(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給口末端と排出口末端、供給口末端と排出口末端の間で伸びる基材軸方向長さを含む壁流型基材、及びこの壁流型フィルター基材の内壁で区切られた複数の流路を有する触媒担持すすフィルターであって、
その複数の流路が、開放供給口末端と閉鎖排出口末端とをもつ供給口流路と、閉鎖供給口末端と開放排出口末端とをもつ排出口流路を有し、
特定の供給口流路と隣接する排出口流路と上記供給口流路と上記排出口流路の間の内壁が全流路を構成し、
上記全流路の少なくとも20%の内壁が、少なくとも部分的に第一皮膜と第二皮膜で覆われ、
与えられた少なくとも部分的に覆われた全流路の内壁が、開放供給口末端から第一皮膜末端に伸びる、第一皮膜長の第一皮膜を有し、この第一皮膜長が基材の軸方向の長さのx(%)であり、x=100であり、
上記全流路の内壁がさらに第二皮膜を有し、この第二皮膜が、基材の軸方向の長さのy(%)の第二皮膜長をもち、y=100であり、
第一皮膜が、白金(Pt)とパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み、第一皮膜中で、Pt:Pdの質量比が5:1から10:1の範囲であり、
第二皮膜が、Pdを含む酸化触媒を含み、及び第二皮膜はPtを含まず、
第一皮膜と第二皮膜が、この壁流型基材上に、第一皮膜の負荷量(g/inch3(g/(2.54cm)3):第二皮膜の負荷量(g/inch3(g/(2.54cm)3)の比率として計算した皮膜負荷比が、0.25〜3の範囲で存在し、及び
第一皮膜中のPtとPdの総質量の第二皮膜中のPdの質量に対する質量比が2.4:1〜10:1の範囲であり、及び
第一皮膜中のPt:Pdの質量比が1:0〜1:1の範囲であり、Ptの濃度が5〜100g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲であり、第二皮膜中のPt:Pdの質量比が0:1であり、及びPdの濃度が5〜25g/ft3(g/(30.48cm)3)の範囲である触媒担持すすフィルター。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン排出物は、一酸化炭素(CO)や未燃焼炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO
x)などのガス状排出物を含むばかりか、いわゆる粒子または粒子状物質を構成する、液体や固体の凝縮相物質を含む不均一な混合物である。ディーゼルエンジン用排出物処理システムは、排気成分のすべてを処理して、世界中のいろいろな規制機関により決められた排出基準を満たす必要がある。
【0003】
ディーゼル排気の粒子状物質の全排出量中には、3つの主成分が含まれる。一つの成分は、固体状の乾燥した固体炭素質画分またはすす分である。この乾燥炭素質画分が、ディーゼル排気に伴う目視可能なすすの排出の原因となる。粒子状物質の第二の成分は、可溶性有機画分(「SOF」)である。SOFは、ディーゼル排気の温度によりディーゼル排気中に蒸気またはエアゾール(液状凝縮物の微細な液滴)として存在する。これは、一般的には。希薄排気中で標準的な粒子捕集温度である52℃(標準的測定試験、例えば、U.S. Heavy Duty Transient Federal Test Procedure(米国ヘビーデューティーエンジンのトランジエント試験方法)を参照)では凝縮液として存在する。二つの供給源からこれらの液体が生成する。(1)ピストンの上下の都度にエンジンの円筒壁面から吐き出される潤滑油と、(2)未燃焼または部分燃焼のディーゼル燃料である。粒子状物質の第三の成分は、ディーゼル燃料中に存在する小量の硫黄成分から発生するいわゆる硫酸画分である。
【0004】
ディーゼルエンジン排出物システムには、これらを処理するための触媒組成物と基材が、これらの排気成分の一部またはすべてを無害成分に変換するために設けられる。例えば、白金族金属と卑金属とこれらの組み合わせを含む酸化触媒は、未燃焼炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)の両方からなるガス状汚濁物質と一部の粒子状物質を、これらの汚濁物質の二酸化炭素と水への酸化により変換してディーゼルエンジン排出物の処理を助ける。このような触媒は、一般的にはいろいろな基材(例えば、通過型ハニカムモノリス基材)の上に設けられ、これがディーゼルエンジンの排気中に設けられて、雰囲気に放出する前に排気を処理する。いくつかの酸化触媒は、NOのNO
2への酸化を促進させる。
【0005】
酸化触媒の利用に加えて、ディーゼル排出物処理システムでは、粒子状物質の減少率を上げるためにディーゼル煤塵フィルターが用いられる。ディーゼル排気から粒子状物質を除くフィルター構造物で既知のものには、
ハニカム壁流型フィルター(ハニカム壁面流型フィルター
)や、ワインド型または充填型の繊維フィルター、連続気泡発泡体、焼結金属フィルターなどがある。しかしながら、以下に述べる
セラミック壁流型フィルター(セラミック壁面流型フィルター
)が最も大きな注目を集めている。これらのフィルターは、ディーゼル排気から粒子状物質の90%を除くことができる。代表的な壁面流型セラミックフィルター基材は、コージェライトまたは炭化ケイ素などの耐火性材料を含んでいる。壁面流型基材は、ディーゼルエンジン排ガスからフィルター粒子状物質をろ過するのに特に有用である。ある共通の構造がマルチパスハニカム構造であり、ハニカム構造物の供給口側と排出口側が交互に流路末端で封鎖されている。この構造の結果、両末端は碁盤の目のような模様を持つ。供給口側末端が封鎖された流路は、排出口側末端が開いている。これため、同伴する粒子状物質をもつ排ガスが開放供給口流路に入り、多孔性の内壁を通過し、開放排出口側末端を持つ流路を通って排出される。その際、粒子状物質が基材の内壁で濾別される。ガス圧力により排ガスが多孔性の構造壁を通過して上流側末端が閉鎖された流路に入り、下流側末端で放出される。粒子が集積すると、エンジンに加わるフィルターの背圧が増加する。このため、集積する粒子を連続的あるいは定期的に燃焼させてフィルターから除き満足できる背圧に維持する必要がある。
【0006】
この壁面流型基材の内壁に沿って塗布されている触媒組成物が、積粒子状物質の燃焼を促進してフィルター基材の再生を助ける。この集積粒子状物質の燃焼で、排気システム内の背圧を満足できるレベルにまで再生する。これらのプロセスは、受動的な再生プロセスであっても能動的な再生プロセスであってもよい。両プロセスともに、粒子状物質を燃焼させるために、O
2またはNO
2などの酸化剤を使用する。
【0007】
受動的な再生プロセスでは、ディーゼル排気システムの通常の運転範囲の温度で粒子状物質を燃焼させる。この再生プロセスで用いる酸化剤はNO
2であることが好ましい。これは、酸化剤がO
2である場合と較べるとすす分がより低い温度で燃焼するためである。O
2は雰囲気から容易に得ることができるが、NO
2は、上流にある排気流中のNOを酸化する酸化触媒により能動的に生成することができる。
【0008】
触媒組成物があり、NO
2を酸化剤として利用する装置があるとしても、一般的に能動的再生プロセスでは、集積した粒子状物質を除き、フィルター内で満足できる背圧を維持する必要がある。粒子状物質のすす分を酸素の多い(少ない)条件で燃焼するには、一般的には500℃を超える温度が必要であり、この温度は、ディーゼル排気の通常の温度より温度が高い。能動的再生プロセスは、通常は、エンジン制御を変更してフィルターの前で570〜630℃に温度を上げることで開始させる。
【0009】
最新技術の触媒担持すすフィルターでの受動的再生の際には、触媒担持すすフィルターの流路に沿ってNOの触媒酸化で、すすの酸化の際に消費されるNO
2を製造することができる。すすの酸化に十分なNO
2と与えて幾度もの能動的すす再生を避けるために、のすすフィルター材料上にPtを多く含む薄膜が設けられている。しかしながら、このようなPtの多い薄膜は、すすの酸化に使われずに触媒担持すすフィルターを出ていくNO
2を多量に生成させる危険の懸念を引き起こす。触媒担持すすフィルターから出るNO
2は、その濃度が大気規制値の要件を満たす場合にのみ排出可能である。そうでない場合は、その濃度を減らすか、他の下流にある触媒(例えば、NOxトラップ及び/又は尿素、アンモニアまたは炭化水素の存在下で選択的にNOxを減らすことのできる触媒)でNO
2を変換する必要がある。NO
2の排出低下の必要性は、ディーゼルエンジンの通常運転に限られるのでなく、いわゆる能動的再生の際にもにも当てはまる。事実、酸素によるすすの高温酸化の際に、Ptを多く含む薄膜上で作られたNO
2を、すすとの反応で完全に消費することができない。
【0010】
EP−A−1541219には、NOx保管触媒とすすフィルターの併用ですすとNOxを同時に除く触媒担持すすフィルターが開示されている。しかし、この方法は、NOxの貯蔵と変換及び/又は放出のための、あるいはNO
2変換を制限するための他の貴金属(例えば、Ag及び/又は卑金属酸化物)の使用を必要とし、これが、複雑さを増加させ、コストを上げるだけでなく、より硫黄に影響を受けやすいシステムを与えるという点で好ましくない。事実、市販のディーゼル燃料中に存在する硫黄がAgの活性を毒するため、システムをより頻繁に再生させることが必要となり、燃料費が増加することがある。
【0011】
EP1837076A1とJSAE20077233には、能動的なフィルター再生に間に、また通常のディーゼルエンジン運転の間に、NO
2成形を抑制する触媒担持すすフィルター調合物が開示されている。このような抑制は、PGM含有膜中に卑金属酸化物(例えば、CuとLa−Cu、Co、Feの酸化物)を使用することで達成できる。またこの場合、このような卑金属酸化物の使用には、システムがより硫黄の影響を受けやすくなるとか、COとHCを完全に酸化できなくなるという欠点がある。
【0012】
エンジン運転の間のすすとNOxを除去する他の方法は、いわゆるSCR(選択的触媒的還元)触媒を使用することであり、この触媒は、すすフィルターと別に設けても、この中に組み込んでもよい。いずれの場合も、これらの方法が広く応用可能な最適解とはならない。事実、触媒担持すすフィルターからSCR触媒の分離は、排気システム中の個別成分の削減をもたらすには好ましいが、このようなシステムのコスト増、還元剤の必要性、体積増がその適用に制限する。他方、触媒担持すすフィルターにSCR触媒を組み込む場合、システムの体積は低下するが、許されないほど高い背圧が排気ラインにかかるリスクが高まり、またこのシステムに還元剤を注入する必要がでてくる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、供給口末端と排出口末端と、供給口末端と排出口末端の間で軸方向に伸びる基材、この壁面流型フィルター基材の内壁で区切られた複数の流路を有する壁面流型基材を含む触媒担持すすフィルターであって、
その複数の流路が、開放供給口末端と閉鎖排出口末端とをもつ供給口流路と、閉鎖供給口末端と開放排出口末端とをもつ排出口経路を有し、
特定の供給口流路と隣接する排出口経路と、上記供給口と上記排出口経路の間の内壁が全流路を構成し、
上記全流路の少なくとも20%の内壁が、少なくとも部分的に第一皮膜と第二皮膜で覆われ、
ある少なくとも部分的に覆われた全体通路の内壁が、開放供給口末端から第一皮膜末端に伸びる、第一皮膜長の第一皮膜を有し、この第一皮膜長が基材の軸方向の長さのx(%)として、20≦x≦100であり、
上記全流路の内壁がさらに第一皮膜の下流に位置する第二皮膜を有し、この第二皮膜が、基材の軸方向の長さのy(%)の第二皮膜長をもち、20≦y≦100であり、
上記第一皮膜と第二皮膜が、基材の軸方向の長さの少なくとも20%の長さで重なり、
第一皮膜が、白金(Pt)と必要ならパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み、第一皮膜中で、Pt:Pdの質量比が1:0から1:1より大きく、
第二皮膜が、Ptと必要ならPdを含む酸化触媒を含み、第二皮膜中のPt濃度が第一皮膜中のPt濃度より低く、第二皮膜中のPt:Pdの質量比が1:1〜0:1であり、
第一皮膜と第二皮膜が、この壁面流型基材上に、第一皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3):第二皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の比率として計算した皮膜負荷比が、0.25〜3の範囲で存在する触媒担持すすフィルターに関する。
【0021】
本発明によれば、上記全流路の少なくとも20%の内壁が、少なくとも部分的に第一皮膜と第二皮膜で覆われている。好ましくは全流路の少なくとも40%の内壁が、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、好ましくは100%の内壁が、少なくとも部分的に第一皮膜と第二皮膜に覆われている。
【0022】
本発明によれば、第二皮膜が開放供給口末端から第二皮膜末端まで伸び、その第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となっている。
【0023】
したがって、本発明はまた、第二皮膜が開放供給口末端から第二皮膜末端まで伸び、その第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となっている上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0024】
本発明によれば、第二皮膜が開放排出口末端から第二皮膜末端まで伸び、その第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となっている。
【0025】
したがって、本発明はまた、第二皮膜が開放排出口末端から第二皮膜末端まで伸び、その第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となっている上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0026】
一般的には、本発明の触媒担持すすフィルターの第一皮膜長と第二皮膜長に関して、これらが上記範囲内にあり、上記第一皮膜と第二皮膜が基材の軸方向の長さの少なくとも20%の長さで重なっている限り特に制限はない。第一皮膜長は、好ましくは基材の軸方向の長さの20〜80%であり、より好ましくは20〜70%、より好ましくは20〜60%、より好ましくは20〜50%である。
【0027】
したがって、本発明はまた、xが20〜80の範囲である、特に20〜50の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。xの好ましい値は、例えば20〜30の範囲であり、または25〜35または30〜40または35〜45または40〜50の範囲である。
【0028】
本発明によれば、第一皮膜長は基材の軸方向の長さのx%(20≦x≦100)であり、第二皮膜長は基材の軸方向の長さのy%(20≦y≦100)であり、上記第一皮膜と第二皮膜が、基材の軸方向の長さの少なくとも20%で重なっている。例えば上記第一皮膜と第二皮膜は、基材の軸方向の長さの20、30または40%で重なっている。上記第一皮膜と第二皮膜は、好ましくは基材の軸方向の長さの50〜100%の長さで重なり、より好ましくは60〜100%、より好ましくは70〜100%、より好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜100%、より好ましくは100%の長さで重なっている。
【0029】
本発明によれば、第一皮膜は、Ptと必要ならPdを含む酸化触媒を含む。一般的には、第一皮膜が、Ptと必要ならPdに加えて、さらに少なくとも一種の他の酸化触媒を、例えばルテニウム(Ru)やロジウム(Rh)、オスミウム(Os)及び/又はイリジウム(Ir)などの少なくとも一種の他の白金族金属を含むことができるが、第一皮膜に含まれる酸化触媒が、Ptと必要ならPdとからなることが特に好ましい。
【0030】
さらに本発明によれば、第二皮膜が、Pdと必要ならPtを含む酸化触媒を含む。特に第二皮膜中のPt濃度は、第一皮膜中のPt濃度より低い。第二皮膜は、Pdと必要ならPtに加えて、さらに少なくとも一種の他の酸化触媒を、例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)び/又はイリジウム(Ir)などの少なくとも一種の他の白金族金属を含んでいてもよいが、第二皮膜に含まれる酸化触媒が、Pdと必要ならPtとからなることが特に好ましい。
【0031】
したがって、本発明はまた、第一皮膜に含まれる酸化触媒がPtと必要ならPdからなり、第二皮膜に含まれる酸化触媒がPdと必要ならPtからなり、第二皮膜中のPt濃度が第一皮膜中のPt濃度より低い上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0032】
本発明によれば、第一皮膜と第二皮膜は、
壁流型基材(壁面流型基材
)上に、第一皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3):第二皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の比率として計算した皮膜負荷比が、0.25〜3の範囲で存在する。本発明で用いられる用語「第一皮膜」は、特に
壁流型基材(壁面流型基材
)の特定の全流路の供給口流路の内壁に適当に塗布された薄膜に関する。本発明で用いられる用語「第二皮膜」は、特に壁面流型基材の特定の全流路の第一皮膜の下流の内壁に適当に塗布された薄膜に関する。本発明で用いられる用語「下流」は、全流路の内壁上で第二皮膜が第一皮膜に対して、触媒担持すすフィルターが運転中に、第一と第二皮膜が重なっている領域で第一皮膜が第二皮膜より早く排ガスに接触するように位置していることを意味する。また、本発明で用いられる用語である皮膜の「負荷量」は、各皮膜を塗布してこの触媒担持すすフィルター乾燥焼成する前後で、本発明で用いられる壁面流型基材の質量を測定して決められた負荷量である。
【0033】
好ましくは、本発明の触媒担持すすフィルターの皮膜負荷比は、0.25より大きく3より小さく、より好ましくは0.6〜1.5であり、より好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.75〜1.25、より好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.85〜1.15、より好ましくは0.9〜1.1、より好ましくは0.95〜1.05である。したがって、この皮膜負荷比の代表的な好ましい値は、例えば、0.95や0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05である。
【0034】
したがって、本発明はまた、この皮膜負荷比が0.75〜1.25の範囲である、好ましくは0.85〜1.15、より好ましくは0.95〜1.05の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0035】
一般的に第一皮膜の負荷量と第二皮膜の負荷量に関して特に制限はない。この皮膜負荷比が上述の好ましい範囲でさえあれば、第一皮膜の負荷量と第二皮膜の負荷量を相互に独立して選択できる。本発明の触媒担持すすフィルターが、第一皮膜を0.05〜1g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の範囲の負荷量で持つことが好ましい。第一皮膜は、0.06〜0.9g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲の負荷量で存在することが好ましく、より好ましくは0.07〜0.8の範囲の負荷量で、より好ましくは0.08〜0.7、より好ましくは0.09〜0.6、さらに好ましくは0.1〜0.5g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲の負荷量で存在する。さらに好ましくは、第一皮膜が、0.15〜0.4、より好ましくは0.2〜0.3g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲の負荷量で存在する。第一皮膜の負荷量の代表的な値は、例えば0.20であり、あるいは0.22または0.24または0.25または0.26または0.28または0.30である。本発明の触媒担持すすフィルターが、第二皮膜を、0.05〜1g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の範囲の負荷量で持つことが好ましい。好ましくは、第二皮膜が、0.06〜0.9g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲の負荷量で存在し、より好ましくは0.07〜0.8、より好ましくは0.08〜0.7、より好ましくは0.09〜0.6、さらに好ましくは0.1〜0.5g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲の負荷量で存在する。さらに好ましくは、第二皮膜が、0.15〜0.4、より好ましくは0.2〜0.3g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲の負荷量で存在する。第二皮膜の負荷量の代表的な値は、例えば、0.20または0.22または0.24または0.25または0.26または0.28または0.30である。第一皮膜の負荷量が第二皮膜の負荷量とほぼ同じであることがさらに好ましく、まったく同じであることがより好ましい。
【0036】
したがって本発明は、第一皮膜の負荷量が0.05〜1、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.3g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲であり第二皮膜の負荷量が、0.05〜1、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.2〜0.3g/inch
3(g/(2.54cm)
3の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0037】
本発明によれば、第一皮膜は、白金(Pt)と必要ならパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含む。第一皮膜に含まれている酸化触媒がPtとPdを含むことが好ましく、PtとPdからなることがさらに好ましい。Pt:Pdの質量比は、好ましくは1:0から1:1より大きい範囲であり、より好ましくは1:0〜2:1、より好ましくは1:0〜3:1、より好ましくは1:0〜4:1、さらに好ましくは1:0〜5:1の範囲である。
【0038】
第一皮膜に含まれる酸化触媒が、Ptに対して少量のPdを含むことがさらに好ましい。特に第一皮膜が、酸化触媒としてPtのみを含むことが好ましいであろう。
【0039】
したがって、本発明はまた、第一皮膜中でPt:Pdの質量比が1:0から1:1より大きな範囲である、好ましくは1:0〜2:1、より好ましくは1:0〜3:1、より好ましくは1:0〜4:1、さらに好ましくは1:0〜5:1の範囲、より好ましくは1:0である触媒担持すすフィルターに関する。
【0040】
本発明によれば、第二皮膜は、パラジウム(Pd)と必要なら白金(Pt)を含む酸化触媒を含む。第二皮膜に含まれる酸化触媒は、好ましくはPdとPtを含み、さらに好ましくはPdとPtのみからなる。Pt:Pdの質量比は、好ましくは1:1〜0:1の範囲であり、より好ましくは1:2〜0:1、より好ましくは1:3〜0:1、より好ましくは1:4〜0:1、さらに好ましくは1:5〜0:1の範囲である。
【0041】
第二皮膜に含まれる酸化触媒が、Pdに対して少量のPtを含むことがさらに好ましい。特に、第二皮膜が、酸化触媒としてPdのみを含むことが好ましいであろう。
【0042】
したがって、本発明はまた、第二皮膜中のPt:Pdの質量比が1:1から0:1より大きな範囲である、好ましくは1:2〜0:1、より好ましくは1:3〜0:1、より好ましくは1:4〜0:1、さらに好ましくは1:5〜0:1の範囲、より好ましくは0:1である触媒担持すすフィルターに関する。
【0043】
一般的には、第一皮膜と第二皮膜が、壁面流型基材上に、第一皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3):第二皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の比として計算された皮膜負荷比が0.25〜3の範囲にあるか上記のそれぞれの好ましい範囲で存在し、また第二皮膜中のPt濃度が第一皮膜中のPt濃度より低いなら、第一皮膜中のPtと必要ならPdの総質量と第二皮膜中のPdと必要ならPtの総質量との間の質量比は適当に選択できる。本発明によれば、第一皮膜中のPtと必要ならPdの総質量と第二皮膜中のPdと必要ならPtの総質量との間の質量比は、1:6〜10:1の範囲である。
【0044】
好ましくは、第一皮膜中のPtと必要ならPdの総質量と第二皮膜中のPdと必要ならPtの総質量との間の質量比は、1:6〜2:1の範囲である。より好ましくは、この質量比が1:5〜1.7:1の範囲であり、より好ましくは1:4〜1.3:1、より好ましくは1:3〜1:1の範囲である。
【0045】
したがって、本発明はまた、第一皮膜中のPtと必要ならPdの総質量と第二皮膜中のPdと必要ならPtの総質量の間の質量比が1:6〜2:1の範囲である、好ましくは1:3〜1:1の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0046】
特に、Ptからなる酸化触媒を含む第一皮膜をもつ触媒担持すすフィルターが好ましい。即ち、第一皮膜がPdやPt以外の白金族金属を含まないことが好ましい。また、Pdからなる酸化触媒を含む第二皮膜をもつ触媒担持すすフィルターが好ましい。即ち、第二皮膜がPtやPd以外の白金族金属を含まないことが好ましい。
【0047】
第一皮膜中のPt濃度に特に制限はないが、Pt濃度は好ましくは0.3〜2g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲であり、より好ましくは0.4〜1.5g/ft
3(g/(30.48cm)
3)、さらに好ましくは0.5〜1g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲である。Pd濃度に特に制限はないが、Pd濃度は、好ましくは0.3〜5g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲であり、より好ましくは0.4〜4g/ft
3(g/(30.48cm)
3)、さらに好ましくは0.5〜3g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲である。
【0048】
したがって、本発明はまた、第一皮膜中でPt:Pdの質量比が1:0であり、またPt濃度が0.5〜1g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲であり、第二皮膜中でPt:Pdの質量比が0:1であり、またPd濃度が0.5〜3g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0049】
第一皮膜中のPtと必要ならPdの総質量と第二皮膜中のPdと必要ならPtの総質量の間の質量比が2.4:1〜10:1の範囲であることがさらに好ましい。より好ましくは、この質量比が2.5:1〜9.5:1の範囲であり、より好ましくは3:1〜9:1、より好ましくは4:1〜8.5:1、より好ましくは5:1〜8:1の範囲である。
【0050】
したがって、本発明はまた、第一皮膜中のPtと必要ならPdの総質量の第二皮膜中のPdと必要ならPtの総質量の間の質量比が2.4:1〜10:1の範囲である、好ましくは5:1〜8:1の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0051】
特に、内部のPt:Pdの質量比が1:0から1:1より大きな範囲である、例えば、50:1から1:1超、または20:1から1:1超、または10:1から1:1超、または5:1から1:1超、または2:1から1:1超の範囲である第一皮膜をもつ触媒担持すすフィルターが好ましい。また、内部のPt:Pdの質量比が0:1〜1:1の範囲である、例えば、1:50〜1:1、または1:20〜1:1、または1:10〜1:1、または1:5〜1:1、または1:2〜1.1である第二皮膜をもつ触媒担持すすフィルターが好ましい。第二皮膜中のPt:Pd質量比が0:1であることが最も好ましい。
【0052】
第一皮膜中のPt濃度に特に制限はないが、Pt濃度は、好ましくは5〜100g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲であり、より好ましくは10〜60g/ft
3(g/(30.48cm)
3)、さらに好ましくは15〜40g/ft
3(g/(30.48cm)
3)、例えば20〜40g/ft
3(g/(30.48cm)
3または25〜30g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲である。第二皮膜中のPd濃度に特に制限はないが、Pd濃度は、好ましくは1〜30g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲であり、より好ましくは5〜25/ft
3(g/(30.48cm)
3)、さらに好ましくは10〜20g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲である。
【0053】
したがって、本発明はまた、第一皮膜中のPt:Pdの質量比が1:0から1:1より大きな範囲、好ましくは1:0であり、Ptの濃度が5〜100g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲、好ましくは10〜60g/ft
3(g/(30.48cm)
3)、より好ましくは15〜40g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲であり、他方第二皮膜中のPt:Pdの質量比が0:1〜1:1の範囲、好ましくは0:1であり、Pdの濃度が1〜30g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲、好ましくは5〜25g/ft
3(g/(30.48cm)
3)、より好ましくは10〜20g/ft
3(g/(30.48cm)
3)の範囲である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0054】
本発明で特に好ましい触媒担持すすフィルターでは、第二皮膜がPdのみからなる酸化触媒を含み、Ptを含まず、PdとPt以外の白金族金属を含まないことを特徴とする。第一皮膜については、Ptと必要ならPdに加えて、Ptと必要ならPd以外の白金族金属を含まないことが好ましい。
【0055】
したがって、本発明はまた、第一皮膜に含まれる酸化触媒がPtと必要ならPdからなり、第二皮膜に含まれる酸化触媒がPdからなる上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0056】
本発明によれば、第一皮膜が、それぞれの白金族金属用の少なくとも一種の多孔性支持体材料を含むことが好ましい。特に制限はないが、この多孔性支持体材料が耐火性金属酸化物であることが好ましい。この第一皮膜の多孔性支持体材料が、アルミナとジルコニア、シリカ、チタニア、希土類酸化物(例えば、セリウムとプラセオジミウム、ランタン、ネオジミウム、ハフニウム、サマリウムの酸化物)、シリカ−アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−希土類酸化物、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニア、チタニア−アルミナ、セリア−ジルコニア、これらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。この少なくとも一種の多孔性支持体材料が、Al
2O
3と、ZrO
2、CeO
2、SiO
2、La
2O
3、Pr
6O
11、HfO
2、これらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。この少なくとも一種の支持体材料が、CeO
2:45質量%とZrO
2:43.5質量%、La
2O
3:8質量%、Pr
6O
11:2質量%、HfO
2:1.5質量%からなるセリア−ジルコニア材料を含むことが最も好ましい。
【0057】
本発明によれば、第二皮膜が、それぞれの白金族金属のための少なくとも一種の多孔性支持体材料を含むことが好ましい。特に制限はないが、この多孔性支持体材料が耐火性金属酸化物であることが好ましい。第二皮膜の多孔性支持体材料が、アルミナとジルコニア、シリカ、チタニア、希土類酸化物(例えば、セリウムとプラセオジミウム、ランタン、ネオジミウム、ハフニウム、サマリウムの酸化物)、シリカ−アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−希土類酸化物、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニア、チタニア−アルミナ、セリア−ジルコニア、これらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。この少なくとも一種の多孔性支持体材料が、Al
2O
3とZrO
2、CeO
2、SiO
2、La
2O
3、Pr
6O
11、HfO
2、これらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。この少なくとも一種の支持体材料が、CeO
2:45質量%と、ZrO
2:43.5質量%、La
2O
3:8質量%、Pr
6O
11:2質量%、HfO
2:1.5質量%からなるセリア−ジルコニア材料を含むことが最も好ましい。
【0058】
したがって、本発明はまた、第一皮膜と第二皮膜が少なくとも一種の多孔性支持体材料を含み、その第一皮膜の少なくとも一種の多孔性支持体材料が、CeO
2:45質量%とZrO
2:43.5質量%、La
2O
3:8質量%、Pr
6O
11:2質量%、HfO
2:1.5質量%からなるセリア−ジルコニア材料を含み、また第二皮膜の少なくとも一種の多孔性支持体材料が、CeO
2:45質量%とZrO
2:43.5質量%、La
2O
3:8質量%、Pr
6O
11:2質量%、HfO
2:1.5質量%からなるセリア−ジルコニア材料を含む上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0059】
本発明によれば、第一皮膜及び/又は第二皮膜の耐火性金属酸化物がアルミナを含むことが、γ−アルミナまたは活性アルミナ(例えば、γ−またはη−アルミナ)を含むことがさらに好ましい。この活性アルミナのBET表面積測定で求めた比表面積は、好ましくは60〜300m
2/gであり、より好ましくは90〜200m
2/g、最も好ましくは100〜180m
2/gである。
【0060】
したがって、本発明はまた、第一皮膜の支持体材料がAl
2O
3、好ましくはγ−Al
2O
3を含み、第二皮膜の支持体材料がAl
2O
3、好ましくはγ−Al
2O
3を含む
上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0061】
通常、いずれの構造型のゼオライト/アルミノケイ酸塩も使用可能であり、例えば、以下の構造型のものが使用可能である。ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、SCO、CFI、SGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SGT、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、TER、THO、TON、TSC、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WIE、WEN、YUG、ZON、またはこれらの一つ以上の混合物。
【0062】
このゼオライトは、天然ゼオライトであっても、合成ゼオライト、例えばファージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定性ゼオライトY、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO5ゼオライト、オフレタイト、またはβ−ゼオライトであってもよい。好ましいゼオライト材料は、高いシリカ/アルミナ比をもっている。これらのゼオライトのシリカ/アルミナモル比は、少なくとも25/1、好ましくは少なくとも50/1であり、その有効な範囲は、25/1〜1000/1か、50/1〜500/1、25/1〜300/1、100/1〜250/1であり、あるいは35/1〜180/1も例示される。好ましいゼオライトは、ZSM、γ−およびβ−ゼオライトである。特に好ましいβ−ゼオライトは、US6,171,556に開示されている種類のものである。
【0063】
本発明の触媒担持すすフィルターに有用な壁面流型基材は、基材の縦軸に沿って伸びる複数の微細で実質的に平行な流路をもっている。各流路は基材本体の末端で封鎖されており、流路は交互に反対側端面で封鎖されている。このようなモノリス担体は、断面の1平方インチ(2.54cm
2*)当たり多くて約400本の流路(または「セル」)を持つことがある。もちろんこれよりずっと少ないものも使用できる。例えばこの担体が、1平方インチ当たり7〜400個、好ましくは100〜400個のセルを持っていてもよい。これらのセルの断面は、長方形であっても、角型、丸型、卵型、三角形、六角形または他の多角形であってもよい。
【0064】
好ましい壁面流型基材は、コージェライトやα−アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、リチア輝石、アルミナ−シリカ−マグネシアまたはケイ酸ジルコニウムなどのセラミック様材料、あるいはステンレス鋼などの耐火性金属でできている。好ましい壁面流型基材は、コージェライトと炭化ケイ素から形成される。これらの材料は、排気流処理時に遭遇する環境に、特に高温に耐えることができる。セラミック壁面流型基材は通常、空隙率が約40〜70の材料から作られる。本明細書で使用する用語「空隙率」は、DIN−66133の水銀空隙率測定法で決められる値である。本発明によれば、壁面流型基材の空隙率は、好ましくは38〜75の範囲である。
【0065】
したがって、本発明はまた、その壁面流型基材の、DIN−66133の水銀空隙率測定法により求めた空隙率が38〜75の範囲であり、その壁面流型基材が好ましくはコージェライト基材または炭化ケイ素基材である上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0066】
例えば空隙率が55〜65で平均空孔直径が約15〜25ミクロンである壁面流型基材が、好適な排気流を与える。好ましい構成では、1平方インチ当たり100個のセル(100cpsi)を持ち、17milの壁面(1mil=0.0254mm)をもつ壁面流型基材と、300cpsiで12〜14milの壁面をもつ壁面流型基材が使用される。
【0067】
一般的には、本発明の触媒担持すすフィルターの基材軸方向の長さに関して制限はない。基材の軸方向の長さは、主に本発明の触媒担持すすフィルターの使用用途により決まる。例えば自動車分野で用いられる触媒担持すすフィルターの代表的な基材軸方向の長さは、4〜10インチ(10.16cm〜25.4cm)の範囲であり、好ましくは6〜8インチ(15.24cm〜20.32cm)の範囲である。
【0068】
壁面流型基材上に存在する本発明の皮膜はそれぞれ、上述の少なくとも一種の多孔性支持体材料を含む薄膜組成物から形成される。バインダーや安定剤などの他の添加物がこの薄膜組成物中に含まれていてもよい。後述のように、このような安定剤は第一皮膜または第二皮膜に入っていても、第一皮膜と第二皮膜の両方に入っていてもよい。米国特許No.4,727,052に開示のように、活性アルミナなどの多孔性支持体材料は、高温での望ましくないアルミナのγからαへの相変換を抑えるために熱的に安定化されている。安定剤は、マグネシウムとバリウム、カルシウム、ストロンチウムからなる群から選ばれる、好ましくはストロンチウムとバリウムから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属成分から選ばれる。存在する場合、安定剤材料は皮膜に、約0.01g/in
3(g/(2.54cm)
3〜0.15g/in
3(g/(2.54cm)
3の量で添加される。
【0069】
特定の皮膜が内壁表面に設けられる。また、特定の皮膜を、内壁表面に塗布されたもう一つの皮膜上に設けても、あるいはさらにもう一つの皮膜上に設けてもよい。また、特定の皮膜が、部分的に多孔性の内壁中に、あるいはその上に設けられた皮膜中に侵入していてもより。
【0070】
この壁面流型基材の内壁に塗布するための薄膜組成物を製造するために、適当なPt及び/又はPd成分前駆体を適当な多孔性支持体材料に、好ましくは適当な上記耐火性金属酸化物に分散させることが好ましい。より好ましくは、水溶性または水分散性のPt及び/又はPd成分前駆体を適当な多孔性支持体材料に、好ましくは適当な耐火性金属酸化物に含浸させ、次いで乾燥および定着工程で処理する。適当なPt及び/又はPd成分前駆体には、例えば塩化カリウム白金やアチオシアン酸アンモニウム白金、アミン可溶化水酸化白金、クロロ白金酸、硝酸パラジウム等が含まれる。他の適当な前駆体は、当業界の熟練者には明らかであろう。含浸後の支持体材料を乾燥させて、Pt及び/又はPd成分をこの上に固定することが好ましい。一般的に乾燥温度は60〜250℃の範囲であり、好ましくは90〜210℃、より好ましくは100〜150℃である。乾燥はいずれかの適当な雰囲気下で行うことができ、N
2または空気が好ましい。乾燥後に、適当な焼成及び/又は他の適当な方法(例えば酢酸処理)により、Pt及び/又はPd成分を最後に支持体材料上に固定することが好ましい。一般に、Pt及び/又はPd成分を水不溶性の形とするいずれの方法も適当である。一般的には焼成温度は250〜800℃の範囲であり、好ましくは350〜700℃、より好ましくは400〜600℃の範囲である。焼成はいずれかの適当な雰囲気下で行うこともでき、N
2または空気が好ましい。例えば焼成により触媒活性元素Pt及び/又はPdが、あるいはこれらの酸化物が得られる。本発明で使用される用語である、最終的に得られる触媒担持すすフィルター中に存在する「Pt成分」または「Pd成分」は、触媒活性元素Pt及び/又はPdの形のPt及び/又はPd成分、またはその酸化物、または元素Pt及び/又はPdとその酸化物の混合物に関するものである。
【0071】
したがって、本発明はまた、上記触媒担持すすフィルターの製造方法であって、
(i)壁面流型基材、好ましくはDIN−66133により水銀空隙率測定法で求めた空隙率が38〜75の壁面流型基材を提供する工程(ただし、この壁面流型基材は好ましくはコージェライト基材または炭化ケイ素基材であり、この壁面流型基材が、供給口末端と、排出口末端、供給口末端と排出口末端間で軸方向に伸びる基材、この壁面流型基材の内壁で区切られた複数の流路をもち、その複数の流路が、開放供給口末端と閉鎖排出口末端とをもつ供給口流路と、閉鎖供給口末端と開放排出口末端とをもつ排出口経路を有し、特定の供給口流路と隣接する排出口経路と上記供給口と上記排出口経路の間の内壁が全流路を構成する)と、
(ii)上記全流路の少なくとも20%の内壁の少なくとも一部に第一皮膜を塗布する工程(ただし、第一皮膜が開放供給口末端から第一皮膜末端まで伸びて、第一皮膜長を形成し、その第一皮膜長は基材の軸方向の長さのx%である(20≦x≦100)、かくして第一皮膜の負荷量を予め定められた値、即ち好ましくは0.05〜1g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の範囲の値に調整し、上記第一皮膜が、第一皮膜中でに金(Pt)と必要ならパラジウム(Pd)を含む酸化触媒を含み、そのPt:Pdの質量比が1:0から1:1より大きな範囲である)、
(iii)第一皮膜の下流の全流路の内壁の少なくとも一部に第二皮膜を塗布する工程(ただし、この第二皮膜の基材の軸方向の長さがy%(20≦y≦100)であり、このため上記第一皮膜と第二皮膜が基材の軸方向の長さの少なくとも20%の長さで重なり、かくして、第二皮膜の負荷量を予め定められた値に、好ましくは0.05〜1g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の範囲の値に調整し、第一皮膜と第二皮膜が壁面流型基材上に、第一皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3):第二皮膜の負荷量(g/inch
3(g/(2.54cm)
3)の比として計算された皮膜負荷比が0.25〜3の範囲で存在するようにし、この第二皮膜がPtと必要ならPdを含む酸化触媒を含み、第二皮膜中のPt濃度が第一皮膜中のPt濃度より低く、第二皮膜中のPt:Pdの質量比は1:1〜0:1の範囲である)を含む方法に関する。
【0072】
本発明によれば、工程(iii)を工程(ii)の前に行ってもよい。この際、第二皮膜は、放供給口末端から第二皮膜末端に伸びて、第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となるように塗布される。
【0073】
したがって、本発明はまた、工程(iii)が工程(ii)の前に実施され、第二皮膜が、開放供給口末端から第二皮膜末端に伸びて、第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となるように塗布される上記触媒担持すすフィルターの製造方法に関する。
【0074】
本発明によれば、工程(iii)を工程(ii)の前に、これと同時にあるいはこの後に実施でき、その際、第二皮膜が、開放供給口末端から第二皮膜末端に伸びて、第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となるように塗布される。
【0075】
したがって、本発明はまた、工程(iii)が工程(ii)の前、同時、あるいは後に行われ、その際、第二皮膜が、開放供給口末端から第二皮膜末端に伸びて、第二皮膜長が基材の軸方向の長さのy%となるように塗布される上記触媒担持すすフィルターの製造方法に関する。
【0076】
本発明の触媒担持すすフィルターに関する範囲や長さ、濃度等の好ましい値は上述の通りである。
【0077】
本発明の触媒担持すすフィルターは、統合型排気物処理システム中で、特に一個以上のディーゼル排気物質処理部をもつ排気管中で使用できる。例えば、このような排気管(最も好ましくは、ディーゼルエンジンに流体的に連通した排気管)が、本発明の触媒担持すすフィルターを有するとともに、さらにディーゼル酸化触媒(DOC)装置及び/又は選択的触媒的還元(SCR)装置及び/又はNOx貯蔵還元(NSR)触媒装置を有していてもよい。このDOC装置及び/又はSCR装置及び/又はNSR装置が、流体的に触媒担持すすフィルターに連通していることが最も好ましい。このディーゼル酸化触媒は、触媒担持すすフィルター及び/又は選択的触媒的還元装置の上流に位置していても下流に位置していてもよい。本発明の触媒担持すすフィルターがDOC装置の下流に位置していることがより好ましい。本発明の触媒担持すすフィルターがSCR装置の上流または下流に位置していることがさらに好ましい。
【0078】
したがって、本発明はまた、排気マニホルドを経由してディーゼルエンジンに流体的に連通している排気管と、さらに触媒担持すすフィルターに流体的に連通している以下のもの(ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒的還元(SCR)装置、NOx貯蔵還元(NSR)触媒装置)の一つ以上を含むディーゼルエンジン排出流の処理システムに含まれている上記触媒担持すすフィルターに関する。
【0079】
さらに好ましくは、本発明の触媒担持すすフィルターの下流に、システム中に中にNOx還元触媒装置がなく、好ましくはNOx貯蔵還元(NSR)触媒装置がない。
【0080】
排気管中での使用に適当なSCR装置は通常、O
2といくらか過剰のNH
3とからN
2とH
2Oへの反応を触媒するため、NH
3が雰囲気に排出されない。排気管内での使用が可能なSCR触媒組成物は、650℃を超える温度に熱抵抗を示さなければならない。上流の触媒担持すすフィルターの再生の際に、このような高温に遭遇することがある。適当なSCR装置が、例えばUS4,961,917とUS5,516,497に記載されている。適当なSCR装置は、ゼオライト中に通常存在する鉄と銅の促進剤の一方または両方を、促進剤+ゼオライトの総質量の約0.1〜30質量%の量で、好ましくは約1〜5質量%で含んでいる。代表的なゼオライトはCHA骨組構造をとることがある。
【0081】
本発明によれば、本発明の触媒担持すすフィルターをDOCの下流に設けることが好ましい。このような配列では、本発明の触媒担持すすフィルターは、すす燃焼の際にHCとCOを減少させるといる利点をもたらす。これは、本発明のフィルターの上流ゾーンでなされることが最も好ましい。また、後ろのゾーンを特定デザインとすることで、この触媒担持すすフィルターの下流ゾーンでのNOxの生成を可能な限り抑えることができる。
【0082】
したがって、本発明の触媒担持すすフィルターが、このようなDOCの下流におかれると、ディーゼル排気物処理の浄化機能の面で非常に優れることがわかった。したがって、本発明はまた、ディーゼルエンジン排出流の処理システムに含まれる上記触媒担持すすフィルターであって、このシステムがさらに、排気マニホルドを経由してディーゼルエンジン流体的に連通している排気管とディーゼル酸化触媒を含み、この触媒担持すすフィルターがDOCの下流に設けられているものに関する。
【0083】
また、本発明は、すす粒子を含むディーゼルエンジン排出流の処理方法で使用するための上記触媒担持すすフィルターであって、その方法が、排気流を上記触媒担持すすフィルターに接触させ、好ましくは排気流をディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に接触させ、上記DOCが、好ましくはフロースルー基材または壁面流型基材を含むものに関する。同様に、本発明は、上記触媒担持すすフィルターの、すす粒子を含むディーゼルエンジン排出流の処理への利用であって、その排気流が触媒担持すすフィルターに接触され、好ましくはその排気流をディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に接触され、上記DOCが、好ましくはフロースルー基材または壁面流型基材を含むものに関する。
【0084】
また、本発明は、ディーゼルエンジン排出流処理用の処理システムであって、
そのシステムが、排気マニホルドを経由してディーゼルエンジンに流体的に連通している排気管と、
上記触媒担持すすフィルターと、
触媒担持すすフィルターに流体的に連通している以下のものの一つ以上(ディーゼル酸化触媒(DOC)と、選択的触媒的還元(SCR)装置、NOx貯蔵還元(NSR)触媒装置)を含むものに関する。
【0085】
このシステム中では触媒担持すすフィルターがDOCの下流に設けられていることが好ましい。このシステムがNOx還元触媒装置を持たないことがより好ましく、このシステムがNOx貯蔵還元(NSR)触媒装置を持たないことがより好ましい。
【0086】
したがって、本発明はまた、すす粒子を含むディーゼルエンジン排出流の処理方法であって、その排気流を上記触媒担持すすフィルターに接触させ、好ましくは排気流をディーゼル酸化触媒(DOC)に通した後に接触させ、上記DOCが、好ましくはフロースルー基材または壁面流型基材を含むものに関する。
【0087】
本発明によれば、この方法は、必要ならさらに、DOCからあるいは触媒担持すすフィルターから得られる排気流を選択的触媒的還元(SCR)装置に通すことを含む。
【0088】
以下、本発明を以下に示す例によりさらに説明する。
【0089】
実施例
1. 触媒の製造
1.1 皮膜の重なりのないゾーン型の触媒担持すすフィルター:比較用(試料A)
第一皮膜のために、γ−アルミナ(最終乾燥含量:0.15g/in
3)に、アンミン安定化Pt錯体として白金を含む白金溶液で含浸させて、Ptの乾燥固体含量を25g/ft
3とし、次いで硝酸パラジウム水溶液を含浸させて、Pdの乾燥固体含量を5g/ft
3とした。得られた粉末を水中に分散させ、H−β−ゼオライトを乾燥粉末として添加し、乾燥固体含量を0.15g/in
3とした。次いで、得られたスラリーを用いて、炭化ケイ素フィルター基材(体積:2.5L)を、開放供給口側から全フィルター長の50%まで覆った。110℃の大気下で乾燥し、450℃の大気下で焼成した後、フィルター基材の供給口の50%の上の薄膜の量は、およそ0.37g/in
3であった。
【0090】
第二皮膜のために、100%セリア(乾燥固体含量:0.15g/in
3)に硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、Pdの乾燥固体含量量を20g/ft
3とした。得られた粉末を水中に分散させ、γ−アルミナを乾燥粉末として添加し、乾燥固体含量を0.15g/in
3とした。次いで、得られたスラリーを用いて、炭化ケイ素フィルター基材(体積:2.5L)を、開放排出口側から全フィルター長の50%まで覆った。110℃の大気下で乾燥し、450℃の大気下で焼成した後、フィルター基材の排出口の50%の上の薄膜の量は、およそ0.36g/in
3であった。
【0091】
1.2 皮膜の重なり(長さの50%)があるゾーン型触媒担持すすフィルター:(試料B)
第一皮膜のために、γ−アルミナ(最終乾燥含量:0.15g/in
3)に、アンミン安定化Pt錯体として白金を含む白金溶液を含浸させて、Ptの乾燥固体含量が25g/ft
3とし、次いで硝酸パラジウム水溶液を含浸させて、Pdの乾燥固体含量を5g/ft
3とした。得られた粉末を水中に分散させ、乾燥固体含量を0.15g/in
3とした。次いで得られたスラリーを用いて、炭化ケイ素フィルター基材(2.5L体積)を、開放供給口側から全フィルター長の50%まで覆った。110℃の大気下で乾燥し450℃の大気下で焼成した後、フィルター基材の50%供給口上の薄膜の量は、およそ0.22g/in
3であった。
【0092】
第二皮膜のために、セリア−ジルコニア材料(CeO
2:45質量%、ZrO
2:43.5質量%、La
2O
3:8質量%、Pr
6O
11:2質量%、HfO
2:1.5質量%、乾燥固体含量:0.05g/in
3)に、硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、Pdの乾燥固体含量量を10g/ft
3とした。得られた粉末を水中に分散させ、H−β−ゼオライトとγ−アルミナを乾燥粉末として添加し、乾燥固体含量を0.05g/in
3とした。次いで得られたスラリーを用いて、炭化ケイ素フィルター基材(2.5L体積)を、開放排出口側から全フィルター長の100%まで覆った。110℃の大気下で乾燥し450℃の大気下で焼成した後、フィルター基材の排出口の100%の上の薄膜の量は、およそ0.26g/in
3であった。
【0093】
1.3 皮膜が重なり(長さの100%)があるゾーン型触媒担持すすフィルター:(試料C)
第一皮膜のために、γ−アルミナ(最終乾燥含量:0.15g/in
3)に、アンミン安定化Pt錯体として白金を含む白金溶液をで含浸させて、Ptの乾燥固体含量が12.5g/ft
3とし、次いで硝酸パラジウム水溶液で含浸させて、Pdの乾燥固体含量を2.5g/ft
3とした。得られた粉末を水中に分散させた。次いで得られたスラリーを用いて、炭化ケイ素フィルター基材(体積:2.5L)を、開放供給口側から全フィルター長の100%まで覆った。110℃の大気下で乾燥し450℃の大気下での焼成した後、フィルター基材の50%供給口上の薄膜の量は、およそ0.21g/in
3であった。
【0094】
第二皮膜のために、セリア−ジルコニア材料(CeO
2:45質量%、ZrO
2:43.5質量%、La
2O
3:8質量%、Pr
6O
11:2質量%、HfO
2:1.5質量%、乾燥固体含量:0.05g/in
3)に、硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、Pdの乾燥固体含量量を10g/ft
3とした。得られた粉末を水中に分散させ、H−β−ゼオライトとγ−アルミナを乾燥粉末として添加し、乾燥固体含量を0.05g/in
3とした。次いで得られたスラリーを用いて、炭化ケイ素フィルター基材(体積:2.5L)に、開放排出口側から全フィルター長の100%まで覆った。110℃の大気下で乾燥し450℃の大気下での焼成した後、フィルター基材の排出口の100%の上の薄膜の量は、およそ0.26g/in
3であった。
【0095】
2. 従来の触媒技術と発明技術の比較(浄化試験)
試験試料:
2.1 試料A(比較用):
皮膜の重なりのないゾーン型触媒担持すすフィルター
−供給口塗膜:25g/ft
3のPt、5g/ft
3のPd −長さの50%f
−排出口塗膜:20g/ft
3のPd−長さの50%
2.2 試料B:
皮膜の重なり(長さの50%)があるゾーン型触媒担持すすフィルター
−供給口塗膜:25g/ft
3のPt、5g/ft
3のPd−長さの50%
−排出口塗膜:10g/ft
3のPd−長さの100%
2.3 試料C:
皮膜の重なり(長さの100%)のあるゾーン型触媒担持すすフィルター
−供給口塗膜:25g/ft
3のPt、2.5g/ft
3のPd−長さの100%
−排出口塗膜:10g/ft
3のPd−長さの100%
3. 試験方法:NO
2/NOx浄化試験
試料AとBとCのNO
2浄化性能を試験した。試験の前に、10%の水とともに750℃の炉中で5時間、大気下で水熱的に試料を処理した。浄化試験のために、各試料を、充填量が120g/ft
3で触媒体積が1.2Lの従来のPt/Pd=1/1のDOCの上流で、エンジン排気量が2Lで4シリンダーの通常の軽荷重鉄道ディーゼルエンジンの排気ラインの下流においた。排気流中のCOとHC、NOx、NOの濃度は、それぞれ、600ppm、60ppm(C3として)、100ppm、50ppmであった。標準的な条件下でのガス流量は約45m
3/hであった。温度傾斜は5K/minであった。300℃の前CSF温度でのNO
2/NOx比を評価に用いた。300℃でNO
2/NOx比が低いと、運転中NO
2成形量が低いことを示す。
【0096】
試料(A)〜(C)の浄化の際の300℃でのNO
2/NOx比を
図1に示す。
【0097】
試料BとCは、試料Aと比較して低い最大NO
2/NOx比を示しており、したがって運転中低いNO
2排出量であることを示している。最も小さなNO
2/NOx比が、第一皮膜と第二皮膜が100%重なっている試料Cで観察された。