(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について好ましい実施形態に基づき説明する。
第1発明及び第2発明は、難燃剤組成物に係るものである。第1発明及び第2発明において、難燃性とは、物質が着火しにくく、また着火して燃焼が持続してもその速度が非常に遅かったり、その後、自己消火したりする性質であること、好ましくは実施例に記載されているUL−94V規格に従った燃焼ランクのうち、少なくともV−2のランクを有することを意味し、難燃剤組成物とは、難燃剤の1種以上を含有する組成物を意味する。
先ず、第1発明について説明する。
【0016】
第1発明の難燃剤組成物で(A)成分として用いられるメラミン塩は、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンの群から選択され、これらは単独でも混合物で使用されてもよい。これらの中でも難燃性、ハンドリング性、保存安定性の点からピロリン酸メラミンが好ましい。これらを混合物で使用する場合は、ピロリン酸メラミンの含有割合が高いほど好ましい。またピロリン酸メラミンの、ピロリン酸とメラミンの比は、モル比で1:2のものが好ましい。
これらリン酸とメラミンとの塩は、それぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とメラミンを反応させることによって得ることもできるが、(A)成分で使用されるメラミン塩は、オルトリン酸1メラミンを加熱縮合させて得られたピロリン酸メラミン又はポリリン酸メラミンが好ましく、特にピロリン酸メラミンが好ましい。
【0017】
第1発明の難燃剤組成物で(B)成分として用いられるピペラジン塩は、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンの群から選択され、これらは単独でも混合物で使用されてもよい。これらの中でも難燃性、ハンドリング性、保存安定性の点から、ピロリン酸ピペラジンが好ましく、混合物で使用する場合は、ピロリン酸ピペラジンの含有割合が高いほど好ましい。またピロリン酸ピペラジンの、ピロリン酸とピペラジンの比は、モル比で1:1のものが好ましい。
これらリン酸とピペラジンの塩は、それぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とピペラジンを反応させることで得ることもできるが、(B)成分で使用されるピペラジン塩は、2オルトリン酸1ピペラジンを加熱縮合させて得られたピロリン酸ピペラジン又はポリリン酸ピペラジンが好ましく、特にピロリン酸ピペラジンが好ましい。
【0018】
第1発明の難燃剤組成物中の(A)成分と(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計を100質量部として、(A)成分が20〜50質量部、(B)成分が50〜80質量部であり、好ましくは、(A)成分が30〜45質量部、(B)成分が55〜70質量部である。
【0019】
次に第1発明の難燃剤組成物の(C)成分について説明する。
本発明では、(C)成分としてシランカップリング剤を使用する。
シランカップリング剤としては、例えば、アルケニル基を有するシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等が挙げられ、アクリル基を有するシランカップリング剤として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、メタクリル基を有するシランカップリング剤として、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられ、エポキシ基を有するシランカップリング剤として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられ、アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられ、イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤として、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられ、メルカプト基を有するシランカップリング剤として、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、ウレイド基を有するシランカップリング剤として、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、スルフィド基を有するシランカップリング剤として、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられ、チオエステル基を有するシランカップリング剤として、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランが挙げられ、イソシアネート基を有するシランカップリング剤として、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらシランカップリング剤の中でも、難燃性、ハンドリング性、さらには難燃剤粉末の凝集を防止し、保存安定性向上の点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシランがより好ましい。
【0020】
上記シランカップリング剤としては、市販品が使用でき、その例を挙げると、ビニルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−1003、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−171、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6300、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL XL10、日美商事株式会社製のサイラエースS210等が挙げられ、ビニルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−1003、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−151、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6519、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF56、日美商事株式会社製のサイラエースS220等が挙げられ、ビニルトリアセトキシシランとしては、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF62が挙げられ、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−172が挙げられ、ビニルメチルジメトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−2171、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL XL12等が挙げられ、オクテニルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−1083が挙げられ、アリルトリメトキシシランとしては、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6825が挙げられ、p−スチリルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−1403が挙げられ、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランとしては、KBM−5103が挙げられ、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−502、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6033等が挙げられ、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−503、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−174、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6030、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF31、日美商事株式会社製のサイラエースS710等が挙げられ、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−502が挙げられ、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−503、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のY−9936が挙げられ、メタクリロキシオクチルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−5803が挙げられ、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−303、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−186、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6043、日美商事株式会社製のサイラエースS530等が挙げられ、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−402、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6044、日美商事株式会社製のサイラエースS520等が挙げられ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−403、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−187、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6040、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF80、日美商事株式会社製のサイラエースS510等が挙げられ、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−402が挙げられ、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−403、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1871、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF82等が挙げられ、グリシドキシオクチルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−4803が挙げられ、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−602、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−2120、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF−95、日美商事株式会社製のサイラエースS310等が挙げられ、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−603、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1120、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1122、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6020、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6094、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF−91、日美商事株式会社製のサイラエースS320等が挙げられ、3−アミノプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−903、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1110、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6610、日美商事株式会社製のサイラエースS360等が挙げられ、3−アミノプロピルトリエトキシシランとしては、KBE−903、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1100、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6011、日美商事株式会社製のサイラエースS330等が挙げられ、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとしては、KBE−9103、日美商事株式会社製のサイラエースS340等が挙げられ、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−573、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のY−9669、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6883等が挙げられ、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンとしては、日美商事株式会社製のサイラエースXS1003が挙げられ、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩としては、信越化学工業(株)製のKBM−575、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6032、日美商事株式会社製のサイラエースS350等が挙げられ、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートとしては、信越化学工業(株)製のKBM−9659が挙げられ、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−802、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6852、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM−803、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−189、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6062、日美商事株式会社製のサイラエースS810等が挙げられ、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1891、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6911が挙げられ、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1160が挙げられ、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−585が挙げられ、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドとしては、信越化学工業(株)製のKBE−846が挙げられ、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−LINK599が挙げられ、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE−9007、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA−1310等が挙げられ、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のY−5187、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF40等が挙げられる。
【0021】
第1発明の難燃剤組成物中の(C)成分のシランカップリング剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜5.0質量部であり、難燃性、ハンドリング性、さらには難燃剤粉末の凝集を防止し保存安定性向上の点から、好ましくは0.05〜3.0質量部、より好ましくは0.1〜2.0質量部である。0.01質量部未満だと、難燃剤粉末が凝集し、保存安定性が悪化し、5.0質量部を超えると難燃性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0022】
次に第1発明の難燃剤組成物の(D)成分について説明する。
第1発明の難燃剤組成物の(D)成分は、下記一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸エーテルエステル化合物である。
【化3】
(一般式(1)中、nは2〜6の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、R
1は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
【0023】
上記一般式(1)において、炭素原子数1〜6のアルキル基としては、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル基等が挙げられる。R
1は、難燃性と、特にハンドリング性と保存安定性の点から、ブチル基が好ましい。
上記一般式(1)において、難燃性と、特にハンドリング性と保存安定性の点から、nは4が好ましい。また上記一般式(1)において、難燃性と、特にハンドリング性と保存安定性の点から、mは2が好ましい。
【0024】
第1発明の上記一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸エーテルエステル化合物としては、例えば、下記の化合物No.1〜No.22等の化合物が挙げられる。
【0030】
上記一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸エーテルエステル化合物は、従来公知の方法で製造できる。
その製造方法の例を挙げると、炭素原子数4〜8の脂肪族ジカルボン酸と、アルキル基の炭素原子数1〜6の、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル又はエチレングリコールモノアルキルエーテル又はトリエチレングリコールモノアルキルエーテルとを、エステル化反応すればよい。エステル化反応には、通常使用される触媒を使用してもよい。
【0031】
製造に使用される炭素原子数4〜8の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸が挙げられる。これら脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよい。
【0032】
製造に使用される、アルキル基の炭素原子数1〜6のジエチレングリコールモノアルキルエーテルの例を挙げると、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数1〜6のエチレングリコールモノアルキルエーテルの例を挙げると、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数1〜6のトリエチレングリコールモノアルキルエーテルの例を挙げると、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル等が挙げられる。
例えば、上記化合物No.1を製造する場合は、1molのアジピン酸と2molのジエチレングリコールモノブチルエーテルをエステル化反応させることで得ることができる。
【0033】
第1発明の難燃剤組成物中の(D)成分の脂肪族ジカルボン酸エーテルエステル化合物の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜1.0質量部であり、難燃性、ハンドリング性、保存安定性の点から、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部、さらにより好ましくは0.1〜0.3質量部である。0.01質量部未満だと、粉立ちを抑えられずハンドリング性が悪化し、1.0質量部を超えると、保存安定性と難燃性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0034】
第1発明の難燃剤組成物は、さらに(G)成分として、難燃助剤である酸化亜鉛を含有することが好ましい。該酸化亜鉛は表面処理されていてもよい。酸化亜鉛は市販品を使用することができ、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属鉱業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0035】
第1発明の難燃剤組成物中の(G)成分の酸化亜鉛の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、難燃性の点から、0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部、さらにより好ましくは1.0〜7.5質量部である。
【0036】
また第1発明の難燃剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ドリップ防止剤を配合してもよい。ドリップ防止剤としては、フッ素系ドリップ防止剤や層状ケイ酸塩、シリコンゴム類等が挙げられる。
【0037】
上記フッ素系ドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0038】
上記層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
【0039】
上記ドリップ防止剤の中でも、特にフッ素系ドリップ防止剤が好ましく、中でも、ドリップ防止性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが最も好ましい。
【0040】
ドリップ防止剤を含有させる場合のドリップ防止剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.005〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜3質量部、最も好ましくは0.1〜1質量部である。0.005質量部未満だとドリップ防止効果が十分ではなく、5質量部を超えると樹脂の特性を低下させる場合がある。
【0041】
第1発明の難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、耐水性等を改善するために必要に応じて、シリコーンオイルを配合してもよく、シリコーンオイルの例としては、ポリシロキサンの側鎖、末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル等や、これらのコポリマーが挙げられ、またこれらの側鎖及び/又は末端の一部に有機基を導入した、アミン変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メルカプト変性、ポリエーテル変性、長鎖アルキル変性、フロロアルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、シラノール変性、ジオール変性、フェノール変性及び/又はアラルキル変性した変性シリコーンオイルを使用してもよい。
【0042】
上記シリコーンオイルの市販品の具体例をあげると、ジメチルシリコーンオイルとして、KF−96(信越化学(株)製)、KF−965(信越化学(株)製)、KF−968(信越化学(株)製)等が挙げられ、メチルハイドロジェンシリコーンオイル又はメチルハイドロジェンポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルとして、KF−99(信越化学(株)製)、KF−9901(信越化学(株))、HMS−151(Gelest社製)、HMS−071(Gelest社製)、HMS−301(Gelest社製)、DMS−H21(Gelest社製)等が挙げられ、メチルフェニルシリコーンオイルの例としては、KF−50(信越化学(株)製)、KF−53(信越化学(株)製)、KF−54(信越化学(株)製)、KF−56(信越化学(株)製)等が挙げられ、エポキシ変性品としては、例えば、X−22−343(信越化学(株)製)、X−22−2000(信越化学(株)製)、KF−101(信越化学(株)製)、KF−102(信越化学(株)製)、KF−1001(信越化学(株)製)、カルボキシル変性品としては、例えば、X−22−3701E(信越化学(株)製)、カルビノール変性品としては、例えば、X−22−4039(信越化学(株)製)、X−22−4015(信越化学(株)製)、アミン変性品としては、例えば、KF−393(信越化学(株)製)等が挙げられる。
【0043】
上記シリコーンオイルを含有させる場合の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜5.0質量部であり、より好ましくは0.05〜3.0質量部であり、更に好ましくは0.1〜2.0質量部である。
【0044】
また、第1発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて難燃性助剤として、多価アルコール化合物を配合してもよい。多価アルコール化合物は、複数のヒドロキシル基が結合している化合物であり、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール 、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、キシロース、スクロース(シュクロース)、トレハロース、イノシトール、フルクトース、マルトース、ラクトース等である。これら多価アルコール化合物のうち、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール等の、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの縮合物の群から選ばれる一種以上が好ましく、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの縮合物が特に好ましく、ジペンタエリスリトールが最も好ましい。また、THEIC及びソルビトールも好適に使用できる。
【0045】
上記多価アルコール化合物を含有させる場合の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部であり、より好ましくは2〜12質量部であり、更に好ましくは5〜10質量部である。
【0046】
また、第1発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて滑剤を配合してもよい。このような滑剤としては、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。滑剤は2種以上でもよい。
【0047】
上記の滑剤を含有させる場合の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜5質量である。
【0048】
第1発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、ハロゲンを含有しない、有機又は無機系の難燃剤又は難燃助剤の一種以上を使用することができる。それら難燃剤・難燃助剤としては、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、ジアルキルホスフィン酸塩、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、ホウ酸化合物、膨張性黒鉛、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃剤等が挙げられる。
【0049】
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0050】
上記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(協和化学工業(株)製水酸化マグネシウムの商標)等が挙げられる。
【0051】
上記リン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0052】
上記縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
上記無機リン系難燃剤としては、赤リンが挙げられる。
上記ジアルキルホスフィン酸塩としては、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
【0053】
上記その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の無機化合物、及びその表面処理品が挙げられる。その具体例としては、例えば、TIPAQUE R−680(石原産業(株)製酸化チタンの商標)、キョーワマグ150(協和化学工業(株)製酸化マグネシウムの商標)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(協和化学工業(株)製亜鉛変性ハイドロタルサイトの商標)、等の種々の市販品を用いることができる。
【0054】
第1発明の難燃剤組成物は、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、老化防止剤等を配合してもよい。これらの成分は本発明の難燃剤組成物にあらかじめ配合してもよいし、合成樹脂に配合するときに合成樹脂に配合してもよい。これらを配合することにより合成樹脂を安定化することが好ましい。
【0055】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0056】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0057】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0058】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0059】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0060】
上記の老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系等が挙げられる。これらの老化防止剤の使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0061】
第1発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として強化材を配合してもよい。これらの成分は第1発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。この強化材としては、通常合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていても良い。
【0062】
第1発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更に結晶核剤を配合してもよい。該結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを適宜用いることができ、第1発明においては無機系結晶核剤及び有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。これらの成分は第1発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。
【0063】
上記無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム及びフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0064】
上記有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0065】
また第1発明の難燃性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更にアクリル系加工助剤を配合してもよい。アクリル系加工助剤は、(メタ)アクリル酸エステルの1種を重合又は2種以上を共重合させたものが使用できる。これらの成分は本発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。重合又は共重合する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。また、上記以外にも、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基を含有した(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。
【0066】
第1発明の難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、可塑剤を配合してもよい。該可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを適宜用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等を挙げることができる。これらの成分は第1発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。
【0067】
その他、第1発明の難燃剤組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、金属石鹸、充
填剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、アクリル系加工助剤以外の加工助剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。これらの成分は第1発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。
【0068】
第1発明の難燃剤組成物は、(A)〜(D)成分、必要に応じて(G)成分、さらに必要に応じて他の任意成分を混合すればよく、混合には各種混合機を用いることができる。混合時には加熱してもよい。使用できる混合機の例を挙げると、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機、W型混合機、スーパーミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。
次に、第2発明について説明する。尚、第2発明において特に説明しない点については、第1発明における説明が適宜適用される。
【0069】
第2発明の難燃剤組成物の(A)成分は、第1発明の難燃剤組成物で(A)成分として用いられるメラミン塩と同様であり、第1発明の難燃剤組成物の(A)成分における説明がそのまま適用される。
また、本発明の難燃剤組成物の(B)成分は、第1発明の難燃剤組成物で(B)成分として用いられるピペラジン塩と同様であり、第1発明の難燃剤組成物の(B)成分における説明がそのまま適用される。
【0070】
第2発明の難燃剤組成物中の(A)成分と(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計を100質量部として、(A)成分が20〜50質量部、(B)成分が50〜80質量部であり、好ましくは(A)成分が30〜45質量部、(B)成分が55〜70質量部である。
【0071】
次に第2発明の難燃剤組成物の(E)成分について説明する。
第2発明の難燃剤組成物の(E)成分は、下記一般式(2)で表される脂肪族カルボン酸エステル化合物である。
【化9】
(一般式(2)中、oは10〜20の整数を表し、R
2は炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。)
【0072】
上記一般式(2)において、R
2で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、1−エチルペンチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二オクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。R
2としては、難燃性と、特にハンドリング性と保存安定性の点から、炭素原子数2〜6のアルキル基が好ましく、ブチル基がより好ましい。
上記一般式(2)において、難燃性と、特にハンドリング性と保存安定性の点から、oは14〜20が好ましく、16がより好ましい。
【0073】
第2発明の上記一般式(2)で表される脂肪族カルボン酸エステル化合物としては、例えば、下記の化合物No.23〜No.44等の化合物が挙げられる。
【0079】
本発明の上記一般式(2)で表される脂肪族カルボン酸エステル化合物は、従来公知の方法で製造できる。
その製造方法の例を挙げると、炭素原子数12〜22の脂肪族カルボン酸と、炭素原子数1〜8の脂肪族アルコールとを、エステル化反応すればよい。エステル化反応には、通常使用される触媒を使用してもよい。
【0080】
製造に使用される炭素原子数12〜22脂肪族カルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられ、肪族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよい。
【0081】
製造に使用される炭素原子数1〜8の脂肪族アルコールの例を挙げると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
【0082】
例えば、前記化合物No.23を製造する場合は、ステアリン酸と等モルのn−ブタノールをエステル化反応させることで得ることができる。
【0083】
第2発明の難燃剤組成物中の(E)成分の脂肪族カルボン酸エステル化合物の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜1.0質量部であり、難燃性、ハンドリング性、保存安定性の点から、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部、さらにより好ましくは0.1〜0.3質量部である。0.01質量部未満だと、粉立ちを抑えられずハンドリング性が悪化し、1.0質量部を超えると、保存安定性と難燃性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0084】
第2発明の難燃剤組成物には、難燃剤粉末が凝集することを防止し、保存安定性の向上と、合成樹脂への分散性向上の点から、さらに(F)成分として、シリコーンオイルを含有することが好ましい。
【0085】
上記のシリコーンオイルの例としては、第1発明において耐水性等を改善するために必要に応じて添加されるシリコンオイルと同様のシリコンオイルが挙げれられる。
【0086】
上記のシリコーンオイルの中でも、難燃剤粉末が凝集することを防止し、保存安定性の向上と、合成樹脂への分散性向上の点から、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが好ましい。
【0087】
第2発明の難燃剤組成物中の(F)成分のシリコーンオイルの含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、難燃性と、難燃剤粉末が凝集することを防止し、保存安定性の向上と、合成樹脂への分散性向上の点から、0.01〜5.0質量部が好ましく、0.05〜3.0質量部がより好ましく、0.1〜2.0質量部がさらにより好ましい。
【0088】
第2発明の難燃剤組成物には、第1発明の難燃剤組成物と同様に、(G)成分として、難燃助剤である酸化亜鉛を含有することが好ましい。(G)成分は、第1発明の難燃剤組成物の(G)成分と同様であり、第1発明の難燃剤組成物の(G)成分における説明がそのまま適用される。
第2発明の難燃剤組成物中の(G)成分の酸化亜鉛の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、難燃性の点から、0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部、さらにより好ましくは1.0〜7.5質量部である。
【0089】
また第2発明の難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、第1発明の難燃剤組成物と同様のドリップ防止剤を配合してもよく、第1発明の難燃剤組成物と同様のドリップ防止剤を好ましく用いることができる。
上記ドリップ防止剤を含有させる場合のドリップ防止剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.005〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。0.005質量部未満だとドリップ防止効果が十分ではなく、5質量部を超えると樹脂の特性を低下させる場合がある。
【0090】
また、第2発明の難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて難燃性助剤として、第1発明の難燃剤組成物と同様の多価アルコール化合物を配合してもよく、第1発明の難燃剤組成物と同様の多価アルコール化合物を好ましく用いることができる。
上記の多価アルコール化合物を含有させる場合の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部であり、より好ましくは2〜12質量部であり、更に好ましくは5〜10質量部である。
【0091】
また、第2発明の難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて第1発明の難燃剤組成物と同様の滑剤を配合してもよい。
上記の滑剤を含有させる場合の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜5質量
部である。
【0092】
第2発明の難燃剤組成物は、耐熱性、加工機の腐食リスク低減、耐候性の点から、さらにハイドロタルサイト化合物を含有してもよい。本発明において、ハイドロタルサイト化合物とは、マグネシウム及び/又は亜鉛とアルミニウムとの炭酸複塩化合物をいう。ハイドロタルサイト系化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特開昭61−174270号公報等に記載の公知の方法を例示することができる。また、本発明においては、ハイドロタルサイト系化合物の結晶構造、結晶粒子系或いは結晶水の有無及びその量等に制限されることなく使用することできる。
【0093】
また上記ハイドロタルサイト化合物は、過塩素酸処理することもでき、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆したものも使用できる。
【0094】
上記のハイドロタルサイト化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。Mg
x1Zn
x2Al
2(OH)
2(x1+x2)+4・CO
3・mH
2O (3)
(式中、x1及びx2は各々下記式で表される条件を満たす数を示し、mは実数を示す。0≦x2/x1<10、2≦x1+x2<20)
【0095】
上記のハイドロタルサイト系化合物としては市販品を使用することができ、例えば、DHT−4(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、マグセラ−1(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー1(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー2(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(アルカマイザーP−93)(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー7(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー5(過塩素酸処理ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等があげられ、特にDHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)が好ましい。
【0096】
第2発明の難燃剤組成物中のハイドロタルサイト化合物の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部であり、耐熱性、加工機の腐食リスク低減、耐候性の点から、より好ましくは0.05〜4質量部であり、さらにより好ましくは0.1〜2質量部である。
【0097】
また、第2発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、難燃剤粉末の凝集を防止し、保存安定性の向上のためや、耐水性、耐熱性を付与するために、第1発明の難燃剤組成物の(C)成分と同様のシランカップリング剤を配合してもよく、中でも、難燃剤粉末の凝集を防止し、保存安定性の向上や、耐水性、耐熱性の点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。上記のシランカップリング剤としては、第1発明の難燃剤組成物の(C)成分と同様の市販品が使用できる。
【0098】
第2発明の難燃剤組成物中にシランカップリング剤を配合する場合の、その含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜5.0質量部であり、より好ましくは0.05〜3.0質量部、さらにより好ましくは0.1〜2.0質量部である。
【0099】
第2発明の難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、ハロゲンを含有しない、有機又は無機系の難燃剤又は難燃助剤の一種以上を使用することができる。それら難燃剤・難燃助剤としては、第1発明の難燃剤組成物と同様のトリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、ジアルキルホスフィン酸塩、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、ホウ酸化合物、膨張性黒鉛、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃剤等を使用することができる。
【0100】
第2発明の難燃剤組成物には、必要に応じて、第1発明の難燃剤組成物と同様のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、老化防止剤等を配合してもよい。これらの成分は第2発明の難燃剤組成物にあらかじめ配合してもよいし、合成樹脂に配合するときに合成樹脂に配合してもよい。これらを配合することにより合成樹脂を安定化することが好ましい。
【0101】
上記フェノール系酸化防止剤を使用する場合、その使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
上記リン系酸化防止剤を使用する場合、その使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
上記チオエーテル系酸化防止剤を使用する場合、その使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
上記紫外線吸収剤を使用する場合、その使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤を使用する場合、その使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
上記老化防止剤を使用する場合、その使用量は、合成樹脂に配合したときに、合成樹脂組成物中、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
【0102】
第2発明の難燃剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として第1発明の難燃剤組成物と同様の強化材、結晶核剤、可塑剤を使用してもよい。これらの成分は第2発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。
【0103】
その他、第2発明には、第1発明の難燃剤組成物と同様、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、金属石鹸、充
填剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、アクリル系加工助剤以外の加工助剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。これらの成分は本発明の難燃剤組成物を合成樹脂に配合するときに、合成樹脂に配合してもよい。
【0104】
第2発明の難燃剤組成物を得るためには、必須成分の(A)、(B)及び(E)成分、必要に応じて(F)成分及び/又は(G)成分、さらに必要に応じて他の任意成分を混合すればよく、混合には各種混合機を用いることができる。混合時には加熱してもよい。使用できる混合機の例を挙げると、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機、W型混合機、スーパーミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。
【0105】
以上説明した第1発明及び第2発明の難燃剤組成物は、合成樹脂の難燃化に効果があり、合成樹脂に配合し、難燃性合成樹脂組成物(第3発明の難燃性合成樹脂組成物ともいう)として好ましく用いられる。
次に、第3発明及び第4発明について説明する。尚、第3発明及び第4発明において特に説明しない点については、第1発明又は第2発明における説明が適宜適用される。
【0106】
第3発明は、難燃性合成樹脂組成物に係るものであり、合成樹脂及び上述した第1発明又は第2発明の難燃剤組成物により難燃化された合成樹脂組成物である。また第4発明の成形体は、第3発明の難燃性合成樹脂組成物を成形して得られる成形体である。尚、第3発明における難燃性は、第1発明又は第2発明と同義である。
【0107】
第3発明の難燃性合成樹脂組成物において、第1発明又は第2発明の難燃剤組成物により、難燃化される合成樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴムポリエーテルスルホン、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0108】
さらに難燃化させる合成樹脂の具体例を挙げると、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ニトリル系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0109】
これら合成樹脂は、1種でも2種以上を使用してもよい。また合成樹脂はアロイ化されていてもよい。
第3発明で使用する合成樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず、使用することができる。これら合成樹脂の中でも、優れた難燃性を付与できる点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0110】
上記のポリオレフィン系樹脂の例を挙げると、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、ハイインパクトコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0111】
第3発明の難燃性合成樹脂組成物は、合成樹脂の含有量が、40質量%以上90質量%未満であることが好ましく、50質量%以上80質量%未満であることが好ましく、55質量%以上75質量%未満であることが好ましい。第1発明又は第2発明の難燃剤組成物の含有量は、難燃性の点から、10質量%以上60質量%未満であることが好ましく、20質量%以上50質量%未満であることがより好ましく、25質量%以上45質量%未満であることがさらにより好ましい。合成樹脂の含有量が90質量%以上であるか第1発明又は第2発明の難燃剤組成物の含有量が10質量%未満であると十分な難燃性が発揮できない場合があり、合成樹脂の含有量が40質量未満であるか、第1発明又は第2発明の難燃剤組成物の含有量が60質量%以上であると樹脂本来の物性を損なう場合がある。
【0112】
第3発明の難燃性合成樹脂組成物は、成形することにより、難燃性に優れた成形体(第4発明の成形体)を得ることができる。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、異形品等の種々の形状の成形体が製造できる。
【0113】
第3発明の難燃性合成樹脂組成物は、電気自動車、機械、電気・電子機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材等に使用でき、UL−94V規格、好ましくはUL94 5VAの規格が必要とされる用途に用いられる。
【0114】
第3発明の難燃性合成樹脂組成物及びこれを成形して得られる第4発明の成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用することができる。より具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材の用途に用いられる。
【0115】
更に、第3発明の難燃性合成樹脂組成物及びこれを成形して得られる第4発明の難燃性合成樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組及び繰形、窓及びドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の、自動車、ハイブリッドカー、電気自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅及び建築用材料や、土木材料、衣料、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品、等の各種用途に使用される。
【実施例】
【0116】
以下、実施例により本発明を詳細に示す。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。なお、表1
、2、5及び6の配合は、すべて質量部基準である。
【0117】
以下の実施例及び比較例のうち、実施例1〜9及び比較例1〜7は、第1発明の難燃剤組成物の実施例及びその比較例であり、実施例10〜20及び比較例8〜17は、第1発明の難燃剤組成物を用いた第3発明の難燃性合成樹脂組成物の実施例及びその比較例である。
また実施例21〜29及び比較例18〜26は、第2発明の難燃剤組成物の実施例及びその比較例であり、実施例30〜40及び比較例27〜36は、第2発明の難燃剤組成物を用いた第3発明の難燃性合成樹脂組成物の実施例及びその比較例である。
【0118】
表1記載の配合で、ヘンシェルミキサーを用いて各成分を回転数1500rp
mで、20分間混合し、実施例1〜9の難燃剤組成物粉末を調製した。(D)成分の上記一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸エーテルエステル化合物は、下記構造の化合物No.1を使用した。
【化15】
【0119】
同様にして表2記載の配合で、比較例1〜7の難燃剤組成物粉末を調製した。比較例では、実施例の(C)成分のシランカップリング剤と比較するためにシリコーンオイルを使用した比較例と、実施例の(D)成分の化合物No.1と比較するためにグリセリンモノステアレートを使用した比較例を実施した。
【0120】
上記で得られた難燃剤組成物粉末の、粉立ちによるハンドリング性を評価するために、下記粉塵性試験方法により粉立ちの評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
また、上記で得られた難燃剤組成物の保存安定性を評価するために、下記保存安定性試験により、ケーキングの発生を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0121】
<粉塵性試験方法>
粉塵性は、株式会社セイシン企業の粉体物性測定器、商品名マルチテスターMT−1001を用いて測定した。先ず、上記で得られた難燃性組成物粉末10gを測定器の円筒上部より、60cm下にある直径10cmの受け皿に自然落下させた。落下後、受け皿上の難燃剤組成物粉末の重量を測定し、10gからその重量を差し引いて、受け皿の外に飛散した難燃剤組成物粉末の重量を算出した。
飛散した粉末の重量が少ないほど、粉立ちが少なく、ハンドリング性に優れるといえる。測定は3回行い、その平均値を表1及び表2に記載した。
【0122】
<保存安定性試験方法>
先ず、上記で得られた難燃剤組成物粉末の粒度分布を、マイクロトラック粒度分布計(日機装(株)製MT−3000II)により測定した。次に、縦13cm、横6cmのアルミ袋に、難燃剤組成物粉末30gを入れ、アルミ袋上から58g/cm
2の圧力を加えた状態で50℃のオーブン中に30日間静置し保存安定性試験を行った。30日後、アルミ袋中の難燃剤組成物粉末を取り出し、マイクロトラック粒度分布計により、粒度分布を測定した。
試験前後における、積算値50%の粒径(D
50)と、さらに粒径の増減値を、表1及び表2に記載した。粒径の増加した値が大きいほど、粒子同士がくっついてケーキングしていることを示す。粒径の変化が少ないほど保存安定性に優れるといえる。
【0123】
〔実施例10〜20及び比較例8〜17〕
ポリプロピレン(メルトフローレート=8g/10min)60質量部に、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.1質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部、グリセリンモノステアレート(滑剤)0.3質量部を配合して得られたポリプロピレン樹脂組成物に対して、実施例1〜9で得られた難燃性組成物を表3記載の配合割合(質量%)で添加して実施例10〜20の難燃性合成樹脂組成物を得た。ちなみに難燃剤組成物は、実施例1で得られた難燃剤組成物を難燃剤組成物−1、実施例2で得られた難燃剤組成物を難燃剤組成物−2とし、以下同様にして、実施例9で得られた難燃剤組成物−9までを用いた。
【0124】
また比較例1で得られた難燃剤組成物を比較難燃剤組成物−1、比較例2で得られた難燃性組成物を比較難燃剤組成物−2とし、以下同様に比較難燃剤組成物−7までを用いて、表4記載の配合割合(質量%)で、比較例8〜17の難燃性合成樹脂組成物を得た。
【0125】
得られた難燃性合成樹脂組成物を200〜230℃で押し出してペレットを製造し、これを使用して200℃で射出成型し、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を得た。この試験片を用いて難燃性試験として、下記試験方法で、UL−94V試験を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0126】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるに従って難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとする。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
〔実施例21〜29及び比較例18〜26〕
表5記載の配合で、ヘンシェルミキサーを用いて各成分を、回転数1500rpmで、 20分間混合し、実施例21〜29の難燃剤組成物粉末を調製した。(E)成分の上記一般式(2)で表される脂肪族カルボン酸エステル化合物は、下記構造の化合物No.23を使用した。
【化16】
【0132】
同様にして表6記載の配合で、比較例18〜26の難燃剤組成物粉末を調製した。これらの比較例では、実施例の(E)成分の脂肪族カルボン酸エステル化合物と比較するためにグリセリンモノステアレートを使用した比較例も行った。
【0133】
上記で得られた難燃剤組成物粉末の、粉立ちによるハンドリング性を評価するために、下記粉塵性試験方法により粉立ちの評価を行った。結果を表5及び表6に示す。
また、上記で得られた難燃剤組成物の保存安定性を評価するために、下記保存安定性試験により、ケーキングの発生を評価した。結果を表5及び表6に示す。
【0134】
<粉塵性試験方法>
粉塵性は、株式会社セイシン企業の粉体物性測定器、商品名マルチテスターMT−1001を用いて測定した。先ず、上記で得られた難燃性組成物粉末10gを測定器の円筒上部より、60cm下にある直径10cmの受け皿に自然落下させた。落下後、受け皿上の難燃剤組成物粉末の重量を測定し、10gからその重量を差し引いて、受け皿の外に飛散した難燃剤組成物粉末の重量を算出した。
飛散した粉末の重量が少ないほど、粉立ちが少なく、ハンドリング性に優れるといえる。測定は3回行い、その平均値を表5及び表6に記載した。
【0135】
<保存安定性試験方法>
先ず、上記で得られた難燃剤組成物粉末の粒度分布を、マイクロトラック粒度分布計(日機装(株)製MT−3000II)により測定した。次に、縦13cm、横6cmのアルミ袋に、難燃剤組成物粉末30gを入れ、アルミ袋上から58g/cm
2の圧力を加えた状態で50℃のオーブン中に30日間静置し保存安定性試験を行った。30日後、アルミ袋中の難燃剤組成物粉末を取り出し、マイクロトラック粒度分布計により、粒度分布を測定した。
試験前後における、積算値50%の粒径(D
50)と、さらに粒径の増減値を、表
5及び表
6に記載した。粒径の増加した値が大きいほど、粒子同士がくっついてケーキングしていることを示す。粒径の変化が少ないほど保存安定性に優れるといえる。
【0136】
〔実施例30〜40及び比較例27〜36〕
ポリプロピレン(メルトフローレート=8g/10min)60質量部に、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.1質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部、グリセリンモノステアレート(滑剤)0.3質量部を配合して得られたポリプロピレン樹脂組成物に対して、実施例21〜29で得られた難燃性組成物を表7記載の配合割合(質量%)で添加して実施例30〜40の難燃性合成樹脂組成物を得た。ちなみに難燃剤組成物は、実施例21で得られた難燃剤組成物を難燃剤組成物−10、実施例22で得られた難燃剤組成物を難燃剤組成物−11とし、以下同様にして、実施例29で得られた難燃剤組成物を難燃剤組成物−18として用いた。
【0137】
また比較例18で得られた難燃剤組成物を比較難燃剤組成物−8、比較例19で得られた難燃性組成物を比較難燃剤組成物−9とし、以下同様にして、比較難燃剤組成物−16までを用いて、表8記載の配合割合(質量%)で、比較例27〜36の難燃性合成樹脂組成物を得た。
【0138】
得られた難燃性合成樹脂組成物を200〜230℃で押し出してペレットを製造し、これを使用して200℃で射出成型し、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を得た。この試験片を用いて難燃性試験として、下記試験方法で、UL−94V試験を行った。結果を表7及び8に示す。
【0139】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるに従って難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとする。
【0140】
【表5】
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
【表8】