特許第6553686号(P6553686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553686キナーゼ活性のモジュレータとしての新規な複素環カルボキサミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553686
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】キナーゼ活性のモジュレータとしての新規な複素環カルボキサミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/48 20060101AFI20190722BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20190722BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20190722BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 31/435 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   C07D215/48CSP
   C07D401/04
   C07D401/12
   C07D401/14
   A61K31/435
   A61K31/4545
   A61K31/496
   A61P1/18
   A61P3/10
   A61P9/00
   A61P9/10
   A61P13/08
   A61P13/12
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P17/08
   A61P25/04
   A61P27/02
   A61P29/00
   A61P35/00
【請求項の数】6
【全頁数】105
(21)【出願番号】特願2017-155667(P2017-155667)
(22)【出願日】2017年8月10日
(62)【分割の表示】特願2014-549176(P2014-549176)の分割
【原出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-197587(P2017-197587A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】61/579,377
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ベイヤード アール.ハック
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ユファン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ロクシ ラン
(72)【発明者】
【氏名】リズベス セレスト デ セルム
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン ネーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ポットニック
(72)【発明者】
【氏名】スリニバサ アール.カッラ
(72)【発明者】
【氏名】テレサ エル.ジョンソン
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6193880(JP,B2)
【文献】 特開平01−156960(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/093419(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0019063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
[式中、
Xは、C-R4であり;
Yは、N-R5またはOであり;
R1は、L1-R6またはL1-R6-L2-R7であり;
R2は、H、Hal、OH、OA、CN、NH2、NHAのいずれかであり;
R3は、H、CH3、C(Hal)3のいずれかであり;
R4は、H、Hal、OH、COOH、NH2、CNのいずれかであり;
R5は、HまたはLAであるか、あるいは3、4、5、6、又は7員環の炭素環を持ち、1個または2個のCH2基それ自体が-NH-基で置換されていてもよい単環アルキルであり;
L1とL2は、各々独立に、単結合であるか、1、2、3、4、5個いずれかのC原子を有する分岐していないか分岐したアルキルであり、当該アルキルの水素原子は、置換されていないか、Hal、OH、NH2、NH(LA)、N(LA)2のいずれかで1置換または2置換されていてもよく、1個または2個のCH2基それ自体が、-CO-基、-NH-基、-N(LA)-基、-CONH-基、-N(LA)COO-基、-NHCO-基のいずれかで置換されていてもよく;
R6、R7は、各々独立に、Arであるか、3、4、5、6、又は7員環の炭素環を持ち、1個または2個のCH2基それ自体が、-NH-基、-NA-基、-CHA-基、-CO-基、-CONHA-基のいずれかで置換されていてもよい単環アルキルであり;
Arは独立に、0、1、2、3、4個いずれかのN原子および/またはO原子および/またはS原子と、5、6、8、9、10個いずれかの骨格原子を有する単環または二環の芳香族同素環または複素環であり、当該芳香族同素環または複素環の水素原子は、置換されていないか、互いに独立に、Hal、A、OA、OH、NH2、NHAのいずれかで1置換または2置換または3置換されていてもよく;
Aは独立に、1、2、3、4、5、6個いずれかの炭素原子を持ち、1個または2個のCH2基それ自体が、O原子および/または-NH-基、-NHCOAr基、-CONHAr基のいずれかで置換されていてもよく、1〜3個のH原子がHalで置換されていてもよく、1個または2個のCH3基が、NH2基、OH基、NH(LA)基、N(LA)2基のいずれかで置換されていてもよい、分岐していないか分岐した直鎖アルキルまたは環式アルキルであり;
LAは独立に、1、2、3、4個いずれかの炭素原子を持ち、1、2、3個いずれかのH原子がHalで置換されていてもよい、分岐していないか分岐した直鎖アルキルであり;
Halは独立に、F、Cl、Br、Iのいずれかである)。]
で表される化合物、またはその立体異性体もしくは互変異性体、またはその医薬として許容される塩、あるいはあらゆる割合でのそれらの混合物。
【請求項2】
(S)-5-((1-(3-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((4-(キノリン-7-イル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((3-フェニルアゼチジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-(((3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-3-イル)メチル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド:
5-(((4S)-4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-(((3S,4R)-4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((4-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-(((4R)-4-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((4S)-4-(3-フルオロフェニル)ピロリジン-3-カルボキサミド)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((4S)-4-フェニルピロリジン-2-カルボキサミド)キノリン-8-カルボキサミド;
5-(2-アミノ-2-フェニルアセトアミド)キノリン-8-カルボキサミド;
5-((3S)-3-フェニルアゼチジン-2-カルボキサミド)キノリン-8-カルボキサミド;
5-(4-フルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(2-フルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(3-フルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(3-クロロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(3,4-ジフルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(3,4,5-トリフルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-((1-フェニル-2-(ピロリジン-1-イル)エチル)アミノ-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(フェニルエチルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;
5-(フェニルプロピルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド;及び
5-(ベンジルアミノ)キノリン-8-カルボキサミド
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは互変異性体、またはその医薬として許容される塩、あるいはあらゆる割合でのそれらの混合物。
【請求項3】
医薬として許容される担体と共に、活性成分として、請求項1に記載の化合物および/またはその立体異性体、互変異性体、またはその医薬として許容される塩、あるいはあらゆる割合でのそれらの混合物を含む、医薬組成物。
【請求項4】
過剰増殖性疾患を治療するための、請求項1に記載の化合物および/またはその立体異性体、互変異性体、またはその医薬として許容される塩、あるいはあらゆる割合でのそれらの混合物を含む、医薬組成物。
【請求項5】
前記疾患が、がん、炎症、膵臓炎、腎臓疾患、痛み、皮膚の良性過形成、狭窄、前立腺、脈管新生に関係する疾患、血管新生に関係する疾患、腫瘍血管新生、皮膚疾患、乾せん、湿疹、強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜炎、未成年の網膜症、加齢黄斑変性症、血管腫、グリオーマ、メラノーマ、およびカポジ肉腫からなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物、および/またはその立体異性体または互変異性体、またはその医薬として許容される塩、あるいはあらゆる割合でのそれらの混合物の有効量と、更なる医薬活性成分の有効量とが別個のパックからなるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、哺乳動物で過剰増殖性疾患(例えばがん)の治療に役立つ一連の複素環カルボキサミド化合物に関する。本発明には、そのような化合物を利用した哺乳動物(特にヒト)の過剰増殖性疾患の治療と、そのような化合物を含む医薬組成物も含まれる。
【背景技術】
【0002】
関連技術の概要
プロテインキナーゼは、構造的に関連した酵素の大きなファミリーを構成しており、細胞内の多彩なシグナル伝達プロセスの制御にとって重要である(Hardie, G.とHanks, S.(1995年)、『プロテインキナーゼに関する事実の本』、第1巻と第II巻、アカデミック出版、サン・ディエゴ、カリフォルニア州)。これらのキナーゼは、そのキナーゼがリン酸化する基質によって複数のファミリーに分類される(例えばプロテイン-チロシン、プロテイン-セリン/トレオニン、脂質など)。それらキナーゼ・ファミリーのそれぞれに一般に対応する配列モチーフが同定されている(例えばHanks, S.K.、Hunter, T.、FASEB J.、第9巻:576〜596ページ(1995年);Knighton他、Science、第253巻、407〜414ページ(1991年);Hiles他、Cell、第70巻、419〜429ページ(1992年);Kunz他、Cell、第73巻、585〜596ページ;Garcia-Bustos他、EMBO J.、第13巻:2352〜2361ページ)。プロテインキナーゼは、その調節メカニズムを特徴とすることができる。そのメカニズムには、例えば自己リン酸化、他のキナーゼによる交差リン酸化、タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質-脂質相互作用、タンパク質-ポリヌクレオチド相互作用が含まれる。個々のプロテインキナーゼは2つ以上のメカニズムによって調節されている可能性がある。
【0003】
キナーゼは多くの異なる細胞プロセスを調節している。その中には、増殖、分化、アポトーシス、運動性、転写、翻訳や、他のシグナル伝達プロセスが含まれる。これらのリン酸化イベントは分子レベルのオン/オフ・スイッチとして作用し、標的タンパク質の生物学的機能を変化させること、または調節することができる。標的タンパク質のリン酸化は、さまざまな細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、増殖因子、分化因子など)、細胞周期イベント、環境ストレス、栄養ストレスなどに応答して起こる。適切なプロテインキナーゼがシグナル伝達経路で機能して、例えば代謝酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネル、イオンポンプ、転写因子を(直接的に、または間接的に)活性化または不活性化する。タンパク質のリン酸化の制御に欠陥があるという理由で制御されていないシグナル伝達が、多数の疾患で指摘されている。そのような疾患として、例えば、炎症、がん、アレルギー/喘息、免疫系の疾患と異常、中枢神経系の疾患と異常、血管新生が挙げられる。
【0004】
プロテインキナーゼ70S6K、すなわち70kDaリボソームプロテインキナーゼp70S6K(SK6、p70/p85 S6キナーゼ、p70/p85リボソームS6キナーゼ、p70S6Kとしても知られる)は、プロテインキナーゼのAGCサブファミリーのメンバーである。p70S6Kは、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)/AKT経路の要素であるセリン-トレオニンキナーゼである。p70S6KはPI3Kの下流にあり、多数のマイトジェン、ホルモン、増殖因子に応答した多数の部位でのリン酸化を通じて活性化が起こる。ラパマイシンはp70S6Kの活性を抑制する作用を持っているため、p70S6Kの活性はmTOR含有複合体(TORC1)の制御下にもある。p70S6Kは、PIK3の下流にある標的AKTとPKCによって調節される。AKTはTSC2を直接リン酸化して不活性にすることで、mTORを活性化する。それに加え、ワートマニンによって抑制されたがラパマイシンによっては抑制されなかった突然変異対立遺伝子を用いた研究から、mTOR活性の調節とは独立にPIK3経路がp70S6Kに対して効果を示しうることが示唆されている。
【0005】
酵素p70S6Kは、S6リボソームタンパク質のリン酸化によってタンパク質の合成を調節する。S6リン酸化は、翻訳機構の諸要素(例えば、リボソームタンパク質、翻訳延長因子(その発現の増大が細胞の成長と増殖にとって不可欠である))をコードしているmRNAの翻訳増加と相関している。これらのmRNAは、5’転写開始部位(5’TOPと呼ばれる)にオリゴピリミジン領域を含んでおり、これが、翻訳レベルでのmRNAの調節に不可欠であることがわかっている。
【0006】
p70S6Kの活性化は、翻訳に関与していることに加え、細胞周期、神経細胞の分化、細胞の動作性の調節、腫瘍の転移において重要な細胞応答、免疫応答、組織修復の制御にも関与している。p70S6Kに対する抗体は、マイトジェンに応答してラットの線維芽細胞がS期に入るのを阻止する。これは、p70S6Kの機能が細胞周期のG1期からS期への進行にとって不可欠であることを示している。さらに、細胞周期のG1期からS期におけるラパマイシンによる細胞周期増殖の抑制は、p70S6Kの過剰にリン酸化された活性化形の産生が抑制された結果であることが突き止められている。
【0007】
腫瘍細胞の増殖とアポトーシスからの細胞保護におけるp70S6Kの1つの役割は、p70S6Kが腫瘍組織での増殖因子受容体のシグナル伝達、過剰発現と活性化に関与していることに基づいている。例えばノーザン分析とウエスタン分析により、PS6K遺伝子の増幅に伴ってそれぞれmRNAとタンパク質の発現が増加することが明らかにされた(Cancer Res.(1999年)第59巻:1408〜1411ページ、「乳がんにおける染色体領域17q23へのPS6Kの局在とその増幅の測定」)。
【0008】
染色体17q23は、原発乳がんの20%まで、BRCA2の突然変異を含む乳がんの87%、BRCA1の突然変異を含む腫瘍の50%のほか、膵臓がん、膀胱がん、神経芽細胞腫といった他のタイプのがんで増幅されている(M. Barlund、O. Monni、J. Kononen、R. Cornelison、J. Torhorst、G. Sauter、O.-P. Kallioniemi、Kallioniemi A.、Cancer Res.、2000年、第60巻:5340〜5346ページ参照)。乳がんにおける17q23の増幅には、PAT1、RAD51C、PS6K、SIGMA1Bといった遺伝子が関与していることがわかっている(Cancer Res.(2000年):第60巻、5371〜5375ページ)。
【0009】
p70S6K遺伝子は、この領域における増幅と過剰発現の標的であることが同定されており、増幅と予後不良の間には統計的に有意な関係があることが観察されている。臨床において、p70S6K活性化の抑制が、上流キナーゼmTORの阻害剤であるCCI-779(ラパマイシンエステル)で治療した腎臓がんの患者で観察された。疾患の進行とp70S6K活性の抑制の間には有意な線形関係があることが報告された。腫瘍抑制因子LKB1がエネルギー・ストレスに応答してAMPKを活性化すると、AMPKはTSC1/2複合体をリン酸化することで、その複合体がMTOR/p70S6K経路の不活性化を可能にする。LKB1における突然変異によってポイツ-ジェガーズ症候群(PJS)が起こる。PJSの患者は、一般人と比べてがんに15倍なりやすい。それに加え、肺腺癌の1/3には不活性なLKB1突然変異が存在する。p70S6Kは、代謝性の疾患と異常にも関与している。p70S6Kがないと、インスリン感受性が増大することで年齢と食事によって誘導される肥満から保護されることが報告された。代謝性の疾患と異常(例えば肥満、糖尿病、代謝性症候群、インスリン抵抗性、高血糖症、高アミノ酸尿症、高脂血症)におけるp70S6Kの1つの役割は、これらの知見に基づいて支持される。
【0010】
p70S6Kの抑制に適した化合物は、特に、WO 03/064397、WO 04/092154、WO 05/054237、WO 05/056014、WO 05/033086、WO 05/117909、WO 05/039506、WO 06/120573、WO 06/136821、WO06/071819、WO06/131835、WO08/140947、PCT/US10/000313に開示されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、キナーゼ活性を調節する新規な化合物を提供することである。このプロテインキナーゼの調節として、過剰増殖性疾患、特に上記のプロテインキナーゼの過剰活性に関係する疾患(例えば哺乳動物のがん)の治療に役立つp70S6Kの抑制とAKTの抑制などがあり、この新規な化合物は、活性と溶解性の両方、代謝クリアランス、生物学的利用能に関して優れた薬理学的特性を持つ。
【0012】
その結果、本発明により、キナーゼ阻害剤であって上記疾患の治療に役立つ新規な複素環カルボキサミドと、その医薬として許容される塩、溶媒和物、プロドラッグが提供される。
【0013】
この化合物は、一般式(I)と、その医薬として許容される塩、溶媒和物、塩の溶媒和物、プロドラッグによって規定される。
【0014】
【化1】
【0015】
ただし、
Xは、NまたはC-R4であり;
Yは、N-R5またはOであるか、存在せず;
R1は、L1-R6またはL1-R6-L2-R7であり;
R2は、H、Hal、OH、OA、CN、NH2、NHAのいずれかであり;
R3は、H、CH3、C(Hal)3のいずれかであり;
R4は、H、Hal、OH、COOH、NH2、CNのいずれかであり;
R5は、HまたはLAであるか、環に3、4、5、6、7個いずれかの原子を持ち、1個または2個のCH2基が-NH-基で置換されていてもよい単環アルキルである、あるいは
R5とR1が合わさって、環に3、4、5、6、7個いずれかの原子を持ち、1個または2個のCH2基が、O原子および/または-NH-基、-NA-基、-N(L1-R6)-基、-CHA-基、-CA2-基、CH(L1-R6)- 基、-CO-基のいずれかで置換されていてもよい単環アルキル(その単環のアルキルはNH2で置換されていてもよい)を形成し;
L1とL2は、独立に、単結合であるか、1、2、3、4、5個いずれかのC原子を持ち、その炭素原子は、置換されていないか、Hal、OH、NH2、NH(LA)、N(LA)2のいずれかで1置換または2置換されていてもよく、1個または2個のCH2基が、O原子で置換されるか、-CO-基、-NH-基、-N(LA)-基、-CONH-基、-N(LA)COO-基、-NHCO-基のいずれかで置換されていてもよい、分岐していないか分岐したアルキルであり;
R6は、Arであるか、環に3、4、5、6、7個いずれかの原子を持ち、1個または2個のCH2基が、O原子および/または-NH-基、-NA-基、-CHA-基、-CO-基、-CONHA-基のいずれかで置換されていてもよい単環アルキルであり;
Arは、0、1、2、3、4個いずれかのN原子および/またはO原子および/またはS原子と、5、6、8、9、10個いずれかの骨格原子を持ち、その原子は、置換されていないか、互いに独立に、Hal、A、OA、OH、NH2、NHAのいずれかで1置換または2置換または3置換されていてもよい単環または二環の芳香族同素環または複素環であり;
Aは、1、2、3、4、5、6個いずれかの炭素原子を持ち、1個または2個のCH2基が、O原子および/または-NH-基、-NHCOAr基、-CONHAr基のいずれかで置換されていてもよく、1〜3個のH原子がHalで置換されていてもよく、1個または2個のCH3基が、NH2基、OH基、NH(LA)基、N(LA)2基のいずれかで置換されていてもよい、分岐していないか分岐した直鎖アルキルまたは環式アルキル
LAは、1、2、3、4個いずれかの炭素原子を持ち、1、2、3個いずれかのH原子がHalで置換されていてもよい、分岐していないか分岐した直鎖アルキル(例えばメチル、エチル、トリフルオロメチル)であり;
Halは、F、Cl、Br、Iのいずれかである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に、2回以上現われるあらゆる残基は、同じでも異なっていてもよい。すなわち互いに独立である。本明細書の全体で、残基とパラメータは、特に断わらない限り、一般式(I)で示した意味を持つ。
【0017】
したがって本発明は、特に、残基の少なくとも1つが以下に示す好ましい意味のうちの1つである一般式(I)の化合物に関する。
【0018】
Halは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれか、特にフッ素または塩素を表わす。
【0019】
“A”は、例えば、メチル、さらにはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、さらにはペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピルを表わす。
【0020】
“A”はさらに、上記のアルキルにおいて、1個または2個のCH2基が、O原子またはS原子で、および/またはNH基、N(LA)基、CONH基、NHCO基、-CH=CH基のいずれかで、および/または、それに加えて1〜3個のH原子が、Fおよび/またはClによって置換されていてもよいアルキルを表わし、その例は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシである。
【0021】
“A”の別の例では、1個または2個のCH3基が、OH、SH、NH2、N(LA)H、N(LA)2、CNのいずれかで置換されており、例として、N,N’-ジメチルアミノアルキル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、3-アミノメチルシクロブチル、シアノアルキルがある。
【0022】
環式Aは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルのいずれかを表わすことが好ましい。
【0023】
“LA”は、1、2、3、4個いずれかのC原子を持つ、分岐していないか分岐した直鎖アルキルを表わす。すなわち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチルを表わす。
【0024】
“Ar”は、例えば、置換されていないフェニル、ナフチル、ビフェニルを表わし、さらに好ましいのは、例えば、A、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ベンジルオキシ、スルホンアミド、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、カルボキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニルで1置換、または2置換、または3置換されたフェニル、ナフチル、ビフェニルである。
【0025】
“Ar”はさらに、o-トリル、m-トリル、p-トリル、o-エチルフェニル、m-エチルフェニル、p-エチルフェニル、o-プロピルフェニル、m-プロピルフェニル、p-プロピルフェニル、o-イソプロピルフェニル、m-イソプロピルフェニル、p-イソプロピルフェニル、o-t-ブチルフェニル、m-t-ブチルフェニル、p-t-ブチルフェニル、o-ヒドロキシフェニル、m-ヒドロキシフェニル、p-ヒドロキシフェニル、o-ニトロフェニル、m-ニトロフェニル、p-ニトロフェニル、o-アミノフェニル、m-アミノフェニル、p-アミノフェニル、o-(N-メチルアミノ)フェニル、m-(N-メチルアミノ)フェニル、p-(N-メチルアミノ)フェニル、o-(N-メチルアミノカルボニル)フェニル、m-(N-メチルアミノカルボニル)フェニル、p-(N-メチルアミノカルボニル)フェニル、o-アセトアミドフェニル、m-アセトアミドフェニル、p-アセトアミドフェニル、o-メトキシフェニル、m-メトキシフェニル、p-メトキシフェニル、o-エトキシフェニル、m-エトキシフェニル、p-エトキシフェニル、o-エトキシカルボニルフェニル、m-エトキシカルボニルフェニル、p-エトキシカルボニルフェニル、o-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、m-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、p-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、o-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニル、m-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニル、p-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o-(N-エチルアミノ)フェニル、m-(N-エチルアミノ)フェニル、p-(N-エチルアミノ)フェニル、o-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、m-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、p-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、o-フルオロフェニル、m-フルオロフェニル、p-フルオロフェニル、o-ブロモフェニル、m-ブロモフェニル、p-ブロモフェニル、o-クロロフェニル、m-クロロフェニル、p-クロロフェニル、o-(メチルスルホンアミド)フェニル、m-(メチルスルホンアミド)フェニル、p-(メチルスルホンアミド)フェニル、o-(メチルスルホニル)フェニル、m-(メチルスルホニル)フェニル、p-(メチルスルホニル)フェニルを表わし、さらに好ましいのは、2,3-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、2,3-ジクロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,5-ジクロロフェニル、2,3-ジブロモフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2,5-ジブロモフェニル、2,6-ジブロモフェニル、3,4-ジブロモフェニル、3,5-ジブロモフェニル、2,4-ジニトロフェニル、2,5-ジニトロフェニル、2,5-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3-ニトロ-4-クロロフェニル、3-アミノ-4-クロロフェニル、2-アミノ-3-クロロフェニル、2-アミノ-4-クロロフェニル、2-アミノ-5-クロロフェニル、2-アミノ-6-クロロフェニル、2-ニトロ-4-N,N-ジメチルアミノフェニル、3-ニトロ-4-N,N-ジメチルアミノフェニル、2,3-ジアミノフェニル、2,3,4-トリクロロフェニル、2,3,5-トリクロロフェニル、2,3,6-トリクロロフェニル、2,4,6-トリクロロフェニル、3,4,5-トリクロロフェニル、2,4,6-トリメトキシフェニル、2-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル、p-ヨードフェニル、3,6-ジクロロ-4-アミノフェニル、4-フルオロ-3-クロロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2,5-ジフルオロ-4-ブロモフェニル、3-ブロモ-6-メトキシフェニル、3-クロロ-6-メトキシフェニル、3-クロロ-4-アセトアミドフェニル、3-フルオロ-4-メトキシフェニル、3-アミノ-6-メチルフェニル、3-クロロ-4-アセトアミドフェニル、2,5-ジメチル-4-クロロフェニル、(4-メトキシフェニル)メチル、(3-メトキシフェニル)メチル、(4-メトキシフェニル)エチル、(3-メトキシフェニル)エチルを表わす。
【0026】
“Ar”はさらに、2-フェニル、3-フェニル、4-フェニル、2-フェニルメチル、3-フェニルメチル、4-フェニルメチル、2-フェニルエチル、3-フェニルエチル、4-フェニルエチル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、2-ピリジル、3ピリジル、4ピリジル、2-ピリジルメチル、3ピリジルメチル、4ピリジルメチル、2-ピリジルエチル、3ピリジルエチル、4ピリジルエチル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジン-1-イル、3-ピラジン-1-イル、5-ピラジン-1-イル、6-ピラジン-1-イル、2-ピラジン-4-イル、3-ピラジン-4-イル、5-ピラジン-4-イル、6-ピラジン-4-イルを表わし、さらに好ましいのは、1,2,3-トリアゾル-1-イル、1,2,3-トリアゾル-4-イル、1,2,3-トリアゾル-5-イル、1,2,4-トリアゾル-1-イル、1,2,4-トリアゾル-3-イル、1,2,4-トリアゾル-5-イル、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1,2,3-オキサゾル-4-イル、1,2,3-オキサゾル-5-イル、1,2,4-オキサゾル-3-イル、1,2,4-オキサゾル-5-イル、1,3,4-オキサゾル-2-イル、1,3,4-チアジアゾル-2-イル、1,3,4-チアジアゾル-5-イル、1,2,4-チアジアゾル-3-イル、1,2,4-チアジアゾル-5-イル、1,2,3-チアジアゾル-4-イル、1,2,3-チアジアゾル-5-イル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、2-プリニル、6-プリニル、8-プリニル、1-ベンズイミダゾリル、2-ベンズイミダゾリル、4-ベンズイミダゾリル、5-ベンズイミダゾリル、1-ベンゾピラゾリル、3-ベンゾピラゾリル、4-ベンゾピラゾリル、5-ベンゾピラゾリル、6-ベンゾピラゾリル、7-ベンゾピラゾリル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、3-ベンズイソオキサゾリル、4-ベンズイソオキサゾリル、5-ベンズイソオキサゾリル、6-ベンズイソオキサゾリル、7-ベンズイソオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、2-ベンズイソチアゾリル、4-ベンズイソチアゾリル、5-ベンズイソチアゾリル、6-ベンズイソチアゾリル、7-ベンズイソチアゾリル、4-ベンズ-2,1,3-オキサジアゾリル、5-ベンズ-2,1,3-オキサジアゾリル、6-ベンズ-2,1,3-オキサジアゾリル、7-ベンズ-2,1,3-オキサジアゾリル、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、4-イソキノリニル、5-イソキノリニル、6-イソキノリニル、7-イソキノリニル、8-イソキノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル、5-キノリニル、6-キノリニル、7-キノリニル、8-キノリニル、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル、キノキサリン-2-イル、キノキサリン-3-イル、キノキサリン-4-イル、キノキサリン-5-イル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、2-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、3-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、5-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、6-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、7-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、8-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニルを表わすことが好ましく、
さらに好ましいのは、1,3-ベンゾジオキソル-2-イル、1,3-ベンゾジオキソル-4-イル、1,3-ベンゾジオキソル-5-イル、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、1,4-ベンゾジオキサン-6-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾル-4-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾル-5-イル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾル-5-イル、フラン-2-イル、フラン-3-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラン-2-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラン-3-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラン-4-イル、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラン-5-イルを表わしていることであり、
そのそれぞれは、置換されていないか、例えばカルボニル酸素、F、Cl、Br、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ベンジル、-CH2-シクロヘキシル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アセトアミノ、ウレイド、メチルスルホニルアミノ、ホルミル、アセチル、アミノスルホニル、メチルスルホニルで1置換、または2置換、または3置換されていてもよい。
【0027】
特に好ましいのは、一般式(I)の下位式1〜10の化合物と、その医薬として許容される塩、溶媒和物、プロドラッグである。ただし、
下位式1において、
XはNであり、
YはN-R5である;
下位式2において、
XはNであり、
YはN-R5であり、
R5とR1が合わさって、環に3、4、5、6、7個いずれかの原子を持ち、1個または2個のCH2基が、-NH-基、-NA-基、-N(L1-R6)-基、-CHA-基、-CA2-基、CH(L1-R6)-基、-CO-基のいずれかで置換されていてもよい単環アルキル(その単環のアルキルはNH2で置換されていてもよい)を形成する;
下位式3において、
XはNであり、
YはN-R5であり、
R5とR1が合わさって、環に4、5、6個いずれかの原子を持ち、1個のCH2基が-N(L1-R6)-基で置換された単環アルキル(その単環のアルキルはNH2で置換されていてもよい)を形成する;
下位式4において、
XはNであり、
YはN-R5であり、
R5とR1が合わさって、環に4、5、6個いずれかの原子を持ち、1個のCH2基が-N(L1-R6)-基で置換された単環アルキル(その単環のアルキルはNH2で置換されていてもよい)を形成し、
L1は、結合、-CONH-、-NHCO-、-CONHCH2-、CH2CONH-である;
下位式5において、
XはNであり、
YはN-R5であり、
R5とR1が合わさって、環に4、5、6個いずれかの原子を持ち、1個のCH2基が-N(L1-R6)-基で置換された単環アルキル(その単環のアルキルはNH2で置換されていてもよい)を形成し、
R6は、置換されていないフェニルであるか、独立にHal、C(Hal)3、CH3、C(Hal)3Oで1置換、または2置換、または3置換されたフェニルである;
下位式6において、
XはNであり、
YはN-R5であり、
R5とR1が合わさって、環に4、5、6個いずれかの原子を持ち、1個のCH2基が-N(L1-R6)-基で置換された単環アルキル(その単環のアルキルはNH2で置換されていてもよい)を形成し、
L1は、結合、-CONH-、-NHCO-、-CONHCH2-、CH2CONH-であり、
R6は、置換されていないフェニルであるか、独立にHal、C(Hal)3、CH3、CH3O、C(Hal)3Oで1置換、または2置換、または3置換されたフェニルである;
下位式7において、
XはNであり、
YはNHであり、
R1はL1-R6-L2-R7であり、
L1とL2は結合であり、
R6は、環に4、5、6個いずれかの原子を持ち、1個のCH2基が-NH-基で置換されている単環アルキルであり、
R7は、置換されていないフェニルであるか、独立にHal、C(Hal)3、CH3、CH3O、C(Hal)3Oで1置換、または2置換、または3置換されたフェニルである;
下位式8において、
XはNであり、
YはNHであり、
R1はL1-R6-L2-R7であり、
L1とL2は結合であり、
R6はピペリジルまたはピロリジニルであり、
R7は、Hal、C(Hal)3、CH3、CH3O、C(Hal)3Oで1置換または2置換されたフェニルである;
下位式9において、
XはNであり、
YはNHであり、
R1はL1-R6-L2-R7であり、
L1とL2は結合であり、
R6は、
【0028】
【化2】
【0029】
または
【0030】
【化3】
【0031】
であり、
R7は、Hal、C(Hal)3、CH3、CH3O、C(Hal)3Oで1置換または2置換されたフェニルである;
下位式10において、
XはNであり、
YはNHであり、
R1はL1-R6であり、
R6は、置換されていないフェニルであるか、独立にHal、C(Hal)3、CH3、CH3O、C(Hal)3Oで1置換、または2置換、または3置換されたフェニルである;
残りの残基は、上記の一般式(I)について示したのと同じ意味である。
【0032】
本発明の化合物は、プロドラッグ化合物の形態にすることができる。“プロドラッグ化合物”は、生体内の生理学的条件下で例えば酸化、還元、加水分解など(そのそれぞれは、酵素によって、または酵素の関与なしで実現される)によって本発明の生物学的に活性な化合物に変換された誘導体を意味する。プロドラッグの例は、本発明の化合物に含まれるアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された(例えばエイコサノイルアミノ、アラニルアミノ、ピバロイルオキシメチルアミノ)化合物、または本発明の化合物に含まれるヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、ホスホリル化されるか、ホウ酸塩に変換された(例えばアセチルオキシ、パルミトイルオキシ、ピバロイルオキシ、スクシニルオキシ、フマリルオキシ、アラニルオキシ)化合物、または本発明の化合物に含まれるカルボキシル基がエステル化またはアミド化された化合物、または本発明の化合物に含まれるスルフヒドリル基が、薬を選択的に標的および/または細胞の細胞質ゾルに送達する担体分子(例えばペプチド)とジスルフィド結合を形成している化合物である。これらの化合物は、本発明の化合物から周知の方法に従って製造することができる。プロドラッグの別の例は、本発明の化合物に含まれるカルボン酸塩が例えばアルキルエステル、アリールエステル、コリンエステル、アミノ、アシルオキシメチルエステル、リノレノイル-エステルに変換された化合物である。
【0033】
本発明の化合物の代謝産物も本発明の範囲に含まれる。
【0034】
本発明の化合物またはそのプロドラッグに互変性、例えばケト-エノル互変性が起こる可能性がある場合には、個々の形態、例えばケト形態またはエノル形態について別々に権利を主張するとともに、任意の比率の混合物としてもまとめて権利を主張する。同じことが、立体異性体、例えば鏡像異性体、シス/トランス異性体、配座異性体などに当てはまる。望むのであれば、異性体は周知の方法(例えば液体クロマトグラフィ)によって分離することができる。同じことが鏡像異性体に当てはまり、例えばキラル定常相を利用して分離される。それに加え、鏡像異性体は、ジアステレオマーに変換することによって、すなわち鏡像異性体として純粋な補助化合物とカップリングさせた後、得られたジアステレオマーを分離し、補助残基を開裂させることによって分離できる。あるいは、光学的に純粋な出発材料を用い、立体選択合成から本発明の化合物の任意の鏡像異性体を得ることができる。
【0035】
本発明の化合物は、医薬として許容される塩または溶媒和物の形態にすることができる。“医薬として許容される塩”という用語は、医薬として許容される非毒性の塩基または酸(その中には無機塩基または無機酸と有機塩基または有機酸が含まれる)から調製された塩を意味する。本発明の化合物が1つ以上の酸性基または塩基性基を含んでいる場合、本発明には、それに対応する医薬として許容される塩、または毒学的に許容される塩、特に、医薬として使用可能な塩も含まれる。例えば酸性基を含む本発明の化合物は、塩の形態(例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)で存在することができ、本発明に従って使用することができる。そのような塩のより具体的な例として、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニアまたは有機アミンとの塩(例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノ酸)がある。1個以上の塩基性基、すなわちプロトン化できる基を含む本発明の化合物は、塩の形態で存在することができ、無機酸または有機酸との添加塩の形態で本発明に従って使用できる。適切な酸の例として、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸や、当業者に知られている他の酸が挙げられる。本発明の化合物が分子内に酸性基と塩基性基を同時に含んでいる場合には、本発明に、上記の塩の形態に加え、内部塩またはベタイン(両性イオン)も含まれる。個々の塩は、当業者に知られている一般的な方法で得ることができる。例えば、溶媒または分散液の中で有機酸または無機酸と接触させることによる方法、または他の塩とのアニオン交換またはカチオン交換による方法がある。本発明には、生理学的な適合性が低いために医薬で用いるのに直接的には適していないが、例えば化学反応のための中間体、または医薬として許容される塩を調製するための中間体として使用できる本発明の化合物のあらゆる塩も含まれる。
【0036】
“置換された”という用語は、上記の置換基による置換に関係していることが好ましい。その場合、特に断わらない限り、複数の異なる程度の置換が可能である。
【0037】
生理学的に許容されるあらゆる塩、誘導体、溶媒和物、塩の溶媒和物と、これら化合物の立体異性体も、これらのあらゆる比率の混合物を含め、本発明に含まれる。
【0038】
一般式(I)の化合物は、1つ以上のキラル中心を持つことができる。したがって一般式(I)の化合物は、さまざまな鏡像異性体と、ラセミ形態または光学活性形態で存在できる。したがって本発明は、光学活性形態(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマーと、これら化合物の水和物および溶媒和物にも関する。
【0039】
本発明の化合物のラセミ化合物または立体異性体の医薬活性は異なる可能性があるため、鏡像異性体を用いることが望ましかろう。その場合、最終製品は、それどころか中間体さえも、当業者に知られている化学的手段または物理的手段で鏡像異性化合物に分離することができるし、そのまま合成で使用することさえできる。
【0040】
ラセミ化合物のアミンの場合には、光学活性のある分割剤との反応によって混合物からジアステレオマーが形成される。適切な分割剤の例は、光学活性のある酸(例えば酒石酸のR形とS形、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、適切にNが保護されたアミノ酸(例えばN-ベンゾイルプロリンやN-ベンゼンスルホニルプロリン))、光学活性のあるさまざまなショウノウスルホン酸である。光学活性のある分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロース、炭水化物の他の誘導体、シリカゲルに固定化されたキラル性誘導化メタクリレートポリマー)を用いたクロマトグラフィによる鏡像異性体の分割も好ましい。この目的の適切な溶離剤は、水性溶媒またはアルコール性溶媒の混合物(例えばヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルを例えば82:15:3の比率にしたもの)である。エステル基(例えばアセチルエステル)を含むラセミ化合物を分割する方法は、酵素、特にエステラーゼの使用である。
【0041】
さらに、本発明は、活性成分としての本発明の化合物、またはそのプロフドラッグ化合物、またはその医薬として許容される塩または溶媒和物を、医薬として許容される基剤とともに含む医薬組成物に関する。
【0042】
“医薬組成物”は、1種類以上の活性成分と、基剤を構成する1種類以上の不活性成分を意味するとともに、任意の2種類以上の成分の組み合わせ、複合化、凝集化から、または1種類以上の成分の解離から、または1種類以上の成分の間の他のタイプの反応または相互作用から、直接的または間接的に生じる任意の生成物を意味する。したがって本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と、医薬として許容される基剤を混合することによって作られるあらゆる組成物が含まれる。
【0043】
本発明の医薬組成物はさらに、活性成分として1種類以上の他の化合物(例えば本発明の1種類以上の別の化合物、またはプロドラッグ化合物、または他のp70S6K阻害剤)を含むことができる。
【0044】
医薬組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与が含まれる)、眼への投与、肺(鼻腔または口腔からの吸入)投与、鼻投与に適した組成物を含んでいる。しかしどの場合でも、最適な投与経路は、治療する症状の性質および重篤度と、活性成分の性質に依存するであろう。医薬組成物は、単位用量の形態にするのが便利であり、薬学の分野で周知の任意の方法で調製される。
【0045】
一実施態様では、上記の化合物と医薬組成物は、がん(例えば脳腫瘍、肺がん、大腸がん、類表皮腫、扁平細胞がん、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、乳がん、頭部がん、首のがん、腎臓がん、肝臓がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸がん、子宮がん、直腸がん、食道がん、精巣がん、婦人科系のがん、甲状腺がん、メラノーマ)、血液悪性腫瘍(例えば急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、骨髄細胞白血病)、グリオーマ、カポジ肉腫や、他のあらゆるタイプの固形腫瘍または液体腫瘍を治療するためのものである。治療するがんは、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、グリオブラストーマの中から選択することが好ましい。
【0046】
本発明は、p70S6Kの過剰活性に関連する過剰増殖性疾患のほか、哺乳動物でp70S6Kカスケードによって調節される疾患、異常な増殖による異常(例えばがんや炎症)を治療するための薬の調製における本発明の化合物の利用にも関する。
【0047】
本発明は、哺乳動物の脈管新生または血管新生に関係する疾患を治療するための化合物または医薬組成物にも関する。この医薬組成物は、本発明の化合物、またはその医薬として許容される塩、プロドラッグ、水和物の有効量と、医薬として許容される基剤を含んでいる。
【0048】
一実施態様では、その化合物または医薬組成物は、腫瘍の血管新生、慢性炎症性疾患(例えば関節リウマチ、炎症性腸疾患、アテローム性動脈硬化)、皮膚疾患(例えば乾癬、湿疹、強皮症)、糖尿病、糖尿病性網膜症、未成年の網膜症、加齢黄斑変性症からなるグループの中から選択した疾患を治療するためものもである。
【0049】
本発明は、哺乳動物における異常な細胞増殖を抑制する化合物または医薬組成物にも関する。この化合物は、所定量の本発明の化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物、プロドラッグを、所定量の別の抗がん剤と組み合わせて含んでおり、その化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグの量と、抗がん剤の量は、合計して異常な細胞増殖を抑制するのに有効な量である。現在は多数の抗がん剤が知られている。一実施態様では、抗がん剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、抗代謝産物、インターカレーティング抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答改変剤、抗ホルモン、血管新生阻害剤(例えばシレンギチド)、ワクチン(例えばBLP-25)、抗アンドロゲンからなるグループの中から選択した化学療法剤である。別の一実施態様では、抗がん剤は、ベバシズマブ、CD40特異的抗体、chTNT-1/B、デノスマブ、ザノリムマブ、IGF1R特異的抗体、リンツズマブ、エルデコロマブ、WX G250、リツキシマブ、チシリムマブ、トラツズマブ、セツキシマブからなるグループの中から選択した抗体である。さらに別の一実施態様では、抗がん剤は、別のプロテインキナーゼ、例えばAxl、オーロラA、オーロラB、dyrk2、epha2、fgfr3、igf1r、IKK2、JNK3、Vegfr1、Vegfr2、Vegfr3(Flt-4としても知られる)、KDR、MEK、MET、Plk1、RSK1、Src、TrkA、Zap70、cKit、bRaf、EGFR、Jak2、PI3K、NPM-Alk、c-Abl、BTK、FAK、PDGFR、TAK1、LimK、Flt-3、PDK1、Erkの阻害剤である。
【0050】
本発明はさらに、哺乳動物における異常な細胞増殖を抑制する方法、または過剰増殖性疾患を治療する方法に関する。この方法は、その哺乳動物に、手術または放射線療法と組み合わせて所定量の本発明の化合物、またはその医薬として許容される塩、水和物、プロドラッグを投与する操作を含んでおり、その化合物、医薬として許容される塩、水和物、プロドラッグの量は、手術または放射線療法と組み合わせたときにその哺乳動物における異常な細胞増殖を抑制するのに有効な量、または過剰増殖性疾患を治療するのに有効な量である。放射線療法を適用する技術は公知であり、その技術をこの明細書に記載した組み合わせ療法で利用できる。この組み合わせ療法での本発明の化合物の投与は、この明細書に記載したようにして決定することができる。本発明の化合物は、異常な細胞が放射線を用いた治療に対してより感受性を持つようにすることで、そのような細胞を殺すこと、および/またはそのような細胞の増殖を抑制することができると考えられる。
【0051】
したがって本発明はさらに、哺乳動物で異常な細胞が放射線に対して感受性を持つようにする方法に関する。この方法は、その哺乳動物に所定量の本発明の化合物、またはその医薬として許容される塩、水和物、プロドラッグを投与する操作を含んでおり、その量は、異常な細胞が放射線に対して感受性を持つようにするのに有効である。この方法におけるその化合物、医薬として許容される塩、水和物の量は、この明細書に記載したそのような化合物の有効量を確認する手段に従って決定することができる。本発明は、哺乳動物における異常な細胞増殖を抑制する方法にも関する。この方法は、所定量の本発明の化合物、またはその医薬として許容される塩、水和物、プロドラッグ、または放射性同位体で標識したこれらのものの誘導体と、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤の中から選択した1種類以上の所定量の物質とを含んでいる。
【0052】
実際の使用では、従来の医薬化合物形成技術に従って本発明の化合物を活性剤として医薬用基剤と組み合わせ、密な混合物にすることができる。基剤は、投与法(例えば経口投与または非経口投与(静脈内投与を含む))にとって望ましい調製物の形となるよう多彩な形を取ることができる。経口剤形のための組成物の調製では、通常の任意の医薬用媒体、例えば水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などを使用できる。経口液体調製物の場合には、通常の任意の医薬用媒体、例えば懸濁液、エリキシル、溶液;または基剤、例えばデンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用できる。経口固体調製物の場合には、組成物は、例えば粉末、硬質カプセル、軟質カプセル、錠剤の形を取ることができる。経口固体調製物のほうが液体調製物よりも好ましい。
【0053】
錠剤とカプセルは、投与が容易であるため最も有利な経口用量単位形態である。この場合、固体医薬用基剤が明らかに使用される。望むのであれば、錠剤を標準的な水性技術または非水性技術で被覆することができる。このような組成物と調製物は、活性化合物を少なくとも0.1%含んでいなければならない。このような組成物に含まれる活性化合物の割合はもちろん変動する可能性があり、単位用量の重量の約2%〜約60%にするとよい。治療に役立つこのような組成物に含まれる活性化合物の量は、有効な用量が得られるようにされている。活性化合物は、例えば液滴またはスプレーとして鼻腔内に投与することもできる。
【0054】
錠剤、ピル、カプセルなどは、結合剤(例えばトラガントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン);賦形剤(例えばリン酸二カルシウム);崩壊剤(例えばコーンスター値、ジャガイモのデンプン、アルギン酸);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム);甘味剤(例えばスクロース、ラクトース、サッカリン)も含むことができる。単位用量形態がカプセルである場合、その中に、上記のタイプの材料に加えて液体基剤(例えば不揮発性油)が含まれていてよい。
【0055】
コーティングとして、または単位用量の物理的形態を変更するため、他のさまざまな材料が存在していてもよい。例えば錠剤は、シェラックと糖の一方または両方でコーティングすることができる。シロップまたはエリキシルは、活性成分に加え、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルパラベンとプロピルパラベン、染料、香味剤(例えばサクランボやオレンジの風味)を含んでいてもよい。
【0056】
本発明の化合物は、非経口投与することもできる。これら活性化合物の溶液または懸濁液は、水中で界面活性剤(例えばヒドロキシ-プロピルセルロース)と適切に混合することによって調製できる。グリセロールへの分散液、液体ポリエチレングリコールへの分散液、油中のこれらの混合物への分散液も調製することができる。通常の保管条件と使用条件では、これら調製物は、微生物の増殖を阻止するため保存剤を含んでいる。
【0057】
注射に適した医薬の形態として、無菌の水溶液または分散液と、無菌の水溶液または分散液を必要に応じて調製するための無菌粉末が挙げられる。どの場合にも、その医薬は無菌でなければならず、容易に注射できるよう流体でなければならない。その医薬は、製造条件と保管条件のもとで安定でなければならず、微生物(例えば細菌や真菌)の汚染作用に対して保存が利く必要がある。基剤として、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、これらの適切な混合物、植物油を含む溶媒または分散媒体が可能である。
【0058】
哺乳動物、特にヒトに有効な用量の本発明の化合物を供給するには、適切な任意の投与経路を利用できる。例えば経口、直腸、局所、非経口、目、肺、鼻などを利用できる。剤形として、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エーロゾルなどが挙げられる。本発明の化合物は経口投与することが好ましい。
【0059】
使用する有効成分の有効な用量は、使用する具体的な化合物、投与形態、治療の条件、疾患の重篤度によって異なる可能性がある。そのような用量は、当業者が容易に確認することができる。
【0060】
本発明の化合物の適応となるがん、炎症や、他の増殖性疾患の治療または予防では、本発明の化合物を動物の体重1kgにつき一日の用量約0.01mg〜約100mgにして投与したときに一般に満足のゆく結果が得られる。その用量は、単一の一日用量として投与することが好ましい。たいていの大きな哺乳動物では、一日用量の合計は、約0.1mg〜約1000mg、好ましくは約0.2mg〜約50mgである。70kgの成人の場合には、一日の合計用量は、一般に、約0.2mg〜約200mgである。この投与計画は、最適な治療効果が得られるように調節することができる。
【0061】
本発明は、
a)本発明の化合物、またはその生理学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグの有効量と、
b)別の薬活性成分の有効量
が別々のパックになった構成のセット(キット)にも関する。このセットは、適切な容器(例えば箱、個別の瓶、袋、アンプル)を含んでいる。このセットは、例えば個別のアンプルを備えていて、各アンプルには、本発明の化合物および/またはその医薬として使用できる誘導体、溶媒和物、立体異性体(これらのあらゆる比率の混合物も含む)と、溶解した形態または凍結乾燥させた形態の別の薬活性成分が含まれている。
【0062】
実験の部
この明細書に現われる可能性のあるいくつかの略号は以下の通りである。
【0063】
略号
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
本発明の化合物は、適切な材料を使用し、以下のスキームと実施例の手続きに従って調製することができる。本発明の化合物の別の例は、以下の具体的な実施例に示す。
【0067】
さらに、この明細書に記載した手続きを、この分野で一般的な技術と組み合わせて利用することで、この明細書に記載した本発明の別の化合物を容易に調製できる。しかし実施例に示した化合物が、本発明と考えられる唯一の属を形成すると考えてはならない。実施例は、本発明の化合物の調製に関する詳細を示している。当業者であれば、以下の調製手続きの条件とプロセスに関する公知のバリエーションを利用してこれらの化合物を調製できることが容易に理解できるであろう。
【0068】
本発明の化合物は、一般に、医薬として許容される塩(例えば上記のもの)の形態で単離される。単離された塩に対応する無アミン塩基は、適切な塩基(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液)を用いて中和し、放出された無アミン塩基を有機溶媒の中に抽出した後、蒸発させることによって生成させることができる。このようにして単離された無アミン塩基は、有機溶媒に溶かした後、適切な酸を添加し、その後に蒸発、沈殿または結晶化を実施することによって医薬として許容される別の塩にさらに変換することができる。
【0069】
以下のスキームと実施例に記載した具体的な実施態様を参照して本発明を説明するが、本発明がそれら実施態様に限定されることはない。スキームの中に特に示されていない限り、変数は上記のものと同じ意味である。特に断わらない限り、あらゆる出発材料は、市場の供給業者から入手し、それをさらに精製せずに使用する。特に断わらない限り、あらゆる温度は℃で表記し、あらゆる反応は、室温で行なわせる。化合物は、シリカ・クロマトグラフィまたは分離用HPLCによって精製した。
【0070】
本発明は、以下に説明するスキームと成功した実施例に従って一般式(I)の化合物を製造する方法にも関する。
【0071】
中間化合物と最終生成化合物を合成するためのスキーム
スキーム1に概略を示した8段階の合成により、市販されている2-アミノ-3-メチル安息香酸から臭化キナゾリン中間体1aを得る。
【0072】
【化4】
【0073】
キノリン中間体9a、10aは市販されており、化合物11aは、スキーム2に概略を示した5段階の合成に従って調製される。
【0074】
【化5】
【0075】
アミン中間体は市場で入手するか、以下の合成経路(スキーム3、スキーム4、スキーム5、スキーム6)に従って調製する。
【0076】
【化6】
【0077】
Tocを用いて化合物3aのアミノ基を保護すると化合物3bが生じる。化合物3bを加水分解してカルボン酸3cを放出させた。カルボン酸3cをアミンとカップルさせた後、Toc保護基を外すと、アミン中間体eが得られた。
【0078】
【化7】
【0079】
アリールアルデヒド4aを塩基性条件下でニトロメタンと反応させてヒドロキシル誘導体4bを得た。この誘導体を、無水酢酸によって促進される除去条件下でアルケン4cに変換した。N-ベンジル-1-メトキシ-N-((トリメチルシリル)メチル)メタンアミンを用いたアルケン4cの環化によってピロリジン誘導体4dが得られた。ラネーニッケルを触媒として用いて誘導体4dのニトロ基を還元した後、得られたアミノ部分を、N-[2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニルオキシ]スクシンイミドを用いてTeoc保護すると化合物4fが得られた。この化合物4fのN-ベンジル基を水素化条件下で除去し、ジカルボン酸ジ-t-ブチルを用いて保護することにより化合物4hを得た。フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムを用いて処理すると、化合物4hのTeocで保護された第一級アミンが放出され、アミン中間体4iが得られた。
【0080】
【化8】
【0081】
Bocを用いてアミノ酸5aを保護すると化合物5bが得られた。次に化合物5bをアミンと反応させてアミド5cを得た。Cbz基を水素化条件下で除去すると、望むアミン中間体5dが生成した。
【0082】
【化9】
【0083】
Teocを用いてアミノ酸6aのアミノ基を選択的に保護した後、酸部分をアミンとカップリングさせるとアミド6cが得られた。TBAfによってTeocを外すとアミン中間体6dが得られた。
【0084】
【化10】
【0085】
還元性アミノ化条件下で化合物7aと化合物7bを反応させて化合物7cを得た。次にこの化合物7cを酸で処理すると、脱保護ピロリジン中間体7dがトリフルオロ酢酸塩として得られた。
【0086】
【化11】
【0087】
臭化物中間体1aをアミン8b(Pは、必要な場合の保護基である)とカップルさせると亜硝酸塩中間体8cが得られる。過酸化水素の助けを借りて塩基性条件下で亜硝酸塩中間体8cを加水分解するとアミド8dが得られ、その後保護基を外すと望む化合物8eが得られる。
【0088】
【化12】
【0089】
熱い濃硫酸を用いた加水分解によってニトリル9aを酸化するとカルボン酸アミド9bに変換された。そのカルボン酸アミド9bをカルボン酸とカップルさせると化合物9cが得られた。化合物9cから保護を外すことにより、望む化合物9dが得られる。
【0090】
【化13】
【0091】
臭化ベンジル10aをアニリン9bと反応させると望む化合物10bが得られた。
【0092】
【化14】
【0093】
ブッフバルト・ハートウィグ・クロスカップリング条件下で5-ブロモキノリン-8-カルボニトリル11aをアミノピロリジン誘導体と反応させると化合物11bが得られた。熱い濃硫酸を用いてニトリル部分をカルボン酸アミドに変換すると化合物11cが得られた。
【0094】
【化15】
【0095】
ブッフバルト・ハートウィグ・クロスカップリング条件下で5-ブロモキノリン-8-カルボン酸メチル12aをアミン中間体8bと反応させると化合物12bが得られた。メタノールの中で化合物12bをアンモニアで処理するとカルボン酸アミド12cが得られた。次にこのカルボン酸アミド12cから保護基を外すと化合物12dが生成した。
【0096】
分析法
以下の3つの方法を利用して分析的LC/MSを実施した:
方法A:Discovery C18, 5μm, 3×30mmカラムを、流速400μl/分、サンプル・ループ5μl、移動相(A):0.1%のギ酸を含む水、移動相(B):0.1%のギ酸を含むメタノールで使用した;保持時間の単位は分である。方法の詳細:(I)UV/VISダイオード・アレイ検出器G1315B(Agilent社)と、ESIによるFinnigan LCQ Duo MS検出器が取り付けられていて、254nmと280nmでのUV検出モードのクォータナリ・ポンプG1311A(Agilent社)を3.2分の線形勾配で勾配15%から95%(B)まで作動させ、(II)1.4分間にわたって95%(B)を保持し、(III)0.1分間の線形勾配で勾配95%から15%(B)まで低下させ、(IV)15%(B)で2.3分間保持する。
【0097】
方法B:Waters Symmetry Discovery C18, 3.5μm, 4.6×75mmカラムを、流速1ml/分、サンプル・ループ10μl、移動相(A):0.05%のTFAを含む水、移動相(B):0.05%のTFAを含むACNで使用した;保持時間の単位は分である。方法の詳細:(I)UV/VISダイオード・アレイ検出器G1315B(Agilent社)と、ESIによるAgilent G1956B (SL) MS検出器が取り付けられていて、254nmと280nmでのUV検出モードのバイナリ・ポンプG1312A(Agilent社)を10分間の線形勾配で20%から85%(B)で作動させ、(II)1分間にわたって85%(B)を保持し、(III)0.2分間の線形勾配で勾配85%から20%(B)まで低下させ、(IV)20%(B)で3.8分間保持する。
【0098】
方法C:勾配:4.2分間/流れ:2ml/分 99:01 - 0:100水+0.1%(体積)TFA;アセトニトリル+0.1%(体積)TFA;0.0〜0.2分:99:01;0.2〜3.8分:99:01→0:100;3.8〜4.2分:0:100;カラム:Chromolith Performance RP18e;長さ100mm、直径3mm;波長:220nm。
【0099】
分析用キラルHPLC
Agilent 1100シリーズ・システムで株式会社ダイセルのChiralPak AD-Hカラム(250×4.6mm)を用いて分析用キラルHPLCを実施した。この方法では、100%メタノールからなる5.0μlの注入体積を1ml/分の流速にして25℃で15分間使用し、UV検出を254nmと280nmで実施した。
【0100】
分離用HPLC
Waters Atlantis dC18 OBD(登録商標)10μM(30×250mm)カラム、またはWaters Sunfire Prep C18 OBD 10μM(30×250mm)カラムを用いて分離用HPLCを実施した。カラムは、サンプル・ループ(10ml)とISCO UA-6 UV/Vis検出器を取り付けたWaters Prep LC 4000システムにおいて60ml/分の流速で使用した。移動相は、(A)水と(B)HPLCグレードのアセトニトリルを収容した2つの溶媒容器から引き出した。典型的な分離操作を線形勾配(例えば60分間かけて0%から60%の溶媒B)で実施した。
【実施例】
【0101】
以下に示す成功した実施例は、本発明の具体的な実施態様を示すことを目的としており、明細書または請求項の範囲を制限する意図はまったくない。成功したこれら実施例には、過剰増殖性疾患の治療に役に立つ複素環カルボキサミド化合物の調製に使用する試薬の合成と、その同じ複素環キナゾリンカルボキサミド化合物および複素環キノリンカルボキサミド化合物の両方が記載されている。
【0102】
中間体の調製
【0103】
【化16】
【0104】
中間体A:5-ブロモキナゾリン-8-カルボニトリル
【0105】
ステップ1:8-メチルキナゾリン-4(3H)-オン
2-アミノ-3-メチル安息香酸(100g、0.66モル)と、酢酸ホルムアミジン(206g、1.98モル)と、ホルムアミド(26ml、0.6600モル)を、機械式撹拌機を取り付けた2リットルのR.Bの中で混合した。この反応混合物を16時間にわたって160℃に加熱した。反応の完了をLCMSによってモニタした。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、2NのNaOH溶液(300ml)で希釈した。反応混合物を同じ温度で15分間撹拌した後、1.5NのHCl溶液で中和した。沈殿した固形物を濾過して取り出し、氷で冷やした水で洗浄し、真空下で乾燥させると、表題の化合物が灰白色の固形物として得られた(90g、収率86%)。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 12.21 (bs, 1H)、8.10 (s, 1H)、7.95-7.93 (dd, J = 8.8, 7.9 Hz, 1H)、7.65-7.63 (d, J = 7.9 Hz, 1H)、7.39-7.35 (t, J = 15.2 Hz, 1H)、2.51 (s, 3H)。
【0106】
ステップ2:4-クロロ-8-メチルキナゾリン
2リットルの丸底フラスコの中に窒素下でPOCl3(300ml)を入れた。これに8-メチルキナゾリン-4(3H)-オン(45g)を数回に分けて添加した。この反応混合物を120℃で12時間還流させた。反応の完了をTLCとLCMSによってモニタした。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で蒸発させて乾燥させた。得られた残留物をDCM(500ml)に溶かし、氷で冷やした飽和K2CO3溶液を常に撹拌している中に入れてゆっくりと冷やした。次に、有機層を分離し、ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮すると、表題の化合物が黄色の固形物として得られた(45g、収率90%)。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 9.03 (s, 1H)、8.08-8.06 (dd, J = 8.9, 8.4 Hz, 1H)、7.77-7.76 (d, J = 7.1 Hz, 1H)、7.59-7.56 (d, J = 15.5 Hz, 1H)、2.75 (s, 3H)。
【0107】
ステップ3:8-メチルキナゾリン
4-クロロ-8-メチルキナゾリン(45g、0.252モル)をDCM(700ml)に溶かした溶液をN2下で撹拌している中に、p-トルエンスルホニルヒドラジド(65.9g、0.353モル)を数回に分けて添加した。この反応混合物を12時間にわたって45℃に加熱した。反応の完了をLCMSとTLCによってモニタした。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させて乾燥させ、得られた残留物を再びEtOH(500ml)に溶かし、2NのNaOH溶液(300ml)を添加し、6時間にわたって還流させた。LCMSによって確認した後、反応混合物を室温まで冷却し、MTBE(3×600ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。得られた残留物を、中和したシリカゲル(60〜120メッシュ)と、溶離液としての石油エーテル/酢酸エチルを用いたカラム・クロマトグラフィで濾過すると、表題の化合物が低融点の黄色の固形物として得られた(15g、収率27%)。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 9.54 (s, 1H)、9.31 (s, 1H)、7.97-7.94 (dd, J = 8.8, 8.1 Hz, 1H)、7.87-7.84 (m, 1H)、7.65-7.62 (d, J = 15.2 Hz, 1H)、2.67 (s, 3H)。
【0108】
ステップ4:5-ブロモ-8-メチルキナゾリン
8-メチルキナゾリン(10g、0.0694モル)を濃H2SO4(100ml)に溶かした溶液に0℃で硫酸銀(34.64g、0.1111モル)を数回に分けて添加した。これにブロミン(4.4ml、0.0832モル)を液滴にして添加した。この反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応を定期的にLCMSによってモニタした。16時間後、LCMSにより、出発材料が42%、生成物が51%であることがわかった。氷を用いてこの反応混合物を冷やし、NH4OH溶液を用いて塩基化した。水層をEtOAc(4×500ml)で抽出し、水とブライン溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を、中和したシリカゲル(60〜120メッシュ)と、溶離液としての石油エーテル/酢酸エチルを用いたカラム・クロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物が淡い黄色の液体として得られた(収率51%)。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 9.60-9.58 (s, 1H)、9.40-9.38 (s, 1H)、7.93-7.91 (d, J = 7.72 Hz, 1H)、7.77-7.75 (d, J = 7.72 Hz, 1H)、2.62 (s, 3H)。
【0109】
ステップ5:5-ブロモ-8-(ジブロモメチル)キナゾリン
5-ブロモ-8-メチルキナゾリン(46g、0.206モル)をCCl4(800ml)に溶かした溶液をN2下で撹拌している中に、室温でN-ブロモスクシンイミド(80.4g、0.451モル)を添加した後、AIBN(6.74g、0.041モル)を添加した。次に、この反応混合物を12時間にわたって90℃に加熱した。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、濾過して取り出し、CCl4で洗浄した。濾液を濃縮して乾燥させると、表題の化合物が黄色の液体として得られた(61g)。この粗生成物を精製せずにそのまま次のステップで使用した。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 9.73 (s, 1H)、9.53 (s, 1H)、8.45-8.43 (d, J = 8.04 Hz, 1H)、8.22-8.20 (d, J = 8.04 Hz, 1H)、8.02 (s, 1H)。
【0110】
ステップ6:5-ブロモキナゾリン-8-カルバルデヒド
5-ブロモ-8-(ジブロモメチル)キナゾリン(61g、粗混合物)をアセトン(500ml)と水(100ml)に溶かした溶液を撹拌している中に、0℃で硝酸銀(61g)を数回に分けて添加した。この反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。反応混合物を濾過して取り出し、濾液を酢酸エチル(3×500ml)で抽出した。有機層を10%NaHCO3溶液と水とブライン溶液で洗浄した。溶媒をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮し、HPLC(56%)を実施すると粗生成物が得られた(25g、65%)。その粗生成物に対する分離用HPLCの条件:カラム:Xterra, C18(19×300mm), 10ミクロン、移動相:0.1%TFA;B:MeOHで化合物を分離。得られた固形物をNH4OHで塩基化し、EtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄した。溶媒をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮すると、表題の化合物が淡い黄色の固形物として得られた(6.2g)。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) 11.14 (s, 1H)、9.80 (s, 1H)、9.58 (s, 1H)、8.30-8.27 (d, J = 12.3 Hz, 2H)。
【0111】
ステップ7:5-ブロモ-キナゾリン-8-カルバルデヒドオキシム
5-ブロモキナゾリン-8-カルバルデヒド(2400.00mg;10.12ミリモル;1.00当量)をアセトニトリル(10ml)に溶かした懸濁液にヒドロキシルアミン塩化水素(773.90mg;11.14ミリモル;1.10当量)を添加した後、トリエチルアミン(1.57ml;11.14ミリモル;1.10当量)を添加した。この反応混合物を100℃で1時間撹拌した。LCMSによってMS 270/272 (M+18)であることがわかった。この混合物を冷却し、濾過し、エーテルで洗浄し、生成物である5-ブロモ-キナゾリン-8-カルバルデヒドオキシムを3000mg回収した(収率117%)(1H NMRにより、1当量のトリエチルアミンHCl塩が含まれていることがわかった)。
【0112】
ステップ8:5-ブロモキナゾリン-8-カルボニトリル
5-ブロモ-キナゾリン-8-カルバルデヒドオキシム(3000.00mg;11.90ミリモル;1.00当量)をDMF(15ml)に溶かした溶液に、2,4,6-トリプロピル-[1,3,5,2,4,6]トリオキサトリホスフィナン 2,4,6-トリオキシド(10.42ml;17.85ミリモル;1.50当量)を50%含むDMFを添加した。得られた混合物を100℃で45分間撹拌した。LCMSでは大きなピーク(MS:252/254、234/236)と小さなピーク(MS:208/209)が見られた。この反応混合物を冷却し、水の中に注ぎ、EtOAcで抽出し、乾燥させ、濃縮すると、ネバネバした固形物が得られた。それをエーテルで洗浄し、表題の生成物を回収した(1665mg、収率59.6%)。LC-MS(232/234と250/252)。
【0113】
【化17】
【0114】
中間体B:5-ブロモキノリン-8-カルボン酸メチル
【0115】
ステップ1:5-ブロモ-8-メチルキノリン
8-メチルキノリン(30g、0.209モル)を濃H2SO4(300ml)に溶かした溶液に、0℃で硫酸銀(97.98g、0.314モル)をいくつかのロットに分けて添加した後、ブロミン(10.74ml、0.209モル)を一滴ずつ10分間かけて添加した。ブロミンの添加後、反応混合物を室温で4時間撹拌し、反応の完了をTLCによって確認した、反応の完了後、氷を用いて反応混合物を冷やし、NH4OH溶液を用いて塩基化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブライン溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、濃い茶色の液体が得られた(43g、収率92.4%)。この粗生成物をさらに精製せずにそのまま次のステップで使用した。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ 8.97-8.96 (dd, J=4.16, 5.8 Hz, 1H)、8.45-8.42 (dd, J=8.56, 10.2 Hz, 1H)、7.81-7.79 (d, J=7.68 Hz, 1H)、7.67-7.64 (dd, J~8.52, 12.64 Hz, 1H)、7.53-7.51 (dd, J=7.64, 8.52 Hz, 1H)、2.66(s, 3H)。
【0116】
ステップ2:5-ブロモ-8-(ジブロモメチル)キノリン
5-ブロモ-8-メチルキノリン(86g、0.387モル)をCCl4(700ml)に溶かした溶液に室温でN-ブロモスクシンアミド(144g、0.813モル)を添加した後、過酸化ベンゾイル(8.6g)を添加し、得られた反応混合物を12時間にわたって90℃に加熱した。反応の完了をTLCによって確認した。反応の完了後、反応混合物を濾過し、濃縮すると、淡いオレンジ色の固形物が得られた(140g、収率95%)。この粗生成物をさらに精製せずにそのまま次のステップで使用した。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ 9.1-9.08 (dd, J=4.16, 5.8 Hz, 1H)、8.59-8.57 (dd, J=8.56, 10.2 Hz, 1H)、8.25-8.23 (d, J=8.04 Hz, 1H)、8.16-8.11 (t, J=19.08 Hz, 2H)、7.82-7.79 (dd, J=8.6, 12.8 Hz, 1H)。
【0117】
ステップ3:5-ブロモキノリン-8-カルバルデヒド
2:5-ブロモ-8-(ジブロモメチル) キノリン(75g、0.197モル)をアセトン(400ml)と水(100ml)に溶かした溶液に、0℃で硝酸銀(75g)をいくつかのロットに分けて10分間かけて添加し、この反応混合物を室温で6時間にわたって撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。反応の完了後、反応混合物を濾過し、濾液をMTBE(1000ml)で抽出した。有機層を10%NaHCO3水溶液と水とブラインで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物が灰白色の固形物として得られた(15g、収率32%)。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ 11.272-11.27 (s, 1H)、9.17-9.15 (dd, J = 4.2, 5.8 Hz, 1H)、8.64-8.62 (dd, J = 8.6, 10.3 Hz, 1H)、8.17-8.15 (d, J=7.84 Hz, 1H)、8.09-8.07 (d, J=7.88 Hz, 1H)、7.85-7.82 (dd, J= 8.64, 12.84 Hz, 1H)。
【0118】
ステップ4:5-ブロモキノリン-8-カルボン酸
5-ブロモキノリン-8-カルバルデヒド(10g、0.039モル)をTHF(300ml)に溶かした溶液にNaOH水溶液(30g)を添加した後、室温で硝酸銀(10.79g、0.0635モル)をいくつかのロットに分けて10分間かけて添加し、この反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。反応の完了後、反応混合物を濾過した。黒い固形物をTHFとMeOHとDMF(それぞれ50ml)で洗浄した。(注:生成物はこれら溶媒のどれにも溶けなかった!! 濾液と洗浄液は廃棄した。)黒い固形物を乾燥させると表題の化合物が得られた(粗生成物30g)。この粗生成物を次のステップでそのまま使用した。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ 8.92-8.91 (dd, J=4.12, 5.8 Hz, 1H)、8.49 (s, 1H)、8.46-8.44 (dd, J=8.56, 10.2 Hz, 1H)、7.83-7.81 (dd, J=7.6 Hz, 1H)、7.63-7.6 (dd, J=8.52, 12.68 Hz, 1H)、7.46-7.44 (d, J=7.6 Hz, 1H)。
【0119】
ステップ5:5-ブロモキノリン-8-カルボン酸メチル
5-ブロモキノリン-8-カルボン酸(30g、0.119モル、粗)をDMF(400ml)に溶かした溶液に室温で炭酸カリウム(41.12g、0.297モル)とMeI(22.3ml、0.357モル)を添加した。この反応混合物を室温で12時間撹拌し、反応の完了をTLCによって確認した。反応の完了後、反応混合物を濾過し、蒸発させた。10%NaHCO3を用いて反応混合物を塩基化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物が茶色の液体として得られた(4.6g)。LCMS:質量測定値(M+, 268)。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz): δ 9.04-9.02 (dd, J=3.92, 5.68 Hz, 1H)、8.58-8.56 (m, 1H)、8.05-8.03 (d, J=7.72 Hz, 1H)、7.87-7.86 (d, J=7.76 Hz, 1H)、7.78-7.75 (dd, J=8.6, 12.8 Hz, 1H)、3.91 (s, 3H)。
【0120】
中間体Cの代表的な合成(スキーム4)
【0121】
【化18】
【0122】
3-アミノ4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)
ステップ1:1-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-2-ニトロ-エタノール
3-フルオロメトキシベンズアルデヒド(21.37ml;201.43ミリモル;1.00当量)とニトロメタン(13.06ml;241.71ミリモル;1.20当量)をMeOH(40ml)に溶かした溶液を-10℃まで冷却した。NaOH(8.46g;211.50ミリモル;1.05当量)をH2O(20ml)に溶かした溶液を10分間かけて添加し、-5℃よりも低い温度に維持した。この反応混合物を-5℃で15分間撹拌すると、その間に反応溶液が固化して白色の固形物になった。この反応混合物を0℃まで温め、H2O(150ml)で希釈した。全固形物が溶けると、HCl(4M、100ml)を添加した。反応混合物をDCM(300ml×2)で抽出した。1つにまとめた抽出液をブラインで洗浄し、濃縮すると、望む1-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-2-ニトロ-エタノールが得られた(34.8g、収率93%)。
【0123】
ステップ2:1-トリフルオロメトキシ-3-((E)-2-ニトロ-ビニル)-ベンゼン
1-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-2-ニトロ-エタノール(34.80g;187.95ミリモル)を無水酢酸(35.53ml;375.90ミリモル)に溶かした溶液に0℃でN,N-ジメチルピリジン-4-アミン(2.30g;18.80ミリモル)を添加し、室温で72時間撹拌した。激しく撹拌している飽和NaHCO3溶液(400ml)の中にこの反応溶液を注いで冷やした。望む中間体を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出液を飽和NaHCO3とブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮すると、望む1-トリフルオロメトキシ-3-((E)-2-ニトロ-ビニル)-ベンゼンが得られた(26.0g、収率83%)。
【0124】
ステップ3:トランス-1-ベンジル-3-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-4-ニトロ-ピロリジン
1-トリフルオロメトキシ-3-((E)-2-ニトロ-ビニル)-ベンゼン(6.00g;35.90ミリモル)をDCM(50ml)に溶かした溶液にN-ベンジル-1-メトキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]メタンアミンを添加した。この反応溶液を0℃まで冷却し、TFA(0.30ml;3.95ミリモル)を一滴ずつ添加し、室温で一晩撹拌した。この反応溶液をH2Oとブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗材料を、5%のEtOAcを含むヘキサンを用いて溶離させるバイオテージ(340gカラム)で精製すると、望む生成物が得られた(5.5g、収率51%)。
【0125】
ステップ4:トランス-1-ベンジル-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-3-イルアミン
トランス-1-ベンジル-3-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-4-ニトロピロリジン(5.50g;18.31ミリモル)をMeOH(300ml)に溶かした。NH3(30ml、MeOH中に2.0M)を添加し、Hキューブ(流速1.5ml/分、完全にH2、50℃)にこの溶液を通した。反応溶液を濃縮すると、トランス-1-ベンジル-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-3-イルアミンが得られた(4.6g、収率92%)。
【0126】
ステップ5:[トランス-1-ベンジル-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-3-イル]-カルバミン酸2-(トリメチルシリル)エチル
トランス-1-ベンジル-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジニル-3-アミン(4.5g;16.87ミリモル)とDIEA(4.5ml;25.30ミリモル)をDCM(50ml)に溶かした溶液に0℃で1-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}オキシ)ピロリジン-2,5-ジオン(4.5g;17.37ミリモル)を添加した。次に、この反応混合物を室温まで温め、室温で1時間撹拌した。この反応溶液をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗材料をバイオテージにより勾配が30〜60%のEtOAcを含むヘキサンを用いて溶離させて精製すると、表題の化合物が得られた(6.0g、収率99%)。
【0127】
ステップ6:[トランス-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-3-イル]-カルバミン酸2-(トリメチルシリル)エチル
[トランス-ベンジル-4-(3-トリフルオロメトキシフェニル)ピロリジン-3-イル]-カルバミン酸2-(トリメチルシリル)エチル(2.50g;6.03ミリモル)をEtOH(150ml)に溶かした溶液にAcOH(2ml)を添加した。次にPd/C(1.25g、湿潤、10%Pd)を添加し、得られた反応混合物をパー・シェイカー(60Psi)の上に載せ、2時間にわたって反応させた。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮すると、表題の化合物が得られた(1.96g、かなりの収率)。
【0128】
ステップ7:トランス-3-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-4-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル
[トランス-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-3-イル]-カルバミン酸2-(トリメチルシリル)エチル(1.80g;5.55ミリモル)とDIEA(2.2ml;12.26ミリモル)をDCM(100ml)に溶かした溶液にジ炭酸ジ-t-ブチル(1.27g;5.82ミリモル)を添加し、室温で一晩撹拌した。この反応混合物を濃縮し、粗生成物をバイオテージにより勾配が20〜60%のEtOAcを含むヘキサンを用いて溶離させて精製すると、表題の化合物が得られた(2.0g、収率85%)。
【0129】
ステップ8:3-アミノ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)
トランス-3-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-4-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(2.4g;5.76ミリモル)とN,N,N-トリブチルブタン-1-アミニウムフルオリド(20.00ml;1.00M;20.00ミリモル)をMeOHに溶かし、室温で一晩撹拌した。粗生成物をバイオテージにより勾配が5〜10%のMeOHを含むDCMを用いて溶離させて精製すると、表題の化合物が得られた(1.61g、収率79%)。LC-MS (M+H=346、観測値=347)。1HNMR (DMSO-d6) δ 1.39(s, 9H)、1.55 (s, 1H)、2.90-2.99 (m, 2H)、3.24-3.26(m, 1H)、3.33-3.37 (m, 1H)、3.55-3.57 (m, 1H)、3.60-3.68 (m, 1H)、3.70-3.72 (m, 1H)、7.05-7.06 (m, 1H)、7.13-7.15 (m, 2H)、7.35-7.36 (m, 1H)。
【0130】
中間体Dの代表的な合成(スキーム6)
【0131】
【化19】
【0132】
((3-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-3-イル)メチル)カルバミン酸ベンジル(ラセミ)
ステップ1:3-((((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)メチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)-カルボニル)ピペリジン-3-カルボン酸
3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-ピペリジン-3-カルボン酸ヒドロクロリド(2000.00mg;6.08ミリモル;1.00当量)を含むDME(60ml)にDIEA(3.82ml;21.29ミリモル;3.50当量)を添加した。15分間撹拌した後、3-トリメチルシラニル-プロピオン酸2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルエステル(1628.18mg;6.69ミリモル;1.10当量)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した、この反応溶液にDMEをさらに50ml添加した後、1%クエン酸とブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、残留物がクリーンな塊の表題の化合物として出現した(2462mg、収率85%)。それを次のステップの反応で直接使用した。
【0133】
ステップ2:3-((((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)メチル)-3-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボン酸2-(トリメチルシリル)エチル
3-((((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)メチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)-カルボニル)ピペリジン-3-カルボン酸(2462.00mg;5.64ミリモル;1.00当量)をDCE(4.0ml)に溶かした溶液にビス(2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル)ホスフィンクロリド(1435.59mg;5.64ミリモル;1.00当量)を添加した。室温で15分間撹拌した後、DIEA(1.52ml;8.46ミリモル;1.50当量)とフェニルアミン(525.18mg;5.64ミリモル;1.00当量)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物にDCMを50ml添加し、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物を精製するためSNAPカラム(100g)に装填し、20〜50%EtOAcを含むヘキサンで溶離させると、表題の化合物が得られた(2600mg、収率90.1%)。
【0134】
ステップ3:((3-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-3-イル)メチル)カルバミン酸ベンジル
反応混合物として3-((((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)メチル)-3-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボン酸2-(トリメチルシリル)エチル(1200.00mg;2.35ミリモル;1.00当量)とTBAF(10.00ml;9.38ミリモル;4.00当量)を含むTHFを室温で一晩撹拌した。粗生成物を分離用HPLCで精製すると、表題の化合物が得られた(600mg、69.6%)。
【0135】
中間体Eの代表的な合成(スキーム5)
【0136】
【化20】
【0137】
3-アミノメチル-3-フェニルカルバモイル-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ラセミ)
ステップ1:3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸1-t-ブチルエステル
反応混合物として3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-ピロリジン-3-カルボン酸ヒドロクロリド(2000.00mg;6.35ミリモル;1.00当量)とジ炭酸ジ-t-ブチル(1.77ml;8.26ミリモル;1.30当量)をt-BuOH(25.00ml)に懸濁させた後、2NのNaOH水溶液(3.97ml;7.94ミリモル;1.25当量)で処理した。この反応混合物を2時間かけて75℃まで加熱した(ただちに発泡が観察された)。この反応混合物を濃縮した。残留物をEtOAc(100ml)に溶かし、水とブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮して乾燥させると、3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸1-t-ブチルエステルが得られた(2200mg、89.4%)。
【0138】
ステップ2:1:3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-3-フェニルカルバモイル-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル
3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸1-t-ブチルエステル(2200.00mg;5.81ミリモル;1.00等量)をDCE(40.0ml)に溶かした溶液にビス(2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル)ホスフィンクロリド(1627.95mg;6.40ミリモル;1.10当量)を添加した。15分間撹拌した後、DIEA(1.25ml;6.98ミリモル;1.20当量)とフェニルアミン(595.55mg;6.40ミリモル;1.10当量)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。DCM(100ml)を添加した。この溶液をブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られた。それを精製するためバイオテージ(20〜50%EtOAcを含むヘキサン)を実施すると表題の化合物が得られた(1800mg、68.3%)。
【0139】
ステップ3:3-アミノメチル-3-フェニルカルバモイル-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル
3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ-メチル)-3-フェニルカルバモイル-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル(1200.00mg;2.65ミリモル;1.00当量)を含む30mlのメタノールにギ酸アンモニウム(1688.40mg;26.46ミリモル;10.00当量)と10%Pd/C(湿潤)1.2gを添加した。この混合物を65℃で1時間撹拌した後、濾過した。濾液を濃縮すると粗生成物が得られた。それをDCMに溶かし、5%NaHCO3とブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物が得られた(820mg、97%)。
【0140】
中間体Fの代表的な合成(スキーム3)
【0141】
【化21】
【0142】
3-アミノ-4-((3-フルオロフェニル)カルバモイル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ラセミ)
ステップ1:4-(2-トリメチルシラニル-エトキシカルボニルアミノ)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸1-t-ブチルエステル3-エチルエステル
反応混合物として4-(2-トリメチルシラニル-エトキシカルボニルアミノ)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸1-t-ブチルエステル3-エチルエステル(4443.00mg;11.04ミリモル;1.00当量)とLiOH・H2O(1389.45mg;33.11ミリモル;3.00当量)を含む水(16.50ml)とMeOH(16.50ml)を45℃で一晩撹拌した。溶媒の一部を除去した後、混合物をDCMで抽出し、5%クエン酸で、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物として明るい黄色の油が得られた(3200mg、77.4%)。
【0143】
ステップ2:3-(3-フルオロ-フェニルカルバモイル)-4-(2-トリメチルシラニル-エトキシカルボニルアミノ)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル
4-(2-トリメチルシラニル-エトキシカルボニルアミノ)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸1-t-ブチルエステル(3200.00mg;8.54ミリモル;1.00当量)をDCE(40.0ml)に溶かした溶液にビス(2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル)ホスフィンクロリド(2392.68mg;9.40ミリモル;1.10当量)を添加した。15分間撹拌した後、DIEA(1.69ml;9.40ミリモル;1.10当量)と3-フルオロ-フェニルアミン(1044.40mg;9.40ミリモル;1.10当量)を添加した。この反応混合物を45℃で一晩撹拌した。この反応溶液をEtOAcで希釈し、洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られた。それを精製するためSNAP(100g)カラム(20〜50%EtOAcを含むヘキサンで溶離)に装填すると、表題の化合物が得られた(1700mg、42.5%)。
【0144】
ステップ3:3-アミノ-4-(3-フルオロ-フェニルカルバモイル)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル
3-(3-フルオロ-フェニルカルバモイル)-4-(2-トリメチルシラニル-エトキシカルボニルアミノ)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル(1700.00mg;3.64ミリモル;1.00当量)にTBAF(2851.67mg;10.91ミリモル;3.00当量)(11mlのTHFの中に1.0M)を添加した。得られた混合物を一晩撹拌した。この反応混合物を水の中に注ぎ、ブラインで洗浄した後、5%NaHCO3とブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られた。それをエーテル(5ml)に添加した。沈殿した白色固形物を濾過すると表題の化合物が得られた(710mg、60.4%)。
【0145】
中間体Gの代表的な合成(スキーム7)
【0146】
【化22】
【0147】
N-(3,4-ジクロロベンジル)ピロリジン-3-アミン(ラセミ)
ステップ1:3-((3,4-ジクロロベンジル)アミノ)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル
3-アミノピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(1.5g;8.05ミリモル;1.00当量)と3,4-ジクロロベンズアルデヒド(1339.00mg;7.65ミリモル;0.95当量)をメタノール(10.00ml)と酢酸(1.00ml)に溶かした溶液を周囲温度で30分間撹拌した後、シアノホウ水素化ナトリウム(9.66ml;9.66ミリモル;1.20当量)を添加した。この反応混合物を周囲温度でさらに12時間撹拌し、その時点でアンモニア水(30ml)の中に注いで反応を停止させた。得られた無機沈殿物を濾過して取り出し、ジクロロメタン(50ml)で洗浄した。有機層を分離し、残った水層をジクロロメタン(50ml×3)で抽出した。1つにまとめた有機抽出液をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られた油を、シリコン・カラムとヘキサン中の酢酸エチル勾配を用いたフラッシュ・クロマトグラフィで精製すると、望む中間体である3-((3,4-ジクロロベンジル)アミノ)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルが、明るい粘性のある油として得られる(2.47g;7.16ミリモル;88.9%)。LC-MS (M+H=346、観測値=288 (M-57))。
【0148】
ステップ2:N-(3,4-ジクロロベンジル)ピロリジン-3-アミン
3-((3,4-ジクロロベンジル)アミノ)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(100mg;0.29ミリモル;1.00当量)をジクロロメタン(3ml)に溶かした溶液にトリフルオロ酢酸(0.04ml;0.58ミリモル;2.00当量)を添加する。反応フラスコにアルゴン導入口を取り付け、反応が完了すると思われるまで撹拌し、TLC(メタノールを10%含むジクロロメタン)によって確認する。反応が完了すると、溶液を真空中で濃縮して乾燥残留物にし、ジクロロメタンとともに取り出し、濃縮する(×3)と、望む中間体GがTFA塩としてかなりの収率で得られる。LC-MS (M+H=246、観測値=246)。
【0149】
一般式(I)に従う化合物の例
【0150】
【化23】
【0151】
実施例1 5-((4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
ステップ1:3-((8-シアノ-キナゾリン-5-イル)アミノ)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)
反応混合物として中間体A(100.00mg;0.43ミリモル;1.00当量)と、3-アミノ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)(155.38mg;0.45ミリモル;1.05当量)と、DIEA(0.15ml;0.85ミリモル;2.00当量)を含むNMP(2ml)を120℃で一晩撹拌した。この反応混合物を分離用HPLCで精製すると表題の化合物が得られた(120mg、56.8%)。
【0152】
ステップ2:3-((8-カルバモイルキナゾリン-5-イル)アミノ)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)
3-(8-シアノ-キナゾリン-5-イルアミノ)-4-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(100.00mg;0.20ミリモル;1.00当量)を、2.0MのNaOH水溶液(1ml;2.00ミリモル;10.00当量)と35%H2O2水溶液(0.19ml;2.00ミリモル;10.00当量)を含むDMSO(8ml)とともに40℃で一晩撹拌した。粗生成物をHPLCで精製すると表題の化合物が得られた(58mg、56.0%)。
【0153】
ステップ3:5-((4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
3-((8-カルバモイルキナゾリン-5-イル)アミノ)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)58.0mgを、1mlのメタノールと1mlの4.0M HClを含むジオキサンに添加した。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を除去すると粗生成物が得られた。それをアセトニトリルで処理すると実施例1(42mg)がHCl塩として得られた。LC-MS (M+H=418、観測値=418)。1HNMR: (DMSO) δ 10.12(s, 1H)、9.80 (s, 1H)、9.67 (s, 1H)、9.32 (1s, 1H)、8.49-8.51 (d, 2H)、8.05-8.07 (d, 1H)、7.67-7.70(d, 2H)、7.38-7.40(d, 2H)、6.72-6.7 (d, 1H)、4.65 (t, 1H)、3.77-3.81 (m, 3H)、3.35-3.40(m, 1H)、3.15-3.25(m, 1H)、3.20(s, 1H)。
P70S6K IC50:23 nM
【0154】
【化24】
【0155】
実施例2 5-((4-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=386、観測値=386/388)。
P70S6K IC50:160 nM
【0156】
【化25】
【0157】
実施例3 5-((4-フェニルピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-フェニルピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=348、観測値=348)。
P70S6K IC50:4.1 nM
【0158】
【化26】
【0159】
実施例4
5-((4-(3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-(3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=434、観測値=434)。1HNMR: (DMSO) δ 9.85 (s, 1H)、9.20 (s, 1H)、9.24-9.26 (d, 2H)、8.50-8.52 (d, 1H)、7.73-7.75 (m, 1H)、7.47-7.49(d, 1H)、7.29-7.30 (d, 1H)、6.88-6.90 (d, 1H)、4.50-4.55 (d, 1H)、3.58-3.60 (m, 1H)、3.46-3.49 (m, 1H)、3.35-3.40 (m, 2H)、3.12-3.14(m, 1H)、2.80-2.84 (m, 1H)、2.30-2.35 (m, 1H)。
P70S6K IC50:5.9 nM
【0160】
【化27】
【0161】
実施例5 5-(((3R)-4-(3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例4の鏡像異性体の1つであり、絶対配置は未知)
表題の化合物を実施例4のキラル・クロマトグラフィによって単離した。LC-MS (M+H=434、観測値=434)。
P70S6K IC50:9.9 nM
【0162】
【化28】
【0163】
実施例6 5-(((3S,4S)-4-(3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例4の第2の鏡像異性体であり、絶対配置は未知)
表題の化合物を実施例4のキラル・クロマトグラフィによって単離した。LC-MS (M+H=434、観測値=434)。
P70S6K IC50:54 nM
【0164】
【化29】
【0165】
実施例7 (S)-5-((1-(3-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル)
反応混合物としてA(100.00mg;0.43ミリモル;1.00当量)と、N-[(S)-2-アミノ-2-(3-フルオロ-フェニル)-エチル]-4-ニトロ-ベンゼンスルホンアミド(152.24mg;0.45ミリモル;1.05当量)と、DIEA(0.15ml;0.85ミリモル;2.00当量)を含むNMP(1ml)を120℃で一晩撹拌した。この反応溶液を冷却した後、水の中に注ぎ、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られた。それをSNAPカラム(25g、20〜80%のEtOAcを含むヘキサンで溶離)に装填すると、N-[(S)-2-(8-シアノ-キナゾリン-5-イルアミノ)-2-(3-フルオロ-フェニル)-エチル]-N-メチル-4-ニトロ-ベンゼンスルホンアミドが得られた(120mg)。
【0166】
N-[(S)-2-(8-シアノ-キナゾリン-5-イルアミノ)-2-(3-フルオロ-フェニル)-エチル]-N-メチル-4-ニトロ-ベンゼンスルホンアミド(120.00mg;0.24ミリモル;1.00当量)をDMSO(8ml)に溶かした溶液を撹拌している中に2.0MのNaOH水溶液(0.59ml;1.18ミリモル;5.00当量)と35%過酸化水素水(0.14ml;1.42ミリモル;6.00当量)を添加し、40℃で撹拌を一晩継続した。粗生成物を分離用HPLCによって精製すると、望む生成物が得られた。それにアセトニトリル(2ml)とチオフェノール(0.1ml)とCsCO3(200mg)を添加し、40℃で一晩撹拌した。粗生成物を分離用HPLCで精製すると表題の生成物が得られた。LC-MS (M+H=434、観測値=434)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0167】
【化30】
【0168】
実施例8 5-(4-(2-アミノ-1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)ピペラジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例7の調製について記載した手続きに従い、4-ニトロ-N-(2-(ピペラジン-1-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)ベンゼンスルホンアミドとカップリングさせた後、加水分解し、保護基を外すことによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=445、観測値=445)。
P70S6K IC50:210 nM
【0169】
【化31】
【0170】
実施例9 5-(3-アミノ-3-((2,4-ジフルオロベンズアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-((3-アミノピロリジン-3-イル)メチル)-2,4-ジフルオロベンズアミドとカップリングさせた後、ニトリルの加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=427、観測値=427)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0171】
【化32】
【0172】
実施例10 5-(3-アミノ-3-((4-フルオロ-2-ヒドロキシベンズアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例9の合成から副生成物として表題の化合物が単離された。LC-MS (M+H=425、観測値=425)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0173】
【化33】
【0174】
実施例11 5-(3-(アミノメチル)-3-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、((3-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-3-イル)メチル)カルバミン酸ベンジルとカップリングさせた後、加水分解し、保護基を外すことによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=404、観測値=405)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0175】
【化34】
【0176】
実施例12 5-(((3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-3-イル)メチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-(アミノメチル)-3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=390、観測値=391)。
P70S6K IC50:650 nM
【0177】
【化35】
【0178】
実施例13 5-((4-((3-フルオロフェニル)カルバモイル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-((3-フルオロフェニル)カルバモイル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=395、観測値=395)。
P70S6K IC50:290 nM
【0179】
【化36】
【0180】
実施例14 5-(((4-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-4-イル)メチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、4-(アミノメチル)-4-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボン酸2-(トリメチルシリル)エチル(ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=404、観測値=405)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0181】
【化37】
【0182】
実施例15 5-(3-アミノ-3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、(3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-3-イル)カルバミン酸t-ブチル(ラセミ)とカップリングさせることによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=377、観測値=377)。
P70S6K IC50:2300 nM
【0183】
【化38】
【0184】
実施例16 (S)-5-((1-(3-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(キラル)
反応混合物として5-ブロモ-キノリン-8-カルボン酸メチルエステル(600.00mg;2.25ミリモル;1.00当量)と、N-[(S)-2-アミノ-2-(3-フルオロ-フェニル)-エチル]-N-メチル-4-ニトロ-ベンゼンスルホンアミド(876.48mg;2.48ミリモル;1.10当量)と、リン酸三カリウム(957.26mg;4.51ミリモル;2.00当量)と、ジシクロヘキシル-(2’,4’,6’-トリイソプロピル-ビフェニル-2-イル)-ホスファン(214.9mg;0.45ミリモル;0.20当量)と、酢酸パラジウム(+2)(50.62mg;0.23ミリモル;0.10当量)と、トルエン(5ml)をマイクロ波管の中で100℃にて一晩撹拌した。粗生成物を分離用HPLC(塩基性条件)によって精製すると、(S)-5-{1-(3-フルオロ-フェニル)-2-[メチル-(4-ニトロ-ベンゼンスルホニル)-アミノ]-エチルアミノ}-キノリン-8-カルボン酸メチルエステルが得られた(250mg)。LC-MS (M+H=339、観測値=339)。
【0185】
上記のメチルエステル(250.00mg;0.46ミリモル;1.00当量)を7.0Mのアンモニアを含むMeOH(15.00ml)に添加し、50℃で5日間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、分離用HPLCによって精製すると、(S)-5-{1-(3-フルオロ-フェニル)-2-[メチル-(4-ニトロ-ベンゼンスルホニル)-アミノ]-エチルアミノ}-キノリン-8-カルボキサミドが得られた。それをアセトニトリル(5ml)に溶かし、ベンゼンチオール(204.58mg;1.86ミリモル;4.00当量)とCs2CO3(605.00mg;1.86ミリモル;4.00当量)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。ワークアップの後、残留物を分離用HPLCによって精製すると、実施例16が得られた(30mg、19%)。LC-MS (M+H=339、観測値=339)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0186】
【化39】
【0187】
実施例17 5-((4-(キノリン-7-イル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(トランス、ラセミ)
実施例16の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-(キノリン-7-イル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせた5-ブロモキナゾリン-8-カルボン酸メチルを用い、NH3を含むMeOHでこのメチルエステルをアミドに変換した後、N-Boc保護を外すことによって表題の化合物を合成して実施例17を得た。LC-MS (M+H=384、観測値=384)。
P70S6K IC50:190 nM
【0188】
【化40】
【0189】
実施例18 5-(3-フェニルピペラジン-1-イル)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例16の調製について記載した手続きに従い、2-フェニルピペラジン-1-カルボン酸t-ブチルとカップリングさせた5-ブロモキナゾリン-8-カルボン酸メチルを用い、NH3を含むMeOHでこのメチルエステルをアミドに変換した後、N-Boc保護を外すことによって表題の化合物を合成して実施例18を得た。LC-MS (M+H=333、観測値=333)。
P70S6K IC50:670 nM
【0190】
【化41】
【0191】
実施例19 5-((3-フェニルアゼチジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド
実施例16の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-3-フェニルアゼチジン-1-カルボン酸t-ブチル(ラセミ)とカップリングさせた5-ブロモキナゾリン-8-カルボン酸メチルを用い、NH3を含むMeOHでこのメチルエステルをアミドに変換した後、N-Boc保護を外すことによって表題の化合物を合成して実施例19を得た。LC-MS (M+H=319、観測値=319)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0192】
【化42】
【0193】
実施例20 5-(((3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-3-イル)メチル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例16の調製について記載した手続きに従い、3-(アミノメチル)-3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ラセミ)とカップリングさせた5-ブロモキナゾリン-8-カルボン酸メチルを用い、NH3を含むMeOHでこのメチルエステルをアミドに変換した後、N-Boc保護を外すことによって表題の化合物を合成して実施例20を得た。LC-MS (M+H=390、観測値=390)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0194】
【化43】
【0195】
実施例21 5-((4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ、トランス)
反応混合物として5-ブロモ-キノリン-8-カルボニトリル(200.00mg;0.86ミリモル;1.00当量)と、3-アミノ-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル(0.41ml;1.03ミリモル;1.20当量)(トランス、ラセミ)と、2-メチル-プロパン-2-オール酸ナトリウム(181.43mg;1.89ミリモル;2.20当量)と、ジシクロヘキシル-(2’,4’,6’-トリイソプロピル-ビフェニル-2-イル)-ホスファン(122.73mg;0.26ミリモル;0.30当量)を含むトルエン(5ml)をマイクロ波管の中で脱ガスした後、Pd2(dba)3(74.02mg;0.13ミリモル;0.15当量)を添加した。得られた混合物を室温で10分間撹拌し、100℃のマイクロ波の中に20分間置いた。この反応混合物を濃縮し、再びDMSOに溶かし、分離用HPLC(塩基性条件、70〜75%のアセトニトリルを含む水)によって精製すると、3-(8-シアノ-キノリン-5-イルアミノ)-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル(トランス、ラセミ)が得られた(150mg、35%)。
【0196】
反応混合物として3-(8-シアノ-キノリン-5-イルアミノ)-4-(3-トリフルオロメトキシ-フェニル)-ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル(トランス、ラセミ)(136.00mg;0.27ミリモル;1.00当量)を含む濃硫酸(2.00ml;37.52ミリモル;137.53当量)を1時間にわたって100℃に加熱した。この反応溶液を冷却し、砕いた氷に注いだ。固体水酸化ナトリウムを添加してpHを9に調節した。分離した油を分離用HPLCによって精製すると、実施例21が得られた(15mg)。LC-MS (M+H=417、観測値=417)。
P70S6K IC50:22 nM
【0197】
【化44】
【0198】
実施例22 5-(((4S)-4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例21の第1の鏡像異性体であり、絶対配置は未知)
実施例21のラセミ化合物のキラル・クロマトグラフィによって表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=417、観測値=417)。
P70S6K IC50:31 nM
【0199】
【化45】
【0200】
実施例23 5-(((3S,4R)-4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例21の第2の鏡像異性体であり、絶対配置は未知)
実施例21のラセミ化合物のキラル・クロマトグラフィによって表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=417、観測値=417)。1HNMR: (DMSO) δ 9.92 (s, 1H)、9.76 (s, 1H)、8.20-8.23 (d, 1H)、7.98-8.00(d, 1H)、7.30-7.32 (d, 1H)、7.25 (s, 1H)、7.15 (t, 1H)、6.80-6.82 (d, 1H)、4.60-4.63 (m, 1H)、3.80-3.90 (m, 2H)、3.65 (t, 1H)、3.30(t, 1H)、3.20-3.25 (m, 1H)。
P70S6K IC50:690 nM
【0201】
【化46】
【0202】
実施例24 5-((4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ、シス)
実施例21のラセミ化合物のキラル・クロマトグラフィによって表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=417、観測値=417)。
P70S6K IC50:23 nM
【0203】
【化47】
【0204】
実施例25 5-((4-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ、トランス)
実施例16の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせた5-ブロモキナゾリン-8-カルボン酸メチルを用い、NH3を含むMeOHでこのメチルエステルをアミドに変換した後、N-Boc保護を外すことによって表題の化合物を合成して実施例25を得た。LC-MS (M+H=365、観測値=365)。
P70S6K IC50:520 nM
【0205】
【化48】
【0206】
実施例26 5-(((4R)-4-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ、トランス)
実施例16の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-4-(3-クロロ-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(トランス、ラセミ)とカップリングさせた5-ブロモキナゾリン-8-カルボン酸メチルを用い、NH3を含むMeOHでこのメチルエステルをアミドに変換した後、N-Boc保護を外すことによって表題の化合物を合成して実施例26を得た。LC-MS (M+H=385、観測値=384/386)。
P70S6K IC50:350 nM
【0207】
【化49】
【0208】
実施例27 5-((4S)-4-(3-フルオロフェニル)ピロリジン-3-カルボキサミド)キノリン-8-カルボキサミド(キラル、絶対)
反応混合物として5-アミノ-キノリン-8-カルボニトリル(1000.00mg;4.29ミリモル;1.00当量)を含む硫酸(5.00ml;93.80ミリモル;21.86当量)を100℃で1時間撹拌した。次に、この反応混合物を冷却し、氷の中に注ぎ、2Nの水酸化ナトリウムで中和してpHを9にした。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させると、5-アミノキノリン-8-カルボキサミドが得られた(800mg、収率74.3%)。
【0209】
(3R,4S)-4-(3-フルオロ-フェニル)-ピロリジン-1,3-ジカルボン酸t-ブチル(125.00mg;0.40ミリモル;1.00当量)をDCE(4.0ml)に溶かした溶液にビス(2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル)ホスフィンクロリド(102.87mg;0.40ミリモル;1.00当量)を添加した。室温で15分間撹拌した後、DIEA(0.15ml;0.81ミリモル;2.00当量)と5-アミノキノリン-8-カルボキサミド(75.65mg;0.40ミリモル;1.00当量)を添加した。この反応混合物を60℃で一晩撹拌した。粗生成物を分離用HPLCによって精製すると、3-((8-カルバモイルキノリン-5-イル)カルバモイル)-4-(3-フルオロフェニル)ピロリジン-1-カルボン酸(4S)-t-ブチルが得られた。それを1mlの4.0M HClと1mlのメタノールに添加し、室温で3時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、中和してpHを7にし、分離用HPLCによって精製すると、実施例27が得られた。LC-MS (M+H=479、観測値=479)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0210】
【化50】
【0211】
実施例28 5-((4S)-4-フェニルピロリジン-2-カルボキサミド)キノリン-8-カルボキサミド(キラル、絶対)
実施例27の調製について記載した手続きに従い、(4S)-1-(t-ブトキシカルボニル)-4-フェニルピロリジン-2-カルボン酸とカップリングさせた5-アミノキノリン-8-カルボキサミドを用い、次いで保護基を外すことによって表題の化合物を合成して実施例28を得た。LC-MS (M+H=361、観測値=361)。
P70S6K IC50:578 nM
【0212】
【化51】
【0213】
実施例29 5-(2-アミノ-2-フェニルアセトアミド)キノリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例27の調製について記載した手続きに従い、2-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニル酢酸とカップリングさせた5-アミノキノリン-8-カルボキサミドを用い、次いで保護基を外すことによって表題の化合物を合成して実施例29を得た。LC-MS (M+H=321、観測値=321)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0214】
【化52】
【0215】
実施例30 5-((3S)-3-フェニルアゼチジン-2-カルボキサミド)キノリン-8-カルボキサミド(キラル、絶対)
実施例27の調製について記載した手続きに従い、(3S)-1-(t-ブトキシカルボニル)-3-フェニルアゼチジン-2-カルボン酸とカップリングさせた5-アミノキノリン-8-カルボキサミドを用い、次いでBocを外すことによって表題の化合物を合成して実施例30を得た。LC-MS (M+H=347、観測値=347)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0216】
【化53】
【0217】
実施例31 5-(4-フルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
5-アミノキノリン-8-カルボキサミド(120mg、0,64ミリモル)を無水DMF(2ml)に溶かした溶液に4-フルオロベンジルブロミド(242.34mg、1.28ミリモル)と炭酸カリウム(531.56mg、3.85ミリモル)を添加した。この懸濁液を一晩50℃に加熱した。この混合物をMeOH(4ml)で希釈し、固形物を濾過した。粗生成物を逆相HPLCで精製すると実施例31が得られた(90mg)。LC-MS (M+H=296、観測値=296)。
P70S6K IC50:875 nM
【0218】
【化54】
【0219】
実施例32 5-(2-フルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=296、観測値=296)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0220】
【化55】
【0221】
実施例33 5-(3-フルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=296、観測値=296)。
P70S6K IC50:369 nM
【0222】
【化56】
【0223】
実施例34 5-(3-クロロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=312、観測値=312)。
P70S6K IC50:140 nM
【0224】
【化57】
【0225】
実施例35 5-(3,4-ジフルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=314、観測値=314)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0226】
【化58】
【0227】
実施例36 5-(3,4,5-トリフルオロベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=332、観測値=332)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0228】
【化59】
【0229】
実施例37 5-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=364、観測値=364)。
P70S6K IC50:695 nM
【0230】
【化60】
【0231】
実施例38 5-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルベンジルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=380、観測値=380)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0232】
【化61】
【0233】
実施例39 5-((1-フェニル-2-(ピロリジン-1-イル)エチル)アミノ-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=361、観測値=361)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0234】
【化62】
【0235】
実施例40 5-(フェニルエチルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=292、観測値=292)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0236】
【化63】
【0237】
実施例41 5-(フェニルプロピルアミノ)-キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=306、観測値=306)。
P70S6K IC50:>1000 nM
【0238】
【化64】
【0239】
実施例42 5-(ベンジルアミノ)キノリン-8-カルボキサミド
実施例31の調製について記載した手続きに従って表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=278、観測値=278)。
P70S6K IC50:680 nM
【0240】
【化65】
【0241】
実施例43 5-[3-アミノ-3-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]ピロリジン-1-イル]キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-N-(4-フルオロフェニル)ピロリジン-3-カルボキサミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=395、観測値=395)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 13.03 (s, 0H)、9.76 (d, J = 13.4 Hz, 2H)、9.24-9.17 (m, 1H), 8.54 (t, J = 9.2 Hz, 1H)、7.75 (dd, J = 9.0, 5.0 Hz, 2H)、7.55 (d, J = 4.1 Hz, 1H)、7.17 (dd, J = 16.2, 7.4 Hz, 2H)、6.88 (t, J = 8.2 Hz, 1H)、4.36-4.26 (m, 1H)、4.11 (dd, J = 16.7, 9.7 Hz, 1H)、3.68 (d, J = 10.4 Hz, 1H)、2.08 (t, J = 8.5 Hz, 1H)、1.45-1.18 (m, 1H)。
P70S6K IC50:1200 nM
【0242】
【化66】
【0243】
実施例44 5-(3-アミノ-3-((3,4-ジフルオロフェニル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-N-(3,4-ジフルオロフェニル)ピロリジン-3-カルボキサミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=413、観測値=413)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.79-9.71 (m, 2H)、9.21 (s, 1H)、8.56 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、7.93 (ddd, J = 13.3, 7.5, 2.5 Hz, 1H)、7.59-7.49 (m, 2H)、7.41 (dd, J = 19.7, 9.1 Hz, 1H)、6.89 (d, J = 9.0 Hz, 1H)、4.31 (d, J = 10.3 Hz, 1H)、4.10 (dd, J = 16.5, 9.7 Hz, 1H)、3.78 (t, J = 8.0 Hz, 1H)、3.68 (d, J = 10.3 Hz, 1H)、2.08 (t, J = 8.5 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:1300 nM
【0244】
【化67】
【0245】
実施例45 5-(3-アミノ-3-((3-フルオロフェニル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-N-(3-フルオロフェニル)ピロリジン-3-カルボキサミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=395、観測値=395)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 13.48 (s, 1H)、9.76 (d, J = 13.6 Hz, 2H)、9.21 (d, J = 6.6 Hz, 1H)、8.55 (t, J = 9.0 Hz, 1H)、7.74 (d, J = 11.4 Hz, 1H)、7.54 (dd, J = 28.9, 10.7 Hz, 2H)、7.42-7.26 (m, 1H)、7.19 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、6.96-6.76 (m, 2H)、5.22 (s, 1H)、4.31 (dd, J = 19.8, 11.2 Hz, 2H)、4.11 (s, 1H)、3.93-3.73 (m, 2H)、3.69 (d, J = 10.3 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:2000 nM
【0246】
【化68】
【0247】
実施例46 5-(3-アミノ-3-((4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-アミノ-N-(4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)-フェニル)ピロリジン-3-カルボキサミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=395、観測値=395)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.81-9.68 (m, 2H)、9.21 (d, J = 7.7 Hz, 1H)、8.56 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、8.27 (dd, J = 6.4, 2.6 Hz, 1H)、8.10-8.00 (m, 1H)、7.60-7.46 (m, 2H)、6.88 (t, J = 8.2 Hz, 1H)、4.32 (d, J = 10.4 Hz, 1H)、4.10 (dd, J = 16.7, 9.7 Hz, 1H)、3.79 (t, J = 8.0 Hz, 1H)、3.69 (d, J = 10.1 Hz, 1H)、2.11 (d, J = 5.1 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:270 nM
【0248】
【化69】
【0249】
実施例47 5-(3-(2-フェニルアセトアミド)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-フェニル-N-(ピロリジン-3-イル)アセトアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=376、観測値=376)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.75 (d, J = 9.8 Hz, 2H)、9.21 (d, J = 1.3 Hz, 1H)、8.59-8.52 (m, 1H)、8.43 (d, J = 6.3 Hz, 1H)、7.57 (s, 1H)、7.23 (td, J = 15.7, 8.0 Hz, 5H)、6.88 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、4.37 (s, 1H)、4.03 (dd, J = 10.2, 6.0 Hz, 1H)、3.85 (t, J = 8.5 Hz, 1H)、3.76 (s, 1H)、3.59-3.51 (m, 1H)、3.40 (s, 2H)、2.21 (dd, J = 12.6, 6.0 Hz, 1H)、2.00 (d, J = 5.3 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:7900 nM
【0250】
【化70】
【0251】
実施例48 5-(3-(3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-(ピロリジン-3-イル)-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=430、観測値=430)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.81 (s, 1H)、9.74 (s, 1H)、9.22 (s, 1H)、8.90 (d, J = 6.0 Hz, 1H)、8.56 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、8.22-8.13 (m, 2H)、7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H)、7.73 (t, J = 8.0 Hz, 1H)、7.57 (s, 1H)、6.91 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、4.66 (d, J = 5.4 Hz, 1H)、4.17-4.08 (m, 1H)、3.93 (s, 1H)、3.87-3.74 (m, 2H)、2.99 (s, 0H)、2.54 (s, 2H)、2.33 (d, J = 6.1 Hz, 1H)、2.20 (s, 1H)。
P70S6K IC50:2200 nM
【0252】
【化71】
【0253】
実施例49 5-(3-(ベンジル(2-(ジメチルアミノ)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-ベンジル-N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)ピロリジン-3-カルボキサミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=447、観測値=447)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.74 (s, 2H)、9.21 (d, J = 4.5 Hz, 1H)、8.54 (t, J = 9.1 Hz, 1H)、7.55 (s, 1H)、7.41-7.20 (m, 5H)、6.88 (dd, J = 23.8, 8.7 Hz, 1H)、4.74 (s, 1H)、4.65 (d, J = 15.0 Hz, 1H)、4.55 (d, J = 14.6 Hz, 1H)、3.91 (ddd, J = 23.2, 16.7, 8.5 Hz, 3H)、3.73 (s, 1H)、3.57 (d, J = 44.4 Hz, 2H)、3.38 (dd, J = 14.9, 7.8 Hz, 2H)、3.00 (s, 1H)、2.54 (d, J = 5.9 Hz, 1H)、2.43-2.28 (m, 3H)、2.12 (d, J = 14.3 Hz, 5H)。
P70S6K IC50:1600 nM
【0254】
【化72】
【0255】
実施例50 5-(3-(3,4-ジフルオロベンズアミド)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3,4-ジフルオロ-N-(ピロリジン-3-イル)ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=398、観測値=398)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.81 (s, 1H)、9.74 (s, 1H)、9.22 (s, 1H)、8.71 (d, J = 6.2 Hz, 1H)、8.56 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.97-7.88 (m, 1H)、7.76 (s, 1H)、7.56 (dt, J = 16.9, 8.6 Hz, 2H)、6.90 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、4.64-4.58 (m, 1H)、4.10 (dd, J = 10.4, 6.1 Hz, 1H)、3.97-3.88 (m, 1H)、3.82 (s, 1H)、3.74 (dd, J = 10.7, 4.3 Hz, 1H)、2.30 (dd, J = 12.9, 5.9 Hz, 1H)、2.17 (d, J = 5.2 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:380 nM
【0256】
【化73】
【0257】
実施例51 5-(3-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-(4-フルオロフェニル)-N-(ピロリジン-3-イル)アセトアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=394、観測値=394)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.76 (s, 2H)、9.21 (s, 1H)、8.55 (d, J = 8.5 Hz, 1H)、8.44 (d, J = 6.0 Hz, 1H)、7.59 (s, 1H)、7.25 (s, 2H)、7.08 (t, J = 8.0 Hz, 2H)、6.88 (d, J = 9.0 Hz, 1H)、4.36 (s, 1H)、4.04 (d, J = 6.6 Hz, 1H)、3.85 (s, 1H)、3.77 (s, 1H)、3.54 (d, J = 10.1 Hz, 1H)、3.38 (d, J = 14.2 Hz, 2H)、2.20 (s, 1H)、1.99 (s, 1H)。
P70S6K IC50:5400 nM
【0258】
【化74】
【0259】
実施例52 5-(3-((3,4-ジクロロベンジル)アミノ)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-(3,4-ジクロロベンジル)ピロリジン-3-アミン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=417、観測値=417)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.73 (s, 2H)、9.18 (s, 1H)、8.52 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、7.59 (d, J = 1.8 Hz, 1H)、7.55-7.47 (m, 2H)、7.34-7.28 (m, 1H)、6.82 (d, J = 9.0 Hz, 1H)、3.91 (dd, J = 10.4, 5.5 Hz, 1H)、3.88-3.81 (m, 1H)、3.74 (s, 2H)、3.68 (s, 1H)、3.54 (dd, J = 10.3, 3.9 Hz, 1H)、3.38 (s, 1H)、2.63 (s, 1H)、2.13-2.04 (m, 1H)、1.94 (d, J = 5.3 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:490 nM
【0260】
【化75】
【0261】
実施例53 5-(3-((3,4-ジクロロベンジル)(メチル)アミノ)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-(3,4-ジクロロベンジル)-N-メチルピロリジン-3-アミン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=431、観測値=431)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.78 (d, J = 17.6 Hz, 2H)、9.21 (s, 1H)、8.54 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.63-7.50 (m, 3H)、7.34 (d, J = 8.1 Hz, 1H)、6.90 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、3.94-3.73 (m, 4H)、3.61 (s, 2H)、3.20 (s, 2H)、2.27 (s, 2H)、2.18 (s, 3H)、2.06-1.93 (m, 2H)、0.08 (s, 1H)。
P70S6K IC50:570 nM
【0262】
【化76】
【0263】
実施例54 5-(3-((3,4-ジフルオロベンズアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3,4-ジフルオロ-N-(ピロリジン-3-イルメチル)-ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=412、観測値=412)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.81 (s, 1H)、9.75 (d, J = 4.0 Hz, 1H)、9.20 (s, 1H)、8.72 (t, J = 5.6 Hz, 1H)、8.53 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、7.89 (ddd, J = 11.5, 7.8, 2.0 Hz, 1H)、7.74 (dd, J = 5.1, 3.3 Hz, 1H)、7.62-7.50 (m, 2H)、6.85 (d, J = 9.0 Hz, 1H)、3.92-3.74 (m, 3H)、3.65 (dd, J = 10.2, 7.0 Hz, 1H)、3.41 (dtd, J = 19.7, 13.3, 6.1 Hz, 2H)、2.63 (dt, J = 13.7, 6.8 Hz, 1H)、2.16 (td, J = 12.0, 5.9 Hz, 1H)、1.85 (dq, J = 15.2, 7.5 Hz, 1H)。
P70S6K IC50:233 nM
【0264】
【化77】
【0265】
実施例55 5-(3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-フルオロ-N-(ピロリジン-3-イルメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=462、観測値=462)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.87 (s, 1H)、9.80 (s, 1H)、9.75 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、9.19 (s, 1H)、8.53 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、7.89 (d, J = 8.1 Hz, 1H)、7.52 (d, J = 3.8 Hz, 1H)、6.90-6.80 (m, 2H)、6.72 (d, J = 8.0 Hz, 1H)、3.87-3.77 (m, 3H)、3.61 (dd, J = 10.1, 7.3 Hz, 1H)、3.45 (s, 2H)、2.71-2.57 (m, 1H)、2.14 (dt, J = 19.7, 7.0 Hz, 1H)、1.93-1.79 (m, 1H)。
P70S6K IC50:290 nM
【0266】
【化78】
【0267】
実施例56 5-(3-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-N-boc-アミノメチルピペリジン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=287、観測値=286.2/287.2)。
P70S6K IC50:56000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0268】
【化79】
【0269】
実施例57 5-((1-(m-トリル)ピペリジン-4-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(m-トリル)ピペリジン-4-アミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=363、観測値=362.2/363.3)。
P70S6K IC50:22000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0270】
【化80】
【0271】
実施例58 5-((1-メチルピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-メチルピロリジン-3-アミン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=273、観測値=272.1/273.1)。
P70S6K IC50:20000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0272】
【化81】
【0273】
実施例59 5-(3-((メチルアミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルをメチル(ピペリジン-3-イルメチル)カルバミン酸t-ブチル(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=300、観測値=300.1/301.1)。
P70S6K IC50:5900 nM AKT IC50:18000 nM
【0274】
【化82】
【0275】
実施例60 (R)-5-((ピロリジン-3-イルメチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-(アミノメチル)ピロリジン-1-カルボン酸(S)-t-ブチルとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=273、観測値=272.1/273.1)。
P70S6K IC50:4800 nM AKT IC50:>100000 nM
【0276】
【化83】
【0277】
実施例61 (S)-5-((ピロリジン-3-イルメチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-(アミノメチル)ピロリジン-1-カルボン酸(R)-t-ブチルとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=273、観測値=272.1/273.1)。
P70S6K IC50:1700 nM AKT IC50:>100000 nM
【0278】
【化84】
【0279】
実施例62 5-((ピリジン-3-イルメチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルをピリジン-3-イルメタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=279、観測値=280.1/281.1)。
P70S6K IC50:1600 nM AKT IC50:>70000 nM
【0280】
【化85】
【0281】
実施例63 5-((3-クロロベンジル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを(3-クロロフェニル)メタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=313、観測値=313.1/314.1)。
P70S6K IC50:59.2 nM AKT IC50:12000 nM
【0282】
【化86】
【0283】
実施例64 5-(3-フェネチルピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-フェネチルピロリジン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=347、観測値=347.2/348.2)。
P70S6K IC50:240 nM AKT IC50:3100 nM
【0284】
【化87】
【0285】
実施例65 5-(3-(ベンジルオキシ)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-(ベンジルオキシ)ピロリジン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=349、観測値=349.1/350.1)。
P70S6K IC50:710 nM AKT IC50:>100000 nM
【0286】
【化88】
【0287】
実施例66 5-(3-ヒドロキシ-3-フェニルピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-フェニルピロリジン-3-オール(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=335、観測値=335.1/336.1)。
P70S6K IC50:1800 nM AKT IC50:>100000 nM
【0288】
【化89】
【0289】
実施例67 5-((3S,4R)-3-(ヒドロキシメチル)-4-(m-トリル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを((3S,4R)-4-(m-トリル)ピロリジン-3-イル)メタノールとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=363、観測値=363.2/364.1)。
P70S6K IC50:190 nM AKT IC50:8200 nM
【0290】
【化90】
【0291】
実施例68 5-((2-(3-クロロフェニル)-2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(3-クロロフェニル)-N1,N1-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=370、観測値=370.1/371.1)。
P70S6K IC50:2600 nM AKT IC50:>100000 nM
【0292】
【化91】
【0293】
実施例69 5-((2-フェニル-2-(ピペラジン-1-イル)エチル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを4-(2-アミノ-1-フェニルエチル)ピペラジン-1-カルボン酸t-ブチル(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=363、観測値=363.2/364.1)。
P70S6K IC50:170 nM AKT IC50:10000 nM
【0294】
【化92】
【0295】
実施例70 5-((3-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを4-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=366、観測値=366.1/367.2)。
P70S6K IC50:550 nM AKT IC50:2500 nM
【0296】
【化93】
【0297】
実施例71 5-((4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=402、観測値=402.2)。
P70S6K IC50:21 nM AKT IC50:4500 nM
【0298】
【化94】
【0299】
実施例72 5-((4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=418、観測値=418.2/418.9)。
P70S6K IC50:100 nM AKT IC50:>100000 nM
【0300】
【化95】
【0301】
実施例73 5-((4-(m-トリル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(m-トリル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=362、観測値=362.2/363.2)。
P70S6K IC50:390 nM AKT IC50:9000 nM
【0302】
【化96】
【0303】
実施例74 5-((4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=416、観測値=416.2/417.2)。
P70S6K IC50:140 nM AKT IC50:2100 nM
【0304】
【化97】
【0305】
実施例75 5-((4-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=400.8、観測値=400.2)。
P70S6K IC50:8.1 nM AKT IC50:130 nM
【0306】
【化98】
【0307】
実施例76 5-((4-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=400.8、観測値=400.1/401.1)。
P70S6K IC50:33 nM AKT IC50:570 nM
【0308】
【化99】
【0309】
実施例77 5-(((3R,4R)-4-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例76の鏡像異性体の1つであり、絶対配置は未知)
ジアステレオマー混合物(実施例76)からキラルSFCによって表題の化合物を分離した。LC-MS (M+H=400.8、観測値=400.1/401.1)。1HNMR (MeOH-d4) δ 1.16(m, 1H)、1.31 (m, 1H)、1.78 (m, 1H)、2.34 (m, 1H)、2.89 (m, 1H)、3.20-3.32 (m, 3H)、6.29 (m, 1H)、6.97 (m, 1H)、7.25 (m, 1H)、7.39 (m, 1H)、8.33 (m, 1H)、9.21 (s, 1H)、9.93 (s, 1H)。
P70S6K IC50:50 nM AKT IC50:850 nM
【0310】
【化100】
【0311】
実施例78 5-(((3S,4S)-4-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例76の鏡像異性体の1つであり、絶対配置は未知)
ジアステレオマー混合物(実施例76)からキラルSFCによって表題の化合物を分離した。LC-MS (M+H=400.8、観測値=400.2)。
P70S6K IC50:350 nM AKT IC50:5700 nM
【0312】
【化101】
【0313】
実施例79 5-((4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ジアステレオマー・ラセミ混合物)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを3-アミノ-4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-1-カルボン酸t-ブチル(ジアステレオマー・ラセミ混合物)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=366、観測値=366.1/367.1)。
P70S6K IC50:290 nM AKT IC50:2000 nM
【0314】
【化102】
【0315】
実施例80 5-(((3R,4R)-4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例79の鏡像異性体の1つであり、絶対配置は未知)
ジアステレオマー混合物(実施例79)からキラルSFCによって表題の化合物を分離した。LC-MS (M+H=366、観測値=366.2)。
P70S6K IC50:290 nM AKT IC50:2200 nM
【0316】
【化103】
【0317】
実施例81 5-(((3S,4S)-4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル、実施例79の鏡像異性体の1つであり、絶対配置は未知)
ジアステレオマー混合物(実施例79)からキラルSFCによって表題の化合物を分離した。LC-MS (M+H=366、観測値=366.1)。
P70S6K IC50:52 nM AKT IC50:900 nM
【0318】
【化104】
【0319】
実施例82 5-(3-アミノ-4-フェニルピペリジン-1-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを4-フェニル-ピペリジン-3-イルアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=347、観測値=348)。
P70S6K IC50:120 nM
【0320】
【化105】
【0321】
実施例83 5-(3-アミノ-4-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-イル)アミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
【0322】
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを4-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-ピペリジン-3-イルアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=415、観測値=416)。
P70S6K IC50:350 nM
【0323】
【化106】
【0324】
実施例84 (S)-5-(3-アミノ-3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(純粋な鏡像異性体、絶対構造は未知)
キラルHPLCによって実施例15から表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=376、観測値=377)。
P70S6K IC50:2150 nM
【0325】
【化107】
【0326】
実施例85 (R)-5-(3-アミノ-3-(フェニルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(純粋な鏡像異性体、絶対構造は未知)
キラルHPLCによって実施例15から表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=376、観測値=377)。
P70S6K IC50:11500 nM
【0327】
【化108】
【0328】
実施例86 5-[(3S,4R)-3-アミノ-4-(4-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(ラセミ、シス)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルをシス-4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-アミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=366、観測値=366)。
P70S6K IC50:250 nM
【0329】
【化109】
【0330】
実施例87 5-[(3R,4R)-3-アミノ-4-(4-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド((ラセミトランス)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルをトランス-4-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-アミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=366、観測値=366)。
P70S6K IC50:7100 nM
【0331】
【化110】
【0332】
実施例88 5-[(3S,4R)-3-アミノ-4-(3-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド((ラセミ、シス)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルをシス-4-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-アミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=366、観測値=366)。
P70S6K IC50:17100 nM
【0333】
【化111】
【0334】
実施例89 5-[(3R,4R)-3-アミノ-4-(3-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ、トランス)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルをトランス-4-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-アミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=366、観測値=366)。
P70S6K IC50:2400 nM
【0335】
【化112】
【0336】
実施例90 5-[4-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-ピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=402、観測値=402)。
P70S6K IC50:24000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0337】
【化113】
【0338】
実施例91 5-[4-フェニル-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-フェニルピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=334、観測値=334)。
P70S6K IC50:3000 nM AKT IC50:15000 nM
【0339】
【化114】
【0340】
実施例92 5-[4-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-ピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=370、観測値=370)。
P70S6K IC50:1000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0341】
【化115】
【0342】
実施例93 5-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(4-クロロフェニル)ピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=368、観測値=368)。
P70S6K IC50:1000 nM
【0343】
【化116】
【0344】
実施例94 5-[4-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-ピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=386、観測値=386)。
P70S6K IC50:12000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0345】
【化117】
【0346】
実施例95 5-[4-(3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(3-フルオロ-フェニル)-ピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=352、観測値=352)。
P70S6K IC50:770 nM AKT IC50:6400 nM
【0347】
【化118】
【0348】
実施例96 5-[4-(3-クロロ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルを1-(3-クロロ-フェニル)-ピペラジンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=368、観測値=368)。
P70S6K IC50:10000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0349】
【化119】
【0350】
実施例97 5-(ベンジルアミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、ベンジルアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=261、観測値=261)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.96 (s, 1H)、9.30 (s, 1H)、8.83 (t, J = 5.6 Hz, 1H)、8.11 (d, J = 8.6 Hz, 1H)、7.42 (d, J = 7.7 Hz, 2H)、7.35 (t, J = 7.3 Hz, 2H)、7.27 (t, J = 6.9 Hz, 1H)、6.62 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、4.64 (d, J = 5.8 Hz, 2H)。
P70S6K IC50:690 nM AKT IC50:57000 nM
【0351】
【化120】
【0352】
実施例98 5-(フェネチルアミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-フェネチルアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=293、観測値=293)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.84 (s, 1H)、9.69 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、9.26 (s, 1H)、8.56 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.86 (t, J = 5.3 Hz, 1H)、7.52 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、7.39-7.27 (m, 4H)、7.26-7.19 (m, 1H)、6.85 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、3.62-3.52 (m, 2H)、3.04-2.97 (m, 2H)。
P70S6K IC50:89 nM AKT IC50:5600 nM
【0353】
【化121】
【0354】
実施例99 5-[2-(3-フルオロフェニル)エチルアミノ]キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-(3-フルオロフェニル)エタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=311、観測値=311)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.83 (s, 1H)、9.69 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、9.26 (s, 1H)、8.56 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.84 (t, J = 5.5 Hz, 1H)、7.52 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、7.38-7.30 (m, 1H)、7.24-7.18 (m, 1H)、7.16 (d, J = 7.6 Hz, 1H)、7.04 (td, J = 8.6, 2.5 Hz, 1H)、6.87 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、3.59 (dd, J = 13.9, 6.4 Hz, 2H)、3.06-2.98 (m, 2H)。
P70S6K IC50:120 nM AKT IC50:2400 nM
【0355】
【化122】
【0356】
実施例100 5-[2-(4-フルオロフェニル)エチルアミノ]キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-(4-フルオロフェニル)エタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=311、観測値=311)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.83 (s, 1H)、9.69 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、9.26 (s, 1H)、8.55 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.84 (t, J = 5.4 Hz, 1H)、7.52 (d, J = 3.8 Hz, 1H)、7.39-7.31 (m, 2H)、7.16-7.07 (m, 2H)、6.85 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、3.55 (dd, J = 14.0, 6.4 Hz, 2H)、3.03-2.95 (m, 2H)。
P70S6K IC50:290 nM AKT IC50:4800 nM
【0357】
【化123】
【0358】
実施例101 5-[2-(3,4-ジフルオロフェニル)エチルアミノ]キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-(3,4-ジフルオロフェニル)エタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=329、観測値=329)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.82 (s, 1H)、9.69 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、9.26 (s, 1H)、8.56 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.81 (t, J = 5.3 Hz, 1H)、7.53 (d, J = 3.7 Hz, 1H)、7.45 (ddd, J = 12.0, 7.9, 2.0 Hz, 1H)、7.35 (dt, J = 10.9, 8.5 Hz, 1H)、7.15 (s, 1H)、6.87 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、3.57 (dd, J = 13.7, 6.4 Hz, 2H)、2.99 (t, J = 7.3 Hz, 2H)。
P70S6K IC50:360 nM AKT IC50:41000 nM
【0359】
【化124】
【0360】
実施例102 5-(4-フェニルブチルアミノ)キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、4-フェニルブタン-1-アミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=321、観測値=321)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.86 (s, 1H)、9.68 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、9.24 (s, 1H)、8.53 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、7.74 (t, J = 5.2 Hz, 1H)、7.50 (d, J = 3.9 Hz, 1H)、7.27 (t, J = 7.6 Hz, 2H)、7.22 (d, J = 7.0 Hz, 2H)、7.17 (t, J = 7.2 Hz, 1H)、6.75 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、3.34 (dd, J = 12.1, 6.8 Hz, 2H)、2.66 (t, J = 7.1 Hz, 2H)、1.79-1.62 (m, 4H)。
P70S6K IC50:87 nM AKT IC50:>100000 nM
【0361】
【化125】
【0362】
実施例103 5-[メチル(フェネチル)アミノ]キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-メチル-2-フェニルエタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=307、観測値=307)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 9.71 (d, J = 2.5 Hz, 1H)、9.48 (s, 1H)、9.29 (s, 1H)、8.59 (d, J = 8.4 Hz, 1H)、7.76 (d, J = 2.4 Hz, 1H)、7.32-7.19 (m, 5H)、7.18 (M, 1H)、3.60 (t, 2H)、3.13 (s, 3H)、2.99 (t, 2H)。
P70S6K IC50:220 nM AKT IC50:14000 nM
【0363】
【化126】
【0364】
実施例104 5-[2-(3,4-ジクロロフェニル)エチルアミノ]キナゾリン-8-カルボキサミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-(3,4-ジクロロフェニル)エタンアミンとカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=362、観測値=362)。1H NMR (500 MHz, cd3od) δ 9.65 (s, 1H)、9.22 (s, 1H)、8.69 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、7.48 (d, J = 1.9 Hz, 1H)、7.44 (d, J = 8.2 Hz, 1H)、7.22 (dd, J = 8.3, 2.0 Hz, 1H)、6.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、3.71-3.64 (m, 2H)、3.05 (t, J = 7.3 Hz, 2H)。
P70S6K IC50:98 nM AKT IC50:>100000 nM
【0365】
【化127】
【0366】
実施例105 5-[フェネチル-[(3R)-3-ピペリジル]アミノ]キナゾリン-8-カルボキサミド(キラル)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、3-(フェネチルアミノ)ピペリジン-1-カルボン酸(R)-t-ブチル(スキーム7)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=376、観測値=376)。1H NMR (500 MHz, dmso) δ 10.34 (s, 1H)、8.39 (s, 1H)、7.95 (d, J = 8.4 Hz, 1H)、7.41 (s, 1H)、7.32-7.06 (m, 5H)、6.88 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、5.56 (s, 1H)、3.57-3.47 (m, 1H)、3.26-3.10 (m, 2H)、2.93-2.74 (m, 3H)、2.68-2.60 (m, 1H)、2.42-2.33 (m, 1H)、2.07-1.99 (m, 1H)、1.93-1.75 (m, 2H)、1.74-1.56 (m, 2H)、1.27-1.19 (m, 1H)。
P70S6K IC50:11000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0367】
【化128】
【0368】
実施例106 5-(3-((2,5-ジフルオロベンズアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)キナゾリン-8-カルボキサミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2,5-ジフルオロ-N-(ピロリジン-3-イルメチル)ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた(スキーム7)後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=412、観測値=412)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.81 (s, 1H)、9.75 (d, J = 4.2 Hz, 1H)、9.21 (s, 1H)、8.62 (s, 1H)、8.54 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、7.53 (s, 1H)、7.49-7.32 (m, 4H)、6.85 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、3.90-3.82 (m, 1H)、3.82-3.75 (m, 2H)、3.69-3.61 (m, 1H)、3.41 (ddd, J = 34.0, 13.6, 7.3 Hz, 3H)、2.67-2.58 (m, 1H)、2.16 (dd, J = 12.1, 6.2 Hz, 1H)、1.90-1.79 (m, 1H)。
P70S6K IC50:510 nM
【0369】
【化129】
【0370】
実施例107 5-[3-アミノ-4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ピペリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-3-イル)カルバミン酸t-ブチルをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解と脱保護によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=416、観測値=416)。
P70S6K IC50:380 nM AKT IC50:8100 nM
【0371】
【化130】
【0372】
実施例108 5-[4-(4-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(4-フルオロフェニル)ピペラジンをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=352、観測値=352)。
P70S6K IC50:2300 nM AKT IC50:>100000 nM
【0373】
【化131】
【0374】
実施例109 5-[4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(3-トリフルオロメチルフルオロフェニル)ピペラジンをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=402、観測値=402)。
P70S6K IC50:11000 nM AKT IC50:23000 nM
【0375】
【化132】
【0376】
実施例110 5-[4-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(3,4-ジクロロフェニル)-ピペラジンをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=403、観測値=403)。
P70S6K IC50:>100000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0377】
【化133】
【0378】
実施例111 5-[4-(5-クロロ-2-メチルフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(5-クロロ-2-メチルフェニル)ピペラジンをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=382、観測値=382)。
P70S6K IC50:>100000 nM AKT IC50:>100000 nM
【0379】
【化134】
【0380】
実施例112 5-[3-[(2,4-ジフルオロ-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2,4-ジフルオロ-N-(ピロリジン-3-イルメチル)ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=412、観測値=412)。
P70S6K IC50:260 nM
【0381】
【化135】
【0382】
実施例113 5-{3-[(3-トリフルオロメチル-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、N-(ピロリジン-3-イルメチル)-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=444、観測値=444)。
P70S6K IC50:測定できずnM
【0383】
【化136】
【0384】
実施例114 5-{(R)-3-[(3,4-ジフルオロ-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(純粋な鏡像異性体、絶対構造は未知)
キラルHPLCによって実施例54から表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=412、観測値=412)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.77 (d, J = 26.9 Hz, 2H)、9.20 (s, 1H)、8.71 (s, 1H)、8.53 (d, J = 7.2 Hz, 1H)、7.95-7.83 (m, 1H)、7.70 (d, J = 13.6 Hz, 4H)、7.61-7.45 (m, 2H)、6.84 (d, J = 8.5 Hz, 1H)、4.30-3.97 (m, 4H)、3.84 (dd, J = 23.0, 14.6 Hz, 3H)、3.68-3.59 (m, 1H)、3.44 (s, 1H)、2.63 (dd, J = 17.2, 8.6 Hz, 1H)、2.14 (s, 1H)、1.82 (s, 2H)、1.63 (s, 3H)、1.26 (d, J = 18.5 Hz, 19H)、0.95-0.66 (m, 15H)。
P70S6K IC50:470 nM
【0385】
【化137】
【0386】
実施例115 5-{(S)-3-[(3,4-ジフルオロ-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(純粋な鏡像異性体、絶対構造は未知)
キラルHPLCによって実施例54から表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=412、観測値=412)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.82 (s, 1H)、9.75 (s, 1H)、9.21 (s, 1H)、8.79 (s, 1H)、8.54 (d, J = 8.8 Hz, 2H)、7.91 (s, 1H)、7.76 (s, 1H)、7.56 (d, J = 10.0 Hz, 2H)、6.86 (d, J = 9.2 Hz, 1H)、4.37 (s, 4H)、3.83 (d, J = 28.4 Hz, 3H)、3.64 (s, 2H)、3.45 (d, J = 6.2 Hz, 5H)、3.15 (d, J = 29.4 Hz, 2H)、2.94 (s, 1H)、2.15 (s, 2H)、1.88 (s, 1H)、1.59 (s, 2H)、1.25 (s, 4H)、1.05 (dd, J = 18.1, 12.1 Hz, 9H)、0.84 (s, 2H)。
P70S6K IC50:450 nM
【0387】
【化138】
【0388】
実施例116 5-[(S)-3-アミノ-3-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-ピロリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(純粋な鏡像異性体、絶対構造は未知)
キラルHPLCによって実施例46から表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=463、観測値=463)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.77 (d, J = 12.8 Hz, 2H)、9.22 (s, 1H)、8.56 (d, J = 9.0 Hz, 1H)、8.28 (s, 1H)、8.06 (s, 1H)、7.61-7.46 (m, 2H)、6.90 (d, J = 8.7 Hz, 1H)、4.33 (d, J = 10.7 Hz, 1H)、4.11 (s, 2H)、3.79 (s, 1H)、3.70 (d, J = 9.1 Hz, 1H)、2.10 (s, 2H)。
P70S6K IC50:520 nM
【0389】
【化139】
【0390】
実施例117 5-[(R)-3-アミノ-3-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-ピロリジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(純粋な鏡像異性体、絶対構造は未知)
キラルHPLCによって実施例46から表題の化合物を単離した。LC-MS (M+H=463、観測値=463)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.76 (d, J = 12.2 Hz, 2H)、9.22 (s, 1H)、8.56 (d, J = 7.4 Hz, 1H)、8.27 (s, 1H)、8.05 (s, 1H)、7.62-7.44 (m, 2H)、6.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H)、4.32 (d, J = 9.8 Hz, 1H)、4.10 (d, J = 8.5 Hz, 1H)、3.79 (s, 1H)、3.69 (d, J = 10.3 Hz, 1H)、2.10 (s, 2H)。
P70S6K IC50:380 nM
【0391】
【化140】
【0392】
実施例118 5-{3-[(2,4-ジフルオロ-ベンゾイルアミノ)-メチル]-ピロリジン-1-イル}-キナゾリン-8-カルボン酸アミド(ラセミ)
実施例1の調製について記載した手続きに従い、2-フェニル-N-(ピロリジン-3-イルメチル)アセトアミド(ラセミ)とカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=390、観測値=390)。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.81-9.70 (m, 2H)、9.21 (s, 1H)、8.53 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、8.22 (t, J = 5.5 Hz, 1H)、7.54 (d, J = 3.7 Hz, 1H)、7.33-7.24 (m, 4H)、7.24-7.16 (m, 1H)、6.81 (d, J = 8.9 Hz, 1H)、3.76 (dd, J = 14.9, 8.1 Hz, 3H)、3.54 (dd, J = 10.2, 7.2 Hz, 1H)、3.43 (s, 2H)、3.21 (dtd, J = 19.7, 13.3, 6.2 Hz, 2H)、2.08 (dd, J = 11.8, 5.9 Hz, 1H)、1.83-1.67 (m, 1H)。
P70S6K IC50:260 nM
【0393】
【化141】
【0394】
実施例119 5-[4-(2-クロロ-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(2-クロロ-フェニル)-ピペラジンをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=368、観測値=368)。
P70S6K IC50:400 nM
【0395】
【化142】
【0396】
実施例120 5-[4-(2-メチル-フェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製について記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(2-メチル-フェニル)-ピペラジンをカップリングさせた後、そのニトリル中間体の加水分解によって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=348、観測値=348)。
P70S6K IC50:980 nM
【0397】
【化143】
【0398】
実施例121 5-[4-(2-フルオロフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製に関して記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(2-フルオロフェニル)-ピペラジンを反応させた後に加水分解することによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=352、観測値=352)。
P70S6K IC50:12000 nM
【0399】
【化144】
【0400】
実施例122 5-[4-(2-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル]-キナゾリン-8-カルボン酸アミド
実施例1の調製に関して記載した手続きに従い、5-ブロモ-キナゾリン-8-カルボニトリルと1-(2-メトキシフェニル)-ピペラジンを反応させた後に加水分解することによって表題の化合物を合成した。LC-MS (M+H=364、観測値=364)。
P70S6K IC50:11000 nM
【0401】
生物活性
P70S6K酵素アッセイ
P70S6K阻害化合物を希釈し、96ウエルのプレートに入れた。次に、以下の成分を含む反応混合物をその化合物のプレートに添加して酵素反応を開始させた;100mMのHepes(pH 7.5)と、5mMのMgCl2と、1mMのDTTと、0.015%のBrijと、1μMの基質ペプチドFITC-AHA-AKRRRLSSLRA-OH(S6リボソームタンパク質配列に由来し、FITCはイソチオシアン酸フルオレセイン、AHAは6-アミノヘキサン酸である)を含むアッセイ用緩衝液の中でP70S6K(3 nM、T412E突然変異体、Millipore社)を24μMのATPと混合した。この反応物を25℃で90分間インキュベートした後、10mMのEDTAを添加して反応を停止させた。基質と生成した(リン酸化)ペプチドの比を、Caliper Life Sciences Lab社のチップ3000において、圧力を-1.4psi、上流と下流の電圧をそれぞれ-3000、-700にして分析する。得られるクロマトグラムで生成物のピークを分離した後、基質のピークを分離する。
【0402】
AKT酵素アッセイ
TTP Mosquito液体取り扱い装置を用い、(用量応答曲線を計算するため)適切な濃度の阻害剤を含む100%DMSOを125nl、 384ウエルのプレートの各ウエルに入れる。それに以下の反応成分を添加して最終体積を12.5μlにする:
0.1ng/μlのHis-AKT(完全長)(invitrogen社、部品#P2999、ロット#641228C)
160μMのATP(Fluka社、02055)
1mMのDTT(Sigma社、D0632)
imMのMgCl2(Sigma社、M1028)
1μMの基質ペプチド(配列FITC-AHA-GRPRTSSFAEG-NH2)、Tufts Peptid Synthesisサービスが合成
100mMのHEPES pH 7.5(Calbiochem社、391338)
0.015%のBrij-35(Sigma社、B4184)。
【0403】
反応物を25℃で90分間インキュベートした後、70μlの停止緩衝液(100mMのHEPES、pH7.5、0.015%のBrij-35、10mMのEDTA(Sigma社、E7889))を添加して反応を停止させる。
【0404】
オフ-チップ移動度シフト・アッセイの形式でプレートをCaliper LC 3000で読み取る。そのとき12シッパー・チップでは以下のパラメータを用いる:スクリーニング圧力-2.3psi、上流電圧-500、下流電圧-3000。これらの条件によってリン酸化されない基質とリン酸化された生成ペプチドが別々のピークとして分離するため、基質から生成物への変換率を直接測定することができる。変換率を阻害剤の濃度に対してプロットすると、シグモイド形の用量応答曲線が得られ、そこからIC50を計算することができる。