(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556074
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20190729BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20190729BHJP
H01L 21/22 20060101ALI20190729BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/324 S
H01L21/22 511B
H01L21/22 501B
H01L21/68 A
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-39543(P2016-39543)
(22)【出願日】2016年3月2日
(65)【公開番号】特開2017-157685(P2017-157685A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 盛善
(72)【発明者】
【氏名】熊田 裕
(72)【発明者】
【氏名】松好 広幸
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−166112(JP,A)
【文献】
特開2005−056905(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/102426(WO,A1)
【文献】
特開2002−246379(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/052023(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/22−21/268、21/31、
21/322−21/326、21/365、
21/38−21/428、21/469、
21/477−21/479、21/67−21/683、
21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段を収容する処理容器と、
前記基板保持手段が載置され、前記処理容器の一端に設けられた開口部を開閉する蓋部と、
前記処理容器の一端と前記蓋部との間を密封するシール部材と、
前記蓋部を移動させる駆動機構と、
前記駆動機構の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記処理容器の前記開口部を開放する際、前記蓋部が前記シール部材を介して前記処理容器の一端に密着する位置から前記蓋部に取り付けられた前記シール部材が前記処理容器の一端から離間する位置よりも下方の位置に到達するまでの間、前記蓋部が移動及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように前記駆動機構の動作を制御する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記シール部材は、前記蓋部に取り付けられている、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記処理容器の一端から前記シール部材が離間した後、前記蓋部が連続して移動する連続動作を行うように前記駆動機構の動作を制御する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記連続動作の移動速度が、前記間欠動作の移動速度よりも速くなるように前記駆動機構の動作を制御する、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記蓋部が前記間欠動作を行う前に、前記蓋部が連続して移動する連続動作を行うように前記駆動機構の動作を制御する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記間欠動作における前記停止の時間が前記移動の時間よりも長い、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記シール部材は、Oリングである、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記間欠動作は、予め定められた周期で行われる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記間欠動作における前記蓋部の移動は、定速である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
処理容器内に収容された基板保持手段に保持された基板に所定の処理を行った後、シール部材を介して前記処理容器の一端に設けられた開口部を密封していた蓋部を移動させて前記開口部を開放すると共に、前記開口部から前記基板保持手段を搬出する基板処理方法であって、
前記処理容器の前記開口部を開放する際、前記蓋部が前記シール部材を介して前記処理容器の一端に密着する位置から前記蓋部に取り付けられた前記シール部材が前記処理容器の一端から離間する位置よりも下方の位置に到達するまでの間、前記蓋部が移動及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行う、
基板処理方法。
【請求項11】
前記シール部材は、前記蓋部に取り付けられている、
請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理容器の一端から前記シール部材が離間した後、前記蓋部が連続して移動する連続動作を行う、
請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記連続動作の移動速度が、前記間欠動作の移動速度よりも速い、
請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記蓋部が前記間欠動作を行う前に、前記蓋部が連続して移動する連続動作を行う、
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記間欠動作における前記停止の時間が前記移動の時間よりも長い、
請求項10乃至14のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記所定の処理は、前記基板を加熱する処理を含む、
請求項10乃至15のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記間欠動作は、予め定められた周期で行われる、
請求項10乃至16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記間欠動作における前記蓋部の移動は、定速である、
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を処理する処理容器と、基板を保持するボートと、処理容器の下端に設けられた炉口を開閉する蓋部と、ボート及び蓋部を共に上昇させてボートを処理容器に搬入すると共に炉口に蓋部を押圧する昇降機構と、を備える基板処理装置が知られている。このような基板処理装置では、蓋部にOリング等のシール部材を取り付けることで、ボートを処理容器に搬入した際、処理容器の下端と蓋部とがシール部材を介して密封される。
【0003】
ところで、このような基板処理装置においては、基板を処理した後、昇降機構により蓋部を下降させて処理容器からボートを搬出する。
【0004】
処理容器内からボートを搬出する方法としては、シール部材が処理容器の下端から離間するまでのボートの下降速度が、シール部材が処理容器の下端から離間した後のボートの下降速度よりも遅くなるように制御する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、処理容器からボートを下降させて搬出する初期の段階で発生する蓋部の振動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−056905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の方法では、基板に処理を行う際の処理容器の温度変化等によって、基板に処理を行う前よりも処理容器の下端とシール部材との密着性が高くなると、シール部材が処理容器の下端に張り付いた状態になる場合がある。シール部材が処理容器の下端に張り付いた状態になると、処理容器からボートを下降させて搬出する際、蓋部からシール部材が外れてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、一側面では、本発明は、処理容器からボートを搬出する際、シール部材が外れることを抑制することが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る基板処理装置は、基板を保持する基板保持手段と、前記基板保持手段を収容する処理容器と、前記基板保持手段が載置され、前記処理容器の一端に設けられた開口部を開閉する蓋部と、前記処理容器の一端と前記蓋部との間を密封するシール部材と、前記蓋部を移動させる駆動機構と、前記駆動機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記処理容器の前記開口部を開放する際、
前記蓋部が前記シール部材を介して前記処理容器の一端に密着する位置から前記蓋部に取り付けられた前記シール部材が前記処理容器の一端から離間する位置よりも下方の位置に到達するまでの間、前記蓋部が移動及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように前記駆動機構の動作を制御する。
【発明の効果】
【0009】
開示の基板処理装置によれば、処理容器からボートを搬出する際、シール部材が外れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の基板処理装置の一例を示す概略構成図
【
図2】第1実施形態の基板処理装置の動作を説明する図
【
図3】第2実施形態の基板処理装置の動作を説明する図
【
図4】第3実施形態の基板処理装置の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0012】
(基板処理装置)
本実施形態の基板処理装置の一例について、
図1に基づき説明する。
図1は本実施形態の基板処理装置の一例を示す概略構成図であり、
図1(a)は処理容器にウエハボートを搬入した状態を表し、
図1(b)は処理容器からウエハボートを搬出した状態を表している。
【0013】
図1に示されるように、基板処理装置は、長手方向が鉛直方向である略円筒形の処理容器4を有する。処理容器4は、天井を有する処理筒6を備える。処理筒6は、石英等の耐熱性材料により形成されている。処理筒6は、ステンレス鋼等により形成されるマニホールド10によって、その下端部が保持されている。マニホールド10は、図示しないベースプレートに固定されている。なお、マニホールド10は、処理筒6と別部材により形成されているが、構造的には、処理筒6と一体的に形成され、処理筒6と共に略円筒の内部空間を形成しているため、処理容器4の一部を形成しているものとする。即ち、処理容器4は、石英等の耐熱性材料により形成される処理筒6と、ステンレス鋼等により形成されるマニホールド10とを備え、マニホールド10は、処理筒6を下方から保持するように処理容器4の側面下部に設けられている。
【0014】
マニホールド10の下端(一端)の開口部10aには、例えばステンレス鋼等により形成される円盤状の蓋部14が取り付けられる。蓋部14は、マニホールド10(処理容器4)の下端に設けられた開口部10aを開閉する。蓋部14には、Oリング等の弾性を有するシール部材16が取り付けられており、シール部材16を介してマニホールド10の下端の開口部10aを気密封止可能となっている。
【0015】
例えば
図1(a)に示されるように、後述する昇降機構30により蓋部14を上昇(上方へ移動)させることで開口部10aを閉止する。このとき、マニホールド10の下端と蓋部14との間に設けられるシール部材16が蓋部14の上昇する力により押圧され、縮むことで、マニホールド10の下端に密着し、マニホールド10の下端の開口部10aが気密に封止される。また、例えば
図1(b)に示されるように、後述する昇降機構30により蓋部14を下降(下方へ移動)させることで開口部10aを開放する。
【0016】
蓋部14上には、例えばステンレス鋼により形成されるテーブル24が固定されている。テーブル24上には、例えば石英により形成される保温筒26が設置されている。また、保温筒26上には、例えば石英により形成されるウエハボート28が載置されている。
【0017】
ウエハボート28は、ウエハを処理容器4内で保持するための基板保持手段の一例である。ウエハボート28には、多数枚(例えば50〜175枚)のウエハ等の基板が、所定の間隔、例えば10mm程度のピッチで収容される。なお、
図1(a)及び
図1(b)では、ウエハの図示を省略している。
【0018】
ウエハボート28、保温筒26、テーブル24及び蓋部14は、例えばボートエレベータとして機能する昇降機構30により、処理容器4内に一体となってロード(搬入)又はアンロード(搬出)される。昇降機構30は、蓋部14を移動させる駆動機構の一例である。
【0019】
処理容器4内に収容されたウエハボート28を処理容器4から搬出する際、昇降機構30によりウエハボート28、保温筒26、テーブル24及び蓋部14を下降させる。これにより、
図1(b)に示されるように、マニホールド10の下端の開口部10aが開放されると共に、開口部10aからウエハボート28が搬出される。このとき、本実施形態では、昇降機構30により蓋部14を間欠的に下降させることにより、処理容器4からウエハボート28を搬出する。これにより、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することができる。なお、ウエハボート28を搬出する動作の詳細については後述する。
【0020】
また、図示は省略するが、基板処理装置には、処理容器4内へ処理ガスやパージガスを供給するガス供給部、処理容器4内の雰囲気の圧力を調整しながら排気可能な排気系、処理容器4を囲むようにしてウエハを加熱するヒータ装置等が設けられていてもよい。
【0021】
基板処理装置の各構成部の制御、例えば昇降機構30の動作の制御は、コンピュータ等の制御部90により行われる。
【0022】
制御部90には、基板処理装置で実行される各種の処理を制御部90の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置の各構成部に処理を実行させるための各種のプログラム(又はレシピ)が格納された記憶部91が接続されている。プログラムには、後述する基板処理方法を基板処理装置に実行させるプログラムが含まれる。また、各種のプログラムは記憶媒体に記憶され、記憶部91に格納され得る。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよく、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを記憶部91へ適宜伝送させるようにしてもよい。
【0023】
(基板処理装置の動作)
次に、処理容器4からウエハボート28を搬出する際、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することが可能な、基板処理装置の動作について、第1実施形態から第3実施形態により説明する。
【0024】
第1実施形態から第3実施形態では、処理容器4の開口部10aを開放する際、制御部90は、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。これにより、処理容器4からウエハボート28を搬出する際、マニホールド10からシール部材16が徐々に剥がれるため、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することができる。
【0025】
[第1実施形態]
第1実施形態の基板処理装置の動作について説明する。第1実施形態では、制御部90が、マニホールド10の下端の開口部10aを開放する際、蓋部14が間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。以下、
図2に基づき説明する。
【0026】
図2は、第1実施形態の基板処理装置の動作を説明する図である。
図2(a)は蓋部の位置と動作との関係を示す図であり、
図2(a)中、位置P10は蓋部14がシール部材16を介してマニホールド10の下端に密着する位置を表し、位置P20はマニホールド10の下端から第1の距離Z1だけ下方の位置を表す。
図2(b)は、
図2(a)において蓋部が位置P10から位置P20まで下降するときの経過時間と蓋部の下降速度との関係を示す図である。なお、
図2(b)中、時刻t10は蓋部14が位置P10に位置するときの時刻であり、時刻t20は蓋部14が位置P20に位置するときの時刻である。
【0027】
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、制御部90は、蓋部14が位置P10から位置P20に到達するまでの間、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。間欠動作における蓋部14が下降するときの下降速度Viは、例えば10mm/minとすることができる。位置P20は、蓋部14に取り付けられたシール部材16がマニホールド10の下端から離間する位置よりも下方の位置とすることができ、シール部材16の材料、線径(断面の太さ)等に応じて定めることができる。位置P10と位置P20との間の距離である第1の距離Z1は、例えば10mmとすることができる。
【0028】
蓋部14が位置P20に到達した後、制御部90は、任意に設定された下降速度で蓋部14が下降するように昇降機構30の動作を制御する。
【0029】
また、
図2(b)に示されるように、間欠動作における停止の時間T2は下降の時間T1よりも長いことが好ましい。間欠動作における停止の時間T2を下降の時間T1よりも長くすることで、蓋部14が停止している時間を確保し、蓋部14が停止している間にマニホールド10からシール部材16を剥がすことができる。これにより、蓋部14が下降している間にマニホールド10からシール部材16が剥がれる場合よりもゆっくりとマニホールド10からシール部材16を剥がすことができる。このため、マニホールド10からシール部材16が剥がれる時に発生する振動を特に抑制することができる。
【0030】
第1実施形態の基板処理装置の動作では、処理容器4の開口部10aを開放する際、制御部90は、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。これにより、処理容器4からウエハボート28を搬出する際、マニホールド10からシール部材16が徐々に剥がれるため、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することができる。また、マニホールド10からシール部材16が剥がれる時に発生する振動を抑制することができる。さらに、昇降機構30に過度の負荷が加わることを抑制できるため、昇降機構30の寿命を延ばすことができる。
【0031】
[第2実施形態]
第2実施形態の基板処理装置の動作について説明する。第2実施形態では、制御部90が、マニホールド10の下端からシール部材16が離間した後、蓋部14が連続動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。以下、
図3に基づき説明する。
【0032】
図3は、第2実施形態の基板処理装置の動作を説明する図である。
図3(a)は、蓋部の位置と動作との関係を示す図である。
図3(a)中、位置P10は、蓋部14がシール部材16を介してマニホールド10の下端に密着する位置を表す。また、位置P12は、位置P10から第2の距離Z2だけ下方の位置を表す。さらに、位置P20は、マニホールド10の下端から第1の距離Z1だけ下方の位置を表す。
図3(b)は、
図3(a)において蓋部が位置P10から位置P20まで下降するときの経過時間と蓋部の下降速度との関係を示す図である。なお、
図3(b)中、時刻t10、t12、t20は、それぞれ蓋部14が位置P10、P12、P20に位置するときの時刻である。
【0033】
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、制御部90は、蓋部14が位置P10から位置P12に到達するまでの間、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。位置P12は、蓋部14に取り付けられたシール部材16がマニホールド10の下端から離間する位置よりも下方の位置、かつ、位置P20よりも上方の位置とすることができ、シール部材16の材料、線径等に応じて定めることができる。位置P10と位置P12との間の距離である第2の距離Z2は、例え4.5mmとすることができる。
【0034】
蓋部14が位置P12に到達した後、制御部90は、蓋部14が位置P20に到達するまでの間、蓋部14が連続して下降する連続動作を行うように昇降機構30を制御する。位置P20としては、第1実施形態と同様の位置とすることができる。
【0035】
蓋部14が位置P20に到達した後、制御部90は、任意に設定された下降速度で蓋部14が下降するように昇降機構30の動作を制御する。
【0036】
また、
図3(b)に示されるように、スループットを特に向上させることができるという観点から、制御部90は、連続動作の下降速度Vcが、間欠動作の下降速度Viよりも速くなるように昇降機構30の動作を制御することが好ましい。間欠動作の下降速度Viとしては、例えば10mm/minとすることができ、連続動作の下降速度Vcとしては、例えば100mm/minとすることができる。
【0037】
第2実施形態の基板処理装置の動作では、第1実施形態と同様、処理容器4の開口部10aを開放する際、制御部90は、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。これにより、処理容器4からウエハボート28を搬出する際、マニホールド10からシール部材16が徐々に剥がれるため、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することができる。また、ウエハボート28が搬出される際の振動を抑制することができる。さらに、昇降機構30に過度の負荷が加わることを抑制できるため、昇降機構30の寿命を延ばすことができる。
【0038】
特に、第2実施形態の基板処理装置の動作では、シール部材16がマニホールド10の下端から離間した後、間欠動作から連続動作に切り替える。このため、第1実施形態の基板処理装置の動作よりも蓋部14が位置P10から位置P20に到達するまでに要する時間を短縮することができる。その結果、第1実施形態の基板処理装置の動作よりもスループットが向上する。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態の基板処理装置の動作について説明する。第3実施形態では、制御部90が、蓋部14が間欠動作を行う前に、蓋部14が連続動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。以下、
図4に基づき説明する。
【0040】
図4は、第3実施形態の基板処理装置の動作を説明する図である。
図4(a)は、蓋部の位置と動作との関係を示す図である。
図4(a)中、位置P10は、蓋部14がシール部材16を介してマニホールド10の下端に密着する位置を表す。また、位置P11は、位置P10から第3の距離Z3だけ下方の位置を表し、位置P12は位置P10から第2の距離Z2だけ下方の位置を表す。さらに、位置P20はマニホールド10の下端から第1の距離Z1だけ下方の位置を表す。
図4(b)は、
図4(a)において蓋部が位置P10から位置P20まで下降するときの経過時間と蓋部の下降速度との関係を示す図である。なお、
図4(b)中、時刻t10、t11、t12、t20は、それぞれ蓋部14が位置P10、位置P11、位置P12、位置P20に位置するときの時刻である。
【0041】
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、制御部90は、蓋部14が位置P10から位置P11に到達するまでの間、蓋部14が連続して下降する連続動作を行うように昇降機構30を制御する。位置P11は、位置P10において押圧され、縮んでいたシール部材16が、弾性によりもとの状態に回復する位置、又は、弾性により元の状態に回復する位置よりも上方の位置とすることができ、シール部材16の材料、線径等に応じて定めることができる。位置P10と位置P11との間の距離である第3の距離Z3は、例えば位置P10においてシール部材16の線径が外力を受けていない状態から1.5mm縮んでいる場合、1.5mmとすることができる。
【0042】
蓋部14が位置P11に到達した後、制御部90は、蓋部14が位置P12に到達するまでの間、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。位置P12としては、第2実施形態と同様の位置とすることができる。
【0043】
蓋部14が位置P12に到達した後、制御部90は、蓋部14が位置P20に到達するまでの間、蓋部14が連続して下降する連続動作を行うように昇降機構30を制御する。位置P20としては、第1実施形態と同様の位置とすることができる。
【0044】
蓋部14が位置P20に到達した後、制御部90は、任意に設定された下降速度で蓋部14が下降するように昇降機構30の動作を制御する。
【0045】
また、
図4(b)に示されるように、スループットを特に向上させることができるという観点から、制御部90は、連続動作の下降速度Vc1及びVc2が、間欠動作の下降速度Viよりも速くなるように昇降機構30の動作を制御することが好ましい。連続動作の下降速度Vc1としては、例えば40mm/minとすることができ、連続動作の下降速度Vc2としては、例えば100mm/minとすることができ、間欠動作の下降速度Viとしては、例えば10mm/minとすることができる。
【0046】
第3実施形態の基板処理装置の動作では、第1実施形態と同様、処理容器4の開口部10aを開放する際、制御部90は、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行うように昇降機構30の動作を制御する。これにより、処理容器4からウエハボート28を搬出する際、マニホールド10からシール部材16が徐々に剥がれるため、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することができる。また、ウエハボート28が搬出される際の振動を抑制することができる。さらに、昇降機構30に過度の負荷が加わることを抑制できるため、昇降機構30の寿命を延ばすことができる。
【0047】
また、第3実施形態の基板処理装置の動作では、第2実施形態と同様、シール部材16がマニホールド10の下端から離間した後、蓋部14が連続動作を行う。このため、第1実施形態の基板処理装置の動作よりも蓋部14が位置P10から位置P20に到達するまでに要する時間を短縮することができる。その結果、第1実施形態の基板処理装置の動作よりもスループットが向上する。
【0048】
特に、第3実施形態の基板処理装置の動作では、蓋部14が間欠動作を行う前に、蓋部14が連続動作を行うので、第2実施形態の基板処理装置の動作よりも蓋部14が位置P10から位置P20に到達するまでに要する時間を更に短縮することができる。その結果、第2実施形態の基板処理装置の動作よりもスループットが向上する。
【0049】
(基板処理方法)
次に、本実施形態の基板処理装置の動作を含む基板処理方法について説明する。
【0050】
まず、多数枚のウエハが載置された状態のウエハボート28を予め所定の温度に調整された処理容器4内にその下方より上昇させて搬入し、蓋部14でマニホールド10の下端の開口部10aを閉じることにより処理容器4内を密閉する。続いて、処理容器4内を真空引きし、所定のプロセス圧力に維持すると共に、ヒータ装置へ電力を供給することにより、ウエハの温度を上昇させてプロセス温度を維持する。
【0051】
続いて、ガス供給部から処理容器4内へ処理ガスやパージガスを供給することで、ウエハボート28に保持されたウエハに熱処理等の所定の処理を行う。
【0052】
ウエハに所定の処理を行った後、昇降機構30により、シール部材16を介して処理容器4の開口部10aを密封していた蓋部14を下降させて開口部10aを開放すると共に、開口部10aからウエハボート28を搬出する。このとき、前述の基板処理装置の動作を実行する。即ち、処理容器4の開口部10aを開放する際、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行う。
【0053】
以上により、ウエハに対して所定の処理を行うことができる。
【0054】
本実施形態の基板処理方法では、処理容器4からウエハを搬出する際、蓋部14が下降及び停止を交互に繰り返す間欠動作を行う。これにより、ウエハに所定の処理を行う際の処理容器4の温度変化等によって、処理容器4の下端とシール部材16との密着性が高くなった場合であっても、蓋部14に取り付けられたシール部材16が外れることを抑制することができる。
【0055】
以上、基板処理装置及び基板処理方法を上記実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0056】
本実施形態では、シール部材16が蓋部14に取り付けられている形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、シール部材16はマニホールド10の下端に取り付けられていてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、処理容器4内に収容されたウエハを処理容器4から搬出する際、昇降機構30により蓋部14を下降させる縦型の基板処理装置について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、処理容器4内に収容されたウエハを処理容器4から搬出する際、駆動機構により蓋部14を水平方向に移動させる横型の基板処理装置であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
4 処理容器
10 マニホールド
10a 開口部
14 蓋部
16 シール部材
28 ウエハボート
30 昇降機構
90 制御部