(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、矩形状の前記テーブルの中央部に配置された前記一部の吸引部を起点とし、起点とした前記一部の吸引部から離れる方向に配置された残りの複数の吸引部を、前記離れる方向に沿って順次減圧させる請求項1に記載の基板の吸着装置。
前記制御部は、矩形状の前記テーブルの一辺部に沿って配置された前記一部の吸引部を起点とし、起点とした前記一部の吸引部から離れる方向に配置された残りの複数の吸引部を、前記離れる方向に沿って順次減圧させる請求項1に記載の基板の吸着装置。
第1の基板と第2の基板とを貼合することにより積層体を製造する積層体製造工程と、前記積層体の前記第1の基板の露出面に機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層が形成された前記第1の基板から前記第2の基板を分離する分離工程と、を有し、
前記積層体製造工程は、
請求項1から3のいずれか1項に記載された基板の吸着装置のテーブルに前記第1の基板を吸着保持する吸着工程と、
ローラによって前記第2の基板を、自重により撓み変形させた状態で前記第1の基板に押し付けるとともに、前記ローラを転動させながら前記第2の基板の全面を前記第1の基板に貼合する貼合工程と、
を備えることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【背景技術】
【0002】
表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池等の電子デバイスの薄型化、軽量化に伴い、これらの電子デバイスに用いられるガラス板、樹脂板、金属板等の基板(第1の基板)の薄板化が要望されている。
【0003】
しかしながら、基板の厚さが薄くなると、基板のハンドリング性が悪化する。そのため、基板の表面に電子デバイス用の機能層(薄膜トランジスタ(TFT: Thin Film Transistor)、カラーフィルタ(CF:Color Filter))を形成することが困難になる。
【0004】
そこで、基板の裏面に補強板(第2の基板)を貼合させて、基板を補強板により補強した積層体を製造し、積層体の状態で基板の表面に機能層を形成する電子デバイスの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法では、基板のハンドリング性が向上するため、基板の表面に機能層を良好に形成できる。そして、補強板は、機能層の形成後に基板から剥離される。
【0005】
特許文献2には、基板と補強板とを貼合する貼合装置(貼り合わせ装置)が開示されている。
【0006】
特許文献2の貼合装置は、基板をその下面で吸着する上テーブルと、上テーブルの下方に配置され、補強板がその上面に載置される下テーブルとを備えている。また、下テーブルに載置された補強板の下面に接触し、補強板を自重で撓み変形させる回転ローラと、回転ローラによって撓み変形された補強板を、上テーブルに吸着されている基板に押し付ける押圧シリンダと、回転ローラ及び押圧シリンダを上テーブルの下面に対して移動させる移動機構とを備えている。
【0007】
特許文献2の貼合装置によれば、まず、上テーブルに基板を吸着するとともに、下テーブルに補強板を載置する。次に、回転ローラを押圧シリンダによって上昇させて、補強板の下面に回転ローラを接触させる。その後、回転ローラを更に上昇させて補強板を自重で撓み変形させ、この状態で補強板を基板に押し付ける。次に、回転ローラ及び押圧シリンダを、移動機構によって移動させることにより、基板に補強板を貼合する。
【0008】
特許文献2の貼合装置によれば、補強板を撓み変形させた状態で基板と貼合するので、基板と補強板との間に気泡が噛み込み難くなる。また、補強板を吸着固定していないので、補強板の歪みが少ない状態で補強板と基板とを貼合することができる。これによって、貼合後に生じる積層体の反りを低減することができる。
【0009】
ところで、特許文献2の上テーブルは、搬送機構から搬送された基板を受け取るに先立ち、まず、下面の吸着面が上方に向くように反転される。この後、吸着面から突出された複数のロッドの先端に基板が移載されると、ロッドが収縮して吸着面から没入される。この動作によって、基板が吸着面に載置され、その後、吸着面に備えられた複数の吸引孔の内圧が吸気源によって減圧される。以上の動作によって、基板がテーブルの吸着面に吸着保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2の貼合装置は、補強板を自重で撓み変形させる回転ローラの作用によって、貼合に起因する積層体の反りについては改善することができる。しかしながら、例えば、厚さ0.2mm以下の薄い基板を上テーブルに載置する際に、薄い基板自体が持っている反り、及びロッドの先端に基板が載置された際に生じる基板の自重による反りによって、基板が反った状態でテーブルに載置(多点載置とも言う。)される場合があった。この場合には、上テーブルの吸着面に基板を吸着しても、基板の全面が吸着面に倣うことができず、基板が部分的に浮いてしまうことがあった。部分的に吸着ができていない場合には、貼合後の積層体に歪みが残り、積層体に反りが発生するという問題があった。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、テーブルに対する基板の吸着方式を改善することにより、貼合後の積層体の反りを低減することができる基板の吸着装置及び基板の貼合装置及び貼合方法並びに電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の基板の吸着装置の一態様は、前記目的を達成するために、基板を吸着する吸着面を備えたテーブルと、前記テーブルの前記吸着面に設けられた複数の吸引部と、を有する基板の吸着装置において、前記複数の吸引部のうち一部の吸引部を起点とし、起点とした前記一部の吸引部から離れる方向に配置された残りの複数の吸引部を、前記離れる方向に沿って順次減圧させる制御部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様によれば、テーブルの吸着面に基板が載置されると、制御部は、複数の吸引部のうち一部の吸引部を起点とし、この一部の吸引部から離れる方向に配置された残りの複数の吸引部を、離れる方向に沿って順次減圧させる。これにより、基板は、一部の吸引部に対応する一部分を起点とし、この一部分から離れる方向に、基板自体が持つ反りが平坦に矯正されながら順次吸着されていき、基板の全面がテーブルの吸着面に吸着される。よって、本発明の一態様によれば、テーブルに対する基板の吸着方式を改善することができるので、貼合後の積層体の反りを低減することができる。
【0015】
前記制御部は、矩形状の前記テーブルの中央部に配置された前記一部の吸引部を起点とし、起点とした前記一部の吸引部から離れる方向に配置された残りの複数の吸引部を、前記離れる方向に沿って順次減圧させることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様によれば、テーブルに対して基板が、基板の中央部を起点とし、波紋状に順次吸着されていく。本発明の一態様は、複数の吸引部が複数の吸引領域に分割された形態であって、テーブルの中央部を中心に波紋状に分割されている形態である。本発明の一態様によれば、テーブルに基板を載置した初期載置時における、多点載置に起因する非吸着部分の発生を抑制することができる。
【0017】
前記制御部は、矩形状の前記テーブルの一辺部に沿って配置された前記一部の吸引部を起点とし、起点とした前記一部の吸引部から離れる方向に配置された残りの複数の吸引部を、前記離れる方向に沿って順次減圧させることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様によれば、テーブルに対して基板が、基板の一辺部を起点とし、一辺部から離れる方向に向けて順次吸着されていく。一辺部とは、一辺部の全域でもよく、一部分でもよい。
【0019】
前記複数の吸
引部は、エアー噴射部として兼用され、前記複数の吸
引部のうち、前記制御部による駆動前の前記吸
引部が、前記制御部によって前記エアー噴射部に切り換えられることが好ましい。
【0020】
本発明の一態様によれば、吸引部から噴射されるエアーによって、基板はエアーブローされながら、バキュームに切り換えられた吸引部に順次吸着されていく。これにより、テーブルの吸着面と基板との間の摩擦であって、テーブルの吸着面に基板が多点載置された場合の摩擦(初期載置部分の摩擦とも言う。)を軽減した状態で吸着を進行させることができる。
【0021】
本発明の基板の貼合装置の一態様は、前記目的を達成するために、第1の基板と第2の基板とを貼合する基板の貼合装置において、本発明の基板の吸着装置であって、前記吸着装置のテーブルによって前記第1の基板を吸着する吸着装置と、前記第2の基板を自重により撓み変形させた状態で前記第1の基板に押し付けるとともに、転動しながら前記第2の基板の全面を前記第1の基板に貼り付けるローラと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の基板の貼合方法の一態様は、前記目的を達成するために、第1の基板と第2の基板とを、吸着層を介して貼合する基板の貼合方法において、本発明の基板の吸着装置のテーブルに前記第1の基板を吸着保持する吸着工程と、ローラによって前記第2の基板を、自重により撓み変形させた状態で前記第1の基板に押し付けるとともに、前記ローラを転動させながら前記第2の基板の全面を前記第1の基板に貼合する貼合工程と、を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様によれば、テーブルに対する第1の基板の吸着方式を改善することができるので、吸着工程に起因する積層体の反りを低減することができる。また、貼合工程においても、第2の基板を自重で撓み変形させる回転ローラの作用によって、貼合工程に起因する積層体の反りを低減することができる。
【0024】
本発明の電子デバイスの製造方法の一態様は、前記目的を達成するために、第1の基板と第2の基板とを貼合することにより積層体を製造する積層体製造工程と、前記積層体の前記第1の基板の露出面に機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層が形成された前記第1の基板から前記第2の基板を分離する分離工程と、を有し、前記積層体製造工程は、本発明の吸着装置のテーブルに前記第1の基板を吸着保持する吸着工程と、ローラによって前記第2の基板を、自重により撓み変形させた状態で前記第1の基板に押し付けるとともに、前記ローラを転動させながら前記第2の基板の全面を前記第1の基板に貼合する貼合工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様によれば、電子デバイスの製造方法の積層体製造工程に、本発明の吸着工程と貼合工程とを備えることにより、貼合後の積層体の反りを低減することができる電子デバイスの製造方法を提供できる。積層体製造工程にて製造された積層体は、反りが低減されているので、機能層形成工程において、品質のよい機能層を第1の基板の露出面に形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る基板の吸着装置及び基板の貼合装置及び貼合方法並びに電子デバイスの製造方法によれば、テーブルに対する基板の吸着方式を改善することができるので、貼合後の積層体の反りを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
以下においては、本発明に係る基板の吸着装置及び基板の貼合装置及び貼合方法を、電子デバイスの製造工程で使用する場合について説明する。
【0030】
電子デバイスとは、表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池等の電子部品をいう。表示パネルとしては、液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、及び有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic Electro Luminescence Display)を例示できる。
【0031】
〔電子デバイスの製造工程〕
電子デバイスは、ガラス製、樹脂製、金属製等の基板の表面に電子デバイス用の機能層(LCDであれば、薄膜トランジスタ(TFT)、カラーフィルタ(CF))を形成することにより製造される。
【0032】
前記基板は、機能層の形成前に、その裏面が補強板に貼合されて積層体として構成される。その後、積層体の状態で基板の表面(露出面)に機能層が形成される。そして、機能層の形成後、補強板が基板から剥離される。
【0033】
すなわち、電子デバイスの製造工程には、基板と補強板とを貼合して積層体を製造する積層体製造工程、積層体の状態で基板の表面に機能層を形成する機能層形成工程、及び機能層が形成された基板から補強板を分離する分離工程が備えられる。前記積層体製造工程に、本発明に係る基板の吸着装置、基板の貼合装置、及び貼合方法が適用される。
【0034】
〔積層体1〕
図1は、積層体1の一例を示した要部拡大側面図である。
【0035】
積層体1は、機能層が形成される基板(第1の基板)2と、その基板2を補強する補強板(第2の基板)3とを備える。また、補強板3は、表面3aに吸着層としての樹脂層4が備えられ、樹脂層4に基板2の裏面2bが貼合される。すなわち、基板2は、樹脂層4との間に作用するファンデルワールス力、又は樹脂層4の粘着力によって、補強板3に樹脂層4を介して剥離可能に貼合される。
【0036】
[基板2]
基板2は、その表面2aに機能層が形成される。基板2としては、ガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、半導体基板を例示できる。これらの基板のなかでも、ガラス基板は、耐薬品性、耐透湿性に優れ、かつ、線膨張係数が小さいので、電子デバイス用の基板2として好適である。また、線膨張係数が小さくなるに従い、高温下で形成される機能層のパターンが冷却時に、ずれ難くなる利点もある。
【0037】
ガラス基板のガラスとしては、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスを例示できる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
【0038】
ガラス基板のガラスは、製造する電子デバイスの種類に適したガラス、その製造工程に適したガラスを選択して採用することが好ましい。たとえば、液晶パネル用のガラス基板には、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)を採用することが好ましい。
【0039】
基板2の厚さは、基板2の種類に応じて設定される。たとえば、基板2にガラス基板を採用する場合、その厚さは、電子デバイスの軽量化、薄板化のため、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.3mm以下、更に好ましくは0.1mm以下に設定される。厚さが0.3mm以下の場合、ガラス基板に良好なフレキシブル性を与えることができる。更に、厚さが0.1mm以下の場合、ガラス基板をローラ状に巻き取ることができるが、ガラス基板の製造の観点、及びガラス基板の取り扱いの観点から、その厚さは0.03mm以上であることが好ましい。
【0040】
なお、
図1では基板2が1枚の基板で構成されているが、基板2は、複数枚の基板で構成されたものでもよい。すなわち、基板2は、複数枚の基板を積層した積層体で構成することもできる。
【0041】
[補強板3]
補強板3としては、ガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、半導体基板を例示できる。
【0042】
補強板3の厚さは、0.7mm以下に設定され、補強する基板2の種類、厚さ等に応じて設定される。なお、補強板3の厚さは、基板2よりも厚くてもよいし、薄くてもよいが、基板2を補強するため、0.4mm以上であることが好ましい。
【0043】
なお、本例では補強板3が1枚の基板で構成されているが、補強板3は、複数枚の基板を積層した積層体で構成することもできる。
【0044】
[樹脂層4]
樹脂層4は、樹脂層4と補強板3との間で剥離するのを防止するため、補強板3との間の結合力が、基板2との間の結合力よりも高く設定される。これにより、剥離工程では、樹脂層4と基板2との界面が剥離される。
【0045】
樹脂層4を構成する樹脂は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂を例示できる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。そのなかでも、耐熱性や剥離性の観点から、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂が好ましい。
【0046】
樹脂層4の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1〜50μmに設定され、より好ましくは4〜20μmに設定される。樹脂層4の厚さを1μm以上とすることにより、樹脂層4と基板2との間に気泡や異物が混入した際、樹脂層4の変形によって、気泡や異物の厚さを吸収できる。一方、樹脂層4の厚さを50μm以下とすることにより、樹脂層4の形成時間を短縮でき、更に樹脂層4の樹脂を必要以上に使用しないため経済的である。
【0047】
なお、樹脂層4の外形は、補強板3が樹脂層4の全体を支持できるように、補強板3の外形と同一であるか、補強板3の外形よりも小さいことが好ましい。また、樹脂層4の外形は、樹脂層4が基板2の全体を密着できるように、基板2の外形と同一であるか、基板2の外形よりも大きいことが好ましい。
【0048】
また、
図1では樹脂層4が1層で構成されているが、樹脂層4は2層以上で構成することもできる。この場合、樹脂層4を構成する全ての層の合計の厚さが、樹脂層の厚さとなる。また、この場合、各層を構成する樹脂の種類は異なっていてもよい。
【0049】
更に、実施形態では、吸着層として有機膜である樹脂層4を用いたが、樹脂層4に代えて無機層を用いてもよい。無機層を構成する無機膜は、例えばメタルシリサイド、窒化物、炭化物、及び炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0050】
更にまた、
図1の積層体1は、吸着層として樹脂層4を備えているが、樹脂層4を無くして基板2と補強板3とからなる構成としてもよい。この場合には、基板2と補強板3との間に作用するファンデルワールス力等によって基板2と補強板3とが剥離可能に貼り付けられる。また、この場合には、ガラス基板である基板2とガラス板である補強板3とが高温で接着しないように、補強板3の表面3aに無機薄膜を形成することが好ましい。
【0051】
〔機能層が形成された実施形態の積層体6〕
機能層形成工程を経ることにより積層体1の基板2の表面2aには、機能層が形成される。機能層の形成方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法等の蒸着法、スパッタ法が用いられる。機能層は、フォトリソグラフィ法、エッチング法によって所定のパターンに形成される。
【0052】
図2は、LCDの製造工程の途中で製造される矩形状の積層体6の一例を示した要部拡大側面図である。
【0053】
積層体6は、補強板3A、樹脂層4A、基板2A、機能層7、基板2B、樹脂層4B、及び補強板3Bが、この順で積層されて構成される。すなわち、
図2の積層体6は、
図1に示した積層体1が、機能層7を挟んで対称に配置された積層体に相当する。以下、基板2A、樹脂層4A、及び補強板3Aからなる積層体を第1の積層体1Aと称し、基板2B、樹脂層4B、及び補強板3Bからなる積層体を第2の積層体1Bと称する。
【0054】
第1の積層体1Aの基板2Aの表面2Aaには、機能層7としての薄膜トランジスタ(TFT)が形成され、第2の積層体1Bの基板2Bの表面2Baには、機能層7としてのカラーフィルタ(CF)が形成される。
【0055】
第1の積層体1Aと第2の積層体1Bとは、互いに基板2A、2Bの表面2Aa、2Baが重ね合わされて一体化される。これにより、機能層7を挟んで、第1の積層体1Aと第2の積層体1Bとが、対称に配置された構造の積層体6が製造される。
【0056】
積層体6は、分離工程にてナイフの刃先により剥離開始部がその界面形成された後、補強板3A、3Bが順次剥離され、その後、偏光板、バックライト等が取り付けられて、製品であるLCDが製造される。
【0057】
〔実施形態の貼合装置〕
図3(A)〜(D)は、積層体製造工程に含まれる吸着工程及び貼合工程にて使用される貼合装置10の要部構成を示した側面図であって、貼付工程の動作を時系列的に示した説明図である。また、前記吸着工程にて使用される実施形態の基板の吸着装置が、貼合装置10に組み込まれている。前記吸着装置については後述する。
【0058】
〈貼合装置10〉
図3(A)〜(D)に示した貼合装置10は、ローラ16によって補強板3を、自重により撓み変形させた状態で基板2に押し付けるとともに、ローラ16を転動させながらローラ16から付与される押圧力によって補強板3の全面を基板2に貼合する装置である。
【0059】
図3(A)の如く貼合装置10は、その下面で基板2を真空吸着する上テーブル(テーブル)12と、上テーブル12の下方に配置され、その上面に補強板3が載置される下テーブル14とを備える。上テーブル12の下面と下テーブル14の上面とは平行に設定されている。また、下テーブル14の上面には、補強板3との摩擦を低減する樹脂シート15が備えられ、この樹脂シート15に補強板3が載置される。
【0060】
なお、基板2と補強板3の配置は逆であってもよい。つまり、基板2が下テーブル14に載置され、補強板3が上テーブル12に吸着されてもよい。また、貼合装置10においては、上テーブル12及び下テーブル14に対し、基板2及び補強板3を受け渡す搬送機構を備えることが好ましい。
【0061】
貼合装置10は、下テーブル14に載置された補強板3の下面に接触し、補強板3を自重で撓み変形させるローラ16と、ローラ16によって撓み変形した補強板3を上テーブル12に吸着される基板2に押し付けるシリンダ装置22とを備える。
【0062】
シリンダ装置22は、シリンダ本体24と、シリンダ本体24から突没するロッド26とから構成される。このロッド26の先端に、ローラ16が中心軸16Aを中心に回転自在に支持される。
【0063】
また、貼合装置10は、下テーブル14、ローラ16、及びシリンダ装置22を上テーブル12の下面に対して平行、かつ水平方向に一体的に移動させる移動機構(不図示)を備えている。
【0064】
図3(B)の如くローラ16は、ロッド26が突出されることにより矢印A方向に上昇され、下テーブル14に載置された補強板3の下面に接触し、補強板3を自重で撓み変形させる。ローラ16は、補強板3の損傷を抑制するため、例えば金属製のローラ本体と、ローラ本体の外周面に固定されるゴムシートとで構成され、ゴムシートが補強板3の下面に接触される。
【0065】
シリンダ装置22は、ローラ16によって撓み変形した補強板3を、上テーブル12に吸着されている基板2に押し付ける。すなわち、シリンダ装置22からローラ16に付加する荷重が与えられ、この荷重によって補強板3がローラ16を介して基板2に押し付けられる。
【0066】
〔貼合装置10による貼合方法〕
図3(B)の如くローラ16は、基板2と補強板3とを貼合する際に、シリンダ装置22によって上昇され、下テーブル14に載置された補強板3を撓み変形させて、上テーブル12に吸着されている基板2に下方から押し付ける。このとき、補強板3は、撓み変形された状態で基板2に貼合されるので、基板2と補強板3との間に気泡が噛み込み難くなる。
【0067】
この状態で、
図3(C)の如くローラ16を、前記移動機構によって矢印B方向に移動させ、基板2の右半分と補強板3の右半分とを貼合する。この後、
図3(D)の如く、ローラ16を矢印C方向に移動させ、基板2の左半分と補強板3の左半分とを貼合する。このとき、ローラ16は、補強板3の下面との間の摩擦によって転動しながら、補強板3の全面を基板2に貼合する。これにより、補強板3の全面が基板2に貼合されて、積層体1が製造される。
【0068】
図3(A)〜(D)に示した貼合工程によれば、補強板3は下テーブル14に載置されているだけであり、下テーブル14に吸着固定されていないので、補強板3の歪みが少ない状態で補強板3を基板2に貼合することができる。これにより、貼合後における積層体1(
図3(D)参照)の反りを低減できる。この効果は、基板2及び補強板3の両方がガラス板を含む場合に顕著である。
【0069】
例えば、ガラス板と、ガラス板よりも剛性の低い樹脂板とを貼り合わせた場合、樹脂板の剛性がガラス板の剛性よりも低いため、貼り合わせ後の樹脂板には歪みが生じガラス板に倣うようになる。これに対して、ガラス板には歪みがほとんど生じないので平板状となり易く、積層体が反り難い。一方で、ガラス板同士を貼合させた場合には、貼合後に両方のガラス板に歪みが生じ、一方に倣い難いため積層体が反り易くなるからである。
【0070】
なお、
図3(B)の如く、貼り付け開始時のローラ16は、補強板3の両側縁から等距離の位置に配されているが、補強板3の一方の側縁の近傍に配置し、その位置から他方の側縁に向けて移動させて、補強板3の全面を基板2に貼合してもよい。
【0071】
〔吸着装置の構成〕
図4は、本発明の基板の吸着装置を、
図3(A)〜(D)の上テーブル12に適用した上テーブル12の平面図であり、その吸着面13の略全面に複数の吸引孔(吸引部)30が碁盤目状に配置されていることが示されている。
図5は、吸引孔30に連結されたバキューム(吸引)系及びエアーブロー系を示した上テーブル12の構造図である。
【0072】
なお、
図4、
図5では、縦横のサイズが880mm×680mmの矩形状の基板2を吸着する上テーブル12を例示するが、基板2のサイズは上記サイズに限定されるものではない。また、
図4、
図5では、厚さ0.2mm以下の基板2を例示するが、この厚さに限定されるものではない。更に、上テーブル12は、前記エアーブロー系を備えているが、前記バキューム系のみ備えたものでも適用できる。
【0073】
図6(A)は、搬送機構(不図示)から搬送された基板2が上テーブル12の吸着面に載置される直前状態を示した上テーブル12の側面図、(B)は、上テーブル12の吸着面13に基板2が載置された上テーブル12の側面図である。
【0074】
図6(A)の如く、上テーブル12は、基板2を受け取るに先立ち、まず、吸着面13が上方に向くように反転される。この後、吸着面13から突出された複数のロッド32の先端に基板2が移載されると、
図6(B)の如く、ロッド32が収縮して吸着面13から没入される。この動作によって、基板2が吸着面13に載置される。このとき、基板2は、薄い基板自体が持っている反り、及びロッド32の先端に基板2が載置された際に生じる基板2の自重による反りによって、反った状態で吸着面13に載置される場合がある。この状態で基板2の全体を吸着すると、多点載置された部分が先に吸着し、先に吸着された部分の摩擦によって基板2が動くことができず、
図6(B)の破線領域Aで示すように、基板2が部分的に浮いた状態で吸着されてしまう。このような状態で
図3(A)〜(D)の如く貼合を行うと、貼合後の積層体に歪みが残り、積層体に反りが発生するという問題がある。
【0075】
そこで、実施形態の上テーブル12では、
図6(B)に示した反りを低減すべく、バキューム系及びエアーブロー系を備えるとともに、バキューム系及びエアーブロー系を制御する制御部34(
図5参照)を備えている。
【0076】
[吸引孔30の分割構造]
図4の如く、複数の吸引孔30は、吸引孔群30A、30B、30Cに3分割されている。
【0077】
吸引孔群(一部の吸引孔)30Aは、吸着面13の中央に配置された複数の吸引孔30が、互いに連通された縦横4列の通気路36によって連通されて構成される。吸引孔群30Aによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた中央領域Sが、第一次吸着領域であり、その縦aの長さが略550mmであり、横bの長さが略670mmに設定されている。
【0078】
吸引孔群(残りの複数の吸引部)30Bは、吸引孔群30Aを包囲するように枠状に配置され、複数の吸引孔30が、互いに連通された縦横4列の通気路38によって連通されて構成される。吸引孔群30Bによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた領域Tが、第二次吸着領域に設定される。なお、第二次吸着領域とは、領域Tから中央領域Sを除いた領域である。
【0079】
吸引孔群(残りの複数の吸引部)30Cは、吸引孔群30Bを包囲するように枠状に配置され、複数の吸引孔30が、互いに連通された縦4列横2列の通気路40によって連通されて構成される。吸引孔群30Cによって吸着される基板2の外縁までの領域Uが、第三次吸着領域に設定される。なお、第三次吸着領域とは、領域Uから中央領域Sと領域Tとを除いた領域である。
【0080】
基板2は、第一次吸着領域、第二次吸着領域、及び第三次吸着領域が吸着面13に順に吸着されることにより、基板2の全面が吸着面13に吸着保持される。
【0081】
[バキューム系]
図5の如く、バキューム系は、吸引ポンプ42を有している。吸引ポンプ42には、配管44が連結され、この配管44は配管44A、44B、44Cに分岐される。配管44Aは、三方弁等の切換弁46Aを介して通気路36に連通され、配管44Bは、切換弁46Bを介して通気路38に連通され、配管44Cは、切換弁46Cを介して通気路40に連通される。また、配管44Aには、配管44Aの内圧を検出する圧力計48Aが設けられ、配管44Bには、配管44Bの内圧を検出する圧力計48Bが設けられ、配管44Cには、配管44Cの内圧を検出する圧力計48Cが設けられている。
【0082】
したがって、バキューム系によれば、切換弁46A、46B、46Cがバキューム系側の閉位置にそれぞれ切り換えられている状態において、吸引ポンプ42を駆動して切換弁46Aを開放すると、配管44A、及び通気路36を介して吸引孔群30Aの各吸引孔30が減圧される。これにより、基板2の第一次吸着領域が吸着面13に吸着される。そして、切換弁46Bを開放することにより、配管44B、及び通気路38を介して吸引孔群30Bの各吸引孔30が減圧されるので、基板2の第二次吸着領域が吸着面13に吸着される。そして、切換弁46Cを開放することにより、配管44C、及び通気路40を介して吸引孔群30Cの各吸引孔30が減圧される。これにより、基板2の第三次吸着領域が吸着面13に吸着される。
【0083】
[エアーブロー系]
図5の如く、エアーブロー系は、圧縮エアー供給ポンプ(以下、供給ポンプと言う。)50を有している。供給ポンプ50には、配管52が連結され、この配管52は大気開放切換弁(以下、切換弁と言う。)54を介して配管52A、52B、52Cに分岐される。配管52Aは、切換弁46Aを介して通気路36に連通され、配管52Bは、切換弁46Bを介して通気路38に連通され、配管52Cは、切換弁46Cを介して通気路40に連通される。
【0084】
したがって、エアーブロー系によれば、切換弁54が供給ポンプ50側に切り換えられるとともに、切換弁46Aがエアーブロー系側に換えられている状態で、供給ポンプ50を駆動すると、供給ポンプ50からの圧縮エアーが配管44A、及び通気路36を介して吸引孔群30Aの各吸引孔30に供給される。これにより、圧縮エアーは、各吸引孔30から噴射され、基板2の第一次吸着領域がエアーブローされる。
【0085】
また、切換弁46Bがエアーブロー系側に換えられると、供給ポンプ50からの圧縮エアーが配管44B、及び通気路38を介して吸引孔群30Bの各吸引孔30に供給される。これにより、圧縮エアーは、各吸引孔30から噴射され、基板2の第二次吸着領域がエアーブローされる。
【0086】
更に、切換弁46Cがエアーブロー系側に換えられると、供給ポンプ50からの圧縮エアーが配管44C、及び通気路40を介して吸引孔群30Cの各吸引孔30に供給される。これにより、圧縮エアーは、各吸引孔30から噴射され、基板2の第三次吸着領域がエアーブローされる。
【0087】
[制御部34]
制御部34には、基板2が吸着面13に確実に吸着されたことを示す圧力値が記憶されており、圧力計48A、48B、48Cから出力される配管44A、44B、44Cの内圧(圧力)値に基づいて、切換弁46A、46B、46Cの動作を制御する。
【0088】
具体的に制御部34は、切換弁46Aをバキューム系に切り換えた後、圧力計48Aから出力される配管44Aの内圧値が、前記圧力値に到達したことを検知すると、つまり、基板2の第一次吸着領域が吸着面13に確実に吸着されると、切換弁46Bをエアーブロー系からバキューム系に切り換える。また、圧力計48Bから出力される配管44Bの内圧値が、前記圧力値に到達したことを検知すると、つまり、基板2の第二次吸着領域が吸着面13に確実に吸着されると、切換弁46Cをエアーブロー系からバキューム系に切り換える。
【0089】
すなわち、配管44Aの内圧値が、前記圧力値に到達するまでは、吸引孔群30B、30Cの各吸引孔30からは供給ポンプ50からの圧縮エアーが噴射されており、基板2の第二次吸着領域及び第三次吸着領域がエアーブローされる。そして、配管44Bの内圧値が、前記圧力値に到達するまでは、吸引孔群30Cの各吸引孔30から供給ポンプ50からの圧縮エアーが噴射されており、基板2の第三次吸着領域がエアーブローされる。
【0090】
なお、制御部34は、
図3(A)〜(D)に示した貼合工程が終了すると、切換弁46A、46B、46Cをエアーブロー系に切り換えるとともに、切換弁54を大気開放側に切り換えて、減圧を大気に戻し、上テーブル12による積層体1の吸着保持を解除する。
【0091】
〔上テーブル12の作用〕
図7(A)、(B)、(C)、(D)は、吸引孔群30A、30B、30Cが順次減圧されて、上テーブル12の吸着面13に基板2が順次吸着されていくことを時系列的に示した説明図である。
【0092】
図7(A)の如く、上テーブル12の吸着面13に基板2が載置されると、制御部34は、まず、
図7(B)の如く吸引孔群30Aをバキューム系に切り換えて減圧する。これにより、基板2の第一次吸着領域が吸着面13に吸着される。次に、第一次吸着領域が吸着面13に確実に吸着されると、制御部34は、吸引孔群30Aを起点とし、吸引孔群30Aから離れる方向に配置された吸引孔群30Bを、
図7(C)の如く、バキューム系に切り換えて駆動する。これにより、基板2の第二次吸着領域が吸着面13に吸着される。次に、第二次吸着領域が吸着面13に確実に吸着されると、制御部34は、吸引孔群30Aから更に離れる方向に配置された吸引孔群30Cを、
図7(D)の如く、バキューム系に切り換えて減圧する。これにより、基板2の第三次吸着領域が吸着面13に吸着され、基板2の全面が吸着面13に確実に吸引される。
【0093】
すなわち、上テーブル12の吸着面13に載置された基板2は、吸引孔群30Aに対応する中央部を起点とし、中央部から離れる方向に、基板2自体が持つ反りが平坦に矯正されながら吸着面13に波紋状に順次吸着されていき、基板2の全面が吸着面13に吸着される。よって、実施形態の上テーブル12によれば、上テーブル12に対する基板2の吸着方式を改善することができるので、貼合後の積層体1の反りを低減することができる。また、上テーブル12に基板2を載置した初期載置時における、多点載置に起因する非吸着部分の発生を抑制することができる。
【0094】
更に、吸引孔群30B、30Cは、エアーブロー用のエアー噴射部として兼用されており、バキューム系に切り換えられる駆動前の吸引孔群30B、30Cが、制御部34によってエアーブロー系に切り換えられている。
【0095】
これにより、吸引孔群30B、30Cから噴射されるエアーによって、基板2はエアーブローされながら、バキューム系に切り換えられた吸引孔群30B、30Cに順次吸着されていく。このようにエアーブローを行うことにより、上テーブル12の吸着面13と基板2との間の摩擦であって、吸着面13に基板2が多点載置された場合の摩擦を軽減した状態で吸着を進行させることができる。なお、
図7(A)の載置状態で吸引孔群30Aをエアー噴射部として使用し、その後、バキューム系に切り換えてもよい。
【0096】
図8は、上テーブル12の他の態様を示す上テーブル12の平面図である。
【0097】
図8に示す上テーブル12の複数の吸引孔30は、矩形状の上テーブル12の長辺に平行な吸引孔群30D、30E、30F、30G、30Hに5分割されている。
【0098】
吸引孔群(一部の吸引孔)30Dは、
図8において、吸着面13の下辺(一辺部の全域)に沿って2列に配置された複数の吸引孔30が、枠状の通気路56によって連通されて構成される。吸引孔群30Dによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた中央領域Iが、第一次吸着領域である。
【0099】
吸引孔群(残りの複数の吸引部)30E、30F、30G、30Hも同様に、吸着面13の下辺に沿って2列に配置された複数の吸引孔30が、枠状の通気路56によって連通されて構成される。吸引孔群30E、30F、30G、30Hによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた中央領域J、K、L、Mが、第二次吸着領域、第三次吸着領域、第四次吸着領域、第五次吸着領域である。
【0100】
基板2は、第一次吸着領域から第五次吸着領域が吸着面13に順に吸着されることにより、基板2の全面が吸着面13に吸着保持される。
【0101】
図9は、上テーブル12の他の態様を示す上テーブル12の平面図である。
【0102】
図9の如く、複数の吸引孔30は、吸引孔群30N、30P、30Q、30Rに4分割されている。
【0103】
吸引孔群(一部の吸引孔)30Nは、吸着面13の短辺の中央(一辺部の一部)に配置された複数の吸引孔30が、互いに連通された縦6列横4列の通気路58によって連通されて構成される。吸引孔群30Nによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた中央領域Nが、第一次吸着領域である。
【0104】
吸引孔群(残りの複数の吸引部)30Pは、吸引孔群30Nを包囲するようにU字状に配置され、複数の吸引孔30が、互いに連通された縦横2列の通気路60によって連通されて構成される。吸引孔群30Pによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた領域Pが、第二次吸着領域に設定される。なお、第二次吸着領域とは、領域Pから領域Nを除いた領域である。
【0105】
吸引孔群(残りの複数の吸引部)30Qは、吸引孔群30Pを包囲するようにU字状に配置され、複数の吸引孔30が、互いに連通された縦横2列の通気路62によって連通されて構成される。吸引孔群30Qによって吸着される基板2の一点鎖線で囲まれた領域Qが、第三次吸着領域に設定される。なお、第三次吸着領域とは、領域Qから領域N、Pを除いた領域である。
【0106】
吸引孔群(残りの複数の吸引部)30Rは、吸引孔群30Qを包囲するようにU字状に配置され、複数の吸引孔30が、互いに連通された縦横2列の通気路64によって連通されて構成される。吸引孔群30Rによって吸着される基板2の外縁までの領域Rが、第四次吸着領域に設定される。なお、第四次吸着領域とは、領域Rから領域N、P、Rを除いた領域である。
【0107】
基板2は、第一次吸着領域から第四次吸着領域が吸着面13に順に波紋状に吸着されることにより、基板2の全面が吸着面13に吸着保持される。
【0108】
〔貼合装置10の特徴〕
上テーブル12を備えた
図3(A)〜(D)の貼合装置10によれば、上テーブル12に対する基板2の吸着方式を改善することができるので、吸着工程に起因する積層体1の反りを低減することができる。また、貼合工程においても、補強板3を自重で撓み変形させるローラ16の作用によって、貼合工程に起因する積層体1の反りを低減することができる。
【0109】
〔電子デバイスの製造方法の特徴〕
電子デバイスの製造方法の積層体製造工程に、貼合装置10の吸着工程と貼合工程とを備えたので、貼合後の積層体1の反りを低減することができる電子デバイスの製造方法を提供できる。積層体製造工程にて製造された積層体1は、反りが低減されているので、機能層形成工程において、品質のよい機能層を基板2の表面2aに形成することができる。
【0110】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に制限されない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0111】
例えば、実施形態の貼合装置10及び吸着装置である上テーブル12は、電子デバイスの製造工程において用いられる積層体1の製造に用いられるが、貼合装置10及び上テーブル12の用途は多種多様であってよい。
【0112】
また、本出願は、2014年10月29日出願の日本特許出願2014−220107に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。