(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項の記載は、発明者の個人的な検討内容であり、公知技術ではない。
【0015】
図1(a)に示すように、予備的事項に係る配線基板の製造方法では、まず、上面に第1銅箔200aが接着され、下面に第2銅箔220aが接着された基材100を用意する。
【0016】
次いで、
図1(b)に示すように、基材100上の第1銅箔200aの上にホール状の開口部240xが設けられたレジスト層240を形成する。
【0017】
続いて、
図1(c)に示すように、レジスト層240の開口部240xを通して、第1銅箔200aをウェットエッチングにより除去する。その後に、レジスト層240が除去される。これにより、第1銅箔200aに開口部200xが形成される。
【0018】
さらに、
図2(a)に示すように、第1銅箔200aの開口部200xを通して、基材100をレーザによって貫通加工することにより、ビアホールVHを形成する。このとき、ビアホールVHの底に第2銅箔220aが残される。
【0019】
次いで、
図2(b)に示すように、第2銅箔220aをめっき給電経路に利用する電解めっきにより、基材100のビアホールVHの底部から上側に向けて金属めっき層300を形成する。
【0020】
このとき、基材100の一つのビアホールVH内でめっき速度の偏りが発生しやすく、ビアホールVH内で金属めっき層300の高さが異なってしまう。このため、電解めっきを施していくと、ビアホールVH内の一端E1の金属めっき層300は第1銅箔200aに接続されるが、ビアホールVH内の他端E2の金属めっき層300は第1銅箔200aに接続されていない状態となる。
【0021】
しかも、この時点で、ビアホールVH内の金属めっき層300がベタ状の第1銅箔200aに電気的に接続されるため、めっき給電の面積がかなり大きくなる。これにより、電解めっきの単位面積当たりの電流密度が急激に低くなってめっき速度が極端に低下し、条件によっては殆どめっきが施されなくなる。
【0022】
このため、電解めっきを続けても、ビアホールVH内の他端E2の金属めっき層300は第1銅箔200aと分離された状態のままとなる懸念がある。
【0023】
その後に、両面側の第1銅箔200a及び第2銅箔220aをフォトリソグラフィ及びウェットエッチングによりパターニングする、これにより、基材100の上面に第1配線層200が形成され、基材100の下面に第2配線層220が形成される。
【0024】
両面側の第1配線層200と第2配線層220とはビアホールVH内の金属めっき層300を介して相互接続される。
【0025】
しかし、上記したように、ビアホールVH内の他端E2では、第1配線層200と金属めっき層300とが接続されない場合があるため、第1配線層200と金属めっき層300との接続の信頼性が低下する。
【0026】
このように、ビアホールVH内で金属めっき層300の高さに偏りが発生しやすいため、ビア接続の高い信頼性を得られない課題がある。
【0027】
また、基材100内の複数のビアホールVH間においても、めっき速度の偏りが発生しやすいため、基材100内の一領域のビアホールVH内で金属めっき層300が第1配線層200に接続されない場合がある。
【0028】
以下に説明する実施形態の配線基板及びその製造方法では、前述した課題を解決することができる。
【0029】
(実施形態)
図3〜
図13は実施形態の配線基板の製造方法を説明するための図、
図14は実施形態の配線基板を示す図である。以下、配線基板の製造方法を説明しながら、配線基板の構造について説明する。
【0030】
実施形態の配線基板の製造方法では、まず、
図3(a)に示すような積層構造のベース基材5を用意する。ベース基材5では、厚み方向の中央部に絶縁層10を備えている。絶縁層10の一例としては、厚みが50μmのポリイミドフィルムが使用される。
【0031】
また、絶縁層10の上面に第1接着層20が形成され、絶縁層10の下面に第2接着層22が形成されている。第1接着層20及び第2接着層22の一例としては、厚みが10μm〜20μmのエポキシ樹脂層が使用される。
【0032】
さらに、絶縁層10の上面側には第1接着層20を介して第1キャリアフィルム30が接着されている。第1キャリアフィルム30の接着面には離型剤が形成されており、第1キャリアフィルム30を第1接着層20から容易に剥離することができる。
【0033】
また、絶縁層10の下面側には第2接着層22を介して第2キャリアフィルム32が接着されている。同様に、第2キャリアフィルム32の接着面には離型剤が形成されており、第2キャリアフィルム32を第2接着層22から容易に剥離することができる。
【0034】
第1キャリアフィルム30及び第2キャリアフィルム32の一例としては、厚みが25μm程度のPETフィルムが使用される。
【0035】
このように、ベース基材5は、絶縁層10の両面に第1、第2接着層20,22を介して第1、第2キャリアフィルム30,32がそれぞれ接着されて構築される。
【0036】
次いで、
図3(b)に示すように、
図3(a)のベース基材5から上面側の第1キャリアフィルム30を剥離して、第1接着層20を露出させる。
【0037】
続いて、
図3(c)に示すように、厚みが15μm〜35μmの第1銅箔40aを用意し、第1銅箔40aを絶縁層10の上面側に第1接着層20を介して接着する。これにより、絶縁層10の上面側に第1銅箔40aが形成された積層基材5aを得る。第1銅箔40aが第1金属層の一例である。
【0038】
図3(c)の例では、絶縁層10の上面に第1銅箔40aを第1接着層20で接着しているが、第1接着層20を省略し、絶縁層10の上に第1銅箔40aが熱圧着されたものを使用してもよい。あるいは、第1接着層20を省略し、絶縁層10の上面にスパッタ法及びめっき法によって銅層を形成してもよい。
【0039】
次いで、
図4に示すような金型50を用意する。金型50は、ワークを受けるための受け部材52を備えている。また、金型50は、受け部材52の上方にワークを押えるための押え部材54を備えている。
【0040】
さらに、金型50は、ワークを打ち抜き加工するためのパンチ56を備えている。パンチ56は、押え部材54の開口部54aに配置されている。パンチ56には移動手段(不図示)が接続されており、上下方向に移動することができる。
【0041】
受け部材52には、ワークを打ち抜き加工する際にパンチ56が配置される開口部52aを備えている。
【0042】
次いで、
図5(a)に示すように、金型50の受け部材52と押え部材54との間に、前述した
図3(c)の積層基材5aを搬送して配置する。
【0043】
さらに、金型50のパンチ56を下側に移動させて積層基材5aを厚み方向に打ち抜き加工する。その後に、積層基材5aを金型50から外部に搬送して取り出す。
【0044】
これにより、
図5(b)に示すように、積層基材5aの第1銅箔40aの上面から第2キャリアフィルム32の下面まで貫通するビアホールVHが形成される。ビアホールVHの直径は、例えば150μmに設定される。
【0045】
第1銅箔40aは、金型50の受け部材52と押え部材54とで挟まれて固定された状態で、パンチ56で押圧されて打ち抜き加工される。
【0046】
このとき、パンチ56の側面と受け部材52の開口部52aの側面との間にクリアランスCが生じている。このため、パンチ56で積層基材5aの第1銅箔40aを打ち抜く際に、クリアランスC内で第1銅箔40aの加工面が下側に延びて、ビアホールの端側にだれ部Sが形成される。クリアランスCの寸法は、例えば10μm〜20μmに設定される。
【0047】
図5(b)の例では、第1銅箔40aのだれ部Sは、第1接着層20の側面と絶縁層10の側面の一部とを被覆するようにビアホールVHの内部に垂下して形成される。
【0048】
あるいは、
図6に示すように、プレス加工の条件によっては、側面がストレート形状のビアホールVHを形成することも可能である。この場合は、第1銅箔40aの側面と、第1接着層20の側面と、絶縁層10の側面とが同一面となる。そして、ビアホールの端側に第1銅箔40aのだれ部Sが形成される。
【0049】
図5(b)及び
図6に示すように、ビアホールVHの周囲の絶縁層10の上面は、凸状曲面10aとなって形成され、第1銅箔40aのだれ部Sが凸状曲面10aの上に配置される。
【0050】
以降の工程では、上記した
図5(b)のビアホールVHを有する構造体を使用して説明する。
図7(a)には、2つのビアホールVHが配置された積層基材5aの領域が示されている。
【0051】
そして、
図7(b)に示すように、
図7(a)の積層基材5aの下面側の第2キャリアフィルム32を剥離して第2接着層22を露出させる。さらに、
図7(c)に示すように、厚みが15μm〜35μmの第2銅箔42aを用意し、第2銅箔42aを絶縁層10の下面側に第2接着層22を介して接着する。第2銅箔42aが第2金属層の一例である。
【0052】
あるいは、第2接着層22を省略し、絶縁層10の下面に第2銅箔42aを熱圧着してもよい。
【0053】
次いで、
図8(a)に示すように、
図7(c)の構造体の上に、第1銅箔40aをパターン化するための開口部が設けられたドライフィルムレジスト層(不図示)をフォトリソグラフィに基づいて形成する。
【0054】
さらに、ドライフィルムレジスト層(不図示)の開口部を通して、第1銅箔40aをウェットエッチングする。これにより、第1銅箔40aがパターン化されて、ビアホールVHの端側にだれ部Sを備えた第1配線層40が得られる。
【0055】
次いで、
図8(b)に示すように、第2銅箔42aをめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホールVH内の底面から上側に金属めっき層60を形成する。金属めっき層60は、好適には銅から形成されるが、配線用途の各種の金属を使用することができる。
【0056】
図8(b)では、一つのビアホールVH内でめっき速度の偏りが少ない場合が示されており、金属めっき層60の上面は概ね平坦面になっている。
【0057】
本実施形態では、ビアホールVHの端側に第1配線層40のだれ部Sが配置されている。このため、ビアホールVHの底面から上側に金属めっき層60を形成する際に、金属めっき層60が第1配線層40のだれ部Sに確実に信頼性よく接続される。
【0058】
また、第1配線層40のだれ部Sの最下部に金属めっき層60が接続されればよいので、必ずしもビアホールVHの全体を金属めっき層60で充填する必要がない。これにより、電解めっきの処理時間を短縮できるため、スループットの向上及びコスト低減を図ることができる。
【0059】
この例の他に、一つのビアホールVH内でめっき速度の偏りが顕著に発生する場合について説明する。
図9(b)に示すように、ビアホールVH内の径方向の一端E1が他端E2よりもめっき速度の遅い場合は、ビアホールVHの一端E1での第1銅箔40aのだれ部S1の長さが他端E2でのだれ部S2の長さよりも長くなるようにする。
【0060】
このような構造を形成する場合は、
図9(a)の金型50のように、受け部材52の開口部52aの側面とパンチ56の側面との一端E1のクリアランスC1が他端E2のクリアランスC2よりも大きく設定される。例えば、一端E1のクリアランスC1の寸法を他端E2のクリアランスC2の寸法の1.5倍〜2倍に設定する。
【0061】
これにより、
図9(b)のように、金型50のクリアランスC1の大きい一端E1側で、第1銅箔40aだれ部S1の長さを他の部分よりも長くすることができる。
【0062】
よって、
図10に示すように、ビアホールVH内に金属めっき層60を形成する際に、めっき速度の遅い一端E1の第1配線層40のだれ部S1の長さが他端E2のだれ部S2よりも長くなっている。
【0063】
このため、ビアホールVH内でめっき速度の偏りが発生するとしても、ビアホールVH内の一端E1の第1配線層40のだれ部S1と他端E2のだれ部S2とに金属めっき層60が同時に接続される。
【0064】
これにより、ビアホールVH内のめっき速度の遅い一端Eにおいても、金属めっき層60と第1配線層40とを確実に接続できるようになる。
【0065】
このように、ビアホールVH内のめっき速度の偏りに合わせて、第1配線層40のだれ部S1,S2の長さを調整することにより、ビア接続の信頼性を向上させることができる。
【0066】
また、別の例として、積層基材5a内の複数のビアホールVHの間においてめっき速度の偏りが発生する場合について説明する。
【0067】
例えば、積層基材5aの周縁部のビアホールVH内のめっき速度が中央部のビアホールVH内のめっき速度よりも遅くなる傾向がある。
図11(b)には、めっき速度が遅い周縁部のビアホールVHの様子が示されている。
【0068】
この場合は、
図11(b)に示すように、めっき速度が遅い周縁部の第1銅箔40aのだれ部SAの全ての長さが、めっき速度が速い中央部の第1銅箔40aのだれ部(
図5(b)のだれ部Sと同じ)よりも長くなるように設定する。
【0069】
このような構造を形成する場合は、
図11(a)の金型50のように、めっき速度の遅い周縁部のビアホールVHに対応する金型50の全てのクリアランスCXが前述した
図5(a)の金型50のクリアランスCよりも大きく設定される。
【0070】
そして、めっき速度が速い中央部のビアホールVHに対応する金型50のクリアランス(不図示)が前述した
図5の金型50のクリアランスCと同じに設定される。
【0071】
このように、めっき速度の遅い部分に対応する金型50のクリアランスCXが、めっき速度の速い部分に対応する金型50のクリアランスよりも大きくなるように金型を設計すればよい。
【0072】
これにより、
図11(b)のように、めっき速度の遅い周縁部では、パンチ56の周囲全体のクリアランスCXが大きく設定されるため、第1銅箔40aのだれ部SAの長さを他の領域よりも長くすることができる。
【0073】
このため、
図12に示すように、ビアホールVH内に金属めっき層60を形成する際に、めっき速度の遅い周縁部Aでの第1配線層40のだれ部SAの長さが、めっき速度の速い中央部Bでの第1配線層40のだれ部SBの長さよりも長く設定される。
【0074】
これにより、めっき速度の遅い周縁部Aの第1配線層40のだれ部SAと、めっき速度の速い中央部Bの第1配線層40のだれ部SBとに金属めっき層60が同時に接続される。
【0075】
よって、積層基材5aの周縁部Aでめっき速度が遅く、金属めっき層60の高さが低い状態であっても、金属めっき層60が第1配線層40のだれ部SAに接続されるようになる。
【0076】
このように、積層基材5a内のめっき速度の偏りに合わせて、複数のビアホールVHの間で、第1銅箔40aのだれ部SA,SBの長さを調整することにより、ビア接続の信頼性を向上させることができる。
【0077】
以上のように、ビアホールVH内又は積層基材5a内でめっき速度の偏りが生じるとしても、第1配線層40のだれ部に金属めっき層60を接続するタイミングを基板全体でほぼ均一にすることができる。
【0078】
よって、金属めっき層60を第1配線層40のだれ部の全体に確実に接続できるため、ビア接続の信頼性を向上させることができる。
【0079】
なお、金型50のクリアランス以外に、パンチ56の押圧力、パンチ56の押圧スピードなどのプレス加工の各種の条件を調整することにより、第1銅箔40aのだれ部の形状や長さを調整することができる。
【0080】
以下の製造方法では、前述した
図8(b)のビア構造を有する配線部材を使用して説明する。
【0081】
図13(a)に示すように、前述した
図8(b)の配線部材の下面側の第2銅箔42aをフォトリソグラフィ及びウェットエッチングによってパターニングして、第2配線層42を形成する。
【0082】
次いで、
図13(b)に示すように、絶縁層10の上面側に、第1配線層40及び金属めっき層60の接続部上に開口部12aが設けられた第1ソルダレジスト層12を形成する。また同様に、絶縁層10の下面側に、第2配線層42の接続部上に開口部14aが設けられた第2ソルダレジスト層14を形成する。
【0083】
その後に、
図14に示すように、絶縁層10の上面側において、第1ソルダレジスト層12の開口部12a内の接続部に表面処理層44を形成する。また同様に、絶縁層10の下面側において、第2ソルダレジスト層14の開口部14a内の接続部に表面処理層46を形成する。
【0084】
表面処理層44,46は、例えば、電解めっき又は無電解めっきにより、下から順に、ニッケル(Ni)層/金(Au)層を形成することにより得られる。
【0085】
以上により、
図14に示すように、実施形態の配線基板1が得られる。
【0086】
図14に示すように、実施形態の配線基板1は、厚み方向の中央部に絶縁層10を備えている。絶縁層10の一方の面に第1接着層20が形成されている。また、絶縁層10の他方の面に第2接着層22が形成されている。第1接着層20、絶縁層10及び第2接着層22には厚み方向に貫通するビアホールVHが形成されている。
【0087】
絶縁層10の一方の面には第1接着層20を介して第1配線層40が形成されている。第1配線層40は、ビアホールVHの側面の端側にだれ部Sを備えている。
【0088】
図14の例では、第1配線層40のだれ部Sは、第1接着層20の側面及び絶縁層10の側面の一部を被覆している。あるいは、前述した
図6のビアホールVHのように、第1配線層40のだれ部Sの側面と、第1接着層20の側面と、絶縁層10の側面とが同一面となる構造であってもよい。
【0089】
ビアホールVHの周囲の絶縁層10の一方の面は凸状曲面10aになっており、凸状曲面10aの上に第1配線層40のだれ部Sが配置されている。
【0090】
また、絶縁層10の他方の面には第2接着層22を介して第2配線層42が形成されている。第2配線層42は、絶縁層10の他方の面側のビアホールVHの開口を塞ぐようにして配置されている。
【0091】
あるいは、第1接着層20及び第2接着層22が省略され、絶縁層10の両面に第1配線層40及び第2配線層42が直接形成されていてもよい。
【0092】
本実施形態では、第1配線層40及び第2配線層42は、第1銅箔40a及び第2銅箔42aからそれぞれ形成されるが、配線用途の各種の金属層から形成することができる。
【0093】
そして、ビアホールVH内には、第2配線層42と第1配線層40のだれ部Sとを接続する金属めっき層60が形成されている。金属めっき層60は銅などからなるビア導体として形成される。
【0094】
また、絶縁層10の上面側に、第1配線層40及び金属めっき層60の接続部上に開口部12aが設けられた第1ソルダレジスト層12が形成されている。また同様に、絶縁層10の下面側に、第2配線層42の接続部上に開口部14aが設けられた第2ソルダレジスト層14が形成されている。
【0095】
さらに、上面側の第1ソルダレジスト層12の開口部12a内の接続部に表面処理層44が形成されている。また同様に、下面側の第2ソルダレジスト層14の開口部14a内の接続部に表面処理層46が形成されている。
【0096】
本実施形態の配線基板1では、ビアホールVHの端側に第1配線層40のだれ部Sが配置されている。このため、ビアホールVHの底面から上側に金属めっき層60を形成する際に、第1配線層40のだれ部Sに確実に信頼性よく金属めっき層60が接続される。
【0097】
また、前述した
図9(a)及び(b)、
図10で説明したように、ビアホールVHの一端E1が他端E2よりもめっき速度の遅くなる場合がある、この場合は、ビアホールVHの一端E1で第1配線層40のだれ部S1の長さが他端E2のだれ部S2の長さよりも長くなるようにする。
【0098】
これにより、前述した
図10に示すように、ビアホールVH内でめっき速度の偏りが発生するとしても、めっき速度の遅い一端Eでは第1配線層40のだれ部Sの長さが長いため、金属めっき層60と第1配線層40とを確実に接続することができる。
【0099】
このように、一つのビアホールVH内でめっき速度の偏りがある場合は、ビアホールVH内で第1配線層40のだれ部Sの長さが異なるようにする。
【0100】
また、前述した
図11(a)及び(b)、
図12で説明したように、積層基材5a内のうちの一領域に配置されたビアホールVHでめっき速度が遅くなる場合がある。この場合は、めっき速度が遅い部分での第1配線層40のだれ部Sの長さが、めっき速度が速い部分での第1配線層40のだれ部Sよりも長くなるように設定する。
【0101】
これにより、前述した
図12に示すように、めっき速度の遅い部分のビアホールVHでは、第1配線層40のだれ部Sの長さが長いため、金属めっき層60の高さが低い状態でも金属めっき層60が第1配線層40のだれ部Sに接続される。
【0102】
以上のように、本実施形態の配線基板1では、ビアホールVH内の金属めっき層60が第1配線層40のだれ部Sの全体に接続されるため、ビア接続の信頼性を向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態と違って、ビアホールの側面にだれ部を有さない平板状の第1配線層と絶縁層とが露出する構造では、熱応力が発生するとビアホールの上端の絶縁層の部分に応力が集中しやすい。このため、ビアホールの上端の絶縁層の部分から内部にクラックが発生しやすい。
【0104】
半導体チップをリフロー加熱によって配線基板1にフリップチップ接続する工程、又は電子部品装置を実際に使用する際などに配線基板1内に熱応力が発生する。
【0105】
しかし、本実施形態では、ビアホールVHの周囲の絶縁層10の一方の面が凸状曲面10aとなり、第1配線層40のだれ部SがビアホールVHの上端の絶縁層10の側面を被覆している。このため、ビアホールVHの上端の絶縁層10の部分に集中する応力が緩和され、ビアホールVHの上端から絶縁層10にクラックが発生することが防止される。
【0106】
このように、本実施形態の配線基板1は、熱応力に強い構造となり、信頼性を向上させることができる。
【0107】
次に、
図14の配線基板1に電子部品を搭載して電子部品装置を構築する方法について説明する。
【0108】
図15に示すように、
図14の配線基板1を上下反転させる。そして、電子部品として、下面にバンプ電極72を備えた半導体チップ70を用意する。そして、半導体チップ70のバンプ電極72をはんだを介して配線基板1の第2配線層42の接続部にフリップチップ接続する。
【0109】
さらに、半導体チップ70と配線基板1との隙間にアンダーフィル樹脂74を充填する。その後に、配線基板1の第1配線層40及び金属めっき層60の接続部にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子Tを形成する。
【0110】
本実施形態の配線基板1では、絶縁層10の第1配線層40側の面側では、金属めっき層60がビアホールVHの内部に沈み込んで形成される場合があるため、平坦な微細なパターンを形成する際に不利になる。
【0111】
これに対して、絶縁層10の第2配線層42側の面側では、ビアホールVHの開口が第2配線層42で塞がっているため、第2配線層42を平坦な微細パターンとして形成することができる。
【0112】
従って、本実施形態の配線基板1では、狭ピッチの端子を備えた高性能な半導体チップに対応するように、第2配線層42のパッドを配置することができる。
【0113】
あるいは、逆に、配線基板1の第1配線層40側に半導体チップを搭載し、第2配線層42に外部接続端子を形成することも可能である。