特許第6555710号(P6555710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555710
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】冷凍・冷蔵システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20190729BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   F25D11/00 101E
   F25D21/04 D
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-88811(P2015-88811)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-205721(P2016-205721A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】張 莉
(72)【発明者】
【氏名】斉川 路之
(72)【発明者】
【氏名】藤縄 剛史
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−010784(JP,A)
【文献】 特開2007−240128(JP,A)
【文献】 特開2005−164165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25B 1/00
F24F 3/12
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部空間に冷凍・冷蔵商品を収納する収納スペースを有し、蒸発器で冷却された空気を吐出ダクトを介して前記収納スペースに供給するとともに吸込ダクトを介して前記蒸発器に戻す空気循環路と、蒸発器を含む所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えた冷凍・冷蔵システムであって、
前記空気循環路における前記蒸発器の上流側に配設された吸着材付の吸着材塗布熱交換器と、
前記冷媒循環路における上流側で前記吸着材塗布熱交換器と前記蒸発器との間に配設されている膨張弁と、
前記空気循環路における前記吸着材塗布熱交換器の上流側に配設されたヒーターとを有するとともに、
前記吸着材塗布熱交換器が前記空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モードの際には、前記冷媒が、圧縮機から凝縮器、他の膨張弁、前記吸着材塗布熱交換器、前記膨張弁、前記蒸発器を経て前記凝縮器に戻る冷媒循環路を形成するとともに、空気が、前記吸着材塗布熱交換器を経て前記蒸発器と熱交換する空気循環路を形成する一方、
吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モードの際には、ヒーターで加熱された空気を前記吸着材塗布熱交換器に供給して前記吸着材塗布熱交換器の脱着を行うように制御する
ことを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
【請求項2】
筐体の内部空間に冷凍・冷蔵商品を収納する収納スペースを有し、蒸発器で冷却された空気を吐出ダクトを介して前記収納スペースに供給するとともに吸込ダクトを介して前記蒸発器に戻す空気循環路と、蒸発器を含む所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えた冷凍・冷蔵システムであって、
前記空気循環路における前記蒸発器の上流側に配設された吸着材付の吸着材塗布熱交換器と、
前記冷媒循環路に配設された他の蒸発器と、
縮機と縮器との間で、前記冷媒循環路に配設された第1の弁と、
前記圧縮機と前記吸着材塗布熱交換器との間で、前記冷媒循環路に配設された第2の弁と、
前記吸着材塗布熱交換器と前記他の蒸発器との間で、前記冷媒循環路に配設された他の膨張弁とを有するとともに、
前記吸着材塗布熱交換器が前記空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モードの際には、前記第1の弁を開、前記第2の弁を閉として前記冷媒が、前記圧縮機から凝縮器、膨張弁、前記蒸発器を経て前記圧縮機に戻る冷媒循環路を形成するとともに、
吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モードの際には、前記第1の弁を閉、前記第2の弁を開として前記冷媒が、前記圧縮機から吸着材塗布熱交換器、前記他の膨張弁、前記他の蒸発器を経て前記圧縮機に戻る冷媒循環路を形成することで前記吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させるよう制御する
ことを特徴とする冷凍・冷蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍・冷蔵システムに関し、特に蒸発器で熱交換することによりに生成した冷気を循環させる空気循環路を有するショーケースや冷蔵庫に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍・冷蔵用のショーケースにおいては、冷凍・冷蔵用の冷気を生成する蒸発器の表面に霜が付着するため、定期的に霜を融かす除霜運転が必要である。この場合、従来技術においては、ヒーターにより加熱した空気を利用した除霜方法が主流であり、除霜水の後処理のため、ドレイン皿、自動蒸発促進フィルタおよびファンが設置される。
ただ、かかるヒーター加熱方式の除霜方法では、ヒーター除霜による消費電力の増加や、除霜中のショーケース内の温度の上昇等の問題が指摘され、さらに高温、高湿日に除霜水の後処理が間に合わなくて、ドレイン皿から除霜水が溢れるという問題も発生している。
【0003】
一方、この種の他の従来技術としてデシカント(吸着剤)ローターを利用した無着霜冷凍装置に関する特許が出願され公知になっている(特許文献1参照)。これは、デシカントローターを回転させながら、冷凍庫内において、デシカントローターによって除湿された空気を風下に配置された蒸発器に供給することで、蒸発器への着霜を防止するとともに、冷凍庫外において、風上に配置された凝縮器の排熱により乾燥した空気をデシカントローターに供給することで、吸湿した吸着剤を乾燥させて吸着能力の再生を図るようにしたものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示するデシカントローター方式は、デシカントローターを回転させるための動力が必要になり、熱効率が低下するばかりでなく、デシカントローターの専有面積も確保する必要があり、設置スペースも拡大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2008/084573
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、吸着材塗布熱交換器で蒸発器に供給される空気を予め除湿することにより着霜を防止してドレインの発生を除去し得るとともに高効率の運転を行うことができる冷凍・冷蔵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
筐体の内部空間に冷凍・冷蔵商品を収納する収納スペースを有し、蒸発器で冷却された空気を吐出ダクトを介して前記収納スペースに供給するとともに吸込ダクトを介して前記蒸発器に戻す空気循環路と、蒸発器を含む所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えた冷凍・冷蔵システムであって、
前記空気循環路における前記蒸発器の上流側に配設された吸着材付の吸着材塗布熱交換器と、
前記冷媒循環路における上流側で前記吸着材塗布熱交換器と前記蒸発器との間に配設されている膨張弁と、
前記空気循環路における前記吸着材塗布熱交換器の上流側に配設されたヒーターとを有するとともに、
前記吸着材塗布熱交換器が前記空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モードの際には、前記冷媒が、圧縮機から凝縮器、他の膨張弁、前記吸着材塗布熱交換器、前記膨張弁、前記蒸発器を経て前記凝縮器に戻る冷媒循環路を形成するとともに、空気が、前記吸着材塗布熱交換器を経て前記蒸発器と熱交換する空気循環路を形成する一方、
吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モードの際には、ヒーターで加熱された空気を前記吸着材塗布熱交換器に供給して前記吸着材塗布熱交換器の脱着を行うように制御することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
【0008】
本態様によれば、吸着運転モードの際には、吸着材塗布熱交換器が水分を吸収しながら冷媒によって冷却される。この結果、従来のデシカントローターのように吸着材の吸着能力の低下を生起することはない。さらに、吸着材塗布熱交換器に流入する冷媒の温度を制御することで、吸着速度や、吸着運転モードの運転時間を制御することもできる。
【0009】
一方、脱着運転モードは、ヒーターで加熱した空気を蒸発器に供給して行う。この結果、デシカントローター方式のような軸受等の回転部分は存在せず、当該部分の磨耗等を考慮する必要もない。
【0010】
本発明の第2の態様は、
筐体の内部空間に冷凍・冷蔵商品を収納する収納スペースを有し、蒸発器で冷却された空気を吐出ダクトを介して前記収納スペースに供給するとともに吸込ダクトを介して前記蒸発器に戻す空気循環路と、蒸発器を含む所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えた冷凍・冷蔵システムであって、
前記空気循環路における前記蒸発器の上流側に配設された吸着材付の吸着材塗布熱交換器と、
前記冷媒循環路に配設された他の蒸発器と、
縮機と縮器との間で、前記冷媒循環路に配設された第1の弁と、
前記圧縮機と前記吸着材塗布熱交換器との間で、前記冷媒循環路に配設された第2の弁と、
前記吸着材塗布熱交換器と前記他の蒸発器との間で、前記冷媒循環路に配設された他の膨張弁とを有するとともに、
前記吸着材塗布熱交換器が前記空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モードの際には、前記第1の弁を開、前記第2の弁を閉として前記冷媒が、前記圧縮機から凝縮器、膨張弁、前記蒸発器を経て前記圧縮機に戻る冷媒循環路を形成するとともに、
吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モードの際には、前記第1の弁を閉、前記第2の弁を開として前記冷媒が、前記圧縮機から吸着材塗布熱交換器、前記他の膨張弁、前記他の蒸発器を経て前記圧縮機に戻る冷媒循環路を形成することで前記吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させるよう制御することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
【0011】
本態様によれば、吸着運転モードの際、第1の弁を開、第2の弁を閉とすることにより、蒸発器で空気を冷却する。この空気は、吸着材塗布熱交換器で除湿されているので、蒸発器での着霜を有効に防止し得る。
【0012】
脱着運転モードの際には、第1の弁を閉、第2の弁を開とし、他の膨張弁および他の蒸発器をそれぞれ所定通りに機能させることにより、前記吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させる。凝縮器の凝縮熱で吸着材塗布熱交換器の脱着を行う。
【0013】
3の態様は、
筐体の内部空間に冷凍・冷蔵商品を収納する収納スペースを有し、蒸発器で冷却された空気を吐出ダクトを介して前記収納スペースに供給するとともに吸込ダクトを介して前記蒸発器に戻す空気循環路と、前記蒸発器を含む所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えた冷凍・冷蔵システムであって、
前記空気循環路における前記蒸発器の上流側に配設された吸着材付の第1の吸着材塗布熱交換器と、
第2の吸着材塗布熱交換器とを有するとともに、
前記吸着材塗布熱交換器が前記空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モードの際には、前記空気循環路の空気が前記第1の吸着材塗布熱交換器を流通した後、前記蒸発器に供給されるとともに、前記第2の吸着材塗布熱交換器には前記冷媒循環路の凝縮器の凝縮熱で加熱された空気を供給する一方、
吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モードの際には、前記凝縮器の凝縮熱で加熱された空気を前記第1の吸着材塗布熱交換器に供給するとともに、前記第2の吸着材塗布熱交換器には前記空気循環路から分岐した空気を供給し、その後該空気を前記空気循環路に戻して前記蒸発器に供給するように制御することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
【0014】
本態様によれば、吸着運転モードの際、第1の吸着材塗布熱交換器で除湿した空気が冷却器に供給される。この結果、冷却器への着霜を有効に防止し得る。同時に、第2の吸着材塗布熱交換器には凝縮器の凝縮熱で加熱された空気が供給される。この結果、第2の吸着材塗布熱交換器は脱着モードとなり付着している水分が除去される。
【0015】
脱着運転モードの際には、凝縮器の凝縮熱で加熱された空気が第1の吸着材塗布熱交換器に供給される。この結果、第1の吸着材塗布熱交換器が脱着モードとなり付着している水分が除去される。同時に、第2の吸着材塗布熱交換器で除湿した空気が蒸発器に供給される。この結果、蒸発器の着霜を有効に防止しつつ空気循環路を介しての冷却空気の循環は中断することなく継続させることができる。
【0016】
4の態様は、
筐体の内部空間に冷凍・冷蔵商品を収納する収納スペースを有し、蒸発器で冷却された空気を吐出ダクトを介して前記収納スペースに供給するとともに吸込ダクトを介して前記蒸発器に戻す空気循環路と、前記蒸発器を含む所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えた冷凍・冷蔵システムであって、
前記冷媒循環路とともに前記空気循環路にも配設された第1および第2の吸着材塗布熱交換器と、
前記冷媒循環路に配設された圧縮機が吐出する冷媒をモードの切換により前記第1および第2の吸着材塗布熱交換器の何れか一方に選択的に供給するよう前記冷媒循環路に配設されている四方弁とを有するとともに、
前記吸着材塗布熱交換器が前記空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モードの際には、前記第2の吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させるとともに前記第1の吸着材塗布熱交換器を蒸発器として機能させる一方、
吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モードの際には、前記第1の吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させるとともに前記第2の吸着材塗布熱交換器を蒸発器として機能させるように前記四方弁を切替制御することを特徴とする冷凍・冷蔵システムにある。
【0017】
本態様によれば、吸着運転モードの際には、第1の吸着材塗布熱交換器を蒸発器として機能させるとともに第2の吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させる。一方、脱着運転モードの際には、第1の吸着材塗布熱交換器を凝縮器として機能させるとともに第2の吸着材塗布熱交換器を蒸発器として機能させる。この結果、第1または第2の吸着材塗布熱交換器を交互に蒸発器として機能させることにより空気循環路に冷気を継続的に循環させつつ第2または第1の吸着材塗布熱交換器を交互に凝縮器として機能させることで所定
の脱着も行い得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空気循環路における蒸発器の上流側には吸着材塗布熱交換器を配設し、蒸発器に供給される空気を除湿しているので、蒸発器での着霜を防止してドレインの発生を除去し得る。また、デシカントローター等、除湿のための回転部分は有しないので、高効率の運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムの第1の制御の態様を示す説明図である。
図3図2に示す制御のフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムの第2の制御の態様を示す説明図である。
図5図4に示す制御のフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムの第3の制御の態様を示す説明図である。
図7図6に示す制御のフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。
図93の実施の形態(態様)に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。
図103の実施の形態(態様)に係る冷凍・冷蔵システムの制御の態様を示す説明図である。
図11図10に示す制御のフローチャートである。
図124の実施の形態(態様)に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。
図134の実施の形態(態様)に係る冷凍・冷蔵システムの制御の態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、各実施の形態において同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。同図に示すように、筐体Iは、その内部空間をコ字状の仕切板で仕切ることにより形成されている冷凍・冷蔵商品の収納スペース100、冷凍・冷蔵商品を冷凍・冷却した後の空気の通路となる吸込ダクト200、冷凍・冷蔵商品を冷凍・冷却するための空気の通路となる吐出ダクト300を有するとともに、吸込ダクト200および吐出ダクト300に連通する機器設置スペース400を有している。機器設置スペース400には、蒸発器3が設置されている。
【0022】
すなわち、本発明に係る冷凍・冷蔵システムは、筐体Iの内部空間に収納スペース100を有し、蒸発器3で冷却された空気を吐出ダクト300を介して収納スペース100に供給するとともに吸込ダクト200を介して蒸発器3に戻す空気循環路と、蒸発器3を含む冷凍サイクルの所定の機器間で冷媒を循環させる冷媒循環路とを備えている。この点は、各実施の形態に共通の構成要素である。
【0023】
本形態においては、空気循環路における蒸発器3の上流側に吸着材付の吸着材塗布熱交換器1が配設され、さらに冷媒循環路における上流側で吸着材塗布熱交換器1と蒸発器3との間には膨張弁2が配設されている。また、空気循環路における吸着材塗布熱交換器1の上流側にはヒーター10が配設されている。本形態において吸着材塗布熱交換器1,膨張弁2,蒸発器3およびヒーター10は筐体Iの機器設置スペース400に設置してあるが、これらは筐体Iの外部に設置されていても構わない。空気循環路の一部を形成するダクトを介して蒸発器3で冷却した空気を筐体I内に供給し得る構造となっていれば良い。
【0024】
さらに、本形態における冷凍・冷蔵システムでは、吸着材塗布熱交換器1が空気中の水分を吸着する運転モードである吸着運転モード(以下、単に吸着運転モードという)の際には、冷媒が、圧縮機5から凝縮器6、他の膨張弁8、吸着材塗布熱交換器1、膨張弁2、蒸発器3を経て圧縮機5に戻る冷媒循環路を形成するとともに、空気が、吸着材塗布熱交換器1を経て蒸発器3と熱交換する空気循環路を形成する。
【0025】
一方、吸着した水分を脱着する運転モードである脱着運転モード(以下、単に脱着運転モードという)の際には、ヒーター10で加熱された空気を吸着材塗布熱交換器1に供給して吸着材塗布熱交換器1の脱着を行うようになっている。
【0026】
このため、筐体Iの側壁におけるヒーター10に対応する部分および筐体Iの底板における吸着材塗布熱交換器1の出口と蒸発器3の入口との途中の下方にはダンパ41、42が設けてある。また、蒸発器3の出口、筐体Iの外部におけるダンパ42の下方、凝縮器6の出口には、それぞれファン50,51,52が配設してある。
【0027】
本形態に係る冷凍・冷蔵システムにおける、吸着・冷凍・冷蔵運転モード時には、図1(a)に示すように、吸込ダクト200を通過した収納スペース100内の循環空気RAが吸着材塗布熱交換器1によって除湿され、蒸発器3に供給される。この結果、蒸発器3の着霜を防止することができる。一方、冷媒循環路では、圧縮機5から吐出された高温・高圧の冷媒が、凝縮器6、他の膨張弁8、吸着材塗布熱交換器1、膨張弁2、蒸発器3を順次通過し、再び圧縮機5に戻る。ここで、吸着材塗布熱交換器1が循環空気RA中の水分を吸着しながら冷媒によって冷却されるので、従来のデシカントローターのように吸着熱の吸収により吸着材の吸着能力の低減を防ぐことができる。さらに、吸着材塗布熱交換器1に流入する冷媒の温度を制御することで、吸着速度や、吸着・冷凍/冷蔵モードの運転時間をコントロールすることができる。なお、本モードではダンパ41,42はいずれも閉じている。
【0028】
本形態における脱着運転モードでは、図1(b)に示す通り、冷媒循環路における冷媒の循環は停止する。かかる状態でダンパ41,42を開いてファン52を駆動すると同時に、ヒーター10の通電を開始する。この結果、外気OAがヒーター10によって暖められ、吸着材塗布熱交換器1を再生(脱着)させ、その後、排気EAされる。
【0029】
ここで、脱着のためのヒーター10の消費電力Wde-heaterは、脱着熱量Qdeと同じである。
【0030】
本形態では、図1(a)の吸着・冷凍・冷蔵運転モードと、図1(b)の脱着運転モードを繰り返す。
【0031】
本形態によれば、ヒーター10で吸着材塗布熱交換器1を脱着させるので、ドレインレスおよび除霜水の後処理が不要になるというメリットが得られる。
【0032】
次に、本形態に好適に適用し得る制御手法について説明しておく。本形態における制御には、1)空気露点とタイマー併用による制御(図2図3)、2)吸着材の平衡吸着量による制御(図4図5)、3)タイマーによる制御(図6図7)が考えられる。
【0033】
1)空気露点とタイマー併用による制御
この場合の冷凍・冷蔵システムの一部を抽出して制御の概略を図2(a)(吸着運転モード)および図2(b)(脱着運転モード)に示す。また、その制御のフローチャートを図3に示す。
【0034】
これらの図に示すように、蒸発器3の空気入口側流路に設置した空気露点センサ60で検出された空気露点DPと、蒸発器3の出口冷媒配管に設置した冷媒温度センサ61で検出された冷媒温度Tと、空気温度センサ62で検出された外気温度Tを制御パラメータとした。外気温度Tに応じ、脱着運転モード時間Δτdethを決める。DP<Tのとき、吸着・冷凍・冷蔵モード運転を行い、(T-DP)の値が所定の温度差ΔTadthとなった時点で、吸着・冷凍・冷蔵モード運転が終了し、脱着運転モードに切り替える。脱着運転モード時間τdeが所定の運転時間Δτdethとなった時点で、吸着・冷凍・冷蔵モード運転に戻し、同様の動作を繰り返す。
【0035】
2)吸着剤の平衡吸着量による制御
この場合の冷凍・冷蔵システムの一部を抽出して制御の概略を図4(a)(吸着運転モード)および図4(b)(脱着運転モード)に示す。また、その制御のフローチャートを図5に示す。
【0036】
これらの図に示すように、吸着材塗布熱交換器1の入口側と出口側の空気流路に設置した一対の湿度センサ63,64で検出する空気湿度X、Xに基づき制御を行う。X<Xのときは、吸着・冷凍・冷蔵モード運転を行う。(X-X)の値は所定の湿度差Δadthとなった時点で、脱着モードに切り替え、X>Xの条件の下で脱着運転モードを実行する。(X-X)の値が所定の湿度差ΔXdethとなった時点で、脱着運転モードを終了し、吸着・冷凍・冷蔵モード運転に戻し、同様の動作を繰り返す。
【0037】
3)タイマーによる制御
この場合の冷凍・冷蔵システムの一部を抽出して制御の概略を図6(a)(吸着運転モード)および図6(b)(脱着運転モード)に示す。また、その制御のフローチャートを図7に示す。
【0038】
これらの図に示すように、吸込ダクト200内の循環空気RAの温度TAを温度センサ66で、外気OAの温度TAを温度センサ67で検出し、この温度TAと温度TAに対応させて予め定められた時定数に基づく設定時間τad、τdeを管理することにより制御を行う。すなわち、所定の設定時間τadでは吸着・冷凍・冷蔵モード運転を行う。次に、設定時間τadが所定の切替時間τadthとなった時点で、脱着運転モードに切り替え、所定の設定時間τdeの間は脱着運転モードを実行する。最後に、設定時間τdeが所定の切替時間τdethとなった時点で吸着・冷凍・冷蔵モード運転に戻り、同様の動作を繰り返す。
【0039】
<第2の実施の形態>
図8は本発明の第2の実施の形態に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態では他の蒸発器11が筐体Iの外部で冷媒循環路に配設されている。冷媒循環路において、圧縮機5と凝縮器6との間には、第1の電磁弁14が、圧縮機5と吸着材塗布熱交換器1との間には、第2の電磁弁15がそれぞれ配設されている。また、冷媒循環路の吸着材塗布熱交換器1と他の蒸発器11との間には他の膨張弁13が配設されている。
【0040】
本形態における冷凍・冷蔵システムでは、吸着運転モードの際には、第1の電磁弁14を開、第2の電磁弁15を閉として冷媒が、圧縮機5から凝縮器6、膨張弁8、蒸発器3を経て圧縮機5に戻るように冷媒循環路を形成する。
【0041】
一方、脱着運転モードの際には、第1の電磁弁14を閉、第2の電磁弁15を開として冷媒が、圧縮機5から吸着材塗布熱交換器1、他の膨張弁13、他の蒸発器11を経て圧縮機5に戻る冷媒循環路を形成することで吸着材塗布熱交換器1を凝縮器として機能させる。
【0042】
このため、本形態ではダンパ41,42とともに、ファン53,54が配設してある。
【0043】
本形態に係る冷凍・冷蔵システムにおける、吸着・冷凍・冷蔵運転モード時には、図8(a)に示すように、吸込ダクト200を通過した収納スペース100内の循環空気RAが吸着材塗布熱交換器1によって除湿され、蒸発器3に供給されるので、蒸発器3の着霜を防止する。ここで、第1の電磁弁14を開とし、第2の電磁弁15を閉とすることで、冷媒を圧縮機5から凝縮器6、膨張弁8、蒸発器3を経て圧縮機5に戻るように冷媒循環路を循環させる。
【0044】
一方、脱着運転時には、図8(b)に示すように、第1の電磁弁14を閉、第2の電磁弁15を開とする。この結果、冷媒は圧縮機5、吸着材塗布熱交換器1、外部の蒸発器11を経て圧縮機5に戻る冷媒循環路を循環する。ここで、ダンパ41,42を開としてファン53,54を駆動することにより、外気OAが吸着材塗布熱交換器1に供給される。この結果外気OAが冷媒の凝縮熱によって暖められ、吸着材塗布熱交換器1を再生(脱着)した後排気EAされる。同時に、蒸発器11において、外気OAから熱を奪い、冷媒を蒸発させる。この結果、脱着のための圧縮機消費電力(Wde-com)と脱着熱量Qdeの関係は、(Wde-com=Qde/COPde)となる。ここで、COPdeはヒートポンプサイクルのCOP(1より大きい)である。
【0045】
かくして、図8(a)に示す吸着・冷凍・冷蔵運転モードと、図8(b)の脱着運転モードとを繰り返す。本形態によれば、脱着のための圧縮機消費電力(Wde-com)は脱着熱量Qdcより少ないので、第1の実施の形態のヒーター脱着より省エネになる。また、本形態でも無着霜運転とドレインレスのメリットが得られる。
【0046】
本形態における制御には、第1の実施の形態と同様の制御方式、すなわち1)空気露点とタイマー併用による制御(図2図3)、2)吸着材の平衡吸着量による制御(図4図5)、3)タイマーによる制御(図6図7)を全く同様に適用し得る。そこで、図面を用いた新たな説明は省略する。
【0047】
<第3の実施の形態>
図9は第3の実施の形態(態様)に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態においては、空気循環路における蒸発器3の上流側に配設された吸着材付の吸着材塗布熱交換器1の他に吸着材塗布熱交換器16が筐体Iの外部に配設されている。
【0048】
さらに本形態における冷凍・冷蔵システムでは、吸着運転モード(吸着材塗布熱交換器1が吸着モードである場合。以下、同じ)の際には、空気循環路の空気が吸着材塗布熱交換器1を流通した後、蒸発器3に供給される。同時に、外部の吸着材塗布熱交換器16には冷媒循環路の凝縮器6の凝縮熱で加熱された空気を供給する。
【0049】
脱着運転モード(吸着材塗布熱交換器1が脱着モードである場合。以下同じ。)では、凝縮器6の凝縮熱で加熱された空気を吸着材塗布熱交換器1に供給する。同時に外部の吸着材塗布熱交換器16には、空気循環路から分岐した空気を供給し、その後該空気を空気循環路に戻すことにより蒸発器3に供給する。このため筐体Iには、ダンパ41,42の他にダンパ43も設けてある。
【0050】
本形態に係る冷凍・冷蔵システムにおける吸着・冷凍・冷蔵運転モードの場合、図9(a)に示すように、吸込ダクト200を流通した循環空気RAが吸着材塗布熱交換器1によって除湿され、蒸発器3に入るので、蒸発器3の着霜を防止することができる。一方、外気OAは凝縮器6で冷媒の凝縮熱によって昇温され、外部の吸着材塗布熱交換器16に供給されて吸着材塗布熱交換器16を再生(脱着)させる。その後、排気EAさせる。ちなみに、従来のシステムの場合、凝縮器6を出た空気は暖かいまま排気されており、熱効率の低下の一因となっていた。
【0051】
図9(b)に示す、脱着・冷凍・冷蔵運転モードの場合、ダンパ41,42、43を開くことにより、吸込ダクト200を通過した循環空気RAがダンパ43を介して外部の吸着材塗布熱交換器16に供給されて除湿され、その後ダンパ42を介して蒸発器3に供給される。この結果、蒸発器3の着霜を防止することができる。一方、外気OAは、凝縮器6で冷媒の凝縮熱によって昇温されて吸着材塗布熱交換器1に供給され、吸着材塗布熱交換器1を再生(脱着)させた後排気EAされる。
【0052】
その後、図9(a)と図9(b)の各モードを繰り返す。これら、各モードにおいて、冷凍・冷蔵しながら、凝縮器6の排熱を用いて吸着材塗布熱交換器1または吸着材塗布熱交換器16の何れか一方を脱着させるので、脱着のための消費電力Wde-comはゼロである。したがって、本形態においては、省エネを実現できる。さらに、ドレインレスのメリットも享受し得る。さらに、脱着運転でも空気循環路における冷凍・冷蔵用の空気の循環は継続されるので、その間であっても冷蔵・冷凍能力が低下することはない。
【0053】
次に、本形態に好適に適用し得る制御手法について説明しておく。本形態ではタイマーによる制御方式が好適である。この場合の冷凍・冷蔵システムの一部を抽出して制御の概略を図10(a)(吸着運転モード)および図10(b)(脱着運転モード)に示す。また、その制御のフローチャートを図11に示す。これらの図に示すように吸込ダクト200内の循環空気RAの温度TAを温度センサ66で、外気OAの温度TAを温度センサ67で検出し、この温度TAと温度TAに対応させて予め定められた時定数に基づく設定時間τ、τを管理することにより制御を行う。すなわち、所定の設定時間τでは吸着・冷凍・冷蔵運転モードを実行する。次に、設定時間τが所定の切替時間τth1となった時点で、脱着・冷凍・冷蔵モードに切り替え、所定の設定時間τの間は脱着・冷凍・冷蔵モードの運転を実行する。最後に、設定時間τが所定の切替時間τth2となった時点で脱着・冷凍・冷蔵モードに戻り、同様の動作を繰り返す。
【0054】
<第4の実施の形態>
図12は第4の実施の形態(態様)に係る冷凍・冷蔵システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態では、第1の吸着材塗布熱交換器23と第2の吸着材塗布熱交換器24とが、冷媒循環路とともに空気循環路にも配設されている。四方弁26は、モードの切換により第1および第2の吸着材塗布熱交換器23,24の何れか一方に圧縮機5が吐出する冷媒を選択的に供給するよう冷媒循環路に配設されている。
【0055】
ここで、吸着運転モードの際には、第2の吸着材塗布熱交換器24を凝縮器として機能させるとともに第1の吸着材塗布熱交換器23を蒸発器として機能させる。一方、脱着運転モードの際には、第1の吸着材塗布熱交換器23を凝縮器として機能させるとともに第2の吸着材塗布熱交換器24を蒸発器として機能させる。かかる機能の選択は四方弁26の切替により実行する。
【0056】
本形態に係る冷凍・冷蔵システムにおける吸着・冷凍・冷蔵運転において吸着・冷凍・冷蔵運転モードの場合、図12(a)に示すように、吸着材塗布熱交換器23は蒸発器として機能させ、吸着材塗布熱交換器24は凝縮器として機能させる。この場合、四方弁26での冷媒は実線を沿って流れる。この結果、循環空気RAは吸着材塗布熱交換器23における蒸発熱で冷却され、吸着材塗布熱交換器23の吸着材によって除湿された後空気循環路内へ戻る。一方、外気OAは吸着材塗布熱交換器24で冷媒の凝縮熱によって暖められる。この結果、吸着材塗布熱交換器24の吸着剤を再生(脱着)させた後、排気EAされる。
【0057】
一方、脱着・冷凍・冷蔵運転モードの場合、図12(b)に示すように、吸着材塗布熱交換器23は凝縮器として機能させ、吸着材塗布熱交換器24は蒸発器として機能させる。この場合、冷媒は破線に沿って流れる。この結果、循環空気RAは吸着材塗布熱交換器24で蒸発熱によって冷却され、吸着材塗布熱交換器24の吸着材によって除湿された後収納スペース100へ戻る。一方、外気OAは吸着材塗布熱交換器23で冷媒の凝縮熱によって暖められ、吸着材塗布熱交換器23の吸着剤を再生(脱着)させた後、排気EAされる。したがって、脱着運転モードにおいても収納スペース100に冷気を供給する空気循環路による空気の循環は中断されることなく、継続される。
【0058】
以後、図12(a)および図12(b)の各運転モードを繰り返す。
【0059】
本形態においては、冷凍・冷蔵しながら、凝縮器6の排熱を用いて吸着材塗布熱交換器23,24を脱着させるので、脱着のための消費電力Wde,comはゼロである。したがって、本形態に係る冷凍・冷蔵システムは省エネ、かつドレインレスのメリットが得られる。
【0060】
本形態における制御には、第3の実施の形態と同様の制御方式、すなわちタイマーによる制御(図11)を全く同様に適用し得る。そこで、制御内容の具体的な説明は省略して、本形態の場合の温度センサ66,67の配設位置を図13に示しておく。図13(a)が吸着運転モード、図13(b)が脱着運転モードである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明はショーケース等に適用する冷凍・冷蔵システムを製造・販売する産業分野において有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
I 筐体
1、23,24 吸着材塗布熱交換器
2、8、13 膨張弁
3、11 蒸発器
5 圧縮機
6 凝縮器
10 ヒーター
14,15 電磁弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13