特許第6559218号(P6559218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6559218極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法
<>
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000002
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000003
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000004
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000005
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000006
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000007
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000008
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000009
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000010
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000011
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000012
  • 特許6559218-極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559218
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】極紫外線キャッピング層、及び極紫外線キャッピング層の製造及びリソグラフィの方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20190805BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20190805BHJP
   G21K 1/06 20060101ALI20190805BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
   G03F1/24
   G21K1/06 D
   G21K1/06 C
   G02B5/08 A
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-500330(P2017-500330)
(86)(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公表番号】特表2017-521711(P2017-521711A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015039158
(87)【国際公開番号】WO2016007394
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年6月28日
(31)【優先権主張番号】62/023,438
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/696,322
(32)【優先日】2015年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ビーズリー, カラ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】フォード, マジェード エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベックストロム ザ サード, ルディ
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−227898(JP,A)
【文献】 特開2006−049761(JP,A)
【文献】 特開2006−170916(JP,A)
【文献】 特開2008−288299(JP,A)
【文献】 特開2009−212220(JP,A)
【文献】 特開2014−116498(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/043414(WO,A1)
【文献】 米国特許第06656575(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0121134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20− 7/24
9/00− 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線反射素子を製造する方法であって、
基板を提供することと、
前記基板に多層スタックを形成することであって、前記多層スタックが、ブラッグリフレクタを形成するために、第1の反射層と第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む、形成することと、
前記多層スタックの上に被せてキャッピング層を形成することであって、ルテニウムタングステンから形成され、且つ酸化及び物理的浸食を減らすことによって前記多層スタックを保護する、キャッピング層を形成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記キャッピング層を形成することが、物理的気相堆積を使用して前記キャッピング層を形成することと、20オングストロームと50オングストロームの間の厚さを有する前記キャッピング層、及び極紫外線に対して透明である前記キャッピング層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャッピング層を形成することが、5.5以上のモース硬度を有する前記キャッピング層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャッピング層を形成することが、0.2ナノメートル二乗平均平方根(RMS)未満の表面粗度を有する前記キャッピング層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
極紫外線反射素子であって、
基板と、
前記基板上の多層スタックであって、第1の反射層と、第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む多層スタックと、
前記多層スタックの上に被せられたキャッピング層であって、ルテニウムタングステンから形成され、酸化及び物理的浸食を減らすことによって、前記多層スタックを保護するキャッピング層と
を備える、極紫外線反射素子。
【請求項6】
前記キャッピング層が、物理的気相堆積によって形成されたことによる特性を有し、20オングストロームと50オングストロームの間の厚さを有し、極紫外線に対して透明である、請求項に記載の極紫外線反射素子。
【請求項7】
前記キャッピング層が、5.5以上のモース硬度を有する、請求項に記載の極紫外線反射素子。
【請求項8】
前記キャッピング層が、0.2ナノメートル二乗平均平方根(RMS)未満の表面粗度を有する、請求項に記載の極紫外線反射素子。
【請求項9】
極紫外線リソグラフィシステムであって、
極紫外線を生成する極紫外線源と、
基板上の多層スタックを含む、前記極紫外線を反射可能な反射素子であって、前記多層スタックが第1の反射層と第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む、反射素子と、
前記多層スタック上のキャッピング層であって、ルテニウムタングステンから形成されるキャッピング層と、
を備える極紫外線リソグラフィシステム。
【請求項10】
前記キャッピング層が、20オングストロームと50オングストロームの間の厚さを有し、極紫外線に対して透明である、請求項9に記載の極紫外線リソグラフィシステム。
【請求項11】
前記キャッピング層が、5.5以上のモース硬度を有する、請求項9に記載の極紫外線リソグラフィシステム。
【請求項12】
前記キャッピング層が、0.2ナノメートル二乗平均平方根(RMS)未満の表面粗度を有する、請求項9に記載の極紫外線リソグラフィシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は概して極紫外線リソグラフィに関し、より具体的には、極紫外線リソグラフィの極紫外線反射素子のためのキャッピング層、製造システム、及びリソグラフィシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]現代の消費者用及び工業用電子システムは、これまで以上に複雑なものになりつつある。電子デバイスにおいては、高密度の電子部品をより小さく、さらに柔軟な形でパッケージ化することが求められる。部品の密度が上がれば、小さな形状の高密度デバイスの要求を満たすために、技術に変革が求められる。ソフトX線投影リソグラフィとしても知られる極紫外線(EUV)リソグラフィとは、0.13ミクロン、及びこれより小さい最小形状の半導体デバイスを製造するためのフォトリソグラフィプロセスである。
【0003】
[0003]一般に5から50ナノメートルの波長範囲の極紫外線は、ほとんどの物質によって強く吸収される。この理由により、極紫外線システムは、光の伝達よりも反射によって機能する。極紫外線放射線は、ミラーアセンブリ、非反射マスクパターンでコーティングされたマスクブランクを含む一連の反射部品を介して投影され、高密度で形状の小さい半導体デバイスを形成するために半導体ウエハ上に当てられうる。
【0004】
[0004]極紫外線リソグラフィシステムの反射部品には、材料の多層反射コーティングが含まれ得る。極紫外線の高い電力レベルのために、他の反射していない極紫外線により加熱が起こり、この加熱により、時間と共に反射部品の反射率が劣化する場合があり、その結果反射部品の寿命が短くなりうる。
【0005】
[0005]電子部品の形状を更に小さくする必要を考慮すると、これらの問題への答えを見つけることが益々重要である。かつてないほどの消費市場での競争圧力と共に、消費者の期待の高まりを考慮すると、これらの問題への答えを見つけることが重要である。加えて、コストを下げて、効率性及び性能を改善し、競争圧力に対抗する必要により、これらの問題への答えを見つける必要の重要性にさらに高い緊急性が増し加わる。
【0006】
[0006]これらの問題への解決法が長く求められてきたが、以前の開発状況ではいかなる解決法も教示又は提案されてこなかったため、当業者はこれらの問題への解決法を長く見い出せずにいた。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明は、極紫外線反射素子を製造する方法を提供し、本方法は、基板を提供することと、基板に多層スタックを形成することであって、多層スタックが、ブラッグリフレクタを形成するために、第1の反射層と、第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む、形成することと、多層スタックに、及び多層スタックの上にキャッピング層を形成することであって、キャッピング層が、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブから形成され、キャッピング層は、酸化及び物理的浸食を減らすことによって、多層スタックを保護するためのものである、形成することとを含む。
【0008】
[0008]本発明は、基板と、基板上の多層スタックであって、第1の反射層と、第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む多層スタックと、多層スタックの、及び多層スタックの上のキャッピング層であって、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブから形成され、酸化及び物理的浸食を減らすことによって、多層スタックを保護するためのものであるキャッピング層とを含む極紫外線反射素子を提供する。
【0009】
[0009]本発明は、基板に多層スタックを堆積させるための第1の堆積システムであって、多層スタックが、第1の反射層と、第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む、第1の堆積システムと、多層スタックに、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブから形成されたキャッピング層を形成するための第2の堆積システムとを含む極紫外線反射素子作製システムを提供する。
【0010】
[0010]本発明の特定の実施形態は、上述したものに加えて、又はその代わりに他の段階又は要素を有する。添付の図面を参照しながら、以下の詳細説明を読むことで、段階又は要素が当業者に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の極紫外線リソグラフィシステムの例図である。
図2】極紫外線反射素子作製システムの一例を示す図である。
図3】極紫外線反射素子の一例を示す図である。
図4】製造のプロビジョニング段階にある図3の構造を示す図である。
図5】製造の層形成段階にある図4の構造を示す図である。
図6】製造の保護段階にある図5の構造を示す図である。
図7】製造のプリパターニング段階にある図6の構造を示す図である。
図8】製造のメッキ処理段階にある図5の構造を示す図である。
図9】製造の酸化段階にある図8の構造を示す図である。
図10】製造のプリパターニング段階にある図9の構造を示す図である。
図11】キャッピング層の浸食の一例を示す図である。
図12】本発明の別の実施形態の極紫外線反射素子を製造する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0023]以下の実施形態を、当業者が本発明を作製し使用することが可能になるように、十分詳細に説明する。本開示に基づき他の実施形態も自明となり、本発明の範囲から逸脱せずに、システム、プロセス、又は機械的変更を行うことが可能であることを理解すべきである。
【0013】
[0024]以下の記載では、本発明の完全な理解を促すために多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明がこれら具体的な詳細なしに実施可能であることが明らかになるであろう。本発明が曖昧になるのを避けるために、幾つかの周知の回路、システム設定、及びプロセス段階は詳細には開示されない。
【0014】
[0025]システムの実施形態を示す図面は、やや概略的なものであり、原寸に比例するものではない。特に、幾つかの寸法は、明確に表示するために、図面において拡大して示されている。同様に、説明しやすくするために、図面はおおむね同じような配向で示されているが、このような図示はほとんどの部分において任意のものである。本発明は概して、いかなる配向においても動作可能である。
【0015】
[0026]幾つかの共通している特徴を有する複数の実施形態が開示され、記載されるが、これら実施形態の例示、説明を明解にし、簡単に理解できるようにするために、同様の似ている特徴は同じ参照番号で記載される。
【0016】
[0027]解説のために、本明細書で使用する「水平」という語は、その配向性と関係なく、マスクブランクの面又は表面に平行する面として定義される。「垂直」という語は、ここで定義されたように水平に対して垂直の方向を指すものである。例えば「上(above)」、「下(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、(「側壁」等における)「側方(side)」、「高い(higher)」、「低い(lower)」、「上方(upper)」、「上側(over)」、「下側(under)」等の語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0017】
[0028]「の上(on)」という語は、要素間で直接の接触があることを示す。「すぐ上、真上(directly on)」という語は、介在する要素がない要素間での直接の接触を示す。
【0018】
[0029]本明細書で使用する「処理(processing)」という語は、材料の堆積、又は材料のフォトレジスト、パターニング、露出、開発、エッチング、スパッタリング、洗浄、注入、及び/又は除去、又は上記構造を形成するために要求されるフォトレジストを含む。「約(about)」及び「おおよそ(approximately)」という語は、要素のサイズが工学的許容範囲内で決定されうることを示す。
【0019】
[0030]ここで、本発明の第1の実施形態の極紫外線リソグラフィシステム100の例図を示す図1を参照する。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線112を発生させるための極紫外線源102と、反射部品のセットと、ターゲットウエハ110とを含みうる。反射部品は、コンデンサー104、反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0020】
[0031]極紫外線源102は、極紫外線112を生成しうる。極紫外線112は、5〜50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射線である。例えば、極紫外線源102は、レーザー、レーザー生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザー、シンクロトロン放射線、又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0021】
[0032]極紫外線源102は、様々な特徴を有する極紫外線112を生成しうる。極紫外線源102は、ある波長範囲にわたる広帯域の極紫外線放射線を発生させうる。例えば、極紫外線源102は、5〜50nmの範囲の波長を有する極紫外線112を生成しうる。
【0022】
[0033]極紫外線源102は、狭い帯域幅を有する極紫外線112を発しうる。例えば、極紫外線源102は、13.5nmの極紫外線112を生成しうる。波長ピークの中心は、13.5nmである。
【0023】
[0034]コンデンサー104は、極紫外線112を反射させ、焦点を合わせるための光学ユニットである。コンデンサー104は、反射マスク106を照らすために、極紫外線源102からの極紫外線112を反射させ、集中させうる。
【0024】
[0035]コンデンサー104を単一の要素として示したが、当然ながら、コンデンサー104は、極紫外線112を反射させ集中させるための、凹面ミラー、凸面ミラー、平面ミラー、又はこれらの組み合わせ等の一又は複数の反射素子を含みうる。例えば、コンデンサー104は、凸面、凹面及び平面光学素子を有する単一の凹面ミラー又は光学アセンブリであってよい。
【0025】
[0036]反射マスク106とは、マスクパターン114を有する反射素子である。反射マスク106により、ターゲットウエハ110に形成される回路のレイアウトを形成するために、リソグラフパターンが作成される。反射マスク106は極紫外線112を反射しうる。マスクパターン114により、回路のレイアウトの一部が画定されうる。
【0026】
[0037]光学縮小アセンブリ108とは、マスクパターン114の画像を縮小するための光学ユニットである。光学縮小アセンブリ108によって、極紫外線112の反射マスク106からの反射が縮小され、ターゲットウエハ110に反映されうる。光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像サイズを縮小するために、ミラーと他の光学素子を含みうる。例えば、光学縮小アセンブリ108は、極紫外線112を反射させ、焦点を合わせるための凹面ミラーを含みうる。
【0027】
[0038]光学縮小アセンブリ108により、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114の画像サイズが縮小されうる。例えば、マスクパターン114によって表される回路をターゲットウエハ110に形成するために、光学縮小アセンブリ108によってターゲットウエハ110に4:1の比率でマスクパターン114が結像されうる。極紫外線112は、ターゲットウエハ110にマスクパターン114を形成するために、ターゲットウエハ110と同期して反射マスク106をスキャンしうる。
【0028】
[0039]ここで、極紫外線反射素子作製システム200の一実施例を示す図2を参照する。極紫外線反射素子は、マスクブランク204、極紫外線(EUV)ミラー205、又は他の反射素子を含みうる。
【0029】
[0040]極紫外線反射素子作製システム200により、マスクブランク、ミラー、又は図1の極紫外線112を反射させる他の要素が作製されうる。極紫外線反射素子作製システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを塗布することによって極紫外線反射素子を作製しうる。
【0030】
[0041]マスクブランク204とは、図1の反射マスク106を形成するための多層構造である。マスクブランク204は、半導体製造技法を使用して形成されうる。反射マスク106は、電子回路を示すためにマスクブランク204上に形成された図1のマスクパターン114を有しうる。
【0031】
[0042]極紫外線ミラー205とは、極紫外線の範囲において反射させる多層構造である。極紫外線ミラー205は、半導体製造技法を使用して形成されうる。マスクブランク204と、極紫外線ミラー205は同様の構造であってよいが、極紫外線ミラー205はマスクパターン114を有さない。
【0032】
[0043]極紫外線反射素子は、極紫外線112の効率的なリフレクタである。マスクブランク204と極紫外線ミラー205は、60%を超える極紫外線反射率を有しうる。極紫外線反射素子が60%を超える極紫外線112を反射させる場合、極紫外線反射素子は効率的である。
【0033】
[0044]極紫外線反射素子作製システム200は、ソース基板203がロードされ、極紫外線反射素子がアンロードされるウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202を含む。大気ハンドリングシステム206により、ウエハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスが提供される。ウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202は、基板を大気からシステム内部の真空へ移送するための基板搬送ボックス、ロードロック、及び他の部品を含みうる。マスクブランク204が非常に小さい寸法のデバイスを形成するのに使用されるため、真空システムでマスクブランク204を処理して汚染及び他の欠陥を防止する必要がある。
【0034】
[0045]ウエハハンドリング真空チャンバ208は、第1の真空チャンバ210と第2の真空チャンバ212の2つの真空チャンバを含みうる。第1の真空チャンバ210は第1のウエハハンドリングシステム214を含んでいてよく、第2の真空チャンバ212は第2のウエハハンドリングシステム216を含んでいてよい。2つの真空チャンバを有するウエハハンドリング真空チャンバ208が記載されているが、当然ながらシステムはいかなる数の真空チャンバも有していてよい。
【0035】
[0046]ウエハハンドリング真空チャンバ208は、様々な他のシステムを取り付けるためにその外縁に複数のポートを有しうる。第1の真空チャンバ210は、ガス抜きシステム218、第1の物理的気相堆積システム220、第2の物理的気相堆積システム222、及び予洗浄システム224を有しうる。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱的に脱着させるためのものである。予洗浄システム224は、ウエハ、マスクブランク、ミラー、又は他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0036】
[0047]ソース基板203に材料の薄膜を形成するために、第1の物理的気相堆積システム220と第2の物理的気相堆積システム222等の物理的気相堆積システムが使用されうる。例えば、物理的気相堆積システムは、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルス状レーザー堆積、カソードアーク堆積又はこれらの組み合わせ等の真空堆積システムを含みうる。マグネトロンスパッタリングシステム等の物理的気相堆積システムは、ソース基板203にシリコン、金属、合金、酸化物、化合物、又はこれらの組み合わせの層を含む薄い層を形成しうる。
【0037】
[0048]物理的気相堆積システムにより、反射層、キャッピング層、及び吸収層が形成されうる。例えば、物理的気相堆積システムは、シリコン、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、又はこれらの組み合わせの層を形成しうる。幾つかの化合物を酸化物として記載したが、当然ながら、化合物には酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0038】
[0049]第2の真空チャンバ212は、第2の真空チャンバ212に接続された第1のマルチカソードソース226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232を有しうる。例えば、化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ支援化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾル支援CVD、ホットフィラメントCVDシステム、又は同様のシステムを含みうる。別の実施例では、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232は、極紫外線反射素子作製システム200とは別のシステムであってよい。
【0039】
[0050]化学気相堆積システム228は、ソース基板203に材料の薄膜を形成しうる。例えば、化学気相堆積システム228は、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、又はこれらの組み合わせを含むソース基板203に材料の層を形成するために使用されうる。化学気相堆積システム228は、シリコン、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、炭素、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、及び化学気相堆積に適切な他の材料の層を形成しうる。例えば、化学気相堆積システムは平坦化層を形成しうる。
【0040】
[0051]第1のウエハハンドリングシステム214は、連続的な真空下で大気ハンドリングシステム206と、第1の真空チャンバ210の外縁の様々なシステムとの間でソース基板203を移動させることができる。第2のウエハハンドリングシステム216は、連続的な真空下でソース基板203を維持している間に、第2の真空チャンバ212の周辺でソース基板203を移動させることができる。極紫外線反射素子作製システム200は、連続的な真空条件において第1のウエハハンドリングシステム214と第2のウエハハンドリングシステム216との間でソース基板203とマスクブランク204を移送することができる。
【0041】
[0052]ここで、極紫外線反射素子302の一例を示す図3を参照する。極紫外線反射素子302は、図2のマスクブランク204又は極紫外線ミラー205であってよい。マスクブランク204及び極紫外線ミラー205は、図1の極紫外線112を反射させるための構造である。
【0042】
[0053]極紫外線ミラー205等の極紫外線反射素子302は、基板304、多層スタック306、及びキャッピング層308を含みうる。極紫外線ミラー205は、図1のコンデンサー104、又は図1の光学縮小アセンブリ108に使用するための反射性構造を形成するのに使用されうる。
【0043】
[0054]マスクブランク204は、基板304、多層スタック306、キャッピング層308、及び吸収層310を含みうる。マスクブランク204は、必要とされる回路のレイアウトを用いて吸収層310をパターニングすることによって図1の反射マスク106を形成するために使用されうる。
【0044】
[0055]以下のセクションでは、簡単にするために、マスクブランク204という語が、極紫外線ミラー205という語と交互に使用されうる。マスクブランク204は、図1のマスクパターン114の形成に加えて、吸収層310が追加された極紫外線ミラー205の構成要素を含みうる。
【0045】
[0056]マスクブランク204は、マスクパターン114を有する反射マスク106を形成するのに使用される光学的に平坦な構造である。例えば、マスクブランク204の反射面により、図1の極紫外線112等の入射光を反射させるための平坦な焦点面が形成されうる。
【0046】
[0057]基板304は、極紫外線反射素子302を構造的に支持する要素である。基板304は、温度が変化する間の安定性を付与するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料からできていてよい。基板304は、機械的循環、熱循環、結晶形成、又はこれらの組み合わせに対する安定性等の特性を有しうる。基板304は、シリコン、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はこれらの組み合わせ等の材料から形成されうる。
【0047】
[0058]多層スタック306は、極紫外線112を反射させる構造である。多層スタック306は、第1の反射層312と第2の反射層314の交代反射層を含む。
【0048】
[0059]第1の反射層312と第2の反射層314は、反射層ペア316を形成しうる。例えば、モリブデンとシリコンから交代層が形成されうる。しかしながら、他の物質から交代層を形成しうることを理解すべきである。別の実施例として、第1の反射層312はシリコンから形成され得、第2の反射層314はモリブデンから形成されうる。
【0049】
[0060]交代層は各々、極紫外線112に対して異なる光学定数を有しうる。交代層は、交代層の厚さの周期が極紫外線の波長の半分である時に共鳴反射率を提供しうる。例えば、波長13nmの極紫外線112に対し、交代層は約6.5nmの厚さであってよい。当然ながら、提供されるサイズ及び寸法は、典型的な要素の通常の工学的許容誤差内である。
【0050】
[0061]物理的気相堆積技法を使用して、多層スタック306が形成されうる。多層スタック306の第1の反射層312と第2の反射層314は、正確な厚さ、低粗度、層間の清浄インターフェースを含む物理的気相堆積技法によって形成されることによる特性を有しうる。
【0051】
[0062]極紫外線反射素子は、異なる光学特性を有する材料の薄い交代層を有する多層スタック306を含み得、これによりブラッグリフレクタ又はミラーができる。交代層は各々、極紫外線112に対して異なる光学定数を有しうる。
【0052】
[0063]物理的気相堆積技法を使用して形成された多層スタック306の層の物理的寸法を正確に制御して、反射率を上げることができる。例えば、例えばシリコンの層等の第1の反射層312は、4.1nmの厚さを有しうる。モリブデンの層等の第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有しうる。層の厚さにより、極紫外線反射素子のピーク反射波長が決まる。層の厚さが正確でない場合、所望の波長13.5nmにおける反射率が低下しうる。
【0053】
[0064]キャッピング層308は、極紫外線112の伝達を可能にする保護層である。キャッピング層308は、多層スタック306のすぐ上に形成されうる。キャッピング層308は、多層スタック306を汚染物質及び機械的損傷から保護しうる。例えば、多層スタック306は、酸素、炭素、炭化水素又はこれらの組み合わせによる汚染に影響される場合がある。キャッピング層308は、汚染物質と相互作用してこれらを中和しうる。
【0054】
[0065]キャッピング層308は、極紫外線112に対して透明である光学的に均一な構造である。極紫外線112はキャッピング層308を通過して、多層スタック306で反射されうる。キャッピング層308は、1%から2%の全反射率損失を有しうる。異なる材料は各々、厚さに応じて異なる反射率損失を有しうるが、それらは全て1%から2%の範囲になるであろう。
【0055】
[0066]キャッピング層308は、滑らかな表面を有する。例えば、キャッピング層308の表面は、0.2nmRMS(二乗平均平方根測定)未満の粗度を有しうる。別の実施例では、キャッピング層308の表面は、1/100nmと1/1μmの間の長さに対して0.08nmRMSの粗度を有しうる。RMS粗度は、測定範囲によって変化する。100nmから1ミクロンの特定範囲に対しては、粗度は0.08nm以下である必要がある。広い範囲では、粗度も上がる。
【0056】
[0067]キャッピング層308は、様々な方法で形成されうる。例えば、キャッピング層308は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、エレクトロンビーム蒸発、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルス状レーザー堆積、物理的気相堆積、又はこれらの組み合わせで、多層スタック306に、又は多層スタック306のすぐ上に形成されうる。キャッピング層308は、正確な厚さ、低粗度、及び層間の清浄インターフェースを含む、マグネトロンスパッタリング技法によって形成されたことによる物理特性を有しうる。キャッピング層308は、正確な厚さ、低粗度、及び層間の清浄インターフェースを含む、物理的気相堆積によって形成されたことによる物理特性を有しうる。
【0057】
[0068]キャッピング層308は、多層スタック306とキャッピング層308との間に位置づけされた介在層に形成されうることを理解すべきである。介在層は、パッシベーション層、保護層、シード層、又はそれらの組み合わせを含みうる。
【0058】
[0069]反射率損失の原因の1つは、定期的な洗浄処理に起因する多層スタック306の酸化である。この酸化を防ぐために、吸収層310を形成する前に、多層スタック306に、又は多層スタック306の上部のすぐ上にキャッピング層308を形成しうる。
【0059】
[0070]ほとんどの材料が極紫外線112に対して不透明であるため、極紫外線システムの大まかな汚染レベルを最小限まで抑えなければならない。どんな汚染物質でも除去されなければ、結果的に極紫外線112に暴露されたことによる望ましくない加熱及び損傷が起こりうる。従って、極紫外線システムでは、反射マスク106は他のリソグラフィシステムより更に頻繁に洗浄されなければならない。
【0060】
[0071]使用中に反射マスク106で良く見つかる小粒子及び他の汚染物質を除去するために、洗浄方法は強力なものであることが多い。しかしながら、メガソニックプロセス等の強すぎる洗浄方法は、多層スタック306の反射率損失及び酸化につながりうるキャッピング層308のくぼみ形成及び劣化の原因となりうる。キャッピング層308の硬度と耐久性を上げることで、洗浄方法に起因する多層スタック306の損傷の大きさが縮小しうる。
【0061】
[0072]一実施例では、ルテニウムは良好なエッチング停止材であり、動作条件下で比較的不活性であるため、キャッピング層の材料として使用されている。しかしながら、ルテニウムと酸化ルテニウムのルテニウム酸化、耐化学性及び作用のレベルが非常に異なるため、これは作業中及び洗浄中の表面のばらつき及びくぼみ形成につながりうる。
【0062】
[0073]洗浄用の化学的物質と方法を変えることによってある程度くぼみ形成を抑えることができるが、これにはしばしば洗浄効率の損失が伴う。化学的により不活性で、物理的に硬い材料をキャッピング層308に使用することによって、結果的に反射マスク106の寿命が延びうる。
【0063】
[0074]極紫外線システムで見つかった汚染のほとんどは、レジストのガス抜きから生じた炭素及び炭化水素の残留物である。汚染の量を減らすことによって、反射マスク106を洗浄工程間でより長く使用することができるようになる。酸化チタンもまた、ほとんどのエッチング及び洗浄用化学的物質に対して高い耐性があり、条件に合ったエッチング停止材となり、ルテニウムよりも表面への損傷が少なく、より厳しい洗浄に耐える。
【0064】
[0075]キャッピング層308の耐化学性と硬度を高めるには、ルテニウムを、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブ等のルテニウム合金に置き換えることによってもなされうる。これらの合金により、膜の硬度が上がり、洗浄中の表面のくぼみ形成と表面への物理的損傷が低減される。これらの合金の耐化学性は、これらの層が吸収によるエッチング停止材として機能し続けることを可能にし、より強い化学的物質を使用して複数回洗浄することを可能にするほど十分なものである。
【0065】
[0076]キャッピング層308は、メガソニック洗浄のような音響洗浄プロセス等の洗浄プロセスの間、物理的及び化学的浸食に対する回復力を提供する硬い材料から形成されうる。キャッピング層308は、水酸化アンモニウム、過酸化水素、水、又はこれらの組み合わせ等の洗浄溶剤に対する化学的耐性を有しうる。
【0066】
[0077]キャッピング層308は、洗浄中において十分な耐浸食性のある硬度を有する様々な材料から形成されうる。例えば、キャッピング層308は、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブから形成されうる。キャッピング層308は、25〜50オングストロームの厚さを有しうる。例えば、酸化チタン(TiOx)は一般に、洗浄で使用されるほとんどの溶剤に対して化学的耐性を有すると考えられている。
【0067】
[0078]洗浄後、キャッピング層308は、洗浄プロセスに暴露されたことによる物理特性を有しうる。キャッピング層308は、浸食マーク、厚さの縮小、損耗のばらつき、溶剤残留物、吸収層310からの残留物、又はそれらの組み合わせの物理特性を有しうる。キャッピング層308は、洗浄溶剤とキャッピング層308の材料の相互作用によって生じる化学残留物を含む追加の物理特性を呈しうる。
【0068】
[0079]キャッピング層308は、最小限の硬度を有しうる。硬度は、物理的浸食に対する耐性に関連している。キャッピング層308の硬度は、選択された材料と構成に基づいて変化しうる。例えば、ルテニウムは6.5のモース硬度と、2.160ギガパスカル(GPa)のブリネル硬度を有しうる。酸化チタンは、5.5〜6.5のモース硬度を有しうる。酸化ルテニウム (RuOx)は、19〜20GPaのブリネル硬度を有しうる。酸化ニオブ(NbOx)は、約2GPaのブリネル硬度を有しうる。
【0069】
[0080]極紫外線ミラー205等の極紫外線反射素子302は、基板304、多層スタック306、及びキャッピング層308で形成されうる。極紫外線ミラー205は光学的に平坦な表面を有し、極紫外線112を効率的に、また均一に反射させうる。
【0070】
[0081]例えば、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブ等の硬い材料から形成されたキャッピング層308で多層スタック306を保護することで、反射率が改善される。キャッピング層308により、製造工程及び洗浄工程の間に多層スタック306への損傷が防止されうる。キャッピング層308は酸化を防いで、使用及び洗浄中に多層スタック306の反射率を保ち、反射率損失を防止しうる。
【0071】
[0082]例えば、多層スタック306は、62〜70%の反射率を有しうる。物理的気相堆積を使用して形成された多層スタック306は、66%〜67%の反射率を有しうる。硬い材料で形成された多層スタック306の上にキャッピング層308を形成することにより、マスクの寿命がくるまで反射率の度合いが保たれやすくなりうる。ある場合には、粗度の低い層、層間の清浄インターフェース、改善された層材料、又はこれらの組み合わせを使用して、最大72%の反射率が達成されうる。より弾性の、薄いキャッピング層を使用すれば、キャッピング層308によって起こる反射率損失が緩和される。
【0072】
[0083]頑強で化学的に不活性の硬い材料をキャッピング層208に使用すると、反射マスク106の稼働寿命が延び、反射マスクによる更に効率的な洗浄が可能になることが分かっている。酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブからキャッピング層308を形成することにより、より弾性の層が得られ、反射マスク106への損傷を減らす助けとなる。
【0073】
[0084]完全に酸化した材料、例えば酸化チタン、酸化ルテニウム、又は酸化ニオブを使用してキャッピング層308を形成すれば、光学性能が改善され、くぼみ形成が低減することが分かっている。すでに酸化した材料を使用することによって、洗浄プロセスに起因する酸化を介した更なる劣化のレベルが下がる。
【0074】
[0085]酸化チタンを使用してキャッピング層308を形成することにより、反射率が上がり、劣化が抑えられることが分かっている。存在する酸素又は水蒸気のレベルが低い環境では、酸化チタン膜は、その光触媒特性に起因する炭素及び炭化水素の汚染に対し自己洗浄式である。光触媒プロセスでは、深紫外線から極紫外線までの吸収が伴うため、曝露中に見られる黒枠の問題の一因である帯域外の光の反射率を抑えるという利点が得られる。
【0075】
[0086]物理的浸食及び摩耗に耐えるのに十分な硬度を有する材料を使用してキャッピング層308を形成することで、マスクブランク204の稼働寿命が延びることが分かっている。酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブのような材料を使用すれば、洗浄プロセス及び他の作業プロセスに起因する摩耗の量が低減する。
【0076】
[0087]キャッピング層308を形成することで、システムにおける汚染物質のレベルが低下することが分かっている。酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブのような材料を使用すると、材料が環境からの酸素と炭素を除去して、多層スタック306の汚染が防止されるため、汚染物質の量が減る。
【0077】
[0088]吸収層310は、極紫外線112を吸収しうる層である。吸収層310は、極紫外線112を反射させないエリアを提供することによって、反射マスク106にパターンを形成するように使用されうる。吸収層310は、例えば約13.5nm等の極紫外線112の特定の周波数に対して高い吸収係数を有する材料であってよい。一実施例では、吸収層310は、クロム、タンタル、窒化物、ニッケル、合金、又はこれらの組み合わせから形成されうる。別の実施例では、吸収層は、タンタル、ホウ素、及び窒素の合金から形成されうる。吸収層310の材料は耐熱であり、低い熱膨張係数を有する。
【0078】
[0089]吸収層310は、キャッピング層308に、又はキャッピング層308のすぐ上に形成されうる。吸収層310は、フォトリソグラフィプロセスを使用してエッチングされ、反射マスク106のパターンを形成しうる。吸収層310は、パッシべーション層、保護層、シード層、平坦化層、又はそれらの組み合わせを含みうる介在層に形成されうることを理解すべきである。
【0079】
[0090]例えばマスクブランク204等の極紫外線反射素子302は、基板304、多層スタック306、キャッピング層308、及び吸収層310で形成されうる。マスクブランク204は、光学的に平坦な表面を有し、極紫外線112を効率的に、また均一に反射しうる。マスクパターン114は、マスクブランク204の吸収層310で形成されうる。
【0080】
[0091]キャッピング層308の上に吸収層310を形成することで、反射マスク106の信頼性が高まることがわかっている。キャッピング層308は、吸収層310のエッチング停止層として機能する。図1のマスクパターン114がエッチングされて吸収層310が形成される時に、吸収層310の下のキャッピング層308によりエッチング作用が停止し、多層スタック306が保護されうる。
【0081】
[0092]第1の反射層312、第2の反射層314、キャッピング層308、及び吸収層310は、物理的気相堆積システムを用いて形成されうる。物理的気相堆積システムは、図2の第1の物理的気相堆積システム220、又は図2の第2の物理的気相堆積システム222等の物理的気相堆積システム、又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0082】
[0093]基板304、多層スタック306、キャッピング層308、及び吸収層310を有する極紫外線反射素子を示したが、他の層も含みうることを理解すべきである。追加の保護層、パッシベーション層、又は他の層が含まれ得る。例えば、極紫外線反射素子は、多層スタック306の下に平坦化層を含みうる。
【0083】
[0094]ここで、製造のプロビジョニング段階にある、図3の構造を示す図4を参照する。プロビジョニング段階は、基板304を提供する方法を含みうる。例えば、プロビジョニング段階では、超低熱膨張材料、シリコン、ガラス、又はそれらの組み合わせから形成された基板304が提供されうる。
【0084】
[0095]ここで、製造の層形成段階にある図4の構造を示す図5を参照する。層形成段階は、基板304に、又は基板304のすぐ上に多層スタック306を形成する方法を含みうる。多層スタック306は、基板304に第1の反射層312と第2の反射層314の交代層を形成しうる。例えば、多層スタック306は、10〜50のモリブデン及びシリコンの交代層を有しうる。
【0085】
[0096]ここで、製造の保護段階にある、図5の構造を示す図6を参照する。保護段階は、多層スタック306にキャッピング層308を形成する方法を含みうる。多層スタック306は、基板304に第1の反射層312と第2の反射層314との交代層を含みうる。例えば、保護段階では、マグネトロンスパッタリングを使用して、多層スタック306に金属材料が堆積されうる。
【0086】
[0100]ここで、製造のプリパターニング段階にある、図6の構造を示す図7を参照する。プリパターニング段階は、キャッピング層308のすぐ上に吸収層310を形成する方法を含みうる。例えば、プリパターニング段階では、キャッピング層308に吸収層310がメッキ処理されうる。
【0087】
[0101]キャッピング層308は、多層スタック306の上にある。多層スタック306は、基板304に第1の反射層312と第2の反射層314との交代層を含みうる。
【0088】
[0102]ここで、製造のメッキ処理段階にある、図5の構造を示す図8を参照する。金属メッキ処理段階は、多層スタック306に、又は多層スタック306のすぐ上に金属層802を最初に形成することによって、多層スタック306に図3のキャッピング層308を形成する方法を含みうる。多層スタック306は、基板304に第1の反射層312と第2の反射層314との交代層を含みうる。
【0089】
[0103]例えば、メッキ処理段階では、多層スタック306に金属材料が堆積されうる。金属材料は、チタン、ルテニウム、又はニオブであってよい。
【0090】
[0104]ここで、製造の酸化段階にある図8の構造を示す図9を参照する。酸化段階は、金属層802を酸化させて酸化金属層902を形成することによってキャッピング層308を形成する方法を含みうる。
【0091】
[0105]金属層802は、多層スタック306のすぐ上にあってよい。多層スタック306は、基板304に第1の反射層312と第2の反射層314との交代層を含みうる。
【0092】
[0106]例えば、酸化段階において、金属層802が酸素に曝露されて、例えばチタン、ルテニウム、又はニオブ等の金属層802が、例えば酸化チタン、酸化ルテニウム、及び酸化ニオブからそれぞれ形成された層などの酸化金属層902に変質しうる。
【0093】
[0107]別の実施例では、酸化段階において、金属層802の一部が酸化して、酸化金属層902が形成されうる。キャッピング層308は、金属層802と酸化金属層902の両方を含みうる。酸化段階では金属層802と酸化金属層902の両方を示したが、金属層802を完全に酸化させて、酸化金属層902のみを有するキャッピング層308を形成しうることを理解すべきである。
【0094】
[0108]キャッピング層308は、金属層802を酸化させて、酸化金属層902を形成することによって形成されうる。キャッピング層308は、金属層802の部分変質、金属層802の完全変質、金属層802の酸化金属層902への均一な変質、多層スタック306から露出した金属層802の側面における酸化金属層902の形成、又はそれらの組み合わせを含む、金属層802を酸化させて形成されたことによる物理特性を有しうる。
【0095】
[0109]ここで、製造のプリパターニング段階にある、図9の構造を示す図10を参照する。プリパターニング段階は、酸化金属層902のすぐ上に吸収層310を形成する方法を含みうる。多層スタック306の上に、金属層802と酸化金属層902とを有するキャッピング層308がある。
【0096】
[0110]多層スタック306は、基板304に第1の反射層312と第2の反射層314との交代層を含みうる。例えば、プリパターニング段階では、例えば酸化チタン、酸化ルテニウム、又は酸化ニオブから形成された層等の酸化金属層902に、吸収層310がメッキ処理されうる。
【0097】
[0111]ここで、キャッピング層308の浸食の一例を示す図11を参照する。キャッピング層308と吸収層310との間のインターフェースにおいて、キャッピング層308の浸食1102が形成されうる。浸食1102とは、材料が除去された場所のことである。吸収層310がエッチングされて、図1のマスクパターン114が形成されうる。吸収層310のエッチングの際に吸収層310の材料が除去されている間、キャッピング層308に浸食1102が形成されうる。
【0098】
[0112]酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブからキャッピング層308を形成することで、浸食及び腐食に耐えるのに十分な硬度及び化学的耐性を得ることによって、マスクブランク204の寿命が改善することが分かっている。
【0099】
[0113]ここで、本発明の別の実施形態における極紫外線反射素子を製造する方法1200のフロー図である図12を参照する。方法1200は、ブロック1202において基板を提供することと、ブロック1204において、基板に多層スタックを形成することであって、多層スタックが、ブラッグリフレクタを形成するために、第1の反射層と第2の反射層とを有する複数の反射層ペアを含む、形成することと、多層スタックに、及び多層スタックの上にキャッピング層を形成することであって、キャッピング層が、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、又はルテニウムニオブから形成され、ブロック1206において、キャッピング層により酸化と物理的浸食を減らすことによって、多層スタックを保護することとを含む。
【0100】
[0114]従って、本発明の極紫外線反射素子システムにより、重要で、これまで知られず、利用できなかった極紫外線反射素子作製システム向けの解決策、能力、及び機能的態様が提供されることが分かっている。結果的な方法、プロセス、装置、デバイス、製品、及び/又はシステムは、単純で、費用効率が高く、複雑でなく、非常に万能で効果的であり、既知の技術を適合させることによって驚くほどに、また非自明に実行され得、従って、従来の製造方法又はプロセス及び技術に十分対応する極紫外線反射素子作製システムを効率的及び経済的に製造するのにまさに適切である。
【0101】
[0115]本発明の別の重要な態様は、コスト削減、製造の簡略化、及び性能向上という歴史的トレンドを有用に支持且つ支援することである。本発明のこれらの及び他の有用な態様により結果的に、技術段階が少なくとも次のレベルまで引き上げられる。
【0102】
[0116]本発明を特定の最良モードと併せて説明してきたが、当然ながら、前述の説明に照らせば、多数の代替例、修正例、及び変形例が当業者に明らかとなるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲内の全ての上記代替例、修正例、及び変形例を包含するものである。本明細書にこれまでに記載された、又は添付の図に示された全ての事項は、単なる実例であり非限定的なものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12