(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る容器供給装置および容器供給方法について、図面に基づ
いて詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明を適用した容器供給装置の一実施形態の構成として紙カップ供給装置1の
実施概要を示したものである。詳細は後述するが、第一支持部3、第二支持部2、及び紙
カップ取り出し部4の連動により、紙カップ100が紙カップ取り出し部4の吸着部41
に吸着されて取り出される。取り出された紙カップ100は、紙カップ取り出し部4と連
結した上下可動部5が固定筒部6に沿って下方へスライドすることにより下方に移動され
る。紙カップ取り出し部4が回転軸43を軸として約180°回転することにより、紙カ
ップ100は反転する。紙カップ取り出し部4の吸着部41による吸着が解除され、紙カ
ップ100は、搬送路7上を左方向に流れる紙カップ搬送用バケット8に入れられ、次工
程へと順次搬送される。
【0012】
図2(a)〜(c)は、本実施形態に係る紙カップ供給装置1で使用される紙カップ1
00の一例を示したものである。紙カップ100は、例えば切り出した板紙等を折り曲げ
て接着剤等で糊付けされることで作成される。このような紙カップ100は、外力が加え
られることで容易に変形し、変形状態の個体差が大きいという特徴がある。
【0013】
図2(a)は、紙カップ100の正面図である。開口部である下方ほど径が大きい形状
をとっている。図示例では正面からは略台形形状と視認されるが、このような形状に限定
されず、側面が湾曲していたり、側面の一部で傾斜角度が変化していたりしても良い。
【0014】
図2(b)は、紙カップ100の平面図である。紙カップ100の底面が略四角形であ
るのに対し、開口部の各辺はやや外側に膨らんだ形状をしている。これは、紙カップ10
0の剛性が低いため、成形時の折り曲げに対して元の板紙等の形状に戻ろうとする力が紙
カップ100の変形として現れたものと考えられる。
【0015】
なお、紙カップ100の素材をより剛性の高いものとしたり、成形方法を工夫したりす
ることによって、開口部の形状をより四角形に近づけることも可能であるが、このような
紙カップ100を用いてもよい。また、底面や開口部の形状は四角形に限定されず、他の
多角形や円形でもよく、また底面と開口部の形状が同一である必要もない。
【0016】
図2(c)は、紙カップ100のA−A線断面図である。ここで、紙カップ100の厚
みは十分に小さいため、厚みを表現せず線図のみで示している。
図2(c)に示す通り、
開口部にフランジ等は設けられておらず、板紙等が切りだされた断面がむき出しとなって
いる。
【0017】
図3(a)、(b)は、それぞれ紙カップ供給装置1の平面図及び正面図である。また
、
図4(a)、(b)は、紙カップ供給装置1に紙カップ100を載置した場合の平面図
及び正面図である。なお、
図4(b)の正面図においては、説明のため、紙カップ100
をB−B線断面図として示している。
【0018】
第一支持部3は、左右に1ずつ対向して設けられ、
図3(b)、
図4(b)に示す通り
、正面図では左がL字型、右が逆L字型の形状をなす。また、
図3(a)、
図4(a)に示
す通り、平面図では中央部がくり貫かれた形状をなし、当該中央部に第二支持部2及び紙
カップ取り出し部4が位置している。紙カップ100が載置された場合には、
図4(a)
に示す通り、第一支持部3により紙カップ100の開口部方向への進路が遮られる。
【0019】
第一支持部3は、平面図及び正面図上、左右方向に移動制御可能であり、各第一支持部
3が連動して互いに反対方向に移動制御可能であることが望ましい。また、第一支持部3
は、紙カップ100が複数積み重ねられて載置された場合にその荷重に耐えられる程度の
強度を有しており、例えば金属等で構成される。
【0020】
第二支持部2は、左右に1ずつ対向して設けられ、それぞれフレーム21と紙カップ当
接部22とからなる。フレーム21は板状である程度の剛性を有する素材からなり、例え
ば金属等で構成される。紙カップ当接部22は摩擦力が大きく紙カップ100に直接触れ
ても傷つけない程度の柔軟性をもつことが望ましく、例えばゴム等で構成される。また、
第二支持部2は、正面図上、下方で内側に屈曲していることが望ましい。
【0021】
第二支持部2は、平面図及び正面図上、左右方向に移動制御可能であり、各第二支持部
2が連動して互いに反対方向に移動制御可能であることが望ましい。紙カップ100が載
置された状態で各第二支持部2が内側に移動制御された場合、
図4(a)に示す通り、紙
カップ100を左右から押圧し、紙カップ100を変形させることが可能である。
【0022】
紙カップ取り出し部4は、左右に吸着部41、正面図における上部に押し上げ部42を
備える。紙カップ取り出し部4は、正面図上、上下に移動制御可能である。吸着部41は
当接面に密着可能なよう、ゴム等の柔らかい素材からなり、内部に空気が通るための孔が
設けられている。
図4(b)に示すように、例えば紙カップ100の内面が吸着部41に
密着すると、吸着部41は内部の孔を通して空気を吸引することで、紙カップ100を吸
着することが可能である。空気の吸引は、吸引部41や紙カップ取り出し部4本体を介し
て外部の装置から行うものとしてもよい。押し上げ部42は、
図4(b)に示す通り、紙
カップ100の底面に当接して紙カップ100を押し上げることが可能である。押し上げ
部42は、紙カップ100の底面を傷つけないよう柔らかい素材であることが望ましく、
例えばゴム等で構成される。
【0023】
紙カップ100は、第二支持部2により押圧されると、
図4(a)に示す通り、押圧さ
れた側面は凹み、他方の側面はより膨らんだ形状をなす。
【0024】
<動作例>
図5〜
図8は、紙カップ供給装置1の動作例を示す正面図であり、時系列に沿って図示
している。なお、説明のため、
図4(b)と同様、紙カップ100をB−B線断面図で示
している。
【0025】
図5(a)に示す通り、紙カップ供給装置1に複数の紙カップ100が開口部を下方に
向けて積み重ねられている。第一支持部3は紙カップ100の進路を遮る程度に互いに接
近しており、第二支持部2は紙カップ100とは接していない状態である。以下、紙カッ
プ100のうち、最下位すなわち取り出し方向先端に位置するものを第一紙カップ101
、第一紙カップ101に隣接し、取り出し方向二番目に位置するものを第二紙カップ10
2と呼ぶ。
【0026】
図5(b)に示す通り、紙カップ取り出し部4が上方に移動制御され、押し上げ部42
により第一紙カップ101が押し上げられる。すると、第一紙カップ101の上方に積み
重ねられた他の紙カップ100も同じく押し上げられる。これにより、第一紙カップ10
1の開口部が第一支持部3と接していないので、後述する第二支持部2による紙カップ1
00の挟み込みが行われても、第一支持部3との摩擦によって第一紙カップ101の開口
部が傷つく恐れがない。
【0027】
図6(a)に示す通り、第二支持部2が互いに内側方向に移動し、紙カップ100を左
右から挟み込んで押圧する。これにより、第一紙カップ101及び第二紙カップ102を
含む複数の紙カップ100が、
図4(a)で示した例と同様に、左右方向の側面が凹んだ
形状をなす。このとき、複数の紙カップ100のうち、第一紙カップ101の開口部は紙
カップ当接部22より下方に突出して下方への進路が遮られてはいないが、第二紙カップ
102の開口部は、紙カップ当接部22と当接することで下方への進路が遮られている。
また、第二支持部2による押圧により、第一紙カップ101は吸着部41と密着している
。
図6(b)に示す通り、第一支持部3がそれぞれ外側に移動し、第一紙カップ101の取
り出し方向への進路を開放する。
【0028】
図7(a)に示す通り、吸着部41による吸着が行われつつ、紙カップ取り出し部4が
下方へ移動される。吸着部41による吸着により第一紙カップ101と吸着部41とが密
着しており、また、第一紙カップ101は紙カップ当接部22により下方への進路が遮ら
れていないのに対して第二紙カップ102は紙カップ当接部22により下方への進路が遮
られているので、紙カップ100のうち第一紙カップ101のみが他の紙カップ100か
ら分離されて、紙カップ取り出し部4と一体的に下方へ移動される。なお、吸着部41に
よる吸着は、
図5(a)から
図7(a) のどのタイミングで開始されていてもよい。
【0029】
図7(b)に示す通り、紙カップ取り出し部4により第一紙カップ101が取り出され
ると、第一支持部3がそれぞれ内側に移動し、第二紙カップ102の取り出し方向への進
路を遮断する。
【0030】
図8に示す通り、第二支持部2がそれぞれ外側に移動し、第二紙カップ102を含む複
数の紙カップ100が第二支持部2から開放されて落下し、第二紙カップ102が第一支
持部3と当接した位置で停止する。
図7(b)から
図8の何れかのタイミングで、
図1に
示す通り、紙カップ取り出し部4が第一紙カップ101とともに回転軸43を軸として1
80°回転し、搬送路7上の紙カップ搬送用バケット8に第一紙カップ101を載置する
ように吸着部41の吸着を解除する。
【0031】
その後、紙カップ取り出し部4が再度180°回転し、上方に移動することで
図5(a
)の状態に戻り、以降同様の動作を繰り返すことで順次1ずつ紙カップ100を取り出す
ことが可能となる。
【0032】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を
逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段
階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種
々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件
が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決し
ようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得
られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され
得るものである。
【0033】
例えば、紙カップ100は、厚みがより厚くても薄くても良い。また、剛性がより高く
ても低くてもいい。第二支持部2に押圧されることである程度の形状変形があり、吸着部
41に押し付けられる構成であれば良い。また、紙カップ100の代わりに紙以外の容器
、例えばプラスチック容器等を用いても良い。
【0034】
また、紙カップ100を開口部を下方に向けて積み重ねる必要はなく、例えば開口部を
上方に向けて積み重ねても良い。この場合、容器供給装置1は上下逆の構成となり、紙カ
ップ100を下部で支える新たな支持部が必要になるが、第一支持部3の構成は必ずしも
必要ではなくなる。
【0035】
また、押し上げ部42は紙カップ取り出し部4と一体である必要はなく、第一紙カップ
101を押し上げる機能が果たせれば、別個の構成としてもよい。もちろん、押し上げ部
42による押し上げ工程を実施形態から除外してもよい。
【0036】
また、第一紙カップ101の取り出しは、吸着部41の吸着によるものに限定されない
。例えば、粘着性のある部材を第一紙カップ101に当接することで取り出してもよいし
、その他公知の方法を用いてもよい。さらに、紙カップ取り出し部4を構成から除外し、
第二支持部2による押圧力を、第二紙カップ102を支持するのには足りるが第一紙カッ
プを支持するには足りない程度の押圧力とすることで、
図6(a)に相当する第二支持部
2による押圧時には第一紙カップ101は第一支持部3に接地し、
図6(b)に相当する
第一支持部3の外側方向への移動時に第一紙カップ101が落下することで取り出す構成
としてもよい。