特許第6559120号(P6559120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559120
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】改善された膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/52 20060101AFI20190805BHJP
   B01D 71/80 20060101ALI20190805BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20190805BHJP
   C08G 65/40 20060101ALI20190805BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B01D71/52
   B01D71/80
   B01D71/68
   C08G65/40
   C08J5/18CEZ
【請求項の数】17
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2016-517248(P2016-517248)
(86)(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公表番号】特表2016-526089(P2016-526089A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】EP2014061236
(87)【国際公開番号】WO2014195234
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年5月30日
(31)【優先権主張番号】13170235.9
(32)【優先日】2013年6月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン マレツコ
(72)【発明者】
【氏名】ニコル ヤンセン
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−523537(JP,A)
【文献】 特表2001−525856(JP,A)
【文献】 米国特許第05798437(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00781795(EP,A1)
【文献】 特開2000−239385(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/020871(WO,A1)
【文献】 特開2004−067758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 71/52
B01D 71/68
B01D 71/80
C08G 65/00−67/04
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンエーテルブロック及びポリアルキレンオキシドブロックを含有するブロックコポリマーを有する膜であって、
前記ポリアルキレンオキシドブロックは、ポリエチレンオキシドセグメントを少なくとも1つ、及びポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドのセグメントを少なくとも1つ有し、
ポリエチレンオキシドとは異なる前記少なくとも1つのポリアルキレンオキシドは、ポリプロピレンオキシド及びポリテトラヒドロフランから選択され、
前記ブロックコポリマー中に含まれている全ての個々のポリマーの少なくとも95mol%は、一般構造AB又はABAを有し、ここで、Aはポリアルキレンオキシドブロックであり、及びBはポリアリーレンエーテルブロックであり、かつ、ブロックコポリマーの平均分子量Mwは、10000〜150000g/molであり、多分散度(Mw/Mn)が2〜5であり、
前記ポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドだけを有し、40〜150単位の数平均のプロピレンオキシドを有し、かつ、プロピレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比が、10:1〜1.5:1であるか、又は、
前記ポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとテトラヒドロフランだけを有し、40〜150単位の数平均のテトラヒドロフランを有し、かつ、テトラヒドロフラン:エチレンオキシドの数平均モル比が、10:1〜1.5:1である、前記膜。
【請求項2】
前記ポリアルキレンオキシドブロックが、一般式(I)又は(II)
【化1】
[式中、
Rは水素又は脂肪族又は芳香族基又は化学結合を意味し、
その際、各々の式I又はIIによるならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoの数平均は独立に1.1〜40である;及び
各々の式I又はIIによるならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するnの数平均は10〜500である]である、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記膜は、ブロックコポリマーを0.01質量%〜100質量%の量で含んでいる、請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
前記膜は、限外濾過(UF)膜、精密濾過(MF)膜、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜又はナノ濾過(NF)膜である、請求項1〜3のいずれかに記載の膜。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の膜を有する膜エレメント。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の膜を有する膜モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の膜モジュール又は請求項5に記載の膜エレメントを有する濾過系。
【請求項8】
水処理用途、工業廃水又は都市廃水を処理するため、海水又は汽水の脱塩、透析、原形質溶解、食品加工のための、請求項1〜7のいずれかに記載の膜、膜エレメント、膜モジュール又は濾過系の使用。
【請求項9】
ポリアリーレンエーテルブロック及びポリアルキレンオキシドブロックを含有するブロックコポリマーであって、
前記ポリアルキレンオキシドブロックは、ポリエチレンオキシドセグメントを少なくとも1つ、及びポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドのセグメントを少なくとも1つ有し、
ポリエチレンオキシドとは異なる前記少なくとも1つのポリアルキレンオキシドは、ポリプロピレンオキシド及びポリテトラヒドロフランから選択され、
前記ブロックコポリマー中に含まれている全ての個々のポリマーの少なくとも95mol%は、一般構造AB又はABAを有し、ここで、Aはポリアルキレンオキシドブロックであり、及びBはポリアリーレンエーテルブロックであり、かつ、ブロックコポリマーの平均分子量Mwは、10000〜150000g/molであり、多分散度(Mw/Mn)が2〜5であり、
前記ポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドだけを有し、40〜150単位の数平均のプロピレンオキシドを有し、かつ、プロピレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比が、10:1〜1.5:1であるか、又は、
前記ポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとテトラヒドロフランだけを有し、40〜150単位の数平均のテトラヒドロフランを有し、かつ、テトラヒドロフラン:エチレンオキシドの数平均モル比が、10:1〜1.5:1である、前記ブロックコポリマー。
【請求項10】
前記ポリアルキレンオキシドブロックが、一般式(I)又は(II)
【化2】
[式中、
Rは水素又は脂肪族又は芳香族基又は化学結合を意味し、
その際、各々の式I又はIIによるならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoの数平均は独立に1.1〜40である;及び
各々の式I又はIIによるならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するnの数平均は10〜500である]である、請求項9に記載のブロックコポリマー。
【請求項11】
前記ブロックコポリマー中に存在する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoの数平均は、0.5以下だけ異なる、請求項10に記載のブロックコポリマー。
【請求項12】
前記ブロックコポリマーは、2つのガラス転移温度を有する、請求項9〜11のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項13】
示差走査熱量測定(DSC)により測定して、−80〜−20℃の範囲内に1つのガラス転移温度及び100〜225℃の範囲内に1つのガラス転移温度を有する、請求項12に記載のブロックコポリマー。
【請求項14】
前記ポリアリーレンエーテルブロックは、式IV
【化3】
[式中、以下の定義を有する:
t、q:それぞれ独立に0、1、2又は3である、
Q、T、Y:それぞれ独立に化学結合又は−O−、−S−、−SO2−、S=O、C=O、−N=N−、−CRab−、ここでRa及びRbはそれぞれ独立に水素原子であるか、又はC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はC6〜C18−アリール基である、から選択される基であり、ここでQ、T及びYのうち少なくとも1つは、−O−ではなく、かつQ、T及びYのうち少なくとも1つは−SO2−であり、かつ
Ar、Ar1:それぞれ独立に6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基であり、
D:化学結合又は−O−である]
に相当する、請求項9〜13のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項15】
前記ポリアリーレンエーテルは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン又はポリフェニレンスルホンである、請求項9〜13のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項16】
芳香族ビスハロゲノ化合物及び芳香族ビフェノール又はそれらの塩を少なくとも1つの適切な塩基の存在下で、及び適切なポリアルキレンオキシドの存在下で反応させる、請求項9〜15のいずれかに記載のブロックコポリマーを製造する方法。
【請求項17】
膜における請求項9〜15のいずれかに記載のブロックコポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンエーテルブロック及びポリアルキレンオキシドブロックを含有するブロックコポリマーを有する膜に関し、ここで前記ポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、ポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する。
【0002】
更に本発明は、ポリアリーレンエーテルブロック及びポリアルキレンオキシドブロックを有する新規ブロックコポリマーに関し、ここで前記ポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、ポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有し、これは例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフラン又はそれらの混合物の重合により得られる。更に本発明は、このような膜とブロックコポリマーの製造方法に関する。
【0003】
ポリエーテルスルホンとポリスルホンは、高性能な熱可塑性樹脂のグループに属する(E. M. Koch, H.-M. Walter, Kunststoffe 80(1990) 1146; E. Doering, Kunststoffe 80 (1990), 1149)。それらの優れた生物適合性により、ポリエーテルスルホンとポリスルホンは、透析膜を製造するための材料としても使用される(S. Savariar, G. S. Underwood, E. M. Dickinson, P. J. Schielke, A. S. Hay. Desalination 144(2002) 15)。
【0004】
ポリエーテルスルホンとポリスルホンの調製は、通常は、高温にて二極性非プロトン溶剤中で適切なモノマー形成ブロックの重縮合により行われる(R. N. Johnson et al., J. Polym. Sci. A-1 5(1967) 2375, J. E. McGrath et al., Polymer 25(1984) 1827)。
【0005】
少なくとも1つのアルカリ金属又は炭酸アンモニウム又は重炭酸塩の存在での適切な芳香族ビスハロスルホンと芳香族ビスフェノール又はそれらの塩からのポリアリーレンエーテルスルホンの調製は、例えば、US4870153、EP113112、EP−A297363及びEP−A135130に記載されている。
【0006】
単なるポリアリーレンエーテルの1つの欠点は、それらの低い親水性である。ポリアリーレンエーテルの親水性を増大するために、ポリエーテルスルホン(PESU)−ポリエチレンオキシド(PEO)ブロックコポリマーが製造されていた。
【0007】
Macromolecules 29 (23)の7619頁(1996)に記載されているポリアリーレンエーテル−ポリアルキレンオキシドコポリマーの合成は、長い反応時間を必要とする。
【0008】
EP739925、US5700902及びUS5700903にもポリアリーレンエーテルとポリアルキレンオキシドコポリマーが記載されている。
【0009】
US5700902には、疎水性ブロックと親水性ブロックを有するブロックコポリマーが開示されていて、その際、親水性ブロックはアルキル基で一方側がエンドキャップされているPEOブロックであることができる。
【0010】
US5798437、US5834583、WO97/22406には親水性コポリマーの製造法が開示されている。
【0011】
US5911880には、両親媒性添加剤を有するポリエーテルスルホンから作られた膜が開示されている。
【0012】
EP739925A1には、ポリスルホン−ポリエーテルブロック共重合体が開示されている。
【0013】
本発明の課題は、機械的に可撓性であり、水で容易に湿潤可能であり、かつ高い上限ガラス転移温度を有する膜を提供することであった。また他の課題は、当該分野から公知のコポリマーの問題を示さず、かつ機械的に可撓性であり及び水で容易に湿潤可能であるブロックコポリマーを提供することであった。
【0014】
この課題は、ポリアリーレンエーテルブロックとポリアルキレンオキシドブロックを有するブロックコポリマーを有する膜であって、前記ポリアルキレンオキシドブロックが少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、ポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する膜により解決された。
【0015】
“上限ガラス転移温度”という用語は、ポリマーの最大のガラス転移温度を意味することにする。
【0016】
“ブロックコポリマー”という用語は、特記されない限り、個々のポリマー分子を意味するのではなく、ポリマー中の全成分の全体を意味することにする。本明細書中で、ブロックコポリマー又はポリアルキレンオキシドがアルキレンオキシド又はテトラヒドロフランを有すると記載されている場合には、前記ポリアルキレンオキシドが前記アルキレンオキシド又はテトラヒドロフランを重合された形で、すなわち環が開いた形で有することを意味すると解釈すべきである。
【0017】
本明細書に関連して、膜は2つの流体を分離できるか又は分子及び/又はイオン成分もしくは粒子を液体から分離できる薄く半透過性の構造であると解釈することにする。膜は、ある粒子、物質又は化学物質を通すが他のものは保持したままにすることができる選択的バリアとして作用する。
【0018】
例えば、本発明による膜は、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノ濾過(NF)膜、限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜であることができる。これらの膜のタイプは一般的に当該分野で公知であり、かつ更に以下に記載することにする。
【0019】
本発明による有用な適切なブロックコポリマーは、ポリアリーレンエーテルブロックとポリアルキレンオキシドブロックを有し、その際、前記ポリアルキレンオキシドブロックはエチレンオキシド単位と、エチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのアルキレンオキシドの単位をそれぞれ重合された形で有する。
【0020】
本発明による有用なコポリマーの適切なポリアリーレンエーテルブロックは、当業者に公知のようなものであり、かつ一般式IV
【化1】
[式中、以下の定義を有する:
t、q:それぞれ独立に0、1、2又は3である、
Q、T、Y:それぞれ独立に化学結合又は−O−、−S−、−SO2−、S=O、C=O、−N=N−、−CRab−RaとRbはそれぞれ独立に水素原子であるか、又はC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はC6〜C18−アリール基であるから選択される基であり、その際、Q、T及びYのうち少なくとも1つは、−O−ではなく、かつQ、T及びYのうち少なくとも1つは−SO2−であり、かつ
Ar、Ar1:それぞれ独立に6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基であり、
D:化学結合又は−O−である]
のポリアリーレンエーテル単位から形成できる。
【0021】
特に、Dは他のアリーレンエーテル単位に結合する場合には酸素原子−O−である。Dは、ポリアルキレンオキシドブロックに結合する場合には化学結合である。
【0022】
ポリアリーレンエーテルは通常は、高温にて二極性非プロトン性溶剤中での適切な出発化合物の重縮合により調製される(例えば、R. N. Johnson et al., J. Polym. Sci. A-1 5(1967) 2375, J. E. McGrath et al., Polymer 25 (1984) 1827参照のこと)。
【0023】
適切なポリアリーレンエーテルブロックは、溶剤(L)又は塩基(B)の存在で、構造X−Ar−Y(M1)の少なくとも1つの出発化合物と、構造HO−Ar1−OH(M2)の少なくとも1つの出発化合物の反応により提供でき、その際
− Yはハロゲン原子であり、
− Xはハロゲン原子とOHから選択され、有利にはハロゲン原子、特にF、Cl又はBrから選択され、かつ
− ArとAr1は、それぞれ独立に6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基である。
【0024】
1実施態様では、上記のような定義を有する一般式IV
【化2】
の単位から形成されるポリアリーレンエーテルは、溶剤(L)の存在で提供される:
上記の前提条件を有するQ、T又はYが化学結合である場合には、これは左に隣接する基と右に隣接する基が化学結合により互いに直接結合していることを意味する。
【0025】
しかし、式(I)中のQ、T及びYは有利には独立に−O−と−SO2−から選択されるが、但しQ、T及びYから成る基のうち少なくとも1つは−SO2−である場合である。
【0026】
Q、T又はYが−CRab−である場合には、RaとRbはそれぞれ独立に水素原子又はC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はC6〜C18−アリール基である。
【0027】
有利なC1〜C12−アルキル基は、1〜12個の炭素原子を有する線状及び分枝状の、飽和アルキル基を有する。特に有利なC1〜C12−アルキル基は次のもの:C1〜C6−アルキルラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−又は3−メチルペンチル及び長鎖ラジカル、例えば、非分枝ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル及び一本又は複数に分枝したこれらの類似体である。
【0028】
上記の使用可能なC1〜C12−アルコキシ基の中で有用なアルキルラジカルには、上記
に定義したような1〜12個の炭素原子を有するアルキル基が含まれる。有利に使用可能なシクロアルキルラジカルは、特にC3〜C12−シクロアルキルラジカル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、−プロピル、−ブチル、−ペンチル、−ヘキシル、シクロヘキシルメチル、−ジメチル、−トリメチルを含む。
【0029】
ArとAr1は、それぞれ独立にC6〜C18−アリーレン基である。以下に記載する出発材料から進行し、Arは有利には、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン及び4,4’−ビスフェノールから成るグループから選択される電子に富む芳香族物質から誘導される。Ar1は、有利には非置換C6−アリーレン基又はC12−アリーレン基である。
【0030】
有用なC6〜C18−アリーレン基ArとAr1は、特にフェニレン基、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン、ナフチレン基、例えば、1,6−、1,7−、2,6−及び2,7−ナフチレンならびにアントラセン、フェナントレン及びナフタセンから誘導されるアリーレン基である。
【0031】
式(IV)の有利な実施態様におけるArとAr1は、有利にはそれぞれ独立に、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン及び4,4’−ビスフェニレンから成るグループから選択される。
【0032】
ポリアリーレンエーテル中、有利に存在する単位は、以下の繰り返し構造単位IVa〜IVo:
【化3】
【0033】
【化4】
のうち少なくとも1つを有するものである(式中、Dは上記の定義と同じ意味を有する)。
【0034】
有利に存在する単位IVa〜IVoに加えて、有利には1つ又は複数の1,4−ジヒドロキシフェニル単位がレゾルシノール又はジヒドロキシナフタレン単位で置換されている単位も挙げられる。
【0035】
一般式IVの特に有利な単位は、単位IVa、IVg及びIVkである。また、ポリアリーレンエーテルブロックが主に一般式IVの1種類の単位から、特にIVa、IVg及びIVkから選択される1種類の単位から形成されている場合にも特に有利である。
【0036】
特に有利な実施態様では、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=SO2及びY=SO2である。このようなポリアリーレンエーテルは、ポリエーテルスルホン(PESU)とも称される。
【0037】
適切なポリアリーレンエーテルブロックは、有利には2000〜70000g/molの範囲内、特に有利には5000〜40000g/molの範囲内及び特に有利には7000〜30000g/molの範囲内の平均分子量Mn(数平均)を有する。ポリアリーレンエーテルブロックの平均分子量は、H. G. Eliasにより“An Introduction to Polymer Science” VCH Weinheim, 1997, 125頁に記載されているようなポリアリーレンエーテルブロックを形成するモノマーの比により調節及び計算できる。
【0038】
適切な出発化合物は当業者に公知であり、かつ基本的な制限を受けないが、記載された置換基が芳香族求核置換の範囲内で十分に反応性である場合である。
【0039】
有利な出発化合物は二官能性である。“二官能性”とは、芳香族求核置換における反応性基の数が出発化合物当たり2個であることを意味する。適切な二官能性出発化合物に関する更なる基準は、以下に詳述するように溶剤中での十分な溶解性である。
【0040】
有利にはモノマーの出発化合物が挙げられ、これは反応がモノマーから進行し有利に行われ、プレポリマーからは進行しないことを意味する。
【0041】
使用される出発化合物(M1)は、有利にはジハロジフェニルスルホンである。使用される出発化合物(M2)は、有利にはジヒドロキシジフェニルスルホンである。
【0042】
適切な出発化合物(M1)は、特にジハロジフェニルスルホン、例えば、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、2,2’−ジクロロジフェニルスルホン及び2,2’−ジフルオロジフェニルスルホンであり、特に有利には4,4’−ジクロロジフェニルスルホン及び4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンが挙げられる。
【0043】
従って、有利な化合物(M2)は2つのフェノール性ヒドロキシル基を有するものである。
【0044】
フェノール性OH基は、出発化合物(M1)のハロゲン置換基に対して反応性を上げるために有利には塩基の存在で反応する。
【0045】
2つのフェノール性ヒドロキシル基を有する有利な出発化合物(M2)は、以下の化合物から選択される:
− ジヒドロキシベンゼン、特にヒドロキノン、レゾルシノール;
− ジヒドロキシナフタレン、特に1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン及び2,7−ジヒドロキシナフタレン;
− ジヒドロキシビフェニル、特に4,4’−ビフェノール及び2,2’−ビフェノール;
− ビスフェニルエーテル、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル;
− ビスフェニルプロパン、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
− ビスフェニルメタン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;
− ビスフェニルスルホン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;
− ビスフェニルスルフィド、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
− ビスフェニルケトン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン;
− ビスフェニルヘキサフルオロプロパン、特に2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;及び
− ビスフェニルフルオレン、特に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン(ビスフェノールTMC)。
【0046】
前記芳香族ジヒドロキシル化合物(M2)から進行して、塩基(B)の添加により、それらの二カリウム塩又は二ナトリウム塩を調製し、かつそれらを出発化合物(M1)と反応させるのが有利である。更に前記化合物は別個に、又は前記化合物の2つ又はそれ以上の組合せとして使用できる。
【0047】
ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルホン及び4,4’−ビスフェノールは出発化合物(M2)として特に有利である。
【0048】
しかし、三官能性化合物を使用することもできる。この場合に、分枝構造が結果として生じる。三官能性出発化合物(M2)が使用される場合には、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが有利に挙げられる。
【0049】
使用すべき割合は、塩化水素の理論上の除去で進行する重縮合反応の化学量論から原則的に誘導され、公知の方法で当業者により規定される。
【0050】
有利な実施態様では、ハロゲン末端基:フェノール末端基の割合は、出発化合物としての二官能性化合物(M2)とポリアルキレンオキシドに対する過剰のジハロゲン出発化合物(M1)の制御された規定により調節される。
【0051】
より有利には、本実施態様でのモル(M1)/(M2)比は、1.001〜1.3、より有利には1.003〜1.25、特に有利には1.005〜1.15、最も有利には1.01〜1.1である。
【0052】
有利にはモル(M1)/(M2+ポリアルキレンオキシド)比は、1.002〜1.25、より有利には1.005〜1.2である。
【0053】
二者択一的に、X=ハロゲン及びY=OHである出発化合物(M1)を使用することもできる。この場合に、使用されるハロゲン:OH末端基の比は、有利には1.001〜1.25、より有利には1.003〜1.2、特に1.005〜1.15、最も有利には1.01〜1.1である。
【0054】
有利には、重縮合における変換は少なくとも0.9であり、これは十分に高い分子量を保証する。
【0055】
本発明に関連して有利な溶剤(L)は、有機、特に非プロトン性極性溶剤である。適切な溶剤は、80〜320℃の範囲内、特に100〜280℃、有利には150〜250℃の範囲内の沸点を有する。適切な非プロトン性極性溶剤は、例えば、高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称ハロゲン化炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン及び/又はN−エチル−2−ピロリドンである。これらの溶剤の混合物を使用することもできる。
【0056】
有利な溶剤は、特にN−メチル−2−ピロリドン及び/又はN−エチル−2−ピロリドンである。
【0057】
有利には出発化合物(M1)と(M2)及びポリアルキレンオキシドを記載した非プロトン性極性溶剤(L)中、特にN−メチル−2−ピロリドン中で反応させる。
【0058】
出発化合物(M1)と(M2)及びポリアルキレンオキシドを塩基(B)の存在で反応させる。塩基は有利には無水である。適切な塩基は特に無水アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カーボネート、有利には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又はこれらの混合物であり、極めて有利には炭酸カリウム、特にN−メチル−2−ピロリドンの懸濁液中、粒子サイズ測定装置を用いて測定し、200マイクロメーター未満の体積重量の平均粒子サイズを有する炭酸カリウムが挙げられる。
【0059】
極めて有利な組み合わせは、溶剤(L)としてのN−メチル−2−ピロリドンと塩基(B)としての炭酸カリウムである。
【0060】
適切な出発化合物(M1)と(M2)及びポリアルキレンオキシドの反応は、80〜250℃、有利には100〜220℃の温度で実施され、温度の上限は、溶剤の沸点により決定される。
【0061】
反応は、2〜12時間、特に3〜8時間の時間間隔で行われるのが有利である。
【0062】
特に適切な出発材料、塩基、溶剤、関係する全ての成分の比、反応時間及び温度と圧力のような反応パラメーターならびに適切な作業様式は、例えば、US4870153の第4欄、11行目〜第17欄、64行目、EP113112、6頁1行目〜9頁14行目、EP−A297363、10頁38行目〜11頁24行目、EP−A135130、1頁37行目〜4頁20行目に開示されていて、これを参照して本明細書に取り入れることとする。
【0063】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシド単位と、エチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのアルキレンオキシドの単位を、それぞれ重合した形で有する。エチレンオキシドとは異なるアルキレンオキシドの例には、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、スチレンオキシド(SO)及びテトラヒドロフラン(THF)が含まれる。有利には、エチレンオキシドとは異なる前記の少なくとも1つのアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びテトラヒドロフラン、特に有利にはPOとTHFから選択される。
【0064】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドのセグメント(“ポリエチレンオキシド”)と、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランの少なくとも1つのセグメント(“ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフランのポリブチレンオキシド”)を有するそれら自体がセグメント化したコポリマーである。“セグメント”は厳密には“ブロック”でもある。本明細書中で“セグメント”という用語は、ブロックコポリマーの“ブロック”(すわなち、特にアリーレンエーテルブロックとポリアルキレンオキシドブロック)とポリアルキレンオキシドブロック内の“セグメント”を区別するために使用される。
【0065】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントとポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する。
【0066】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、ポリプロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを含む少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを含む。
【0067】
有利には適切なポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフラン又はこれらの混合物の重合により得られる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する。
【0068】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、アルキル基又はアリール基で一方の側がエンドキャップされ、一般構造AB又はABA(Aはポリアルキレンオキシドブロックであり、及びBはポリアリーレンエーテルブロックである)の個々のポリマー分子を有するブロックコポリマーを生じる。ポリアルキレンオキシドブロックが一方の側でアルキル基又はアリール基でエンドキャップされている場合には、本発明によるブロックコポリマー中に含まれているポリアルキレンオキシドブロックを有する全ての個々のポリマー分子の少なくとも50mol%、有利には少なくとも70mol%、より有利には少なくとも90mol%及び更に有利には少なくとも95%は、通常は一般構造AB又はABAを有する。
【0069】
有利な1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドは両末端の位置でOH基を有し、1つのポリマー分子中に複数のポリアルキレンオキシドブロックを有していてもよいブロックコポリマーを生じる。
【0070】
適切なポリアルキレンオキシドは線状又は分枝状であってよい。ポリアルキレンオキシドの分枝は、例えばエポキシド基とOH又はクロロ部分を有しているモノマーをポリアルキレンオキシド中に含ませることにより達成できる。有利には、適切なポリアルキレンオキシドは線状である。
【0071】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドは末端の位置でポリエチレンオキシド(PEO)のセグメントを有するのに対して、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリブチレンオキシド(PBO)及びポリ−THF(pTHF)のようなポリエチレンオキシドとは異なるポリアルキレンオキシドのセグメントは有利には中心の位置に含まれている。有利なポリアルキレンオキシドブロックは構造PEO−PPO−PEO、PEO−PBO−PEO又はPEO−pTHF−PEOを有する。
【0072】
あまり有利ではない実施態様では、ポリアルキレンオキシドブロックは構造PEO−PPO−pTHF−PPO−PEOを有する。
【0073】
あまり有利ではない他の実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは構造PEO−PPO/PBO/pTHF−PEOであり、中心のセグメントがセグメントの形又はサブ−セグメントの形で統計的に分布しているブチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランから選択される少なくとも2つのアルキレンオキシドを有することを意味する。
【0074】
特に有利な実施態様では、適切なブロックコポリマーは一般式(I)、(II)又は(III):
【化5】
[式中、
Rは水素又は脂肪族又は芳香族基又は化学結合を意味し、
その際、各々の式I、II又はIIIによる全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有するものの数平均は独立に1.1〜40である;及び
各々の式I、II又はIIIによる全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するnならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有するものの数平均は10〜500である]
のポリアルキレンオキシドを有する。
【0075】
有利には、ブロックコポリマー中に存在する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoの数平均は、同じであるか又は0.5以下又はより有利には0.1以下だけ異なる。
【0076】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは通常は12.2〜580個の数平均のアルキレンオキシド単位を有する。有利には適切なポリアルキレンオキシドは、15〜300個、より有利には20〜150個、更に有利には25〜100個のアルキレンオキシド単位を有する。
【0077】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは、通常はエチレンオキシドセグメント当たり1.1〜40単位の数平均のエチレンオキシド、有利には1.5〜30単位、より有利には2〜25単位、更に有利には5〜10単位の数平均のエチレンオキシドを有する。
【0078】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは、通常は10〜500単位の数平均のプロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン、有利には20〜400単位、より有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位を有する。
【0079】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックはエチレンオキシドとプロピレンオキシドだけを有し、かつ10〜500単位の数平均のプロピレンオキシド、有利には20〜400単位の数平均、より有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位の数平均を有し、ならびにプロピレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、200:1〜1:1、有利には150:1〜1.5:1、より有利には100:1〜2:1、ならびに特に有利には50:1〜5:1である。他の実施態様では、プロピレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0080】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとブチレンオキシドだけを有し、かつ10〜500単位の数平均のブチレンオキシド、有利には20〜400単位、なお有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位の数平均を有し、ならびにブチレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、200:1〜1:1、有利には150:1〜1.5:1、より有利には100:1〜2;1、ならびに特に有利には50:1〜5:1である。他の実施態様では、ブチレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0081】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとテトラヒドロフランだけを有し、かつ10〜500単位の数平均のテトラヒドロフラン、有利には20〜400単位、より有利には30〜300単位、及び更に有利には40〜150単位を有し、かつテトラヒドロフラン:エチレンオキシドの数平均モル比は、200:1〜1:1、有利には150:1〜1.5:1、より有利には100:1〜2:1及び特に有利には50:1〜5:1である。他の実施態様では、テトラヒドロフラン:エチレンオキシドの数平均モル比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0082】
本発明による有用な適切なブロックコポリマーは、ポリアルキレンオキシドブロックとポリアリーレンエーテルブロックを有する。通常は、前記ポリアルキレンオキシドブロックの少なくとも70mol%、有利には少なくとも80mol%及びより有利には少なくとも90mol%ならびに更に有利には少なくとも99mol%は、ポリアリーレンエーテルブロックに共有結合する。有利な1実施態様では、主に全てのポリアルキレンオキシドブロックがポリアリーレンエーテルブロックに共有結合する。通常は、前記ポリアルキレンオキシドブロックは、−O−基(エーテル基)を介してポリアリーレンエーテルブロックに共有結合する。
【0083】
1実施態様では、適切なブロックコポリマーは一般構造AB又はABAの個々のポリマー分子を有し、その際、Aはポリアルキレンオキシドブロックであり、Bはポリアリーレンエーテルブロックである。通常は、適切なブロックコポリマー中に含まれているポリアルキレンオキシドブロックを有する全ての個々のポリマー分子の少なくとも50mol%、有利には少なくとも70mol%、より有利には少なくとも90mol%及び更に有利には少なくとも95mol%は、一般構造AB又はABAを有する。
【0084】
1実施態様では、適切なブロックコポリマー中に含まれている個々のポリマー分子の少なくとも50mol%、より有利には少なくとも70mol%、更に有利には少なくとも80mol%、特に有利には少なくとも90mol%及び極めて有利には少なくとも95mol%又は少なくとも99mol%は、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドブロックと少なくとも1つのポリアリーレンエーテルブロックを有する。
【0085】
有利な実施態様では、ブロックコポリマー中のポリアリーレンオキシドブロックはポリスルホン、ポリエーテルスルホン又はポリフェニレンスルホンである。
【0086】
通常は、適切なブロックコポリマーの平均分子量Mw(実験の箇所に挙げられている方法によりGPCにより測定)は、5000〜150000g/mol、有利には7500〜50000g/mol、より有利には10000〜30000g/molである。本発明により有用であるブロックコポリマーがPEOを含まないポリアルキレンオキシドブロックを有するブロックコポリマーと比べて高分子量で調製できることは、本発明の意想外な結果であった。
【0087】
適切なブロックコポリマーは有利には1.5〜5、より有利には2〜4(実験の箇所に挙げられている方法によりGPCにより測定)の多分散度(Mw/Mn)を有する。
【0088】
通常は、本発明による有用なブロックコポリマーは2つのガラス転移温度を有する。例えば、適切なブロックコポリマーは、−80〜−20℃の範囲内に1つのガラス転移温度及び100〜225℃の範囲内に1つのガラス転移温度を有する(実験の箇所で記載するような示差走査熱量測定(DSC)により測定)。
【0089】
適切なブロックコポリマーは、膜又は膜の分離層を特に限外濾過、ナノ濾過又は精密濾過膜中に作成するために有用である。
【0090】
1実施態様では、適切なブロックコポリマーは支持層、キャリア材料、安定層又は膜の他の部分を特に逆浸透膜又は正浸透膜中に作成するために使用される。
【0091】
本発明による膜は、例えば、本発明による膜は、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノ濾過(NF)膜、限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜であることができる。
【0092】
FO膜は、通常は海水、汽水、下水汚物又はスラッジ流を処理するために適切である。よって、純水はFO膜を介してそれらの流れから高い浸透圧を有する膜の後ろ側のいわゆるドロー溶液に入ることによって除去される。
【0093】
有利な実施態様では、適切なFO膜は薄膜コンポジット(TFC)FO膜である。薄膜コンポジット膜の調製法と使用は原則的に公知であり、かつ例えばR. J. PetersenによりJournal of Membrane Science 83(1993) 81〜150頁に記載されている。
【0094】
特に有利な実施態様では、適切なFO膜は繊維層、支持層、分離層及び場合により保護層を有する。前記の保護層は表面を滑らかにする及び/又は親水化するための付加的なコーティングであると考えることができる。
【0095】
前記繊維層は、例えば10〜500μmの厚さを有することができる。前記繊維層は、例えば織布又は不織布、例えばポリエステル不織布であることができる。
【0096】
TFC FO膜の前記支持層は、通常は例えば0.5〜100nm、有利には1〜40nm、より有利には5〜20nmの平均孔直径を有する孔を有する。前記支持層は、例えば5〜1000μm、有利には10〜200μmの厚さを有することができる。前記支持層は、例えば主成分としてポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、PVDF、ポリイミド、ポリイミドウレタン又は酢酸セルロースを有していてもよい。
【0097】
有利な実施態様では、FO膜は主成分として本発明による有用な少なくとも1つのブロックコポリマーを有する支持層を有する。
【0098】
他の実施態様では、FO膜は主成分として少なくとも1つのポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸セルロース(CA)、三酢酸セルロース(CTA)、CA−三酢酸配合物、セルロースエステル、硝酸セルロース、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質コンプレックス、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、上記のブロックコポリマーとは異なるポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)又はポリエーテルスルホン(PESU)、又はこれらの混合物を本発明による有用な適切なブロックコポリマーと組み合わせた形で有する支持層を有する。
【0099】
他の有利な実施態様では、FO膜は主成分として上記のブロックコポリマーとは異なる少なくとも1つのポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを本発明による有用な適切なブロックコポリマーと組み合わせて有する支持層を有する。
【0100】
ゼオライトのようなナノ粒子は、前記支持膜中に含まれていてもよい。これは例えば、前記支持層を調製するためのドープ溶液中に、このようなナノ粒子を含ませることにより達成できる。
【0101】
FO膜の前記分離層は、例えば、0.05〜1μm、有利には0.1〜0.5μm、より有利には0.15〜0.3μmの厚さを有することができる。有利には前記分離層は、例えば、ポリアミド又は酢酸セルロースを主成分として含むことができる。
【0102】
場合により、TFC FO膜は30〜500nm、有利には100〜300nmの厚さの保護層を有することができる。前記保護層は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として有することができる。1実施態様では、保護層はクロラミンのようなハラミンを有する。
【0103】
有利な1実施態様では、適切な膜は、本発明による有用なブロックコポリマーを有する支持層を有するTFC FO膜、主成分としてポリアミドを有する分離層及び場合により主成分としてポリビニルアルコールを有する保護層である。
【0104】
有利な1実施態様では、適切なFO膜はポリアミンと多官能性ハロゲン化アシルの縮合から得られる分離層を有する。前記分離層は、例えば界面重合法で得ることができる。
【0105】
RO膜は通常は分子とイオン、特に1価イオンを除去するために適切である。通常は、RO膜は溶解/拡散機構に基づいた分離する混合物である。
【0106】
有利な実施態様では、適切な膜は薄膜コンポジット(TFC)RO膜である。薄膜コンポジット膜の調製法と使用は原則的に公知であり、かつ例えばR. J. PetersenによりJournal of Membrane Science 83(1993) 81〜150頁に記載されている。
【0107】
更に有利な実施態様では、適切なRO膜は繊維層、支持層、分離層及び場合により保護層を有する。前記の保護層は表面を滑らかにする及び/又は親水化するための付加的なコーティングであると考えることができる。
【0108】
前記繊維層は、例えば10〜500μmの厚さを有することができる。前記繊維層は、例えば織布又は不織布、例えばポリエステル不織布であることができる。
【0109】
TFC RO膜の前記支持層は、通常は例えば0.5〜100nm、有利には1〜40nm、より有利には5〜20nmの平均孔直径を有する孔を有する。前記支持層は、例えば5〜1000μm、有利には10〜200μmの厚さを有することができる。前記支持層は、例えば主成分としてポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、PVDF、ポリイミド、ポリイミドウレタン又は酢酸セルロースを有していてもよい。
【0110】
有利な実施態様では、RO膜は主成分として本発明による有用な少なくとも1つのブロックコポリマーを有する支持層を含む。
【0111】
他の実施態様では、RO膜は主成分として少なくとも1つのポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸セルロース(CA)、三酢酸セルロース(CTA)、CA−三酢酸配合物、セルロースエステル、硝酸セルロース、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質コンプレックス、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホン、又はこれらの混合物を本発明による有用な適切なブロックコポリマーと組み合わせた形で有する支持層を含む。
【0112】
他の有利な実施態様では、RO膜は主成分として本発明による有用なブロックコポリマーとは異なる少なくとも1つのポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを本発明による有用なブロックコポリマーと組み合わせて含む。
【0113】
ナノ粒子、例えば、ゼオライトは前記支持膜中に含まれていてもよい。これは例えば、前記支持層を調製するためのドープ溶液中に、このようなナノ粒子を含ませることにより達成できる。
【0114】
前記分離層は、例えば、0.02〜1μm、有利には0.03〜0.5μm、より有利には0.05〜0.3μmの厚さを有することができる。有利には前記分離層は、例えば、ポリアミド又は酢酸セルロースを主成分として有することができる。
【0115】
場合により、TFC−RO膜は5〜500nm、有利には10〜300nmの厚さを有する保護層を有することができる。前記保護層は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として有することができる。1実施態様では、保護層はクロラミンのようなハラミンを有する。
【0116】
有利な1実施態様では、適切な膜は不織布ポリエステル、本発明による有用なブロックコポリマーを有する支持層、主成分としてポリアミドを有する分離層及び場合により主成分としてポリビニルアルコールを有する保護層を有するTFC RO膜である。
【0117】
有利な1実施態様では、分離層を有する適切なRO膜は、ポリアミンと多官能性ハロゲン化アシルの縮合から得られる。前記分離層は、例えば界面重合法において得ることができる。
【0118】
適切なポリアミンモノマーは、第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有することができ、かつ芳香族(例えば、ジアミノベンゼン、トリアミノベンゼン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,3,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール及びキシリレンジアミン)又は脂肪族(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペラジン及びトリス(2−ジアミノエチル)アミン)であることができる。
【0119】
適切な多官能性ハロゲン化アシルには、トリメソイルクロリド(TMC)、トリメリット酸クロリド、イソフタロイルクロリド、テレフタロイルクロリド及び同様の化合物又は適切なハロゲン化アシルの配合物が含まれる。更なる例として、第二のモノマーはハロゲン化フタロイルであることができる。
【0120】
本発明の1実施態様では、ポリアミドの分離層は、メタフェニレンジアミン(MPD)の水溶液とトリメソイルクロリド(TMC)の溶液の非極性溶剤中での反応から作られる。
【0121】
NF膜は通常は多価イオンと大きな一価のイオンを除去するために特に適切である。通常は、NF膜は溶解/拡散又は/及び濾過に基づく機構より機能する。
【0122】
NF膜は通常は直交流濾過プロセスにおいて使用される。
【0123】
本発明の1実施態様では、NF膜は本発明による有用なブロックコポリマーを主成分として含む。
【0124】
他の実施態様では、NF膜は主成分として少なくとも1つのポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸セルロース(CA)、三酢酸セルロース(CTA)、CA−三酢酸配合物、セルロースエステル、硝酸セルロース、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質コンプレックス、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホン、又はこれらの混合物を本発明による有用な適切なブロックと組み合わせた形で含む。
【0125】
本発明の他の実施態様では、NF膜は主成分として本発明による有用なブロックコポリマーとは異なる少なくとも1つのポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを本発明による有用なブロックと組み合わせて含む。
【0126】
特に有利な実施態様では、NF膜の主成分はプラス又はマイナスに帯電している。
【0127】
ナノ濾過膜は、しばしばスルホン酸基、カルボン酸基及び/又はアンモニウム基を本発明による有用なブロックコポリマーと組み合わせて有する帯電ポリマーを含む。
【0128】
他の実施態様では、NF膜は主成分としてポリアミド、ポリイミド又はポリイミドウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)を本発明による有用なブロックコポリマーと組み合わせて含む。
【0129】
UF膜は通常は例えば、懸濁固体粒子及び100000Daを上回る高分子量の溶質を除去するために適切である。特にUF膜は細菌及びウイルスを除去するために通常は適切である。
【0130】
UF膜は通常は0.5nm〜50nm、有利には1〜40nm、より有利には5〜20nmの平均孔直径を有する。
【0131】
本発明の1実施態様では、UF膜は主成分として本発明による有用なブロックコポリマーを有する。
【0132】
他の実施態様では、UF膜は主成分として少なくとも1つのポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸セルロース(CA)、三酢酸セルロース(CTA)、CA−三酢酸配合物、セルロースエステル、硝酸セルロース、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質コンプレックス、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホン、又はこれらの混合物を本発明による有用な適切なブロックコポリマーと組み合わせた形で有する。
【0133】
本発明の他の実施態様では、UF膜は主成分として本発明による有用なブロックコポリマーとは異なる少なくとも1つのポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを本発明による有用なブロックコポリマーと組み合わせて有する。
【0134】
有利な1実施態様では、本発明による有用なブロックコポリマーはUF膜を作るために使用され、その際、本発明による有用なブロックコポリマーは、1〜100質量%、有利には5〜95質量%、より有利には10〜70質量%及び特に有利には15〜50質量%の量で含まれる。
【0135】
1実施態様では、UF膜は更にポリビニルピロリドン又はポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドのような添加剤を有する。
【0136】
有利な1実施態様では、UF膜は主成分として本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホンを、本発明による有用な少なくとも1つのブロックコポリマー及びポリビニルピロリドンのような更なる添加剤と組み合わせて有する。
【0137】
有利な1実施態様では、UF膜は本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリエーテルスルホンと本発明による有用なブロックコポリマーの組合せ99.9質量%〜50質量%及びポリビニルピロリドン0.1〜50質量%を含む。
【0138】
他の実施態様では、UF膜は本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリエーテルスルホンと本発明による有用なブロックコポリマー95質量%〜80質量%及びポリビニルピロリドン5〜15質量%を含む。
【0139】
本発明の1実施態様では、UF膜は渦巻膜として、ピロー又はフラットシート膜として存在する。
【0140】
本発明の他の実施態様では、UF膜は管型の膜として存在する。
【0141】
本発明の他の実施態様では、UF膜は中空繊維膜又はキャピラリーとして存在する。
【0142】
なお他の本発明の実施態様では、UF膜はシングルボア中空繊維膜として存在する。
【0143】
なお他の本発明の実施態様では、UF膜はマルチボア中空繊維膜として存在する。
【0144】
マルチボア膜とも称される複数のチャネル膜は、1つよりも多い縦方向チャネル(単に“チャネル”とも称される)を有する。
【0145】
有利な1実施態様では、チャネルの数は通常は2〜19個である。1実施態様では、複数のチャネル膜は、2個又は3個のチャネルを有する。他の実施態様では、複数のチャネル膜は5〜9個のチャネルを有する。有利な1実施態様では、複数のチャネル膜は、7個のチャネルを有する。他の実施態様では、チャネルの数は20〜100個である。
【0146】
“ボア(bore)”とも称されるこのようなチャネルの形は変化してもよい。1実施態様では、このようなチャネルは主に円形の直径を有する。他の実施態様では、このようなチャネルは主に楕円形の直径を有する。なお他の実施態様では、チャネルは主に四角形の直径を有する。
【0147】
幾つかの場合には、このようなチャネルの実際の形は、理想的な円形、楕円形又は四角形から誘導されていてもよい。
【0148】
通常は、このようなチャネルは0.05mm〜3mm、有利には0.5〜2mm、より有利には0.9〜1.5mmの直径(主に円形の直径)、より小さな直径(主に楕円形の直径)又はより小さな供給サイズ(主に四角形の直径)を有する。他の有利な実施態様では、このようなチャネルは0.2〜0.9mmの範囲内の直径(主に円形の直径)、より小さな直径(主に楕円形の直径)又はより小さな供給サイズ(主に四角形の直径)を有する。
【0149】
主に四角形の形を有するチャネルに関しては、これらのチャネルは列の形で配置できる。
【0150】
主に円形の形を有するチャネルに関して、これらのチャネルは有利な実施態様では中心のチャネルが他のチャネルにより包まれるように配置される。有利な1実施態様では、膜は1つの中心チャネルと、例えば中心チャネルの周囲に円形に配置された6個又は18個の更なるチャネルを有する。
【0151】
このような複数のチャネル膜中の壁厚は最も薄い箇所で、通常は0.02〜1mm、有利には30〜500μm、より有利には100〜300μmである。
【0152】
通常は本発明による膜及びキャリア膜は、主に円形、楕円形又は四角形の直径を有する。有利には本発明による膜は主に円形である。
【0153】
有利な1実施態様では、本発明による膜は2mm〜10mm、有利には3〜8mm、より有利には4〜6mmの直径(主に円形の直径)、より小さな直径(主に楕円形の直径)又はより小さな供給サイズ(主に四角形の直径)を有する。他の有利な実施態様では、本発明による膜は2〜4mmの直径(主に円形の直径)、より小さな直径(主に楕円形の直径)又はより小さな供給サイズ(主に四角形の直径)を有する。
【0154】
1実施態様では、リジェクション層は、前記の複数のチャネル膜の各チャネルの内側に位置する。
【0155】
1実施態様では、マルチボア膜のチャネルには、キャリア膜の孔サイズとは異なる孔サイズを有する活性層又は活性層を形成する被覆層を挿入してもよい。被覆層に適切な材料は、ポリオキサゾリン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ヒドロゲル、ポリアミド、双性イオン性ブロックコポリマー、例えば、スルホベタイン又はカルボキシベタインである。
【0156】
活性層は、10〜500nm、有利には50〜300nm、より有利には70〜200nmの範囲内の厚さを有することができる。
【0157】
有利には、マルチボア膜は0.2〜0.01μmの間の孔サイズで設計される。このような実施態様では、キャピラリーの内径は、0.1〜8mmの間、有利には0.5〜4mmの間、及び特に有利には0.9〜1.5mmの間であることができる。マルチボア膜の外径は1〜26mmの間、有利には2.3〜14mmの間及び特に有利には3.6〜6mmの間であることができる。更に、マルチボア膜は2〜94個、有利には3〜19個及び特に有利には3〜14個のチャネルを含有できる。しばしば、マルチボア膜は、7個のチャネルを含有する。浸透範囲は、例えば、100〜10000L/m2hバールの間、有利には300〜2000L/m2hバールの間であることができる。
【0158】
通常は上記のタイプのマルチボア膜は、ポリマーを押し出し、これが幾つかの中空針を有する押し出しノズルを通って凝固した後に、半透膜を形成することにより製造される。凝固液体は、押し出しの間に押し出されたポリマーに中空針を通して注入されるので、押し出し方向に伸びた平行した連続チャネルは、押し出されたポリマー中に形成される。有利には、押し出された膜の外表面上の孔サイズは、押し出しノズルを出た後に、外表面を穏やかな凝固剤と接触させ、外表面上に活性層なしに形を固定させ、かつ引き続き膜を強い凝固剤と接触させることによりコントロールされる。結果として、チャネル内側の活性層と外表面を有する膜を得ることができ、これは液体流に対する耐性を全く示さないか又は殆ど示さない。この場合に、適切な凝固剤には溶剤と非溶剤が含まれる。凝固の強さは、非溶剤及び/又は溶剤の組合せと割合により調節してもよい。凝固溶剤は当業者に公知であり、かつルーチン実験により調節できる。溶剤ベースの凝固剤の1例は、N−メチルピロリドンである。非溶剤ベースの凝固剤は、例えば、水、イソプロパノール及びプロピレングリコールである。
【0159】
MF膜は、通常は0.1μm以上の粒子サイズを有する粒子を除去するために適切である。
【0160】
MF膜は、通常は0.05μm〜10μm、有利には1.0μm〜5μmの平均孔直径を有する。
【0161】
精密濾過は加圧系を使用できるが、しかし圧力を含める必要がない。
【0162】
MF膜は、中空繊維、キャピラリー、フラットシート、管型、渦巻型、ピロー型、中空微繊維又はトラックエッチドであることができる。これらは多孔性であり、かつ水、一価の種(Na、Cl)、溶解有機物質、小さなコロイド及びウイルスを通すことができるが、しかし粒子、沈殿物、藻類又は大きなバクテリアを保持する。
【0163】
精密濾過系は、濃度2〜3%までの供給溶液中で0.1マイクロメーターまでのサイズの懸濁固体を除去するように設計されている。
【0164】
本発明の1実施態様では、MF膜は本発明による有用なブロックコポリマーを主成分として有する。
【0165】
他の実施態様では、MF膜は主成分として少なくとも1つのポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸セルロース(CA)、三酢酸セルロース(CTA)、CA−三酢酸配合物、セルロースエステル、硝酸セルロース、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質コンプレックス、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、本発明による有用なブロックコポリマーとは異なるポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホン、又はそれらの混合物を本発明による有用なブロックコポリマーと組み合わせた形で含む。
【0166】
本発明の他の実施態様では、MF膜は主成分として本発明による有用なブロックコポリマーとは異なる少なくとも1つのポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを本発明による有用なブロックコポリマーと組み合わせた形で含む。
【0167】
有利な1実施態様では、本発明による有用なブロックコポリマーはMK膜を作るために使用され、その際、本発明による有用なブロックコポリマーは、1〜100質量%、有利には5〜95質量%、より有利には10〜70質量%及び特に有利には15〜50質量%の量で含まれる。
【0168】
本発明による膜は高い可撓性を有する。
【0169】
更に本発明による膜は、水と接触する際に低い接触角を示す。従って、本発明による膜は水で容易に湿潤可能である。
【0170】
本発明による膜は高い上限ガラス転移温度を有する。
【0171】
本発明による膜は簡単に作りやすく、扱いやすく、高温に耐えることができ、かつ例えば蒸気滅菌に課すことができる。
【0172】
更に、本発明による膜は極めて優れた寸法安定性、高い耐熱変形性、優れた機械的特性及び優れた耐火性ならびに生物適合性を有する。これらは高温で加工及び取り扱うことができ、高温に曝され、なおかつ例えばスチーム、水蒸気又は例えば100℃を上回る又は125℃を上回る高温を使用して消毒に課される膜及び膜モジュールの製造を可能にする。
【0173】
本発明による膜は時間が経過するにつれて減少する膜を通る流量及びそれらの汚損及び生物汚損特性に関して優れた特性を示す。
【0174】
本発明による膜は簡単かつ経済的に製造される。
【0175】
濾過系及び本発明による膜は、水性系又はアルコール系を使用して製造でき、従って環境に優しい。更に、毒性物質の浸出は本発明による膜に関しては問題ではない。本発明による膜は長い寿命を有する。
【0176】
本発明の他の対象は、本発明によるコポリマーを有する膜エレメントである。
【0177】
本明細書中で“濾過エレメント”とも称される“膜エレメント”は、少なくとも1つの単一の膜体の膜配列を意味すると解釈される。濾過エレメントは、濾過モジュールとして直に使用されるか、又は膜モジュールに込み込んで使用できる。本明細書中で濾過モジュールとも称される膜モジュールは、少なくとも1つの濾過エレメントを含む。濾過モジュールは通常はすぐに使用される部分であり、これは濾過エレメントに加えて、所望の用途で濾過モジュールを使用するために必要な更なるコンポーネント、例えばモジュールハウジング及びコネクターを有する。従って、濾過モジュールは、膜系又は膜処理プラントに設置できるシングルユニットを意味すると解釈される。本明細書中で濾過系とも称される膜系は、互いに連結された1つよりも多い濾過モジュールの配列である。濾過系は膜処理プラント内で実行される。
【0178】
多くの場合に、濾過エレメントは1つよりも多い膜の配列を有し、かつ更にエレメントハウジングのような更なるコンポーネント、1つ又は複数のバイパス管、1つ又は複数のバッフルプレート、1つ又は複数の穴空き内部管又は1つ又は複数の濾過物収集管を有していてもよい。中空繊維又はマルチボア膜に関しては、例えば、濾過エレメントは通常は1つ以上の中空繊維又はマルチボア膜配列を有し、これらはポッティング法により外側のシェル又はハウジングに固定されている。ポッティングに課された濾過エレメントは、外側のシェル又はハウジングへの膜配列の一方の末端又は両末端に固定できる。
【0179】
1実施態様では、本発明による濾過エレメント又は濾過モジュールは、チューブハウジング中の開口部を通して浸透物を直接に排気するか、又は膜エレメント中に位置する排気管を通して間接的に排気する。特に間接的排気が用意されている場合には、排気管は、例えば膜エレメントの中心に置くことができ、かつ膜エレメントのキャピラリーは、排気管の周囲の束に配置される。
【0180】
他の実施態様では、フィルタリング用の濾過エレメントはエレメントハウジングを有し、その際、少なくとも1つの膜配列と少なくとも1つの浸透物集合管はエレメントハウジング内に配置され、かつその際、少なくとも1つの浸透物集合管は濾過エレメントの外側の部分に配置される。
【0181】
濾過エレメント又は濾過モジュールの内側の浸透物集合管は、1実施態様において円筒形の形を有していてもよく、その際、断面は、丸、楕円形、三角形、四角形、又は幾つかの多角形のような任意の形を有していてもよい。丸型が有利であり、これは増大した耐圧力性につながる。有利には、少なくとも1つの浸透物集合管の縦方向の中心線は、膜エレメントとエレメントハウジングの縦方向の中心線に平行に配置される。更に、浸透物集合管の断面は、膜エレメントと浸透物集合管中で生じた圧力損失により生産される浸透物の量に従って選択される。浸透物集合管の直径は、エレメントハウジングの直径の半分未満、有利には三分の一未満及び特に有利には四分の一未満であってもよい。
【0182】
浸透物集合管と膜エレメントは異なる形又は同じ形を有していてもよい。有利には浸透物集合管と膜エレメントは、同じ形を有し、特に丸い形を有する。従って、少なくとも1つの浸透物集合管は、エレメントハウジングの半径からエレメントハウジングの半径の半分、有利には三分の一及び特に有利には四分の一伸びた周辺環の内部に配置できる。
【0183】
1実施態様では、浸透物集合管は、浸透物集合管が少なくとも部分的にエレメントハウジングに接するように濾過エレメント内に位置する。これは、浸透物集合管が水平の配置で濾過エレメントの主に頂上に配置されるように濾過モジュール又は系の濾過エレメントを置くことを可能にする。これに関連して、主な頂上には、濾過エレメントの横断面中の垂直中心軸から±45°、有利には±10°にある膜の外側部分の任意の位置が含まれる。ここで、横断面の垂直中心軸は、横断面の水平中心軸ならびに濾過エレメントの長軸に沿って伸びた縦方向の中心軸に垂直である。このように浸透物集合管を配置することにより、濾過モジュール又は系を開始する前に膜エレメント内に存在する空気は、浸透物集合管中に回収でき、これは濾過操作の開始により容易に排気できる。特に、エアポケットを浸透物と置き換えることができ、これが開始時に濾過モジュール又は系に供給され、かつ膜エレメントにより濾過される。濾過モジュー又は系から空気を放出することにより、膜エレメントの活性部位は増大し、従って濾過効果が増す。更に、閉じ込められたエアポケットによる汚損のリスクが減少し、かつ圧力サージならびに膜エレメントが破れるリスクが最小化する。
【0184】
濾過エレメントの他の実施態様では、少なくとも2つの浸透物集合管は濾過エレメント中、特にエレメントハウジング中に配置されていてもよい。1つよりも多い浸透物集合管を用意することにより、一定圧力で浸透物の吐出し量を増大させ、かつ膜エレメントにより生産される浸透物量に調節することができる。更に、高い逆洗流が必要な場合には圧力損失が減少される。ここで、少なくとも1つの第一の浸透物集合管は、濾過エレメントの外側の部分に配置され、かつ少なくとも1つの第二の浸透物集合管は、濾過エレメントの内側の部分又は外側の部分に配置できる。例えば、2個の浸透物集合管は、外側の部分に配置されるか、又は第一の浸透物集合管は外側の部分に配置され、別の第二の浸透物集合管が濾過エレメントの内側の部分に配置されてもよい。
【0185】
有利には、少なくとも2つの浸透物集合管は、濾過エレメントの外側の部分で又は外側の円周環中で互いに反対に配置されている。少なくとも2つの浸透物集合管を濾過エレメントの外側の部分で互いに反対に提供することにより、濾過エレメントは、管のうち一方がエレメントの主に頂上に配置され、もう一方の管が主に底に配置されるように濾過モジュール又は系に置くことができる。このように、排気は頂上の管を通して達成できるのに対して、更なる底の管は一定圧力で吐出し量を増大できる。
【0186】
他の実施態様では、濾過エレメントは膜エレメントの周辺に配置された穴空き管を更に有し、特に少なくとも1つの中空繊維膜を有する少なくとも1つの膜配列を有する。穴空きは、管に沿って一定の距離又は不規則な距離にある穴又は他の開口部により形成されてもよい。有利には、膜エレメント、特に膜配列は穴空き管により取り囲まれている。穴空き管を用いると、濾過エレメントに沿った軸上の圧力分布を濾過及び逆洗操作において均等化できる。従って、浸透物流は濾過エレメントに沿って均一に分布し、ひいては濾過効果を増大させることができる。
【0187】
他の実施態様では、穴空き管は環状ギャップがエレメントハウジングと穴空き管の間に形成されるように配置される。公知の膜エレメントは明確な境界を有さないので、膜エレメントは直接に濾過エレメントのハウジング中に埋め込まれる。軸上の流れが膜エレメントにより阻害されるので、これは軸方向での不均一な圧力分布につながる。
【0188】
他の実施態様では、膜エレメントはマルチボア膜を有する。マルチボア膜は、有利には1つよりも多いキャピラリーを有し、これが膜エレメント又は濾過エレメントの縦軸に沿ったチャネル内を走る。特に、マルチボア膜はチャネルを形成する少なくとも1つの基体と、キャピラリーを形成するチャネル内に配置された少なくとも1つの活性層を有する。基体中へのキャピラリーの埋め込みはマルチボア膜の形成を可能にし、このことは著しく容易に取り付けやすくし、かつ一本の中空繊維をベースとする膜よりも機械的に安定に成る。膜の機械的安定性の結果、マルチボア膜は逆洗による洗浄に特に適切であり、その際に、チャネル内に形成される可能性のある汚損層が持ち上がり、かつ取り除くことができるように濾過方向は反対向きに成る。膜エレメント中の均一な圧力分布につながる浸水物集合管の配列と組み合わせて、全体の性能及び濾過エレメントの安定性は更に増強される。
【0189】
中央の排出管及び一つのボア膜での設計とは反対に、濾過と逆洗の両方の操作モードでマルチボア膜の分布はより低い圧力損失を生産する点に関して利点がある。このような設計は、膜エレメントにわたる流れと圧力の分布を均等にすることによってキャピラリーの安定性を更に増大する。従って、このような設計は膜エレメントのキャピラリー間の圧力分布において不利な効果を避ける。中心の浸透物集合管を用いる設計に関しては、濾過モードでは、膜の外側のキャピラリーから内側のキャピラリーへ浸透物が流れ、かつ減少した断面を通過しなくてはならない。逆洗モードでは、流量が外側のキャピラリーに向かって減少するので、同様に外側に向かって洗浄効果が下がるという意味では効果が逆に成ってしまう。実際に、膜エレメント内の不均一な流れと圧力分布は、濾過モードにおいてより多くの流れを有する外側のキャピラリーをもたらし、よって内側のキャピラリーよりも多くの汚損層を形成する。しかし、反対に逆洗モードでは、これは内側のキャピラリーの高い洗浄効果とは逆に成り、他方で外側はより高い形成を示す。従って、濾過エレメントの外側の部分の浸透物集合管とマルチボア膜の使用の組合せは、相乗的に濾過エレメントのより長期の安定性を導く。
【0190】
本発明のその他の対象は、本発明による膜又は膜エレメントを有する膜モジュールである。
【0191】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは、モジュールハウジング内に配置される濾過エレメントを有する。原水は、少なくとも部分的に濾過エレメントを通って濾過され、かつ浸透物は濾過モジュールの内側で回収され、かつ出口を通って濾過モジュールから取り除かれる。1実施態様では、濾過物(また“浸透物”とも称される)は、浸透物集合管中の濾過モジュール内で回収される。通常は、エレメントハウジング、場合により浸透物集合管及び膜配列は、樹脂、有利にはエポキシ樹脂を有する膜ホルダー中の各末端で固定され、その中に濾過エレメントハウジング、膜、有利にはマルチボア膜及び場合により濾過物集合管が埋め込まれる。
【0192】
1実施態様では、膜モジュールは例えば円筒形の形を有し、その際、断面は丸、楕円、三角形、四角形又は幾つかの多角形の形のような任意の形を有することができる。丸い形が有利であり、これが膜エレメント中でのより均一な流れと圧の分布をもたらし、かつ例えば四角形又は三角形の形の角のような特定の場所で濾過された材料が集合してしまうことを避ける。
【0193】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは内側−外側の形状(“内側供給”)を有し、その際、濾過物は中空繊維又はマルチボア膜の内側から外側に流れる。
【0194】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは外側−内側の濾過形状を有する(“外側供給”)。
【0195】
有利な実施態様では、本発明による膜、濾過エレメント、濾過モジュール及び濾過系は、逆洗操作を行うことができるように配置され、その中で、濾過物は濾過モードとは反対方向で膜を通って流される。
【0196】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは容器に入れられている。
【0197】
他の実施態様では、本発明による膜モジュールは濾過を行うべき流体中に浸水される。
【0198】
1実施態様では、本発明による膜、濾過エレメント、濾過モジュール、濾過系は膜バイオリアクター中で使用される。
【0199】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは行き止まりの形状を有する及び/又は行き止まりのモードで操作できる。
【0200】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは直交流の形状を有する及び/又は直交流モードで操作できる。
【0201】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは直流の形状を有する及び/又は直流モードで操作できる。
【0202】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは、モジュールを綺麗にし、かつ空気で洗い流すことができる形状を有する。
【0203】
1実施態様では、濾過モジュールにはモジュールハウジングが含まれ、その際、上記の少なくとも1つの濾過エレメントは、モジュールハウジング内に配置される。それにより、濾過エレメントは垂直又は水平に配置される。モジュールハウジングは例えば、繊維強化プラスチック(FRP)又はステンレススチールから作られる。
【0204】
1実施態様では、少なくとも1つの濾過エレメントは、濾過エレメントの縦方向の中心軸とハウジングの縦方向の中心軸が重なり合うようにモジュールハウジング内に配置される。有利には、濾過エレメントは、環状ギャップがモジュールハウジングとエレメントハウジングの間に形成されるように、モジュールハウジングにより取り囲まれる。操作中のエレメントハウジングとモジュールハウジングの間の環状ギャップは、濾過モジュールに沿った軸方向に均一な圧力分布を可能にする。
【0205】
他の実施態様では、濾過エレメントは少なくとも1つの浸透物集合管が濾過モジュール又は濾過エレメントの主に頂上に位置するように配置される。これに関連して、主な頂上には、濾過エレメントの横断面中の垂直中心軸から±45°、有利には±10°、特に有利には±5°以内にある膜エレメントの外側部分の任意の位置が含まれる。更に、横断面の垂直中心軸は、横断面の水平中心軸ならびに濾過エレメントの長軸に沿って伸びた縦方向の中心軸に垂直である。このように浸透物集合管を配置することにより、開始前の濾過モジュール又は系の中に存在する空気は、浸透物集合管中に回収でき、これは濾過操作の開始により容易に排気できる。特に、エアポケットを浸透物と置き換えることができ、これが開始時に濾過モジュール又は系に供給される。濾過モジュール又は系から空気を放出することにより膜エレメントの活性部位は増大し、従って濾過効果が増す。更に、閉じ込められたエアポケットによる汚損のリスクが減少する。浸透物集合管を正しく方向づけるために濾過モジュールを水平に取り付けるのが更に有利である。
【0206】
他の実施態様では、濾過エレメントは濾過エレメントの外側の部分で少なくとも2つの浸透物集合管が互いに反対に置かれるように配置される。この実施態様では、浸透物集合管のうち1つが濾過エレメントの主に頂上に配置され、もう一方の管が濾過エレメントの主に底に配置されるように濾過モジュールを方向づけできる。このように、排気は頂上の管を通して達成できるのに対して、底の管は一定圧力でより高い吐出し量を可能にする。更に、浸透物集合管は、膜エレメントで充填すべきより広い空間を提供する他の形状と比べてより小さな寸法を有することができ、このように濾過容量が増大する。
【0207】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは、WO2010/121628、3頁、25行目〜9頁5行目に開示されているような形状ならびに特にWO2010/121628の図2図3に示されているような形状を有することができる。
【0208】
1実施態様では、本発明による膜モジュールはEP937492[0003]〜[0020]に開示されているような形状を有することができる。
【0209】
1実施態様では、本発明による膜モジュールは、入口、出口及び本発明による膜の結束を調整する膜コンパートメントを備えたフィルターハウジングを有するキャピラリー濾過膜モジュールであり、前記膜は膜ホルダー中の膜モジュールの両末端で容器に入っていて、かつ前記膜コンパートメントは、浸透物の運搬用の出口に連結した吐出し管が備えられている。1実施態様では、前記吐出し管は、主に濾過膜の縦方向に伸びている膜コンパートメント中に準備されている少なくとも1つの排出ラメラを有する。
【0210】
本発明の他の態様は、本発明による膜モジュールを有する濾過系である。複数の濾過モジュールに連結すると通常は濾過系の容量が増える。有利には、濾過モジュール及び包囲された濾過エレメントは水平に取り付けられ、かつアダプターは濾過モジュールが正しく連結されるように使用される。
【0211】
1実施態様では、本発明による濾過系は平行にモジュールの列を有する。
【0212】
1実施態様では、本発明による濾過系は水平の位置でモジュールの列を有する。
【0213】
1実施態様では、本発明による濾過系は垂直の位置でモジュールの列を有する。
【0214】
1実施態様では、本発明による濾過系は濾過物収集容器(タンク、コンテナのようなもの)を有する。
【0215】
1実施態様では、本発明による濾過系は、濾過モジュールを逆洗するために濾過物回収タンク中に回収された濾過物を使用する。
【0216】
1実施態様では、本発明による濾過系は、他の濾過モジュールを逆洗するために1つ又は複数の濾過モジュールからの濾過物を使用する。
【0217】
1実施態様では、本発明による濾過系は、濾過物集合管を有する。
【0218】
1実施態様では、本発明による濾過系は、濾過物集合管を有し、これに加圧空気を加え、強い強度で逆洗を適用できる。
【0219】
1実施態様では、本発明による濾過系はEP1743690、第2欄、37〜第8欄、14行及びEP1743690の図1図11;EP2008704、第2欄30行目〜第5欄36行目及び図1図4;EP2158958、第3欄1行目〜第6欄36行目及び図1に開示されているような形状を有する。
【0220】
1実施態様では、本発明による濾過系は、連続して垂直に配列されている1つよりも多い濾過モジュールを有し、その両側に濾過すべき流体用に流入パイプが並び、かつそれが一列ずつ縦方向に走って個々に配分されている集合管に開いている。それによって各濾過モジュールは、濾過物用に少なくとも1つの吐出し箇所を有し、これは濾過物集合管に移される。それにより、集合管は濾過モジュールの各列の側面に沿って走り、前記集合管は濾過モジュールの各側面で前記管に配分された分岐管を有し、その管により配分された濾過モジュールが直接に連結可能である。その際、濾過物集合管は、上の2つの隣接する集合管の上の方を平行して走る。
【0221】
1実施態様では、本発明による濾過系は、各濾過系の各濾過モジュールに連結している濾過物集合管を有し、かつこれは濾過系を逆洗するための貯蔵器として設計されている。その際、濾過系は逆洗モードにおいて、加圧空気を濾過物集合管に加え、膜モジュールを通って浸透物集合管から逆方向に浸透水を押し出すように配置される。
【0222】
1実施態様では、本発明による濾過系は、モジュールラック中に平行に配列された複数のモジュール列を有し、かつ供給/排水口を通して原水を供給可能であり、各々の末端はそれぞれ関連した供給/排水管を介して面していて、かつそれぞれ濾過物の壁側で排水口を含んでいる。これに濾過物を押し流すための濾過物集合管が連結する。その際、バルブ媒体が少なくとも1つの濾過モードと逆洗モードをコントロールするために用意される。その際、逆洗モードでは、1つのモジュール列の原水を運ぶ第一の供給管/排水管の供給側のコントロールバルブは閉じている。しかし、逆洗水を流すように役立つ1つのモジュール列のもう一方の供給管/排水管の関連する排水側のコントロールバルブは開いている。それに対して残りのモジュール列は開き、濾過物によるモジュールラックの1つのモジュール列の逆洗が他のモジュール列により同時に生産されることを保証する。
【0223】
以後、特定の用途で“膜”の使用について参照する場合には、これは膜ならびに濾過エレメント、膜モジュール及びこのような膜及び/又は膜モジュールを含んでいる濾過系の使用を含めることにする。
【0224】
有利な実施態様では、本発明による膜は海水又は汽水の処理に使用される。
【0225】
本発明の有利な1実施態様では、本発明による膜、特にRO、FO又はNF膜は、海水又は汽水の脱塩に使用される。
【0226】
本発明による膜、特にRO、FO又はNF膜は、例えば3〜8質量%の特に高い塩含有量を有する水の脱塩に使用される。例えば、本発明による膜は、採鉱からの水の脱塩及び油/ガス生産及びフラッキング法に適切であり、これらの用途でより高い収率を得ることができる。
【0227】
本発明による種々のタイプの膜は、例えば、ROとFO膜、ROとUF膜、ROとNF膜、ROとNFとUF膜、NFとUF膜を組み合わせるハイブリッド系で一緒に使用することもできる。
【0228】
他の有利な実施態様では、本発明による膜、特にNF、UF又はMF膜は、海水又は逆洗水を脱塩する前の水処理工程において使用される。
【0229】
他の有利な実施態様では、本発明による膜、特にNF、UF又はMF膜は、工業廃水又は都市廃水の処理に使用される。
【0230】
本発明による膜、特にRO及び/又はFO膜は、食品加工、例えば、食品液体(果汁のようなもの)の濃縮、脱塩又は脱水に、また乳清タンパク質粉末の生産及びミルクの濃縮で使用でき、乳清粉末の生産からのUF浸透物(ラクトースを含有する)は、ROにより濃縮でき、ワイン加工、洗車用の水を提供し、メープルシロップの製造で使用でき、水素の電気化学的生産の間に電極表面上のミネラルの形成を阻害し、リーフアクアリウムに水を供給するために使用できる。
【0231】
本発明による膜、特にUF膜は、透析及びその他の血液処置のような医学の用途、食品加工、チーズを製造するための濃縮、タンパク質のプロセシング、タンパク質の脱塩及び溶剤交換、タンパク質の分取、果汁の透明化、発酵ブロスからのワクチン及び抗生物質の再生、実験室レベルの水の精製、飲料水の殺菌(ウイルス除去を含む)、懸濁活性化した炭素前処理と組み合わせた内分泌物及び殺虫剤の除去で使用できる。
【0232】
本発明による膜、特にRO、FO、NF膜は、鉱山の復興、均一触媒の再生、脱塩反応法に使用できる。
【0233】
本発明による膜、特にNF膜は、二価のイオン又は重金属イオン及び/又は放射性金属イオンの分離、例えば採掘用途、均一触媒の再生、脱塩反応法において使用できる。
【0234】
本発明の他の対象は、ポリアリーレンエーテルブロックとポリアルキレンオキシドブロックを有するブロックコポリマーであり、その際、前記ポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシド単位と、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つのアルキレンオキシドの単位を有する。
【0235】
本発明によるコポリマーの適切なポリアリーレンエーテルブロックは、当業者に公知のようなものであり、かつ一般式(IV)
【化6】
[式中、以下の定義を有する:
t、q:それぞれ独立に0、1、2又は3である、
Q、T、Y:それぞれ独立に化学結合又は−O−、−S−、−SO2−、S=O、C=O、−N=N−、−CRab−RaとRbはそれぞれ独立に水素原子であるか、又はC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はC6〜C18−アリール基であるから選択される基であり、その際、Q、T及びYのうち少なくとも1つは、−O−ではなく、かつQ、T及びYのうち少なくとも1つは−SO2−であり、かつ
Ar、Ar1:それぞれ独立に6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基であり、
D:化学結合又は−O−である]
のポリアリーレンエーテル単位から形成できる。
【0236】
特にDは、他のアリーレンエーテル単位に結合する場合には酸素原子−O−である。Dはポリアルキレンオキシドブロックに結合する場合には化学結合である。
【0237】
ポリアリーレンエーテルは通常は、高温で二極性非プロトン性溶剤中、適切な出発化合物の重縮合により調製される(例えば、R. N. Johnson et al., J. Polym. Sci. A-1 5(1967) 2375, J. E. McGrath et al., Polymer 25(1984) 1827参照のこと)。
【0238】
適切なポリアリーレンエーテルブロックは、溶剤(L)及び塩基(B)の存在で、構造X−Ar−Y(M1)の少なくとも1つの出発化合物と、構造HO−Ar1−OH(M2)の少なくとも1つの出発化合物の反応により提供でき、その際
− Yはハロゲン原子であり、
− Xはハロゲン原子とOHから選択され、有利にはハロゲン原子、特にF、Cl又はBrから選択され、かつ
− ArとAr1は、それぞれ独立に6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基である。
【0239】
1実施態様では、上記の定義を有する一般式IIの単位から形成されるポリアリーレンエーテルは、溶剤(L)の存在で提供される:
【化7】
【0240】
上記の前提条件を有するQ、T又はYが化学結合である場合には、これは左に隣接する基と右に隣接する基が化学結合により互いに直接結合していることを意味すると解釈される。
【0241】
しかし、式(I)中のQ、T及びYは有利には独立に−O−と−SO2−から選択されるが、但しQ、T及びYから成る基のうち少なくとも1つは−SO2−である場合である。
【0242】
Q、T又はYが−CRab−である場合には、RaとRbはそれぞれ独立に水素原子又はC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はC6〜C18−アリール基である。
【0243】
有利なC1〜C12−アルキル基は、1〜12個の炭素原子を有する線状及び分枝状の、飽和アルキル基を有する。特に有利なC1〜C12−アルキル基は次のもの:C1〜C6−アルキルラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−又は3−メチルペンチル及び長鎖ラジカル、例えば、非分枝ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル及び一本又は複数に分枝したこれらの類似体である。
【0244】
上記の使用可能なC1〜C12−アルコキシ基の中で有用なアルキルラジカルには、上記
に定義したような1〜12個の炭素原子を有するアルキル基が含まれる。有利に使用可能なシクロアルキルラジカルは、特にC3〜C12−シクロアルキルラジカル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、−プロピル、−ブチル、−ペンチル、−ヘキシル、シクロヘキシルメチル、−ジメチル、−トリメチルを含む。
【0245】
ArとAr1は、それぞれ独立にC6〜C18−アリーレン基である。以下に記載する出発材料から進行し、Arは有利には、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン及び4,4’−ビスフェノールから成るグループから選択される電子に富む芳香族物質から誘導される。Ar1は、有利には非置換C6−アリーレン基又はC12−アリーレン基である。
【0246】
有用なC6〜C18−アリーレン基ArとAr1は、特にフェニレン基、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン、ナフチレン基、例えば、1,6−、1,7−、2,6−及び2,7−ナフチレンならびにアントラセン、フェナントレン及びナフタセンから誘導されるアリーレン基である。
【0247】
式(IV)の有利な実施態様におけるArとAr1は、有利にはそれぞれ独立に、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン及び4,4’−ビスフェニレンから成るグループから選択される。
【0248】
ポリアリーレンエーテル中、有利に存在する単位は、以下の繰り返し構造単位IVa〜IVo:
【化8】
【化9】
のうち少なくとも1つを有するものである。
【0249】
有利に存在する単位IVa〜IVoに加えて、有利には1つ又は複数の1,4−ジヒドロキシフェニル単位がレゾルシノール又はジヒドロキシナフタレン単位で置換されている単位も挙げられる。
【0250】
一般式IVの特に有利な単位は、単位IVa、IVg及びIVkである。また、ポリアリーレンエーテルブロックが主に一般式IVの1種類の単位から、特にIVa、IVg及びIVkから選択される1種類の単位から形成されている場合にも特に有利である。
【0251】
特に有利な実施態様では、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=SO2及びY=SO2である。このようなポリアリーレンエーテルは、ポリエーテルスルホン(PESU)とも称される。
【0252】
適切なポリアリーレンエーテルブロックは、有利には2000〜70000g/molの範囲内の平均分子量Mn(数平均)、特に有利には5000〜40000g/molの範囲内及び特に有利には7000〜30000g/molの範囲内の平均分子量Mn(数平均)を有する。ポリアリーレンエーテルブロックの平均分子量は、H. G. Eliasにより“An Introduction to Polymer Science” VCH Weinheim, 1997, 125頁に記載されているようにポリアリーレンエーテルブロックを形成するモノマーの比により調節及び計算できる。
【0253】
適切な出発化合物は当業者に公知であり、かつ基本的な制限を受けないが、但し記載された置換基が芳香族求核置換の範囲内で十分に反応性である場合である。
【0254】
有利な出発化合物は二官能性である。“二官能性”とは、芳香族求核置換における反応性基の数が出発化合物当たり2個であることを意味する。適切な二官能性出発化合物に関する更なる基準は、以下に詳述するように溶剤中での十分な溶解性である。
【0255】
有利にはモノマーの出発化合物が挙げられ、これは反応がモノマーから進行し有利に行われ、プレポリマーからは進行しないことを意味する。
【0256】
使用される出発化合物(M1)は、有利にはジハロジフェニルスルホンである。使用される出発化合物(M2)は、有利にはジヒドロキシジフェニルスルホンである。
【0257】
適切な出発化合物(M1)は、特にジハロジフェニルスルホン、例えば、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、2,2’−ジクロロジフェニルスルホン及び2,2’−ジフルオロジフェニルスルホンであり、特に有利には4,4’−ジクロロジフェニルスルホン及び4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンが挙げられる。
【0258】
従って、有利な化合物(M2)は、2つのフェノール性ヒドロキシル基を有するものである。
【0259】
フェノール性OH基は、出発化合物(M1)のハロゲン置換基に対して反応性を上げるために有利には塩基の存在で反応させる。
【0260】
2つのフェノール性ヒドロキシル基を有する有利な出発化合物(M2)は、以下の化合物から選択される:
− ジヒドロキシベンゼン、特にヒドロキノン及びレゾルシノール;
− ジヒドロキシナフタレン、特に1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン及び2,7−ジヒドロキシナフタレン;
− ジヒドロキシビフェニル、特に4,4’−ビフェノール及び2,2’−ビフェノール;
− ビスフェニルエーテル、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル;
− ビスフェニルプロパン、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
− ビスフェニルメタン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;
− ビスフェニルスルホン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;
− ビスフェニルスルフィド、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
− ビスフェニルケトン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン;
− ビスフェニルヘキサフルオロプロパン、特に2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;及び
− ビスフェニルフルオレン、特に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;
− 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン(ビスフェノールTMC)。
【0261】
有利には、前記芳香族ジヒドロキシル化合物(M2)から進行して、塩基(B)の添加により、それらの二カリウム塩又は二ナトリウム塩を調製し、かつそれらを出発化合物(M1)と反応させるのが有利である。更に前記化合物は別個に、又は前記化合物の2つ又はそれ以上の組合せとして使用できる。
【0262】
ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルホン及び4,4’−ビスフェノールは出発化合物(M2)として特に有利である。
【0263】
しかし、三官能性化合物を使用することもできる。この場合に、分枝構造が結果として生じる。三官能性出発化合物(M2)が使用される場合には、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが有利に挙げられる。
【0264】
使用すべき比は、塩化水素の理論上の除去で進行する重縮合反応の化学量論から原則的に誘導され、かつ公知の方法で当業者により規定される。
【0265】
有利な1実施態様では、ハロゲン末端基:フェノール末端基の割合は、出発化合物としての二官能性化合物(M2)とポリアルキレンオキシドに対する過剰のジハロゲン出発化合物(M1)の制御された規定により調節される。
【0266】
より有利には、この実施態様でのモル(M1)/(M2)比は、1.001〜1.3、より有利には1.003〜1.25、特に有利には1.005〜1.15、最も有利には1.01〜1.1である。
【0267】
有利にはモル(M1)/(M2+ポリアルキレンオキシド)比は、1.002〜1.25、より有利には1.005〜1.2である。
【0268】
二者択一的に、X=ハロゲン及びY=OHである出発化合物(M1)を使用することもできる。この場合に、使用されるハロゲン:OH末端基の比は、有利には1.001〜1.25、より有利には1.003〜1.2、特に1.005〜1.15、最も有利には1.01〜1.1である。
【0269】
有利には、重縮合における変換は、少なくとも0.9であり、これは十分に高い分子量を保証する。
【0270】
本発明に関連して有利な溶剤(L)は、有機溶剤、特に非プロトン性極性溶剤である。適切な溶剤は、80〜320℃の範囲内の沸点、特に100〜280℃の範囲内、有利には150〜250℃の範囲内の沸点を有する。適切な非プロトン性極性溶剤は、例えば、高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称ハロゲン化炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン及び/又はN−エチル−2−ピロリドンである。これらの溶剤の混合物を使用することもできる。
【0271】
有利な溶剤は、特にN−メチル−2−ピロリドン及び/又はN−エチル−2−ピロリドンである。
【0272】
有利には出発化合物(M1)と(M2)及びポリアルキレンオキシドを記載した非プロトン性極性溶剤(L)中、特にN−メチル−2−ピロリドン中で反応させる。
【0273】
出発化合物(M1)と(M2)及びポリアルキレンオキシドは、塩基(B)の存在で反応させる。塩基は有利には無水物である。適切な塩基は特に、無水アルカリ金属及び/又は無水アルカリ土類金属カーボネート、有利には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又はこれらの混合物、極めて特に有利には、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又はこれらの混合物であり、極めて有利には炭酸カリウム、特にN−メチル−2−ピロリドンの懸濁液中、粒子サイズ測定装置を用いて測定して200マイクロメーター未満の体積重量の平均粒子サイズを有する炭酸カリウムが挙げられる。
【0274】
極めて有利な組み合わせは、溶剤(L)としてのN−メチル−2−ピロリドンと塩基(B)としての炭酸カリウムである。
【0275】
適切な出発化合物(M1)と(M2)及びポリアルキレンオキシドの反応は、80〜250℃、有利には100〜220℃の温度で実施され、温度の上限は溶剤の沸点により決定される。
【0276】
反応は有利には2〜12時間、特に3〜8時間の時間の間隔で行われる。
【0277】
特に適切な出発材料、塩基、溶剤、関係する全ての成分の比、反応時間及び温度と圧力のような反応パラメーターならびに適切な作業様式は、例えば、US4870153の第4欄、11行目〜第17欄、64行目、EP113112、6頁1行目〜9頁14行目、EP−A297363、10頁38行目〜11頁24行目、EP−A135130、1頁37行目〜4頁20行目に開示されていて、これを参照して本明細書に取り入れることとする。
【0278】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシド単位と、エチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのアルキレンオキシドの単位を、それぞれ重合した形で有する。エチレンオキシドとは異なるアルキレンオキシドの例には、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、スチレンオキシド(SO)及びテトラヒドロフラン(THF)が含まれる。有利には、エチレンオキシドとは異なる前記の少なくとも1つのアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びテトラヒドロフラン、特に有利にはPOとTHFから選択される。
【0279】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックはそれら自体はセグメント化されたコポリマーであり、エチレンオキシドのセグメント(“ポリエチレンオキシド”)と、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランの少なくとも1つのセグメント(“ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフランのポリブチレンオキシド”)を有する。
【0280】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントとポリエチレンオキシドとは異なる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する。
【0281】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、ポリプロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを有する少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する。
【0282】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、少なくとも1つのポリエチレンオキシドセグメントと、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフラン又はこれらの混合物の重合により得られる少なくとも1つのポリアルキレンオキシドの少なくとも1つのセグメントを有する。
【0283】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、アルキル基又はアリール基で一方の側がエンドキャップされ、一般構造AB又はABA(Aはポリアルキレンオキシドブロックであり、Bはポリアリーレンエーテルブロックである)の個々のポリマー分子を有するブロックコポリマーを生じる。ポリアルキレンオキシドブロックが一方の側がアルキル基又はアリール基でエンドキャップされている場合に、本発明によるブロックコポリマー中に含まれているポリアルキレンオキシドブロックを有する全ての個々のポリマー分子の通常は少なくとも50mol%、有利には少なくとも70mol%、より有利には少なくとも90mol%、及びより有利には少なくとも95%は、一般構造AB又はABAを有する。
【0284】
有利な実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドは両末端の位置でOH基を有し、個々の1つのポリマー分子中に複数のポリアルキレンオキシドブロックを有していてもよいブロックコポリマーを生じる。
【0285】
1実施態様では、本発明によるブロックコポリマー中に含まれている個々のポリマー分子の少なくとも50mol%、より有利には少なくとも70mol%、更に有利には少なくとも80mol%、特に有利には少なくとも90mol%及び極めて有利には少なくとも95mol%又は少なくとも99mol%は、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドブロックと少なくとも1つのポリアリーレンエーテルブロックを有する。
【0286】
適切なポリアルキレンオキシドは線状又は分枝状であってよい。ポリアルキレンオキシドの分枝は、例えばエポキシド基とOH又はクロロ部分を有しているモノマーをポリアルキレンオキシド中に含むことにより達成できる。有利には、適切なポリアルキレンオキシドは線状である。
【0287】
有利には、適切なポリアルキレンオキシドは末端の位置でポリエチレンオキシド(PEO)のセグメントを有するのに対して、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリブチレンオキシド(PBO)及びポリ−THF(pTHF)のようなポリエチレンオキシドとは異なるポリアルキレンオキシドのセグメントは有利には中心の位置に含まれている。有利なポリアルキレンオキシドブロックは構造PEO−PPO−PEO、PEO−PBO−PEO又はPEO−pTHF−PEOを有する。
【0288】
あまり有利ではない実施態様では、ポリアルキレンオキシドブロックは構造PEO−PPO−pTHF−PPO−PEOを有する。
【0289】
あまり有利ではない他の実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは構造PEO−PPO/PBO/pTHF−PEOのものであり、中心のセグメントがセグメントの形又はサブ−セグメントの形で統計的に分布しているブチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランから選択される少なくとも2つのアルキレンオキシドを含むことを意味する。
【0290】
特に有利な実施態様では、ポリアルキレンオキシドブロックを有する本発明によるブロックコポリマーは、一般式(I)、(II)又は(III):
【化10】
[式中、
Rは水素又は脂肪族又は芳香族基又は化学結合を意味し、
その際、各々の式I、II又はIIIによる全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有するものの数平均は独立に1.1〜40である;及び
各々の式I、II又はIIIによる全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するnならびにブロックコポリマー中に存在する同じ基Rを有するものの数平均は10〜500である]
のものである。
【0291】
有利には、ブロックコポリマー中に存在する全てのポリアルキレンオキシドブロックに関するmとoの数平均は、同じであるか又は0.5以下又はより有利には0.1以下だけ異なる。
【0292】
適切なポリアルキレンブロックは通常は12.2〜580個の数平均のアルキレンオキシド単位を有する。有利には適切なポリアルキレンオキシドは、15〜300個、より有利には20〜150個、更に有利には25〜100個のアルキレンオキシド単位を有する。
【0293】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは、通常はエチレンオキシドセグメント当たり1.1〜40単位の数平均のエチレンオキシド、有利には1.5〜30単位、より有利には2〜25単位、更に有利には5〜10単位の数平均のエチレンオキシドを有する。
【0294】
適切なポリアルキレンオキシドブロックは、通常は10〜500単位のプロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン、有利には20〜400単位、より有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位の数平均を有する。
【0295】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックはエチレンオキシドとプロピレンオキシドだけを有し、かつ10〜500単位の数平均のプロピレンオキシド、有利には20〜400単位、より有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位の数平均ならびにプロピレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、200:1〜1:1、有利には150:1〜1.5:1、より有利には100:1〜2:1ならびに特に有利には50:1〜5:1である。他の実施態様では、プロピレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0296】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックはエチレンオキシドとブチレンオキシドだけを有し、かつ10〜500単位の数平均のブチレンオキシド、有利には20〜400単位、より有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位の数平均ならびにブチレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、200:1〜1:1、有利には150:1〜1.5:1、より有利には100:1〜2:1ならびに特に有利には50:1〜5:1である。他の実施態様では、ブチレンオキシド:エチレンオキシドの数平均モル比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0297】
1実施態様では、適切なポリアルキレンオキシドブロックは、エチレンオキシドとテトラヒドロフランだけを有し、かつ10〜500単位の数平均のテトラヒドロフラン、有利には20〜400単位、より有利には30〜300単位及び更に有利には40〜150単位の数平均ならびにテトラヒドロフラン:エチレンオキシドの数平均モル比は、200:1〜1:1、有利には150:1〜1.5:1、より有利には100:1〜2:1ならびに特に有利には50:1〜5:1である。他の実施態様では、テトラヒドロフラン:エチレンオキシドの数平均モル比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0298】
本発明によるブロックコポリマーは、ポリアルキレンオキシドブロックとポリアリーレンエーテルブロックを有する。通常は、前記ポリアルキレンオキシドブロックの少なくとも70mol%、有利には少なくとも80mol%及びより有利には少なくとも90mol%ならびに更に有利には少なくとも99mol%は、ポリアリーレンエーテルブロックに共有結合する。有利な1実施態様では、主に全てのポリアルキレンオキシドブロックがポリアリーレンエーテルブロックに共有結合する。通常は、前記ポリアルキレンオキシドブロックは、−O−基(エーテル基)を介してポリアリーレンエーテルブロックに共有結合する。
【0299】
1実施態様では、本発明によるブロックコポリマーは一般構造AB又はABAの個々のポリマー分子を有し、その際、Aはポリアルキレンオキシドブロックであり、Bはポリアリーレンエーテルブロックである。通常は、本発明によるブロックコポリマー中に含まれているポリアルキレンオキシドブロックを有する全ての個々のポリマー分子の少なくとも50mol%、有利には少なくとも70mol%、より有利には少なくとも90mol%なお有利には少なくとも95mol%は、一般構造AB又はABAを有する。
【0300】
1実施態様では、本発明によるブロックコポリマー中に含まれている個々のポリマー分子の少なくとも50mol%、有利には少なくとも70mol%、より有利には少なくとも80mol%、特に有利には少なくとも90mol%及び極めて有利には少なくとも95mol%又は少なくとも99mol%は、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドブロックと少なくとも1つのポリアリーレンエーテルブロックを有する。
【0301】
有利な実施態様では、ブロックコポリマー中のポリアリーレンオキシドブロックはポリスルホン、ポリエーテルスルホン又はポリフェニレンスルホンである。
【0302】
通常は、本発明によるブロックコポリマーの平均分子量Mw(実験の箇所に挙げられている方法によりGPCにより測定)は、5000〜150000g/mol、有利には7500〜50000g/mol、より有利には10000〜30000g/molである。本発明による有用であるブロックコポリマーが特にPEOを含まないポリアルキレンオキシドブロックを有するブロックコポリマーと比べて高分子量で調製できることは、本発明の意想外な結果であった。
【0303】
本発明によるブロックコポリマーは有利には1.5〜5、より有利には2〜4の多分散度(Mw/Mn)を有する(実験の箇所に挙げられている方法によりGPCにより測定)。
【0304】
通常は、本発明によるブロックコポリマーは2つのガラス転移温度を有する。例えば、本発明によるブロックコポリマーは、−80〜−20℃の範囲内に1つのガラス転移温度及び100〜225℃の範囲内に1つのガラス転移温度を有する(実験の箇所で記載するような示差走査熱量測定(DSC)により測定)。
【0305】
本発明によるブロックコポリマーは膜又は膜の分離層を特に限外濾過、ナノ濾過又は精密濾過膜中に作るために有用である。
【0306】
1実施態様では、本発明によるブロックコポリマーは、特に逆浸透又は正浸透において支持層、キャリア材料、安定層又は膜の他の部分を作るために使用される。
【0307】
本発明の他の態様は、本発明によるブロックコポリマーを作るための方法である。
【0308】
本発明のあまり有利ではない実施態様では、本発明によるブロックコポリマーは適切な溶剤中、適切な反応条件下に処理され簡単に調製されたアリーレンエーテルブロックと、適切なポリアルキレンオキシドブロックから調製される。
【0309】
あまり有利ではない本発明の他の実施態様では、本発明によるブロックコポリマーは、
α,ω−Cl−末端化ポリアルキレングリコールから、このようなα,ω−Cl−末端化ポリアルキレングリコールと、アリーレンエーテルブロックを形成するモノマーを反応させることにより調製される。このような方法は、例えばEP781795の5頁42行目〜7頁、52行目に開示されている。
【0310】
本発明の有利な実施態様では、本発明によるブロックコポリマーは、適切なポリアルキレンオキシドの存在で適切なポリアリーレンを用意することにより調製される。
【0311】
例えば、本発明によるブロックコポリマーは、少なくとも1つの適切な塩基の存在及び適切なポリアルキレンオキシドの存在で、芳香族ビスハロゲノ化合物と芳香族ビフェノール又はそれらの塩を反応させることにより調製できる。本発明によるコポリマーにとって適切なポリアルキレンオキシド(“適切なポリアルキレンオキシドブロック”)は先に記載されている。これらの方法に適切な塩基は、例えば、無機カーボネート又はヒドロキシドである。
【0312】
例えば、本発明によるブロックコポリマーは、US4870153、第4欄、11行〜第17欄、64行目、EP113112、6頁1行目〜9頁14行目、EP−A297363、10頁38行目〜11頁24行目、EP−A135130、1頁37行目〜4頁20行目に記載されているように非プロトン性溶剤中、適切なポリアルキレンオキシドの存在及び少なくとも1つのアルカリ金属又は炭酸アンモニウム又は炭酸水素塩の存在で芳香族ビスハロゲノ化合物と芳香族ビフェノール又はこれらの塩の反応から調製でき、これらの方法を参照して本明細書中に組み入れることにする。
【0313】
本発明による方法は、比較的に短い反応時間と高い純度で本発明によるブロックコポリマーの調製を可能にする。
【0314】
本発明による方法は、本発明によるブロックコポリマーの調製を、特にPEOを有さないポリアルキレンオキシドブロックを有するブロックコポリマーと比べて高い分子量で可能にする。
【0315】
本発明による方法は、通常は蒸留工程又は共留剤の使用を必要としない。
【0316】
本発明による方法は通常は乾燥工程を必要としない。
【0317】
本発明の他の態様は、本発明による方法を使用して得られるブロックコポリマーである。
【0318】
本発明によるブロックコポリマーは高い可撓性を有する。
【0319】
更に本発明によるブロックコポリマーは、水と接触する際に低い接触角を示す。従って、本発明によるブロックコポリマーは水で容易に湿潤可能である。
【0320】
本発明によるブロックコポリマーは高い上限ガラス転移温度を有する。
【0321】
更に、本発明によるブロックコポリマーは極めて優れた寸法安定性、高い耐熱変形性、優れた機械的特性及び優れた耐火性ならびに生物適合性を有する。これらは高温で加工及び取り扱うことができ、高温に曝され、なおかつ例えばスチーム、水蒸気又は例えば100℃を上回る又は125℃を上回る高温を使用して消毒に課される製品の製造を可能にする。本発明によるブロックコポリマーは、更に射出成型に関わる用途に適切である。
【0322】
更に、本発明によるブロックコポリマーは短い反応時間で及び簡単な装置を使用して効率的に製造できる。これらは高い粘度数と高い分子量を有し、及び使用されるポリアルキレンオキシドを高い割合で含む。
【0323】
本発明によるブロックコポリマーは、それらの化学特性及び機械特性に高い要求を有する製品を作るために有用である。本発明によるブロックコポリマーは膜を作るために特に有用である。
【0324】
実施例
略語:
DCDPS 4,4’−ジクロロジフェニルスルホン
DHDPS 4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
NMP N−メチルピロリドン
DMAc ジメチルアセトアミド
PWP 純水の浸透
MWCO 分子量カットオフ
コポリマーの粘度をDIN EN ISO 1628−1にならって25℃でNMP中コポリマーの1質量%溶液として測定した。
【0325】
コポリマーを室温で水中のコポリマーの溶液の沈殿によりそれらの溶液から単離した(噴霧反応器の高さ0.5m、流量:2.5l/h)。次にこのように得られたビーズを85℃で20時間水で抽出した(水の流量160l/h)。次にビーズを乾燥させて0.1質量%未満の含水量にした。
【0326】
コポリマーの分子量分布と平均分子量をDMAc中、GPC測定器により測定した。
【0327】
GPC測定は溶出液としてのジメチルアセトアミド/0.5質量%LiBrを使用して行った。ポリマー溶液の濃度は4mg/mlであった。濾過(孔サイズ0.2μm)の後、この溶液100μlをGPC系に注入した。分離のために4種の異なるカラム(80℃まで加熱)を使用した(GRAMプレカラム、GRAM30A、GRAM1000A、GRAM1000A、分離材料:ポリエステルコポリマー)。1ml/分の流量でこの系を操作した。検出系としてDRI Agilent 1100を使用した。800〜1820000g/molの分子量(Mn)を有するPMMA標準を用いてキャリブレーションを行った。
【0328】
ブロックコポリマー中のポリアルキレンオキシド全体の含有量、又はポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はポリテトラヒドロフランの含有量は、CDCl3中、1H−NMRを使用して測定した。ポリアルキレン基のH−原子の共鳴信号のシグナル強度をポリアリーレンエーテルブロック中に含まれる芳香族基のH−原子の共鳴信号と比較した。この比較は、コポリマー中のポリアルキレンオキシドの含有量(質量部)を計算するために使用できるポリアルキレンオキシド:ポリアリーレンエーテルの比を生じる。
【0329】
ブロックコポリマー中に組込まれたポリアルキレンオキシドの比は、ブロックコポリマー中に含まれるポリアルキレンオキシドの量(NMRにより測定、上記参照):出発材料として使用されるポリアルキレンオキシドの量の比である。
【0330】
生成物のガラス転移温度は、DSC分析により測定した。全てのDSC測定は、TAインストルメントのDSC2000を使用して20k/分の加熱速度で行った。材料約5mgをアルミニウム容器中に置き、かつ密封した。第一の操作では、試料を250℃まで加熱し、−100℃まで急冷し、かつ次に第二の操作で250℃まで加熱した。与えられたTg値は第二の操作で測定した。
【0331】
水と、ポリマー試料の溶融プレスにより製造したフィルム表面との間の接触角は、接触角測定装置(Drop shape analysis system DSA 10MK 2, Kruess GmbH、ドイツ)を使用して得られた。接触角度を測定するために、試料2cm2を対象プレートに固定した。マイクロライターガンを用いて水滴を試料上に置いた。CCD−カメラにより液滴の形を記録した。画像認識ソフトウェアにより接触角を分析した。
【0332】
コポリマーの調製:
比較例1:PESU−PPO−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS430.62g、DHDPS367.75g、4561g/molの数平均分子量Mnを有するポリプロピレンオキシド136.83g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム217.68gを窒素雰囲気中NMP789.5ml中に懸濁させた。混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。8時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1460mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0333】
比較例2:PESU−pTHF−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS574.16g、DHDPS475.32g、2000g/molの数平均分子量Mnを有するポリテトラヒドロフラン200g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム297.15gを窒素雰囲気中NMP1053ml中に懸濁させた。混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1947mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0334】
例3:PESU−(PEO−PPO−PEO)−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS430.62g、DHDPS364.00g、2001g/molの数平均分子量Mn及びPEOセグメント当たりエチレンオキシド2単位の数平均を有する構造PEO−PPO−PEOを有するセグメント化コポリマー90g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム217.68gを窒素雰囲気中NMP790ml中に懸濁させた。
【0335】
混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1400mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0336】
例4:PESU−(PEO−PPO−PEO)−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS430.62g、DHDPS367.75g、2900g/molの数平均分子量Mn及びPEOセグメント当たりエチレンオキシド6単位の数平均を有する構造PEO−PPO−PEOを有するセグメント化ポリマー87g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム217.68gを窒素雰囲気中NMP790ml中に懸濁させた。
【0337】
混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1400mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0338】
例5:PESU−(PEO−pTHF−PEO)−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS574.16g、DHDPS485.33g、2404g/molの数平均分子量Mn及びPEOセグメント当たりエチレンオキシド5単位の数平均を有する構造PEO−pTHF−PEOを有するセグメント化ポリマー144g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム290.24gを窒素雰囲気中NMP1333ml中に懸濁させた。
【0339】
混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1667mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0340】
例6:PESU−(PEO−pTHF−PEO)−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS520.94g、DHDPS431.13g、2404g/molの数平均分子量Mn及びPEOセグメント当たりエチレンオキシド5単位の数平均を有する構造PEO−pTHF−PEOを有するセグメント化ポリマー218.05g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム269.53gを窒素雰囲気中NMP1209ml中に懸濁させた。
【0341】
混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。
【0342】
反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1511mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0343】
例7:PESU−(PEO−pTHF−PEO)−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS574.16g、DHDPS474.32g、3720g/molの数平均分子量Mn及びPEOセグメント当たりエチレンオキシド22単位の数平均を有する構造PEO−pTHF−PEOを有するセグメント化ポリマー372g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム297.15gを窒素雰囲気中NMP1333ml中に懸濁させた。
【0344】
混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。
【0345】
反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1667mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0346】
比較例8:PESU−PEO−コポリマー
サーモメター、ガス注入管及びディーン・スターク・トラップを備えた4リットルガラス反応器中、DCDPS574.16g、DHDPS475.32g、2050g/molの数平均分子量Mnを有するPEO205g及び32.4μmの体積平均粒子サイズを有する炭酸カリウム290.24gを窒素雰囲気中NMP1053ml中に懸濁させた。
【0347】
混合物を1時間以内に190℃まで加熱した。以下に、反応時間とは反応の間に反応混合物が190℃で保持される時間であると解釈される。
【0348】
反応中に形成された水を蒸留により連続的に取り除いた。反応器中の溶剤レベルは、更なるNMPの添加により一定のレベルで保持された。6時間の反応時間後に、23℃の温度を有するNMP1947mlの添加により反応を停止した。20l/hの速度で混合物に1時間窒素を泡立てて通し、かつ混合物を室温まで冷却させた。反応中に形成された塩化カリウムを濾過により除去した。
【0349】
【表1】
【0350】
本発明によるブロックコポリマーは、比較例よりも高い粘度数を示した。出発材料として使用されるポリアルキレンオキシドに対するブロックコポリマーに組込まれたポリアルキレンオキシドの割合は極めて高い。
【0351】
本発明によるブロックコポリマーは、比較例に対して少ない水との接触角を示した。本発明によるブロックコポリマーは、2つの明確なガラス転移温度を有し、かつ相が分離した構造を示した。本発明によるブロックコポリマーは、高い上限ガラス転移温度を示した。
【0352】
膜の製造
例M1:PESUフラットシート膜の製造
磁気撹拌機を備えた3つ首フラスコ中に、N−メチルピロリドン(NMP)80ml、ポリビニルピロリドン(PVP、Luvitec(R) K40)5gとポリエーテルスルホン(PESU、Ultrason(R) E6020P)15gを添加した。この混合物を60℃で静かに撹拌しながら均一でクリアーな粘性溶液が得られるまで加熱した。該溶液を室温で一晩脱気した。膜溶液を60℃で2時間再加熱した後に、5mm/分の速度で運転するエリクソンコーティング機を使用し、キャスティングナイフ(300ミクロン)を用いて60℃でガラス板上に鋳造した。膜フィルムは、25℃で10分間水浴に浸漬する前に30秒間休ませた。
【0353】
膜がガラス板から剥がれた後に、膜を水浴に12時間の間注意深く移した。この後に、膜を2000ppmNaOCl含有の浴に50℃で4.5時間の間移し、PVPを取り除いた。このプロセスの後に、膜を60℃で水で洗浄し、かつ次に1回亜硫酸水素ナトリウム0.5質量%溶液で洗浄し、活性塩素を除去した。水での数回の洗浄工程の後に、キャラクタリゼーションを開始するまで膜を湿らせて貯蔵した。
【0354】
少なくとも10×15cmサイズの寸法を有するUF膜のミクロ構造の特徴を有するフラットシート連続フィルムが得られた。膜は上部の薄い表皮層(1〜3ミクロン)と下部の多孔質層(厚さ:100〜150ミクロン)を有した。
【0355】
例M2:コポリマー1をベースとするフラットシート膜
磁気撹拌機を備えた3つ首フラスコ中に、N−メチルピロリドン(NMP)80ml、ポリビニルピロリドン(PVP、Luvitec(R) K40)5gと例1で得られたブロックコポリマー15gを添加した。この混合物を60℃で静かに撹拌しながら均一でクリアーな粘性溶液が得られるまで加熱した。該溶液を室温で一晩脱気した。膜溶液を60℃で2時間再加熱した後に、5mm/分の速度で運転するエリクソンコーティング機を使用してキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いて60℃でガラス板上に鋳造した。膜フィルムは、25℃で10分間水浴に浸漬する前に30秒間休ませた。
【0356】
膜がガラス板から剥がれた後に、膜を水浴に12時間の間注意深く移した。この後に、膜を2000ppmNaOCl含有の浴に50℃で4.5時間の間移し、PVPを取り除いた。このプロセスの後に、膜を60℃で水で洗浄し、かつ次に1回亜硫酸水素ナトリウム0.5質量%溶液で洗浄し、活性塩素を除去した。水での数回の洗浄工程の後に、キャラクタリゼーションが開始するまで膜を湿らせて貯蔵した。
【0357】
少なくとも10×15cmサイズの寸法を有するUF膜のミクロ構造の特徴を有するフラットシート連続フィルムが得られた。膜は上部の薄い表皮層(1〜3ミクロン)と下部の多孔質層(厚さ:100〜150ミクロン)を有した。
【0358】
例M3:コポリマー4をベースとするフラットシート膜
磁気撹拌機を備えた3つ首フラスコ中に、N−メチルピロリドン(NMP)80ml、ポリビニルピロリドン(PVP、Luvitec(R) K40)5gと例4で得られたブロックコポリマー15gを添加した。この混合物を60℃で静かに撹拌しながら均一でクリアーな粘性溶液が得られるまで加熱した。該溶液を室温で一晩脱気した。膜溶液を60℃で2時間再加熱した後に、5mm/分の速度で運転するエリクソンコーティング機を使用してキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いて60℃でガラス板上に鋳造した。膜フィルムは、25℃で10分間水浴に浸漬する前に30秒間休ませた。
【0359】
膜がガラス板から剥がれた後に、膜を水浴に12時間の間注意深く移した。この後に、膜を2000ppmNaOCl含有の浴に50℃で4.5時間の間移し、PVPを取り除いた。このプロセスの後に、膜を60℃で水で洗浄し、かつ次に1回亜硫酸水素ナトリウム0.5質量%溶液で洗浄し、活性塩素を除去した。水での数回の洗浄工程の後に、キャラクタリゼーションが開始するまで膜を湿らせて貯蔵した。
【0360】
少なくとも10×15cmサイズの寸法を有するUF膜のミクロ構造の特徴を有するフラットシート連続フィルムが得られた。膜は上部の薄い表皮層(1〜3ミクロン)と下部の多孔質層(厚さ:100〜150ミクロン)を有した。
【0361】
例M4:コポリマー6をベースとするフラットシート膜
磁気撹拌機を備えた3つ首フラスコ中に、N−メチルピロリドン(NMP)80ml、ポリビニルピロリドン(PVP、Luvitec(R) K40)5gと例6で得られたブロックコポリマー15gを添加した。この混合物を60℃で静かに撹拌しながら均一でクリアーな粘性溶液が得られるまで加熱した。該溶液を室温で一晩脱気した。膜溶液を60℃で2時間再加熱した後に、5mm/分の速度で運転するエリクソンコーティング機を使用してキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いて60℃でガラス板上に鋳造した。膜フィルムは、25℃で10分間水浴に浸漬する前に30秒間休ませた。
【0362】
膜がガラス板から剥がれた後に、膜を水浴に12時間の間注意深く移した。この後に、膜を2000ppmNaOCl含有の浴に50℃で4.5時間の間移し、PVPを取り除いた。このプロセスの後に、膜を60℃で水で洗浄し、かつ次に1回亜硫酸水素ナトリウム0.5質量%溶液で洗浄し、活性塩素を除去した。水での数回の洗浄工程の後に、キャラクタリゼーションが開始するまで膜を湿らせて貯蔵した。
【0363】
少なくとも10×15cmサイズの寸法を有するUF膜のミクロ構造の特徴を有するフラットシート連続フィルムが得られた。膜は上部の薄い表皮層(1〜3ミクロン)と下部の多孔質層(厚さ:100〜150ミクロン)を有した。
【0364】
例M5:コポリマー8をベースとするフラットシート膜
磁気撹拌機を備えた3つ首フラスコ中に、N−メチルピロリドン(NMP)80ml、ポリビニルピロリドン(PVP、Luvitec(R) K40)5gと例4で得られたブロックコポリマー15gを添加した。この混合物を60℃で静かに撹拌しながら均一でクリアーな粘性溶液が得られるまで加熱した。該溶液を室温で一晩脱気した。膜溶液を60℃で2時間再加熱した後に、5mm/分の速度で運転するエリクソンコーティング機を使用してキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いて60℃でガラス板上に鋳造した。膜フィルムは、25℃で10分間水浴に浸漬する前に30秒間休ませた。
【0365】
膜がガラス板から剥がれた後に、膜を水浴に12時間の間注意深く移した。この後に、膜を2000ppmNaOCl含有の浴に50℃で4.5時間の間移し、PVPを取り除いた。このプロセスの後に、膜を60℃で水で洗浄し、かつ次に1回亜硫酸水素ナトリウム0.5質量%溶液で洗浄し、活性塩素を除去した。水での数回の洗浄工程の後に、キャラクタリゼーションが開始するまで膜を湿らせて貯蔵した。
【0366】
少なくとも10×15cmサイズの寸法を有するUF膜のミクロ構造の特徴を有するフラットシート連続フィルムが得られた。膜は上部の薄い表皮層(1〜3ミクロン)と下部の多孔質層(厚さ:100〜150ミクロン)を有した。
【0367】
膜のキャラクタリゼーション:
直径60mmを有する圧力セルを使用して、超純水(塩不含水、更にMillipore UF系により濾過した)を使用して、膜への純水の浸透を試験した。引き続く試験では、種々のPEG−標準の溶液を0.15バールの圧力で濾過した。供給と浸透のGPC−測定により、分子量カットオフ(MWCO)を決定した。得られたデータは表2にまとめられている。
【0368】
蒸気滅菌中に生じる熱応力をシミュレートするために、120℃で5分間予備加熱しておいたオーブンに膜を入れた。初めの試料サイズ(40mm×40mm)に関する膜の収縮ならびに外観は表2にも挙げられている。
【0369】
【表2】
【0370】
本発明による有用なブロックコポリマーを有する膜は、参照の膜に匹敵するか又は僅かにだけ改善された分離能でより高い水の浸透性を示した。更に、本発明による有用なコポリマーを有する膜は、他の親水性コポリマーよりもはるかに高い熱安定性を示す。