: 25℃において白色固体状で、トルエン可溶性の平均単位式:
(PhSiO3/2)0.75(MeViSiO1/2)0.25
で表される一分子中に2個以上のビニル基を有するオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=5.6質量%)
【0076】
(B)成分として、上記(B−1)成分以外に、次の成分を用いた。
(B−2)成分: 平均式:
MeSiO(MeHSiO)55SiMe
で表される、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子結合水素原子含有量=1.6質量%)
(B−3)成分: 平均単位式:
(PhSiO3/2)0.4(HMeSiO1/2)0.6
で表される、粘度25mPa・sの一分子中に2個以上のケイ素原子結合水素原子を有する分岐鎖状オルガノポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.65質量%)
【0077】
(C)成分として、上記の(C−1)成分および(C−4)成分を用いた。
【0078】
(D)成分として、次の成分を用いた。
(D−2)成分: 白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属の含有量=約5000ppm)
【0079】
(E)成分として、次の成分を用いた。
(E−1)成分: 1−エチニルシクロヘキサン−1−オール
【0080】
硬化性シリコーン組成物の硬さを次のようにして測定した。
【0081】
[硬化物の硬さ]
硬化性シリコーン組成物を150℃で1時間、5MPaの圧力でプレス成形することによりシート状の硬化物を作製した。このシート状の硬化物の硬さをJIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定した。その結果を表2に示した。
【0082】
硬化性シリコーン組成物を用いて次のようにして表面実装型の発光ダイオード(LED)を作製した。
【0083】
[発光ダイオードの作製]
底部が塞がった円筒状のポリフタルアミド(PPA)樹脂製枠材5(内径2.0mm、深さ1.0mm)の内底部の中心部に向かって、リードフレーム2、3が側壁から延出しており、リードフレーム2の中央部上にLEDチップ1が載置されており、LEDチップ1とリードフレーム3はボンディングワイヤ4により電気的に接続している未封止の発光ダイオード内に、脱泡した硬化性シリコーン組成物をディスペンサーにより注入した。その後、加熱オーブン中、100℃で30分、続いて150℃で1時間加熱して、硬化性シリコーン組成物を硬化させることにより、図1に示す表面実装型の発光ダイオードを作製した。
【0084】
[硬化物の初期剥離率]
上記の方法で作製した20個の発光ダイオードについて、リードフレーム2、3、およびボンディングワイヤ4と硬化物6間での剥離状態を光学顕微鏡で観察し、剥離が見られた発光ダイオードの個数の割合を表2に示した。
【0085】
[吸湿リフロー後の剥離率]
上記の方法で作製した20個の発光ダイオードを、85℃、85%の恒温恒湿室に168時間入れた後、280℃のオーブン内に30秒間置き、その後、室温(25℃)下に戻して、リードフレーム2、3、およびボンディングワイヤ4と硬化物6間での剥離状態を光学顕微鏡で観察し、剥離が見られた発光ダイオードの個数の割合を表2に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
表2の結果から、実施例8〜9の硬化性シリコーン組成物の硬化物は、比較例4〜5の硬化性シリコーン組成物に比べ高い耐剥離性を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、流動性が優れ、硬化して、蛍光体が均一に分散し、屈折率が高い硬化物を形成することができるので、発光ダイオード(LED)等の光半導体装置における発光素子の封止剤もしくは被覆剤として好適である。
【符号の説明】
【0089】
1 発光素子
2 リードフレーム
3 リードフレーム
4 ボンディングワイヤ
5 枠材
6 硬化性シリコーン組成物の硬化物
図1