【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態および改良形態は、従属請求項の主題である。
【0004】
本開示の一態様は、流体を投与するための針に関し、この針は、流体を案内するための中空の針本体(needle body)を含む。針本体は、単一の構成要素のみを含むことができる。針本体は、たとえば管とすることができる。別法として、針本体は、2つ以上、たとえば2つの構成要素を含むことができる。針本体は、針本体の入口セクションが流体に対する第1の流れ方向を画成するように形成される。好ましくは、入口は、針本体のうち、流体を受けるまたは流体を針本体に入れるのに適したセクションを画成する。針本体は、流体に対する第2の流れ方向を画成する出口セクションをさらに含み、第1の流れ方向は、第2の流れ方向に対して傾斜している。入口セクションと比較すると、出口セクションは、好ましくは、針本体のうち、流体を投与するために針本体によって事前に受けられた流体を前記針本体から出口セクションを介して排出することができることが意図されまたはそれに適したセクションである。
【0005】
一実施形態では、入口セクションならびに出口セクションは、針本体の端部セクションを画成する。
【0006】
一実施形態では、入口セクションおよび/または出口セクションは湾曲しておらず、それにより前記セクションは、各々まっすぐな流れ方向、すなわちそれぞれ第1の流れ方向および第2の流れ方向を画成する。
【0007】
利点として、針は、代替の幾何形状を有する薬物送達デバイスなど投与または注射デバイス内で使用または適用することができる。そのような幾何形状は、使用者が前記デバイスを使用または操作するのを容易にしまたは支援することができる。たとえば、入口セクションは、デバイスの長手方向軸に位置合わせすることができ、出口セクションは、長手方向軸に対して傾斜している。このようにして、流体経路は、それぞれのデバイスの特有の要件に応じて向きを変えることができる。たとえば、第1の流れ方向は、流体が投与または投薬される表面、たとえば患者または使用者の皮膚に対して平行に位置合わせすることができる。次いで、流体は、第2の流れ方向、たとえば表面の法線に対して平行な方向に向きを変えることができる。
【0008】
特に、薬物送達デバイスの動作は、より制御可能にすることができ、手の器用さが制限された使用者がデバイスを操作するのを支援することができる。
【0009】
一実施形態では、針本体は、第1の流れ方向および第2の流れ方向が直角になる、または直交するように形成される。この実施形態によれば、針は、デバイス内で適用することができ、流体は、針を通ってたとえばカートリッジから直角を介して要素または表面へ運搬することができる。そのような幾何形状は、投与または投薬プロセスの使用性または制御性に関して有利になることができる。特に、デバイスは次いで、流体が投与される表面がデバイスの本体またはハウジングに横方向に接触しなければならないのに対して、第1の流れ方向がそれでもなお前記表面に対して平行に位置合わせされるように実施することができる。
【0010】
一実施形態では、針本体は屈曲部を含み、屈曲部は、好ましくは、入口セクションおよび出口セクションを直接連結する。針本体は、一体化された屈曲部を有する単一の管とすることができ、または入口セクションおよび出口セクションは、屈曲部を含みもしくは示す第3の部材によって連結された別個の針本体部材もしくは管によって形成することができる。屈曲部の提供は、好都合には、第1の流れ方向および第2の流れ方向が傾斜することを可能にする。屈曲部は、さらに、円弧とすることができる。好ましくは、屈曲部は、単一の平面のみに延びる。好ましくは、屈曲部はさらに、270°未満、好ましくは180°未満、最も好ましくは120°未満の角度だけ延び、それにより針本体は、好ましくは、1回転もしくは1巻きまたはそれ以上巻かれないはずである。
【0011】
一実施形態では、針本体は、平面を画成し、または平面の構成を有し、それにより針本体は単一の平面のみに延びる。言い換えれば、針または針本体は、平面内で前述の単一の屈曲部のみで流体の流れの向きを変えるように構成される。以下、「針」または「針本体」という用語は、交換可能または同義に使用することができる。
【0012】
さらなる態様は、ニードルハブに固定された針と、針本体の屈曲部の一部を覆いまたは収容するニードルハウジングとを含むニードルユニットに関する。好ましくは、ニードルユニットは、螺着されるのではなく、ハウジングに押し付けまたは固定することができるように構成される。ニードルハウジングの利点として、針本体の屈曲部または針自体を支持し、または外部の影響から保護することができる。さらに、ニードルハウジングは、針本体を案内しまたは安定させることができる。ニードルハウジングのさらなる利点は、針を光学的または視覚的に遮蔽することに関し、ニードルハウジングは、ニードルユニットまたはデバイスの使用者が針を見ることを防止しまたは妨げる。針が見えることは、デバイスの針恐怖症の患者または使用者にとって困難を引き起こす可能性がある。加えて、針および/またはニードルハブは、ニードルハウジングを介して使用者によって操作することができる。好ましくは、針、ニードルハブ、および/またはニードルユニットは、ニードルハウジングの回転または操作によって、ハウジングに対して回転させることができる。
【0013】
さらなる態様は、針またはニードルユニットと、流体を保持するリザーバであって、針がリザーバに流体連結される、リザーバと、ハウジングであって、針またはニードルユニットがハウジングに取り付けられ、好ましくは回転可能に取り付けられる、ハウジングとを含むアセンブリに関する。
【0014】
さらなる態様は、アセンブリを含む薬物送達デバイスに関する。ハウジングは、薬物送達デバイスのハウジングとすることができ、または薬物送達デバイスのハウジングに関することができる。
【0015】
針、ニードルユニット、およびアセンブリは、好ましくは、カートリッジから針を介して薬剤の複数の使用者可変用量を送達するように動作させることができる薬物送達デバイスに関する。好ましくは、アセンブリは、半自動式または自動駆動式の薬物送達デバイスに関する。
【0016】
一実施形態では、アセンブリは、ニードルハブが軸方向に固定されるがハウジングに対して回転可能になるように構成される。この実施形態によれば、ニードルユニットおよび/またはニードルハブは、好ましくはハウジングに螺着されることなく、好ましくは任意の適した手段によってハウジングに固定される。場合により、このようにして、デバイスの長さを小さく保つことができ、かつ/またはデバイスの概念をさらに簡略化することができる。
【0017】
一実施形態では、ニードルハブは、ハウジングの長手方向軸の周りで回転可能であり、第1の流れ方向は、ハウジングの長手方向軸に対して平行に位置合わせされる。特に、ニードルハブは、第1の流れ方向の周りで回転可能とすることができる。この実施形態によれば、針本体は、有利には、投与のためにアクセス可能とすることができ、またはたとえばニードルハブの回転による収納中は隠しもしくは停止状態にすることができる。
【0018】
一実施形態では、ハウジングは、第1のハウジング部材および第2のハウジング部材を含む。針は、第1のハウジング部材に固定される。アセンブリは、駆動機構をさらに含む。アセンブリは、駆動機構を起動するために第1のハウジング部材が第2のハウジング部材に対して可動になり、それによって針を通って流体を投与または投薬することができるように構成される。
【0019】
利点として、流体は、使用者によって、第1および第2のハウジング部材を相対的に動かすことだけによって投与することができる。それによって、特に手動の器用さが制限された使用者は前記ハウジング部材を互いに対して動かすだけでよいため、投与の使用性ならびに制御性が著しく容易にされる。これは、ハウジング部材は通常、把持するのが容易であり、識別するのが容易であり、ならびに使用者にアクセス可能であるため、特に有利である。
【0020】
一実施形態では、第1のハウジング部材および第2のハウジング部材は、互いに旋回式に連結される。これは、前記ハウジング部材が互いから完全に連結解除されることを必要とすることなく、第1および第2のハウジング部材間の相対運動を可能にする。好ましくは、第1のハウジング部材および第2のハウジング部材は、ハウジングの近位端で互いに旋回式に連結される。この配置では、針が皮膚に入るとき、針の先端部は、わずかに軸方向に、たとえば近位方向に動く可能性があり、それにより患者に不快を引き起こす可能性がある。これを防止するため、針の出口セクションを湾曲させることができ、曲率半径は、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材との間の旋回点を中心とする。
【0021】
一実施形態では、針の出口セクションは、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材との間の旋回点を中心とする曲率半径で湾曲している。
【0022】
代替実施形態では、第1のハウジング部材および第2のハウジング部材は、ハウジング部材が駆動機構を起動するために針の出口セクションの軸に沿って互いに対して摺動するように配置および構成される。
【0023】
一実施形態では、第1のハウジング部材が第2のハウジング部材から離れる方へばね付勢され、または逆も同様である。この実施形態によれば、アセンブリまたはデバイスの第1の開いた状態またはすぐ投薬できる状態を画成することができ、第1および第2のハウジング部材はすでに分離されており、それによりたとえば投薬動作中に互いに対して動かすことができる。それによって、アセンブリは、第2の状態または閉じた状態に切り替えることができる。
【0024】
たとえば付勢ばねを含む付勢機構または要素が、好都合には、ハウジングの遠位端またはその付近に設けられる。
【0025】
一実施形態では、第2のハウジング部材は、開口部を含む。アセンブリは、さらに、第2のハウジング部材に対する第1のハウジング部材の動きによって、針が開口部を通って少なくとも部分的に可動になり、それにより針本体の出口セクションがハウジングから開口部を通って突出するように構成される。この実施形態によれば、アセンブリもしくはデバイスを、投与もしくは投薬動作のために針として準備することができ、または場合によって、針本体の出口セクションが、流体が投与される表面もしくは要素にアクセス可能にされる。
【0026】
一実施形態では、第1のハウジング部材は、駆動機構を保持する。アセンブリは、さらに、第2のハウジング部材に対する第1のハウジング部材の動き中に出口セクションが開口部を通って特定の距離だけ突出するとすぐ、好ましくはその場合に限り、流体が針を通って投与されるように構成される。
【0027】
それによって、有利には、第1および第2のハウジング部材の相対運動によって、続いてデバイスまたはアセンブリを投与動作のために準備することができ、次いで最後に針を通って流体を投与することができることが達成される。
【0028】
一実施形態では、第2のハウジング部材は、流体が投与される表面に接触する接触面積を含む。開口部は、さらに、接触面積の領域内に設けられる。この実施形態によれば、前述の機能が達成されることが最も好都合である。
【0029】
一実施形態では、針は、投与位置から収納位置へ回転可能であり、アセンブリは、針が収納位置にあるとき、針が使用者に見えることが防止されるように構成される。好ましくは、この実施形態では、第2の流れ方向は、接触面積によって画成される平面に対して平行に位置合わせされる。概して、ニードルハブが収納位置内に配置されることで、たとえば使用者が針恐怖症である場合に針を見ることによって混乱および/またはいらいらしないという利点を提供する。
【0030】
一実施形態では、第2のハウジング部材は、針の出口セクションが使用者に見えることを防止しまたは妨げるように配置されているシールドを含む。それによって、たとえばアセンブリまたはデバイスの投与動作として動作中でも、すべての投与動作中に針を使用者から完全に見えなくすることができるため、使用性が容易にされまたはより快適にされることが達成される。
【0031】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、駆動機構に加えてプライミング機構を含み、プライミング機構は、プライミング機構を起動することによって流体の1つまたはそれ以上のプライミング用量を投与することができるように構成される。好ましくは、プライミング機構は、アセンブリまたはデバイスが閉じた状態または第2の状態にあるとき、すなわち第1のハウジング部材が第2のハウジング部材に対してすでに動かされているときに限り起動することができ、それにより前記ハウジング部材が前述のばね付勢に逆らって互いに当接するように構成される。
【0032】
一実施形態では、針は、流体を注射する注射針である。
【0033】
一実施形態では、流体は、薬物または医薬製品である。
【0034】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、半自動式の注射器、またはたとえばモータもしくは駆動ばねによって自動的に駆動される注射器である。この実施形態によれば、投与に必要な力は、有利には、使用者によって使われなくてもよい。したがって、前記力はまた、有利には、流体が投与される表面によって打ち消されなくてもよい。
【0035】
本明細書で使用する用語「流体」、「薬物」または「医薬製品」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0036】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0037】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0038】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0039】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0040】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0041】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0042】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0043】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0044】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0045】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0046】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0047】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0048】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0049】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0050】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0051】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0052】
異なる態様または実施形態に関連して本明細書で上記および下記に記載する特徴はまた、他の態様および実施形態にも適用することができる。本開示の主題のさらなる特徴および有利な態様は、図に関連する例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。