(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸変性ポリオレフィン系樹脂が、ポリオレフィン系樹脂に酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びオレフィン並びに不飽和カルボン酸及び/又はその酸無水物の少なくとも1種を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂、並びにこれらに水素添加した酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0024】
本発明に包含されるエポキシ樹脂組成物は、式(1):
【0026】
で表されるエポキシ樹脂と酸変性ポリオレフィン系樹脂とを含有する。
【0027】
式(1)において、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、ハロゲン原子、又は式(3):
【0029】
で表される基(以下「式(3)の基」ということがある)を示す。なお、以下、低級アルキル基、低級アルコキシ基、及び低級アルケニル基をまとめて、「低級炭素置換基」ということがある。本発明においては、低級炭素置換基の中でも、低級アルキル基又は低級アルコキシ基がより好ましい。
【0030】
但し、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、少なくとも1つは式(3)の基である。言い換えれば、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、3つが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基で1つが式(3)の基であるか、2つが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基で2つが式(3)の基であるか、1つが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基で3つが式(3)の基であるか、あるいは全てが式(3)の基である。より具体的には、例えば、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、(i)R
Xa、R
Xb及びR
Xcが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基でR
Xdが式(3)の基であるか、(ii)R
Xa及びR
Xbが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基でR
Xc及びR
Xdが式(3)の基であるか、(iii)R
Xaが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基でR
Xb、R
Xc、及びR
Xdが式(3)の基であるか、あるいは(iv)R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdの全てが式(3)の基であり得る。なお、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、式(3)の基でないものは、水素原子又は低級炭素置換基であることが、より好ましい。
【0031】
式(1)において、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、同一又は異なってよく、従って、(i)R
Xa、R
Xb及びR
Xcが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基でR
Xdが式(3)の基である場合は、R
Xa、R
Xb及びR
Xcが同一又は異なってよい。(ii)R
Xa及びR
Xbが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基でR
Xc及びR
Xdが式(3)の基である場合は、R
Xa及びR
Xbが同一又は異なってよく、R
Xc及びR
Xdも同一又は異なってよい。(iii)R
Xaが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基でR
Xb、R
Xc、及びR
Xdが式(3)の基である場合、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが同一又は異なってよい。(iv)R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdの全てが式(3)の基である場合は、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが同一又は異なってよい。なお、これらいずれの場合においても、式(3)の基が同一であることが好ましい。
【0032】
また、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、2又は3個がハロゲン原子又は低級炭素置換基である場合には、これらのハロゲン原子又は低級炭素置換基も同一又は異なってよい。この場合は、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、2又は3個が、同一の低級炭素置換基であることがさらに好ましい。
【0033】
本明細書において、低級炭素置換基とは、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又は低級アルケニル基をいう。ここでの低級とは、炭素数1〜6(1、2、3、4、5、又は6)を意味する。低級炭素置換基のうち、好ましくは低級アルキル基又は低級アルコキシ基である。低級アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が好ましく例示できる。低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が好ましく例示できる。
【0034】
また、本明細書において、ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子又は臭素原子である。
【0035】
式(1)において、X環は飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環、あるいは飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2〜6個縮合又は2個連結した構造を有する環を表す。 本明細書において、飽和炭化水素環としては、例えば炭素数4〜8(4、5、6、7、又は8)の飽和炭化水素環が好ましく、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等が特に好ましい。また、本明細書において、不飽和炭化水素環としては、例えば炭素数4〜8(4、5、6、7、又は8)の不飽和炭化水素環が好ましく、ベンゼン環等が特に好ましい。また、本明細書において、飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2〜6個縮合した構造を有する環としては、飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2、3、又は4個縮合した環が好ましく、2又は3個縮合した環がより好ましい。、例えば、デカヒドロナフタレン環、アダマンタン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環、トリフェニレン環、テトラリン環、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン環、ノルボルネン環等が挙げられる。
【0036】
なお、本明細書では、飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環、あるいは飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2〜6個縮合した構造を有する環を、まとめて「炭化水素環」と呼ぶことがある。
【0037】
飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2個連結した構造を有する環としては、式(2):
【0040】
式(2)において、X
1環及びX
2環は、同一又は異なって、飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環を示す。すなわち、X
1環及びX
2環は、両方とも飽和炭化水素環であるか、両方とも不飽和炭化水素環であるか、一方が飽和炭化水素環でもう一方が不飽和炭化水素環である。X
1環及びX
2環が、両方とも飽和炭化水素環であるか、両方とも不飽和炭化水素環であることが好ましい。例えば、X
1環及びX
2環は、両方がベンゼン環、両方がシクロヘキサン環、又は一方がベンゼン環でもう一方がシクロヘキサン環、であることが好ましく、両方がベンゼン環であることがより好ましい。
【0041】
また、Yは、結合手、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、−SO−、又は−SO
2−を示す。ここでの炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が例示できる。また、置換基である炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が例示できる。好ましい炭素数1〜4のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキレン基としては、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH
2C(CH
3)
2CH
2−等が例示できる。Yは好ましくは、結合手、酸素原子、メチレン基、ジメチルメチレン基、−S−、−SO
2−であり、より好ましくは、結合手、ジメチルメチレン基、酸素原子、−SO
2−である。
【0042】
式(2)で表わされる環はR
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdで置換されている。式(1)中のX環が式(2)であって、R
Xa〜R
Xdの3つが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基で1つが式(3)の基である場合、X
1環及びX
2環のいずれが式(3)の基で置換されていてもよい。また、この場合、式(2)で表わされる環は0、1、2、又は3つのハロゲン原子又は低級炭素置換基で置換されるところ、ハロゲン原子又は低級炭素置換基の(X
1環の置換数:X
2環の置換数)は(1:0)、(0:1)、(2:0)、(1:1)、(0:2)、(3:0)、(2:1)、(1:2)、又は(0:3)であり得る。R
Xa〜R
Xdの2つが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基で2つが式(3)の基である場合、X
1環及びX
2環のいずれかが2つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環及びX
2環が1つずつ式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環及びX
2環が1つずつ式(3)の基で置換されていることが好ましい。また、この場合、式(2)で表わされる環は0、1、又は2つのハロゲン原子又は低級炭素置換基で置換されるところ、ハロゲン原子又は低級炭素置換基の(X
1環の置換数:X
2環の置換数)は(1:0)、(0:1)、(2:0)、(1:1)、又は(0:2)であり得る。R
Xa〜R
Xdの1つが水素原子若しくはハロゲン原子又は低級炭素置換基で3つが式(3)の基である場合、X
1環及びX
2環のいずれかが3つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が2つX
2環が1つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が1つX
2環が2つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が2つX
2環が1つの式(3)の基で置換されている又はX
1環が1つX
2環が2つの式(3)の基で置換されていることが好ましい。また、この場合、式(2)で表わされる環は0又は1つのハロゲン原子又は低級炭素置換基で置換されるところ、ハロゲン原子又は低級炭素置換基の(X
1環の置換数:X
2環の置換数)は(1:0)、又は(0:1)であり得る。R
Xa〜R
Xdの全てが式(3)の基である場合、X
1環及びX
2環のいずれかが4つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が3つX
2環が1つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が1つX
2環が3つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が2つX
2環が2つの式(3)の基で置換されていてもよく、X
1環が2つX
2環が2つの式(3)の基で置換されていることが好ましい。
【0043】
式(1)の一部である基である、式(1’):
【0045】
(式(1’)中、X環は前記に同じ。)
で示される4価の基として、特に好ましくは以下の式で表される基が挙げられる。すなわち、
【0051】
(式(2
g)中、Yは前記に同じ。)
で表される基である。
【0052】
式(3)において、R
1は同一又は異なって、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子(好ましくは酸素原子)で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、ケイ素原子に直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されていてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり、好ましくは1個の炭素原子である。なお、合成の簡便さの観点等から同一ケイ素原子に結合したR
1は同一であることが好ましい。また、式(1)において存在する全てのR
1が同一であることがより好ましい。
【0053】
R
1で示される炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0054】
R
1で示される炭素数2〜9のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基である。
【0055】
R
1で示されるシクロアルキル基としては、3〜8員環のシクロアルキル基が挙げられ、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0056】
R
1で示されるアリール基としては、単環又は二環のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基である。
【0057】
R
1で示されるアラルキル基としては、アリール基(特にフェニル基)で置換された炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、β−メチルフェネチル基等が挙げられる。
【0058】
R
1は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0059】
式(3)において、R
2は、炭素数1〜18のアルキレン基を示す。当該アルキレン基は、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基であり、好ましくは直鎖状のアルキレン基である。例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジメチレン基(−CH
2CH
2−)、トリメチレン基(−CH
2CH
2CH
2−)、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基等が挙げられる。例えば、炭素数2〜18のアルキレン基、好ましくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数2〜5のアルキレン基である。
【0060】
前記炭素数1〜18のアルキレン基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子(好ましくは酸素原子)で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、ケイ素原子及び3〜8員環又はエポキシ環のいずれにも直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されていてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり、好ましくは1個の炭素原子である。
【0061】
当該基としては、R
2のケイ素原子に結合する側を(*)とした場合に、例えば、(*)−炭素数2〜9のアルキレン−O−炭素数1〜8のアルキレン−、好ましくは(*)−炭素数2〜4のアルキレン−O−炭素数1〜3のアルキレン−、より好ましくは(*)−炭素数2〜4のアルキレン−O−炭素数1〜2のアルキレン−、特に好ましくは(*)−炭素数3のアルキレン−O−メチレン−が挙げられる。
【0062】
具体的には、例えば、(*)−(CH
2)
2−O−CH
2−、(*)−(CH
2)
3−O−CH
2−、(*)−(CH
2)
3−O−(CH
2)
2−、(*)−(CH
2)
5−O−(CH
2)
4−などが挙げられ、これらの中でも(*)−(CH
2)
3−O−CH
2−が好ましい。
【0063】
式(3)において、mは0〜6の整数(すなわち0、1、2、3、4、5、又は6)を示す。また、nは0〜3の整数(すなわち、0、1、2、又は3)を示す。ここで、式(3)のR
2が結合している基(ケイ素原子に結合していない側)を式(4)で示す(以下、「式(4)の基」ということがある)と、以下のようになる。
【0065】
式(4)の基について、mが1〜6の整数である場合を具体的に構造式で記載すると、m=1の場合は
【0078】
式(4)の基は、mが0の場合には、エポキシ環のみが残り、nが0〜3の整数であるため、以下のいずれかの基を示す。
【0080】
式(3)において、R
2及びR
3は、3〜8員環又はエポキシ環に結合する。なお、nは3〜8員環又はエポキシ環に結合するR
3の数を示している。
【0081】
式(3)において、R
3は同一又は異なって、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、3〜8員環又はエポキシ環に直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されていてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり得、好ましくは1個の炭素原子である。
【0082】
R
3で示される炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基はそれぞれ、上記R
1で示される対応する置換基と同様のものが挙げられる。
【0083】
R
3として、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0084】
中でも好ましい式(3)の基の例として、R
1、R
2、R
3、m、及びnは前記に同じであって、且つ、R
1が全て同一であり、R
3が(複数存在する場合には)全て同一である基が挙げられる。当該基は、式(1)で表されるエポキシ樹脂には1、2、3又は4存在し、それぞれの基が同一又は異なってよく、同一であることが好ましい。
【0085】
また式(4)の基として、特に好ましい具体例としては、R
3は前記に同じであり、mが0、1、2、3又は4を示し、nが0、1又は2を示す基が挙げられ、なかでもより好ましくは、以下の基(いずれもR
3は前記に同じ)が挙げられる。
【0087】
式(4)の基は、式(1)で表されるエポキシ樹脂には1,2、3又は4存在するが、それぞれの基が同一又は異なってよく、同一であることが好ましい。
【0088】
また、X環を構成する炭化水素環を構成する炭素原子であって且つR
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが結合していない炭素原子に結合した水素原子は、低級炭素置換基又はハロゲン原子(好ましくは低級炭素置換基)で置換されていてもよい。つまり、X環が飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環、あるいは飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2〜6個縮合した構造を有する環である場合は、これらの環を構成する炭素原子であって且つR
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが結合していない炭素原子に結合した水素原子は、低級炭素置換基又はハロゲン原子(好ましくは低級炭素置換基)で置換されていてもよく、またX環が飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環が2個連結した構造を有する環である場合は、これら連結された飽和炭化水素環及び/又は不飽和炭化水素環を構成する炭素原子であって且つR
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが結合していない炭素原子に結合した水素原子は、低級炭素置換基又はハロゲン原子(好ましくは低級炭素置換基)で置換されていてもよい。なお、X環が式(2)で表される環である場合をより具体的に説明すると、X
1環及びX
2環を構成する炭素原子であって且つR
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが結合していない炭素原子に結合した水素原子は、低級炭素置換基又はハロゲン原子(好ましくは低級炭素置換基)で置換されていてもよい、といえる。
【0089】
本明細書においては、X環を構成する炭化水素環を構成する炭素原子であって且つR
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが結合していない炭素原子を「R
Xa−d非結合炭素原子」ということがある。
【0090】
R
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換されていてもよい低級炭素置換基又はハロゲン原子は、1つのR
Xa−d非結合炭素原子に1つだけ結合することが好ましい。つまり、R
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換される場合においては、R
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子のうち1つの水素原子だけが低級炭素置換基又はハロゲン原子で置換されることが好ましい。また、当該置換の数(すなわち低級炭素置換基及びハロゲン原子の合計)は、R
Xa−d非結合炭素原子の数より少ないことが好ましい。当該置換の数は、より具体的には1〜6(1、2、3、4、5、又は6)が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。また、特にX環が式(2)で表される環である場合には、置換される水素原子はYが結合していない炭素原子に結合した水素原子であることが好ましい。
【0091】
R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち少なくとも1つが低級炭素置換基であって、且つR
Xa−d非結合炭素原子に低級炭素置換基が少なくとも1つ結合する場合、全ての低級炭素置換基が同一であることが好ましい。つまり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xd中に低級炭素置換基が存在し、且つR
Xa−d非結合炭素原子に結合する低級炭素置換基が存在する場合、全ての低級炭素置換基が同一であることが好ましい。また、特に制限はされないが、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち少なくとも1つがハロゲン原子であって、且つR
Xa−d非結合炭素原子にハロゲン原子が少なくとも1つ結合する場合、全てのハロゲン原子が同一であることが好ましい。つまり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xd中にハロゲン原子が存在し、且つR
Xa−d非結合炭素原子に結合するハロゲン原子が存在する場合、全てのハロゲン原子が同一であることが好ましい。
【0092】
さらに具体的に説明すると、例えば、上記式(1’)で表される4価の基が
【0094】
である場合、式(1)で表されるエポキシ樹脂として、式(1−X1)
【0096】
(式(1−X1)中、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
Xg1及びR
Xg2は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又は低級アルケニル基を示す。)で表されるエポキシ樹脂を好ましく例示できる。式(1−X1)において、R
Xa、R
Xb、R
Xc、R
Xd、R
Xg1及びR
Xg2が、それぞれ、ベンゼン環上の異なる炭素原子に結合していることがより好ましい。式(1−X1)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R
Xg1及びR
Xg2が水素原子であるものが好ましい。
【0097】
式(1−X1)で表されるエポキシ樹脂の中でも、さらに好ましいものとして式(1−X1a):
【0099】
(式(1−X1a)中、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
Xg1及びR
Xg2は、前記に同じ。)で表されるエポキシ樹脂や、式(1−X1b):
【0101】
(式1−X1b中、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
Xg1及びR
Xg2は、前記に同じ。)で表されるエポキシ樹脂が、例示できる。
【0102】
式(1−X1a)で表されるエポキシ樹脂の中でも、例えば、R
Xa及びR
Xbが水素原子でR
Xc及びR
Xdが式(3)の基であり、R
Xg1及びR
Xg2が水素原子である場合や、R
Xa及びR
Xcが水素原子でR
Xb及びR
Xdが式(3)の基であり、R
Xg1及びR
Xg2が水素原子である場合がより好ましい。
【0103】
また、式(1−X1b)で表されるエポキシ樹脂の中でも、例えば、R
Xaが水素原子でR
Xb、R
Xc及びR
Xdが式(3)の基であり、R
Xg1及びR
Xg2が水素原子である場合がより好ましい。
【0104】
また、上記式(1’)で表される4価の基が
【0106】
(式(2
g)中、Yは前記に同じ。)
で表される基である場合、式(1)で表されるエポキシ樹脂として、式(1−X2)
【0108】
(式(1−X2)中、Yは前記に同じであり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
X11、R
X12、及びR
X13並びにR
X21、R
X22、及びR
X23は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又は低級アルケニル基を示す。)で表されるエポキシ樹脂も好ましく例示できる。式(1−X2)において、R
Xa、R
Xc、R
X11、R
X12、及びR
X13が、それぞれ異なる炭素原子に結合していることが好ましく、また、R
Xb、R
Xd、R
X21、R
X22、及びR
X23が、それぞれ異なる炭素原子に結合していることがより好ましい。また、R
Xa、R
Xb、R
Xc、R
Xd、R
X11、R
X12、R
X13、R
X21、R
X22、及びR
X23は、いずれもYが結合した炭素原子には結合しない。
【0109】
式(1−X2)で表されるエポキシ樹脂の中でも、さらに好ましいものとして式(1−X2a):
【0111】
(式(1−X2a)中、Yは前記に同じであり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
X11、R
X12、及びR
X13並びにR
X21、R
X22、及びR
X23は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又は低級アルケニル基を示す。)で表されるエポキシ樹脂や、式(1−X2b):
【0113】
(式(1−X2b)中、Yは前記に同じであり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
X11、R
X12、及びR
X13並びにR
X21、R
X22、及びR
X23は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又は低級アルケニル基を示す。)で表されるエポキシ樹脂や、式(1−X2c):
【0115】
(式(1−X2c)中、Yは前記に同じであり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdは、前記に同じであり、R
X11、R
X12、及びR
X13並びにR
X21、R
X22、及びR
X23は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又は低級アルケニル基を示す。)で表されるエポキシ樹脂が、例示出来る。
【0116】
式(1−X2a)で表されるエポキシ樹脂の中でも、例えば、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが式(3)の基であり、R
X11及びR
X21が低級炭素置換基であり、R
X12、R
X13、R
X22、及びR
X23が水素原子である場合が好ましい。中でも、Yが炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基(特に−C(CH
3)
2−)であり、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdが式(3)の基であり、R
X11及びR
X21が低級アルコキシ基であり、R
X12、R
X13、R
X22、及びR
X23が水素原子である場合が特に好ましい。これらの場合において、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdの式(3)の基が全て同一であり、R
X11及びR
X21の低級炭素置換基が同一である場合が、より好ましい。
【0117】
また、式(1−X2b)で表されるエポキシ樹脂の中でも、例えば、R
Xa及びR
Xbが水素原子でR
Xc及びR
Xdが式(3)の基であり、R
X11、R
X12、R
X13、R
X21、R
X22、及びR
X23は水素原子の場合が好ましい。この場合において、R
Xc及びR
Xdの式(3)の基が同一である場合が、より好ましい。
【0118】
また、式(1−X2c)で表されるエポキシ樹脂の中でも、例えば、R
Xaが水素原子でR
Xb、R
Xc及びR
Xdが式(3)の基であり、R
X11、R
X12、R
X13、R
X21、R
X22、及びR
X23は水素原子の場合が好ましい。この場合において、R
Xb、R
Xc及びR
Xdの式(3)の基が同一である場合が、より好ましい。
【0119】
本明細書において、式(1)におけるX環、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xd、並びに式(3)の基におけるR
1、R
2、R
3、m、及びnに関する説明は、式(4)の基についての説明も含め、いずれも任意に組み合わせることができ、その組み合わせにより示されるいずれのエポキシ樹脂も本発明に用いることができる。
【0120】
式(1)において、(iia)R
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換されておらず、且つ、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、R
Xa及びR
Xbが水素原子でR
Xc及びR
Xdが式(3)の基であるか、(iiia)R
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換されておらず、且つ、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdのうち、R
Xaが水素原子でR
Xb、R
Xc、及びR
Xdが式(3)の基であるか、あるいは(iva)R
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換されておらず、且つ、R
Xa、R
Xb、R
Xc、及びR
Xdの全てが式(3)の基であり得る。
【0121】
(iia)の場合、式(1)で示されるエポキシ樹脂は、次の式(1−iia):
【0123】
〔式中、X
iiは、炭化水素環から2個の水素原子を除いて得られる2価の基、又は式(2
g−iia):
【0125】
(式中、Yは、前記に同じ。)で表される2価の基を示し、
R
1、R
2、R
3、m、及びnは前記に同じ。〕
で表されるエポキシ樹脂を好ましく包含する。なお、R
1、R
2、R
3、m、及びnは、いずれも、それぞれ同一又は異なっていてよく、同一であることが好ましい。
【0126】
X
iiで示される2価の基として、好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基が挙げられ、より好ましくは1,4−フェニレン基である。
【0127】
式(2
g−iia)で表される2価の基のうち好ましくは、式(2
g−iia’):
【0129】
(式中、Yは前記に同じ。)
で表される基である。
【0130】
式(2
g−iia’)において、Yが結合手、ジメチルメチレン基、酸素原子、又は−SO
2−である基が特に好ましい。
【0131】
X
iiとして、中でも好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基、式(2
g−iia’)が挙げられ、より好ましくは1,4−フェニレン基である。
【0132】
例えば、式(1−iia)において、mは同一で0、1、2、3、又は4(特に好ましくは、mは同一で0又は4)、nは同一で0(すなわち、R
3により環は置換されていない)を、X
iiは炭化水素環(特に好ましくはベンゼン環)から2個の水素原子を除いて得られる2価の基を、R
1は同一で炭素数1〜3のアルキル基を、R
2は同一でケイ素原子及び3〜6員環又はエポキシ環のいずれにも直接結合していない1個の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を、それぞれ示すことで表されるエポキシ樹脂を、より好ましく本発明に用いることができる。
【0133】
(iiia)の場合、式(1)で示されるエポキシ樹脂は、次の式(1−iiia):
【0135】
〔式中、X
iiiは、炭化水素環から3個の水素原子を除いて得られる3価の基、又は式(2
g−iiia):
【0137】
(式中、Yは、前記に同じ。)で表される3価の基を示し、
R
1、R
2、R
3、m、及びnは前記に同じ。〕
で表されるエポキシ樹脂を好ましく包含する。なお、R
1、R
2、R
3、m、及びnは、いずれも、それぞれ同一又は異なっていてよく、同一であることが好ましい。
【0138】
X
iiiで示される3価の基として、好ましくは以下の基:
【0141】
式(2
g−iiia)で表される3価の基のうち好ましくは、式(2
g−iiia’):
【0143】
(式中、Yは前記に同じ。)
で表される基である。
【0144】
式(2
g−iiia’)において、Yが結合手、ジメチルメチレン基、酸素原子、又は−SO
2−である基が特に好ましい。
【0145】
例えば、式(1−iiia)において、mは同一で0、1、2、3、又は4(特に好ましくは、mは同一で0又は4)、nは同一で0(すなわち、R
3により環は置換されていない)を、X
iiiは炭化水素環(特に好ましくはベンゼン環)から3個の水素原子を除いて得られる3価の基を、R
1は同一で炭素数1〜3のアルキル基を、R
2は同一でケイ素原子及び3〜6員環又はエポキシ環のいずれにも直接結合していない1個の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を、それぞれ示すことで表されるエポキシ樹脂を、より好ましく本発明に用いることができる。
【0146】
(iva)の場合、式(1)で示されるエポキシ樹脂は、次の式(1−iva):
【0148】
〔式中、X
ivは、前記(1’)で示される4価の基であって、且つX環においてR
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換されていない基を示し、R
1、R
2、R
3、m、及びnは前記に同じ。〕
で表されるエポキシ樹脂を包含する。なお、R
1、R
2、R
3、m、及びnは、いずれも、それぞれ同一又は異なっていてよく、同一であることが好ましい。
【0149】
X
ivで示される4価の基として、好ましくは以下の基:
【0152】
X
ivで示される4価の基として、式(2
g)で表される4価の基であってR
Xa−d非結合炭素原子に結合した水素原子が置換されていない基のうち、好ましくは、式(2
g−iva’):
【0154】
(式中、Yは前記に同じ。)
で表される基が挙げられる。
【0155】
式(2
g−iva’)において、Yが結合手、ジメチルメチレン基、酸素原子、又は−SO
2−である基が特に好ましい。
【0156】
例えば、式(1−iva)において、mは同一で0、1、2、3、又は4(特に好ましくは、mは同一で0又は4)、nは同一で0(すなわち、R
3により環は置換されていない)を、X
ivは炭化水素環(特に好ましくはベンゼン環)から4個の水素原子を除いて得られる4価の基を、R
1は同一で炭素数1〜3のアルキル基を、R
2は同一でケイ素原子及び3〜6員環又はエポキシ環のいずれにも直接結合していない1個の炭素原子が酸素原子で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を、それぞれ示すことで表されるエポキシ樹脂を、より好ましく本発明に用いることができる。
【0157】
式(1)で表されるエポキシ樹脂のうち、さらに好ましいものとして、具体的には、例えば、式(1−IIa):
【0159】
(式中、R
1、R
2、及びX
iiは前記に同じ。)
で表される化合物が挙げられる。
【0160】
式(1−IIa)で表される化合物の中でも、X
iiが、1,4−フェニレン基又は式(2
g−iia’)で表される基(好ましくは1,4−フェニレン基)であり、R
1が同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数1〜3のアルキル基(特にメチル基)であり、R
2が同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数2〜6のアルキレン基、(*)−(CH
2)
2−O−CH
2−、(*)−(CH
2)
3−O−CH
2−、(*)−(CH
2)
3−O−(CH
2)
2−、又は(*)−(CH
2)
5−O−(CH
2)
4−である化合物が好ましい。なお、上記同様、(*)はR
2のケイ素原子に結合する側を示す。
上記式(1−IIa)で表されるエポキシ樹脂のうち、さらに好ましいものとして、式(1−IIa1):
【0162】
(式中、R
1及びX
iiは前記に同じ。)
又は式(1−IIa2):
【0164】
(式中、R
1及びX
iiは前記に同じ。)
で表されるエポキシ樹脂が例示できる。なお、R
1は同一又は異なっていてよく、同一であることが好ましい。
【0165】
式(1−IIa1)又は(1−IIa2)において、R
1は、同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数1〜3のアルキル基(特にメチル基)であり、X
iiは、1,4−フェニレン基又は式(2
g−iia’)で表される基であるものがより好ましい。
【0166】
また、式(1)で表されるエポキシ樹脂のうち、より好ましいものとして、例えば、式(1−IIb):
【0168】
(式中、R
1、R
2、R
3、X
ii、及びnは前記に同じ。)
で表されるエポキシ樹脂を挙げることもできる。なお、R
1、R
2、R
3、及びnは、いずれも、それぞれ同一又は異なっていてよく、同一であることが好ましい。
式(1−IIb)において、X
iiが1,4−フェニレン基又は式(2
g−iia’)で表される基(好ましくは1,4−フェニレン基)であり、R
1が同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数1〜3のアルキル基(特にメチル基)であり、nが共に0(すなわち環はR
3で置換されていない)であり、R
2が同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数2〜6のアルキレン基(好ましくはジメチレン基:−(CH
2)
2−)であるものがより好ましい。
【0169】
また、式(1)で表されるエポキシ樹脂のうち、より好ましいものとして、さらに例えば、式(1−IIIa):
【0171】
(式中、R
1、R
2、R
3、X
iii、及びnは前記に同じ。)
で表されるエポキシ樹脂を挙げることもできる。なお、R
1、R
2、R
3、及びnは、いずれも、それぞれ同一又は異なっていてよく、同一であることが好ましい。
式(1−IIIa)において、X
iiiが
【0175】
又は式(2
g−iiia’)で表される基であり、R
1が同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数1〜3のアルキル基(特にメチル基)であり、nが共に0(すなわち環はR
3で置換されていない)であり、R
2が同一又は異なって(好ましくは同一で)炭素数2〜6のアルキレン基(好ましくはジメチレン基:−(CH
2)
2−)であるものがより好ましい。
【0176】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、式(1)で表されるエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0177】
式(1)で表されるエポキシ樹脂は、公知の方法に基づいて又は準じて、例えば特許文献2(英国特許第1123960号公報)等の記載に基づいて又は準じて、製造することができる。また例えば、次の反応式で表される反応により式(1−iia)で示されるエポキシ樹脂を製造することができる。
【0179】
(式中、R
2Aは、炭素数2〜18のアルケニル基であり、この基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。R
1、R
2、R
3、及びX
iiは前記に同じ。)
【0180】
R
2Aで示される炭素数2〜18のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基であり、直鎖状が好ましい。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノルボルネニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基であり、特に好ましくはビニル基、アリル基又はブテニル基である。なお、当該アルケニル基は、α−アルケニル基であることが好ましい。
【0181】
これらの炭素数2〜18のアルケニル基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子(好ましくは酸素原子)で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、エポキシ環に直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり、好ましくは1個の炭素原子である。当該基としては、例えば、炭素数2〜9アルケニル−O−炭素数1〜8アルキレン−、好ましくは炭素数2〜4アルケニル−O−炭素数1〜3アルキレン−、より好ましくは炭素数2〜4アルケニル−O−炭素数1〜2アルキレン−、特に好ましくは炭素数3アルケニル−O−CH
2−が挙げられる。具体的には、例えば、CH
2=CH−O−CH
2−、CH
2=CH−CH
2−O−CH
2−、CH
2=CH−CH
2−O−(CH
2)
2−、CH
2=CH−(CH
2)
3−O−(CH
2)
4−などが挙げられ、これらの中でもCH
2=CH−CH
2−O−CH
2−(アリルオキシメチル基)が好ましい。
【0182】
式(1−iia)で表されるエポキシ樹脂は、式(5−iia)で表される化合物と式(6)で表される化合物をヒドロシリル化反応させて製造することができる。ヒドロシリル化反応は、通常、触媒の存在下、溶媒の存在下又は非存在下で実施することができる。また、式(5−iia)で表される化合物にかえて、式(5−iiia):
【0184】
(式中、R
1及びX
iiiは前記に同じ。)
又は式(5−iva):
【0186】
(式中、R
1及びX
iiiは前記に同じ。)
又は式(5−ia):
【0188】
(式中、X
iは炭化水素環から1個の水素原子を除いて得られる1価の基を示し、R
1は前記に同じ。)
で表される化合物を用いることにより、上記式(1−iiia)又は(1−iva)で表されるエポキシ樹脂や1個の式(3)の基が炭化水素環に結合した構造を有するエポキシ樹脂を製造することもできる。また、これらの化合物の構造において、X
i〜X
ivが、それぞれ、X環から1個の水素原子を除いて得られる1価の基、X環から2個の水素原子を除いて得られる2価の基、X環から3個の水素原子を除いて得られる3価の基、又はX環から4個の水素原子を除いて得られる4価の基、に置換された構造の化合物を用いることで、式(1)で示される種々の化合物を製造することができる。
【0189】
ヒドロシリル化反応に用いられる触媒は、公知の触媒でよく、例えば、白金カーボン、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等の白金系触媒;トリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム等のロジウム系触媒;ビス(シクロオクタジエニル)ジクロロイリジウム等のイリジウム系触媒が挙げられる。上記の触媒は溶媒和物(例えば、水和物、アルコール和物等)の形態であってもよく、また使用にあたり触媒をアルコール(例えば、エタノール等)に溶解して溶液の形態で用いることもできる。なお触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0190】
触媒の使用量は、触媒としての有効量でよく、例えば、上記式(5−ia)、(5−iia)、(5−iiia)、又は(5−iva)で表される化合物と式(6)で表される化合物との合計量100質量部に対して 0.00001〜20質
量部、好ましくは0.0005〜5質量部である。
【0191】
前記ヒドロシリル化反応は溶媒を用いなくても進行するが、溶媒を用いることにより穏和な条件で反応を行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0192】
式(6)で表される化合物の使用量は、例えば、式(5−ia)、(5−iia)、(5−iiia)、又は(5−iva)で表される化合物中のSi−H基1モルに対して、通常、0.5〜2モル、好ましくは0.6〜1.5モル、より好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0193】
反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは10℃〜120℃であり、反応時間は、通常1時間〜24時間程度である。
【0194】
反応終了後、反応液から溶媒を留去するなど、公知の単離手法を用いることにより、式(1)で表されるエポキシ樹脂を得ることができる。
【0195】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物に含まれる酸変性ポリオレフィン系樹脂は、カルボキシル基や酸無水物基などの酸変性基で変性されたポリオレフィン系樹脂であれば特に限定されない。
【0196】
より具体的には、酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂に酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂(酸変性基グラフト化酸変性ポリオレフィン系樹脂)、オレフィンと不飽和カルボン酸及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種とを共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂(酸変性基共重合酸変性ポリオレフィン系樹脂、すなわち酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂)、さらにはこれらに水素添加した酸変性ポリオレフィン系樹脂(水素添加した酸変性基グラフト化酸変性ポリオレフィン系樹脂、水素添加した酸変性基共重合酸変性ポリオレフィン系樹脂)等が好ましい。酸変性基グラフト化酸変性ポリオレフィン系樹脂及び酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂は、主鎖に不飽和結合を有しない樹脂であることがより好ましい。
【0197】
なお、通常は酸変性ポリオレフィン系樹脂といえば、酸変性基グラフト化酸変性ポリオレフィン系樹脂を指すことが多いが、本明細書においては、上述したものを全て包含するものとする。
【0198】
酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂に係るポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びオレフィン共重合体が好ましく例示される。
【0199】
オレフィン共重合体としては、プロピレン−α−オレフィン共重合体、オレフィン−環状オレフィン共重合体、オレフィン−スチレン系共重合体等が例示される。
【0200】
プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンに、α−オレフィンを共重合した共重合体である。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらα−オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、酢酸ビニル等他のモノマーを組み合わせて共重合してもよい。
オレフィン−環状オレフィン共重合体としては、エチレン又はプロピレンとテトラシクロドデセンとの共重合体等が例示される。
【0201】
オレフィン−スチレン系共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレンプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体等が例示される。
【0202】
酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂のラジカルグラフト化反応を用いることができる。より具体的には、主鎖となるポリマーにおいて例えばラジカル発生剤によりラジカル種を生成し、そのラジカル種を重合開始点として不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物をグラフト重合させる方法が挙げられる。
【0203】
不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、アクリル酸、ブタン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ドデセン酸、リノール酸、アンゲリカ酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、ハイミック酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、アクリル酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸を特に好適に用いることができる。
【0204】
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物を使用することが好ましい。ラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシフタレート、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソプロピオニトリル、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレ-ト等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0205】
酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂において、グラフト化された酸変性基としては、例えば、前記不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物に対応する飽和又は不飽和カルボン酸基あるいは飽和又は不飽和カルボン酸無水物基が挙げられる。その中でも、
【0207】
で示される基(無水マレイン酸基)が特に好ましく挙げられる。
【0208】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体である、酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学社製サーフレン、日本製紙社製アウローレン、ハネウェル社製ACumist、三洋化成工業社製ユーメックス、三井化学社製アドマー等が挙げられる。
【0209】
ポリオレフィン系樹脂がオレフィン−スチレン系共重合体である、酸変性基がグラフト化された酸変性ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、旭化成社製タフテックMシリーズ、クレイトン社製FG1901等などが挙げられる。
【0210】
酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィン系モノマーと、不飽和カルボン酸及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種とを共重合させたものが挙げられる。オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンの他、上述したα−オレフィン、環状オレフィン等が好ましく挙げられる。不飽和カルボン酸及びその酸無水物としては、例えば、アクリル酸、ブタン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ドデセン酸、リノール酸、アンゲリカ酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、ハイミック酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、アクリル酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸を特に好適に用いることができる。また、本発明においては、スチレン並びに不飽和カルボン酸及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種を共重合させた共重合体も、酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂に包含される。
【0211】
酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂として、より具体的には、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の、主鎖に不飽和結合を有しない酸変性基共重合酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく挙げられる。
【0212】
酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、CrayValley社製SMAシリーズ、ハネウェル社製A−Cシリーズ、クラレ社製イソバン等が挙げられる。
【0213】
これらの中でも、熱安定性及び誘電特性の観点から、不飽和結合を有しないポリオレフィン系樹脂が酸変性基によりグラフト化された構造を有する樹脂、水素添加されたポリオレフィン系樹脂が酸変性基によりグラフト化された構造を有する樹脂、水素添加した酸変性基グラフト化酸変性ポリオレフィン系樹脂、主鎖に不飽和結合を有しない酸変性基共重合酸変性ポリオレフィン系樹脂、及び、水素添加した酸変性基共重合酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0214】
酸変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、2000〜300000であることが好ましく、3000〜200000であることがより好ましい。また、酸変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が20000以下である場合は、耐熱性の観点から、本発明にかかるエポキシ樹脂組成物において、式(1)で表されるエポキシ樹脂中のエポキシ基と酸変性ポリオレフィン系樹脂中の酸変性基との当量比(エポキシ基/酸変性基)は0.1〜10程度であることが好ましく、0.5〜6程度であることがより好ましい。より好ましい下限は0.5であり、さらに好ましい下限は0.8であり、より好ましい上限は6であり、さらに好ましい上限は3である。なお、本発明にかかる酸変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準物質:ポリスチレン)によって測定し、算出された値である。
【0215】
酸変性ポリオレフィン系樹脂の酸価は、酸価(mgKOH/g)が0.5〜500であるものが好ましく、2〜300であるものがより好ましい。酸価が0.5以上であることにより、エポキシ樹脂との相溶性が十分になり、耐熱性がより向上する。
【0216】
また、酸変性ポリオレフィン系樹脂の酸変性基の官能基当量は、官能基当量(g/mol)が100〜120000であるものが好ましく、200〜30000であるものがより好ましい。官能基当量が120000を超えると、エポキシ樹脂との相溶性が十分でなく、耐熱性や誘電特性に劣るものとなる可能性がある。
【0217】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物における、酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合割合は、式(1)で表されるエポキシ樹脂と酸変性ポリオレフィン系樹脂との配合比率は、質量比で、好ましくは99:1〜1:99であり、より好ましくは97:3〜3:97であり、さらに好ましくは95:5〜3:97であり、特に好ましくは80:20〜5:95である。
【0218】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、酸変性ポリオレフィン系樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0219】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を含有していてもよい。該エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0220】
式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を配合する場合、式(1)で表されるエポキシ樹脂と、式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂との配合比率は、質量比で、例えば100:0〜20:80であり、好ましくは100:0〜30:70であり、より好ましくは100:0〜40:60である。
【0221】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じてフィラー、硬化剤、硬化触媒、熱可塑性樹脂、添加剤などを含有してもよい。
【0222】
前記フィラーとしては、組成物及び硬化物において必要とされる流動性、耐熱性、低熱膨張性、機械特性、硬度、耐擦傷性及び接着性などを考慮し、単独で、又は複数種を混合して用いることができる。
【0223】
前記フィラーとしては、例えば、シリカ(より具体的には結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ等)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、酸化インジウム、アルミナ、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、スズドープ酸化インジウム(ITO)などの無機化合物が挙げられる。また、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、亜鉛、ステンレスなどの金属が挙げられる。また、モンモリロナイト、タルク、マイカ、ベーマイト、カオリン、スメクタイト、ゾノライト、バーキュライト、セリサイトなどの鉱物が挙げられる。その他のフィラーとしては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーンなどの各種ガラスなどを挙げることができる。また、フィラーは粉体をそのまま使用してもよく、樹脂中に分散させたものを用いてもよい。
【0224】
前記硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は、単独で用いてもよく、また、求める特性に応じて使い分けることが可能であり、2種以上を併用してもよい。
【0225】
アミン系硬化剤として、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの鎖状脂肪族アミン;イソフォロンジアミン、ベンゼンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環式アミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族アミン;ベンジルジメチルアミン、トリエチレンジアミン、ピペリジン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)、DBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)、などの第二級及び三級アミン等が挙げられる。
【0226】
アミド系硬化剤として、例えば、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂(ポリアミノアミド等)等が挙げられる。
【0227】
酸無水物系硬化剤として、例えば、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物;無水メチルナジック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物等が挙げられる。
【0228】
フェノール系硬化剤として、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型ノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ベンゾオキサジン環を有する化合物等が挙げられる。
【0229】
メルカプタン系硬化剤として、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ポリサルファイドポリマー等が挙げられる。
【0230】
イソシアネート系硬化剤として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0231】
活性エステル系硬化剤としては、例えば、1分子中にエポキシ樹脂と反応するエステル基を1個以上有する化合物であり、フェノールエステル、チオフェノールエステル、N−ヒドロキシアミンエステル及び複素環ヒドロキシ化合物エステル等が挙げられる。
【0232】
なお、硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いる場合は、本発明にかかるエポキシ樹脂中のエポキシ基と酸変性ポリオレフィン系樹脂中の酸変性基との当量比(エポキシ基/酸変性基)における酸変性基は、酸変性ポリオレフィン系樹脂中の酸変性基と酸無水物系硬化剤中の酸無水物基の合計とする。
【0233】
前記硬化触媒としては、例えば、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、第三級アミン、リン系化合物、ルイス酸化合物、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
硬化触媒は、単独で用いても良いし、前記硬化剤と組み合わせても良い。
【0234】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。
本発明にかかるエポキシ樹脂組成物との相溶性および耐熱性の観点から、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリアリレート樹脂が好ましく、これらの中でもポリフェニレンエーテル樹脂がより好ましい。
【0235】
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、無機蛍光体、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、溶剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等が挙げられる。
【0236】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、式(1)で表されるエポキシ樹脂と酸変性ポリオレフィン系樹脂、さらに必要に応じて他の成分を混合することにより製造することができる。混合方法は、均一に混合できる方法であれば特に限定はされない。
【0237】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で溶剤(例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン等)を添加してもよい。当該エポキシ樹脂組成物をこのような溶剤に溶解させてワニスを調製することができる。また、当該ワニスを用いて所望の形状の硬化物を得ることもできる。例えば、当該ワニスを基材(例えば、銅箔、アルミ箔、ポリイミドフィルム等)上に塗布し加熱することによりフィルム状の硬化物を得ることができる。
【0238】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化することにより硬化物(すなわち、当該エポキシ樹脂組成物の硬化物)を得ることができる。硬化の方法は、例えば、該組成物を加熱硬化することで実施できる。硬化温度は、通常室温〜250℃であり、硬化時間は、組成によって異なり、通常30分〜1週間まで幅広く設定することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化後の硬化物が優れた電気特性、金属への高い接着強度を有している。そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、半導体封止体、液状封止材、ポッティング材、シール材、層間絶縁膜、接着層、カバーレイフィルム、電磁波シールドフィルム、プリント基板材料、複合材料等の広範な用途に好適に用いることができる。
【0239】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例】
【0240】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0241】
製造例1(エポキシ樹脂Aの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、アリルグリシジルエーテル5.9g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.05g、トルエン100gを仕込み、液温を70℃まで昇温させたた。その後、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.0gを15分間で滴下し、引続き、90℃で4時間攪拌した。トルエンを濃縮により除去後、無色透明液体の1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピルオキシプロピル)ジメチルシリル]ベンゼン(エポキシ樹脂A)10.3g(エポキシ当量211g/eq)を取得した。
【0242】
製造例2(エポキシ樹脂Bの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、1,2−エポキシ−5−ヘキセン5.0g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.05g、トルエン100gを仕込み、液温を70℃まで昇温させた。その後、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.0gを15分間で滴下し、引続き、90℃で5時間攪拌した。トルエンを濃縮により除去後、無色透明液体の1,4−ビス[(2,3−エポキシブチル)ジメチルシリル]ベンゼン(エポキシ樹脂B)9.5g(エポキシ当量195g/eq)を取得した。
【0243】
製造例3(エポキシ樹脂Cの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン6.4g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.05g、トルエン100gを仕込み、液温を70℃まで昇温させた。その後、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.0gを15分間で滴下し、引続き、90℃で4時間攪拌した。トルエンを濃縮により除去後、無色透明液体の1,4−ビス{[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジメチルシリル}ベンゼン(エポキシ樹脂C)10.8g(エポキシ当量221g/eq)を取得した。
【0244】
製造例4(エポキシ樹脂Dの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン4.3g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.05g、トルエン250gを仕込み、液温を70℃まで昇温させたた。その後、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル5.0gを15分間で滴下し、引続き、90℃で6時間攪拌した。トルエンを濃縮により除去後、無色透明液体の4,4’−ビス{[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジメチルシリル}ジフェニルエーテル(エポキシ樹脂D)8.9g(エポキシ当量267g/eq)を取得した。
【0245】
製造例5(エポキシ樹脂Eの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン7.4g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.05g、トルエン250gを仕込み、液温を70℃まで昇温させたた。その後、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン5.0gを15分間で滴下し、引続き、90℃で6時間攪拌した。トルエンを濃縮により除去後、無色透明液体の1,3,5−トリス{[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]ジメチルシリル}ベンゼン(エポキシ樹脂E)11.8g(エポキシ当量208g/eq)を取得した。
【0246】
実施例、比較例
表1及び表2に記載した配合量(質量比)の各成分をカップに秤量し、マグネチックスターラーにて、室温(25℃)で5分間攪拌し、エポキシ樹脂組成物を調製した。調製した各エポキシ樹脂組成物10質量部に対して40質量部のトルエンを加え、マグネチックスターラーにて、室温(25℃)で5分間攪拌し、ワニスを調製した。
【0247】
表1及び表2の各成分は以下の通りである。なお、表1及び表2の各成分の数値は、質量部を示す。
【0248】
・エポキシ樹脂F:三菱化学社製Bis−A型エポキシ樹脂(グレード828)(エポキシ当量189g/eq)
・エポキシ樹脂G:ダイセル社製脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021P;一般名は3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)(エポキシ当量137g/eq)
・酸変性ポリオレフィン系樹脂A:旭化成社製タフテックM1913(無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂(より具体的には、無水マレイン酸基がグラフト化された水添SEBS:スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体)、酸価約10mgKOH/g)
・酸変性ポリオレフィン系樹脂B:日本製紙社製アウローレン100S(酸変性基がグラフト化された酸変性非塩素系ポリオレフィン系樹脂)
・酸変性ポリオレフィン系樹脂C:CrayValley社製SMA−3000(酸変性基を共重合させた酸変性ポリオレフィン系樹脂(より具体的には、スチレンと無水マレイン酸との共重合体)、285mgKOH/g)
・その他成分A:カチオン重合開始剤(三新化学工業社製サンエイドSI−150L)
・その他成分B:酸無水物系硬化剤(新日本理化社製MH−700)
・その他成分C:イミダゾール系硬化触媒(三菱化学社製EMI24)
・その他成分D:ポリフェニレンエーテル樹脂(SABIC社製SA−90)
【0249】
試験例
(1)吸湿試験後の銅箔に対する180度ピール強度
実施例および比較例で得られたワニスを、厚さ35μmのポリイミドフィルムに塗工し、120℃5分で加熱乾燥させ、樹脂付きポリイミドフィルムを得た。その上から厚さ35μmの電解銅箔(古河電気工業社製)を重ね合わせ、熱プレスで170℃で3MPa、30分間加熱・硬化させ積層フィルムを得た。さらに、85℃、85RH%(相対湿度85%)で72時間処理した。処理後、幅1cmになるようにカッターで切れ目を入れ、180度ピール強度試験片とした。得られた試験片について、AGS−X(島津製作所社製)を用いて、試験速度50mm/minの条件で銅箔とポリイミドを上下に180度で引張り、180度ピール強度試験を実施した。結果を表1及び表2にあわせて示す。
【0250】
(2)吸湿試験後の電気特性(比誘電率、誘電正接)
実施例および比較例で得られたワニスを、離型処理されたPETフィルムに塗工し、120℃5分で加熱乾燥させ、未硬化フィルムを得た。さらに、150℃で2時間加熱・硬化させ、膜厚200μmの硬化フィルムを得た。硬化フィルムを85℃85RH%で72時間処理し、誘電率測定用試験片とした。
【0251】
得られた試験片は、誘電率測定装置(インピーダンスアナライザー、アジレント社製)を用いて、25℃にて、比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)を測定した。また、誘電率測定装置の校正は、PTFEを用いて行った。結果を表1および表2にあわせて示す。
【0252】
【表1】
【0253】
【表2】