(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552975
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】メモリ制御装置、及びメモリ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 12/06 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
G06F12/06 560A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-13028(P2016-13028)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-134564(P2017-134564A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 年洋
【審査官】
酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−129554(JP,U)
【文献】
特開平04−047349(JP,A)
【文献】
米国特許第05355465(US,A)
【文献】
特開2003−151268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のメモリアドレスが割り当てられた複数のレジスタに対する書込みアクセスを制御するメモリ制御装置であって、
外部から供給されるメモリアドレスを受け取り、
メモリアドレスを受け取った後に外部から入力される書込み指示の入力数に応じて、受け取ったメモリアドレスに割り当てられている複数のレジスタの中から一のレジスタを選択し、
外部からの書込み指示と読出し指示を同時に受け取った場合には書込み指示を無効とするとともに、書込み指示のみを受け取った場合には、前記受け取ったメモリアドレスにおける、書込み指示の入力数に応じて選択した前記一のレジスタにデータを書き込むよう制御する
ことを特徴とするメモリ制御装置。
【請求項2】
外部からの書込み指示及び読出し指示を、それぞれ1本の信号線により受け取ることを特徴とする請求項1に記載のメモリ制御装置。
【請求項3】
外部から供給されるメモリアドレスを取り込むタイミングを規定する信号を1本の信号線により受け取ることを特徴とする請求項1または2に記載のメモリ制御装置。
【請求項4】
レジスタへの書き込み制御のために同期動作用のクロック信号を受け取らないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメモリ制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のメモリ制御装置と、
それぞれメモリアドレスが割り当てられた複数の書込み用レジスタにより構成される書込み用レジスタブロックとを備えるメモリ装置であって、
前記書込み用レジスタブロックは、同一のアドレス信号が割り当てられた複数の前記書込み用レジスタを備えるアドレスブロックを有し、
前記メモリ制御装置は、外部から供給されるメモリアドレスに応じて、書込み先の前記書込み用レジスタを含む前記アドレスブロックを選択するとともに、メモリアドレスを受け取った後に外部から入力される書込み指示の入力数に応じて、選択した前記アドレスブロックの中から一の書込み用レジスタを選択し、書込み指示と読出し指示を同時に受け取った場合には書込み指示を無効とするとともに、書込み指示のみを受け取った場合には選択した前記書込み用レジスタにデータを書き込むよう制御する
ことを特徴とするメモリ装置。
【請求項6】
書き込み先の前記書込み用レジスタを含む前記アドレスブロックを指定するためのメモリアドレスと、前記書込み用レジスタに書き込むデータとを、共通の信号線を利用して受け取ることを特徴とする請求項5に記載のメモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ空間へのアクセスを制御するメモリ制御装置、及び当該メモリ制御装置を備えるメモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジマチックキャリパ、デジマチックマイクロメータ、デジマチックインジケーター、リニアスケール等の計測機器のように、電子化された各種の機器においてはマイコンと信号処理ICとの間での通信を行いつつ、データの送受信が行われている。この用に用いられる信号処理ICは、メモリアドレスが割り当てられた複数のレジスタと、マイコンから与えられる指示に基づきレジスタに対するデータの書き込みやレジスタからのデータの読み出しの制御を行うメモリ制御回路とを備えている。
【0003】
図7は、マイコンにより信号処理ICの持つレジスタに対しデータを書き込む際の動作について、従来の態様の一例を示すタイミングチャートである。時刻T0より、書込み処理の動作が開始される。時刻T0において、マイコン100は、アドレス・データバスAD[3:0]に、書込み先のレジスタが属するアドレスブロックを示すアドレスとして“0”を出力する。続いて、時刻T1において、マイコン100は、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEとしてパルスを出力し、これにより、書き込み先のレジスタのアドレスとして“0”が選択される。時刻T2において、マイコン100は、アドレス・データバスAD[3:0]に、レジスタに書き込むデータとして、例えば4ビットのデータ“0101”を出力する。続いて時刻T3において、マイコン100が書込み指示信号WRBのパルスを出力すると、選択されたアドレス“0”のレジスタにデータ“0101”が書き込まれる。その後も、同様に、時刻T4でマイコンが出力するアドレス“1”を時刻T5のアドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEのパルスでラッチし、時刻T6でマイコンが出力するデータ“0011”を時刻T7の書込み指示信号WRBのパルスにてアドレス“1”のレジスタに書き込む、というように、書込み動作を行う。
【0004】
マイコンと信号処理ICとの間の接続には、端子数の増加に伴うコスト増を抑制すべく、少ない信号線の数で効率的な通信が求められている。上記の従来例では、マイコンと信号処理ICとは、レジスタに対するリード/ライトのための信号として、アドレス・データバスAD[3:0]、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALE、書込み指示信号WRB及び読出し指示信号RDBのみで接続されている。信号線の数に制約があるため、マイコンのビット数で指定可能なアドレス長がメモリ空間(読み出し・書き込み共に)の限界となる。例えば、4ビットマイコンを用いる場合には、最大16アドレスが指定可能となるため、メモリ空間としては、4ビット×16アドレスが上限となる。
【0005】
上記のようなメモリ空間の制約を克服し、メモリ空間を増やす方法として、読み出し処理に関しては同じアドレスでも読出し指示信号のパルス入力数に応じて読み出しデータ切り替えを行う方法が利用されている。例えば特許文献1には、同一のメモリアドレスが割り付けられた複数のレジスタと、プロセッサによって初期値が設定されプロセッサが上記のレジスタに割り付けられたアドレスを連続して複数回アクセスした時アクセス回数をカウントアップしてその計数地により上記複数のレジスタのうちの一つを選択する回路とを具備することを特徴とするデータ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭58−129554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、書き込み処理時に、読み出し処理と同様に書込み指示信号のパルス入力数に応じて書き込みレジスタの切り替えを行った場合、本当に書き込みをしたいレジスタ以外にも書き込み処理が実行される課題が存在する。
図8は、アドレス“0”に対し3つのレジスタ(#1〜#3)を割り当てた構成において、書込み指示信号のパルス入力数に応じて書き込みレジスタの切り替えを行いつつ、3つ目のパルスに割り当てられたレジスタ(#3)に書込みをする場合の動作を示すタイミングチャートである。はじめに、
図6に示した例と同様、時刻T0でマイコンが出力するアドレス“0”を時刻T1のアドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEのパルスでラッチして、アドレス“0”を選択する。続いて、時刻T2でマイコンがレジスタに書き込むためのデータ“0101”をアドレス・データバスAD[3:0]に出力する。続いて、3つ目のパルスに割り当てられたレジスタに書込みをすべく、時刻T3、T5、及びT7で書込み指示信号WRBのパルスが与えられる。その結果、時刻T6において、目的としたレジスタ(#3)に対してデータ“01010”の書き込みが行われるが、時刻T3及びT5においても、それぞれ意図せぬレジスタ(#1及び#2)にデータ“0101”が書き込まれてしまう。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、入出力信号の数を増加させることなく、メモリ空間を拡張してレジスタへの書込みを行うことのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のメモリ制御装置は、同一のメモリアドレスが割り当てられた複数のレジスタに対する書込みアクセスを制御する。当該メモリ制御装置は、外部から供給されるメモリアドレスを受け取り、メモリアドレスを受け取った後に外部から入力される書込み指示の入力数に応じて、受け取ったメモリアドレスに割り当てられている複数のレジスタの中から一のレジスタを選択し、外部からの書込み指示と読出し指示を同時に受け取った場合には書込み指示を無効とするとともに、書込み指示のみを受け取った場合には、受け取ったメモリアドレスにおける、書込み指示の入力数に応じて選択した一のレジスタにデータを書き込むよう制御する。このような構成により、従来と同様の入出力信号により、書込み用レジスタのメモリ空間を拡張することができる。
【0010】
(2)メモリ制御装置は、外部からの書込み指示及び読出し指示を、それぞれ1本の信号線により受け取るとよい。(3)また、メモリ制御装置は、外部から供給されるメモリアドレスを取り込むタイミングを規定する信号を1本の信号線により受け取るとよい。(4)また、メモリ制御装置は、レジスタへの書き込み制御のために同期動作用のクロック信号を受け取らないようにするとよい。これらの構成により、メモリ制御の指示を外部から受け取るための信号数を極少化することができる。
【0011】
(5)本発明のメモリ装置は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のメモリ制御装置と、それぞれメモリアドレスが割り当てられた複数の書込み用レジスタにより構成される書込み用レジスタブロックとを備える。当該メモリ装置において、書込み用レジスタブロックは、同一のアドレス信号が割り当てられた複数の書込み用レジスタを備えるアドレスブロックを有し、メモリ制御装置は、外部から供給されるメモリアドレスに応じて、書込み先の書込み用レジスタを含むアドレスブロックを選択するとともに、メモリアドレスを受け取った後に外部から入力される書込み指示の入力数に応じて、選択したアドレスブロックの中から一の書込み用レジスタを選択し、書込み指示と読出し指示を同時に受け取った場合には書込み指示を無効とするとともに、書込み指示のみを受け取った場合には選択した書込み用レジスタにデータを書き込むよう制御する。このような構成により、従来と同様の入出力信号により、書込み用レジスタのメモリ空間を拡張することができる。
【0012】
(6)メモリ装置は、書き込み先の書込み用レジスタを含むアドレスブロックを指定するためのメモリアドレスと、書込み用レジスタに書き込むデータとを、共通の信号線を利用して受け取るとよい。このような構成により、書込み用レジスタへの書込みのために外部から受け取る信号数を極少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るメモリ制御装置及びメモリ装置を適用した計測器1の一例を示す構成図である。
【
図2】マイコン100と信号処理IC200との間の接続関係を示すブロック図である。
【
図3】信号処理IC200の構成を示す回路ブロック図である。
【
図4】
図4は書込禁止状態生成回路230の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】書込み用レジスタブロック240の構成を示す図である。
【
図6】マイコン100が信号処理IC200に供給する信号、及び信号処理IC200の内部信号の時間変化を示すタイミングチャートである。
【
図7】マイコンにより信号処理ICの持つレジスタに対しデータを書き込む際の動作について、従来の態様の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】アドレス“0”に対し3つのレジスタを割り当てた構成において、書込み指示信号のパルス入力数に応じて書き込みレジスタの切り替えを行いつつ、3つ目のパルスに割り当てられたレジスタに書込みをする場合の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るメモリ制御装置及びメモリ装置を適用した計測器1の一例を示す構成図である。計測器1は、マイコン100、信号処理IC200、及びセンサ300を備える。マイコン100は、CPUやメモリを集積した半導体素子であり、プログラムに従い各種の制御を実行する。本実施形態におけるマイコン100は、4ビットのバス幅での演算及びデータ入出力をするいわゆる4ビット・マイコンである。センサ300は計測器1により測定する物理量を電気的信号に変換する素子である。信号処理IC200は、センサ300から出力された信号を処理するための半導体素子である。信号処理IC200の構成については後述する。
【0015】
図2は、マイコン100と信号処理IC200との間の接続関係を示すブロック図である。マイコン100と信号処理IC200とは、4ビットのアドレス・データバスAD[3:0]、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALE、負論理の書込み指示信号WRB、及び負論理の読出し指示信号RDBにて接続される。アドレス・データバスAD[3:0]は、アドレス及びデータを入出力するための信号である。アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEは、アドレス・データバスAD[3:0]に出力したアドレスをラッチするタイミングを規定するタイミングをパルスの立ち上がりエッジにて規定する。書込み指示信号WRBは、アドレス・データバスAD[3:0]に出力したデータを書込み用レジスタに書き込むことをマイコン100から信号処理ICに指示するための信号である。読出し指示信号RDBは、読出し用レジスタが保持するデータをアドレス・データバスAD[3:0]に出力させることをマイコン100から信号処理ICに指示するための信号である。
【0016】
図3は、信号処理IC200の構成を示す回路ブロック図である。信号処理IC200は、アドレス信号生成回路210、書込み用パルス計数回路220、書込禁止状態生成回路230、書込み用レジスタブロック240、信号処理回路ブロック250、及び読出し用レジスタブロック260を備える。これらの回路ブロックのうち、アドレス信号生成回路210、書込み用パルス計数回路220、及び書込禁止状態生成回路230が本発明のメモリ制御装置に相当し、当該メモリ制御装置にさらに書込み用レジスタブロック240、及び必要に応じて読出し用レジスタブロック240を備えた構成が本発明のメモリ装置に相当する。
【0017】
アドレス信号生成回路210は、書込み先の書込み用レジスタのアドレスを示すアドレス信号ADRSを生成する回路である。アドレス信号生成回路210は、アドレス・データバスAD[3:0]にマイコン100から出力される4ビットのアドレスを、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEがローからハイに遷移するタイミングでラッチし、当該ラッチしたアドレスをデコードして書込み用レジスタを指定するアドレス信号ADRSを遷移させる。4ビットのアドレスからは16つのレジスタアドレスが指定できるが、アドレス信号生成回路210は、このうち書込み用レジスタブロック240に割り当てられたアドレスに応じた数のアドレス信号ADRSを出力する。以下本実施形態では、16本のアドレス信号ADRS[15:0]を出力するものとして説明する。各アドレス信号ADRS[15:0]は、書込み用レジスタブロックにおける対応するアドレスブロックに接続される。アドレス信号生成回路210は、ラッチされたアドレスに対応するアドレス信号ADRSのみをハイとし、ラッチされたアドレスに対応しないアドレス信号ADRSはローとする。また、書込み用レジスタブロック240に割り当てられていないアドレスについては、いずれのアドレス信号ADRSもローとなる。アドレス信号ADRSは、書込み用レジスタブロック240に入力される。
【0018】
書込み用パルス計数回路220は、入力される書込み指示信号WRBとして出力されるパルスの数を計数するいわゆるカウンタ回路を備え、カウント値WCに応じて同一アドレスが割り当てられた複数の書込みレジスタから一を選択するための書込みカウント信号を出力する。書込み用パルス計数回路220は、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEがローからハイに遷移するタイミングでリセットされ、負論理の書込み指示信号WRBがハイからローに遷移する毎に、1ずつカウントアップする。そして、書込み用パルス計数回路220は、カウント値WCに応じて書込みカウント信号を遷移させる。本実施形態では、書込み用パルス計数回路220は3つの書込みカウント信号(#1〜#3)を出力するが、書込みカウント信号の数は要求されるアドレス空間の広さに応じて任意に設定してよい。書込みカウント信号は、書込み用レジスタブロック240に入力される。
【0019】
書込禁止状態生成回路230は、書込み指示信号WRBとして供給されるパルスを無効とする書込み禁止状態を生成するための回路である。書込禁止状態生成回路230には、負論理の書込み指示信号WRB及び負論理の読出し指示信号RDBが入力される。そして、書込禁止状態生成回路230は、読出し指示信号RDBがローになっている状態で入力された書込み指示信号WRBのパルスを打ち消す一方、読出し指示信号RDBがローになっていない状態で入力された書込み指示信号WRBのパルスに対応して有効書込み指示信号WRB2のパルスを出力する。
図4は書込禁止状態生成回路230の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4に示したように、書込禁止状態生成回路230は、書込み指示信号WRBとしてパルスが複数回入力された際、読出し指示信号RDBがローである時刻T0に入力された書込み指示信号WRBのパルスについては対応するパルスを有効書込み指示信号WRB2に出力せず、読出し指示信号RDBがハイである時刻T1に入力された書込み指示信号WRBのパルスについては対応するパルスを有効書込み指示信号WRB2に出力する。有効書込み指示信号WRB2は、書込み用レジスタブロック240に入力される。
【0020】
図5は、書込み用レジスタブロック240の構成を示している。書込み用レジスタブロック240は、割り当てられたアドレスに対応した数のアドレスブロックを備える。本実施形態では、16個のアドレスブロック(A0〜A15)を備える。すべてのアドレスブロック(A0〜A15)には、アドレス・データバスAD[3:0]、及び有効書込み指示信号WRB2が接続される。また、各アドレスブロックには、それぞれ対応するアドレス信号ADRS[15:0]が接続される。すなわち、例えば、アドレスブロックA0にはアドレス信号ADRS0が接続され、アドレスブロックA1にはアドレス信号ADRS1が接続される。
【0021】
また、各アドレスブロックには、それぞれのアドレスブロックが備えるレジスタに応じた数の書込みカウント信号(#1〜#3)が接続される。各アドレスブロック(A0〜A15)には、最大で書込みカウント信号の数(本実施形態では3つ)のレジスタRGを設けることができるが、設けるレジスタRGの数はアドレスブロック毎に異なっていてもよい。なお、
図5に示したアドレスブロックA0には、3つのレジスタ(RG01〜RG03)が設けられている。
【0022】
以下、アドレスブロック(A0〜A15)の機能について、アドレス0のアドレスブロックA0を例に説明する。
図5に示したように、各レジスタRGのイネーブル入力には、当該アドレスブロックに対応するアドレス信号ADRS0、それぞれのレジスタRGに対応する書込みカウント信号WC(#1〜#3)、及び有効書込み指示信号WRB2の論理積が入力される。すなわち、当該アドレスブロックに対応するアドレス信号がハイとなり、且つ、当該レジスタRGに対応する書込みカウント信号がハイとなっているレジスタRGに対する有効書込み指示信号WRB2のみが有効とされ、他のレジスタRGに対する有効書込み指示信号WRB2は無効とされる。アドレスブロックに対応するアドレス信号がハイとなり、且つ、当該レジスタRGに対応する書込みカウント信号がハイとなっているレジスタRGに対して有効書込み指示信号WRB2のパルスが入力されると、当該パルスの立ち下がりエッジにおけるアドレス・データバスAD[3:0]のデータが書き込まれる。
【0023】
信号処理回路ブロック250は、センサ300から出力された信号を処理する回路ブロックであり、例えばAD変換器、デジタル信号処理回路等を備える。信号処理回路ブロック250は、書込み用レジスタブロック240の各レジスタRGに書き込まれたデータによって各種の設定(例えばデジタル信号処理回路における演算の係数の設定など)が行われ、当該設定に応じた信号処理を行い、必要に応じて読出し用レジスタブロック260のレジスタにステータスや測定結果を示すデータを書き込む。
【0024】
読出し用レジスタブロック260には、信号処理回路ブロック250によりステータスや測定結果を示すデータが書き込まれ、当該データを保持するとともに、マイコン100による制御の下、指定されたアドレスのレジスタが保持するデータをアドレス・データバスAD[3:0]に出力する。なお、読出し用レジスタブロック260についても書込み用レジスタブロック240と同様に一つのアドレスに対し複数のレジスタを割り当て、読出し指示信号RDBのパルス数に応じて読み出すレジスタを切り替えるように構成するとよい。このとき、所望のパルス数に達するまでの間、アドレス・データバスAD[3:0]には読み出したいレジスタとは異なるレジスタの保持するデータが出力されるが、このような不要なデータについてはマイコン100側で取り込まない(無視する)処理を行えばよく、書込禁止状態生成回路230に相当する回路を設ける必要はない。
【0025】
以上のように構成される計測器1において、マイコン100により信号処理IC200の書込み用レジスタブロック240にデータを書き込む際の動作を説明する。なお以下では、アドレス“0”のアドレスブロックの、拡張アドレス#3のレジスタRG03にデータ“0101”を書き込む場合の動作を例に説明する。
【0026】
図6は、マイコン100が信号処理IC200に供給する信号、及び信号処理IC200の内部信号の時間変化を示すタイミングチャートである。
時刻T0より、書込み処理の動作が開始される。時刻T0において、マイコン100は、アドレス・データバスAD[3:0]に、書込み先のレジスタが属するアドレスブロックを示すアドレスとして“0”を出力する。続いて、時刻T1において、マイコン100は、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEとしてパルスを出力する。このアドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEのパルスの立ち上がりのタイミングで、信号処理IC200のアドレス信号生成回路210は、アドレス・データバスAD[3:0]に出力されているアドレス“0”をラッチし、ラッチしたアドレス“0”をデコードしてアドレス“0”のアドレスブロックA0に接続されるアドレス信号ADRS0を選択状態を示すハイとし、他のアドレス信号(ADRS1〜15)をローとする(ADRS=“0”)。すなわち、時刻T1でアドレス“0”をラッチしたことに伴い、アドレスブロックA0が書込み先のアドレスブロックとして選択される。また、アドレス・ラッチ・イネーブル信号ALEのパルスにより、書込み用パルス計数回路220のカウント値WCが“0”にリセットされる。
【0027】
時刻T2において、マイコン100は、アドレス・データバスAD[3:0]に、レジスタに書き込むデータとして“0101”を出力する。続いて時刻T3において、マイコン100は、書込み指示信号WRBのパルス及び読出し指示信号RDBのパルスを出力する。書込み用パルス計数回路220は、書込み指示信号WRBのパルスを受け取り、カウント値WCを1増加させて“1”とする。そして、書込みカウント信号#1を選択状態を示すハイとするとともに他の書込みカウント信号(#2及び#3)をローとする。すなわち、時刻T3でリセット後の最初のパルスが入力されたことに伴い、選択中のアドレスブロックA0における拡張アドレス#1のレジスタが書き込み先のレジスタとして選択される。
【0028】
書込み用パルス計数回路220の上記の動作と並行して、書込禁止状態生成回路230は、時刻T3において、書込み指示信号WRBのパルス及び読出し指示信号RDBのパルスを受け取るが、有効書込み指示信号WRB2としてのパルスを出力しない。したがって、時刻T3においてマイコン100が出力する書込み指示信号WRBのパルスによっては、いずれのレジスタにもデータは書き込まれない。
【0029】
時刻T4において、マイコン100は、アドレス・データバスAD[3:0]に、レジスタに書き込むデータとして引き続き“0101”を出力する。続いて時刻T5において、マイコン100は、書込み指示信号WRBのパルス及び読出し指示信号RDBのパルスを出力する。書込み用パルス計数回路220は、書込み指示信号WRBのパルスを受け取り、カウント値を1増加させて“2”とする。そして、書込みカウント信号#2を選択状態を示すハイとするとともに他の書込みカウント信号(#1及び#3)をローとする。すなわち、時刻T5で2回目のパルスが入力されたことに伴い、選択中のアドレスブロックA0における拡張アドレス#2のレジスタが書き込み先のレジスタとして選択される。
【0030】
書込み用パルス計数回路220の上記の動作と並行して、書込禁止状態生成回路230は、時刻T5において、書込み指示信号WRBのパルス及び読出し指示信号RDBのパルスを受け取るが、有効書込み指示信号WRB2としてのパルスを出力しない。したがって、時刻T5においてマイコン100が出力する書込み指示信号WRBのパルスによっても、いずれのレジスタにもデータは書き込まれない。
【0031】
時刻T6において、マイコン100は、アドレス・データバスAD[3:0]に、レジスタに書き込むデータとして引き続き“0101”を出力する。続いて時刻T7において、マイコン100は、書込み指示信号WRBのパルスを出力し、読出し指示信号RDBはハイの状態を維持する。書込み用パルス計数回路220は、書込み指示信号WRBのパルスを受け取り、カウント値を1増加させて“3”とする。そして、書込みカウント信号#3を選択状態を示すハイとするとともに他の書込みカウント信号(#1及び#2)をローとする。すなわち、時刻T7で3回目のパルスが入力されたことに伴い、選択中のアドレスブロックA0における拡張アドレス#3のレジスタが書き込み先のレジスタとして選択される。
【0032】
書込み用パルス計数回路220の上記の動作と並行して、書込禁止状態生成回路230は、時刻T7において、読出し指示信号RDBがハイの状態で書込み指示信号WRBのパルスを受け取る。そして、有効書込み指示信号WRB2のパルスを出力する。この有効書込み指示信号WRB2のパルスは、全ての書込み用レジスタブロック240に入力されるが、アドレス信号ADRS0と書込みカウント信号#3の論理積にて有効状態とされた、アドレス“0”のアドレスブロックの、拡張アドレス#3のレジスタRG03のみに、時刻T7においてアドレス・データバスAD[3:0]に出力されていたデータ“0101”が書き込まれる。
【0033】
以上のような構成及び動作により、本実施形態では、入出力信号の数を増加させることなく、メモリ空間を拡張してレジスタへの書込みを行うことを可能とする。
【0034】
なお、上記に本実施形態及びその具体例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。例えば、具体的な回路構成、論理等は一例に過ぎない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上で説明したように、本発明はマイコンを利用してレジスタへの書き込みを行う計測器に好適に利用できる他、計測器以外の様々な機器においてもメモリ空間を拡張すべく適用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 計測器
100 マイコン
200 信号処理IC
300 センサ