【文献】
朝倉 慎悟 他,次世代地上放送における誤り訂正符号の一検討,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115 No.181,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2015年 8月,pp.103-107,RCS 2015-149
【文献】
朝倉 慎悟 他,次世代地上放送方式に向けた誤り訂正符号の一検討 −BER特性改善のためのピットインターリーブ手法−,第38回情報理論とその応用シンポジウム(SITA2015)予稿集 [USB] 第38回情報理論とその応用シンポジウム予稿集 Proceedings of the 38th Symposium on Information Theory and its Applications (SITA2015),2015年11月27日,pp.37-42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パリティインターリーブ部は、前記mがq×Mで表せられるとすると、前記分割パリティビットを、記憶部にqビットずつ行及び列の一方の方向に書き込んだ後に、該記憶部からMビットずつ行及び列の他方の方向に読み出すことを特徴とする、請求項1に記載の符号化装置。
前記パリティデインターリーブ部は、前記mがq×Mで表せられるとすると、前記分割パリティ尤度比を、記憶部にM個ずつ行及び列の一方の方向に書き込んだ後に、該記憶部からq個ずつ行及び列の他方の方向に読み出すことを特徴とする、請求項4に記載の復号装置。
前記N種類のm行k列の疎行列は、基本疎行列の1をいずれかの同一要素位置に配置した行列であり、前記基本疎行列は、1列目に1が疎に配置され2列目以降は1列目の1をq行分サイクリックにシフトさせた位置に1が配置されたm行k列の行列であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の復号装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LDPC符号のパリティビットをビットインターリーブ処理する場合、すべてのパリティビットを求めた後にインターリーブ処理を行うと、処理時間を要するという問題があった。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、空間結合LDPC符号の構成に着目し、パリティビットのインターリーブ処理時間を短縮することが可能な符号化装置、復号装置、半導体チップ、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る符号化装置は、検査行列によって定義される空間結合LDPC符号を生成する符号化装置であって、前記検査行列は、情報部とパリティ部とで構成され、前記情報部は、N種類のm行k列の疎行列を行方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、前記パリティ部は、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列であり、前記検査行列を用いて、情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成するLDPC符号化部と、前記パリティビットをmビットずつ(L+N−1)分割して分割パリティビットを生成するパリティ分割部と、前記分割パリティビットのビットを並べ替えるパリティインターリーブ部と、前記パリティインターリーブ部により並べ替えられた分割パリティビットを結合し、前記情報ビットに付加して空間結合LDPC符号として外部に出力するLDPC符号出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る符号化装置において、前記パリティインターリーブ部は、前記mがq×Mで表せられるとすると、前記分割パリティビットを、記憶部にqビットずつ行及び列の一方の方向に書き込んだ後に、該記憶部からMビットずつ行及び列の他方の方向に読み出すことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る符号化装置は、検査行列によって定義される空間結合LDPC符号を生成する符号化装置であって、前記検査行列は、情報部とパリティ部とで構成され、前記情報部は、N種類のm行k列の疎行列を行方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、前記パリティ部は、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列であり、前記N種類のm行k列の疎行列は、基本疎行列の1をいずれかの同一要素位置に配置した行列であり、前記基本疎行列は、1列目に1が疎に配置され2列目以降は1列目の1をq行分サイクリックにシフトさせた位置に1が配置されたm行k列の行列であり、前記検査行列を用いて、情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成するLDPC符号化部を備え、前記LDPC符号化部は、並列処理数がm/qの並列処理を行って、mビットずつのパリティビットを生成することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る復号装置は、検査行列によって定義される空間結合LDPC符号を復号する復号装置であって、前記検査行列は、情報部とパリティ部とで構成され、前記情報部は、N種類のm行k列の疎行列を行方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、前記パリティ部は、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列であり、空間結合LDPC符号のパリティビットに相当する(L+N−1)m個の尤度比をm個ずつ(L+N−1)分割して分割パリティ尤度比を生成するパリティ分割部と、前記分割パリティ尤度比を並べ替えるパリティデインターリーブ部と、前記パリティデインターリーブ部により並び替えられた分割パリティ尤度比を結合し、情報ビットに相当する尤度比に付加した尤度比を生成するパリティ結合部と、パリティ結合部により生成された尤度比を用いて空間結合LDPC符号を復号するLDPC符号復号部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係る復号装置において、前記パリティデインターリーブ部は、前記mがq×Mで表せられるとすると、前記分割パリティ尤度比を、記憶部にM個ずつ行及び列の一方の方向に書き込んだ後に、該記憶部からq個ずつ行及び列の他方の方向に読み出すことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る復号装置において、前記N種類のm行k列の疎行列は、基本疎行列の1をいずれかの同一要素位置に配置した行列であり、前記基本疎行列は、1列目に1が疎に配置され2列目以降は1列目の1をq行分サイクリックにシフトさせた位置に1が配置されたm行k列の行列であることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体チップは、検査行列によって定義される空間結合LDPC符号を生成する半導体チップであって、前記検査行列は、情報部とパリティ部とで構成され、前記情報部は、N種類のm行k列の疎行列を行方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、前記パリティ部は、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列であり、前記検査行列を用いて、情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成するLDPC符号化部と、前記パリティビットをmビットずつ(L+N−1)分割して分割パリティビットを生成するパリティ分割部と、前記分割パリティビットの順番を並べ替えるパリティインターリーブ部と、前記パリティインターリーブ部により並べ替えられた分割パリティビットを結合し、前記情報ビットに付加して空間結合LDPC符号として外部に出力するLDPC符号出力部と、を備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体チップは、検査行列によって定義される空間結合LDPC符号を生成する半導体チップであって、前記検査行列は、情報部とパリティ部とで構成され、前記情報部は、N種類のm行k列の疎行列を行方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、前記パリティ部は、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列であり、前記N種類のm行k列の疎行列は、基本疎行列の1をいずれかの同一要素位置に配置した行列であり、前記基本疎行列は、1列目に1が疎に配置され2列目以降は1列目の1をq行分サイクリックにシフトさせた位置に1が配置されたm行k列の行列であり、前記検査行列を用いて、情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成するLDPC符号化部を備え、前記LDPC符号化部は、並列処理数がm/qの並列処理を行って、mビットずつのパリティビットを生成することを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体チップは、検査行列によって定義される空間結合LDPC符号を復号する半導体チップであって、前記検査行列は、情報部とパリティ部とで構成され、前記情報部は、N種類のm行k列の疎行列を行方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、前記パリティ部は、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列であり、空間結合LDPC符号のパリティビットに相当する(L+N−1)m個の尤度比をm個ずつ(L+N−1)分割して分割パリティ尤度比を生成するパリティ分割部と、前記分割パリティ尤度比の順番を並べ替えるパリティデインターリーブ部と、前記パリティデインターリーブ部により並び替えられた分割パリティ尤度比を結合し、情報ビットに相当する尤度比に付加した尤度比を生成するパリティ結合部と、パリティ結合部により生成された尤度比を用いて空間結合LDPC符号を復号するLDPC符号復号部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記符号化装置として機能させることを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記復号装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、空間結合LDPC符号のパリティビットのインターリーブ処理時間を短縮することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る符号化装置について、以下に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る符号化装置を備える送信装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示す例では、送信装置1は、符号化装置10と、OFDM変調部20とを備える。この図では主要な処理ブロックのみ示しており、時間インターリーブ処理部など、本発明に直接関連しない処理部については省略している。
【0023】
符号化装置10は、情報ビットにパリティビット(冗長ビット)が付加された空間結合LDPC符号を生成し、OFDM変調部20に出力する。本明細書においては、空間結合LDPC符号とは、1の要素が帯状に斜めに配置された検査行列により定義されるLDPC符号とする。また、BCH符号を外符号とし空間結合LDPC符号を内符号とする連接符号も含むものとする。符号化装置10は、LDPC符号化部11と、パリティ分割部12と、複数のパリティインターリーブ部13と、LDPC符号出力部14とを備える。
【0024】
OFDM変調部20は、符号化装置10から入力される空間結合LDPC符号をOFDM変調してOFDM信号を生成し、アンテナを介して外部に送信する。
【0025】
LDPC符号化部11は、後述する空間結合検査行列H
Cを用いて、情報ビットにパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成し、パリティビットをパリティ分割部12に出力する。
【0026】
ここで、まずLDPC符号の一般的な生成手法について説明する。LDPC符号は検査行列Hを用いて生成される。検査行列HのサイズはLDPC符号の符号長nに比例するため、符号長nが大きくなると検査行列Hも大きなサイズの行列となる。したがって、符号化に必要な生成行列Gを計算する際の演算量は非常に大きくなる。あるいは生成行列Gを予め計算して記憶させておき符号化を行う場合においても非常に大きなメモリが必要となる。このように符号化における演算量又は所要メモリ量がLDPC符号の課題の一つとなっている。
【0027】
これを解決する一つの手段として、LDGM(Low-Density Generator Matrix)構造を導入した検査行列を用いてLDPC符号を生成する手法が提案されている。LDGM構造とは、検査行列Hを式(1)に示すように情報部H
Iとパリティ部H
Pに分割することで、検査行列Hから生成行列Gを求めずに直接符号化を可能にすることを特徴としている。本発明もLDGM構造を有する検査行列を用いるものとする。
【0029】
図2は、本発明で用いられる空間結合LDPC符号の検査行列H
Cを示す模式図である。空間結合LDPC符号は、いくつかのLDPC符号を結合することで構成されるLDPC畳み込み符号の一種であり、斜めの帯状に1が疎に存在する検査行列によって定義される。上記のように、空間結合LDPC符号の検査行列(以下、空間結合検査行列という。)H
Cは、LDGM構造を有し、情報部H
Iとパリティ部H
Pとで構成される行列である。
【0030】
情報部H
Iは、符号長n、パリティ長mの疎行列(以下、基本疎行列という。)H
Bに基づいて生成される。ここで、k=n−mとする。情報部H
Iは、N種類(N:2以上の自然数)のm行k列の疎行列を列方向(縦方向)に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列である。N種類の疎行列は、m行k列の基本疎行列H
Bの各要素をN個のいずれかの行列に振り分けることにより生成される。
図2ではN=2の場合を示しており、2種類の疎行列をH
U,H
Lと表記している。
【0031】
図3は、基本疎行列H
Bを示す模式図である。基本疎行列H
Bはm行M列の行列ごとに周期的構造を有し、各m行M列の行列では1列目に1が疎に配置され、2列目以降は1列目の1をq行分サイクリックにシフトさせた位置に1が配置される。Mはm/qとする。
【0032】
図4は、基本疎行列H
Bを2つに分割した疎行列H
U,H
Lを示す模式図である。ここでは説明のため、基本疎行列H
B、及び疎行列H
U,H
Lについてそれぞれm行M列の行列のみを示している。疎行列H
U,H
Lは、基本疎行列H
Bの1をいずれかの同一要素位置に配置した行列である。
【0033】
図5は、空間結合検査行列H
Cのパリティ部H
Pを示す行列である。
図5に示すように、パリティ部H
Pは2重対角行列である。2重対角行列とは、対角の要素と該対角の真下の要素を1とし、残り全ての要素を0とする行列である。パリティ部H
Pのサイズは(L+N−1)m行、(L+N−1)m列であり、
図2ではN=2の場合を示している。
【0034】
LDPC符号化部11は、上述した(L+N−1)m行、{L・k+(L+N−1)m}列の空間結合検査行列H
Cを用いて、L・kビットの情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成する。
【0035】
パリティ分割部12は、LDPC符号化部11により生成された(L+N−1)mビットのパリティビットをmビットずつ(L+N−1)分割し、それぞれパリティインターリーブ部13に出力する。そのため、パリティインターリーブ部13の数は(L+N−1)個である。なお、
図1ではN=2の場合を示しており、この場合のパリティインターリーブ部13の数は(L+1)個である。
【0036】
図6は、パリティ分割部12の処理を説明する図である。
図6ではN=2の場合を示しており、この場合パリティ分割部12は、(L+1)mビットのパリティビットp
0,p
1,・・・,p
m−1,p
m,p
m+1,・・・,p
2m−1,・・・,p
(L+1)m−1を入力し、mビットずつ分割して(L+1)個の分割されたパリティビット(以下、「分割パリティビット」という。)を生成する。そして、分割パリティビットp
0,p
1,・・・,p
m−1をパリティインターリーブ部13−1に出力し、分割パリティビットp
m,p
m+1,・・・,p
2m−1をパリティインターリーブ部13−2に出力し、以下同様にして、分割パリティビットp
Lm,p
Lm+1,・・・,p
(L+1)m−1をパリティインターリーブ部13−(L+1)に出力する。
【0037】
各パリティインターリーブ部13は、パリティ分割部12により生成されたmビットの分割パリティビットの順番を並べ替え、LDPC符号出力部14に出力する。
【0038】
図7は、パリティインターリーブ部13の処理を説明する図である。この図では代表してパリティインターリーブ部13−1の処理を示している。m=q×Mとすると、パリティインターリーブ部13−1は、分割パリティビットp
0,p
1,・・・,p
q−1,p
q,p
q+1,・・・,p
2q−1,p
2q,p
2q+1,・・・,p
3q−1,・・・,p
(M−1)q,p
(M−1)q+1,・・・,p
m−1を、図示しない記憶部にqビットずつ列方向に書き込んだ後に、該記憶部からMビットずつ行方向に読み出す。すなわち、出力される分割パリティビットの順は、p
0,p
q,p
2q,・・・,p
(M−1)q,p
1,p
q+1,p
2q+1,・・・p
(M−1)q+1,・・・,p
q−1,p
2q―1,p
3q―1,・・・,p
m−1となる。なお、パリティインターリーブ部13は分割パリティビットを記憶部にqビットずつ行方向に書き込んだ後に、該記憶部からMビットずつ列方向に読み出してもよいのは勿論である。また、並べ替え方法はこれに限定されるものではない。
【0039】
なお、パリティインターリーブ部13の処理をC言語で表現すると、入力パリティデータpi[ ]、出力パリティデータpo[ ]として、以下のように表すことができる。
for(int i=0; i<(L+N-1); i++){
for(int j=0; j<m; j++){
int r = m/q;
int c = m%q;
po[im + cM + r] = pi[im + j];
}
}
【0040】
LDPC符号出力部14は、(L+N−1)個のパリティインターリーブ部13により並べ替えられた分割パリティビットを結合し、情報ビットに付加して空間結合LDPC符号として外部に出力する。
【0041】
空間結合LDPC符号の符号語cは、式(2)の条件を満たす。ここで、Tは行列の転置を表す。式(2)により(L+N−1)m個の関係式が得られ、これを解くことで(L+N−1)mビットのパリティビットを算出できる。
【0043】
2重対角行列のパリティ部H
Pを用いた場合、空間結合検査行列H
Cの1行目を用いた関係式から1ビット目のパリティビットp
0が求まる。空間結合検査行列H
Cの2行目を用いた関係式と1ビット目のパリティビットp
0とから、2ビット目のパリティビットp
1が求まる。空間結合検査行列H
Cの3行目を用いた関係式と2ビット目のパリティビットp
1とから、3ビット目のパリティビットp
2が求まる。このようにして順番にパリティビットを求めることができる。
【0044】
図8は、LDPC符号化部11によるパリティビットの生成について説明する図でり、N=2の場合を示している。空間結合LDPC符号を生成する場合においては、式(2)の条件式を満たすパリティビットをm行単位で算出することができる。LDPC符号出力部14は、空間結合検査行列H
Cのうち最初のm行を用いて、最初のmビットのパリティビットp
0,p
1,・・・,p
m−1を算出することができる。
図8ではこのmビットのパリティビットをP
0と示す。また、LDPC符号出力部14は、空間結合検査行列H
Cのうち次のm行(m+1行目から2m行目)を用いて、次のmビットのパリティビットp
m,p
m+1,・・・,p
2m−1を算出することができる。
図8ではこのmビットのパリティビットをP
1と示す。以下、同様にして、パリティビットP
0,P
1,・・・,P
Lを算出することができる。
【0045】
このように、符号化装置10は、LDPC符号化部11により、空間結合検査行列H
Cを用いて、情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された空間結合LDPC符号を生成し、パリティ分割部12により、パリティビットをmビットずつ(L+N−1)分割して分割パリティビットを生成し、パリティインターリーブ部13により、分割パリティビットの順番を並べ替え、LDPC符号出力部14により、パリティインターリーブ部13により並べ替えられた分割パリティビットを結合し、情報ビットに付加して空間結合LDPC符号として外部に出力する。かかる構成により、空間結合LDPC符号の生成が完了するのを待たないで、mビットのパリティビットを生成するごとにインターリーブ処理を行うことができるため、空間結合LDPC符号の生成及びパリティビットのインターリーブ処理に要する時間を短縮することができる。
【0046】
つぎに、パリティビットを並列演算処理により生成するLDPC符号化部11’について検討する。空間結合LDPC符号を生成する場合においては、基本疎行列H
BがM列ごとに周期性を有する行列である場合には、mビットずつのパリティビットを生成するにあたり、並列処理数M=m/qの並列処理を行うことができる。詳細については、例えばMarco Gomes、他4名、“High Throughput Encoder Architecture for DVB-S2 LDPC-IRP Codes”、IEEE ICM、2007年を参照されたい。
【0047】
具体的には、
図2に示す空間結合検査行列H
Cを使用した場合、疎行列H
U_0,H
L_0を用いて最初のmビットのパリティビットp
0,p
1,・・・,p
m−1を並列処理により算出し、次にこの結果(パリティビットp
0,p
1,・・・,p
m−1)と、疎行列H
U_1,H
L_1を用いて次のmビットのパリティビットp
m,p
m+1,・・・,p
2m−1を並列処理により算出することができる。以下、同様にして、算出済みのパリティビットp
(k−1)m,p
(k−1)m+1,・・・,p
km−1と、疎行列H
U_k,H
L_kとを用いて、mビットのパリティビットp
km,p
km+1,・・・,p
(k+1)m−1を並列処理により算出することができる。
【0048】
また、並列処理数Mでmビットのパリティビットを生成する場合、1ビット目からmビット目まで順番に生成されるのではなく、1ビット目からqビットおきにMビット生成され、2ビット目からqビットおきにMビットされ、同様にして最後はqビット目からqビットおきにMビット生成される。つまり、
図7で示したパリティインターリーブ部13の処理順と同じく、p
0,p
q,p
2q,・・・,p
(M−1)q,p
1,p
q+1,p
2q+1,・・・p
(M−1)q+1,・・・,p
q−1,p
2q―1,p
3q―1,・・・,p
m−1の順序で生成される。
【0049】
したがって、符号化装置10が、パリティビットを並列演算処理により算出するLDPC符号化部11’を備える場合には、パリティビットのインターリーブ処理も同時に行われるため、パリティ分割部12、パリティインターリーブ部13、及びLDPC符号出力部14は不要となる。
【0050】
このように、符号化装置10は、LDPC符号化部11’により、並列処理数がm/qの並列処理を行って、mビットずつのパリティビットを生成することもできる。パリティビットの演算処理を並列で行うことにより、パリティビットの算出に要する時間を短縮することができる。
【0051】
なお、上述した送信装置1又は符号化装置10として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、送信装置1又は符号化装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0052】
また、上述した送信装置1又は符号化装置10は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。この半導体チップは、送信装置1又は符号化装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを実行するCPUを搭載してもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る復号装置について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る復号装置の構成例を示すブロック図である。
図9に示す例では、受信装置2は、OFDM復調部30と、尤度比算出部40と、復号装置50とを備える。この図では主要な処理ブロックのみ示しており、時間デインターリーブ処理部など、本発明に直接関連しない処理部については省略している。
【0054】
受信装置2は、第1の実施形態に係る送信装置1が送信するOFDM信号を受信する装置であり、空間結合検査行列H
Cによって定義される空間結合LDPC符号を復号する。上述したように、空間結合検査行列H
Cは、情報部H
Iとパリティ部H
Pとで構成され、情報部H
Iは、N種類のm行k列の疎行列を列方向に結合させたN・m行k列の疎行列L個をm行k列ずつずらして結合させた、(L+N−1)m行、L・k列の行列であり、パリティ部H
Pは、対角の要素と該対角の真下の対角の要素を1とし、残り全ての要素を0とする、(L+N−1)m行、(L+N−1)m列の行列である。
【0055】
さらに、上述したように、基本疎行列H
Bを、1列目に1が疎に配置され2列目以降は1列目の1をq行分サイクリックにシフトさせた位置に1が配置されたm行k列の行列とし、N種類のm行k列の疎行列を、基本疎行列H
Bの1をいずれかの同一要素位置に配置した行列としてもよい。
【0056】
OFDM復調部30は、送信装置1からOFDM信号を受信し、復調して空間結合LDPC符号を生成し、尤度比算出部40に出力する。空間結合LDPC符号は送信装置1で生成された、L・kビットの情報ビットに(L+N−1)mビットのパリティビットが付加された符号である。
【0057】
尤度比算出部40は、OFDM復調部30により生成された空間結合LDPC符号の各ビットの尤度比を算出し、復号装置50に出力する。尤度比としては、一般的に対数尤度比(LLR:Log-Likelihood Ratio)が用いられる。n番目のビットの対数尤度比λnは、n番目のビットのビット値が0となる尤度関数と1となる尤度関数との比の対数で表される。
【0058】
復号装置50は、尤度比算出部40から尤度比を入力し、空間結合LDPC符号を復号して情報ビットを出力する。復号装置50は、尤度比分離部51と、パリティ分割部52と、複数のパリティデインターリーブ部53と、パリティ結合部54と、LDPC符号復号部55とを備える。
【0059】
尤度比分離部51は、空間結合LDPC符号の各ビットの尤度比を入力する。そして、尤度比分離部51は、空間結合LDPC符号のパリティビットに相当する(L+N−1)m個の尤度比をパリティ分割部52に出力し、空間結合LDPC符号の情報ビットに相当するL・k個の尤度比をパリティ結合部54に出力する。
【0060】
パリティ分割部52は、尤度比分離部51から入力される尤度比をm個ずつ(L+N−1)分割して分割された尤度比(以下、分割パリティ尤度比という。)を生成し、それぞれパリティデインターリーブ部53に出力する。そのため、パリティデインターリーブ部53の数は(L+N−1)個である。なお、
図9ではN=2の場合を示しており、この場合のパリティデインターリーブ部53の数は(L+1)個である。
【0061】
各パリティデインターリーブ部53は、パリティ分割部52から入力されるm個の分割パリティ尤度比の順番を、送信装置1のパリティインターリーブ部13による並べ替えと逆方向に並べ替え、パリティ結合部54に出力する。例えば
図7に示したように、各パリティインターリーブ部13がパリティビットを記憶部にqビットずつ列方向に書き込んだ後に、該記憶部からMビットずつ行方向に読み出して並べ替えた場合には、各パリティデインターリーブ部53は、尤度比を記憶部にM個ずつ行方向に書き込んだ後に、該記憶部からq個ずつ列方向に読み出す。なお、各パリティインターリーブ部13がパリティビットを記憶部にqビットずつ行方向に書き込んだ後に、該記憶部からMビットずつ列方向に読み出して並べ替えた場合には、各パリティデインターリーブ部53は、尤度比を記憶部にM個ずつ列方向に書き込んだ後に、該記憶部からq個ずつ行方向に読み出す。
【0062】
パリティ結合部54は、各パリティデインターリーブ部53から入力されるパリティビットに相当する尤度比を結合し、尤度比分離部51から入力される情報ビットに相当する尤度比に付加した尤度比を生成し、LDPC符号復号部55に出力する。
【0063】
LDPC符号復号部55は、パリティ結合部54により生成された尤度比を用いて、既知の手法(例えば、sum-product復号法)により、空間結合LDPC符号の復号を行い、情報ビットを外部に出力する。
【0064】
このように、復号装置50は、パリティ分割部52により空間結合LDPC符号のパリティビットに相当する(L+N−1)m個の尤度比をm個ずつ(L+N−1)分割して分割パリティ尤度比を生成し、パリティデインターリーブ部53により分割パリティ尤度比を並べ替え、パリティ結合部54によりパリティデインターリーブ部53により並び替えられた分割パリティ尤度比を結合し、情報ビットに相当する尤度比に付加した尤度比を生成し、LDPC符号復号部55によりパリティ結合部54により生成された尤度比を用いて空間結合LDPC符号を復号する。かかる構成により、符号化装置10により生成された空間結合LDPC符号を復号することができる。
【0065】
また、復号装置50は、入力されたデータをデインターリーブするのではなく、空間結合検査行列H
Cの行を入力データに合わせて並べ替えておくことにより、パリティデインターリーブ処理を行わずに、すなわちパリティ分割部52、パリティデインターリーブ部53、及びパリティ結合部54を備えることなく、LDPC符号を復号することも可能である。
【0066】
なお、上述した受信装置2又は復号装置50として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、受信装置2又は復号装置50の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0067】
また、上述した受信装置2又は復号装置50は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。この半導体チップは、受信装置2又は復号装置50の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを実行するCPUを搭載してもよい。
【0068】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。