(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合性液晶材料が、一般式(V)
【化4】
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spはそれぞれ独立的にスペーサー基を表し、i、は0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R
5は末端基、もしくは-(Sp)i-P基と同じ意味を表す)で表され、Spは炭素原子数1から20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていてもよく、この基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH
3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていてもよく、MGは一般式(Va)
【化5】
(式中、A
51、A
52及びA
53はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z
50、Z
51、Z
52及びZ
53はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH
2 CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH
2CH
2COO-、-CH
2CH
2OCO-、-COO CH
2CH
2-、-OCOCH
2CH
2-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、nは0、1、2又は3を表し、R
5は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH
3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、
‐CH=CH−又は-C≡C-により置き換えられていてもよい、もしくは‐(Sp)i-P基と同じ意味を表す)で表される構造を表し、Pは一般式(Vc)、(Vd)又は、一般式(Ve)
【化6】
(式中、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、及びR
56はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、kは0又は1を表す。))で表される化合物を含有することを特徴とする請求項7記載の位相差フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明の光配向膜用の共重合体は、一般式(I)
【0015】
(式中、R
1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子又は炭素数1から4のアルキル基を表し、Z
1、Z
2及びZ
3はそれぞれ独立して、単結合、 -(CH
2)
u-(uは1から20の整数を表し、一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-NRCOO-、-OCONR-、-NRCONR-、-CH=CH-、-CC-又は-OCOO-で置換されていてもよい。Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2CF
2-又は-CC-を表し、A
1及びA
2はそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン、トランス−1,4−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基又は1,4−フェニレン基を表し、これらは無置換であるか又は一つ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、Aは1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基又は1,4−フェニレン基を表し、これらは無置換であるか又は一つ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、p及びqはそれぞれ独立して0又は1を表し、X及びYはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素数1から20のアルキル基を表すが、該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、一つの-CH
2基-又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-O-、-O-CO-又は-CH=CH-で置換されていてもよく、Zは一般式(Ia)又は(Ib)で表され、
【0017】
(式中、破線はZが結合する炭素原子への結合を表し、R
11は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数2から20のアルケニル基(該アルケニル基中の一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-NCH
3-で置換されていてもよく、該アルケニル基中の水素原子はシアノ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1から20のアルキル基(該アルキル基中の一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-NCH
3-で置換されていてもよく、及び/又は該アルキル基中の水素原子はシアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルキル基中の一つの-CH
2-基は、環員数3から8のシクロアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、R
12は水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1から20のアルキル基、又は炭素原子数2から20のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中の一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-NCH
3-で置換されていてもよく、該アルキル基又はアルケニル基中の水素原子はシアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルキル基又はアルケニル基中の一つの-CH
2-基は、環員数3から8のシクロアルキル基で置換されていてもよい。)で表される化合物、及び一般式(IIa)、(IIb)及び(IIc)
【0019】
(式中、R
21、R
22及びR
23はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基を表し、Z
21、Z
22及びZ
23はそれぞれ独立して、炭素原子数2から12の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、該アルキレン基中の一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-NRCOO-、-OCONR-、-NRCONR-、-CH=CH-、-CC-、-OCOO-又はフェニル基で置換されていてもよく、かつ、該アルキレン基中の水素原子は水酸基で置換されていてもよく、Rは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、R
21、R
22及びR
23はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基を表し、対イオンQ
-は、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン又は四弗化ホウ素イオンを表す。)から少なくとも1つ選択される化合物を含む混合物の共重合物である。
【0020】
一般式(I)において、R
1は水素原子、フッ素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましく、分子量10万以上の共重合体を安定に製造する観点からはメチル基が特に好ましい。
【0021】
Z
1としては-(CH
2)u-(uは1から20の整数を表し、一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-NRCOO-、-OCONR-、-NRCONR-、-CH=CH-、-CC-、-OCOO-で置換されていてもよい。Rは水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。)が好ましく、水/アルコール系溶剤への溶解性を向上させる観点からuは2から12が好ましく、2から8が更に好ましい。また、水/アルコール系溶剤への溶解性を向上させる観点から一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基を-O-、-CO-で置換することが好ましく、特に-O-で置換することが好ましい。
【0022】
Z
2及びZ
3としては単結合、-COO-、-OCO-が好ましく、-COO-、-OCO-が特に好ましい。
A
1及びA
2としてはピリミジン−2,5−ジイル基又は1,4−フェニレン基が好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
Aは1,4−フェニレン基又はピリジン−2,5−ジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。また、一つの水素原子がフッ素原子、メチル基、メトキシ基で置換することが好ましい。
X及びYはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、シアノ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0023】
Zとしては、一般式(Ia)及び(Ib)において、R
11が直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数2から20のアルキル基及びアルケニル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。また、水/アルコール系溶剤への溶解性を確保する観点から炭素原子数は2から8が好ましく、2から4であるのがより好ましい。R
11中の一つの-CH
2-基または二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-O-、-O-CO-で置換されているか、R
11中の水素原子はシアノ基で置換されていることが好ましく、良好な配向性能を確保する観点からはR
11中の水素原子がシアノ基で置換されていることが特に好ましい。R
12は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1から20のアルキル基、又は炭素原子数2から20のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中の一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-NCH
3-で置換されていてもよく、該アルキル基又はアルケニル基中の水素原子はシアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルキル基又はアルケニル基中の一つの-CH
2-基は、環員数3から8のシクロアルキル基で置換されていてもよい。)で表される化合物が好ましく、炭素原子数は1から8が好ましく、1から4であるのがより好ましい。
また、Zとしては、保存安定性を確保する観点から一般式(Ia)を選択することが好ましい。
【0024】
水/アルコール系溶剤への溶解性を確保する観点から、p及びqは0が好ましく、rは1であることが好ましい。また、少ない偏光UV光の照射で良好な配向を確保する観点からは、pとqの和が1、rは1であることが好ましい。一般式(I)で表される化合物としては、次の一般式(I-1)で表される化合物が好ましい。
【0026】
(式中、uは2〜12の整数を表し、tは0または1の整数を表し、Z
11は-COO- 、-OCO-、単結合を表し、W
11は水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基を表し、W
12は、
【0028】
(式中、破線はW
12と結合するOとの結合手を表す)で表される基を表す))
一般式(I-1)において、Z
11は-COO-が好ましい。水/アルコール系溶剤への溶解性を確保する観点からは、tが0であることが好ましく、W
11は水素原子が好ましい。また、少ない偏光UV光の照射で良好な配向を確保する観点からは、uは8〜12であることが好ましく、tが1であることが好ましく、W
11はメチル基が好ましく、W
12としては(W
12-1)を選択することが好ましい。
【0029】
更に具体的には(Ie-1)から(Ie-56)の化合物を挙げることができる。
【0036】
(式中、uは2から12の整数を表す。)以上のような、化合物の中でも、式(Ie-1)、(Ie-5)、(Ie-8)、(Ie-12)、(Ie-15)、(Ie-19)、(Ie-22)、(Ie-26)、(Ie-29)、(Ie-33)、(Ie-36)、(Ie-40)、(Ie-43)、(Ie-47)、(Ie-50)、(Ie-54)は合成が簡便であり、かつ保存性や信頼性も優れるので好ましい。また、(Ie-57)、(Ie-62)は、少ない偏光UV光の照射で良好な配向を確保できるので好ましい。
一般式(IIa)、(IIb)及び(IIc)において、R
21、R
22及びR
23はそれぞれ独立して水素原子、メチル基が更に好ましく、分子量10万以上の共重合体を安定に製造する観点からはメチル基が特に好ましい。Z
21、Z
22及びZ
23はそれぞれ独立して、炭素原子数2から8の直鎖若しくは分岐アルキレン基が好ましく、炭素原子数2から6の直鎖若しくは分岐アルキレン基であることが好ましい。式(IIb)における対イオンQは、塩素イオンが好ましい。一般式(IIa)、(IIb)及び(IIc)で表される化合物としては、具体的には(IIa-1)から(IIa-3)、(IIb-1)から(IIb-2)、(IIc-1)から(IIc-2)の化合物を挙げることができる。
【0038】
基板との密着性を確保する目的から、一般式(I)の化合物、及び一般式(IIa)、(IIb)及び(IIc)から選択される少なくとも一つの化合物を含有する混合物に、一般式(III)
【0040】
(式中、R
31は水素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基を表し、Z
31は炭素原子数1から12のアルキル基を表し、該アルキル基中の-CH
2-基が環員数3から6の環状エーテル基で置換されている)で表される化合物を加えても良い。R
31は水素原子、メチル基が更に好ましく、分子量10万以上の共重合体を安定に製造する観点からはメチル基が特に好ましい。環状エーテル基としては、環員数が3から4であり、酸素原子数が1のものを用いるのが好ましい。
【0041】
一般式(III)の化合物としては、具体的に(III-1)から(III-3)の化合物を挙げることができる。
【0043】
また、基板との密着性を確保する目的から、一般式(I)の化合物、及び一般式(IIa)、(IIb)及び(IIc)から選択される少なくとも一つの化合物を含有する混合物に、一般式(IV)
【0045】
(式中、R
41は水素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基を表し、Z
41は炭素原子数2から8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であってカルボキシル基を有し、かつ一つの-CH
2-基又は二つ以上の非隣接の-CH
2-基は-O-、-COO-、-OCO-で置換されていてもよい)で表される化合物を加えてもよい。R
41は水素原子又はメチル基が好ましく、分子量10万以上の共重合体を安定に製造する観点からはメチル基が特に好ましい。一般式(IV)の化合物としては、具体的に(IV-1)から(IV-2)の化合物を挙げることができる。
【0047】
本発明の共重合体において、一般式(I)に由来する構造の導入率をx(%)、一般式(IIa)に由来する構造の導入率をy(%)、一般式(IIb)に由来する構造の導入率をz(%)、一般式(IIc)に由来する構造の導入率をu(%)、一般式(III)に由来する構造の導入率をv(%)とした時、一般式(IV)に由来する構造の導入率をw(%)とした時、xは30〜90%であることが好ましく、40〜80%が更に好ましく、50〜70%が特に好ましい。yは10〜70%であることが好ましく、20〜60%が更に好ましく、30〜50%が特に好ましい。zは0〜70%であることが好ましく、0〜60%が更に好ましく、0〜50%が特に好ましい。uは0〜70%であることが好ましく、0〜60%が更に好ましく、0〜50%が特に好ましい。vは0〜15%であることが好ましく、0〜10%が更に好ましく、0〜8%が特に好ましい。wは0〜10%であることが好ましく、0〜8%が更に好ましく、0〜6%が特に好ましい。一般式(IIa)及び一般式(IIb)に由来する構造が同時に導入されていることは水/アルコール系溶剤への溶解性を制御する観点から好ましく、(y+z)が10〜70%であることが好ましく、20〜60%が更に好ましく、30〜50%が特に好ましい。また、一般式(IIa)及び一般式(IIc)に由来する構造が同時に導入されていることも水/アルコール系溶剤への溶解性を制御する観点から好ましく、(y+u)が10〜70%であることが好ましく、20〜60%が更に好ましく、30〜50%が特に好ましい。
【0048】
本発明の共重合体は具体的には、一般式(I)の化合物、一般式(IIa)、(IIb)及び(IIc)から選択される少なくとも一つの化合物、及び必要に応じて一般式(III)及び/又は一般式(IV)の化合物を含有する混合物のラジカル重合によって製造することができる。典型的な方法として熱ラジカル重合を挙げることができる。これは反応容器中に該混合物、及び熱重合開始剤、必要に応じて有機溶剤を加えて加熱撹拌することによって行える。熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物を例示することができる。熱重合開始剤の添加量は、該混合物に対して、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜6質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましい。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−ブタノン、アセトン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は一種を単独で用いてもよいし、二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。熱重合後、必要に応じて有機溶剤を留去した後、カラムクロマトグラフィーや再沈などの方法によって製造することが好ましい。
【0049】
本発明の液晶配向層(光配向膜)の製造方法の例としては、本発明の共重合体を溶媒に溶解させ、基板上に塗布した後、塗膜を光照射して配向制御能力を発現させて光配向膜とする方法が挙げられる。本発明の共重合体を溶媒に溶解させて溶液とする際、他の高分子材料を添加しても良い。高分子材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等を挙げることができる。
【0050】
また、塗布時のレベリング性を確保することを目的として界面活性剤を添加しても良い。含有することができる界面活性剤としては、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、アルキルアンモニウム塩、フルオロアルキルアンモニウム塩類、シリコーン誘導体等をあげることができ、特に含フッ素界面活性剤、シリコーン誘導体が好ましい。更に具体的には「MEGAFAC F−110」、「MEGAFACF−113」、「MEGAFAC F−120」、「MEGAFAC F−812」、「MEGAFAC F−142D」、「MEGAFAC F−144D」、「MEGAFAC F−150」、「MEGAFAC F−171」、「MEGAFACF−173」、「MEGAFAC F−177」、「MEGAFAC F−183」、「MEGAFAC F−195」、「MEGAFAC F−824」、「MEGAFAC F−833」、「MEGAFAC F−114」、「MEGAFAC F−410」、「MEGAFAC F−493」、「MEGAFAC F−494」、「MEGAFAC F−443」、「MEGAFAC F−444」、「MEGAFAC F−445」、「MEGAFAC F−446」、「MEGAFAC F−470」、「MEGAFAC F−471」、「MEGAFAC F−474」、「MEGAFAC F−475」、「MEGAFAC F−477」、「MEGAFAC F−478」、「MEGAFAC F−479」、「MEGAFAC F−480SF」、「MEGAFAC F−482」、「MEGAFAC F−483」、「MEGAFAC F−484」、「MEGAFAC F−486」、「MEGAFAC F−487」、「MEGAFAC F−489」、「MEGAFAC F−172D」、「MEGAFAC F−178K」、「MEGAFAC F−178RM」、「MEGAFAC R−08」、「MEGAFAC R−30」、「MEGAFAC F−472SF」、「MEGAFAC BL−20」、「MEGAFAC R−61」、「MEGAFAC R−90」、「MEGAFAC ESM−1」、「MEGAFAC MCF−350SF」(以上、DIC株式会社製)、
「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェントA」、「フタージェント100A-K」、「フタージェント501」、「フタージェント300」、「フタージェント310」、「フタージェント320」、「フタージェント400SW」、「FTX-400P」、「フタージェント251」、「フタージェント215M」、「フタージェント212MH」、「フタージェント250」、「フタージェント222F」、「フタージェント212D」、「FTX-218」、「FTX-209F」、「FTX-213F」、「FTX-233F」、「フタージェント245F」、「FTX-208G」、「FTX-240G」、「FTX-206D」、「FTX-220D」、「FTX-230D」、「FTX-240D」、「FTX-207S」、「FTX-211S」、「FTX-220S」、「FTX-230S」、「FTX-750FM」、「FTX-730FM」、「FTX-730FL」、「FTX-710FS」、「FTX-710FM」、「FTX-710FL」、「FTX-750LL」、「FTX-730LS」、「FTX-730LM」、「FTX-730LL」、「FTX-710LL」(以上、ネオス社製)、
「BYK−300」、「BYK−302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−315」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−340」、「BYK−344」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−377」、「BYK−350」、「BYK−352」、「BYK−354」、「BYK−355」、「BYK−356」、「BYK−358N」、「BYK−361N」、「BYK−357」、「BYK−390」、「BYK−392」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−Silclean3700」(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2200N」、「TEGO Rad2250」、「TEGO Rad2300」、「TEGO Rad2500」、「TEGO Rad2600」、「TEGO Rad2700」(以上、テゴ社製)等の例をあげることができる。界面活性剤の好ましい添加量は、本発明の共重合体に対して、0.005〜1質量%含有することが好ましく、0.01〜0.5質量%含有することがさらに好ましく、0.02〜0.1質量%含有することが特に好ましい。含有量が0.005質量%より低いときは膜厚ムラ低減効果が得にくい。
【0051】
本発明の共重合体を溶解させるために使用する溶媒は、本発明のポリマーおよび任意的に使用される他の成分を溶解し、これらと反応しないものが好ましく、例えば、N−メチルピロリジノン、ブトキシエタノール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は一種を単独で用いてもよいし、二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。PMMAやCOPなどのプラスチック基板に塗布する場合は、水、及びエタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ブトキシエタノール等のアルコール系溶剤を含有する水/アルコール系溶剤を使用することが好ましい。
【0052】
前記基板の材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、COP、PMMAなどが挙げられる。
【0053】
本発明の共重合体の溶液を基板上に塗布する方法としては、例えばスピンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの方法が挙げられる。塗布する際の溶液の固形分濃度は、0.5〜10重量%が好ましく、基板上に溶液を塗布する方法、粘性、揮発性等を考慮してこの範囲より選択することがさらに好ましい。又、塗布後に該塗布面を加熱する事により、溶媒を除去するのが好ましく、乾燥条件は、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜90℃において、好ましくは10秒〜10分、より好ましくは30秒〜2分である。
【0054】
照射光としては、偏光を使用することが好ましい。光の照射角度は、目的とするプレチルトによって適宜調整すれば良いが、小さいプレチルトを所望の場合には、基板法線方向から照射することが好ましく、大きいプレチルトが所望の場合には、基板法線方向から40〜60度方向から紫外線を照射することが好ましい。照射光は、例えば150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、270nmから450nmの紫外線が更に好ましく、波長310nm付近の紫外光を使用することが特に好ましい。光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。これらの光源からの光に対して、偏光フィルタや偏光プリズムを用いることで直線偏光が得られる。又、このような光源から得た紫外光及び可視光は、干渉フィルタや色フィルタなどを用いて、照射する波長範囲を制限してもよい。又、照射エネルギーは、15mJ/cm
2〜500mJ/cm
2であることが好ましく、20mJ/cm
2〜300mJ/cm
2であることがさらに好ましい。照度は2〜500mW/cm
2であることがより好ましく、5〜300mW/cm
2であることがさらに好ましい。
形成される光配向膜の膜厚は、10〜250nm程度が好ましく、10〜100nm程度がより好ましい。
【0055】
本発明の光学素子は、前記光配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、該重合性液晶組成物中の重合性液晶分子を配向させた状態で紫外線や電子線によって重合させることで製造することができる。重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物としては、一般式(V)
【0057】
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spはそれぞれ独立的にスペーサー基を表し、i、は0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R
5は末端基、もしくは‐(Sp)i-P基と同じ意味を表す)で表される化合物を挙げることができる。
更に具体的には、一般式(V)において、Spが炭素原子数1から20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つの-CH
2-基又は隣接していない2つ以上の-CH
2-基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH
3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、MGが一般式(Va)
【0059】
(式中、A
51、A
52及びA
53はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z
50、Z
51、Z
52及びZ
53はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH
2 CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH
2CH
2COO-、-CH
2CH
2OCO-、-COO CH
2CH
2-、-OCOCH
2CH
2-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、nは0、1、2又は3を表し、R
5は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH
3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、‐C=C−又は-C≡C-により置き換えられていても良い、もしくは‐(Sp)i-P基と同じ意味を表す)で表される構造を表し、Pが一般式(Vc)、(Vd)又は一般式(Ve)
【0061】
(式中、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、及びR
56はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、kは0又は1を表す。)で表される化合物を挙げることができる。更に具体的には、式(V-1)から(V-45)の化合物を挙げることができる。
【0063】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して2〜10の整数を表し、Xはフッ素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基を表す)
【0065】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して2〜10の整数を表す)
【0067】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して2〜10の整数を表し、Xはフッ素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基を表す)
【0069】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して2〜10の整数を表す)
【0070】
重合性液晶材料には、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤として公知慣用のものが使用できる。例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア369」)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア379」)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア819」)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアOXE01」)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアOXE02」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。光重合開始剤の含有率1〜10質量が好ましく、2〜7質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0071】
重合性液晶組成物には重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、フェノール系化合物、キノン系化合物、アミン系化合物、チオエーテル系化合物、ニトロソ化合物、等が挙げられる。フェノール系化合物としては、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2.2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2.2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4.4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4−メトキシ−1−ナフトール、4,4’−ジアルコキシ−2,2’−ビ−1−ナフトール、等が挙げられる。キノン系化合物としては、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン、tert−ブチル−p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニルベンゾキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等が挙げられる。アミン系化合物としては、p−フェニレンジアミン、4−アミノジフェニルアミン、N.N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−i−プロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1.3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N.N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、4.4'−ジクミル−ジフェニルアミン、4.4'−ジオクチル−ジフェニルアミン等が挙げられる。チオエーテル系化合物としては、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。ニトロソ系化合物としては、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルナフチルアミン、N−ニトロソジナフチルアミン、p−ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p−ニトロソジフェニルアミン、α−ニトロソ−β−ナフトール等、N、N−ジメチルp−ニトロソアニリン、p−ニトロソジフェニルアミン、p−ニトロンジメチルアミン、p−ニトロン−N、N−ジエチルアミン、N−ニトロソエタノールアミン、N−ニトロソジ−n−ブチルアミン、N−ニトロソ−N −n−ブチル−4−ブタノールアミン、N−ニトロソ−ジイソプロパノールアミン、N−ニトロソ−N−エチル−4−ブタノールアミン、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、N−ニトロソモルホリン、N−二トロソーN−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、2,4.6−トリーtert−ブチルニトロンベンゼン、N−ニトロソ−N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−ニトロソ−N−エチルウレタン、N−ニトロソ−N−n−プロピルウレタン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、1−ニトロソ−2−ナフトール−3,6−スルホン酸ナトリウム、2−ニトロソ−1−ナフトール−4−スルホン酸ナトリウム、2−ニトロソ−5−メチルアミノフェノール塩酸塩、2−ニトロソ−5−メチルアミノフェノール塩酸塩等が挙げられる。添加量は、10〜500ppmにすることが好ましい。
【0072】
重合性液晶組成物には、塗膜のレベリング性を確保する目的で界面活性剤を添加することが好ましい。使用することができる界面活性剤としては前述のものを特に制限なく使用することができる。界面活性剤の好ましい添加量は、重合性液晶組成物中に含有される界面活性剤以外の成分や、使用温度等によって異なるが、0.01〜1質量%含有することが好ましく、0.02〜0.5質量%含有することがさらに好ましく、0.03〜0.1質量%含有することが特に好ましい。含有量が0.01質量%より低いときは膜厚ムラ低減効果が得にくい。
【0073】
重合性液晶をホモジニアス配向、もしくはキラル化合物を加えた材料をプラナー配向させる場合、重合性液晶組成物を水平配向させるための化合物を添加する必要がある。このような化合物としては一般式(VI)
【0075】
(式中、R
61、R
62、R
63及びR
64はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基中の水素原子は1つ以上のハロゲン原子で置換されていても良い。)で表される繰り返し単位を有する化合物をあげることができる。
一般式(VI)で表される化合物は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、又は塩素化流動パラフィンが挙げられる。
これ以外にも、フッ素原子が導入された化合物はムラ抑制の観点からも有効である。
【0076】
一般式(VI)で表される繰り返し単位を有する化合物のうち、好適な構造として、式(VIa)〜式(VIf)
【0078】
で表される繰り返し単位を有する化合物が挙げられる。中でも、式(VIa)〜式(VIe)で表される構造がより好ましく、式(VIa)及び式(VIc)で表される構造が特に好ましい。又、式(VIa)〜式(VIf)で表される繰り返し単位を有する化合物を2種以上共重合させた共重合体も好ましい。この場合、式(VIa)及び式(VIb)を有する共重合体、式(VIa)及び式(VIc)を有する共重合体、式(VIa)及び式(VIf)を有する共重合体、及び、式(VIa)、(VIb)及び式(VIf)を有する共重合体がより好ましく、式(VIa)及び式(VIb)を有する共重合体、及び、式(VIa)、(VIb)及び式(VIf)を有する共重合体が特に好ましい。該化合物の質量平均分子量は、小さすぎるとチルト角を減じる効果が乏しくなり、大きすぎると配向が長時間安定しないため最適な範囲が存在する。具体的には、200〜1000000であることが好ましく、300〜100000であることがさらに好ましく、400〜80000であることが特に好ましい。又、該化合物を、重合性液晶組成物中に0.01〜5質量%含有することが好ましく、0.05〜2質量%含有することがより好ましく、0.1〜1質量%含有することが特に好ましい。
【0079】
重合性液晶組成物には、上記の他に目的に応じて汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
【0080】
重合性液晶組成物を本発明の光配向膜に塗布する方法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。溶剤で希釈した重合性液晶組成物を塗布することが好ましい。使用する溶剤は、基材上に塗布した際に基材、あるいは、基材上に形成されている配向膜を溶解させないものであれば良い。また、使用する溶剤としては重合性液晶材料を良く溶解し、かつ本発明の光配向膜材料を侵さない傾向のものを使用することが好ましい。このような例としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶を挙げることができる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0081】
溶剤の比率は、本発明に用いられる重合性液晶組成物が通常塗布により行われることから、塗布した状態を著しく損なわない限りは特に制限はないが、重合性液晶組成物の固形分と溶剤の比率が0.1:99.9〜80:20が好ましく、塗布性を考慮すると、1:99〜60:40がさらに好ましい
溶剤を使用した場合、60〜100℃、さらに好ましくは80〜90℃で加熱して溶剤を揮発させることが好ましい。加熱時間は5秒〜3分が好ましい。
【0082】
本発明の重合性液晶組成物の重合操作については、重合性液晶組成物中の溶剤を乾燥等で除去した後、一般に紫外線等の光照射によって行うのが好ましい。重合を光照射で行う場合は、具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。紫外光の強度としては、1〜100mW/cm
2が好ましく、2〜50mW/cm
2が更に好ましく、5〜30mW/cm
2が特に好ましい。照射エネルギーとしては5〜200mJ/cm
2が好ましく、10〜150mJ/cm
2が更に好ましく、20〜120mJ/cm
2が特に好ましい。
【0083】
得られた光学素子の耐溶剤特性や耐熱性の向上のために、加熱処理することもできる。その加熱温度は、基材として有機材料を使用する場合、基材のガラス転移点を越えない範囲での加熱が好ましい。
【実施例】
【0084】
以下、例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらによって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0085】
(参考例1)
以下の経路にしたがって式(S-1)で表される化合物を合成した。
【0086】
【化29】
【0087】
4-ヒドロキシ桂皮酸82g、2−メトキシエタノール46g、p-トルエンスルホン酸10gをシクロヘキサン500mlおよびジイソプロピルエーテル70mlに溶解させ、生成する水を除去しながら8時間加熱還流した。室温に冷却した後、酢酸エチルを用いて抽出し、酢酸エチルを減圧留去することにより(S-1-1)の粗生成物98gを得た。これを2倍量のメタノールから再結晶を行い、(S-1-1)の化合物72gを得た。(S-1-1)の化合物を35.2g、メタクリル酸-6-クロロヘキシルを42.2g、炭酸カリウム28.5gをジメチルホルムアミド300mlに溶解させ、60℃で7時間撹拌した。この反応溶液を室温まで冷却し、水1000ml、10%塩酸水溶液を100ml加えた後、トルエンを用いて抽出し、トルエンを減圧留去することにより60gの(S-1)の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)を用いて精製し、淡黄色液体の(S-1)を39g得た。
【0088】
(参考例2)
参考例1と同様にして、式(S-2)で表される化合物を合成した。
【0089】
【化29】
【0090】
(参考例3)
参考例1と同様にして、式(S-3)で表される化合物を合成した。
【0091】
【化30】
【0092】
(参考例4)
参考例1と同様にして、式(S-4)で表される化合物を合成した。
【0093】
【化31】
【0094】
(参考例5)
以下の経路にしたがって式(III-2)で表される化合物を合成した。
【0095】
【化32】
【0096】
式(S-4-1)の化合物を58g、メタクリル酸を60g、p-トルエンスルホン酸10gをシクロヘキサン250mlおよびジイソプロピルエーテル40mlに溶解させ、生成する水を除去しながら3時間加熱還流した。室温に冷却した後、酢酸エチルを用いて抽出し、酢酸エチルを減圧留去することにより(III-2)の粗生成物92gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)を用いて精製し、淡黄色液体の(III-2)を61g得た。
【0097】
(参考例6)
以下組成の重合性液晶組成物A(濃度は質量%)を調製した。
【0098】
【化33】
【0099】
この重合性液晶組成物Aを20質量%、光重合開始剤Irgacure-907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を0.6質量%、p-メトキシフェノールを0.02質量%、表面調製剤BYK−333(ビックケミー・ジャパン社製)を0.02質量%、水平配向添加剤として質量平均分子量1650のポリプロピレンを0.02質量%、有機溶剤PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)を79.34質量%からなる重合性液晶溶液A1を調整した。
【0100】
(実施例1)
式(S-2)
【0101】
【化34】
【0102】
で表される化合物を1.54g(4.0mmol)、式(IIa-1)
【0103】
【化35】
【0104】
で表される化合物(共栄社化学株式会社製)を0.78g(6.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-1)を得た。共重合体(CP-1)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は42mol%、一般式(IIa-1)に由来する構造の導入率は58mol%であることがわかった。
【0105】
(実施例2)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.59g(4.5mmol)とした以外は同様にして、共重合体(CP-2)を得た。分析の結果、共重合体(CP-2)中への式(S-2)に由来する構造の導入率は53mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は47mol%であることがわかった。
【0106】
(実施例3)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIb-1)
【0107】
【化36】
【0108】
で表される化合物(共栄社化学株式会社製)を0.52g(2.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-3)を得た。共重合体(CP-3)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-3)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は51mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(IIb-1)に由来する構造の導入率は28mol%であることがわかった。
【0109】
(実施例4)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIb-1)で表される化合物を0.42g(2.0mmol)、式(III-1)
【0110】
【化37】
【0111】
で表される化合物(共栄社化学株式会社製)を0.09g(0.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-4)を得た。共重合体(CP-4)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-4)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は54mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は20mol%、式(IIb-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(III-1)に由来する構造の導入率は5mol%であることがわかった。
【0112】
(実施例5)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIc-1)
【0113】
【化38】
【0114】
で表される化合物(共栄社化学株式会社製)を0.49g(2.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-5)を得た。共重合体(CP-5)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-5)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は54mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は20mol%、式(IIc-1)に由来する構造の導入率は26mol%であることがわかった。
【0115】
(実施例6)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIc-1)で表される化合物を0.39g(2.0mmol)、式(III-1)で表される化合物を0.09g(0.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-6)を得た。共重合体(CP-6)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-6)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は51mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(IIc-1)に由来する構造の導入率は23mol%、式(III-1)に由来する構造の導入率は5mol%であることがわかった。
【0116】
(実施例7)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIc-1)で表される化合物を0.29g(1.5mmol)、式(III-1)で表される化合物を0.09g(0.5mmol)、式(IV-1)
【0117】
【化39】
【0118】
で表される化合物(共栄社化学株式会社製)を0.12g(5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-7)を得た。共重合体(CP-7)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-7)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は52mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(IIc-1)に由来する構造の導入率は16mol%、式(III-1)に由来する構造の導入率は5mol%、式(IV-1)に由来する構造の導入率は6mol%であることがわかった。
【0119】
(実施例8)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIc-1)で表される化合物を0.39g(2.0mmol)、式(III-2)
【0120】
【化40】
【0121】
で表される化合物を0.09g(0.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-8)を得た。共重合体(CP-8)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-8)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は53mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(IIc-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(III-2)に由来する構造の導入率は5mol%であることがわかった。
【0122】
(実施例9)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIc-1)で表される化合物を0.29g(1.5mmol)、式(III-3)
【0123】
【化41】
【0124】
で表される化合物(共栄社化学株式会社製)を0.07g(0.5mmol)、式(IV-1)で表される化合物を0.12g(0.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-9)を得た。共重合体(CP-9)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-9)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は54mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(IIc-1)に由来する構造の導入率は15mol%、式(III-3)に由来する構造の導入率は5mol%、式(IV-1)に由来する構造の導入率は5mol%であることがわかった。
【0125】
(実施例10)
式(S-2)で表される化合物を2.12g(5.5mmol)、式(IIa-1)で表される化合物を0.26g(2.0mmol)、式(IIb-1)で表される化合物を0.31g(1.5mmol)、式(III-3)で表される化合物を0.07g(0.5mmol)、式(IV-1)で表される化合物を0.12g(0.5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をトルエン:ヘキサン=1:1(質量比)の混合溶媒12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、本発明の共重合体(CP-10)を得た。共重合体(CP-10)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)、及び共重合体(CP-10)の加水分解物のHPLC分析から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は53mol%、式(IIa-1)に由来する構造の導入率は21mol%、式(IIb-1)に由来する構造の導入率は16mol%、式(III-3)に由来する構造の導入率は5mol%、式(IV-1)に由来する構造の導入率は5mol%であることがわかった。
【0126】
実施例1から10で得られた本発明の共重合体中の、成分比(各化合物に由来する構造の導入比率(モル%))を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
(実施例11〜34)
実施例1から10と同様にして、表2に示す実施例11〜34の共重合体を得た。
【0129】
【表2】
【0130】
(比較例1)
式(S-2)で表される化合物を1.54g(4.0mmol)、メチルメタクリレート(関東化学株式会社製)を0.60g(6.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.03g、テトラヒドロフラン12.00gの混合物を、窒素雰囲気下55℃で8時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液をヘキサン12gに滴下しながら撹拌した。沈澱物を取出して、共重合体(CP-25)を得た。共重合体(CP-25)をテトラヒドロフランに溶解させて測定した分光スペクトル解析(桂皮酸骨格に由来する313nmの吸光係数)から、共重合体中への式(S-2)に由来する構造の導入率は41mol%、メチルメタクリレートに由来する構造の導入率は59mol%であることがわかった。
【0131】
(比較例2〜8)
比較例1と同様にして、表3に示す比較例2〜8の共重合体を得た。
【0132】
【表3】
【0133】
(実施例35)
メチルイソブチルケトン:イソプロピルアルコール=5:1(質量比)の混合溶媒中に、実施例1で調製した共重合体(CP-1)を5.000質量%濃度に相当する量、表面調製剤BYK−302(ビックケミー・ジャパン社製)を0.025質量%濃度に相当する量を加えて撹拌して、本発明の実施例35(光配向膜溶液SCP-1)を調製した。調製した溶液を観察したところ、透明で、均一に溶解していた。
【0134】
(実施例36〜68)
実施例35と同様にして、表4に示す本発明の実施例36〜68(光配向膜溶液SCP-2〜34)を調製した。これらの溶液を観察したところ、すべて透明で均一に溶解していた。
【0135】
【表4】
【0136】
(実施例69)
メチルイソブチルケトン:イソプロピルアルコール:水=8:1:1(質量比)の混合溶媒中に、実施例1で調製した共重合体(CP-1)を2.50質量%濃度に相当する量、フッ素系添加剤F−444(DIC株式会社社製)を0.03質量%濃度に相当する量を加えて撹拌して、本発明の実施例69(光配向膜溶液SCP-35)を調製した。調製した溶液を観察したところ、透明で、均一に溶解していた。
【0137】
(実施例70〜102)
実施例69と同様にして、表5に示す本発明の実施例69〜102(光配向膜溶液SCP-36〜68)を調製した。これらの溶液は観察したところ、すべて透明で均一に溶解していた。
【0138】
【表5】
【0139】
(比較例9)
メチルイソブチルケトン:イソプロピルアルコール=5:1(質量比)の混合溶媒中に、比較例1で調製した共重合体(CP-35)を5.000質量%濃度に相当する量、表面調製剤BYK−302(ビックケミー・ジャパン社製)を0.025質量%濃度に相当する量を加えて撹拌して、比較例9(光配向膜溶液SCP-69)を調製した。調製した溶液を観察したところ、溶け残りがあり、白濁しており、不均一であった。
【0140】
(比較例10〜16)
比較例9と同様にして、表6に示す比較例10〜16(光配向膜溶液SCP-70〜76)を調製した。式(IIa-1)に由来する構造を導入した重合体以外は、すべて溶け残りがあり、白濁しており、不均一であった。
【0141】
【表6】
【0142】
(比較例17)
メチルイソブチルケトン:イソプロピルアルコール:水=8:1:1(質量比)の混合溶媒中に、比較例1で調製した共重合体(CP-35)を2.50質量%濃度に相当する量、フッ素系添加剤F−444(DIC株式会社社製)を0.03質量%濃度に相当する量を加えて撹拌して、比較例17(光配向膜溶液SCP-77)を調製した。調製した溶液を観察したところ、溶け残りがあり、白濁しており、不均一であった。
【0143】
(比較例18〜24)
比較例17と同様にして、表7に示す比較例18〜24(光配向膜溶液SCP-78〜84)を調製した。式(IIa-1)に由来する構造を導入した重合体以外は、すべて溶け残りがあり、白濁しており、不均一であった。
【0144】
【表7】
【0145】
(実施例103)
PMMA基板上に、ワイヤーバーを用いて、実施例69で調整した光配向膜溶液SCP-35を塗布し、80℃で3分間加熱乾燥させ、更に室温で2分間放置した。その後、室温にて波長313nmにおける強度が20mW/cm
2の偏光紫外線を5秒間照射して光配向膜を形成した。
この光配向膜上に、ワイヤーバーを用いて、参考例6で調製した重合性液晶溶液A1を塗布し、80℃で2分間加熱乾燥させ、更に室温で2分間放置した。この状態で、重合性液晶は均一に水平一軸配向しているのが確認できた。これに、室温にて波長365nmにおける強度が30mW/cm
2の紫外線を30秒間照射して重合性液晶を硬化させて本発明の位相差フィルムRF-1を作製した。
【0146】
(実施例104〜136)
実施例103と同様にして、表8に示す本発明の実施例104〜136(位相差フィルムRF-2〜34)を作製した。これらの位相差フィルムは均一な一軸配向をしていた。
【0147】
【表8】
【0148】
これらの得られた位相差フィルムにおいて、末端にシアノを持つ式(S-2)の構造を有している共重合体を用いた実施例103〜122が、特に良好な配向性を示すことがわかった。
【0149】
(比較例25)
PMMA基板上に、ワイヤーバーを用いて、比較例23で調製した光配向膜溶液SCP-83を塗布し、80℃で3分間加熱乾燥させ、更に室温で2分間放置した。その後、室温にて波長313nmにおける強度が20mW/cm
2の偏光紫外線を5秒間照射して光配向膜を形成した。
この光配向膜上に、ワイヤーバーを用いて、参考例6で調製した重合性液晶溶液A1を塗布し、80℃で2分間加熱乾燥させ、更に室温で2分間放置した。この状態で、重合性液晶は均一に水平一軸配向しているのが確認できた。これに、室温にて波長365nmにおける強度が30mW/cm
2の紫外線を30秒間照射して重合性液晶を硬化させて位相差フィルムRF-35を作製した。この位相差フィルムは均一な一軸配向をしていた。
【0150】
(比較例26)
比較例25と同様にして、比較例24で調製した光配向膜溶液SCP-84を用いて位相差フィルムRF-36を作製した。この位相差フィルムは均一な一軸配向をしていた。
【0151】
(接着性の評価)
得られた位相差フィルムのPMMA基板に対する接着力を評価するため、得られた位相差フィルムに1cm使用にカッターで1mm角の切り目を碁盤目状に入れた。これに、セロハンテープを貼り付けた後、垂直方向に引き上げ、残った碁盤目の数を数えた。以上の操作を5回繰り返し、平均値を求めた結果を表9に示す。
【0152】
【表9】
【0153】
以上の結果から本発明の光配向膜の共重合体は水/アルコール系溶剤に溶解するため、PMMA基板上が侵されずに良好な光配向膜を形成することでき、かつ、重合性液晶材料を用いて光配向膜上に位相差フィルムを製造した場合において、基板と重合性液晶材料の硬化物を高い接着性を保った状態にできることがわかる。