(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物を支持体(2)上に塗布及び乾燥して得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置製造用部材の製造に用いられる、熱硬化性樹脂フィルム。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化に伴って、半導体装置の小型化及び薄型化が進んでいる。近年、半導体装置の軽薄短小化は留まるところを知らず、半導体素子とほぼ同じ大きさのチップサイズパッケージや、半導体装置の上に半導体装置を積むパッケージ・オン・パッケージといった実装形態も盛んに行われており、今後、ますます半導体装置の小型化及び薄型化が進むと予想される。
このチップサイズパッケージの一形態として、ウェハレベルでパッケージ作製された、ウェハレベルチップサイズパッケージが、極めて小型の半導体装置を実現する技術として注目されている。
【0003】
ところで、ウェハレベルチップサイズパッケージ等のウェハレベル半導体装置は、ウェハ上に再配線層を形成し、はんだボール等の外部接続用端子を設けた後、ダイシングによって個片化することで得られる(例えば特許文献1〜3参照)。端子数が数10ピンから100ピン程度の場合は、ウェハ上にはんだボール等の外部接続用端子を設けることが可能である。
【0004】
しかしながら、半導体素子の微細化が進展し、端子数が100ピン以上に増加してくると、ウェハ上のみに再配線層を形成し、外部接続用端子を設けることが難しくなる。無理に外部接続用端子を設けた場合、端子間のピッチが狭くなると共に、端子の高さが低くなり、半導体装置を実装した後の接続信頼性の確保が難しくなる。このため、半導体素子の微細化、すなわち外部接続用端子数の増加への対応が求められている。
このような背景から、近年、ウェハを所定サイズに個片化した後、再配置することで、半導体素子の外側にも外部接続用端子を設けることができる半導体装置の開発が進められている(例えば特許文献4参照)。
【0005】
特許文献4に記載されている半導体装置は、ウェハを所定サイズに個片化した後、再配置するため、ウェハ上に再配線するよりも再配線領域を広く確保することができ、半導体素子の多ピン化に対応することが可能となる。
【0006】
図1〜3は、従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
図3(q)に示す半導体装置は、半導体素子の再配置、封止、再配線層の形成、配線の形成、外部接続用端子の形成、及び個片化等の工程を経て得られる。
【0007】
まず、支持体の片側の面に仮固定用フィルムを貼り合せ、支持体上に仮固定層を形成する(
図1(a)参照)。次いで、半導体素子を所定の間隔で能動面(回路が形成された面)が仮固定層に当接するように再配置する(
図1(b)参照)。
次いで、半導体素子を覆うように熱硬化性樹脂等の封止材で封止し、必要に応じて硬化処理を行う(
図1(c)参照)。次いで、ホットプレート等で加熱することにより、支持体及び仮固定層を剥離し、半導体素子の能動面を露出させる(
図1(d)及び(e)参照)。
次いで、半導体素子の能動面上に、スピンコート等により感光性樹脂組成物層を形成する(
図2(f)参照)。次に、形成された感光性樹脂組成物層の所定の箇所を露光及び現像処理し、オーブン等で後硬化する(
図2(g)参照)。
次いで、スパッタ等によりシード層を形成する(
図2(h)参照)。上記シード層上にラミネート等により回路形成用レジストを形成し、所定の箇所を露光及び現像処理する(
図2(j)参照)。次いで、電気めっき法により配線パターンを形成する(
図2(k)参照)。次いで、剥離液により回路形成用レジストを除去する(
図3(m)参照)。次いで、上記シード層をエッチングにより除去する(
図3(n)参照)。次いで、再度、スピンコート等により感光性樹脂組成物層を形成し、所定の箇所を露光及び現像処理した後、オーブン等で後硬化する(
図3(p)参照)。次いで、はんだボールをリフロー搭載する。最後に、ダイシング個片化することで、半導体装置を作製することができる(
図3(q)参照)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[半導体装置製造用部材]
本発明の半導体装置製造用部材は、少なくとも仮固定層と、熱硬化性樹脂組成物層(a)とを有する、半導体素子の再配置に用いられる半導体装置製造用部材である。
本発明の半導体装置製造用部材の一態様としては、
図4(b)に示される半導体装置製造用部材が挙げられる。該部材は、支持体(1)1と、仮固定層2と、熱硬化性樹脂組成物層(a)3とをこの順に有する積層構造を有する。
以下、本発明の半導体装置製造用部材の代表的な使用方法について、
図4〜7を用いて説明する。
【0015】
図4(b)に示す半導体装置製造用部材の熱硬化性樹脂組成物層(a)3上に、
図4(c)に示すように半導体素子4を所定の間隔で、能動面が熱硬化性樹脂組成物層(a)3と当接するように貼着することで、半導体素子4を再配置する。
次いで、
図4(d)に示すように、封止材により、再配置した半導体素子4の受動面を封止して絶縁層(B)6を形成する。次に、熱硬化性樹脂組成物層(a)の硬化処理を行い、熱硬化性樹脂組成物層(a)を硬化してなる絶縁層(A)5を形成する。更に、硬化処理後の積層体から、支持体(1)1及び仮固定層2を剥離する(
図5(e)及び(f)参照)。
次に、絶縁層(A)5を研削し、半導体素子4の能動面にまで到る開口部を形成した後(
図5(g)参照)、シード層7を形成し(
図5(h)参照)、シード層7の上に感光性樹脂組成物を用いてレジストパターン8を形成(
図5(j)参照)する。
その後、めっき法によって配線パターン9を形成し(
図6(k)参照)、レジストパターン8及びシード層7を除去((
図6(m)、
図6(n)参照)する。
更に、配線パターン9を覆うように、絶縁層(C)10を形成し(
図6(p)参照)、該絶縁層(C)10に開口部を形成する(
図7(q)参照)。開口部から露出した配線パターン9にめっき11を施し(
図7(r)参照)、外部接続用端子12を形成した後(
図7(s)参照)、ダイシング個片化することで、
図7(t)に示す半導体装置を得ることができる。
【0016】
このように、本発明の半導体装置製造用部材を用いて得られる半導体装置は、半導体装置の能動面、及び受動面に樹脂組成物層が形成されるため、半導体装置の厚み方向の構造対称性を高めることができる。これによって、得られる半導体装置の反りを抑制することができ、その後の製造工程において、半導体装置を効率よく形成できると考えられる。
【0017】
<熱硬化性樹脂組成物層(a)>
熱硬化性樹脂組成物層(a)は、熱硬化性樹脂組成物から構成される層であり、半導体素子を再配置するために用いられる層である。
熱硬化性樹脂組成物層(a)中の熱硬化性樹脂は、半導体素子の再配置を可能にする観点から、半硬化又は未硬化であることが好ましい。
なお、本明細書において、「半硬化」とは、JIS K 6800「接着剤・接着用語」に定義されているようなB−ステージ(熱硬化性樹脂組成物の硬化中間体、この状態での樹脂は加熱すると軟化し、ある種の溶剤に触れると膨潤するが、完全に溶融、溶解することはない)状態を意味し、「未硬化」とは、前記溶剤に実質的に熱硬化性樹脂の全部が溶解する状態を意味する。
【0018】
熱硬化性樹脂組成物層(a)の厚みT
1は、好ましくは2〜120μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。熱硬化性樹脂組成物層(a)の厚みを120μm以下とすることにより、研削処理により微細な開口径を設けることが可能になる。熱硬化性樹脂組成物層(a)の厚みを2μm以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物層(a)の厚みを制御し易く、半導体素子の能動面側の平滑性を向上させることができる。
【0019】
熱硬化性樹脂組成物層(a)は、特に限定されないが、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上を含む樹脂と、最大粒径が20μm以下、かつ平均粒径が5μm以下である無機フィラーとを含有する熱硬化性樹脂組成物を層形成してなることが好ましい。
以下、本発明の半導体装置製造用部材に好適に用いられる、本発明の熱硬化性樹脂組成物について説明する。
【0020】
(熱硬化性樹脂組成物)
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましい。半導体装置の低反り化、及び薄型化をより効果的に発現させる観点から、エポキシ樹脂を含有することがより好ましく、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを含有することが特に好ましい。また、必要に応じて、アクリル樹脂、酸変性エポキシアクリレート、酸含有ウレタン樹脂等のカルボン酸含有樹脂を含有していてもよい。
【0021】
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂としては、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ノボラックフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;及びそれらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
エポキシ樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販のエポキシ樹脂としては、例えば、DIC(株)製「エピクロンEXA−4700」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製「NC−7000」(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬(株)製「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC(株)製「エピクロンHP−7200H」(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬(株)製「NC−3000H」(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;DIC(株)製「エピクロンN660」、「エピクロンN690」、日本化薬(株)製「EOCN−104S」等のノボラック型エポキシ樹脂;日産化学工業(株)製「TEPIC」等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、DIC(株)製「エピクロン860」、「エピクロン900−IM」、「エピクロンEXA―4816」、「エピクロンEXA−4822」、新日鐵化学(株)製「エポトートYD−134」、三菱化学(株)製「JER834」、「JER872」、住友化学(株)製「ELA−134」等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC(株)製「エピクロンHP−4032」等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC(株)製「エピクロンN−740」等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールとサリチルアルデヒドの縮合物のエポキシ樹脂;日本化薬(株)製「EPPN−500シリーズ」などが挙げられる。
上記エポキシ樹脂の中でも、銅との密着性、及び絶縁性に優れる点からは、日本化薬(株)製「NC−3000H」(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましく、また、架橋密度が高く、高Tgが得られる点からは、日本化薬(株)製「EPPN−500シリーズ」が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(a)中のエポキシ樹脂の含有量は、無機フィラーを除く樹脂成分100質量部に対して、好ましくは30〜90質量部、より好ましくは40〜80質量部、さらに好ましくは50〜80質量部である。
【0023】
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂用硬化剤を併用することが好ましく、必要に応じて硬化促進剤を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂と組み合わせる硬化剤としては、従来公知のエポキシ樹脂用硬化剤を用いることができる。
エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、酸無水物、脂肪族アミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、グアニジン類等が挙げられる。具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エポキシ樹脂用硬化剤として、本発明の熱硬化性樹脂組成物に好適に用いられる、後述するシアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性ポリイミド樹脂を用いてもよく、半導体装置の低反り化、及び薄型化をより効果的に発現させる観点から、ポリアミドイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂をエポキシ樹脂用硬化剤として用いることが好ましい。
【0024】
熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂用硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用硬化剤の種類に応じて適宜決定すればよいが、半導体装置の低反り化、及び薄型化をより効果的に発現させる観点から、無機フィラーを除く樹脂成分100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。
【0025】
エポキシ樹脂と組み合わせる硬化促進剤としては、従来公知の硬化促進剤を用いることができる。具体的には、イミダゾール化合物又はそのエポキシアダクト若しくはマイクロカプセル化物、DBU(1,8−ジアザビシクロ(4.5.0)ウンデセン−7)又はその誘導体等の複素環式化合物;第3級アミン化合物;トリフェニルホスフィン等の有機フォスフィン化合物;テトラフェニルホスフォニウム塩、テトラフェニルボレート塩等のオニウム塩化合物などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
〔フェノール樹脂〕
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂であれば特に制限はないが、例えば、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF及び置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノールとアラルキル型フェノールとの共重合型フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、並びにこれらの2種以上を共重合して得られるフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール樹脂は、従来公知のフェノール樹脂用硬化剤と併用してもよく、エポキシ樹脂用硬化剤として用いてもよい。
【0027】
〔熱硬化性ポリイミド樹脂〕
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するビスマレイミド化合物を含有することが好ましい。具体的には、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。これらのマレイミド化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
上記マレイミド化合物の重合触媒としては、公知のビスマレイミド樹脂用の重合触媒を使用することができ、例えば、イミダゾール類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、三弗化ホウ素アミン錯体、オルガノフォスフィン類、オルガノホスホニウム塩等のイオン触媒;ヒドロペルオキシド等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物等のラジカル重合開始剤などが挙げられる。
重合触媒の添加量は、目的に応じて適宜決定すればよいが、マレイミド樹脂組成物の安定性の観点から、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜3.0質量部である。
【0029】
熱硬化性ポリイミド樹脂は、エポキシ樹脂用硬化剤としても好ましく用いられる。エポキシ樹脂用硬化剤として好適に用いられる熱硬化性ポリイミド樹脂としては、好ましくは上記マレイミド化合物とジアミン化合物との反応物、より好ましくは上記のマレイミド化合物とジアミン化合物と酸性置換基を有するアミン化合物との反応物である。
上記反応物の製造に用いられるジアミン化合物としては、例えば、芳香族アミン類であるm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール及びグアナミン化合物類であるベンゾグアナミン等が好ましく挙げられる。
また、上記反応物の製造に用いられる酸性置換基を有するアミン化合物としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が好ましく挙げられる。
【0030】
〔ポリアミドイミド樹脂〕
ポリアミドイミド樹脂は、分子骨格中にアミド結合とイミド結合とを有する樹脂であり、例えば、分子内にカルボキシル基及びカルボン酸無水物の両者を有する化合物とジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られるもの、及びイミド基を有するジカルボン酸化合物とジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
イミド基を有するジカルボン酸化合物は、例えば、ジアミン化合物と、無水トリメリット酸等のトリカルボン酸化合物とを反応させることにより得ることができる。イミド基を有するジカルボン酸化合物の製造に用いられるジアミン化合物としては、例えば、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタンが好ましく挙げられ、硬化物の物性を調整する観点から、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル等のフェノール性水酸基を有するジアミン化合物を用いてもよい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂としては、例えば、東洋紡績(株)製「バイロマックスHR11NN」、「バイロマックスHR12N2」、「バイロマックスHR16NN」等が商業的に入手可能である。
【0031】
〔シアネート樹脂〕
シアネート樹脂としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ビス(4−シアネートフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−シアネートフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−シアネートフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ジ(4−シアネートフェニル)エーテル、ジ(4−シアネートフェニル)チオエーテル、4,4−ジシアネート−ジフェニル等が挙げられる。これらのシアネート樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
〔無機フィラー〕
無機フィラーとしては、従来公知の無機フィラーを使用することができ、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウム、並びに、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、及び白金等の金属粉体などが挙げられる。これらの無機フィラーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる無機フィラーの最大粒径は、20μm以下であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
また、無機フィラーの平均粒径は、5μm以下であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは300nm以下、特に好ましくは100nm以下である。
無機フィラーの最大粒径及び平均粒径を、上記範囲内とすることにより、デスミア処理後の表面を平滑にすることができる。
無機フィラーの最大粒径、及び平均粒径は、小さいものほど好ましいが、生産性及び入手容易性の観点から、最大粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、平均粒径は、好ましくは2nm以上、より好ましくは10nm以上である。
なお、ここでいう無機フィラーの最大粒径及び平均粒径は動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA−EX150」(日機装(株)製)又はレーザ回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装(株)製)を用いて測定した値を意味する。
【0034】
熱硬化性樹脂組成物中の無機フィラーの含有量は、半導体装置の低反り化、及び薄型化をより効果的に発現させる観点から、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0〜90質量部、より好ましくは10〜70質量部、さらに好ましくは20〜40質量部である。
【0035】
無機フィラーとしてシリカを用いる場合、シランカップリング剤により表面処理したシリカを用いることが好ましい。
シランカップリング剤としては、一般的に入手可能なものを用いることができ、例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が使用可能である。
【0036】
(熱硬化性樹脂組成物の製造方法)
本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記樹脂成分、無機フィラー等を、公知の撹拌機、混合機等を用いて混合することにより製造することができる。
熱硬化性樹脂組成物は、後に塗工等を行う観点から、液状又は熱硬化性樹脂組成物溶液(以下、「樹脂ワニス」ともいう)として得ることが好ましい。
樹脂ワニスを得る方法としては、例えば、各成分を公知の撹拌機等により溶媒に溶解又は分散する方法、又は予め各成分を溶融混合することにより得られた熱硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解若しくは分散させる方法等が挙げられる。
溶媒としては、樹脂成分を溶解することができ、且つ無機フィラーを分散させることができる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0037】
<仮固定層>
本発明の半導体装置製造用部材は、仮固定層を有する。仮固定層は、熱硬化性樹脂組成物層(a)上に半導体素子が再配置された後に、剥離される層である。
仮固定層としては、一般的に半導体装置の製造に用いられる仮固定用フィルム等を用いることができる。
仮固定用フィルムとしては、例えば、紫外線照射を行うことによって、接着力が低下する紫外線剥離フィルム、特定の薬液によって溶解する固定フィルム、加熱処理によって接着力が低下する熱剥離フィルム等が挙げられ、作業性、安全性、及び環境保全の観点から、熱剥離フィルムが好ましい。
【0038】
<支持体(1)>
本発明の半導体装置製造用部材は、仮固定層の熱硬化性樹脂組成物層(a)が設けられた面とは反対側の面に支持体(1)を有していてもよい。
支持体(1)としては、特に限定されないが、熱による寸法変化が小さいSUS板、シリコンウェハ、ガラスクロスに樹脂を含浸させたガラスクロス入りコア基材等が好ましい。また、支持体(1)の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.4〜3.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mmである。0.4mm以上であると変形を抑制することができ、3.0mm以下であるとSUS板を用いた場合であっても質量が大きくなり過ぎずハンドリングが良好になる。
【0039】
<半導体装置製造用部材の製造方法>
本発明の半導体装置製造用部材の製造方法は、例えば、下記工程(i)又は(ii)により製造することができる。
(i)液状の熱硬化性樹脂組成物又は前記樹脂ワニスを、仮固定層上に塗布する方法。
(ii)本発明の熱硬化性樹脂組成物を支持体(2)上に塗布及び乾燥して得られる熱硬化性樹脂フィルムを仮固定層に貼着する方法。
【0040】
(工程(i))
工程(i)は、液状の熱硬化性樹脂組成物又は前記樹脂ワニスを、仮固定層上に塗布する方法である。
熱硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、公知のコーターによる塗布、印刷法による塗布等が挙げられる。コーターの方式は、特に限定されるものではなく、ダイ、コンマ、ディップ、スピン等が使用できる。
樹脂ワニスを塗布した後の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物を未硬化又は半硬化の状態を維持しつつ、溶媒を除去する観点から、乾燥温度としては、好ましくは50〜150℃、乾燥時間としては、好ましくは1〜30分である。乾燥機としては、ホットプレート、乾燥炉等を用いることができる。
【0041】
(工程(ii))
工程(ii)は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を支持体(2)上に塗布及び乾燥して得られる熱硬化性樹脂フィルムを仮固定層に貼着する方法である。
工程(ii)で好適に用いられる、本発明の熱硬化性樹脂フィルムについて説明する。
【0042】
〔熱硬化性樹脂フィルム〕
本発明の熱硬化性樹脂フィルムは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を支持体(2)上に塗布及び乾燥することにより製造することができる。
支持体(2)としては、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」ともいう)等の公知のフィルムを使用することができる。支持体(2)の厚みは、使用する材質等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは1〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
熱硬化性樹脂フィルムの厚みは、好ましくは2〜120μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0043】
熱硬化性樹脂フィルムは、支持体(2)上に、公知のコーター等を用いて前記液状の熱硬化性樹脂組成物又は樹脂ワニスを塗布し、次いで、乾燥機等により乾燥することにより製造することができる。
塗布の方法としては、前記工程(i)と同様の方法が挙げられる。
乾燥条件としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物を未硬化又は半硬化の状態を維持しつつ、溶媒を除去する観点から、乾燥温度としては、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間としては、好ましくは1〜60分、より好ましくは5〜20分である。
また、樹脂フィルムには、熱硬化性樹脂組成物層(a)への埃等の付着を抑制する観点から、ポリエチレンフィルム等の保護フィルムを貼着してもよい。
【0044】
このようにして得られた熱硬化性樹脂フィルムを、公知の真空ラミネーター、ロールラミネーター、プレス機等を用いて、仮固定層に貼着することにより、本発明の半導体装置製造用部材を製造することができる。
仮固定層への貼り合わせ工程におけるラミネーターの温度、時間、圧力は、仮固定層上に、熱硬化性樹脂組成物が均一に、かつ空気のかみこみ等が生じない条件を適宜選択すればよい。ラミネーターの温度は、半導体素子の埋め込み性を向上させる観点から、好ましくは40〜120℃、より好ましくは60〜100℃である。
ラミネーターの時間としては、同様の観点から、好ましくは1〜60秒、より好ましくは2〜20秒である。
ラミネーターの圧力としては、同様の観点から、好ましくは0.05〜1.0MPa、より好ましくは0.2〜0.6MPaである。
【0045】
[半導体装置の製造方法]
本発明の半導体装置の製造方法は、下記工程(I)〜(XI)を有する。
(I)本発明の半導体装置製造用部材の熱硬化性樹脂組成物層(a)上に、1つ以上の半導体素子を、半導体素子の能動面と熱硬化性樹脂組成物層(a)とが当接するように再配置する工程
(II)前記1つ以上の半導体素子の受動面を、封止用樹脂組成物で封止し、半導体素子の受動面を覆う絶縁層(B)を形成する工程
(III)熱硬化性樹脂組成物層(a)を硬化して、熱硬化性樹脂組成物層(a)を硬化してなる絶縁層(A)を形成する工程
(IV)前記半導体装置製造用部材の仮固定層を剥離する工程
(V)絶縁層(A)を研削し、半導体素子の能動面にまで至る開口部を形成する工程
(VI)絶縁層(A)上にシード層を形成する工程
(VII)前記シード層上に回路形成用レジストを形成し、露光処理及び現像処理を施して再配線用のレジストパターンを形成する工程
(VIII)電気めっき法により配線パターンを形成した後、剥離処理により前記レジストパターンを除去する工程
(IX)前記シード層を除去する工程
(X)前記配線パターン上に絶縁層(C)を形成した後、配線パターンにまで至る開口部を形成する工程
(XI)外部接続用端子を形成する工程
【0046】
本発明の半導体装置の製造方法により得られる半導体装置は、本発明の半導体装置製造用部材を用いるため、半導体装置の能動面、及び受動面に樹脂組成物層が形成される。これによって、半導体装置の厚み方向の構造対称性を高めることができ、得られる半導体装置の反りを抑制することができるため、半導体装置を効率よく形成できると考えられる。なお、本発明の半導体装置の製造方法は、小型化及び薄型化が進むウェハレベル半導体装置の形態において特に好適である。
【0047】
以下、図面を参照しながら本発明の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
ここでは、
図4(a)に示す態様から、
図7(t)に示す半導体装置を製造する方法について、工程ごとに説明する。
【0048】
<工程(I)>
工程(I)は、
図4(c)に示すように、本発明の半導体装置製造用部材の熱硬化性樹脂組成物層(a)3上に、1つ以上の半導体素子4を、半導体素子の能動面と熱硬化性樹脂組成物層(a)とが当接するように再配置する工程である。
【0049】
<工程(II)>
工程(II)は、
図4(d)に示すように、前記1つ以上の半導体素子4の受動面を封止用樹脂組成物で封止し、半導体素子4の受動面を覆う絶縁層(B)6を形成する工程である。
【0050】
封止用樹脂組成物に含まれる樹脂は、熱硬化性、熱可塑性、又は感光性のいずれでもよいが、耐熱性及びその他の信頼性の観点から、熱硬化性樹脂が好ましい。
なお、本明細書において、封止用樹脂組成物として、熱硬化性樹脂を用いる場合、硬化前の半導体素子4の受動面を封止する樹脂組成物層を「熱硬化性樹脂組成物層(b)」と称し、熱硬化性樹脂組成物層(b)を硬化してなる層を「絶縁層(B)」と称する。
封止用樹脂組成物に含まれる樹脂として熱硬化性又は感光性樹脂を用いる場合、封止後、熱硬化及び/又はポストUV硬化することが好ましい。
熱硬化条件は、使用する樹脂の種類に応じて適宜決定すればよいが、硬化反応を充分進行させる観点、及び生産性を向上させる観点から、硬化温度は、好ましくは80〜230℃、より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは140〜200℃であり、硬化時間は、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜120分、さらに好ましくは30〜80分である。
封止用樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂組成物としては、一般に半導体封止用途で用いられる熱硬化性樹脂を用いることができ、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。
封止用樹脂組成物の形態は、特に限定されず、液状、顆粒状、フィルム状のいずれであってもよい。また、封止用樹脂組成物を用いた封止方法は、市販のトランスファー封止成型機、コンプレッション封止成型機等を用いることができる。
【0051】
絶縁層(B)の厚みは、好ましくは25〜500μm、より好ましくは100〜300μm、さらに好ましくは200〜300μmである。絶縁層(B)の厚みを、500μm以下とすることにより、薄型の半導体装置に好適である。一方、絶縁層(B)の厚みを、25μm以上とすることにより、半導体素子4の厚みが過度に制限されることなく、半導体素子4を熱硬化性樹脂組成物層(a)に配置する際や、封止用樹脂組成物で封止する際に半導体素子4が割れることを抑制することができる。
【0052】
<工程(III)>
工程(III)は、熱硬化性樹脂組成物層(a)を硬化して、熱硬化性樹脂組成物層(a)を硬化してなる絶縁層(A)5を形成する工程である。
熱硬化条件は、使用する熱硬化性樹脂組成物の種類に応じて適宜決定すればよいが、硬化反応を充分進行させる観点、及び生産性を向上させる観点から、硬化温度は、好ましくは80〜230℃、より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは140〜200℃であり、硬化時間は、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜120分、さらに好ましくは30〜80分である。
なお、本工程は前記熱硬化性樹脂組成物層(b)を硬化する工程と同時に行ってもよい。
絶縁層(A)の厚みの好適な態様としては、本発明の半導体装置製造用部材の熱硬化性樹脂組成物層(a)の厚みと同様である。
【0053】
<工程(IV)>
工程(IV)は、
図5(f)に示すように、半導体装置製造用部材の仮固定層2を剥離する工程である。支持体(1)1を有している場合、仮固定層2の剥離前又は仮固定層2の剥離と同時に支持体(1)1を剥離してもよい(
図5(e)参照)。
剥離方法は特に限定されないが、仮固定層2として熱剥離シートを用いた場合は、例えば、所定温度に設定されたホットプレート上に載せて加熱する方法により、剥離することができる。加熱する温度は、用いる熱剥離シートに応じて適宜決定すればよい。
なお、工程(IV)は、前記工程(III)の前に行ってもよい。
【0054】
<工程(V)>
工程(V)は、
図5(g)に示すように、半導体素子4の能動面上の絶縁層(A)5を研削し、半導体素子4の能動面にまで至る開口部を形成する工程である。
研削後は、デスミア処理液、レジスト剥離液等のアルカリ処理液などにより処理することが好ましい。アルカリ処理液は、開口径に応じて、pHを調整することができる。
デスミア処理液は、例えば、過マンガン酸ナトリウム液、水酸化ナトリウム液、過マンガン酸カリウム液、クロム液、硫酸等の混合液を使用することができる。
デスミア処理は、熱湯、膨潤液等を用いて被処理基板を膨潤処理した後、過マンガン酸ナトリウム液等で残渣等を除去し、還元(中和)を行った後、水洗、湯洗、乾燥を行う。1回の処理を行っても充分な粗化及び残渣除去の効果が得られない場合は複数回処理を行ってもよい。なお、デスミア処理は上記のものに限定されない。
デスミア処理後に、再度、熱硬化性樹脂組成物の熱硬化を行ってもよい。再度の熱硬化の効果は、用いる熱硬化性樹脂によって異なるが、例えば、未反応物の減少、ガラス転移温度の向上、低熱膨張化等を図ることができる。
【0055】
<工程(VI)>
工程(VI)は、
図5(h)に示すように、絶縁層(A)5上にシード層7を形成する工程である。
シード層7は、銅の配線パターン8を電界めっき法によって形成する際の基層となる導電性薄膜であり、無電界銅めっき法、スパッタ法等により好適に形成することができる。スパッタ法による場合、銅を蒸着する前にTiを蒸着する等、形成層を種々選択することができる。
シード層7の厚みは、特に限定されないが、通常は0.1〜2.0μmである。
【0056】
<工程(VII)>
工程(VII)は、
図5(j)に示すように、シード層7上に回路形成用レジストを形成し、露光処理及び現像処理を施して再配線用のレジストパターン8を形成する工程である。
回路形成用レジストとしては、回路形成用のレジストとして用いられている公知のレジスト材料を用いることができ、液状、フィルム状のいずれであってよい。
回路形成用レジストは、レジスト材料が液状の場合は、印刷機を用いて塗布して形成することができ、レジスト材料がフィルム状の場合は、ロールラミネーター、真空ラミネーター等を用いて貼り付けて形成することができる。
露光処理は、形成された回路形成用レジストに対して、マスクパターンを通して活性光線を照射することにより、回路形成用レジストの所定部分を露光し、露光部の回路形成用レジストを光硬化させる処理である。該露光処理に次いで、露光部以外の回路形成用レジストを除去する現像処理を施すことにより、再配線用のレジストパターン8を形成することができる。
露光処理における活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを好適に使用できる。また、直接描画方式のダイレクトレーザ露光を用いてもよい。
露光量は使用する装置、及び回路形成用レジストの組成等によって異なるが、好ましくは10〜600mJ/cm
2、より好ましくは20〜400mJ/cm
2である。露光量が10mJ/cm
2以上であると光硬化の進行が充分となり安定してレジストパターンを形成することができ、600mJ/cm
2以下であると光硬化が過剰に進行することを抑制することができ、回路形成用レジストの開口形状を安定して得ることができる。
現像処理に用いる現像液としては、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられる。現像方法は、特に限定されず、前記現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング及びスクラッピング等の公知の方法により行うことができる。
【0057】
<工程(VIII)>
工程(VIII)は、
図6(k)に示すように、電気めっき法によりシード層7上に配線パターン9を形成し、剥離処理によりレジストパターン8を除去する工程である。
電気めっきは、従来公知の方法により行えばよく、得られる配線パターン9の厚みは、1〜20μmが好ましい。
次いで、
図6(m)に示すように、剥離液により、レジストパターン8を剥離し除去する。
【0058】
<工程(IX)>
工程(IX)は、
図6(n)に示すように、絶縁層(A)5の表面に露出しているシード層7を除去する工程である。シード層7の除去は公知のエッチング液を用いて行うことができる。
【0059】
<工程(X)>
工程(X)は、
図6(p)に示すように、配線パターン9上に絶縁層(C)10を形成し、次いで、
図7(q)に示すように、配線パターン9にまで至る開口部を形成する工程である。
絶縁層(C)は、絶縁層(A)の形成に用いられる熱硬化性樹脂組成物、すなわち本発明の熱硬化性樹脂組成物を使用して好適に形成することができる。また、その好適な形成方法も、絶縁層(A)の形成方法と同様である。
また、絶縁層(C)の開口部の形成方法は、前記工程(V)における開口部の形成方法と同様である。
【0060】
<工程(XI)>
工程(XI)は、外部接続用端子12を形成する工程である。
外部接続用端子12を形成するにあたって、まず、
図7(r)に示すように、絶縁層(C)10に設けた開口部から露出した配線パターン9に無電解ニッケルめっきと金めっき11を行うことが好ましい。ニッケルめっきの厚みは、好ましくは1〜10μmであり、金めっきの厚みは、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.15μmである。
次いで、
図7(s)に示すように、絶縁層(C)10の開口部に外部接続用端子12としての導電材料を形成する。導電材料は、特に限定されるものではないが、環境保全の観点から、Sn−Ag系、Sn−Ag−Cu系等のはんだを使用することが好ましい。また、回路形成用レジストを用いて、Cuポストを形成してもよい。
次いで、ダイサーを用いてダイシング個片化することで、
図7(t)に示す半導体装置を得ることができる。
【0061】
以上、本発明に係る半導体装置製造用部材、及びそれを用いる半導体装置の製造方法等の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【実施例】
【0062】
[仮固定層付き支持体の準備]
まず、支持体(1)として直径220mm、厚み1.5mmのSUS板を準備した。次に、SUS板の片側に仮固定用フィルムを、ラミネーターを用いて貼り付け、SUS板上に仮固定層を形成し、仮固定層付き支持体を得た(
図4(a)参照)。なお、SUS板からはみ出した仮固定用フィルムについては、カッターナイフで切り離した。
【0063】
[熱硬化性樹脂組成物の製造]
製造例1
(熱硬化性樹脂組成物Aの製造)
熱硬化性樹脂組成物Aを製造するにあたり、まず硬化剤(A−1)を調製した。
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−アミノフェニル)スルホン26.40gと、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン484.50gと、p−アミノ安息香酸29.10gと、ジメチルアセトアミド360.00gとを入れ、140℃で5時間反応させて分子主鎖中にスルホン基を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基とを有する硬化剤(A−1)の溶液を得た。
【0064】
次に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、製品名:NC−3000H)70質量部、上記で得られた硬化剤(A−1)を固形分で30質量部、及びビニルシランで処理したシリカフィラー(平均粒径:50nm)を樹脂成分100質量部に対して30質量部配合して、ビーズミル(アシザワファインテック(株)製、商品名:スターミルLMZ)を用い、周速12m/sにて3時間分散して、熱硬化性樹脂組成物Aの溶液を得た。
なお、シリカフィラーの粒径は、レーザ回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装(株)製)を用いて測定し、平均粒径が50nm、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。
【0065】
製造例2
(熱硬化性樹脂組成物Bの製造)
熱硬化性樹脂組成物Bを製造するにあたり、まず硬化剤(B−1)を調製した。
ジアミン化合物として(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン(新日本理化(株)製、商品名:ワンダミンHM(WHM))52.7g、反応性官能基を有するジアミンとして3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル6g、トリカルボン酸無水物として無水トリメリット酸108g及び非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン1281gをフラスコに入れ、フラスコ内の温度を80℃に設定して30分間撹拌した。撹拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン192gをさらに添加し、フラスコ内の温度を160℃に昇温して2.5時間還流した。水分定量受器に理論量の水が貯留され、水の留出が見られなくなっていることを確認した後、水分定量受器中の水及びトルエンを除去しながら、フラスコ内の温度を180℃まで上昇させて反応溶液中のトルエンを除去した。フラスコ内の溶液を60℃まで冷却した後、長鎖炭化水素鎖骨格(炭素原子数約50)を有するジカルボン酸として水添α,ω−ポリブタジエンジカルボン酸(日本曹達(株)製、商品名:CI−1000)309.5gを入れ、10分間撹拌した。撹拌終了後、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート119.7gを添加し、フラスコ内の温度を160℃に上昇させて2時間反応させ、硬化剤(B−1)の溶液として、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ47,000であった。ポリアミドイミド1分子あたりの平均反応性官能基数Nは4.4であった。
【0066】
次に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、製品名:NC−3000H)70質量部、上記で得られた硬化剤(B−1)を固形分で30質量部、及びビニルシランで処理したシリカフィラー(平均粒径:50nm)を樹脂成分100質量部に対して30質量部配合して、ビーズミル(アシザワファインテック(株)製、商品名:スターミルLMZ)を用い、周速12m/sにて3時間分散して、熱硬化性樹脂組成物Bの溶液を得た。
シリカフィラーの粒径は、実施例1と同様の方法により測定し、平均粒径が50nm、最大粒径が1μm以下であることを確認した。
【0067】
製造例3
<熱硬化性樹脂組成物C>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製、商品名:エピクロンN660)70質量部、硬化剤としてフェノキシ樹脂(新日鉄化学(株)製、商品名:YP−55)、メラミン変性フェノールノボラック樹脂(DIC(株)製、商品名:LA7054)30質量部、硫酸バリウム(平均粒径:300nm)を樹脂成分100質量部に対して10質量部、及びビニルシランで処理したシリカフィラー(平均粒径:50nm)を樹脂成分100質量部に対して30質量部配合して、ビーズミル(アシザワファインテック(株)製、商品名:スターミルLMZ)を用い、周速12m/sにて3時間分散して、熱硬化性樹脂組成物Cの溶液を得た。
シリカフィラー及び硫酸バリウムの粒径は、実施例1と同様の方法により測定し、シリカフィラーの平均粒径が50nm、最大粒径が1μm以下であること、硫酸バリウムの平均粒径が300nm、最大粒径が2μmであることを確認した。
【0068】
[熱硬化性樹脂フィルムの製造]
製造例4〜10
製造例1〜3により得られた熱硬化性樹脂組成物A〜Cの溶液を、支持体(2)であるPETフィルム(帝人(株)製、商品名:G2−16、16μm厚)上に、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層(a)の厚みが表1に示す厚みT
1になるように塗布した。その後、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で10分間乾燥することによって支持体(2)上に熱硬化性樹脂フィルムを得た。
次いで、熱硬化性樹脂フィルムに埃等が付着しないように、ポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、商品名:NF−15)を保護フィルムとして貼り合わせ、保護フィルム付の熱硬化性樹脂フィルムF1〜F7を得た。
【0069】
【表1】
【0070】
[半導体装置製造用部材の製造]
製造例11〜17
製造例4〜10で得られた熱硬化性樹脂フィルムF−1〜F−7の保護フィルムを剥がし、前述の仮固定層付き支持体上に、熱硬化性樹脂フィルムが仮固定層に当接するように載置した。次いで、プレス式真空ラミネーター((株)名機製作所製、商品名:MVLP−500)を用いて表2に示す条件でラミネートし、仮固定層上に熱硬化性樹脂組成物層(a)を形成した。その後、支持体(2)であるPETフィルムを剥離し、支持体(1)と仮固定層と熱硬化性樹脂組成物層(a)とをこの順に有する半導体装置製造用部材P−1〜P−7を得た。
なお、プレス式真空ラミネーターの真空引き時間は20秒、気圧は4kPa以下の条件とした。
【0071】
【表2】
【0072】
[半導体装置の製造]
実施例1〜9
まず、
図4(c)に示すように、表3に示す厚みT
2を有する7.3mm×7.3mmの半導体素子((株)ウォルツ製、商品名:CC80−0101JY)を、半導体装置製造用部材P−1〜P−7上に、半導体素子の能動面と熱硬化性樹脂組成物層(a)とが当接するように格子状に配置した。
半導体素子の搭載数は193個、ピッチは縦方向、横方向ともに9.6mmとした。半導体素子の配置にはダイソーター(キヤノンマシナリー(株)製、商品名:CAP3500)を用いた。配置時の荷重は半導体素子1個当り1kgfとした。
【0073】
次に、熱硬化性樹脂組成物層(a)の形成に用いた熱硬化性樹脂組成物と同様の熱硬化性樹脂組成物からなる熱硬化性樹脂フィルムを用いて、半導体素子を覆うように封止し、表3に示す厚みT
3を有する熱硬化性樹脂組成物層(b)を形成した。封止方法は熱硬化性樹脂組成物層(a)の形成方法と同様である。次いで、表3に記載の条件で熱硬化を行い、熱硬化性樹脂組成物層(a)及び熱硬化性樹脂組成物層(b)を硬化してなる、絶縁層(A)及び絶縁層(B)を形成した(
図4(d)参照)。
【0074】
その後、
図5(e)及び(f)に示すように、支持体(1)及び仮固定層を、200℃のホットプレート上で剥離し、成形物を得た。
【0075】
比較例1〜5
図1(b)に示すように、表4に示す厚みを有する7.3mm×7.3mmの半導体素子((株)ウォルツ製、商品名:CC80−0101JY)を、前述の仮固定層付き支持体の仮固定層に、半導体素子の能動面と仮固定層とが当接するように格子状に配置した。
半導体素子の搭載数は193個、ピッチは縦方向、横方向ともに9.6mmとした。半導体素子の配置にはダイソーター(キヤノンマシナリー(株)製、商品名:CAP3500)を用いた。配置時の荷重は半導体素子1個当り1kgfとした。
次に、
図1(c)に示すように、封止材として、熱硬化性樹脂組成物層(a)の形成に用いた熱硬化性樹脂組成物と同様の熱硬化性樹脂組成物からなる熱硬化性樹脂フィルムを用いて、半導体素子を覆うように封止し、表4に示す厚みを有する封止材の層を形成した。封止方法は熱硬化性樹脂組成物層(a)の形成方法と同様である。次いで、表4に記載の条件で熱硬化を行った。
その後、
図1(d)及び(e)に示すように、支持体及び仮固定層を、200℃のホットプレート上で剥離した。
次いで、
図2(f)の感光性樹脂組成物の替わりに封止材として用いた、熱硬化性樹脂組成物と同じ熱硬化性樹脂組成物を用いて、同様の条件で熱硬化をし、厚み25μmの絶縁層を形成することで成形物を得た。
【0076】
[評価条件]
実施例1〜9で得られた成形物について、以下の(1)〜(3)の評価を行った。また、比較例1〜5で得られた半導体装置については、(1)成形物の反りを評価した。
(1)成形物の反り
得られた成形物について、直径200mmの範囲を室温下(25℃)で高精度三次元形状測定システム(コムス(株)製、商品名:MAP−3D 300XYTAS)用いて測定して、以下の基準に基づいて評価した。
○:反り量が1mm未満
△:反り量が1mm以上、2mm未満
×:反り量が2mm以上
【0077】
(2)埋め込み性
得られた成形物について、目視で観察して、以下の基準に基づいて評価した。
○:半導体素子間に充分に樹脂が埋め込まれており、未充填部がない。
×:半導体素子間に未充填部がある。
【0078】
(3)絶縁層(A)表面の平滑性
得られた成形物について、半導体素子の能動面側の絶縁層(A)の表面を、表面粗さ計((株)小坂研究所製、商品名:Surfcorder SE−2300)を用いて段差を測定して、以下の基準に基づいて評価した。
○:絶縁層(A)の表面の段差が2μm未満
△:絶縁層(A)の表面の段差が2μm以上、5μm未満
×:絶縁層(A)の表面の段差が5μm以上
【0079】
上記の評価結果を表3及び4に示した。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
本発明の半導体装置製造用部材を用いた実施例1〜9は、いずれも成形物の反りが小さく、埋め込み性、絶縁層(A)の平滑性にも優れていた。一方で、比較例1〜5は、いずれも成形物の反りが大きかった。