(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トルエンのニトロ化において硝化酸を分離した後に得られる、ジニトロトルエン、硝酸、窒素酸化物及び硫酸を含む粗混合物をスクラブ洗浄する方法であって、スクラブ洗浄する2工程(WS−I)及び(WS−II)を有し、
i)第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)では、少なくとも1段階の抽出段階を含むスクラブ洗浄で、硝酸、窒素酸化物及び硫酸を含むスクラブ洗浄酸Iを用いて、粗混合物を抽出し、これにより予備スクラブ洗浄された粗混合物を得、ここで、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の第1の抽出段階(WS−I−1)から排出されるスクラブ洗浄酸が10〜40質量%の総酸含有量及び80〜350ppmのシアン化水素酸の含有量を有するものであり、
ii)第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)では、予備スクラブ洗浄された、ジニトロトルエンを含有する粗混合物を、少なくとも1段階の抽出段階を含むスクラブ洗浄で、スクラブ洗浄酸IIを用いて抽出し、これにより300ppm以下の硝酸及び窒素酸化物、3ppm以下の硫酸塩、50ppm以下のシアン化水素酸の含有量を有する、ジニトロトルエン含有混合物を得る、ここで、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から排出されるスクラブ洗浄酸が0〜3のpHを有し、かつ、100ppm以下の硫酸塩の含有量、2000ppm以下の硝酸の含有量、50ppm以下の窒素酸化物の含有量(HNO2として計算)、及び120ppm以下のシアン化水素酸の含有量を有するものである
ことを特徴とする方法。
I)第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の第1の抽出段階(WS−I−1)で、ジニトロトルエン、硝酸、窒素酸化物及び硫酸を含む粗混合物を、この第1の抽出段階に属する第1の相分離装置(S−I−1)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)と、次の抽出段階(WS−I−2)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)とともに、第1混合器(M−I−1)へ供給し、混合器中で形成されたスクラブ洗浄エマルションを、第1の相分離装置(S−I−1)で、スクラブ洗浄酸(WSR−I−1)及び1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−I−1)に分離し、
II)1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−I−1)を、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の次の抽出段階(WS−I−2)で、この抽出段階に属する第2の相分離装置(S−I−2)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)とともに、また、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)が2段階を超え(WS−I−n)までの抽出段階を含む場合は、次の抽出段階(WS−I−3)〜(WS−I−n)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−3)(WSR−I−n)とともに、又は第1のスクラブ洗浄工程が正確に2段階の抽出段階を含む場合は、新たに導入された水又はスクラブ洗浄酸(W−I−1)とともに、この抽出段階に属する第2の混合器(M−I−2)へ供給する
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
I)第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)で、ジニトロトルエンを含有する予備スクラブ洗浄された粗混合物を、この抽出段階に属する第1の相分離装置(S−II−1)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)と、次の抽出段階(WS−II−2)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)とともに、この抽出段階に属する第1の混合器(M−II−1)へ供給し、第1の混合器中に形成されたスクラブ洗浄エマルションを、第1の相分離装置(S−II−1)で、スクラブ洗浄酸(WSR−II−1)及び1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−II−1)に分離し、
II)1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−II−1)を、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の次の抽出段階(WS−II−2)で、この第2の抽出段階に属する第2の相分離装置(S−II−2)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)とともに、また、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)が2段階を超え(WS−II−m)までの抽出段階を含む場合は、次の抽出段階(WS−II−3)〜(WS−II−m)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−3)〜(WSR−II−m)とともに、又はスクラブ洗浄工程が正確に2段階の抽出段階を含む場合は、新たに導入された水(W−II−1)とともに、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の、この抽出段階に属する第2の混合器(M−II−2)へ供給する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
第2のスクラブ洗浄工程(W−II)の最後の抽出段階(W−II−m)において、ジニトロトルエン含有粗混合物と新たに導入した水との体積比が1:2〜15:1である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
合計で800ppm以下のニトロクレゾール及びニトロフェノール、600ppm以下のニトロ安息香酸、300ppm以下の硝酸、50ppm以下のシアン化水素酸、並びに3ppm以下の硫酸塩を含むジニトロトルエン含有混合物が、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の最後の抽出段階(WS−II−m)から取り出される請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から排出されるスクラブ洗浄酸が、5ppm未満のニトロクレゾール及びニトロフェノールの総含有量、並びに50ppm未満のニトロ安息香酸の含有量を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から排出されるスクラブ洗浄酸を、その中に溶解したジニトロトルエンを抽出により分離し、抽出剤を分離した後、かつ、中和した後、更なる前処理することなく、水処理プラントの生物学的処理段階へ供給する請求項11又は12に記載の方法。
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から分離したスクラブ洗浄酸をトルエンで抽出し、抽出したスクラブ洗浄酸をストリッピングガスでストリッピングし、1ppm未満のシアン化水素酸含有量を有する廃水を得る請求項13に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
混酸を使用する向流の1段階又は2段階で、DNTを形成するトルエンの連続的な等温又は断熱ニトロ化にあっては、粗ニトロ芳香族生成物が、相分離後に、常に、生じるものであり、これは、更に使用する前に、その中に溶解した不純物を除去しなければならない。ニトロ芳香族生成物中に溶解した、又はマイクロエマルションとして存在する硝酸、硫酸及び窒素酸化物からなる最終的な硝化酸は別として、例えば、モノニトロクレゾール、ジニトロクレゾール及びトリニトロクレゾール、又はモノニトロ安息香酸及びジニトロ安息香酸(以下、ニトロ安息香酸又はNBAsという)などのような芳香族カルボン酸などのニトロ化の対象となる芳香族との二次反応から生じる酸化生成物、及びその分解生成物も、粗DNT中に含まれる。
【0004】
ジニトロトルエンを形成するためのトルエンのニトロ化にあっては、とりわけ、モノニトロクレゾール(MNC)、ジニトロクレゾール(DNC)及びトリニトロクレゾール(TNC)、トリニトロフェノール(ピクリン酸PA)、モノニトロ安息香酸(MNBA)及びジニトロ安息香酸などのニトロ安息香酸、ニトロクレゾール及びニトロ芳香族化合物の、トルエン中に存在する脂肪族/脂環式炭化水素の微量の酸化分解生成物、例えば、二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、シアン化水素酸(HCN)、テトラニトロメタン(TNM)、ギ酸、酢酸、シュウ酸、及び硝酸の還元生成物、例えば、窒素酸化物(NO
2/NO)及び一酸化二窒素(N
2O)が、所期のニトロ化合物に加えて、副生成物として生成する。これらの生成物は、すべて、最終的なニトロ化酸を除去した後ニトロトルエン(MNT、DNT)に溶解する可能性がある。
【0005】
これらの副生成物及び分解生成物すべての形成の程度は、すべてのニトロ化の段階で同様ではなく、むしろ、個々のニトロ芳香族化合物の好ましい形成のように、混酸の含水量に依存する。したがって、水の含有量が高い混酸を使用するMNT段階では、例えば、モノニトロクレゾール及びジニトロクレゾールが優先的に形成され、ニトロ安息香酸のような酸化生成物の形成の程度は少ない。また、DNTの段階では、ニトロクレゾールの再形成の他に、MNT段階から送られてくるモノニトロクレゾール及びジニトロクレゾールが優先的に、硝酸との反応により酸化分解され、また、トルエン中に含まれる脂肪族炭化水素は、硝酸との反応によって酸化分解され、その結果、CO、CO
2及びシュウ酸、酢酸、ギ酸、窒素酸化物NOxやN
2O、及び微量のシアン化水素酸などのような不完全酸化分解生成物が形成される。
【0006】
したがって、MNT段階で形成されたモノニトロクレゾール及びジニトロクレゾールの酸化による、CO
2、CO及び低分子量のカルボン酸のような分解生成物に加えて、DNT段階では、強い環境的かつ触媒毒のシアン化水素も、少量形成されることが US4361712に示されている。モノニトロクレゾール及びジニトロクレゾールの0.3〜0.6質量%の含有量を有するMNTから、HCNの86ppmを含有するスクラビング水を、酸スクラブ洗浄(スクラブ洗浄工程I)で水を用いてスクラブ洗浄した後に得ている。しかし、水で洗浄したDNT中のシアン化水素酸の残留量については、何らの情報も記載がない。
【0007】
上記先行技術によれば、DNTは、通常、DNTを形成する等温向流で、二段階で硫酸(混酸)の存在下で硝酸との反応によりトルエンから得られる。しかし、一つ又は二つの段階からなる断熱反応条件も記載されている。二段階ニトロ化のMNT段階で形成されたニトロクレゾールの除去は、通常、行われないので、該先行技術に係るプロセスでは、ニトロクレゾールの大部分は常にDNT段階で酸化分解され、その結果少量のシアン化水素酸(青酸)を生成する。したがって、該先行技術により調製した粗DNTには30〜120ppmの微量のシアン化水素酸が存在することになる。なお、その実際の量は、MNT段階で形成されるニトロクレゾールの量及びDNT段階での窒化処理(nitrogenation)条件に依存する。
【0008】
これらの副生成物及び分解生成物の多くは、MNT又はDNTを形成するためのトルエンのニトロ化の過程で形成されるが、高度に毒性であり、かつ、ニトロトルエンの水素化により対応するアミン類を形成する際の触媒毒として作用する。したがって、かかる副生成物及び分解生成物は、接触水素化を行う前にニトロトルエンから除去する必要がある。通常、粗ニトロトルエンは、最終の硝化酸を分離した後、3工程からなるスクラブ洗浄(スクラビング工程)でスクラブ洗浄される(scrubbed)。そのスクラブ洗浄の一工程はアルカリの存在下でpH8〜12で実施される。従来技術に係るスクラブ洗浄工程は以下のとおりである:
1.硫酸、硝酸及び窒素酸化物等の溶解及び懸濁した鉱酸を除去する酸スクラブ洗浄(酸スクラビング)、
2.粗ニトロ芳香族生成物中に溶解した弱酸性の不純物、例えば、ニトロクレゾール、ニトロ安息香酸、及びニトロクレゾールの又は脂肪族若しくは環状炭化水素の酸化的分解からの分解生成物、例えば、シュウ酸、シアン化水素酸、CO
2などを除去するための、炭酸ナトリウム(ソーダ)、重炭酸ナトリウム、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基の存在下でのアルカリ性のスクラブ洗浄(アルカリ性スクラビング)(US4482769、US4597875、US6288289参照)、
3.残りの微量のアルカリを除去する、及び生成物中の微量に残る不純物を更に減少させるための中性のスクルブ洗浄。この目的のために、水が、通常、スクルブ洗浄媒体として使用され、この場合のスクルブ洗浄は、洗浄されるニトロ芳香族生成物が液体として存在する温度で、液/液スクルブ洗浄として実施される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1のスクラブ洗浄(scrubbing)工程(WS−I)では、少なくとも1段階の抽出段階を含むスクラブ洗浄で、硝酸、窒素酸化物及び硫酸を含むスクラブ洗浄酸(WSR−1)を用いて粗混合物が抽出される。ここでは、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の第1の抽出段階(WS−I−1)から排出されるスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)が10〜40質量%の総酸含有量(total acid content)及び80〜350ppmのシアン化水素酸の含有量(新たに導入された水/粗DNTの比に依存する)を有するものであり、これにより予備スクラブ洗浄したジニトロトルエン含有粗混合物を得る。
【0016】
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)では、少なくとも2段階の抽出段階を含むスクラブ洗浄で、スクラブ洗浄酸(WSR−II)を用いて、予備スクラブ洗浄した粗混合物を抽出し、ここで、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から排出されるスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)が4以下のpHを有し、これにより本質的に硝酸、硫酸、窒素酸化物、シアン化水素酸、CO
2,CO及びN
2Oが含まれていない、かつ、もともと粗DNTに存在していたニトロクレゾール、ジニトロクレゾール及びニトロ安息香酸が依然として存在する、ジニトロトルエン含有混合物を得る。
【0017】
抽出/ストリッピング段階では、スクラブ洗浄工程(WS−II)から得られたスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)をトルエンで抽出し、溶解又は懸濁していたDNTを回収する。相の分離後、まだ溶解し懸濁したトルエンを含有する水であって、しかも、DNT含有量が20ppm未満、好ましくは10ppm未満、特に好ましくは1ppm未満の水を、その後、水蒸気又は不活性ガスでストリッピングする。pHが4以下(≦4)の酸性排水中に存在するシアン化物をトルエンとともに分離し、ストリッピング凝縮液内に回収する。
【0018】
酸スクラブ洗浄を2工程の別々のスクラブ洗浄工程に分割することによって、抽出及びストリッピングと相まって、廃水から除去するのが極めて困難な、硫酸塩による、特に硝酸塩による廃水汚染が、例えば、US2976320、US4482769及びCA1034603に記載されたような従来技術と比較して、著しく低減される。
【0019】
環境汚染の総合的な削減及び回避に関するEUガイドライン(IRE−GL)によれば、本発明の方法は、BREFs(BAT参考文献)に記載されたような利用可能な最善の技術(BAT)の更なる発展を示している。本発明の方法は、DNTプラントからの廃水の全体量を大幅に減少するのみならず、廃水からニトロクレゾール、ニトロ安息香酸及びその他の分解生成物の除去又は部分的除去を行うための、包括的かつ技術的に複雑な手段を設ける手間を省くことを可能とする。
【0020】
第1のスクラブ洗浄工程(WS−1)では、DNTを含有する粗混合物に溶解した硫酸及び硝酸等の鉱酸、並びに窒素酸化物が、抽出剤としてスクラブ洗浄酸を用いて少なくとも1段階の抽出で分離される。
【0021】
第1のスクラブ洗浄工程は、少なくとも2段階で、かつ、向流で実施するのが好ましい。この少なくとも2段階の向流抽出は、原則として、EP0279312、EP0736514又はEP1780195に記載されているように実施することができる。
【0022】
第1のスクラブ洗浄工程は、向流で、一般的には、下記のとおり実施する。すなわち、
I)第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の第1の抽出段階(WS−I−1)では、ジニトロトルエン、硝酸、窒素酸化物及び硫酸を含む粗混合物を、この第1の抽出段階に属する第1の相分離装置(S−I−1)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)と、次の抽出段階(WS−I−2)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)とともに、第1混合器(M−I−1)へ供給し、混合器中で形成されたスクラブ洗浄エマルションを、第1の相分離装置(S−I−1)で、スクラブ洗浄酸(WSR−I−1)及び1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−I−1)に分離し、
II)1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−I−1)を、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の次の抽出段階(WS−I−2)で、この抽出段階に属する第2の相分離装置(S−I−2)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)とともに、また、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)が2段階を超える抽出段階を含む場合は、次の抽出段階(WS−I−3)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−3)とともに、又は第1のスクラブ洗浄工程が正確に2段階の抽出段階を含む場合は、新たに導入された水又はスクラブ洗浄酸とともに、この抽出段階に属する第2の混合器(M−I−2)へ供給し、この際、第1のスクラブ洗浄工程が、2段階を超える抽出段階を含む場合は、工程I)及びII)に相当する更なる抽出工程を続いて設けることができる。
【0023】
向流抽出は、n段階までの抽出段階を有することができる。ここで、抽出剤は、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)のn段階の抽出段階(WS−I−n)のうちの最後の段階へ供給される。この最後の抽出段階へ供給される導入抽出剤は、新しく導入した水又は特定の総酸含有量を有するスクラブ洗浄酸とすることもできる。本発明のある実施形態では、その導入抽出剤は水である。更なる実施形態においては、導入抽出剤は、0.2〜1.5質量%の範囲の総酸含有量を有するスクラブ洗浄酸である。例えば、このスクラブ洗浄酸は、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の第1の抽出工程(WS−I−1)で得られたスクラブ洗浄酸の濃縮からの蒸気凝縮液であることができる。これは、一般に、1.0質量%以下の硝酸及び0.3質量%以下の硫酸及び150ppm以下のシアン化水素酸を含む。これらの物質はすべてスクラブ洗浄酸(WS−I−1)に由来するものである。しかし、2質量%以下の総酸(total acid)(主として硫酸)を含有する、ニトロ化から硫酸を再濃縮するためのプラント(SACプラント)からの蒸気凝縮液をスクラブ洗浄酸として使用することができる。
【0024】
第1のスクラブ洗浄工程の第1の抽出段階(WS−I−1)で得られるスクラブ洗浄酸は、一般に10〜40質量%の総酸含有量を有する。この総酸含有量は、硝酸、硫酸及び窒素酸化物の合計である。窒素酸化物は亜硝酸HNO
2として計算する。
【0025】
驚くべきことに、粗DNT(30〜120ppmのシアン化水素酸)からスクラブ洗浄した、かつ、スクラブ洗浄酸とともに(WS−I−1)から排出したシアン化水素酸の80〜350ppmが、鉱酸の含有量が10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%である、このスクラブ洗浄酸に、さらに、溶解している。
【0026】
第1のスクラブ洗浄工程の第1の抽出段階で得られるスクラブ洗浄酸は、直接又は濃縮された後、トルエンのニトロ化へ再循環させることができる。また、トルエンニトロ化の最初の段階(モノニトロトルエン段階)からの最終酸の濃縮へ導入することもできる。この第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)では、第2のスクラブ洗浄工程で得られる廃水の硫酸塩及び硝酸塩による汚染は実質的に最小限に抑えられる。廃水からの硝酸塩の除去は、複雑な脱窒段階によってのみ可能である。
【0027】
第1のスクラブ洗浄工程の後得られた予備スクラブ洗浄されたDNTを含有する粗混合物は、一般に、300ppm以下、好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下の硫酸塩含有量、及び5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下、特に好ましくは1000ppm以下の硝酸及び窒素酸化物含有量を有する。予備スクラブ洗浄されたDNT中のシアン化水素酸の残留含有量は、一般に、20〜90ppm、好ましくは30〜70ppmである。
【0028】
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)では、予備スクラブ洗浄されたDNT含有の粗混合物から、硝酸、窒素酸化物及び硫酸の残った残留分が、総酸(本質的に硝酸、窒素酸化物及び硫酸)の含有量が低いスクラブ洗浄酸を用いる少なくとも1段階の抽出によってスクラブ洗浄される。このとき、DNT含有粗混合物中の鉱酸及び窒素酸化物の含有量が最小限に減少されるような態様でスクラブ洗浄する。予備スクラブ洗浄されたDNT中に残留するシアン化水素酸は、一般に、20〜70ppmであり、同様に、実質的に、スクラブ洗浄される。
【0029】
第2のスクラブ洗浄工程は、少なくとも2段階で、かつ、向流で実施するのが好ましい。向流抽出は、m段階までの抽出段階を有することができる。ここで、抽出剤は、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)のm段階の抽出段階の最後の段階(WS−II−m)へ供給される。供給される抽出剤は、一般に、新たに導入される水である。
【0030】
第2のスクラブ洗浄工程は、向流で、一般に以下のように実施される。
【0031】
I)第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)で、ジニトロトルエンを含有する予備スクラブ洗浄された粗混合物を、この抽出段階に属する第1の相分離装置(S−II−1)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)と、次の抽出段階(WS−II−2)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)とともに、この抽出段階に属する第1の混合器(M−II−1)へ供給し、第1の混合器中に形成されたスクラブ洗浄エマルションを、第1の相分離装置(S−II−1)で、スクラブ洗浄酸(WSR−II−1)及び1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−II−1)に分離し、
II)1回スクラブ洗浄された粗混合物(DNT−II−1)を、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の次の抽出段階(WS−II−2)で、この第2の抽出段階に属する第2の相分離装置(S−II−2)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)とともに、また、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)が2段階を超える抽出段階を含む場合は、次の抽出段階(WS−I−3)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−3)とともに、又はスクラブ洗浄工程が正確に2段階の抽出段階を含む場合は、新たに導入された水とともに、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の、この抽出段階に属する第2の混合器(M−II−2)へ供給し、ここで、第2のスクラブ洗浄工程が、2段階を超える抽出段階を含む場合は、工程I)及びII)に相当する更なる抽出工程を設けることができる。
【0032】
ここで、第2のスクラブ洗浄工程は、ニトロクレゾール及びニトロフェノールの実質的に総量、及び好ましくは、粗混合物中に最初から存在していたニトロ安息香酸の95質量%以下が粗混合物中に残存し、スクラブ洗浄酸によって排出されないように実施される。この実施は、本発明に従い、4以下のpHを有する、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から排出されるスクラブ洗浄酸によって行われる。4以下のpHを有し、かつ、廃水として排出される低濃度スクラブ洗浄酸中のニトロクレゾール及びニトロフェノールの総含有量は、一般に5ppm未満であり、ニトロ安息香酸の含有量は、一般に50ppm未満である。今やスクラブ洗浄されたDNTのみを飽和限界まで溶液の形態で含む、この廃水は、直接、又は、トルエンによる抽出及びストリッピングで溶解DNTを回収した後に、水処理プラントへ移送することができる。このとき、ニトロクレゾール及びニトロ安息香酸並びに毒性の酸化的分解生成物を除去するために今まで慣習となっており、かつ、必要であった前処理を要しない。
【0033】
スクラブ洗浄工程(WS−I)及び(WS−II)の2工程のそれぞれにおいては、スクラブ洗浄は、好ましくは、向流で、少なくとも2段階で実施される。一実施形態では、第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)は2〜4段階の抽出段階を含む(n=2〜4)。また、別の実施形態において、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)は、2〜4段階の抽出段階を含む(m=2〜4)。なお、これよりも多くの抽出段階、例えば、スクラブ洗浄工程ごとに、5又は6段階の抽出段階を設けることも可能である。また、ある一実施形態においては、各スクラブ洗浄工程は、正確に2段階の抽出段階からなる。
【0034】
各スクラブ洗浄工程の最後の抽出段階に導入される抽出剤又は新しく導入される水の量は、それぞれのスクラブ洗浄工程(WS−I)又は(WS−II)の第1の抽出段階で採用される総酸含有量(WS−Iでの)又はpH(WS−IIでの)によって変動する。
【0035】
各スクラブ洗浄装置中で互いに直接接触しているDNT含有の粗混合物(有機相)とスクラブ洗浄酸(水相)との体積比は、2つのスクラブ洗浄工程において、一般に1:4〜10:1の範囲、好ましくは1:3〜5:1の範囲、特に好ましくは1:3〜2:1の範囲で選択される。上記の相比及び分散用のエネルギー投入に応じて、混合物は水中油型エマルション(O/Wエマルション)として、又は油中水型エマルション(W/Oエマルション)として存在し得る。これらの相比は、適切な量の抽出剤を最後の抽出段階へ加えることによって設定できる。しかし、好ましいのは、規定量の抽出剤で、相分離後にスクラブ洗浄酸を循環させることによって設定できる。このとき、過剰分の抽出剤(最後の抽出段階中に新たに導入される抽出剤の量に相当する)のみが、先行する抽出段階へ供給されるか、又は排出される。
【0036】
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から取り出されるスクラブ洗浄酸のpHは、一般に0〜3の範囲、好ましくは0.5〜2の範囲、特に好ましくは0.8〜1.2の範囲である。第2のスクラブ洗浄工程の第1の抽出段階において望ましい最適pHは、第1のスクラブ洗浄工程に由来する予備スクラブ洗浄された粗混合物中の硝酸の残留含有量を介して、及び/又は、第2のスクラブ洗浄工程の最後の抽出段階へ導入される新鮮な水の量を介して設定することができる。別の方法として、望ましいpHの設定は、鉱酸、例えば第1のスクラブ洗浄工程からのスクラブ洗浄酸を加えることによって、又は、硫酸、又は好ましくは硝酸を加えることによって可能である。
【0037】
新たに導入される水又は第1のスクラブ洗浄工程(WS−I)の最後の抽出段階に導入されるスクラブ洗浄酸の量としては、スクラブ洗浄酸WSR−I−1が10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%の総酸濃度有するように選ばれる。
【0038】
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の最後の抽出段階へ導入される新たな導入水の量、したがって、DNTと新たな導入水との比は、体積を基準として、DNTのt当たり1.5m
3〜0.05m
3の新たな導入水に相当する、1:2〜15:1の範囲で、好ましくはDNTのt当たり0.75m
3〜0.107m
3の新たな導入水に相当する、1:1〜7:1の範囲で、特に好ましくはDNTのt当たり0.75m
3〜0.38m
3の新たな導入水に相当する、1:1〜2:1の範囲で変動することができる。両方のスクラブ洗浄工程は、DNTの融点を超える温度で、一般には、60〜75℃で実施される。
【0039】
2段階のスクラブ洗浄工程用のスクラブ洗浄装置としては、例えば、ミキサー・セトラー(mixer-settler)装置又は撹拌型多段(stirred multistage)カラム又はパルス式充填カラム(pulsed packed columns)及びシーブトレイカラム(sieve tray columns)を、また、管型反応器及び適切な分離装置と組み合わせて静的ミキサーを使用することができる。静的な分離機及び動的な分離機(遠心分離機)のどちらも、スクラブ洗浄されるDNT含有粗混合物及びスクラブ洗浄酸からなるスクラブ洗浄分散物を分離するのに適切である。
【0040】
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)から排出される、4以下のpH、好ましくは0〜3のpH、さらに好ましくは0.5〜2のpH、特に0.8〜1.2のpHを有するスクラブ洗浄酸は、一般に、100ppm以下の硫酸塩の含有量、2000ppm以下の硝酸の含有量及び50ppm以下のHNO
2の含有量を有する。さらに、所定の温度での飽和限界に相当する量、例えば800〜1000ppmの異性体ジニトロトルエンを含む。ニトロクレゾール及びニトロフェノールの含有量は、一般に1ppm未満であり、ニトロ安息香酸の含有量は、一般に50ppm未満である。
【0041】
シアン化水素酸の含有量は30〜120ppm、好ましくは40〜120ppm、特に好ましくは50〜100ppmの範囲で変動する。この廃水のTOC(全有機体炭素)は、炭酸ナトリウムを使用するアルカリ性DNTスクラブ洗浄からの廃水中の約3000mg/lと比較して、例えば、わずか約1100mg/lである。この廃水のCOD(化学的酸素要求量)は、炭酸ナトリウムを使用するアルカリ性DNTスクラブ洗浄からの廃水中の約6000mgのO/lと比較して、例えば、わずか約3000mgのO/lである。
【0042】
抽出/ストリッピング工程では、pHが4以下で、抽出段階(WS−II−1)で分離したスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)に溶解及び懸濁しているDNTを、一般には、800〜2000ppm、トルエンによる抽出でこのスクラブ洗浄酸から回収する。加えて、EP0737514に記載されているように、スクラブ洗浄酸(WSR−II−1)を、第1のスクラブ洗浄工程(WR−I−n)からのスクラブ洗浄酸(WRS−I−1)の濃縮からの蒸気凝縮液と一緒に処理することができる。スクラブ洗浄酸(WS−II−1)から抽出剤を分離した後、約100〜500ppmの溶解及び懸濁したトルエンが残留する。このラフィネートを、その後、ストリッピング処理し、100〜500ppmの溶解抽出剤に加えて、例えば、50〜100ppmの量で存在する溶解シアン化水素酸を、規定限界値まで減少させた廃水から、除去する。
【0043】
スクラブ洗浄酸(WSR−II−1)をスクラブ洗浄したDNTから分離した直後に、DNTが飽和したスクラブ洗浄酸からの溶解DNTが沈殿するのを回避するため、例えば、60〜70℃の温度範囲で、抽出を行うのが好ましい。規定限界値まで減少させたスクラブ洗浄酸からのDNTの除去を極めて少ない数の抽出段階を使用して実施することができるように、抽出剤とスクラブ洗浄酸(WRS−II−1)との比を選択する。抽出剤と処理するスクラブ洗浄酸との質量比は1:10〜1:1、好ましくは1:5〜1:3の範囲内で変動させることができる。スクラブ洗浄酸(WRS−II−1)、又はスクラブ洗浄酸(WRS−II−1)とスクラブ洗浄酸(WRS−I−1)の濃縮からの蒸気凝縮液との混合物は、通常、1回〜5回、好ましくは1回〜3回抽出する。この抽出は、通常は、液/液抽出に関する従来技術による既知の方法により行うが、複数の抽出段階を必要とする場合には、好ましくは向流で行う。抽出器としては、例えば、DE1135425に記載されているミキサー/沈殿器(mixer/settler)を用いることができるし、あるいは、撹拌型カラム又はパルス式充填カラム(pulsed packed columns)及びシーブトレイカラム(sieve tray columns)を使用することもでき、また、適切な分離装置又はカラムと組み合わせて静的ミキサーを使用することもできる。抽出の後に分離したトルエンは、スクラブ洗浄酸から抽出することができる有機物質、本質的にはDNTを含むものであって、抽出したスクラブ洗浄酸の次のストリッピングで得られるトルエンとともに、ニトロ化へ再循環させる。
【0044】
溶解又は懸濁した抽出剤トルエンを除去するための廃水のストリッピングとpH4以下でシアン化水素酸として存在するシアン化物のストリッピングは、ストリッピングガスとして蒸気を直接導入により又は蒸留により(間接的)用いることにより、また、同様に空気又は不活性ガス、好ましくは窒素(酸素を除いて)を用いることにより実施することができる。ストリッピング装置としては、全ての形式のストリッピングカラムが適切である。ストリッピング用ガス量とストリッピングされる廃水量との比については、第一に、ストリッピングした廃水中のシアン化物及びトルエンの所期の限界値が達成できるように、また、第二に、トルエンの分離後、ストリッピング凝縮液中のシアン化物(シアン化水素酸)含有量が、シアン化水素酸を含有するこの廃水を危険なく取り扱うことができるレベルになるように選択される。
【0045】
ストリッピング凝縮液中の廃水に比べて比較的高いシアン化物含有量については、さらに増やさないように、従来の方法によって、例えば、ホルムアルデヒドを添加することによって、制限する(bound)ことができる。あるいは、適切な電極で電解処理することにより、又は、シアン化水素酸の残留含有量を有する処理済みストリッピング凝縮液を抽出段階へ再循環させることができるか、若しくは水処理プラントへ無害で排出させることができる程度の十分な量の、過酸化水素、過酸、次亜塩素酸塩又はオゾンなどの酸化剤を添加することによって、シアン化物含有量を減少させ、又は完全に除去することができる。しかし、ストリッピング凝縮液中の比較的高いシアン化物含有量は、また、空気又は窒素でストリッピング凝縮液を更にストリッピングすることにより減少させ、又は完全に除去することができる。過剰のシアン化物を除去したストリッピング凝縮物は、同様に、抽出段階に再循環される。シアン化水素酸を含む不活性ガス流は、例えば、ニトロ化からのCO含有オフガス流とともに、熱酸化される。
【0046】
抽出及びストリッピングの後に生成した廃水は、4以下のpH、好ましくは0〜3のpH、特に好ましくは0.5〜2のpH、特に0.8〜1.2のpHを有し、一般に、100ppm以下の硫酸塩の含有量、2000ppm以下の硝酸の含有量及び50ppm以下のHNO
2の含有量を有する。さらに、かかる廃水は、50ppm未満、好ましくは20ppm未満、特に好ましくは1ppm未満の異性体ジニトロトルエンを含む。ニトロクレゾール及びニトロフェノールの含有量は、一般に1ppm未満であり、ニトロ安息香酸の含有量は、一般に50ppm未満である。遊離のシアン化水素酸の含有量は、1ppm未満、好ましくは0.5ppm未満、特に好ましくは0.2ppm未満である。この廃水のTOC(全有機体炭素)は、スクラブ洗浄酸(WRS−II−1)中の約1100mg/lに比して、例えば、わずか約500〜600mg/lである。この廃水のCOD(化学的酸素要求量)は、抽出/ストリッピング前のスクラブ洗浄酸(WRS−II−1)中の約3000mgのO/lと比較して、例えば、わずか約1500mgのO/lである。
【0047】
このようにして前処理したスクラブ洗浄酸(WRS−II−1)、及び、スクラブ洗浄酸(WRS−II−1)とこのようにして処理されたスクラブ洗浄酸濃縮(WRS−I−1)からの蒸気凝縮物との混合物は、中和し水処理プラントの生物学的処理段階を経てきた後は、DIN EN ISO 38415 T6(魚)、11348−2(発光バクテリア)、38412 L30(ミジンコ属)、38412 L33(藻類)及びDIN EN ISO 9888(umu試験、遺伝子毒性)に従って決定された、遺伝子毒性を含む毒性に関するドイツ連邦共和国の排水規制のすべての要件を一般に満足する。
【0048】
一般に300ppm以下の硝酸の残存酸、一般に50ppm以下、好ましくは25ppm以下、特に好ましくは10ppm以下、格別特に好ましくは1ppm以下のシアン化水素酸の含有量を有するDNTが、第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)の最後の抽出段階(WR−II−m)から取り出される。一酸化二窒素含有量(N
2O)は、一般には200ppm以下、好ましくは50ppm以下、特に好ましくは25ppm以下であり、CO含有量は、一般には、400ppm以下、好ましくは200ppm以下、特に好ましくは50ppm以下のCOであり、ニトロクレゾール及びニトロフェノールの含有量は、一般には800ppm以下であり、ニトロ安息香酸の含有量は、一般に600ppm以下であり(ジニトロ安息香酸及びモノニトロ安息香酸)、硝酸の残存含有量は、一般に300ppm以下であり、硫酸塩の含有量は、一般に3ppm以下である。pHは一般に2〜4である。このDNT、並びにその中に溶解したニトロクレゾール、ニトロフェノール、及びニトロ安息香酸は、従来技術の方法によって、完全に、かつ、問題なく、水素化してトルエンジアミン(TDA)、及び対応するアミノクレゾール、アミノフェノール及びアミノ安息香酸(ジアミノ安息香酸、モノアミノ安息香酸)を形成する。アミノクレゾール、アミノフェノール及びアミノ安息香酸はTDA蒸留の蒸留残留物に残存し、この蒸留残留物とともに処分される。
【0049】
更なる有利な点は、本発明に従い、酸スクラブ洗浄を受けたDNTのより高い熱安定性にある。したがって、熱分解が始まる温度が上昇する。酸性条件下でのみスクラブ洗浄を受け、例えば、620ppmのニトロフェノール及びニトロクレゾール、並びに460ppmのニトロ安息香酸を含むDNTの場合には、従来技術に従い、炭酸ナトリウムの存在下でスクラブ洗浄された、例えば、20ppm未満のニトロフェノール及びニトロクレゾールを含むDNTと比較して、約20℃だけ上昇する。
【0050】
(WS−I)及び(WS−II)のスクラブ洗浄酸中の、トルエンをニトロ化してDNTを生成する過程で形成されるシアン化物を検出するために、DIN38405−D13に記載の方法を採用することができる。この場合、試料分析を行う前に試料を希釈することにより妨害物質の限界濃度を遵守するように注意を払うべきである。商業キュベット試験についても同様に言えることである。
【0051】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る本発明の方法による粗DNTのスクラブ洗浄を示す概略図である。
【0052】
スクラブ洗浄工程I(WS−I)の第1の抽出段階(WS−I−1)(n=1)では、 ニトロ化からの粗DNT(R−DNT)が、DNT最終酸の除去後、相分離装置(S−I−1)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)とともに、また、次の抽出段階(WS−I−2)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)とともに、スクラブ洗浄酸とDNTとの規定の相比が確立されるように、混合器(M−I−1)へ供給される。その抽出段階に属する相分離装置(S−I−1)におけるスクラブ洗浄エマルションの相分離の後、分離されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)はこの段階に属する混合器(M−I−1)へ再循環される。過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)は直接、又は濃縮後、ニトロ化へ再循環される。
【0053】
分離機(S−I−1)で分離された1回スクラブ洗浄したDNT(DNT−I−1)は、次の抽出段階(WS−I−2)(n=2)で、相分離装置(S−I−2)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)とともに、また、次の抽出段階(WS−I−3)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−3)とともに、スクラブ洗浄酸とDNTとの規定の相比が確立されるように、混合器(M−I−2)へ供給される。この抽出段階に属する相分離装置(S−I−2)におけるスクラブ洗浄エマルションの相分離の後、分離されたスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)はこの段階に属する混合器(M−I−2)へ再循環される。過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−I−2)は先の抽出段階(WS−I−1)へ供給される。相分離装置(S−I−2)で分離された2回スクラブ洗浄されたDNT(DNT−I−2)は、次の抽出段階(WS−I−3)(n=3)へ移送され第3回目のスクラブ洗浄を行う。抽出段階の数は、好ましくは4(n=4)以下であることができる。新たな導入水、又は好ましくはスクラブ洗浄段階(WS−I−1)からのスクラブ洗浄酸の濃縮からの蒸気凝縮液が、スクラブ洗浄媒体(W−I−1)として、(S−I−1)から分離されたスクラブ洗浄酸が20〜40%の総酸含有量を有するような量で、最後の抽出段階(WS−I−4)へ供給される。
【0054】
スクラブ洗浄工程(WS−I)からの予備スクラブ洗浄されたDNT(DNT−I−n)は、スクラブ洗浄工程(WS−II)の第1の抽出段階(WS−II−1)(m=1)において、相分離装置(S−II−1)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)とともに、及び、次の抽出段階(WS−II−2)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)とともに、スクラブ洗浄酸とDNTとの規定の相比が確立されるように、混合器(M−II−1)へ供給される。スクラブ洗浄段階に属する相分離装置(S−II−1)におけるスクラブ洗浄エマルションの相分離の後、分離されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)はこの段階に属する混合器(M−II−1)へ再循環される。過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)は、溶解した生成物(DNT)を回収するために、本発明に係る抽出及びストリッピング工程で処理される。
【0055】
相分離装置(S−II−1)で分離された1回洗浄のDNT(DNT−II−1)は、次の抽出段階(WS−II−2)(m=2)において、相分離装置(S−II−2)から循環されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)及び次のスクラブ洗浄段階(WS−II−3)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−3)とともに、スクラブ洗浄酸とDNTとの規定の相比が確立されるように、混合器(M−II−2)へ供給される。この抽出段階に属する相分離装置(S−II−2)におけるスクラブ洗浄エマルションの相分離の後、分離されたスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)はこの段階に属する混合器(M−II−2)へ供給される。過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−2)は先の抽出段階(WS−II−1)へ供給される。相分離装置(S−II−2)で分離された2回スクラブ洗浄したDNT(DNT−II−2)は、第3回目のスクラブ洗浄のために次の抽出段階(WS−II−3)(m=3)へ移送される。抽出段階の数は、好ましくは、最大6段階(m=6)までである。新たな導入水が、スクラブ洗浄媒体(W−II−1)として、(S−II−1)から分離されたスクラブ洗浄酸が、好ましくは0〜3のpHを有するような量で、最後の抽出段階(WS−II−6)へ供給される。その後、第1の抽出段階(WS−II−1)のpHを、さらに硝酸又はスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)を加えることによって、最適な操作ができる値に調整することができる。
【0056】
第1の抽出段階(WS−II−1)からの過剰なスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)は、その後、抽出工程(E)の抽出器内でトルエンにより処理される。トルエン/(WSR−II−1)の抽出混合物の相分離を行った後、このトルエンは溶解DNTとともにニトロ化へ供給される。依然として溶解しているトルエンと微量の懸濁トルエン及びシアン化物とを含むスクラブ洗浄酸から、このトルエンをシアン化物とともにストリッピング工程(S)で分離する。トルエンとシアン化物とが分離されたスクラブ洗浄酸は、中和した後、直接、水処理プラントの生物学的処理段階へ排出される。ストリッピング中に分離したトルエンは抽出へ再循環させる。ストリッピング凝縮液中に高濃度で存在するシアン化水素酸は、従来技術により、酸化剤による処理で破壊することができる。
【0057】
図2は、本発明に従う、トルエンをニトロ化してDNTを形成するための製造プラントで、それに続いて、粗DNTを本発明の好ましい実施形態に従い2工程でスクラブ洗浄することを伴うプラントの概略図である。
【0058】
ニトロ化ユニット(N)内で、硫酸及び硝酸の混合物を用いて向流でトルエンの2段階連続等温又は断熱ニトロ化により形成されたジニトロトルエン異性体混合物は、相分離装置(分離機(S))内でニトロ化エマルションを分離した後、2工程のスクラブ洗浄工程(WS−I)及び(WS−II)を有する本発明に係るスクラブ洗浄へ供給される。スクラブ洗浄工程(WS−I)において、粗DNT中に溶解した鉱酸の硫酸、硝酸、及び窒素酸化物がスクラブ洗浄される。このスクラブ洗浄工程の第1のスクラブ洗浄段階(WS−I−1)から分離され、10〜40質量%の総酸含有量を有するスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)は、直接ニトロ化ユニット(N)へ、又は更なる濃縮後、(WNA−2)としてニトロ化へ再循環される。スクラブ洗浄酸(WRS−I−1)及び/又は最終硝化酸の濃縮からの蒸気凝縮液は、スクラブ洗浄水(W−1)としてスクラブ洗浄工程(WS−I)へ再循環される。
【0059】
第2のスクラブ洗浄工程(WS−II)では、(WS−I)からの予備スクラブ洗浄されたDNTに未だ残存する鉱酸の残分が、好ましくは0〜3のpHを有するスクラブ洗浄酸(WSR−II−1)が生じるように、スクラブ洗浄される。分離されたスクラブ洗浄酸の量を補うため、新たな導入水が(WS−II)へ加えられる。スクラブ洗浄工程II(WS−II)からの、このスクラブ洗浄酸は、当該酸に溶解しているDNTを回収しシアン化物を除去するため、抽出/ストリッピングプロセス工程(E/S)で処理される。この処理は、スクラブ洗浄酸を、中和した後、直接、水処理プラントの生物学的後処理段階(KA)に導入することができるような態様で行われる。
【0060】
分離ユニット(S)で得られた最終硝化酸は、硫酸用濃縮プラント(SAC)で硫酸(96%以下)に濃縮されてニトロ化へ再循環される。オフガス処理(A)で収集された、ニトロ化及びスクラブ洗浄からの窒素酸化物を含有するオフガスから回収された硝酸(WNA−1)は、スクラブ洗浄工程(WS−I)から得たスクラブ洗浄酸(WSR−I−1)とともに、又は濃縮後、(WNA−2)としてニトロ化へ再循環される。
【実施例】
【0061】
本発明を、以下の実施例によって説明する。
【0062】
実施例
実施例1(従来技術)
0.94質量%の硫酸、1.43質量%の硝酸及び1.15質量%の窒素二酸化物の残存含有量を有するDNT4500kg/hを、最終硝化酸を除去した後、酸スクラブ洗浄(スクラブ洗浄工程I)で2段階の向流でスクラブ洗浄した。第1の抽出段階で、7.58質量%の硫酸、19.52質量%の硝酸及び約0.45質量%の窒素酸化物(HNO
2として)を含むスクラブ洗浄酸を用いて、1:1のDNTとスクラブ洗浄酸との相比で、スクラブ洗浄を実施した。スクラブ洗浄工程Iの第2の抽出段階では、0.5質量%以下の硫酸、約6質量%の硝酸及び約0.15質量%の窒素酸化物を含むスクラブ洗浄酸を用いて、同様に1:1の相比で、スクラブ洗浄を実施した。最後の抽出段階へ供給する、追加する水又はスクラブ洗浄酸の更なる濃縮からの凝縮液(本実施例では約450リットル/h)の量としては、酸スクラブ洗浄の第1の抽出段階において、スクラブ洗浄される粗DNTと接触するスクラブ洗浄酸の濃度が、設定した酸強度及び濃度を超えないように選択する。所定の相比を維持するため、それぞれの抽出段階の分離機(相分離装置)で分離されたスクラブ洗浄酸を循環させ、過剰分のみを先のスクラブ洗浄段階へ移送するか、又は排出した。
【0063】
酸洗浄から排出された27.55質量%の総酸含有量を有する洗浄酸を、更なる濃縮の後、ニトロ化へ再循環させた。
【0064】
実質的に鉱酸が含まれていない、酸スクラブ洗浄からのDNTから、予備スクラブ洗浄されたDNTに未だ溶解している鉱酸、主として硝酸及びNOxの残留分、及び同伴したスクラブ洗浄酸、ニトロフェノール及びニトロクレゾール、ニトロ安息香酸、及び、DNT段階でのニトロクレゾール及びジニトロクレゾールの酸化から生ずるその他全ての強酸及び弱酸、例えば、アルカリ性スクラブ洗浄におけるシュウ酸、酢酸、ギ酸、シアン化水素酸、二酸化炭素などを除去した。
【0065】
スクラブ洗浄工程I(酸スクラブ洗浄)からの、100ppm以下の硫酸及び3000ppm以下の硝酸/窒素酸化物の残存含有量を有する約4350kgの予備スクラブ洗浄されたDNTを、アルカリ性スクラブ洗浄工程(アルカリスクラブ洗浄)で塩基(炭酸ナトリウム)の存在下、相比1:1、一段階で、pHを9〜10に確立しつつ、スクラブ洗浄した。アルカリスクラブ洗浄からのスクラブ洗浄エマルションの相分離の後、分離したDNTを、さらに、一段階中性スクラブ洗浄で同様に1:1の相比でスクラブ洗浄し、新しい導入水を添加することにより(本ケースでは2800リットル/h)アルカリスクラブ洗浄からの同伴する微量物を除去した。相分離後、中性スクラブ洗浄で分離したスクラブ洗浄水をスクラブ洗浄水としてアルカリスクラブ洗浄へ供給した。2工程からなるスクラブ洗浄工程(アルカリスクラブ洗浄及び中性スクラブ洗浄)で所定の相比を維持するため、それぞれのスクラブ洗浄段階の分離機で分離されたスクラブ洗浄水を循環し、過剰分のみを中性スクラブ洗浄からアルカリスクラブ洗浄へ移送し、又はアルカリスクラブ洗浄から排出した。
【0066】
アルカリスクラブ洗浄から排出された、pHが9〜10で、40ppmの硫酸塩、580ppmの硝酸塩、2500ppmの亜硝酸塩、990ppmのDNT及び740ppmのトリニトロクレゾールの含有量を有するアルカリ性スクラブ洗浄液を、ニトロフェノール及びニトロクレゾール並びに更なるニトロ化合物、並びに溶解したDNTを分解するため、直接、290℃及び90バールの熱分解へ供給した。ニトロフェノール及びニトロクレゾール、ニトロ安息香酸、シアン化水素酸及び溶解したDNTが分解された、熱分解から排出される水には、河口排水口へ放流する前に、水処理プラントで更なる生物学的後処理を施した。
【0067】
実施例2(本発明)
0.94質量%の硫酸、1.43質量%の硝酸、1.15質量%の窒素二酸化物及び70ppmのシアン化水素酸の残存含有量を有するDNT4500kg/hを、最終硝化酸を除去した後、スクラブ洗浄工程I(WS−I)で2段階の向流でスクラブ洗浄した。第1の抽出段階(WS−I−1)で、7.58質量%の硫酸、19.52質量%の硝酸、約0.45質量%の窒素酸化物(HNO
2として)及び平均250ppmのシアン化水素酸を含むスクラブ洗浄酸を用いて、1:1のDNTとスクラブ洗浄酸との相比で、スクラブ洗浄を行った。スクラブ洗浄工程Iの第2の抽出段階(WS−I−2)において、0.5質量%以下の硫酸、約6質量%の硝酸、約0.15質量%の窒素酸化物及び平均150ppmのシアン化水素酸(蒸気凝縮液)を含むスクラブ洗浄酸を用いて、同様に1:1の相比で、スクラブ洗浄を実施した。最後の抽出段階へ供給する、追加する水又はスクラブ洗浄酸の更なる濃縮からの凝縮液の量(本実施例では約450リットル/h)は、スクラブ洗浄される粗DNTと接触する、第1の抽出段階(WS−I−1)のスクラブ洗浄酸の濃度が、設定した酸強度及び濃度を超えないように選択する。所定の相比を維持するため、それぞれの抽出段階の分離機(相分離装置)で分離されたスクラブ洗浄酸を循環させ、過剰分のみを前のスクラブ洗浄段階へ移送するか、又は排出した。
【0068】
スクラブ洗浄工程(WS−I)から排出された27.55質量%の総酸含有量を有するスクラブ洗浄酸を、更なる濃縮の後、ニトロ化へ再循環させた。
【0069】
スクラブ洗浄工程(WS−I)で実質的に完全に鉱酸が除去された、予備スクラブ洗浄されたDNTから、DNTに未だ溶解している鉱酸の残留分、主に、硝酸及びNOx及びシアン化水素酸又はスクラブ洗浄工程I(WS−I)からの同伴スクラブ洗浄酸の残留分をスクラブ洗浄工程II(WS−II)で除去した。
【0070】
100ppm以下の硫酸、3000ppm以下の硝酸/窒素酸化物及び平均50ppmのシアン化水素酸の残存含有量を有する、スクラブ洗浄工程I(WS−I)からの約4350kgの予備スクラブ洗浄されたDNTを、2段階の向流でスクラブ洗浄した。スクラブ洗浄工程II(WS−II)の第1の抽出段階では、0〜3のpH、特に好ましくは0.8〜1.2のpHを有するスクラブ洗浄酸を用いて、1:1のDNT:スクラブ洗浄酸の相比でスクラブ洗浄を行った。スクラブ洗浄工程II(WS−II)の第2の抽出段階では、ほんの微量の鉱酸、特に硝酸を含むスクラブ洗浄酸を用いて、同様に1:1の相比でスクラブ洗浄を実施した。最後の抽出段階(WS−II−n)(n=2)へ供給する、新たな導入水の添加量(本実施例では約2800リットル/h)は、スクラブ洗浄工程I(WS−I)からのDNTが抽出される第1の抽出段階(WS−II−1)のpHが、0.8〜1.2の範囲の設定pH最適値に維持されるように選択した。抽出段階で所定の相比を維持するために、それぞれの抽出段階の分離機で分離したスクラブ洗浄酸を循環し、過剰分のみを前の段階へ移送又は排出した。
【0071】
スクラブ洗浄工程II(WS−II)における第1の抽出段階(WS−II−1)から排出された、1.0のpHを有し、かつ、85ppmの硫酸、1800ppmの硝酸、40ppmの窒素酸化物、980ppmのDNT及び1ppm未満のトリニトロクレゾール、10ppm未満のニトロ安息香酸及び平均80ppmのシアン化水素酸の含有量を有するスクラブ洗浄酸(約2800リットル)を、複数段階で、トルエンと水との相比(体積)を1:3とし、トルエンで抽出した。相分離後、トルエン抽出物をDNTとともにニトロ化へ再循環させた。トルエンによる抽出の後、スクラブ洗浄酸(ラフィネート)は、1ppm未満のDNT、平均500ppm以下のトルエン及び約80ppmのシアン化水素酸を含んでいた。トルエン及びシアン化水素酸を、蒸気(steam)による多段階ストリッピング、必要に応じて不活性ガス蒸気を併用した多段階ストリッピングで分離した。トルエン及びシアン化水素酸の双方とも、凝縮物中に高濃度で存在していた。分離したトルエンは抽出へ再循環させた。ストリッピング凝縮物中に高濃度(例えば、10倍に増大)で存在するシアン化物は、従来技術による酸化剤による処理で分解させた。この処理した凝縮物は、本質的にシアン化物を含まないものであり、これを抽出へ再循環させた。スクラブ洗浄酸は、トルエン及びシアン化物を含まないものであり(最大でも0.2ppm)、pH7〜8まで中和させた後、直接、生物学的後処理へ供給した。この生物学的処理後に得られた廃水は、ドイツ連邦共和国の排水規制に規定された毒性に関する全ての要求を満たしていた。