(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、上記スライド弁の設置時やメンテナンス時、あるいは上記空気圧回路のメンテナンス時に、作業者が手動で、CLOSEポートが大気解放されている状態で、OPENポートから空気圧回路内に圧縮空気を供給する場合がある。本来、このような作業者の操作は規制されているが、作業者の知識が不十分な場合に、そのような操作が行われる場合がある。
【0008】
具体的には、OPENポートから圧縮空気が供給され、圧縮空気が、回路内に設置されたスピードコントローラや複動式のエアシリンダに供給されると、次のような問題が発生する。CLOSE側の回路が大気解放の状態では、CLOSE側の回路によるエアクッションがほとんど作用しない。例えば、エアシリンダ内の残圧が実質的にない状態では、スピードコントローラのエアクッション機能が実質的に無効となってしまう。特に、エアシリンダの弁体が大型化すると圧縮空気により加速された弁体が速度エネルギーを慣性として溜め込み、ストロークエンドにて、そのエネルギーを一気に放出する結果となり、これによりスライド弁が破壊されるおそれがある。弁体が比較的小型であれば、慣性が小さいので問題はないが、それが大型されてくると、構造だけでは、当該問題をカバーできなくなる。このように、CLOSE側の回路が大気解放の状態で、OPENポートからの圧縮空気が供給されると、回路内の機器が故障するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、複動式の気体圧シリンダを利用する気体圧駆動回路において、2つの供給ポートのうち一方の供給ポートが解放された状態で、他方の供給ポートから圧縮気体が供給された場合であっても、回路内に機器に悪影響を与えないインターロック装置、およびこれを備える気体圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るインターロック装置は、第1路、第2路、第1パイロット路、第1切替弁、第3路、第1チェック弁、および圧力調整弁を具備する。
前記第1路は、第1供給ポートおよび第1出力ポートを有する。
前記第2路は、第2供給ポートおよび第2出力ポートを有する。
前記第1パイロット路は、前記第2路に接続されている。
前記第1切替弁は、前記第1パイロット路に接続され、前記第2路からの圧縮気体により前記第1路を開操作する。
前記第1チェック弁は、前記第1パイロット路に設けられ、前記第2路への流れを遮断する。
前記第3路は、前記第1チェック弁と前記第1切替弁との間の前記第1パイロット路に接続されている。
前記圧力調整弁は、前記第3路に設けられている。
【0011】
第1パイロット路、第1チェック弁、第3路、および圧力調整弁の機能により、第2供給ポートが解放された状態において、たとえ第1供給ポートが解放されていたとしても、第1切替弁は第1路を閉操作しているので、第2路側へ圧縮気体が供給されない。これにより、例えば装置の設置時またはメンテナンス時の作業者の誤操作があった場合でも、このインターロック装置に接続される回路内の機器に悪影響が及ぶことを回避できる。
【0012】
前記インターロック装置は、前記第1路からの圧縮気体により、前記第1切替弁の前記第1路の開操作を保持する自己保持回路をさらに具備してもよい。
第1供給ポートを介して第1路内が圧縮気体が供給され、第1路内が圧縮状態にある場合、第1パイロット路において第2路からの圧縮気体が解放された状態でも、第1切替弁による開操作を保持することができる。
【0013】
前記自己保持回路は、第2パイロット路と、第2チェック弁と、第2切替弁とを有していてもよい。
前記第2パイロット路は、前記第1チェック弁の出力側と前記第1切替弁との間の、前記第1パイロット路の第1の位置と、前記第1切替弁の出力側の、前記第1路の第2の位置との間に接続されている。
前記第2チェック弁は、前記第2パイロット路に設けられ、前記第1の位置から前記第2の位置への流れを遮断する。
前記第2切替弁は、前記第1路からの圧縮気体により前記第3路を閉操作する。
第2切替弁による第3路の閉操作により、第2パイロット路内の圧縮気体が第1切替弁に作用してその開操作を保持することができる。
【0014】
前記インターロック装置は、前記第2路からの圧縮気体により前記第3路を閉操作する第3切替弁をさらに具備してもよい。
第2供給ポートを介して第2路内が圧縮気体が供給され、第2路内が圧縮状態にある場合、第3切替弁の閉操作により、第1パイロット路内の圧縮気体が第1切替弁に作用してその開操作を保持することができる。
【0015】
本発明の一形態に係る気体圧装置は、複動式シリンダを含む気体圧駆動回路と、前記気体圧駆動回路に接続可能な上述のインターロック装置とを具備する。
前記気体圧駆動回路は、前記第1出力ポートと前記複動式シリンダの第1ポートとの間に接続された第1供給路と、前記第2出力ポートと前記複動式シリンダの第2ポートとの間に接続された第2供給路とを有していてもよい。
【0016】
本発明の他の形態に係る気体圧装置は、複動式シリンダと、第1供給路と、第2供給路と、切替パイロット路と、切替弁と、チェック弁と、解放路と、バイパス路と、3方切替パイロット路と、3方切替弁とを具備する。
前記複動式シリンダは、第1ポートおよび第2ポートを有する。
前記第1供給路は、第1供給ポートを有し、前記第1ポートに接続されている。
前記第2供給路は、第2供給ポートを有し、前記第2ポートに接続されている。
前記切替パイロット路は、前記第2供給路に接続されている。
前記切替弁は、切替パイロット路に接続され、前記第2供給路からの圧縮気体により前記第1供給路を開操作する。
前記チェック弁は、前記第2供給ポートと、前記第2供給路への前記切替パイロット路の接続位置との間に設けられ、前記第2供給ポートへの流れを遮断する。
前記解放路は、前記チェック弁の入力側および出力側の間に、前記チェック弁に並列に接続されている。
前記バイパス路は、前記切替弁を迂回して前記第1供給路に接続されている。
前記3方切替パイロット路は、前記第1供給路に接続されている。
前記3方切替弁は、前記3方切替パイロット路に接続され、前記第1供給路からの圧縮気体により、前記第1供給路、前記解放路、および前記バイパス路を開操作する。
【0017】
切替パイロット路、チェック弁、および、解放路を閉塞している3方切替弁の機能により、切替パイロット路に圧縮空気が供給されている時に切替弁が第1供給路を開操作することができる。つまり、第2供給ポートが解放された状態において、たとえ第1供給ポートが解放されていたとしても、切替弁は第1供給路を閉操作しているので、第2供給路側へ圧縮気体が供給されない。これにより、例えば装置の設置時またはメンテナンス時の作業者の誤操作があった場合でも、気体圧駆動回路内の機器に悪影響が及ぶことを回避できる。
【0018】
前記気体圧装置は、接続路と、前記接続路に設けられた接続路チェック弁と、前記第1供給路に接続されたポートを有する単動式シリンダとをさらに具備してもよい。
前記第1供給路は、第1主路と、第2主路とを有していてもよい。
前記第1主路は、前記複動式シリンダの前記第1ポートに接続された前記3方切替弁の出力側で前記接続路に接続されている。
前記第2主路は、前記切替弁の出力側で前記第1供給路が前記第1主路とともに分岐するようにして前記単動式シリンダの前記ポートに接続され、前記3方切替パイロット路が接続され、前記3方切替パイロット路と前記単動式シリンダの前記ポートとの間に前記接続路が接続されている。
前記接続路チェック弁は、前記第2主路から前記第1主路への流れを遮断するように構成されていてもよい。
【0019】
前記気体圧装置は、気体圧装置前記第1供給路および前記第2供給路のうち少なくとも一方に設けられたスピードコントローラをさらに具備してもよい。
このように、スピードコントローラが設けられる気体圧装置であっても、スピードコントローラが有効に機能する。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によれば、複動式シリンダを利用する気体圧駆動回路において、2つの供給ポートのうち一方の供給ポートが解放された状態で、他方の供給ポートから圧縮気体が供給された場合であっても、回路内に機器に悪影響を与えることがない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る気体圧装置の回路の構成を示す図である。本実施形態では、気体として、典型的には空気が利用される。
【0025】
気体圧装置100は、気体圧駆動回路(以下、単に、駆動回路と言う。)50と、この駆動回路50に接続可能なインターロック装置70とを備える。駆動回路50は、典型的には、上記特許文献1に開示された「スライド弁」を駆動する空気圧回路(シーケンス回路)に相当する回路である。このスライド弁は、いわゆる振り子式ゲート弁である。
【0027】
駆動回路50は、少なくとも複動式シリンダ11を備え、また、例えば単動式シリンダ13も備える。
【0028】
複動式シリンダ11は、第1ポート111および第2ポート112を備える。第1ポート111は、第1供給路30に接続され、第2ポート112は、第2供給路40に接続されている。第1供給路30から第1ポート111を介して複動式シリンダ11内に供給される圧縮空気により、ピストン11aは伸長方向(
図1において右方向)に駆動される。第2供給路40から第2ポート112を介して複動式シリンダ11内に供給される圧縮空気により、ピストン11aは収縮方向(
図1において左方向)に駆動される。
【0029】
単動式シリンダ13は、第1供給路30に接続された1つのポート13bを備える。単動式シリンダ13は、第1供給路30から当該ポート13bを介してシリンダ内に供給される圧縮空気により、バネの付勢力に抗してピストン13aを押圧するように構成されている。
【0030】
上記したように、この駆動回路50には図示しないスライド弁が接続されている。スライド弁は、第1弁部および第2弁部を備えている。
【0031】
第1弁部は、上記複動式シリンダ11により、弁箱に設けられた特定の軸を中心に回転するように駆動される。これにより弁箱に設けられた開口部が開閉される。第1弁部は、例えば特許文献1に開示されたスライド弁の中立弁部に相当する。第1弁部は、例えば
図1において、ピストン11aの伸長方向の駆動により、開口部を開くように駆動され、また、ピストン11aの収縮方向に駆動により、開口部を閉じるように駆動される。
【0032】
第2弁部は、上記単動式シリンダ13により駆動され、第1弁部に搭載されている。単動式シリンダ13が非駆動状態(
図1に示す状態)で、第1弁部が開口部を閉じている状態で、第2弁部は、上記バネ力により、開口部をシールするように構成されている。例えば、図示しないが、弁箱の開口部の周囲に設けられた被シール面に、弁体(例えば円環状の可動枠)が当接して開口部がシールされる。
【0033】
この単動式シリンダ13のピストン13aが上記圧縮空気により駆動されることで、第2弁部は開口部を非シール状態とする。具体的には、上記弁体が被シール面から離接されるように駆動される。例えば、第2弁部は、例えば特許文献1に開示されたスライド弁の円環状エアシリンダに相当し、第2弁部の機構は単動式シリンダ13の機構と一体化されている。
【0034】
この駆動回路50は、OPEN接続ポート30aおよびCLOSE接続ポート40aを備える。具体的には、第1供給路30がOPEN接続ポート30aを有し、第2供給路40がCLOSE接続ポート40aを有する。OPEN接続ポート30aおよびCLOSE接続ポート40aには、インターロック装置70のOPEN出力ポート71bおよびCLOSE出力ポート72bがそれぞれ接続される。
【0035】
第1供給路30は、第1主路31および第2主路32を有する。第1主路31は、複動式シリンダ11の第1ポート111に接続されている。第2主路32は、第1供給路30が分岐点Xで分岐するようにして単動式シリンダ13のポート13bに接続されている。
【0036】
第1主路31には、分岐点Xから複動式シリンダ11にかけて、2方切替弁(2チャンネル2方弁)20およびスピードコントローラ15が、順に設けられている。
【0037】
第2主路32には、分岐点Xから単動式シリンダ13にかけて、スピードコントローラ17、チェック弁23、およびメンテナンススイッチ25が、順に設けられている。また、第2主路32には、リミッタスイッチ弁19が、リミッタスイッチ操作路34によってチェック弁23に並列に接続されている。さらに、第2主路32には、上記2方切替弁20に接続された2方切替パイロット路28が接続されている。
【0038】
第1主路31と第2主路32との間には、接続路35が接続されている。接続路35の一端(第1主路31側)は、スピードコントローラ15と2方切替弁20との間に接続されている。接続路35の他端(第2主路32側)は、チェック弁23と2方切替パイロット路28との間に接続されている。接続路35には、第2主路32から第1主路31への流れを遮断する接続路チェック弁22が設けられている。
【0039】
第2供給路40には、CLOSE接続ポート40aから複動式シリンダ11にかけて、チェック弁21およびスピードコントローラ16が、順に設けられている。チェック弁21は、CLOSE接続ポート40aから複動式シリンダ11への流れを許容する(その逆の流れを遮断する)機能を有する。2方切替弁20は、解放路42によってこのチェック弁21に並列に接続されている。スピードコントローラ15、16、17としては、クッション機能(圧力調整弁)付きのものを用いることができる。
【0040】
2方切替弁20は、第2主路32からの圧縮空気により、バネ力に抗して、第1主路31および解放路42を開操作(導通)するように構成されている。
【0041】
図1に示すように複動式シリンダ11のピストン11aが収縮状態にあるとき、つまり、弁箱の開口部が閉じた状態にあるとき、そのピストン11aが、リミッタスイッチ弁19を押圧する。この押圧状態では、リミッタスイッチ弁19をバネ力に抗して、リミッタスイッチ操作路34を開操作している状態を維持する。
【0043】
インターロック装置70は、OPEN供給ポート(第1供給ポート)71aおよびOPEN出力ポート(第1出力ポート)71bを有する第1路71を備える。また、インターロック装置70は、CLOSE供給ポート72a(第2供給ポート)およびCLOSE出力ポート(第2出力ポート)72bを有する第2路72を備える。
【0044】
OPEN供給ポート71aおよびCLOSE供給ポート72aは、例えば図示しない5方弁に接続される。5方弁は、例えば1つの入力ポート、この入力ポートに接続される2つの出力ポート、およびこれら2つの出力ポートにそれぞれつながる2つの排気ポートを有する。上記2つの出力ポートが、OPEN供給ポート71aおよびCLOSE供給ポート72aに接続される。5方弁は、例えば電磁弁で構成される。
【0045】
5方弁の操作により、あるタイミングで2つの出力ポートのうち一方が入力ポートに接続され、またそれとは別のタイミングで他方の出力ポートが入力ポートに接続される。この操作により、OPEN供給ポート71aおよびCLOSE供給ポート72aを介して同時に、インターロック装置70に圧縮空気が供給されることはなく、片方ずつから圧縮空気がインターロック装置70に供給される。なお、5方弁の代わりに、1つの排気ポートを有する4方電磁弁が用いられる場合もある。
【0046】
第1路71には第1切替弁73が設けられている。第1切替弁73には、第1チェック弁75を介して第2路72に接続された第1パイロット路81が接続されている。第1チェック弁75は、第2路72への流れを遮断する機能を有する。第1パイロット路81を通る第2路72からの圧縮空気により、第1切替弁73は、バネ力に抗して第1路71を導通させる。
【0047】
第1切替弁73の出力側から、第1パイロット路81へ合流するように第2パイロット路82が設けられている。具体的には、第2パイロット路82は、第1パイロット路81上の第1の位置81aと、第1路71上の第2の位置71cとの間に接続されている。第1の位置81aは、第1チェック弁75の出力側と第1切替弁73との間の点である。第2の位置71cは、第1切替弁73の出力側とOPEN出力ポート71bとの間の点である。第2パイロット路82には、第1の位置81aから第2の位置71cへの流れを遮断する第2チェック弁76が設けらている。
【0048】
第1チェック弁75と、第1パイロット路81の第1の位置81aとの間には、減圧路(第3路)83の一端が接続されている。減圧路83には、圧力調整弁としての絞り弁(または可変絞り弁)79が設けられている。
【0049】
減圧路83の、上記一端と絞り弁79との間には、この減圧路83を開閉する第2切替弁77および第3切替弁78が設けらている。第2切替弁77には第1路71からのパイロット路が接続されている。第2切替弁77は、第1路71からの圧縮空気により、バネ力に抗して減圧路83を閉操作(遮断)する機能を有する。第3切替弁78には第2路72からのパイロット路が接続されている。第3切替弁78は、第2路72からの圧縮空気により、バネ力に抗して減圧路83を遮断する機能を有する。
【0051】
次に、以上のように構成された気体圧装置100の動作を説明する。
図2〜5は、その動作における気体圧装置100の空気圧の状態を順に示す図である。これらの図において、太線で示した路が、圧縮空気が供給されている路を示す。細線(太線でない通常の太さの線)で示した路が、大気圧、または実質的に大気圧に近い状態の路を示す。
【0052】
気体圧装置100の非動作状態または初期状態は、
図1に示されている。この気体圧装置100は、例えばノーマリクローズド型の装置である。すなわち、非動作状態では、すべての路が大気圧の状態で、図示しないスライド弁において、第1弁部が閉状態となっており、かつ、第2弁部がシールされた状態となっている。
【0053】
図2は、
図1に示す状態と同じ状態を示しており、
図1と
図2とで異なる点は、
図2では、CLOSE供給ポート72aから第2路72および第2供給路40に圧縮空気が供給されている点である。
【0054】
図2に示すように、CLOSE供給ポート72aから第2路72に圧縮空気が供給されると、インターロック装置70では、第2路72から第1パイロット路81へ圧縮空気が供給される。これにより、第1チェック弁75が開くので、第1切替弁73がバネ力に抗して動作し、第1路71が開状態となる。第1路71は、開状態であり大気解放されている。また、第2路72からの圧縮空気により、第3切替弁78が減圧路83を遮断する。
【0055】
駆動回路50では、第2供給路40の圧縮空気により、複動式シリンダ11のピストン11aが収縮状態にある。シリンダ内の斜線は、圧縮空気が供給されていることを示す。
【0056】
図3に示すように、
図2の状態から、CLOSE供給ポート72aが大気解放されるとともに、OPEN供給ポート71aから圧縮空気が供給される。そうすると、第1路71から第2パイロット路82へ圧縮空気が供給されるので、第1パイロット路81は、そのまま圧縮空気の状態を維持する。したがって、第1切替弁73は、そのまま第1路71の開状態を保持する。
【0057】
図3では、第2路72が大気解放されるので、第3切替弁78がバネの復元力で減圧路83を導通させる。また、この導通とともに、第1路71からの圧縮空気により、第2切替弁77が減圧路83を遮断する。
図3では、第2切替弁77の操作状態が変わる直前の状態、つまり、減圧路83を遮断する直前の状態を示している。第2切替弁77による閉操作と、第3切替弁78による開操作とは、実質的に同時に行われる。そして次の
図4に示すように、第2切替弁77により減圧路83が遮断される。
【0058】
ここで、第2切替弁77による閉操作と第3切替弁78による開操作のタイミングの差があってもよい。この場合、どちらの操作が先であってもよい。第2切替弁77および第3切替弁78により同時に減圧路83が開状態となっている(
図3参照)ようなわずかな期間があったとしても、絞り弁79が設けられているため、減圧路83が急激に大気解放されないようになっている。
【0059】
駆動回路50では、
図3に示すように、第1供給路30からの圧縮空気により、バネ力に抗して2方切替弁20が切り替えられようとする。
図3では、2方切替弁20が切り替えられる直前の状態が示されている。次の
図4に示すように、この2方切替弁20の切り替えにより、第1供給路30の第1主路31(および解放路42)が開状態となる。また、第1供給路30(第2主路32)の圧縮空気は、単動式シリンダ13へ供給され、ピストン13aをバネ力に抗して押圧し、伸長させる。これにより、図示しないスライド弁の第2弁部が非シール状態となる。
【0060】
次に、
図4に示すように、インターロック装置70では、第2切替弁77による減圧路83の遮断により、減圧路83および第1パイロット路81が閉状態となる。これにより、第1切替弁73による第1路71の開状態が保持される。第2パイロット路82、第2チェック弁76、および第2切替弁77により、第1切替弁73の第1路71の導通を保持する自己保持回路が構成される。
【0061】
図4に示すように、上述のように2方切替弁20が切り替えられ、第1供給路30の第1主路31が開状態となると、第1主路31から圧縮空気が複動式シリンダ11の第1ポート111に供給される。また、2方切替弁20が切り替えられ、解放路42が開状態となると、第2供給路40が大気解放される。この2方切替弁20の第1主路31および解放路42の導通により、複動式シリンダ11のピストン11aが伸長する方向に駆動される。これにより、図示しないスライド弁の第1弁部が開状態となる。
【0062】
図4の状態では、複動式シリンダ11のピストン11aが伸長する方向に駆動されると、リミッタスイッチ弁19が、バネの復元力により、リミッタスイッチ操作路34を遮断する。これにより、次の
図5に示すように、OPEN供給ポート71aが大気解放された場合でも、単動式シリンダ13の非シール状態が維持される。
【0063】
図5に示すように、OPEN供給ポート71aから第1路71および第1供給路30が大気解放されるとともに、CLOSE供給ポート72aから第2路72および第2供給路40に圧縮空気が供給される。そうすると、インターロック装置70では、第2切替弁77がバネの復元力により戻るが(
図2参照)、第3切替弁78が第2路72からの圧縮空気により、減圧路83を遮断しようとする。これにより、第1切替弁73による第1路71の開操作が保持される。
【0064】
駆動回路50では、複動式シリンダ11のピストン11aが収縮する方向に駆動される。また、2方切替弁20がバネの復元力により戻り、第1主路31および解放路42が遮断される。したがって、複動式シリンダ11の第1ポート111側に残っていた圧縮気体は、第1主路31からは解放されない。しかし、
図5に示すように、第2主路32においてチェック弁よりOPEN供給ポート71a側の路は大気解放される。したがって、接続路チェック弁22が開き、複動式シリンダ11の第1ポート111側に残っていた圧縮気体が、第1主路31、接続路35、第2主路32(第1供給路30)、および第1路71を介して、OPEN供給ポート71aから排出される。
【0065】
図5の状態の後、気体圧装置100の状態は
図2の状態に戻る。この場合、駆動回路50では、複動式シリンダ11のピストン11aが収縮する方向に駆動されることで、リミッタスイッチ弁19がバネ力に抗して動作し、リミッタスイッチ操作路34を介して単動式シリンダ13内が解放される(
図2参照)。これにより、図示しないスライド弁において、第1弁部が閉操作され、第2弁部がシール操作される。
【0066】
なお、以上の説明では、第1切替弁73は常時開操作の状態とされた。しかし、インターロック装置70内の各弁の設計等によっては、OPEN供給ポート71aおよびCLOSE供給ポート72aの交互の切り替え時に、第1切替弁73が瞬間的に閉操作される場合もある。この場合でも、インターロック装置70および駆動回路50の全体的な動作への実質的な影響はない。
【0068】
1.4.1)インターロック装置が設けられていない駆動回路の問題点
【0069】
次に、上記インターロック装置70が設けられていない駆動回路50の問題点について説明する。例えば、上記スライド弁の設置時やメンテナンス時、あるいは上記駆動回路50のメンテナンス時に、作業者が手動で、CLOSE接続ポート40aが大気解放されている状態で、OPEN接続ポート30aから駆動回路50内に圧縮空気を供給する場合がある。本来、このような作業者の操作は規制されているが、作業者の知識が不十分な場合に、そのような操作が行われる場合がある。
【0070】
具体的には、OPEN接続ポート30aから圧縮空気が供給され、圧縮空気が、スピードコントローラ17、15や複動式シリンダ11に供給されると、CLOSE側の回路が大気圧の状態では、CLOSE側の回路によるエアクッションがほとんど作用しない。したがって、その状態で、スピードコントローラ17、15や複動式シリンダ11等の機器に、OPEN接続ポート30aからの圧縮空気が供給されると、それらの機器に圧縮空気による衝撃が加えられ、機器が故障するおそれがある。特に、複動式シリンダ11の弁体が大型化すると圧縮空気により加速された弁体が速度エネルギーを慣性として溜め込み、ストロークエンドにて、そのエネルギーを一気に放出する結果となり、これによりスライド弁が破壊されるおそれがある。
【0071】
1.4.2)本実施形態に係るインターロック装置の利点
【0072】
本実施形態に係るインターロック装置70は、上述した構成および動作により、以下の利点を有する。第1パイロット路81、第1チェック弁75、減圧路83、および圧力調整弁の機能により、CLOSE供給ポート72aが解放された状態において、たとえOPEN供給ポート71aが解放されていたとしても、第1切替弁73は第1路71を閉操作しているので(
図1参照)、第2路72側へ圧縮気体が供給されない。これにより、例えば作業者の上述した誤操作があった場合でも、駆動回路50内の機器に悪影響が及ぶことを回避できる。
【0073】
また、本実施形態では、第2パイロット路82、第2チェック弁76、および第2切替弁77により、第1切替弁73の第1路71の導通を保持する自己保持回路が構成される。これにより、OPEN供給ポート71aを介して第1路71内が圧縮空気が供給され、第1路71内が圧縮状態にある場合、第1パイロット路81において第2路72からの圧縮気体が解放された状態でも、第1切替弁73による開操作を保持することができる(
図4参照)。
【0074】
特に、第2切替弁77による減圧路83の閉操作により、第2パイロット路82内の圧縮空気が第1切替弁73に作用してその開操作を保持することができる。また、第2供給ポートを介して第2路72内が圧縮気体が供給され、第2路72内が圧縮状態にある場合、第3切替弁78の閉操作により、第1パイロット路81内の圧縮空気が第1切替弁73に作用してその開操作を保持することができる。
【0075】
1.4.3)作業者による他の誤操作に対する対策
【0076】
本技術は、装置のメンテナンス時に、作業者が手動で、CLOSE接続ポート40aが大気解放されている状態で、OPEN接続ポート30aから駆動回路50内に圧縮空気を供給する場合についての問題を解決するものである。
【0077】
これに対し、OPEN接続ポート30aから圧縮空気が供給されている状態、かつ、CLOSE接続ポート40aが大気解放されている状態、すなわち、
図4に示す状態において、OPEN接続ポート30aが大気解放された場合にも、本実施形態に係る気体圧装置100は、それに対処可能である。
【0078】
具体的には、
図4に示す状態においてOPEN接続ポート30aが大気解放された場合、2方切替弁20がバネの復元力により戻り、解放路42および第1主路31を遮断する。例えば、第1切替弁73のクラッキング圧が2方切替弁20のクラッキング圧のより高く設定されることにより、第1切替弁73の閉塞状態が、2方切替弁20の閉塞状態より長時間維持される。例えば、第1切替弁73のクラッキング圧が例えば0.45MPaに設定され、2方切替弁20のクラッキング圧が例えば0.3MPa(機能上最低限必要な圧力)に設定される。このような設計において、2方切替弁20のスプール弁構造により、2方切替弁20が閉操作されている状態が所定時間維持され、例えば、0.3MPaのクラッキング圧に設計された2方切替弁20はその圧力を数分(例えば5分程度)維持することができる。つまり、2方切替弁20は、
図4の状態から閉操作を行った場合でも、複動式シリンダ11側の第1主路31において約0.3MPaGの圧縮空気を保持することができる。したがって、作業者は、その数分の間に、CLOSE接続ポート40aから圧縮空気を供給することにより、気体圧装置100を安全に
図5の状態に移行させることができる。
【0080】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る気体圧装置の回路の構成を示す図である。これ以降の説明では、上記第1の実施形態に係る気体圧装置100が含む部材や機能等について実質的に同様の要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0082】
この気体圧装置200は、上記第1の実施形態に係る気体圧装置100のインターロック装置70と駆動回路50とを一体的に構成した装置である。
【0083】
気体圧装置200は、OPEN供給ポート71a(第1供給ポート)を有する第1供給路30、CLOSE供給ポート72a(第2供給ポート)を有する第2供給路40を備える。第2供給路40には、切替弁73を切り替える切替パイロット路49が接続されている。例えば切替パイロット路49の一端は、複動式シリンダ11の第2ポート112と、スピードコントローラ16との間の位置に接続され、その他端は切替弁73に接続されている。
【0084】
第1供給路30の切替弁73の出力側には、3方切替パイロット路38の一端が接続され、その他端に3方切替弁120(3チャンネル3方弁)に接続されている。また、第1供給路30には、切替弁73を迂回するバイパス路39が接続されている。バイパス路39の途中には、3方切替弁120が設けられ、バイパス路39の端部は第1主路31に接続されている。
【0085】
第1供給路30は、第1主路31と、第1供給路30における切替弁73の出力側の分岐点Xから分岐する第2主路32と、第1主路31および第2主路32を接続する接続路35とを有する。
【0086】
第1主路31は、3方切替弁120およびスピードコントローラ15を介して複動式シリンダ11の第1ポート111に接続されている。第2主路32は、単動式シリンダ13のポート13bに接続されている。
【0087】
接続路35の一端は、第1主路31における、3方切替弁120とスピードコントローラ15との間に接続され、接続路35の他端は、第2主路32における、3方切替パイロット路38の接続位置と、チェック弁23との間に接続されている。接続路35には、第2主路32から第1主路31への流れを遮断する接続路チェック弁22が設けられている。
【0088】
3方切替弁120は、第1主路31、バイパス路39、および解放路42を開閉する機能を有する。具体的には、3方切替弁120は、第1供給路30(第2主路32)からの圧縮空気により、バネ力に抗して、それら3つの路を開操作する機能を有する。
【0090】
次に、以上のように構成された気体圧装置200の動作を説明する。気体圧装置200の非動作状態または初期状態は、
図6に示されている。この気体圧装置200は、例えば上記第1の実施形態と同様に、ノーマリクローズド型の装置である。
図7、8、9および10における複動式シリンダ11および単動式シリンダ13の動作は、
図2、3、4および5における複動式シリンダ11および単動式シリンダ13の動作に対応する。
【0091】
図7に示すように、CLOSE供給ポート72aから第2供給路40に圧縮空気が供給されると、第2供給路40から切替パイロット路49へ圧縮空気が供給される。これにより、切替弁73がバネ力に抗して動作し、第1供給路30が開状態となる。この気体圧装置200の状態では、第2供給路40の圧縮空気により、複動式シリンダ11のピストン11aが収縮状態にある。
【0092】
図8に示すように、
図7の状態から、CLOSE供給ポート72aが大気解放されるとともに、OPEN供給ポート71aから圧縮空気が供給される。CLOSE供給ポート72aが大気解放されても、チェック弁21の機能により、切替パイロット路49の圧縮状態が維持されている。したがって、切替弁73は、そのまま第1供給路30の開状態を保持する(しかし、その直後に、後述するように切替弁73は第1供給路30を閉操作する)。
【0093】
図8に示すように、OPEN供給ポート71aからの圧縮空気は、第1主路31の上流側、第2主路32、およびバイパス路39に供給される。第2主路32への圧縮空気の供給により、3方切替弁120がバネ力に抗して動作しようとする。
【0094】
次に
図9に示すように、この3方切替弁120の切り替えにより、第1供給路30の第1主路31(および第2供給路40に接続された解放路42)が開状態となるとともに、バイパス路39が第1主路31に導通する。また、第1供給路30(第2主路32)の圧縮空気は、単動式シリンダ13へ供給され、ピストン13aをバネ力に抗して押圧し、伸長させる。これにより、図示しないスライド弁の第2弁部が非シール状態となる。
【0095】
図9に示すように、3方切替弁120の切り替えによって解放路42が解放されることにより、切替パイロット路49が解放される。その結果、切替弁73はバネの復元力により、第1供給路30を閉操作する。このように第1供給路30が閉状態となっても、OPEN供給ポート71a→バイパス路39→3方切替弁120→第1主路31→3方切替弁120→複動式シリンダ11の順で、複動式シリンダ11へ圧縮空気が供給される。複動式シリンダ11のピストン11aが伸長する方向に駆動される。これにより、図示しないスライド弁の第1弁部が開状態となる。
【0096】
図10に示すように、OPEN供給ポート71aから第1供給路30が大気解放されるとともに、CLOSE供給ポート72aから第2供給路40に圧縮空気が供給される。この場合、
図9の直後の状態では、3方切替弁120がバネの復元力により戻り、複動式シリンダ11の第1ポート111に対して第1主路31が遮断され、また、第1主路31に対してバイパス路39が遮断される。
【0097】
したがって、複動式シリンダ11の第1ポート111側に残っていた圧縮気体は、第1主路31およびバイパス路39からは解放されない。しかし、
図10に示すように、第2主路32のチェック弁23よりOPEN供給ポート71a側の路は大気解放されるので、接続路チェック弁22が開く。したがって、複動式シリンダ11の第1ポート111側に残っていた圧縮気体が、接続路35、第2主路32(第1供給路30)を介して、OPEN供給ポート71aから排出される。
【0098】
図10の状態により、複動式シリンダ11のピストン11aが収縮する方向に駆動される。また、3方切替弁120がバネの復元力により戻り、解放路42が遮断される。
図10の状態の後、気体圧装置200の状態は
図7の状態に戻る。すなわち、上記第1の実施形態と同様に、リミッタスイッチ弁19の動作により、図示しないスライド弁において、第1弁部が閉操作され、第2弁部がシール操作される。
【0100】
以上のように、本実施形態によれば、切替パイロット路49、チェック弁21、および、解放路42を閉塞している3方切替弁120の機能により、切替パイロット路49に圧縮空気が供給されている時に切替弁73が第1供給路30を開操作することができる。CLOSE供給ポート72aが解放された状態において、たとえOPEN供給ポート71aが解放されていたとしても、切替弁73は第1供給路30を閉操作しているので(
図6参照)、第2供給路40側へ圧縮気体が供給されない。これにより、例えば作業者の上述した誤操作があった場合でも、気体圧装置内の機器に悪影響が及ぶことを回避できる。
【0101】
また、上記第1の実施形態に係る気体圧装置100と比較すると、本実施形態に係る気体圧装置200では、第1の実施形態のように、第2切替弁77、第3切替弁78、絞り弁79等の機器が用いられないので、装置の小型化を実現することができる。
【0102】
また、作業者による他の誤操作(OPEN供給ポート71aから圧縮空気が供給されている状態、かつ、CLOSE供給ポート72aが大気解放されている状態、すなわち、
図9に示す状態において、OPEN供給ポート71aが大気解放された場合)にも、本実施形態に係る気体圧装置200は第1の実施形態と同様に対処可能である。すなわち、3方切替弁120が閉操作されている状態が所定時間維持される。例えばそのクラッキング圧は、例えば約0.3MPaGであり、3方切替弁120は、複動式シリンダ11側の圧力を数分(例えば2分程度)維持することができる。したがって、作業者は、その数分の間に、CLOSE供給ポート72aから圧縮空気を供給することにより、気体圧装置200を
図10の状態に移行させることができる。
【0104】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0105】
上記気体圧装置100、200は、複動式シリンダ11および単動式シリンダ13を両方備えていた。しかし、本発明は、少なくとも1つの複動式シリンダ11を備える装置に適用可能である。この場合、
図1、6に示す回路において、例えば第2主路32が設けられない構成となる。
【0106】
上記気体圧装置100、200の流体として空気が利用されたが、気体は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性気体が利用されるようにしてもよい。
【0107】
上記第1の実施形態では、圧力調整弁として絞り弁79が用いられた。しかし、絞り弁79の代わりに、大気圧より大きい所定の圧力に減圧路83を維持するように構成された圧力調整弁が用いられてもよい。
【0108】
上記各実施形態のように、スピードコントローラ15〜17は、第1供給路30および第2供給路40の両方にそれぞれ設けられることが望ましい形態である。しかし、スピードコントローラは、それらのうち一方にのみ設けられていてもよい。
【0109】
上記各実施形態に係る気体圧装置100、200は、ノーマリクローズド型の装置であった。しかし、ノーマリオープンド型の気体圧装置にも、本発明を適用可能である。その場合、
図1において、インターロック装置70の第1路71をCLOSE側の路とし、第2路72をOPEN側の路として、このインターロック装置を駆動回路50に接続すればよい。あるいは、
図6において、第1供給路30をCLOSE側の路とし、第2供給路40をOPEN側の路とする構成を採用すればよい。
【0110】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。