特許第6557131号(P6557131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557131
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】分割装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20190729BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20190729BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   B24B27/06 M
   B24B49/12
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-245438(P2015-245438)
(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-112216(P2017-112216A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(72)【発明者】
【氏名】國本 公一
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−186584(JP,A)
【文献】 特開平10−284443(JP,A)
【文献】 特開2007−125667(JP,A)
【文献】 特開2013−065603(JP,A)
【文献】 特開2015−133375(JP,A)
【文献】 特開2001−023936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物を切断し、チップに分割する分割装置であって、
切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、
切削ブレードの逃げ溝によって区画されチップの大きさに対応した複数の吸引領域を表面に備えた保持面に板状物を保持する保持手段と、
該保持手段に保持された個々のチップに分割された板状物を該保持手段から搬出し乾燥手段まで搬送する搬送手段と、
該乾燥手段で乾燥された複数のチップを容器に収容し、該容器内に収容されたチップを振動させチップの外周からバリを除去するバリ除去手段と、
該バリが除去されたチップを収容する収容手段と、
該バリ除去手段にチップの残留がないかを確認する残留確認手段と、
から少なくとも構成される分割装置。
【請求項2】
該残留確認手段は、レーザーセンサーによってチップの残留を確認する、請求項1に記載の分割装置。
【請求項3】
該残留確認手段は、撮像カメラによってチップの残留を確認する、請求項1に記載の分割装置。
【請求項4】
該残留確認手段は、バリが除去されたチップを収容する収容手段の重さを計測する重量計測器を少なくとも備え、該収容手段の重量に収容すべきバリ除去後のチップの重さを加えた所定重量と、実際に計測された該収容手段の重量とを比較することにより、バリ除去手段におけるチップの残留を確認する、請求項1に記載の分割装置。
【請求項5】
該バリ除去手段は、超音波振動によって該収容手段へのチップの移動を促進させる残留チップ解消手段を備えた、請求項1乃至4のいずれかに記載された分割装置。
【請求項6】
該バリ除去手段は、エアーブローによって該収容手段へのチップの移動を促進させる残留チップ解消手段を備えた、請求項1乃至4のいずれかに記載された分割装置。
【請求項7】
該残留確認手段は、板状物のロット単位で作動する請求項1乃至6のいずれかに記載された分割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成され該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域を備えた被加工物を複数の分割予定ラインに沿って分割する分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定のストリートと呼ばれる分割予定ラインに沿って切断することにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と呼ばれる小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術の一つとして、Quad Flat Non−lead Package(QFN)と呼ばれるパッケージ技術が実用化されている。このQFNと称するパッケージ技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画する分割予定ラインが格子状に形成された銅板等の電極板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂部によって電極板と半導体チップを一体化することによりパッケージ基板を形成する。このパッケージ基板を分割予定ラインに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
【0004】
上記パッケージ基板を分割予定ラインに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する分割装置は、分割予定ラインと対応する領域に切削ブレードの切れ刃を逃がす逃がし溝が格子状に形成されるとともに逃がし溝によって区画された複数の領域にそれぞれ吸引孔が設けられた保持テーブルと、該保持テーブルに吸引保持されたパッケージ基板を分割予定ラインに沿って切断する切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段によって個々に分割された複数のチップサイズパッケージ(CSP)をトレーに並べて収容する収容機構を具備した分割装置が知られている(例えば特許文献1を参照。)。
【0005】
また、格子状に形成された複数の分割予定ラインによって区画され複数の領域を備えた被加工物を分割予定ラインに沿って分割する分割装置であって、複数の分割予定ラインと対応する領域に切削ブレードの切れ刃の逃がし溝が格子状に形成されるとともに、逃がし溝によって区画された複数の領域にそれぞれ吸引孔を備えた被加工物の吸引保持テーブルと、保持テーブルに吸引保持された加工前の被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段によって個々に分割された複数のチップを乾燥する乾燥手段と、乾燥された複数のチップを収容する収容手段と、乾燥手段によって乾燥された複数のチップを収容手段に落とし込むチップ落とし込み手段と、を具備した切削手段によって個々に分割された複数のチップを収容することができ、かつ小型化が可能な分割装置も知られている(例えば特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−023936号公報
【特許文献2】特開2013−065603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したような分割装置において、加工前の被加工物を個々のチップに分割すると、各チップの外周に、いわゆるバリと呼ばれる分割加工によって除去しきれなかった欠片が残存し、製品の見栄えを悪くして品質を低下させるという問題があり、従来ではトレーに収容された後に各チップから手作業により当該バリを除去する方法がとられていた。また、分割装置に対して当該トレーに収容された後の各チップからバリを除去する工程を別途追加するにしても、当該バリ取り作業を自動化するためには複雑な装置構成を追加せねばならず、分割装置が高額となってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、切削手段によって個々に分割されたチップのバリを、生産効率を悪化させることなく、また、複雑な構成を追加することなく除去すると共に、バリが除去された該チップを確実に収容手段に収容する分割装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、板状物を切断し、チップに分割する分割装置であって、切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、切削ブレードの逃げ溝によって区画されチップの大きさに対応した複数の吸引領域を表面に備えた保持面に板状物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された個々のチップに分割された板状物を該保持手段から搬出し乾燥手段まで搬送する搬送手段と、該乾燥手段で乾燥された複数のチップを容器に収容し、該容器内に収容されたチップを振動させチップの外周からバリを除去するバリ除去手段と、該バリが除去されたチップを収容する収容手段と、該バリ除去手段にチップの残留がないかを確認する残留確認手段と、から少なくとも構成される分割装置が提供される。
【0010】
また、本発明の分割装置における残留確認手段としては、レーザーセンサーによってチップの残留を確認する、撮像カメラによってチップの残留を確認する、該収容手段の重さに収容すべきバリ除去後のチップの重さを加えた所定重量と、収容手段の重さを計測する重量計測器により実際に計測された該収容手段の重量とを比較することにより、バリ除去手段におけるチップの残留を確認する、等の手段から適宜選択することができる。
【0011】
さらに、本発明の分割装置における該バリ除去手段は、残留チップ解消手段として、超音波振動によって該収容手段へのチップの移動を促進させる、エアーブローによって該収容手段へのチップの移動を促進させる等の手段を備えることができる。さらにいえば、該残留確認手段は、板状物のロット単位で作動するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明による分割装置は上記のように構成され、個々のチップに分割された板状物を該保持手段から搬出し乾燥手段まで搬送する搬送手段と、該乾燥手段で乾燥された複数のチップを容器に収容し、該容器内に収容されたチップを振動させチップの外周からバリを除去するバリ除去手段と、該バリが除去されたチップを収容する収容手段と、該バリ除去手段にチップの残留がないかを確認する残留確認手段と、から少なくとも構成されるので、板状部材を切断してチップに分割する分割装置において、作業者の手作業等に頼ることなくバリを除去することができると共に、残留確認手段を備えていることによりバリ除去手段に残留するチップを監視して全てのチップを確実に収容容器に移動させて次工程に移送することができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によって構成される分割装置における被加工物としてのパッケージ基板の斜視図および断面図。
図2】本発明によって構成された分割装置の斜視図。
図3図2に示す分割装置に装備される保持テーブルの斜視図。
図4図2に示す分割装置に装備される下面乾燥手段の斜視図。
図5図4に示す下面乾燥手段の断面図。
図6図2に示す分割装置に装備されるバリ除去手段の斜視図。
図7図2に示す分割装置に装備される被加工物搬送手段を構成する吸引保持パッドを下方から見た斜視図。
図8図2に示す分割装置に装備される制御手段のブロック図。
図9図3に示す保持テーブルにパッケージ基板を吸引保持した状態を示す斜視図。
図10図2に示す分割装置によって実施する切削工程の説明図。
図11図2に示す分割装置に装備された被加工物搬送手段を構成する吸引保持パッドに吸引保持された個々の分割されたチップを下面乾燥手段の乾燥テーブル上に位置付けた状態を示す説明図。
図12図6に示すバリ除去手段に対して個々に分割されたチップを、チップ落とし部材を介して収容する状態を示す図。
図13図6に示すバリ除去手段を作動させて、収容されたチップのバリを取るための動作を説明するための説明図。
図14図13で示したバリ除去手段によるチップのバリ取り動作が完了したあと、収容容器に収容する状態を説明する説明図。
図15図14に示す実施形態とは別の実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によって構成された分割装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0015】
図1の(a)、(b)には、被加工物としてのパッケージ基板の斜視図および断面図が示されている。図1の(a)、(b)に示すパッケージ基板1は電極板11を具備し、電極板11の表面11aに所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ライン111と、該第1の分割予定ライン111と直交する方向に延びる第2の分割予定ライン112が格子状に形成されている。第1の分割予定ライン111と第2の分割予定ライン112によって区画された複数の領域にそれぞれチップサイズパッケージ(CSP)113が配置されており、このチップサイズパッケージ(CSP)113は電極板11の裏面側から合成樹脂部12によってモールディングされている。このように形成されたパッケージ基板1は、第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112に沿って切断され個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)113に分割される。
【0016】
図2には、上記パッケージ基板1を第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112に沿って切断するための本発明に従って構成された分割装置の斜視図が示されている。
図2に示された分割装置は、装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2の中央部には、被加工物を保持する被加工物保持機構3と、該被加工物保持機構3に保持された被加工物を切削するための切削手段4が配設されている。被加工物保持機構3は、上記パッケージ基板1を吸引保持する保持テーブル31と、該保持テーブル31を支持する保持テーブル支持手段32とを具備している。保持テーブル31は、図3に示すように矩形状に形成され表面中央部に上記パッケージ基板1を吸引保持する吸引保持部310が突出して設けられている。吸引保持部310の上面(保持面)にはパッケージ基板1に形成された第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112と対応する領域に後述する切削ブレードの切れ刃を逃がす逃がし溝311および312が格子状に形成されている。また、吸引保持部310には、第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112によって区画された複数の領域にそれぞれ吸引孔313が形成されており、この吸引孔313が図示しない吸引手段に連通されている。
【0017】
図2に戻って説明を続けると、被加工物保持機構3を構成する保持テーブル支持手段32は、保持テーブル31を上面である保持面に対して垂直な軸周りに回動せしめる図示しない回転駆動手段を備えている。このように構成された保持テーブル支持手段32は、保持テーブル31を図2に示す被加工物を搬入および搬出する搬入・搬出領域と切削手段4による加工領域に移動可能に構成されており、図示しないX軸方向移動手段によって矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられるようになっている。
【0018】
切削手段4は、X軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って配設されたスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転可能に支持された回転スピンドル42と、回転スピンドル42の先端部に装着された切削ブレード43と、該切削ブレード43の両側に配設された切削水供給ノズル44を具備している。スピンドルハウジング41は、図示しないY軸方向移動手段によってY軸方向に沿って移動せしめられるように構成されている。回転スピンドル42は、図示しないサーボモータ等の駆動源によって回転駆動せしめられる。切削ブレード43は、図示の実施形態においてはアルミニウムによって円盤状に形成されたブレード基台にダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固めた電鋳ブレードが用いられている。切削水供給ノズル44は、図示しない切削水供給手段に接続されており、切削水を切削ブレード43による切削部に供給する。
【0019】
上述した切削手段4による加工領域と搬入・搬出領域との間には、加工領域において切削加工され個々のチップに分割された被加工物の上面を洗浄するための上面洗浄手段5が配設されている。この上面洗浄手段5は、被加工物保持機構3を構成する保持テーブル31の移動経路の上側に配設されており、保持テーブル31上に保持され切削手段4に切削加工された被加工物の上面に洗浄水を噴射せしめる。
【0020】
上記被加工物保持機構3のY軸方向における一方の側には、加工前の被加工物を収容したカセットを載置するカセット載置領域6aが設けられており、カセット載置領域6aには図示しない昇降手段によって上下方向に移動せしめられるカセットテーブル60が配設されている。このカセットテーブル60上に被加工物である上記パッケージ基板1が複数枚収容されたカセット6が載置される。カセット載置領域6aの前側には、カセット6に収容されたパッケージ基板1を仮置きするとともに位置合わせを行う仮置き手段7と、カセット6に収容されたパッケージ基板1を仮置き手段7に搬出する被加工物搬出手段8が配設されている。
【0021】
上記仮置き手段7と搬入・搬出領域との間には、仮置き手段7に搬出され位置合わせが行われた加工前の被加工物である上記パッケージ基板1を搬入・搬出領域に位置付けられている被加工物保持機構3を構成する保持テーブル31の上面である保持面上に搬送する被加工物搬入手段9が配設されている。この被加工物搬入手段9は、パッケージ基板1の上面を吸引保持する吸引保持パッド91と、該吸引保持パッド91を支持し吸引保持パッド91を上下方向に移動するエアシリンダ機構92と、該エアシリンダ機構92を支持する作動アーム93と、該作動アーム93をY軸方向に移動せしめる図示しない移動手段とからなっている。
【0022】
図示の実施形態における分割装置は、上記被加工物搬入手段9のエアシリンダ機構92に装着され搬入・搬出領域に位置付けられている保持テーブル31に保持された被加工物であるパッケージ基板1の加工すべき領域を検出する撮像手段12を具備している。この撮像手段12は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0023】
上記被加工物保持機構3のY軸方向における他方の側には、加工領域において切削加工され個々のチップに分割された加工後の被加工物の下面を洗浄するための下面洗浄手段13が配設されている。この下面洗浄手段13は、回転可能に構成されたスポンジ等からなる洗浄ローラ131と、該洗浄ローラ131に洗浄水を供給する図示しない洗浄水供給手段とからなっている。
【0024】
また、図示の実施形態における分割装置は、上記下面洗浄手段13に隣接して配設され個々のチップに分割された加工後の被加工物の下面を乾燥する下面乾燥手段14を具備えている。この下面乾燥手段14は、図4および図5に示すように乾燥テーブル141を備えている。乾燥テーブル141は、矩形状のテーブル本体142と、該テーブル本体142の上面に配設された吸引保持部材143とからなっている。テーブル本体142は、金属板によって形成され、上面に矩形状の浅い凹部からなる吸引部142aが形成されており、該吸引部142aには上記パッケージ基板1の複数のチップサイズパッケージ(CSP)113と対応する複数の領域にそれぞれ吸引通路142bが形成されている。吸引保持部材143は、耐熱性を有するフッ素系ゴムによって上記テーブル本体142に形成された浅い凹部からなる吸引部142aと対応する大きさに形成されており、吸引部142aに嵌合される。このように形成された吸引保持部材143には、上記パッケージ基板1の複数のチップサイズパッケージ(CSP)113と対応する複数の領域にそれぞれ吸引孔143aが形成されており、この吸引孔143aがテーブル本体142に形成された吸引通路142bと連通する。なお、吸引保持部材143を形成する耐熱性を有するフッ素系ゴムとしては、デュポン株式会社によって製造販売されている「ザラック」を用いることができる。
【0025】
上記乾燥テーブル141を構成するテーブル本体142の下面には、吸引通路142bが連通する吸引室を形成するための吸引室形成部材144が装着されている。この吸引室形成部材144は金属板によって矩形状に形成され、上面に凹部144aが設けられており、この凹部144aとテーブル本体142の下面によって吸引通路142bが連通する吸引室144bが形成される。また、吸引室形成部材144には、凹部144aに開口する連通路144cが形成されており、この連通路144cが図示しない吸引手段に連通されている。このように構成された吸引室形成部材144の下側には、加熱手段としての加熱ヒーター145が配設されている。
【0026】
図2に戻って説明を続けると、図示の実施形態における分割装置は、上記下面乾燥手段14に隣接して配設され個々に分割された複数のチップを収容するとともに、振動させることにより複数のチップの外周に残存するバリを除去するためのバリ除去手段15と、チップ落とし部材19、収容手段としてのチップ収容容器156を備えている。該チップ落とし部材19は、バリ除去手段15の上方で、下面乾燥手段14に隣接して開口する開口部19aを備え、該チップ落とし部材19は、開口部19aから下方に向けてロート状に形成されている。このよう構成されたチップ落とし部材19の下側には、バリ除去手段15のバリ取り容器152が配設されている。さらに、該バリ取り容器152の下方には、バリが除去された後の複数のチップを収容するチップ収容容器156(収容手段)が配設され、図2に示すように該チップ収容容器156は、バリ除去手段15が配設された装置ハウジング2の前壁から出し入れ可能に設けられている。
【0027】
図6を参照しながら、該バリ除去手段15についてさらに説明する。該バリ除去手段15のバリ取り容器152は、上下方向が開放された円筒状に形成されており、その上下開口は、開閉アーム154b、155bに支持された上方閉鎖部材154、下方閉鎖部材155により開閉可能に形成されている。該上方閉鎖部材154、下方閉鎖部材155の平坦部154a、155aは網目状に形成され外部から外気を取り入れ可能になっている。後述するようにバリ取り容器152内には、排気ダクト158に連通させられた排気口152aが設けられており(図12を参照)、図2に記載されたような排気ダクト158上に配置された排気ファン18を作動させることにより、上方、下方閉鎖部材154、155から取り入れられた空気は、該排気口152a、排気ダクト158を通じてクリーンルームの外部に排出される。上方、下方閉鎖部材の該網目の粗さは、バリ取り容器152に収容される個々に分割されたチップが当該網目の隙間から外部にこぼれ出ないように小さく設定されている。バリ取り容器152は、支持ケース153を介してバリ取り容器揺動手段151に支持されており、後述するように、バリ取り容器152、および支持ケース153は、バリ取り容器揺動手段151内部に収納された揺動機構に対して長穴157を介して連結され、長穴157に沿って上下方向に往復運動しつつ、垂直方向に対して周期的にその角度が変化するように構成され、当該動作を連続的にバリ取り容器に作用させて、バリ取り容器152に収容された複数のチップを振動させることにより該チップのバリが除去される。
【0028】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における分割装置は、上記下面乾燥手段14に載置された個々のチップに分割された加工後の被加工物の上面を乾燥するとともに下面乾燥手段14に載置され上面および下面が乾燥された複数のチップを、チップ落とし部材19の開口部19aに落とし込むための上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段16を備えている。この上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段16は、温風を噴出する温風噴出ノズル161と、温風噴出ノズル161に装着され下方に突出するチップ落とし込みブラシ162と、温風噴出ノズル161を支持し温風噴出ノズル161を上下方向に移動するエアシリンダ機構163と、該エアシリンダ機構163を支持する作動アーム164と、該作動アーム164をY軸方向に移動せしめる図示しない移動手段とからなっている。
【0029】
図示の実施形態における分割装置は、搬入・搬出領域に位置付けられている被加工物保持機構3を構成する保持テーブル31に載置されている個々のチップに分割された加工後の被加工物を、上記下面洗浄手段13を経由して下面乾燥手段14に搬送する被加工物搬送手段17を備えている。この被加工物搬送手段17は、保持テーブル31に載置されている個々のチップに分割された加工後の被加工物の上面を吸引保持する吸引保持パッド171と、該吸引保持パッド171を支持し吸引保持パッド171を上下方向に移動するエアシリンダ機構172と、該エアシリンダ機構172を支持する作動アーム173と、該作動アーム173をY軸方向に移動せしめる図示しない移動手段とからなっている。なお、吸引保持パッド171には、図7に示すように下面である吸引保持面171aにおける上記パッケージ基板1の複数のチップサイズパッケージ(CSP)113と対応する複数の領域にそれぞれ吸引孔171bが形成されており、この吸引孔171bが図示しない吸引手段に連通されている。
【0030】
図示の実施形態における分割装置は、図8に示す制御手段20を具備している。制御手段20はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)201と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)202と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)203と、入力インターフェース204および出力インターフェース205とを備えている。このように構成された制御手段20の入力インターフェース204には、上記撮像手段12、後述するレーザーセンサー200、収容容器の重量計測器220等からの検出信号が入力される。そして、制御手段20の出力インターフェース205からは、上記被加工物保持機構3、切削手段4、上面洗浄手段5、被加工物搬出手段8、被加工物搬入手段9、下面洗浄手段13、下面乾燥手段14、バリ除去手段15、上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段16、被加工物搬送手段17、排気ファン18、後述するエアーブロー発生器210、超音波振動発生器230等に制御信号を出力する。
【0031】
図示の実施形態における分割装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
カセット6に収容されているパッケージ基板1は、仮置手段7上に搬出され、被加工物搬出手段8、被加工物搬入手段9を作動して、搬入・搬出領域に位置付けられている被加工物保持機構3を構成する保持テーブル31の吸引保持部310の保持面上に搬送される(被加工物搬入工程)。なお、上記被加工物搬入工程を実施する前に、撮像手段12を作動して保持テーブル31の吸引保持部310の上面である保持面の逃がし溝を撮像し、制御手段20に入力した画像信号に基づいて吸引保持部310の上面である保持面に形成された逃がし溝311および312の位置を求め(逃がし溝検出工程)xy座標値をランダムアクセスメモリ(RAM)203に格納しておく。
【0032】
上述した被加工物搬入工程を実施したならば、該撮像手段12を用いて、保持テーブル31の保持面に載置されているパッケージ基板1の第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112を撮像し、撮像した画像信号を制御手段20に入力する(分割予定ライン検出工程)。そして、制御手段20は吸引保持テーブル31の保持部310の上面である保持面に形成された逃がし溝311および312の位置と保持テーブル31上に載置されたパッケージ基板1に形成された第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112の位置とのズレ量を求め(ズレ量検出工程)、制御手段20は、ズレ量検出工程によって求めたズレ量をランダムアクセスメモリ(RAM)203に格納する。
【0033】
上述したズレ量検出工程を実施したならば、パッケージ基板1の上面を吸引保持パッド91によって吸引保持するとともに、保持テーブル31の保持面から上方に退避させる。次に、制御手段20は保持テーブル支持手段32を回動する図示しない回転駆動手段を制御するとともに保持テーブル31をX軸方向、Y軸方向に移動制御して保持テーブル31の位置を、上記ズレ量で補正した位置に位置付ける。次に制御手段20は吸引保持パッド91に吸引保持されているパッケージ基板1を保持テーブル31の保持面上に載置し直す(被加工物置き直し工程)。この結果、保持面に形成された逃がし溝311および312とパッケージ基板1に形成された第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112が一致することになる。このようにして被加工物置き直し工程を実施したならば、図示しない吸引手段を作動することにより、図9に示すように保持テーブル31の保持部310の上面である保持面にパッケージ基板1が吸引保持される。
【0034】
上述したように逃がし溝検出工程と分割予定ライン検出工程とズレ量検出工程および被加工物置き直し工程とを実施することにより、保持テーブル31の保持面に形成された逃がし溝2と保持テーブル31上のパッケージ基板1に形成された各分割予定ラインとを一致させ、保持テーブル31の保持面にパッケージ基板1を吸引保持したならば、撮像手段12を保持テーブル31に保持されたパッケージ基板1に位置付ける。次に、制御手段20は、撮像手段12を作動してパッケージ基板1に形成された第1、2の分割予定ライン111、112を撮像し、第1の分割予定ライン111および第2の分割予定ライン112が、X軸方向およびY軸方向と平行であるか否かを確認、調整するアライメント作業を実施する(アライメント工程)。
【0035】
上述したようにアライメント工程を実施したならば、保持テーブル31を加工領域に移動し、図10の(a)に示すように、第1の分割予定ライン111の一端を切削ブレード43の直下より僅かに右側に位置付ける。次に、切削ブレード43を2点鎖線で示す退避位置から、切削水供給ノズル44(図2参照)から切削水を供給しつつ、矢印Z1で示す方向に所定量切り込み送りする。そして、図示しないX軸方向移動手段を作動して保持テーブル31を矢印X1で示す方向に所定の切削送り速度で移動し、パッケージ基板1に形成された第1の分割予定ライン111の他端が切削ブレード43の直下より僅かに左側に達したら(図10の(b)を参照)保持テーブル31の移動を停止するとともに、切削ブレード43を矢印Z2で示す方向の2点鎖線で示す退避位置まで上昇させる。そして、全ての切削すべき第1の分割予定ライン111に対し上記したような切削を繰り返し、パッケージ基板1は、第1の分割予定ライン111に沿って切断される(切削工程)。
【0036】
上述した切削工程をパッケージ基板1に所定方向に形成された全ての第1の分割予定ライン111に沿って実施したならば、保持テーブル31を90度回動し、保持テーブル31に上記所定方向と直交する方向に形成された全ての第2の分割予定ライン112に沿って上述した切削工程を実施する。この結果、パッケージ基板1は個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)113に分割される。該切削工程を実施したならば、パッケージ基板1を保持している保持テーブル31を加工領域から搬入・搬出領域に向けて移動させる。このとき、保持テーブル31の移動経路の上側に配設された上面洗浄手段5を作動して、保持テーブル31に保持されている個々のチップサイズパッケージ(CSP)113に分割されたパッケージ基板1の上面を洗浄する(上面洗浄工程)。
【0037】
該上面洗浄工程を実施しつつ、保持テーブル31が図2に示す搬入・搬出領域に達したならば、保持テーブル31の移動を停止し、個々のチップサイズパッケージ(CSP)113に分割されたパッケージ基板1の吸引保持を解除する。
【0038】
次に、被加工物搬送手段17の図7に示す吸引保持パッド171を分割されたパッケージ基板1の直上に位置付けるとともに、エアシリンダ機構172を作動して吸引保持面171aを分割されたパッケージ基板1の上面に接触させ、個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113を吸引孔171bの作用により吸引保持する(チップ吸引保持工程)。
【0039】
上述したチップ吸引保持工程を実施したならば、制御手段20は個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113を下面洗浄手段13の直上に位置付けるとともに、エアシリンダ機構172を作動して吸引保持パッド171を下降させ洗浄ローラ131に接触させる。このとき、下面洗浄手段13は洗浄ローラ131を回転するとともに洗浄水を供給する。この結果、吸引保持パッド171に吸引保持された個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113の下面が洗浄される(下面洗浄工程)。
【0040】
上述したように下面洗浄工程を実施したならば、制御手段20は被加工物搬送手段17を作動して、図11に示すように吸引保持パッド171に吸引保持されたチップサイズパッケージ(CSP)113を、下面乾燥手段14の乾燥テーブル141を構成するフッ素系ゴムからなる吸引保持部材143の上面に位置付け、下面乾燥手段14の図示しない吸引手段を作動するとともに吸引保持パッド171による吸引保持を解除する。この結果、図示しない吸引手段から吸引室形成部材144に形成された連通路144c、吸引室144b、テーブル本体142に形成された吸引通路142b、吸引保持部材143に形成された吸引孔143aを介して個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113の下面に負圧が作用して、個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113が吸引保持部材143の上面に吸引保持される。また、下面乾燥手段14の加熱ヒーター145が附勢(ON)されることにより、分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113の下面が加熱されて乾燥する。
【0041】
また、これと同時に、制御手段20は、上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段16を作動して温風噴出ノズル161から温風を噴出すると共に、チップサイズパッケージ(CSP)113の範囲で往復する動作を複数回実施する。この結果、下面乾燥手段14の上面に載置され個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113の下面および上面が乾燥される(チップ乾燥工程)。
【0042】
上述したチップ乾燥工程を実施したならば、チップサイズパッケージ(CSP)113の吸引保持を解除する。次に、制御手段20は上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段16の図示しない移動手段を作動して温風噴出ノズル161に装着されたチップ落とし込みブラシ162を下面洗浄手段13と下面乾燥手段14との間に移動するとともに、エアシリンダ機構163を作動してチップ落とし込みブラシ162の先端を、乾燥テーブル141を構成する吸引保持部材143の上面に接触する位置に位置付ける。そして、制御手段20は上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段16の図示しない移動手段を作動して、チップ落とし込みブラシ162を、チップ落とし部材19の開口部19aに向けて移動させる。この際、バリ取り容器15の上方閉鎖部材154は、図12に示すように、制御手段20の出力信号により開動作されており、この結果、下面乾燥手段14の上面に載置されたチップサイズパッケージ(CSP)113は、開口部19aを通してバリ取り容器152に収容される。このとき、個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113が載置されている吸引保持部材143は耐熱性を有するフッ素系ゴムからなり摩擦係数が低いので、個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113を円滑に移動することができる。なお、バリ除去手段15は、上記したように装置ハウジング2の内部に収容されているものであるが、図6、12〜15は、説明の都合上、装置ハウジング2を省略している。
【0043】
上記したように、個々に分割されたチップサイズパッケージ(CSP)113が、チップ落とし部材19を通してバリ取り容器152に収容されると、制御手段20により、開閉アーム154bが作動させられ、バリ取り容器15の上部開口が、上方閉鎖部材154により閉鎖される。バリ取り容器15の上部開口が、上方閉鎖部材154により閉鎖されると、制御手段20により、バリ取り容器152内に収容されたチップサイズパッケージ(CSP)113を振動させるバリ取り工程が実施させられる。以下に本発明のバリ取り工程についてさらに詳細に説明する。
【0044】
制御手段20によるバリ取り工程の実施に先立ち、図2に示されている排気ダクト158上に設置された排気ファン18を作動させる。図12に示すように、バリ取り容器152には排気口152aが設けられており、上方、下方閉鎖部材154、155の各平坦部154a、155aからバリ取り容器152内部に取り入れられた外気は、バリ取り容器152の排気口152aから排出され、バリ取り容器152を支持する支持ケース153内部、バリ取り容器揺動手段151内部を経由して排気ダクト158に導入され、排気ファン18を経由してクリーンルームの外部に排出される。なお、排気ダクト158上には、図示しないフィルタが配置されていてもよい。
【0045】
排気ファン18が作動させられた後、制御手段20によりバリ取り容器揺動手段151が作動させられる。より具体的には、図13(a)、(b)に示すように、バリ取り容器152を支持する支持部材153が、図示しない駆動手段により、長穴157に沿って上下に往復動させられる。また、当該往復動させられるのと同時に、支持ケース153の中心軸線(図中P)を中心に下降動作に合わせて時計回りに30度程度、及び上昇時に合わせて反時計回りに30度程度回転するように作動させられる。このような上下、回転しながらの往復動を1分間で100回程度繰り返し、1分の動作後に停止する。このような動作により、バリ取り容器152に収容された複数のチップサイズパッケージ(CSP)113が振動させられ、互いに擦れて、各チップサイズパッケージ(CSP)113に残存していたバリが除去される。
【0046】
上記揺動動作中、排気ファン18の作用により、バリ取り容器152の上方、下方閉鎖部材154、155を介して外気が強力に吸引されているため、チップサイズパッケージ(CSP)113から離脱した微細なバリは、上方、下方閉鎖部材154、155から導入される外気とともに、排気口152aから吸い出され、支持ケース153、バリ取り容器揺動手段151の内部を経由して、排気ダクト158側に排出され、図示しない排気ダクト158上のフィルタに捕捉される。
【0047】
上記容器揺動手段151の作動が停止され、当該動作により個々のチップサイズパッケージ(CSP)113からバリが除去された後、排気ファン18の動作が停止される。さらに、当該排気ファン18が停止した後、図14に示すように、バリ取り容器152の下方閉鎖部材155を、開閉アーム155bを作動させて開放する。当該下方閉鎖部材155を開放すると、バリ取り容器152の下方側が解放され、そのバリ取り容器152の下方に位置付けられている収容手段を構成するチップ収容容器156にチップサイズパッケージ(CSP)が収容される。
【0048】
ここで、本実施形態においては、図14に示されているように、バリ除去手段15を構成するバリ取り容器152の下方から、バリ取り容器152の内部にバリが除去されたチップサイズパッケージ(CSP)113が残留していないか確認するための残留確認手段としてのレーザーセンサー200と、該レーザーセンサー200と一体化されて形成されバリ取り容器152内部に高圧エアーを噴出し、該バリ取り容器152内部に付着して残留しているチップサイズパッケージ(CSP)113を離脱させることにより、下方に位置するチップ収容容器156に落下させる残留チップ解消手段としてのエアーブロー手段210が進退自在に配置されている。このレーザーセンサー200と、エアーブロー手段210は、通常は、バリを除去するためのチップ収容容器156の上下、回転運動の邪魔にならないように、該バリ取り容器152に隣接した位置に退避させられている。
【0049】
そして、記容器揺動手段151の動作により個々のチップサイズパッケージ(CSP)113からバリが除去された後、バリ取り容器152の下方閉鎖部材155を、開閉アーム155bを作動させて開放すると共に、退避させられていた該レーザーセンサー200と、エアーブロー手段210とを、図14に示すように、バリ取り容器152の下方に位置付ける。
【0050】
ここで、残留確認手段として機能する該エアーブロー手段210の先端部に配設されたレーザーセンサー200は、例えば、図示しないHe−Neレーザー発振器(633nm)と、受光部を備えており、該レーザー発振器から発振されたレーザー光線が、レーザーセンサー200の照射口に配置された図示しないガルバノミラーにより、該バリ取り容器152の下方から内側面全体に走査するように構成されている。そして、該受光部により該レーザー光線を照射した際の散乱光を測定し、該測定信号を該制御手段20に送るようになっている。そして、該測定信号が、バリ取り後のチップがバリ取り容器152内部に全く残留していない場合の予め記憶された特性を示しているのか、チップがバリ取り容器152の内壁等に残留していた場合の散乱光を含む特性を示しているのかによって、バリ取り容器152内部にチップが残留しているか否かを確認することができるようになっている。
【0051】
該制御手段20に記憶された制御プログラムにより、該バリ取り容器152内部にバリ取り後のチップが残留していると判定がなされた場合は、該制御手段20から該エアーブロー手段に対して駆動信号が出力され、図示しない高圧エアー供給源から高圧エアーが供給されて残留しているチップの存在を解消するための高圧エアーがバリ取り容器152内に噴射される。これにより、バリ取り容器152内部に付着する等して残留していたチップが離脱させられ、下方に位置付けられているチップ収容容器156に移動させられる。なお、当該残留チップ解消手段を実行した後、そのまま制御を終了してもよいが、当該高圧エアーの供給後、再度該残留確認手段を実行し、チップが残留していないとの判定がなされるまで、繰り返し残留チップ解消手段を実行するようにしてもよい。
【0052】
本実施形態における上記残留確認手段、残留チップ解消手段は、被加工物である板状物のロット単位ごとに実行されるが、被加工物の最小単位である板状物1枚ごとに実行されるようにしてもよい。
【0053】
本発明における残留確認手段、残留チップ解消手段は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、レーザーセンサー200に代えて撮像カメラを設置することができる。その場合は、バリ取り後のチップをチップ収容容器156に収容する作業を実施した後に、該撮像カメラによりバリ取り容器152の内部を撮像して、図2に示す操作モニターMに表示させて、チップが残留していないか、該分割装置のオペレーターによって確認することが可能になる。その際、バリ取り容器152内にチップが残留していることが確認された場合は、オペレーターの指示により、残留チップ解消手段が実行される。
【0054】
また、他の実施形態としては、図15に示すような構成とすることもできる。すなわち、チップ収容容器156の重さを計測する重量計測器220を備え、チップ収容容器156の重量に、1ロットの板状物を加工して得られる全チップの重さを加えた所定重量と、実際に計測される該チップ収容容器156の重量とを比較することにより、バリ除去手段におけるチップの残留を確認することができる。そして、実際に計測される重量が該所定重量よりも軽い場合は、バリ取り容器にチップが付着していることが想定されるため、残留チップ解消手段が実行される。なお、図15に示す実施形態では、残留チップ解消手段として、該バリ取り容器152に対して振動を与える超音波振動付与手段230が備えられており、制御手段20からの駆動信号により、バリ取り容器152に振動が付与されて、例えばバリ取り容器152の内壁に付着するバリ取り後のチップを振るい落とすことができ、チップ収容容器に移動させることができる。
【0055】
そして、上記チップ収容容器156は、図2、14に示すように、装置ハウジング2の前面側から引き出すことが可能になっており、上記バリ取り工程を経たチップサイズパッケージ(CSP)113を容易に装置内から取り出すことが可能になっている。よって、切削、バリ取り工程を終えたチップサイズパッケージ(CSP)113は、該チップ収容容器156に収容され、次の工程へと運ばれる。
【0056】
なお、本発明に基づく残留確認手段、残留チップ解消手段は、上記の実施形態に限定されず、適宜組み合わせを変更することもできる。例えば、残留確認手段としてレーザーセンサー200を備えると共に、残留チップ解消手段として超音波振動付与手段230を組み合わせることも可能であり、本発明により特定される技術的範囲内において、適宜変形させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1:パッケージ基板
2:装置ハウジング
3:被加工物保持機構
31:保持テーブル
4:切削手段
43:切削ブレード
5:上面洗浄手段
6:カセット
6a:カセット載置領域
7:仮置き手段
8:被加工物搬送手段
9:被加工物搬入手段
12:撮像手段
13:下面洗浄手段
14:下面乾燥手段
15:バリ除去手段
151:容器揺動手段
152:バリ取り容器
156:チップ収容容器(収容手段)
16:上面乾燥手段兼チップ落とし込み手段
17:被加工物搬送手段
19:チップ落とし部材
20:制御手段
200:レーザーセンサー
210:エアーブロー手段
220:重量計測器
230:超音波振動付与手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15