特許第6558536号(P6558536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧

特許6558536単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤
<>
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000002
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000003
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000004
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000005
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000006
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000007
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000008
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000009
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000010
  • 特許6558536-単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558536
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/51 20170101AFI20190805BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20190805BHJP
   C01B 32/158 20170101ALI20190805BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20190805BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   A61K47/51
   A61K49/00
   C01B32/158
   A61K47/02
   A61K47/24
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-194606(P2015-194606)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-66098(P2017-66098A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】湯田坂 雅子
(72)【発明者】
【氏名】蓬田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】田中 丈士
(72)【発明者】
【氏名】片浦 弘道
(72)【発明者】
【氏名】張 民芳
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−274502(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/039121(WO,A1)
【文献】 Nature Communications,2013年,Vol.4,Artcle No.2472,p1−11,doi:10.1038/ncomms3472
【文献】 Nature Nanotechnology,2009年,Vol.4,No.11,p773−780
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/51
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PMB、PLPEG、又は、それらの組み合わせにより被覆された単層カーボンナノチューブからなる熱産生脂肪組織特異的集積剤。
【請求項2】
請求項1に記載の熱産生脂肪組織特異的集積剤であって、さらに添加剤を含む熱産生脂肪組織特異的集積剤。
【請求項3】
熱産生脂肪組織の造影に用いる、請求項1または2に記載の熱産生脂肪組織特異的集積剤。
【請求項4】
熱産生脂肪組織特異的なドラッグデリバリーシステムに用いる、請求項1または2に記載の熱産生脂肪組織特異的集積剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆された単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、生体物質透過性がよい近赤外光を吸収・発光し、毒性が低い稀有な物質である。SWCNT使うとマウスの血管造影ができる。すなわち、マウスにSWCNTを静脈投与し、マウス体外からSWCNT用励起光を照射すると、マウス血管内にあるSWCNTからの発光を見ることができ、血管のイメージングができる(非特許文献1、2)。時間経過とともに、血管内のSWCNTは肝臓や脾臓に集積するため、肝臓や脾臓の造影も可能である(非特許文献2)。最近では、生体内造影に適した吸収・発光波長をもつSWCNTの分取技術が進歩し(非特許文献1、3)、SWCNTを用いた生体内造影のさらなる発展が期待できる。
【0003】
SWCNTは、リン脂質ポリエチレングリコール(PLPEG)により表面を被覆して用いると血中滞留時間がながくなり、血管造影用途に適している(非特許文献1)。また、SWCNTの腫瘍へのドラッグデリバリー研究では、SWCNTの表面に葉酸や抗体などを付加する(能動的ターゲッティング)ことで、腫瘍に選択的にSWCNTに蓄積させ、SWCNTの近赤外発光により腫瘍造影が可能になると期待されている。さらに、長さが100nm以下のSWCNTでは、血管新生が盛んに行われている腫瘍組織において、未成熟血管壁から組織へSWCNTが拡散し、腫瘍組織へのSWCNTの集積度を上げる(受動的ターゲッティング)ことが可能であり、腫瘍の治療や造影が可能であることが動物実験により確認されている(非特許文献1)。しかし、SWCNTを例えば、熱産生脂肪組織に優先的に蓄積させ、それらの造影剤として使えるという報告はない。SWCNTの表面被覆が適切でなく、SWCNTの孤立分散が生体内で維持されなくなり、マクロファージにとらわれやすくなることが原因と推察される。
このように、単層カーボンナノチューブを利用して、細胞や組織特異的に集積させる技術のさらなる開発が期待されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Welsher K, Liu Z, Sherlock S P, Robinson J T, Chen Z, Daranciang D, Dai H, A route to brightly fluorescent carbon nanotubes for near-infrared imaging in mice. Nat. Nanotechnol. 4 773-780 (2009)
【非特許文献2】Welsher K, Sherlock S P, Dai H, Deep-tissue anatomical imaging of mice using carbon nanotube fluorophores in the second near-infrared window. Proc. Natl. Acad. Sci. 108 8943−8948 (2011)
【非特許文献3】Liu H, Nishide D, Tanaka T, Kataura H, Large-scale single-chirality separation of single-wall carbon nanotubes by simple gel chromatography. Nature Commun. 309, 8 pages (2011)
【非特許文献4】K. Ishihara, T. Ueda, and N. Nakabayashi, Polym. J., 23, 355-360 (1990)
【非特許文献5】K. Ishihara, R. Aragaki, T. Ueda, A. Watanabe, and N. Nakabayashi, J. Biomed. Mater. Res., 24, 1069-1077 (1990)
【非特許文献6】K. Ishihara, H. Oshida, Y. Endo, T. Ueda, A. Watanabe, and N. Nakabayashi, J. Biomed. Mater. Res.,26, 1543-1542 (1992)
【非特許文献7】小椋 恵子、和泉 圭祐、宮坂 恒太、小椋 利彦「X線 CTでのマウス褐色〜Beige〜白色脂肪組織、骨格筋の解析ツールの 公開とその展開」第35回日本肥満学会(宮崎)、2014年10月24日(口演:O-006)
【非特許文献8】東北大学、加齢医学研究所、神経機能情報研究分野のホームページ(http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/devn/researches/index.htm#ct)
【非特許文献9】van Marken Lichtenbelt WD, Vanhommerig JW, Smulders NM, Drossaerts JM, Kemerink GJ, Bouvy ND, Schrauwen P, Teule GJ. Cold-activated brown adipose tissue in healthy men. N. Engl. J. Med. 360: 1500-1508 (2009).
【非特許文献10】Cypess AM1, Lehman S, Williams G, Tal I, Rodman D, Goldfine AB, Kuo FC, Palmer EL, Tseng YH, Doria A, Kolodny GM, Kahn CR. Identification and importance of brown adipose tissue in adult humans. N. Engl. J. Med. 360: 1509-1517 (2009).
【非特許文献11】Virtanen KA, Lidell ME, Orava J, Heglind M, Westergren R, Niemi T, Taittonen M, Laine J, Savisto NJ, Enerback S, Nuutila P. Functional brown adipose tissue in healthy adults. N. Engl. J. Med. 360: 1518-1525 (2009).
【非特許文献12】Saito M, Okamatsu-Ogura Y, Matsushita M, Watanabe K, Yoneshiro T, Nio-Kobayashi J, Iwanaga T, Miyagawa M, Kameya T, Nakada K, Kawai Y, Tsujisaki M. High incidence of metabolically active brown adipose tissue in healthy adult humans: effects of cold exposure and adiposity. Diabetes. 58: 1526-1531 (2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、単層カーボンナノチューブを修飾することで、新たな性質、とりわけ生体に投与した際に、特定の細胞や組織に集積可能な単層カーボンナノチューブ提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者らは、単層カーボンナノチューブに生体内で孤立分散を維持できる性質を付与することに着目した。そこで、単層カーボンナノチューブの表面を生体親和性の高い構造を有するポリマーで修飾することを着想し、鋭意検討する中で、PMBのような生体親和性の性質を備えた側鎖を有するポリマーで表面被覆したSWCNTは、生体内においても従来の表面修飾単層カーボンナノチューブと比較して、より孤立分散が維持されやすい性質を有することを見出した。
【0007】
ここで、PMBとは、2-Methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)とn-butyl methacrylate(BMA)との共重合体である。また、PMBは、ガラス、金属、プラスチック表面にタンパクや細胞が付着することを防ぐ効果が高く、かつ、生体親和性が高いポリマーとして知られている(非特許文献4−6)。そして、PMBによるSWCNTの表面被覆に関してはこれまで研究されていなかった。本発明者らにより新規に開発されたPMBで修飾されたSWCNTをマウスに投与したところ、さらに驚くべきことに、熱産生脂肪組織特異的にSWCNTが集積することを見出した。また、熱産生脂肪組織に集積したSWCNTは、体外からの近赤外線の照射により発光し、造影することが可能であるという知見を得た。なお、SWCNTをBATやベージュ細胞組織といった熱産生脂肪組織に優先的に蓄積させ、それらの造影剤として使えるという報告はない。これは、SWCNTの表面被覆が適切でなく、SWCNTの孤立分散が生体内で維持されなくなり、マクロファージにとらわれやすくなることが原因と推察される。
【0008】
ここで、褐色脂肪組織(Brown Adipose Tissue:BAT)やベージュ細胞組織といった熱産生脂肪組織は、脂肪を燃焼させて熱を産生する機能を持つため、肥満あるいはそれに関連する病の発症を予防あるいは治療する新たな手段を提供すると期待され、近年盛んに研究されている。褐色脂肪細胞のマーカー分子が見出されつつあり、それに伴い、その発生起源も議論されている。こうした細胞レベルの微視的研究とともに、褐色脂肪細胞やベージュ細胞といった熱産生脂肪細胞は体内のどこに、どのくらいあるかを知ることも重要である。熱産生脂肪細胞は体内の特定の場所に局在し、独特の組織を形成する。BATは、げっ歯類では肩甲骨間部などに、ヒトでは頸部・腋窩・傍椎体部などに存在することが知られている。ベージュ細胞はげっ歯類では鼠蹊部や腋窩にある。しかし、BATやベージュ組織の分布や形状を非侵襲的に見る手段は少ない。マウスではコンピューター断層撮影法(CT)を用いた方法が(非特許文献7、8)、ヒトでは陽電子放射断層撮影(PET)とCTを組み合わせた方法(PET/CT)(非特許文献9−12)が適用されているが、いずれも特異性および感受性の観点から課題が残されている。また高額機器を使用するための経済的問題、検査対象への放射線被爆の問題など、汎用性においても課題がある。一方、光学的手段を活用した簡易なBAT検出法は現在知られていなかった。
【0009】
前述のとおり、これまでに、熱産生脂肪組織に特異的に集積する単層カーボンナノチューブは報告されていなかった。一方、本発明は、熱産生脂肪組織に集積することができる単層カーボンナノチューブを提供するものであり、これにより光学的手段を活用した簡易な熱産生脂肪組織検出法を提供することができる。本発明は、このような課題を解決するものであり、SWCNTをBATやベージュ組織の造影剤として提供することができる。
【0010】
すなわち、本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明は、〔1〕生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆された単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織造影剤に関する。
ここで、本発明の熱産生脂肪組織造影剤は、一実施の形態において、
〔2〕上記〔1〕に記載の熱産生脂肪組織造影剤であって、前記生体親和性の側鎖を有するポリマーが、リン酸エステル、コリン基、ホスホリルコリン基、若しくは、ホスホリルコリン類似基、又は、これらの組み合わせを側鎖に有するポリマーであることを特徴とする。
また、本発明の熱産生脂肪組織造影剤は、一実施の形態において、
〔3〕上記〔1〕に記載の熱産生脂肪組織造影剤であって、前記生体親和性の側鎖を有するポリマーが、PMB、PLPEG、又は、それらの組み合わせであることを特徴とする。
また、本発明の熱産生脂肪組織造影剤は、一実施の形態において、
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の熱産生脂肪組織造影剤であって、さらに添加剤を含むことを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、
〔5〕熱産生脂肪組織特異的なドラッグデリバリーシステム用薬剤であって、生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆された単層カーボンナノチューブを含む薬剤に関する。
ここで、本発明の熱産生脂肪組織特異的なドラッグデリバリーシステム用薬剤は、一実施の形態において、
〔6〕上記〔5〕に記載のドラッグデリバリーシステム用薬剤であって、前記生体親和性の側鎖を有するポリマーが、リン酸エステル、コリン基、ホスホリルコリン基、若しくは、ホスホリルコリン類似基、又は、これらの組み合わせを側鎖に有するポリマーであることを特徴とする。
また、本発明の熱産生脂肪組織特異的なドラッグデリバリーシステム用薬剤の一実施の形態によれば、
〔7〕上記〔5〕に記載のドラッグデリバリーシステム用薬剤であって、前記生体親和性の側鎖を有するポリマーが、PMB、PLPEG、又は、それらの組み合わせであることを特徴とする。
また、本発明の熱産生脂肪組織特異的なドラッグデリバリーシステム用薬剤の一実施の形態によれば、
〔8〕上記〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載のドラッグデリバリーシステム用薬剤であって、さらに添加剤を含む薬剤。
また、本発明の別の態様によれば、
〔9〕PMBにより表面被覆された単層カーボンナノチューブに関する。
また、本発明の別の態様によれば、
〔10〕上記〔9〕に記載の単層カーボンナノチューブを製造する方法であって、
単層カーボンナノチューブをPMB溶液中に溶解する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の単層カーボンナノチューブは、熱産生脂肪組織に集積するという性質を有するものである。上記の性質に加えて、単層カーボンナノチューブは、近赤外線を吸収・発光することができ、毒性が低いという性質を有することにより、熱産生脂肪組織造影剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】PMB-SWCNT水分散液の光吸収スペクトル(a)と発光スペクトル(b)。単一カイラリティ(9,4)のDPEG-SWCNT水溶液の発光スペクトルマッピング(c)。
図2】コントロールマウス(投与無し)の近赤外光発光写真。
図3A】PMB-SWCNTを尾静脈投与したヌードマウスの投与後1時間の近赤外発光写真。SWCNTの近赤外発光は、白く写っている。励起光源:600-800nmランプ。図3A図3Bで用いたマウスは異なる個体。
図3B】PMB-SWCNTを尾静脈投与したヌードマウスの投与後1時間、3時間、1日、9日の近赤外光発光写真。SWCNTの近赤外発光は、白く写っている。励起光源:600-800nmランプ。図3A図3Bで用いたマウスは異なる個体。
図4】PMB-SWCNTをヌードマウスに尾静脈投与し、投与後3日に解剖し採取した肩甲骨間組織のパラフィンブロックデジタルカメラ写真(a)、組織の近赤外光発光写真(b)、HE染色組織の光学顕微鏡写真(c)。(c)は、(b)において黄色矢印で示した部分。
図5】PMB-SWCNTをヌードマウスに尾静脈投与し、投与後3日に解剖し採取した腕の付け根において近赤外発光がみとめられた組織のパラフィンブロックデジタルカメラ写真(a)、組織の近赤外光発光写真(b)、HE染色組織の光学顕微鏡写真(c)。(c)は、(b)において矢印で示した部分。
図6】PMB-SWCNTをヌードマウスに尾静脈投与し、投与後3日に解剖し採取した足の付け根において近赤外発光がみとめられた組織のパラフィンブロックデジタルカメラ写真(a)、組織の近赤外光発光写真(b)、HE染色組織の光学顕微鏡写真(c)。(c)は、(b)において矢印で示した部分。
図7】孤立分散かそれに近い分散をしたPLPEG-SWCNT(a、b)および孤立分散性が劣るPLPEG-SWCNT(c、d)を尾静脈投与したヌードマウスの投与後1日の近赤外光発光写真。
図8】(9,4)SWCNTを用いた孤立分散かそれに近い分散をしたPLPEG-SWCNTを尾静脈投与したヌードマウスを投与後2日に解剖した際の近赤外発光写真(a)、採取した肩甲骨間組織の近赤外発光スペクトル(b)。その組織を包埋したパラフィンブロック(c)とその近赤外光発光写真(d)。(b)の白色円は、酸化した(9,4)SWCNTからの発光ピーク。
図9】(9,4)SWCNTを用いた孤立分散かそれに近い分散をしたPLPEG-SWCNTを尾静脈投与したヌードマウスを投与後2日に解剖し採取した肩甲骨間部のHE染色組織の光学顕微鏡写真(a)、Pb-U染色組織の透過電子顕微鏡(TEM)写真(b、c)。(c)は、(b)内の白枠部分に相当する。(c)の矢印はSWCNTを示す。なお、図9(a)、図9(b)、及び図9(c)中のスケールバーはそれぞれ、10μm、500nm、100nmを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆された単層カーボンナノチューブを含む熱産生脂肪組織特異的な造影剤やドラッグデリバリーシステム用薬剤を提供する。
ここで、「生体親和性の側鎖を有するポリマー」とは、単層カーボンナノチューブの表面に被覆されるポリマーであって、単層カーボンナノチューブに生体親和性を付与するポリマーをいう。このようなポリマーとしては、リン酸エステル、コリン基、ホスホリルコリン基、若しくは、ホスホリルコリン類似基、又は、これらの組み合わせを側鎖に有するポリマーを挙げることができる。より好ましくは、リン脂質極性基であるホスホリルコリン基又はホスホリルコリン類似基を側鎖に有するポリマーである。このようなポリマーは公知であり、特開2004−189652号公報、特開2004−275862号公報、特開2008−297488号公報、国際公開公報2009/044816号パンフレットなどに開示されている。なお、ホスホリルコリン類似基とは、ホスホリルコリン構造の側鎖がさらに他の官能基により置換されたものをいい、例としては、ホスホリルコリン基の窒素に結合するメチル基が、水酸基や他の官能基(例えば、アルキル基、カルボキシ基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、カルボニル−メトキシポリエチレングリコール(-CO(OCH2H2)nOCH3)、-CH2CH2NHCO(OCH2CH2)nO(CH2)3NH2など)に置換されているものを挙げることができる。このようなホスホリルコリン類似基を有するポリマーとしては、例えば、市販のPLPEG(SUNBRIGHT(登録商標)、DSPE-050CNやDSPE-020PA)などを挙げることができる。
【0014】
なお、ホスホリルコリン基を側鎖に有するポリマーとしては、以下に限定されないが、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC:2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine)、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、4−メタクリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、ω−メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、若しくは、4−スチリルオキシブチルホスホリルコリン、又は、それらの組み合わせを含有する重合体又は共重合体を挙げることができる。
【0015】
「生体親和性の側鎖を有するポリマー」としては、PMB、PLPEG、又は、それらの組み合わせを好ましい実施の形態として挙げることができ、PMBがより好ましい。
なお、PLPEGは、リン脂質とポリエチレングリコールの化合物で、脂質部分がSWCNTの表面に吸着することで、PEG基によりSWCNTに親水性が付与される。PLPEG はSWCNT分散剤として既知であり、動物体内でマクロファージによる補足を遅らせることで血中滞留時間が長くなることが知られている。なお、本発明に使用されるPLPEGは、好ましくは、N-(aminopropyl polyethyleneglycol)carbamyl-distearoylphosphatidyl-ethanolamine, sodium salt、N-(Carbonyl-methoxypolyethyleneglycol)-1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine, sodium salt、1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine-N-[amino(polyethylene glycol)], ammonium saltなどである。
このように、本発明に使用される「生体親和性の側鎖を有するポリマー」は、好ましい形態において、生体親和性とともに親水性を単層カーボンナノチューブに付与し、生体内における単層カーボンナノチューブの孤立分散性を向上させる効果を付与する。このような孤立分散性の効果は、タンパクの吸着やマクロファージによる貪食を防ぐことができると考えられる。
また、SWCNTの表面被覆にPMBを用いた場合は、PLPEGを用いた場合に比べて、生体内でのSWCNT孤立分散が維持されやすいと推察され、PMBで被覆したSWCNTはBAT、ベージュ細胞組織といった熱産生脂肪に優先的に蓄積される可能性がある。
また、上述のポリマー以外にも、ウシ血清アルブミン(BSA)やマウス血清アルブミンなどのタンパク質、DNA等で単層カーボンナノチューブを被覆することにより、分散性を向上させ、熱酸性脂肪組織へ集積させる態様も挙げることができる。このようなタンパク質やDNAの被覆は、それぞれ単独で単層カーボンナノチューブの表面上に被覆しても良いし、上述の「生体親和性の側鎖を有するポリマー」などと組み合わせて被覆することもできる。
【0016】
また、本発明の造影剤は、BATとベージュ組織の発光色による色分けを可能とする。
SWCNTの発光波長は、SWCNTの構造(カイラリティ)によって変わることが知られている。そこで、異なる表面被覆剤によりそれぞれ別のカイラリティをもったSWCNTを被覆することで、BATとベージュ組織を異なる波長のSWCNT発光により区別できる。たとえば、(9,4)SWCNTをPLPEGにより被覆してPLPEG-(9,4)SWCNTを作製し、(6,5)SWCNTをPMBで被覆してPMB-(6,5)SWCNTを作製することができる。これらをマウスに静脈投与すると、BATは1120nmの発光により、ベージュ細胞は1120nmと1045nmの2色発光により区別できる。
あるいは、SWCNTを酸化あるいはアリル化することにより(アリル化については、Yanmei Piao et al., Brightening of carbon nanotube photoluminescence through the incorporation of sp3 defects, Nature Chemistry 5, 840-845 (2013)参照)、同一カイラリティでも発光波長を変化させることができる。たとえば、(9,4)SWCNTでは、酸化または4-Nitrobenzenediazonium tetrafluoroborateを用いたアリル化により、1275nmに新たな発光が現れる。そこで、(9,4)SWCNTをPLPEGにて被覆し、アリル化(9,4)SWCNTをPMBで被覆し、マウスに静脈投与すると、BATは1120nmの発光により、ベージュ細胞は1120と1275nmの2色発光により区別できる。発光波長差が大きいため、フィルター変更で簡単に分光でき、また、発光は明るいので、ビームスプリッターで2方向に分けて、同時に観測し、PC上で合成表示することも可能である。
【0017】
本発明に使用される単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆されることにより、熱産生脂肪組織へ集積する性質を有することができるものであれば特に限定されない。また、本発明に使用される単層カーボンナノチューブは、CVD法、レーザーアブレーション法、アーク放電法など、公知の方法で作製することができる。
【0018】
単層カーボンナノチューブの表面の被覆方法は、既知の手法によりコール酸ナトリウムなどを用いて水溶液中にSWCNTを孤立分散させ(非特許文献3)、次にSWCNTの表面にSWCNTの生体親和性が高まるポリマーで置換して得ることができる。なお、「生体親和性の側鎖を有するポリマー」は、2つ以上のポリマーを組み合わせて単層カーボンナノチューブに修飾させてもよい。
【0019】
本発明の熱産生脂肪組織造影剤及び熱産生脂肪組織特異的なドラッグデリバリーシステム用薬剤には、生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆された単層カーボンナノチューブの他、造影剤やドラックデリバリーシステム用薬剤に使用される賦形剤、希釈剤などの添加剤を含んでよい。
【0020】
また、本発明において、単層カーボンナノチューブは、その内部空間に、金属や酸化物の原子又は分子、あるいは機能性分子などを内包させたものを用いることができ、例えば、抗がん剤シスプラチン(CDDP)を内包した単層カーボンナノチューブ、MRI診断用の造影剤であるGd(OAc)3クラスターを内包した単層カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
【0021】
本発明の造影剤又はドラッグデリバリーシステム用薬剤は、医療製剤の形態に製剤されて体内へ投与することができる。剤形は限定されず、例えば、注射剤(液剤、乳剤、懸濁剤)として製剤することができる。製剤化にあたっては、本発明の造影剤又はドラッグデリバリーシステム用薬剤を溶解した溶液は、殺菌され、かつ、血液と等張であることが好ましい。これらの液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に成形する際に用いられる希釈剤としては、公知のものを広く用いられているものを使用することができる。希釈剤としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルベタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。この場合、等張性の溶液を調製するのに十分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを製剤中に含有させてもよく、また、本発明の造影剤又はドラッグデリバリーシステム用薬剤に含まれる生体親和性の側鎖を有するポリマーにより被覆された単層カーボンナノチューブの構造を変化させない範囲において、公知の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を、更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等、及び/又は他の医薬品を含有させることができる。
また、本発明の造影剤又はドラッグデリバリーシステム用薬剤の投与量は、当業者であれば、適宜設定して使用することが可能である。
【0022】
また、本発明の造影剤又はドラッグデリバリーシステム用薬剤は、医療製剤の形態に製剤されて体内へ投与することができる。投与経路は、静脈投与が好ましいが、経口投与による腸管壁からの吸収により血流にのり、目的組織や臓器に到達させることが可能である。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0024】
(1.SWCNTの水分散液の作製)
SWCNT(HiPco Raw (NanoIntegris))100mgをコール酸ナトリウム(SC)(500mg)と超純水(100mL)中で混合させ、超音波破砕器処理にてSWCNTバンドルを個々のSWCNTへ分離させた後、遠心分離を行い、単一分散SWCNTが含まれている上澄みを回収した。この上澄み液をゲルカラムにかけて、半導体型SWCNT、単一構造(9,4)SWCNTを分取した。半導体型SWCNTにおいては、PMB30(MPC units 30%とBMA units 70%からなるコポリマー(分子量 6.0×105)。
MPC:2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine。BMA polymers:poly(n-butyl methacrylate)、またはPLPEG(SUNBRIGHT、DSPE-050PA:N-(aminopropyl polyethyleneglycol)carbamyl-distearoylphosphatidyl-ethanolamine)水溶液に入れ(超純水を使用)、バスタイプの超音波洗浄機を用いて10分攪拌した。その後、限外ろ過(Amicon Ultra 3k(Millipore))によりコール酸ナトリウムを除去すると同時にSWCNTを濃縮し、0.5mg/mL(SWCNT/水)のPMB-SWCNTあるいはPLPEG-SWCNT水分散液を1.5-2mL得た。(9,4)SWCNTは、PLPEG水溶液に入れ、攪拌したのちに、ろ過し、0.17mg/mLのPLPEG-(9,4)SWCNT水分散液を1.5-2mL得た。
【0025】
(2.PMB-SWCNT水分散液の光吸収スペクトルと発光スペクトル)
上記「1.SWCNTの水分散液の作製」で得られたPMB-SWCNTの水分散液を0.01mLとり、水にて50倍に薄めて、光吸収スペクトル(図1a)と発光スペクトル(励起光波長720nm)(図1b)を測定した。SWCNT特有の吸収ピークと発光ピークを示した。吸収スペクトルではピーク同士の重なりは少なく、SWCNTが孤立分散またはそれに近い分散状態であることを示唆している。吸収ピークと発光ピークが複数個あるのは、カイラリティの異なる数種類のSWCNTの混合物であることに由来している。PLPEGで被覆して水に分散させた(9,4)カイラリティのSWCNTの発光スペクトルマッピング(図1c)では、単一カイラリティ(9,4)SWCNTに特有の発光ピークが励起波長730nm、発光波長1120nmにみられる。同波長励起にて、1275nmに見られるピークは酸化された(9,4)SWCNTの酸化サイトからの発光である。
【0026】
(3.コントロールマウスの近赤外光発光撮影)
SWCNTを投与しないコントロールのマウス(BALB/cAJ1-nu/nu、メス)(日本クレア株式会社)の近赤外発光写真には、マウス体内や表皮に近赤外発光するものがないため白く写るものがなかった(図2)。図2の腹側の写真に白く写っているものは腸内の食物消化物であり、餌の成分に近赤外発光するものが含まれているためである。
【0027】
(4.PMB-SWCNT投与マウスの近赤外発光撮影)
上記「1.SWCNTの水分散液の作製」で得られたPMB-SWCNTの0.15-0.2mL/匹をマウスに尾静脈投与した。投与直後及び1、3時間、1、9日後に近赤外カメラでマウスを撮影した写真を図3に示す。PMB-SWCNTを投与したマウスでは、PMB-SWCNTによる発光(写真では白色)が肩甲骨間部、肩部から腋窩にかけて、傍脊椎部、足の付け根(腹側から背中側にかけて連続していた)、肝臓にみられた(図3A)。また、解剖して臓器を取り出すと、脾臓も白く写っていた。各組織・臓器におけるSWCNT発光強度は、投与後時間がたつに従い弱くなった(図3B)。肩甲骨間部のBATにおけるSWCNTの発光強度を詳細に解析すると、発光強度は投与後約3時間で最大となり、その後約50時間で強度が半減した。5-10日を過ぎると、いずれの組織・臓器における発光もほとんどみられなくなった。従って、SWCNTによる熱産生脂肪組織造影は、SWCNT投与後数日間が効果的であり、長期間が経過すると見えにくくなる。発光が弱くなった原因としては、SWCNTの代謝、生体内物質の吸着、pHの低いリソソームへのSWCNT集積、SWCNTが集まってバンドル形成などが考えられる。(腹側の写真で腹部に白く写っているものは消化物であり、餌の成分に近赤外発光するものが含まれているためである。)
【0028】
(5.PMB-SWCNTが蓄積した肩甲骨間部の光学顕微鏡写真)
PMB-SWCNT尾静脈投与後3日のマウスに対して、肩甲骨間部の近赤外発光する部分を採取し、HE染色を行い、光学顕微鏡で観察した。その組織は、BATに特徴的は褐色をしており(図4a)、パラフィンブロック包埋状態においても近赤外発光をしていた(図4b)。組織をHE染色後に顕微鏡観察した結果、BAT特有の多細性脂肪滴を持つ細胞が見出された(図4c)。
【0029】
(6.SWCNTが蓄積した腕の付け根部の光学顕微鏡写真)
PMB-SWCNT尾静脈投与後3日のマウスにたいして、腕の付け根部の近赤外発光している部分を採取した。その組織は淡褐色をしており(図5a)、パラフィンブロックに包埋状態でも近赤外発光をしていた(図5b)。組織をHE染色し観察した結果、ベージュ細胞が見出された(図5c)。
【0030】
(7.PMB-SWCNTが蓄積した足の付け根部の光学顕微鏡写真)
PMB-CNT尾静脈投与後3日のマウスの足の付け根部の近赤外発光している部分を採取した。その組織は淡褐色をしており(図6a)、パラフィンブロックに包埋状態でも近赤外発光をしていた(図6b)。組織をHE染色し観察した結果、ベージュ細胞が見出された(図6c)。
【0031】
(8.PLPEG-SWCNT投与マウスの近赤外発光撮影)
上記「1.SWCNTの水分散液の作製」で得られたPLPEG-SWCNTを0.15-0.2mL/匹をマウスに尾静脈投与した。投与直後及び1、3時間、1-4日後に近赤外カメラでマウスを撮影した。PLPEG-SWCNT投与後1日に撮影した写真を図7に示す。分散性のよいPLPEG-SWCNTを投与したマウスでは、投与後1日に撮影すると、肩甲骨間部、背骨頂部、肝臓が白く写っていた(図7a,b)。解剖により臓器を取り出してみると脾臓も白く写っていた。PMB-SWCNTと比べると、PLPEG-CNTで造影できるBATは限定的である。(腹側の写真で腹部に白く写っているものは消化物による。餌に近赤外発光するものが含まれていた。)
分散性の良くないPLPEG-CNTの場合は、PLPEG-CNTの肩甲骨間部への蓄積は見られなかった。PLPEG-SWCNTでは、分散性によりBAT組織への蓄積が異なることがわかる。分散が悪い場合はSWCNTが凝集してサイズが大きくなるため、マクロファージに捕獲されやすくなり、その結果、BATへ蓄積しにくくなると考えられる。
【0032】
(9.SWCNT蓄積したBATの光学顕微鏡と透過電子顕微鏡(TEM)写真)
PLPEG-SWCNT投与後3日のマウスの肩甲骨間部のBATにおいて近赤外発光する部分(図8a)を採取して、採取組織の発光スペクトルを測定した(図8b)結果、(9,4)SWCNT特有の発光が1120nmに見られた。また、(9,4)SWCNTの酸化物からの発光も1275nmに見られ、酸化されたSWCNTもBATに集積することがわかった。採取した組織は、BAT特有の褐色をしており(図8c)、近赤外発光写真では白く写っていて(図8d)、図8bでの発光スペクトルと矛盾していなかった。パラフィンブロックから切片を切りだし、HE染色を行い、光学顕微鏡で観察した結果、BAT特有の多細性脂肪滴を持つ細胞が見出された(図9a)。Pb-U染色した組織をTEM観察して結果、多細性脂肪滴、およびクリステが密に発達したミトコンドリアが多数みられるなど、BATの特徴が確認された(図9b,c)。SWCNTは、血管壁の近く(図9b,c)や神経末端の近くにも見出された。
【0033】
(10.マウスの種類と雌雄に対しての熱産生脂肪組織造影)
ヘアレスマウス(Hos:HR-1)(日本エスエルシ―)の成体のオスとメスに対して、PMB-CNTを上記と同条件で投与し、近赤外光発光カメラでマウスを撮影した。その結果、ヘアレスマウスのメスとオスいずれにおいても、上記「4.PMB-SWCNT投与マウスの近赤外発光撮影」のヌードマウスの場合に見られたのと同じ部位にPMB-SWCNTの集積が認められた。PMB-CNTの熱産生脂肪組織造影は、マウスの種類や雌雄の影響を受けることがないことが分かった。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9