特許第6553884号(P6553884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553884
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】配管取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/18 20060101AFI20190722BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   F16L3/18 B
   F16L3/10 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-23246(P2015-23246)
(22)【出願日】2015年2月9日
(65)【公開番号】特開2016-145624(P2016-145624A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2017年10月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003285
【氏名又は名称】千代田化工建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】内池 淳
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−196542(JP,A)
【文献】 特開2007−321887(JP,A)
【文献】 特開2001−241568(JP,A)
【文献】 実開昭55−117124(JP,U)
【文献】 米国特許第04403759(US,A)
【文献】 実公昭50−031535(JP,Y1)
【文献】 実開昭61−129977(JP,U)
【文献】 特開2004−240886(JP,A)
【文献】 特開2002−189769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L3/00−3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を支持構造体に取り付けるための配管取付構造であって、
前記配管と前記支持構造体とを接続する配管サポートと、
前記配管と前記配管サポートとの間に介在された摩擦材と、
前記摩擦材を前記配管と前記配管サポートとの間で締め付ける締付部材であって、前記配管に所定の解放荷重を超える荷重が作用したときに、前記配管サポートに対して前記配管が移動するように、前記摩擦材に締付力を加える締付部材と、
を備え、
前記所定の解放荷重は、レベル2地震動が発生した場合に前記配管に作用する荷重に設定され
前記配管サポートは、ガイドと、前記ガイドに対して固定されるクランプとを備え、
前記ガイドは、固定部材により前記支持構造体に固定される第1ガイド部および第2ガイド部を備え、
前記第1ガイド部および第2ガイド部で前記支持構造体の所定の面に配置された前記配管を両側から挟み込むことにより、前記配管の軸直角方向への移動が拘束され、
前記クランプは、前記配管を間に挟んで対向して配置される一対の第1把持部および第2把持部を備え、
前記配管と前記第1把持部および前記第2把持部との間に前記摩擦材が介在され、
前記締付部材は、前記摩擦材を前記配管と前記第1把持部および前記第2把持部との間で締め付け、
前記配管と前記摩擦材との間に生じる摩擦力によって、前記配管の軸方向への移動が拘束され、
前記配管に前記所定の解放荷重を超える荷重が作用したとき、前記クランプに対して前記配管が移動するよう、前記摩擦材に加えられる締付力が調整されることを特徴とする配管取付構造。
【請求項2】
前記摩擦材は、メッシュばねであることを特徴とする請求項1に記載の配管取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を支持構造に取り付けるための配管取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配管を支持構造に取り付けるために、配管サポートが用いられている。配管サポートは、配管の自重および熱や地震等の荷重を受ける役割を持ち、配管および支持構造の形状によりさまざまな形式がある。
【0003】
配管サポートには、基本的には、裸配管用と、保温・保冷付き配管用(シュー型)とがある。配管サポートには、配管の熱膨張を妨げないように移動方向を限定したものがあり、軸方向の移動を拘束するストッパー、軸直角方向の移動を拘束するガイド、および全ての移動を拘束するフィックスに分類される。
【0004】
配管サポートは、配管径と支持荷重に応じて選択される。小径管で支持荷重が小さい場合はU型のボルト(Uボルト)が使用され、大径管および大荷重にはサドル型が使用される。配管サポートの支持構造への取り付けは、溶接で行われることもあるが、火気の使用が制限されている場合や取り外しが必要な場合は、ボルト止め構造が採用される。
【0005】
配管サポートが受ける荷重には、配管の重量、内容物重量、および保温保冷材重量の合計となる自重(一次荷重)と、内部流体により配管が加熱又は冷却されることで生じる配管の伸縮により生ずる熱荷重(二次荷重)がある。これらの合計は常に配管に作用するので、長期荷重と呼ばれる。また、配管サポートが受ける荷重には、地震および風により一次的に作用する短期荷重がある。
【0006】
特に地震荷重は、関東大震災を想定したレベル1地震動と、阪神大震災の様な直下型地震や東日本大震災の様な巨大地震を想定したレベル2地震動に分けられる。レベル1地震動は、再現周期60年程度とし、地震後完全に元の姿に戻る弾性設計が要求される。レベル2地震動は、内容物の漏洩が無ければ必ずしも元の姿に戻らなくても良い弾塑性設計が要求される。通常の設備では、レベル1耐震設計が行われるが、特に重要度が高いものおよび危険度の高い設備では、レベル2耐震設計が行われる。レベル2耐震設計対象は同時に、レベル1耐震性能の確保が要求される。
【0007】
配管と配管サポートは、総称して配管系と呼ばれる。配管系では、配管の動きをタイトに拘束すると、地震時に配管にかかる荷重により、配管には大きな応力が発生し、支持構造には大きな反力が作用する。この配管の応力又は支持構造の反力が限界を超えると配管又は支持構造の弱い方が壊れる。配管はその特性としての柔軟性(可撓性)を持っているので、配管を適度に変形させることにより、配管の応力と支持構造の反力を小さくさせることができる。配管系では、各種サポート形式と拘束条件とを組合せることにより、これらのバランスを取る応力設計が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−149688号公報
【特許文献2】特開2009−180253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
配管サポートは、通常運転状況およびレベル1地震動においては、弾性設計が要求されるので配管をしっかり拘束する必要がある。一方、レベル2地震動においては、弾塑性設計が要求されるので、大きな荷重に対しては拘束を解放しこれらの影響を低減する設計法が要求される。
【0010】
限界を超える荷重を解放するには、一般的には配管系のどこかにシアーピン(せん断ピン)を入れ、限界を超えるとピンが破断し拘束を解放する方式と、配管拘束の溶接量を調節し限界を超えると溶接が破断する方式等があるが、いずれの方式も一旦拘束を解放すると支持機能を喪失するという課題がある。
【0011】
本発明は、こうした状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、大きな荷重に対して配管の拘束を解放するとともに、拘束を解放した場合でも配管の支持機能を維持することのできる配管取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の配管取付構造は、配管を支持構造体に取り付けるための配管取付構造であって、配管と支持構造体とを接続する配管サポートと、配管と配管サポートとの間に介在された摩擦材と、摩擦材を配管と配管サポートとの間で締め付ける締付部材であって、配管に所定の解放荷重を超える荷重が作用したときに、配管サポートに対して配管が移動するように、摩擦材に締付力を加える締付部材と、を備える。
【0013】
本発明の別の態様もまた、配管取付構造である。この配管取付構造は、配管を支持構造体に取り付けるための配管取付構造であって、配管と支持構造体とを接続する配管サポートと、支持構造体と配管サポートとの間に介在された摩擦材と、摩擦材を支持構造体と配管サポートとの間で締め付ける締付部材であって、配管に所定の解放荷重を超える荷重が作用したときに、支持構造体に対して配管サポートが移動するように、摩擦材に締付力を加える締付部材と、を備える。
【0014】
上記態様の配管取付構造において、摩擦材は、メッシュばねであってもよい。
【0015】
所定の解放荷重は、レベル2地震動が発生した場合に配管に作用する荷重に設定されてもよい。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大きな荷重に対して配管の拘束を解放するとともに、拘束を解放した場合でも配管の支持機能を維持することのできる配管取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る配管取付構造を説明するための正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る配管取付構造を説明するための側面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る配管取付構造を説明するための正面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る配管取付構造を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る配管取付構造10を説明するための正面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る配管取付構造10を説明するための側面図である。配管取付構造10は、配管12を支持構造体14に取り付けるものである。本第1実施形態において、配管12は、断面が円形状の配管であり、支持構造体14は、H形鋼である。
【0020】
本第1実施形態に係る配管取付構造10は、配管12と支持構造体14とを接続する配管サポート16を備える。配管サポート16は、クランプ18と、ガイド20とを有する。
【0021】
クランプ18は、対向して配置された一対の第1把持部21および第2把持部22と、第1把持部21と第2把持部22を結合する第1締付ボルト23aおよび第1締付ナット23b並びに第2締付ボルト24aおよび第2締付ナット24bとを備える。
【0022】
第1把持部21は、配管12を受け入れ可能に湾曲した半円状の湾曲部21aと、湾曲部21aの上下に延在する平坦部21b,21cとを有する。同様に、第2把持部22は、配管12を受け入れ可能に湾曲した半円状の湾曲部22aと、湾曲部22aの上下に延在する平坦部22b,22cとを有する。第1締付ボルト23aは、第1把持部21の平坦部21bと第2把持部22の平坦部22bを挿通しており、第1締付ナット23bと螺合する。第2締付ボルト24aは、第1把持部21の平坦部21cと第2把持部22の平坦部22cを挿通しており、第2締付ナット24bと螺合する。第1把持部21の湾曲部21aと第2把持部22の湾曲部22aの間に配管12を配置した状態で、第1締付ボルト23aと第1締付ナット23bおよび第2締付ボルト24aと第2締付ナット24bを締めることにより、配管12を支持することができる。
【0023】
ガイド20は、L字型の第1ガイド部25および第2ガイド部26を備える。第1ガイド部25および第2ガイド部26は、支持構造体14の上面14aに配置された配管12を両側から挟み込むように配置される。第1ガイド部25は、2組のボルト27aおよびナット27bによって支持構造体14の上面14aに固定される。第2ガイド部26は、2組のボルト28aおよびナット28bによって支持構造体14の上面14aに固定される。ガイド20は、第1ガイド部25および第2ガイド部26で配管12を両側から挟み込むことにより、配管12の軸直角方向への移動を拘束している。
【0024】
図2に示すように、第1ガイド部25は、縦辺部25aの一部を切り欠いて形成された凹部25bを有する。同様に、第2ガイド部も凹部を有する。第1ガイド部25の凹部25bには第1把持部21が挿設され、第2ガイド部26の凹部には第2把持部22が挿設される。クランプ18は、ガイド20に対して固定される。
【0025】
本第1実施形態に係る配管取付構造10においては、配管12と第1把持部21の湾曲部21aとの間に第1摩擦材30が介在されており、配管12と第2把持部22の湾曲部22aとの間に第2摩擦材31が介在されている。第1摩擦材30および第2摩擦材31は、第1締付ボルト23aと第1締付ナット23bおよび第2締付ボルト24aと第2締付ナット24bを締めることにより、配管12と第1把持部21および第2把持部22との間で締め付けられる。配管12と第1摩擦材30および第2摩擦材31との間に生じる摩擦力によって、配管12の軸方向への移動が拘束される。
【0026】
本第1実施形態においては、第1締付ボルト23aと第1締付ナット23bおよび第2締付ボルト24aと第2締付ナット24bの締め付けトルクによって、第1摩擦材30および第2摩擦材31に締付力を加えることができる。第1摩擦材30および第2摩擦材31の締付力を調整することにより、第1摩擦材30および第2摩擦材31の摩擦力が変化するため、配管12の解放荷重を任意の荷重に設定することができる。すなわち、所定の解放荷重Lrを設定する場合、配管12に解放荷重Lrを超える荷重が作用したときに、配管サポート16の一部であるクランプ18に対して配管12が移動するように、第1摩擦材30および第2摩擦材31の締付力を調整する。この場合、解放荷重Lrを超える荷重が配管12に作用すると、配管12がクランプ18に対して滑り、移動するが、配管12は依然としてクランプ18に支持されたままである。すなわち、配管サポート16による配管12の支持機能は維持される。
【0027】
通常、配管サポートは、通常運転状況およびレベル1地震動においては、弾性設計が要求され、一方、レベル2地震動においては、弾塑性設計が要求される。そこで、解放荷重Lrは、レベル2地震動が発生した場合に配管12に作用する荷重に設定される。この場合、レベル1地震動が生じた場合には、配管サポート16による配管12の拘束機能および支持機能はともに維持される。一方、レベル2地震動が生じた場合には、配管サポート16による配管12の拘束が解放されるため、配管12に大きな応力が発生することが防止され、配管12の損傷による内容物の漏洩を防ぐことができる。さらに、配管12の拘束は解放されても配管12は配管サポート16に支持されているので、レベル2地震動の後に引き続き起こる可能性がある大きな余震に対して、配管12の支持機能を維持することができる。
【0028】
配管12に用いる材料は、温度差が生じると熱膨張するので、第1摩擦材30および第2摩擦材31は、熱膨張により摩擦力に大きな差が生じないようにある程度の柔軟性が必要となる。このような柔軟性を確保するために、第1摩擦材30および第2摩擦材31として、メッシュばねが好適に用いられる。メッシュばねは、変形能が大きいため、配管12の熱膨張の影響を吸収することができる。
【0029】
本第1実施形態では、第1摩擦材30および第2摩擦材31を締め付ける締付部材としてボルトおよびナットを用いたが、締付部材はボルトおよびナットに限定されない。例えば、対向する把持部の平坦部を挟み込む断面コ字状の締付部材が用いられてもよい。
【0030】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る配管取付構造40を説明するための正面図である。図4は、本発明の第2実施形態に係る配管取付構造40を説明するための側面図である。本第2実施形態に係る配管取付構造40もまた、配管12を支持構造体14に取り付けるものである。配管12は、断面が円形状の配管であり、支持構造体14は、H形鋼である。
【0031】
本第2実施形態に係る配管取付構造40は、配管12と支持構造体14とを接続する配管サポート41を備える。配管サポート41は、配管12を支持するシュー42と、シュー42を支持構造体14の上面14aに固定するガイド43とを有する。
【0032】
シュー42は、略H形のパイプシューである。シュー42の上面部42aは、配管12の外形に沿うように湾曲している。この上面部42aは、配管12に溶接される。シュー42の下面部42bは、平坦面であり、支持構造体14の上面14aに当接配置される。
【0033】
ガイド43は、8個のL字型のガイド部(第1〜第8ガイド部51〜58)と、4組の締付ボルト60aおよび締付ナット60bとから構成される。第1〜第4ガイド部51〜54は、支持構造体14の上面14aよりも上方に配置され、第5〜第8ガイド部55〜58は、支持構造体14の上面14aよりも下方に配置される。
【0034】
第1ガイド部51および第2ガイド部52は、支持構造体14の上面14aに配置されたシュー42の下面部42bを両側から挟み込むように配置される。第3ガイド部53および第4ガイド部54は、それぞれ、第1ガイド部51および第2ガイド部52の上方に重なるように配置される。第1ガイド部51は、横辺部の中央部を切り欠いて形成された凹部51aを有する。同様に、第2ガイド部52も凹部52aを有する。第1ガイド部51の凹部51aおよび第2ガイド部52の凹部52aには、それぞれ、第1摩擦材61および第2摩擦材62が配置される。第1摩擦材61および第2摩擦材62は、メッシュばねであってよい。第1摩擦材61は、第3ガイド部53と支持構造体14の上面14aとの間に介在される。第2摩擦材62は、第4ガイド部54と支持構造体14の上面14aとの間に介在される。
【0035】
第5ガイド部55および第6ガイド部56は、支持構造体14の上面14aの下方に、支持構造体14を間に挟んで配置される。第5ガイド部55および第6ガイド部56の内側には、それぞれ、第7ガイド部57および第8ガイド部58が支持構造体14の上面14aと当接するように配置される。第7ガイド部57および第8ガイド部58は、それぞれ、第5ガイド部55および第6ガイド部56に接着されている。第5ガイド部55および第6ガイド部56は、4組の締付ボルト60aおよび締付ナット60bによって、第1〜第4ガイド部51〜54と結合されている。締付ボルト60aと締付ナット60bを締めることにより、第1摩擦材61は第3ガイド部53と支持構造体14の上面14aとの間で締め付けられ、第2摩擦材62は、第4ガイド部54と支持構造体14の上面14aとの間で締め付けられる。支持構造体14の上面14aと第1摩擦材61および第2摩擦材62との間に生じる摩擦力によって、配管12の軸直角方向への移動が拘束される。一方、配管12の軸方向への移動は、当接するシュー42の下面部42bと支持構造体14の上面14aとの間に生じる摩擦力によって拘束される。
【0036】
本第2実施形態においては、締付ボルト60aと締付ナット60bの締め付けトルクによって、第1摩擦材61および第2摩擦材62に締付力を加えることができる。第1摩擦材61および第2摩擦材62の締付力を調整することにより、第1摩擦材61および第2摩擦材62の摩擦力が変化するため、配管12の解放荷重を任意の荷重に設定することができる。すなわち、所定の解放荷重Lrを設定する場合、配管12に解放荷重Lrを超える荷重が作用したときに、支持構造体14に対して配管サポート41(すなわちシュー42およびガイド43)が移動するように、第1摩擦材61および第2摩擦材62の締付力を調整する。この場合、解放荷重Lrを超える荷重が配管12に作用すると、配管12とともに配管サポート41が支持構造体14に対して滑り、移動するが、配管12は依然として配管サポート41に支持されたままである。すなわち、配管サポート41による配管12の支持機能は維持される。
【0037】
本第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様に、解放荷重Lrは、レベル2地震動が発生した場合に配管12に作用する荷重に設定される。この場合、レベル1地震動が生じた場合には、配管サポート41による配管12の拘束機能および支持機能はともに維持される。一方、レベル2地震動が生じた場合には、配管サポート41が支持構造体14に対して移動することにより配管12の拘束が解放されるため、配管12に大きな応力が発生することが防止され、配管12の損傷による内容物の漏洩を防ぐことができる。さらに、配管12の拘束は解放されても配管12は配管サポート41により支持されているので、レベル2地震動の後に引き続き起こる可能性がある大きな余震に対して、配管12の支持機能を維持することができる。
【0038】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0039】
上述の実施形態では、摩擦材としてメッシュばねを例示したが、摩擦材の種類は特に限定されず、例えばゴムや樹脂などであってもよい。
【0040】
上述の第1実施形態では、配管の軸方向への移動が摩擦材の摩擦力で拘束されており、第2実施形態では、配管の軸直角方向への移動が摩擦材の摩擦力で拘束されている。しかしながら、配管の軸方向と軸直角方向の両方向への移動が摩擦材の摩擦力で拘束されていてもよい。すなわち、本発明においては、配管の軸方向と軸直角方向の少なくとも一方向への移動が、摩擦材の摩擦力で拘束されていればよい。
【0041】
上述の実施形態では、配管は軸方向が水平となるように設置されているが、配管の設置方向は特に限定されず、例えば軸方向が鉛直方向となるように配管が設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 配管取付構造、 12 配管、 14 支持構造体、 16、41 配管サポート、 18 クランプ、 20、43 ガイド、 21 第1把持部、 22 第2把持部、 23a 第1締付ボルト、 23b 第1締付ナット、 24a 第2締付ボルト、 24b 第2締付ナット、 30、61 第1摩擦材、 31、62 第2摩擦材、 42 シュー、 60a 締付ボルト、 60b 締付ナット。
図1
図2
図3
図4