特許第6556935号(P6556935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556935ゲルマニウムに比べてシリコンゲルマニウムを選択的にエッチングする配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556935
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ゲルマニウムに比べてシリコンゲルマニウムを選択的にエッチングする配合物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   H01L21/308 B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-500517(P2018-500517)
(86)(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公表番号】特表2018-519674(P2018-519674A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016041271
(87)【国際公開番号】WO2017007893
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】62/190,560
(32)【優先日】2015年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ビロドー, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, エマニュエル アイ.
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−504871(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/178426(WO,A1)
【文献】 特開2007−019323(JP,A)
【文献】 特表2002−541662(JP,A)
【文献】 特開2010−199525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304−21/3063、21/308、
21/465−21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去する方法であって、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種及び少なくとも1つの酸化種を含む組成物を、前記マイクロ電子デバイスの前記表面に、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去するのに必要な時間及び温度で接触させることを含む方法であって、25℃におけるゲルマニウム含有材料と比べたシリコンゲルマニウム材料の選択性が、5:1を超える、方法
【請求項2】
記組成物が水をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去するための組成物であって、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、少なくとも1つの酸化種及び水を含み、25℃におけるゲルマニウム含有材料と比べたシリコンゲルマニウム材料の選択性が、5:1を超える、組成物。
【請求項4】
pHが、1ら5の範囲内にある、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのジオール化合物が、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール及びこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフッ化物種が、フッ化水素酸、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロジルコン酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラアルキルアンモニウム(NRBF)、ヘキサフルオロリン酸テトラアルキルアンモニウム(NRPF)、フッ化テトラアルキルアンモニウム(NRF)、重フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム及びこれらの組合せ(式中、R、R、R、Rは、互いに同じでも、異なっていてもよく、水素、直鎖又は分岐鎖のC−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、或いは置換又は非置換のアリール基からなる群から選択される。)からなる群から選択される化学種を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの酸化種が、過酸化水素、FeCl、FeF、Fe(NO)、Sr(NO)、CoF、MnF、オキソン(2KHSO・KHSO・KSO)、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV,V)、バナジン酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、次亜臭素酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、硝酸、過硫酸カリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸、硝酸第二鉄、過酸化尿素、過酢酸、メチル-1,4-ベンゾキノン(MBQ)、1,4-ベンゾキノン(BQ)、1,2-ベンゾキノン、2,6-ジクロロ-1,4-ベンゾキノン(DCBQ)、トルキノン、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノン(DMBQ)、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリンN-オキシド、トリメチルアミンN-オキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される化学種を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
メタンスルホン酸、シュウ酸二水和物、クエン酸、酒石酸、ピコリン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、スルホコハク酸、安息香酸、プロピオン酸、ギ酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、マンデル酸、ヘプタン酸、酪酸、吉草酸、グルタル酸、フタル酸、次亜リン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸、塩酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ジフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、塩酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸(62重量%)、硫酸、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸テトラメチルアンモニウム及び他の酢酸テトラアルキルアンモニウム、酢酸ホスホニウム、酪酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、リン酸、リン酸水素ジアンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ビス(テトラメチルアンモニウム)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素ジテトラアルキルアンモニウム、リン酸二水素ジテトラアルキルアンモニウム、リン酸水素ジホスホニウム、リン酸二水素ホスホニウム、ホスホン酸アンモニウム、ホスホン酸テトラアルキルアンモニウム、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸ホスホニウム、これらの塩、並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの緩衝種をさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
アスコルビン酸、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、ホウ酸、二ホウ酸アンモニウム、ホウ酸塩(例えば、五ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム及び二ホウ酸アンモニウム)、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、式NRBr(式中、R、R、R及びRは、互いに同じであることも、又は異なることもできて、水素、及び分岐鎖又は直鎖のC−Cアルキルからなる群から選択される。)を有する臭化アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーションをさらに含む、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルマニウム含有材料及びSi含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間、集積回路内のフィーチャのスケーリングは、半導体チップ上の機能ユニットの高密度化を可能にしてきた。例えば、トランジスタサイズの縮小は、より多くのメモリ素子をチップ上に取り込むことを可能にし、容量が増えた製品の製造につながる。
【0003】
集積回路デバイスのための電界効果トランジスタ(FET)の製造において、シリコン以外の半導体結晶材料が有利であり得る。このような材料の一例がGeであり、Geは、高い電荷キャリア(正孔)移動度、バンドギャップオフセット、異なる格子定数、及びシリコンとの合金になって、SiGeの半導体二元合金を生成する能力など(ただし、これらに限定されない。)、場合によってはシリコンに比べて有利ないくつかの特徴を持つ。
【0004】
最近のトランジスタ設計におけるGeの使用に関する1つの問題は、長年にわたって積極的にスケーリングが行われたシリコンFETでは現在実現されている極めて微細なフィーチャ(例えば、22nm以下)が、Geで実現することが現在は困難であり、スケーリングがあまり積極的に行われていない形態で実装されたときに、可能性のある材料ベースの性能向上を帳消しにする場合が多いことである。スケーリングにおける困難は、Geの材料特性、とりわけ、SiGeのエッチングにおける困難に関係し、このSiGeは、Ge活性層(例えば、トランジスタのチャネル層)と、下にあるシリコン基板材料の間の中間層としてしばしば用いられる。現在、SiGeは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を使用して90℃でエッチングされるが、SiGe/Ge選択性は不十分であり、エッチング条件(すなわち、より高い温度及びTMAHの毒性)は望ましくない。
【0005】
本発明の目的は、マイクロ電子デバイス上に存在する他の材料の除去又は腐食を最小限に抑えながら、ゲルマニウム含有材料及びSi含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を選択的に除去するための組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施態様は一般に、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べて、それらを含むマイクロ電子デバイスからシリコンゲルマニウム材料を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。
【0007】
1つの実施態様において、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去する方法が記述され、前記方法は、組成物を、マイクロ電子デバイスの表面に、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去するのに必要な時間及び温度で接触させることを含み、組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種及び少なくとも1つの酸化種を含む。
【0008】
別の実施態様において、キットが記述され、前記キットは、一又は複数の容器内に、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去するための組成物を生成するように適合された一又は複数の成分を含み、製造工場又は使用ポイントで組み合わせるために、1つの容器は、少なくとも1つの酸化剤を含み、第2の容器は、少なくとも1つのジオール、少なくとも1つのフッ化物、水、任意選択的に少なくとも1つの緩衝剤、及び任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション剤を含む。
【0009】
さらに別の実施態様において、別のキットが記述され、前記キットは、一又は複数の容器内に、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去するための組成物を生成するように適合された一又は複数の成分を含み、製造工場又は使用ポイントで組み合わせるために、1つの容器は、少なくとも1つの酸化剤及び少なくとも1つのジオールを含み、第2の容器は、少なくとも1つのフッ化物、水、任意選択的に少なくとも1つの緩衝剤、及び任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション剤を含む。
【0010】
さらに別の実施態様において、組成物が記述され、前記組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、少なくとも1つの酸化種、任意選択的に少なくとも1つの緩衝種、任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション種及び水を含む。
【0011】
別の実施態様において、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を選択的に除去するための組成物が記述され、前記組成物は、(a)少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、任意選択的に少なくとも1つの緩衝種、任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション種及び水を含む濃縮物と、(b)少なくとも1つの酸化剤との組合せを含む。
【0012】
本発明の他の態様、特徴及び実施態様は、以下の開示及び添付の特許請求の範囲から、より十分に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般に、本発明は、ゲルマニウム含有材料及びSi含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を選択的に除去し、したがって、マイクロ電子デバイスからシリコンゲルマニウム材料を少なくとも部分的に除去するためのエッチング剤として有用な組成物に関する。本発明には、Ge含有材料及びSi含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を除去するために組成物をどのように調整できるかが開示されている。
【0014】
参照しやすくするため、「マイクロ電子デバイス」は、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリ素子、太陽電池パネル、及び太陽電池素子、光電装置を含む他の製品、並びに超小型電子集積回路、エネルギー集積又はコンピュータチップ用途において使用するために製造されるマイクロ電子機械システム(MEMS)に対応する。用語「マイクロ電子デバイス」、「マイクロ電子基板」及び「マイクロ電子デバイス構造物」は、いかなる意味においても限定することを意図せず、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリになる任意の基板又は構造物を含むと理解されるべきである。マイクロ電子デバイスは、パターン化デバイス、ブランケット化デバイス、コントロールデバイス及び/又は試験デバイスであり得る。
【0015】
「シリコン」は、Si、多結晶Si及び単結晶Siを含むと定義される。シリコンは、例えば、FET及び集積回路などの電子デバイスのための基板又は基板の一部として使用されてもよいシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウエハに含まれていてもよい。他のタイプのウエハもシリコンを含んでもよい。
【0016】
本明細書において用いられるとき、「シリコン含有材料」は、シリコン;p-ドープシリコン;n-ドープシリコン;ゲート酸化物(例えば、熱的又は化学的に成長したSiO)及びTEOSを含む酸化シリコン;窒化シリコン;熱酸化物;SiOH;SiCOH;ケイ化チタン;ケイ化タングステン;ケイ化ニッケル;ケイ化コバルト;及び低誘電率材料を含むが、これらに限定されない。本明細書において定義される通り、「低誘電率材料」は、積層マイクロ電子デバイスにおいて誘電材料として使用される任意の材料に対応し、この材料は、約3.5未満の誘電率を有する。好ましくは、低誘電率材料には、シリコン含有有機ポリマー、シリコン含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化シリコン及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスなどの低極性材料が含まれる。低誘電率材料は、様々な密度及び様々な空隙率を有してもよいと理解されるべきである。本出願において、シリコン含有材料は、多量のゲルマニウムを含まないこと、すなわち、シリコン含有材料は、5重量%未満のゲルマニウム、好ましくは2重量%未満のゲルマニウムを含むことが理解されるべきである。
【0017】
本明細書に記載の通り、「酸化シリコン」又は「SiO」材料は、酸化シリコン前駆体源から堆積された材料、例えば、TEOS、熱蒸着された酸化シリコン、或いはSiLK(商標)、AURORA(商標)、CORAL(商標)又はBLACK DIAMOND(商標)などの市販の前駆体を使用して堆積される炭素ドープ酸化物(CDO)に対応する。本説明において、「酸化シリコン」は、SiO、CDO、シロキサン及び熱酸化物を広く含むことを意図する。酸化シリコン又はSiO材料は、構造物中の純粋な酸化シリコン(SiO)並びに不純物を含む純粋でない酸化シリコンに対応する。
【0018】
本明細書において用いられるとき、「フッ化物」種は、フッ化物イオン(F)又は共有結合したフッ素を含む化学種に対応する。フッ化物種は、フッ化物種として含まれても、又はin situで生成されてもよいと理解されるべきである。
【0019】
本明細書において定義される通り、「ゲルマニウム含有材料」は、バルクゲルマニウムウエハ、n-ドープゲルマニウム、p-ドープゲルマニウム、ゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)ウエハ(この場合、層は、基板の上の誘電層上に形成されるゲルマニウム層である。)、基板上のゲルマニウム層、並びにゲルマニウム化チタン、ゲルマニウム化タングステン、ゲルマニウム化ニッケル及びゲルマニウム化コバルトなどのゲルマニウム化合物であってもよい。ゲルマニウム含有材料は、基板上に少なくとも部分的に広がる連続層にすることができて、又は別々の領域に分割することができる。本出願において、ゲルマニウム含有材料は、多量のシリコンを含まないこと、すなわち、ゲルマニウム含有材料は、5重量%未満のシリコン、好ましくは2重量%未満のシリコンを含むことが理解されるべきである。
【0020】
シリコンゲルマニウム(SiGe)合金は当技術分野において既知であり、一般式Si1−xGeを有する。本開示において、除去されるシリコンゲルマニウム材料を表すために式SiGeが用いられる。
【0021】
本明細書において用いられるとき、「約」は、記載の値の±5%に対応することが意図される。
【0022】
いくつかの化学成分は、それらの最低エネルギー状態、すなわち、安定状態にあるとき、特に商業的に購入されるとき、無視できる量の水を必然的に含むものと理解される。本説明において、必然的に存在する水は、「加えた水」と見なさない。
【0023】
本発明の組成物は、以下でさらに詳しく説明するように、多種多様な特定の配合物において具体化されてもよい。
【0024】
ゼロ下限を含む重量パーセントの範囲に関して組成物の特定の成分が議論されるすべてのこのような組成物において、このような成分は、組成物の様々な特定の実施態様において存在しても、存在しなくてもよいこと、及びこのような成分が存在する場合、これらは、このような成分が用いられる組成物の全重量に基づいて、0.001重量パーセントという低い濃度で存在してもよいことが理解されるであろう。
【0025】
第1の態様において、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてゲルマニウム化シリコン材料を選択的に除去するための組成物、並びにその使用方法が記述され、前記組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種及び少なくとも1つの酸化種を含み、これらからなり、又はこれらから実質的になる。別の実施態様において、組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、少なくとも1つの酸化種及び水を含み、これらからなり、又はこれらから実質的になる。さらに別の実施態様において、組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、少なくとも1つの酸化種、少なくとも1つの緩衝種及び水を含み、これらからなり、又はこれらから実質的になる。さらに別の実施態様において、組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、少なくとも1つの酸化種、少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション種及び水を含み、これらからなり、又はこれらから実質的になる。別の実施態様において、組成物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、少なくとも1つの酸化種、少なくとも1つの緩衝種、少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション種及び水を含み、これらからなり、又はこれらから実質的になる。
【0026】
本明細書において意図されるジオール種には、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない脂肪族グリコールが含まれる。トリオール(例えば、グリセロール)など、2つを超えるヒドロキシル基を含む化学種、並びに2つの利用可能なヒドロキシル及び第3のエステル化又はエーテル化されるヒドロキシルが存在する化学種(例えば、カプリル酸グリセリル、グアヤコールグリセリルエーテル)も意図される。好ましくは、少なくとも1つのジオール種は、1,2-ブタンジオール及び/又はエチレングリコールを含む。ジオール種の量は、約30重量%から約99重量%、好ましくは約30重量%から約60重量%の範囲内にある。
【0027】
意図されるフッ化物種には、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロジルコン酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムなどのテトラフルオロホウ酸テトラアルキルアンモニウム(NRBF)、ヘキサフルオロリン酸テトラアルキルアンモニウム(NRPF)、フッ化テトラメチルアンモニウムなどのフッ化テトラアルキルアンモニウム(NRF)(その無水物又は水和物)、重フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム(式中、R、R、R、Rは、互いに同じでも、異なっていてもよく、水素、直鎖又は分岐鎖のC−Cアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、C−Cアルコキシ基(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、或いは置換又は非置換のアリール基(例えば、ベンジル)からなる群から選択される。)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、フッ化物種は、フッ化水素酸及び/又はフッ化アンモニウムを含む。フッ化物種の量は、約0.01重量%から約5重量%、好ましくは約0.1重量%から1重量%の範囲内にある。
【0028】
本明細書において意図される酸化種には、過酸化水素、FeCl、FeF、Fe(NO)、Sr(NO)、CoF、MnF、オキソン(2KHSO・KHSO・KSO)、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV,V)、バナジン酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、次亜臭素酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、硝酸、過硫酸カリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸、硝酸第二鉄、過酸化尿素、過酢酸、メチル-1,4-ベンゾキノン(MBQ)、1,4-ベンゾキノン(BQ)、1,2-ベンゾキノン、2,6-ジクロロ-1,4-ベンゾキノン(DCBQ)、トルキノン、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノン(DMBQ)、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリンN-オキシド、トリメチルアミンN-オキシド及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。酸化種は、組成物をデバイスウエハに導入する前にメーカーで組成物に導入されても、或いは、デバイスウエハで、すなわち、in situで導入されてもよい。好ましくは、酸化種は、キノン化合物(例えば、DCBQ)、過酸化水素、過酢酸、ヨウ素酸アンモニウム、又はこれらの任意の組合せを含む。存在するとき、酸化種の量は、約0.01重量%から約10重量%、好ましくは約0.1重量%から1重量%の範囲内にある。
【0029】
キノンが酸化剤として使用される場合、耐酸化性の、好ましくは非プロトン性の溶媒(例えば、スルホラン、テトラグライム及びこれらの組合せ)中のキノンの濃溶液(例えば、5から15%)を、使用直前に配合物に加えられるキノン源として用いることができる。例えば、キノンは、DCBQにすることができて、スルホランとテトラグライムの混合物に溶解することができる。キノン/非プロトン性溶媒混合物、例えば、DCBQ/スルホラン/テトラグライム混合物は、本明細書に記載の組成物、キット及び方法において、「少なくとも1つの酸化剤」と見なすことができる。
【0030】
存在するとき、少なくとも1つの緩衝種が、溶液のpHを約1から約5、好ましくは約1.5から約4の範囲内に保つために加えられる。意図される緩衝種には、メタンスルホン酸、シュウ酸二水和物、クエン酸、酒石酸、ピコリン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、スルホコハク酸、安息香酸、プロピオン酸、ギ酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、マンデル酸、ヘプタン酸、酪酸、吉草酸、グルタル酸、フタル酸、次亜リン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸、塩酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ジフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、塩酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸(62重量%)、硫酸、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸テトラメチルアンモニウム及び他の酢酸テトラアルキルアンモニウム、酢酸ホスホニウム、酪酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、リン酸、リン酸水素ジアンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ビス(テトラメチルアンモニウム)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素ジテトラアルキルアンモニウム、リン酸二水素ジテトラアルキルアンモニウム、リン酸水素ジホスホニウム、リン酸二水素ホスホニウム、ホスホン酸アンモニウム、ホスホン酸テトラアルキルアンモニウム、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸ホスホニウム、これらの塩、並びにこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、少なくとも1つの緩衝種は、シュウ酸二水和物を含む。存在するとき、緩衝種の量は、約0.01重量%から約10重量%、好ましくは約0.1重量%から3重量%の範囲内にあるが、その量は、使用するために選ばれた緩衝種に依存することが当業者には理解されるであろう。
【0031】
本明細書に記載の組成物の任意選択の成分は、ゲルマニウムのための少なくとも1つのパッシベーション剤である。パッシベーション剤は、アスコルビン酸、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、ホウ酸、二ホウ酸アンモニウム、ホウ酸塩(例えば、五ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム及び二ホウ酸アンモニウム)、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、式NRBr(式中、R、R、R及びRは、互いに同じであることも、又は異なることもできて、水素、及び分岐鎖又は直鎖のC−Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)からなる群から選択される。)を有する臭化アンモニウムを含むことができるが、これらに限定されない。好ましくは、少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション剤はヒスチジンを含む。存在するとき、パッシベーション剤の量は、約0.01重量%から約5重量%、好ましくは約0.1重量%から1重量%の範囲内にある。
【0032】
当業者には容易に理解及び判断されるように、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べて、シリコンゲルマニウム材料のエッチング速度を変えるために組成物を調整することができると理解されるべきである。最も好ましくは、25℃におけるシリコンゲルマニウム化合物:ゲルマニウム含有化合物(SiGe:Ge)の選択性は、5:1を超え、より好ましくは10:1を超え、最も好ましくは15:1以上であり、シリコンゲルマニウム材料のエッチング速度は、約10Å/minを超え、より好ましくは50Å/minを超える。
【0033】
使用前に希釈される高濃度の組成物を調製するのが一般的な方法であることを理解されたい。例えば、組成物は、より高濃度で製造され、その後、水、追加の水、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのジオール又は追加のジオール(一又は複数)で、メーカーで、使用前に、且つ/又は製造工場で使用中に希釈されてもよい。希釈比は、約0.1部の希釈剤:1部の組成物濃縮物から約100部の希釈剤:1部の組成物濃縮物の範囲内にあってもよい。あるいは、濃縮物は、少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、任意選択的に少なくとも1つの緩衝種、任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション種及び水を含むことができて、使用前又は使用ポイントで少なくとも1つの酸化剤と組み合わせることができる。濃縮物と少なくとも1つの酸化剤の比は、約100:1から約10:1、好ましくは約50:1から約30:1の範囲内にある。
【0034】
本明細書に記載の組成物は、それぞれの原料を単純に加えて、均質な状態まで混合することで容易に配合される。さらに、組成物は、使用ポイントで、又は使用ポイント前に混合される単一パッケージの配合物又はマルチパート配合物として容易に配合されてもよく、好ましくはマルチパート配合物であってもよい。マルチパート配合物の個々のパートは、ツールにおいて、又はインラインミキサーなどの混合領域/区域内、又はツールの上流の貯蔵タンク内で混合されてもよい。マルチパート配合物の様々なパートは、混合されたときに所望の組成物を生成する原料/成分の任意の組合せを含んでもよいことが意図される。それぞれの原料の濃度は、特定の複数の組成物において大きく変化してもよく、すなわち、より希薄であっても、より濃厚であってもよく、組成物は、本明細書の開示と一貫した原料の任意の組合せを、様々に、代替的に含み得、これらからなり得、又はこれらから実質的になり得ることを理解されたい。
【0035】
したがって、第2の態様は、一又は複数の容器内に、本明細書に記載の組成物を生成するように適合された一又は複数の成分を含むキットに関する。キットの容器は、前記組成物成分の保管及び運搬に適していなければならない(例えば、NOWPak(登録商標)容器(Entegris,Inc.(米国マサチューセッツ州ビルリカ)))。好ましくは、製造工場又は使用ポイントで組み合わせるために、1つの容器は、少なくとも1つの酸化剤を含み、第2の容器は、残りの成分、例えば、少なくとも1つのジオール、少なくとも1つのフッ化物、水、任意選択的に少なくとも1つの緩衝剤、及び任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション剤を含む。例えば、1つの実施態様において、製造工場又は使用ポイントで組み合わせるために、1つの容器は、少なくとも1つの酸化剤を含み、第2の容器は、残りの成分、例えば、少なくとも1つのジオール、少なくとも1つのフッ化物、水、少なくとも1つの緩衝剤、及び少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション剤を含む。別の実施態様において、製造工場又は使用ポイントで組み合わせるために、1つの容器は、少なくとも1つの酸化剤及び少なくとも1つのジオールを含み、第2の容器は、残りの成分、例えば、少なくとも1つのフッ化物、水、任意選択的に少なくとも1つの緩衝剤、及び任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション剤を含む。組成物の成分を含む一又は複数の容器は、好ましくは、ブレンディング及び分配のために前記一又は複数の容器内の成分を流体連通させるための手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器を参照すると、前記一又は複数の容器内のライナーの外側にガス圧を加えて、ライナーの内容物の少なくとも一部を排出させ、したがって、ブレンディング及び分配のための流体連通を可能にしてもよい。あるいは、従来の加圧可能な容器のヘッドスペースにガス圧が加えられてもよく、又はポンプを使用して流体連通を可能にしてもよい。さらに、このシステムは、好ましくは、ブレンドされた組成物をプロセスツールに分配するための分配ポートを含む。
【0036】
実質的に化学的に不活性で、不純物を含まず、柔軟且つ弾力がある高密度ポリエチレンなどのポリマーフィルム材料が、好ましくは、前記一又は複数の容器のライナーを製造するために使用される。望ましいライナー材料は、共押出又はバリア層を必要とせずに、且つ、ライナーに配合される成分の純度要件に悪影響を及ぼす可能性があるいかなる顔料、UV阻害剤又は加工剤も使用せずに加工される。望ましいライナー材料のリストには、バージン(添加剤を含まない)ポリエチレン、バージンポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンなどを含むフィルムが含まれる。このようなライナー材料の好ましい厚さは、例えば、20ミル(0.020インチ)の厚さのような、約5ミル(0.005インチ)から約30ミル(0.030インチ)の範囲内にある。
【0037】
キット用の容器に関して、以下の特許及び特許出願の開示は、これによって、それらそれぞれの全体が出典明示により本明細書に援用される:「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS」と題する米国特許第7188644号;「RETURNABLE AND REUSABLE, BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」と題する米国特許第6698619号;及び2008年5月9日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題する国際出願PCT/US08/63276号。
【0038】
第3の態様において、本発明は、本明細書に記載の組成物の使用方法に関する。例えば、組成物を使用して、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を選択的に除去する方法が意図される。
【0039】
除去付与において、任意の適した方法で、例えば、デバイスの表面に組成物を吹付けることにより、デバイスを(静的又は動的体積の組成物に)液浸することにより、その上に吸収された組成物を含む別の材料、例えば、パッド、又は繊維の吸収材アプリケータ要素とデバイスを接触させることにより、循環する組成物とデバイスを接触させることにより、或いは、組成物をシリコンゲルマニウム材料及びゲルマニウム含有材料と除去接触させるその他の任意の適した手段、方法又は技術により、マイクロ電子デバイスの表面に組成物が付与される。付与は、動的又は静的洗浄のためのバッチ又は単一のウエハ装置内であってもよい。
【0040】
本明細書に記載の組成物の使用において、組成物は、典型的には、約1分から約200分、好ましくは約5分から約60分の十分な時間、約20℃から約100℃、好ましくは約25℃から約70℃の範囲の温度でデバイス構造物と接触させる。このような接触時間及び温度は例示であり、必要な除去選択性を得るのに効果的なその他の任意の適した時間及び温度の条件が用いられてもよい。
【0041】
所望のエッチング作用を達成後、本発明の組成物の所与の最終使用用途において所望され、且つ効果的であり得るように、組成物があらかじめ付与されていたマイクロ電子デバイスから、例えば、すすぎ、洗浄、又は他の除去ステップ(一又は複数)により、組成物が容易に除去できる。例えば、デバイスは、脱イオン水を含むすすぎ液ですすいでも、且つ/又は乾燥(例えば、遠心脱水、N、蒸気乾燥など)してもよい。ゲルマニウム又は高ゲルマニウム膜が露出する場合、好ましいすすぎは、実質的に非水性、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0042】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載の方法に従って製造される改善されたマイクロ電子デバイス、及びこのようなマイクロ電子デバイスを含む製品に関する。
【0043】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のマイクロ電子デバイス基板、シリコンゲルマニウム材料、ゲルマニウム含有材料及び組成物を含み、これらからなり、又はこれらから実質的になる製造品に関する。
【0044】
さらに別の態様は、マイクロ電子デバイスの表面から、ゲルマニウム含有材料及びシリコン含有材料に比べてシリコンゲルマニウム材料を選択的に除去するための組成物に関し、前記組成物は、(a)少なくとも1つのジオール化合物、少なくとも1つのフッ化物種、任意選択的に少なくとも1つの緩衝種、任意選択的に少なくとも1つのゲルマニウムパッシベーション種及び水を含む濃縮物と、(b)少なくとも1つの酸化剤との組合せを含む。
【0045】
本発明の特徴及び利点を、以下で論じる例示的な例によりさらに詳しく示す。
【実施例】
【0046】
実施例1
貯蔵寿命を最大限に延ばすために、以下の通り2つの溶液を調製し、使用前に混合する。
容器A:0.1から5重量%シュウ酸二水和物、0.1から2重量%フッ化アンモニウム、0.1から2重量%ヒスチジン、30から55重量%エチレングリコール及び残余の水。
容器B:5から15重量%2,6-ジクロロ-1,4-ベンゾキノン(DCBQ)、残余の重量パーセント比9:1のスルホラン:テトラグライム。
【0047】
使用前に、90から95部の容器Aを、5から10部の容器Bと混合した。得られたpHは2.9であり、得られた組成物の浴寿命は8時間を超え、容器A及び容器B内の組成物の貯蔵寿命は6カ月を超えた。
【0048】
室温の合わせた溶液にそれぞれの試験片を浸漬することにより、22:1のGeと比べたSi(0.4)Ge(0.6)のエッチング選択性を測定した。Si(0.4)Ge(0.6)のエッチング速度は、8.3nm/分と測定された。さらに、酸化シリコン及び窒化シリコンのエッチング減量は、4分後にそれぞれ1.3nm及び5nmと測定された。
【0049】
実施例2
貯蔵寿命を最大限に延ばすために、以下の通り2つの溶液を調製し、使用前に混合する。
容器C:0.1から2重量%フッ化アンモニウム、0.1から2重量%フッ化水素酸及び残余の水。
容器D:5から15重量%2,6-ジクロロ-1,4-ベンゾキノン(DCBQ)、残余のエチレングリコール。
【0050】
使用前に、40から60部の容器Aを、60から40部の容器Bと混合した。得られたpHは4.7であり、得られた組成物の浴寿命は6時間を超え、容器C及び容器D内の組成物の貯蔵寿命は8週間を超えた。
【0051】
室温の合わせた溶液にそれぞれの試験片を浸漬することにより、5.9:1のGeと比べたSi(0.4)Ge(0.6)のエッチング選択性を測定した。Si(0.4)Ge(0.6)のエッチング速度は、13.8nm/分と測定された。さらに、酸化シリコン及び窒化シリコンのエッチング減量は、4分後にそれぞれ2.8nm及び7.4nmと測定された。
【0052】
本明細書では本発明の特定の態様、特徴及び例示的な実施態様に関して本発明を説明してきたが、本発明の有用性は、そのように限定されず、むしろ、本発明の分野の当業者なら本明細書の開示に基づいて思いつく多数の他の変形、修正及び代替の実施態様にまで及び、且つこれらを包含することを理解されたい。それに応じて、以下に記載の本発明は、その趣旨及び範囲にすべてのこのような変形、修正及び代替の実施態様を含むよう広く解釈されることが意図される。