(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属酸化物ナノ粒子が、元素周期律表第2族ないし第13族に属する元素のうちから選択される一つ以上の金属の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
前記シリコン合金は、シリコンと、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te及びPoのうちから選択された少なくとも1つの金属と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の負極活物質。
前記シリコン合金が、Si−Fe、Si−Al、Si−Mg、Si−Ti、Si−Cr、Si−Ni、Si−Cu、Si−Ti−Ni、Si−Fe−Al、Si−Fe−Ni、Si−Cu−Ni、Si−Mg−Ni、Si−Ti−Ni−Al及びSi−Fe−Ti−Alのうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項4に記載の負極活物質。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
【0035】
一側面による負極活物質は、シリコン系活物質基材と、CuKα線を利用するX線回折測定で、回折角2θが27°〜28°の位置でピークを有し、前記シリコン系活物質基材表面に配置された金属酸化物ナノ粒子と、を含む。
【0036】
一実施例による負極活物質の概略的な構造を
図1に例示した。
図1から分かるように、負極活物質10は、シリコン系活物質基材11の表面に、金属酸化物ナノ粒子12が配置されている。
【0037】
前記「シリコン系活物質基材」との表現における「シリコン系」とは、少なくとも20原子%ほどのシリコンを含むものを意味する。例えば、前記シリコン系活物質基材は、少なくとも30原子%、40原子%、50原子%ほど、60原子%ほど、70原子%ほど、80原子%ほどまたは90原子%ほどのSiを含むか、あるいは100原子%のSiからもなる。Si含有量が増加するほど、高容量の負極活物質を発現することができる。
【0038】
一実施例によれば、前記シリコン系活物質基材は、シリコン、シリコン酸化物、シリコン合金、シリコン−カーボン複合体のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0039】
前記シリコン酸化物は、SiO
x(0<x<2)とも表示される。
【0040】
前記シリコン合金は、Si−Z合金(ここで、前記Zは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Siではない)とも表示される。前記Si−Z合金で、前記元素Zは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0041】
一実施例によれば、前記シリコン合金は、シリコンと、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te及びPoのうちから選択された少なくとも1つの金属と、を含んでもよい。
【0042】
一実施例によれば、前記シリコン合金は、シリコンと、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te及びPoのうちから選択された少なくとも2つの金属と、を含んでもよい。
【0043】
例えば、前記シリコン合金は、Si−Fe、Si−Al、Si−Mg、Si−Ti、Si−Cr、Si−Ni、Si−Cuのような二元合金(secondary alloy)でもある。例えば、前記シリコン合金をSi−M’−M”と表示するとき、M’が、Al、TiまたはFeであり、M”が、Ni、FeまたはMnでもある。例えば、前記シリコン合金は、Si−Ti−Ni、Si−Fe−Al、Si−Mn−Al、Si−Fe−Ti、Si−Fe−Mn、Si−Al−Ni、Si−Fe−Ni、Si−Cu−Ni、Si−Mg−Niのような三元合金(ternary alloy)でもある。例えば、前記シリコン合金は、Si−Ti−Ni−Al、Si−Fe−Ti−Alのような四元合金(quaternary alloy)でもある。
【0044】
各金属成分の化学量論は、前記シリコン合金の総化学量論が100原子%になる範囲で、電池特性に合うように適切に決定される。例えば、Si−M’−M”で表示される前記シリコン合金において、Siは、20ないし80原子%、M’は、10ないし40原子%、M”は、10ないし40原子%の範囲で含まれる。さらに具体的には、前記シリコン合金において、Siは、60ないし80原子%、M’は、10ないし20原子%、M”は、10ないし20原子%の範囲で含まれる。
【0045】
一実施例によれば、前記シリコン合金を構成するシリコンは、非活性シリコンと活性シリコンとが混合していてもよい。前記活性シリコンは、シリコン合金の容量と直接的な関連性があり、非活性シリコンは、非活性マトリックス構造を有しながら、シリコン合金の体積膨脹を抑制する役割を行う。前記活性シリコンは、非活性マトリックス内で、ナノ粒子として析出されて分散される。前記シリコンナノ粒子は、結晶質または非晶質でもある。
【0046】
前記活性シリコンの含量は、シリコン合金において、活性シリコン及び非活性シリコンの総100原子%に対して、40ないし80原子%範囲でもある。活性シリコンの含量が、前記範囲であるとき、それを利用した電極の充放電時、シリコン合金系負極活物質の体積膨脹を効率的に抑制することができ、電極の容量特性にすぐれるということが分かる。
【0047】
前記非活性シリコンは、他の金属成分との合金形態で、非活性マトリックスを形成することができる。前記非活性シリコンの含量は、シリコン合金において、活性シリコン及び非活性シリコンの総100原子%に対して、20ないし60原子%範囲でもある。また、前記マトリックスにおいて、Siが40ないし60原子%、M’が20ないし30原子%、M”が20ないし30原子%の範囲で含まれもする。
【0048】
このように、非活性マトリックス内において、活性であるシリコンナノ粒子が析出されて分散された構造を有するシリコン合金は、充放電時、シリコンナノ粒子が膨脹する場合、シリコンナノ粒子を取り囲んだ非活性マトリックスが、シリコンの体積変化を効率的に制御する。従って、かような構造のシリコン合金は、充放電時、電極の膨張率を低下させることができる。
【0049】
前記シリコン系活物質基材は、粉末状でもある。例えば、前記シリコン系活物質基材は、平均粒径が約100μm以下でもある。例えば、前記シリコン系活物質基材は、平均粒径が、50μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下または5μm以下ほどでもある。例えば、前記シリコン系活物質基材は、平均粒径が、0.01ないし100μmほど、0.1ないし50μmほど、1ないし30μmほど、5ないし10μmほどまたは1ないし5μmほどの範囲でもある。
【0050】
かような粒径範囲のシリコン系活物質基材は、リチウム電池の充放電と係わる負極活物質の体積変化を容易に吸収することができる。
【0051】
前記平均粒径は、粒子サイズが最小である粒子から最大である粒子に至る順に累積させた累積粒子サイズ分布曲線で、全体粒子個数を100%にしたとき、最小の粒子から50%に該当する粒径D50を意味する。D50は、当業者に周知の方法で測定され、例えば、粒度分析機(particle size analyzer)で測定したり、あるいはTEM(transmission electron microscope)写真及びSEM(scanning electron microscopy)写真から測定したりすることもできる。他の方法の例としては、動的光散乱法(dynamic light-scattering)を利用した測定装置を利用して測定した後、データ分析を実施し、それぞれのサイズ範囲について粒子数を計数し、それからの計算を介して、D50を容易に得ることができる。
【0052】
前記シリコン系活物質基材の表面には、金属酸化物ナノ粒子が配置される。
【0053】
一実施例による負極活物質の概略的な構造を
図1に例示した。その場合、負極活物質10は、シリコン系活物質基材11の表面に、金属酸化物ナノ粒子12が均一に配置されている。しかし、金属酸化物ナノ粒子12は、不均一に配置されるか、あるいは後述するように、アイランド(island)状に分散配置されもする。
【0054】
前記金属酸化物ナノ粒子を構成する金属酸化物の金属は、元素周期律表第2族ないし第13族に属する元素のうちから選択される一つ以上でもある。従って、元素周期律表第1族及び第14族ないし第16族元素は、前記金属酸化物の金属に含まれない。
【0055】
例えば、前記金属酸化物の金属はTi、Zr、Ni、Co、Mn、Cr、Zn、Mo、Ta、B、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Fe、Cu及びAlからなる群から選択された一つ以上でもある。
【0056】
例えば、前記金属酸化物は、下記化学式1で表示される:
MaOb (化学式1)
前記化学式1で、1≦a≦4、1≦b≦10であり、Mは、Ti、Zr、Ni、Co、Mn、Cr、Zn、Mo、Ta、B、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Fe、Cu及びAlからなる群から選択された一つ以上である。
【0057】
例えば、前記金属酸化物は、酸化チタン(titanium oxide)、酸化アルミニウム(aluminum oxide)、三酸化クロム(chromium trioxide)、酸化亜鉛(zinc oxide)、酸化銅(copper oxide)、酸化マグネシウム(magnesium oxide)、二酸化ジルコニウム(zirconium dioxide)、三酸化モルリブデン(molybdenum trioxide)、五酸化バナジウム(vanadium pentoxide)、五酸化ニオブ(niobium pentoxide)及び五酸化タンタル(tantalum pentoxide)からなる群から選択された一つ以上を含んでもよい。例えば、前記金属酸化物として、TiO
x(1≦x≦2)、Al
2O
3、ZrO
2などが使用される。例えば、前記金属酸化物として、TiO
x(1≦x≦2)が使用され、具体的には、例えば、TiO
2が使用される。
【0058】
前記金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径が1ないし30nmでもある。例えば、前記金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径が5ないし25nmでもある。例えば、前記金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径が10ないし20nmでもある。
【0059】
前記金属酸化物ナノ粒子は、前記シリコン系活物質基材の表面に、コーティング層を形成することができる。そのように、金属酸化物ナノ粒子によって構成されたコーティング層は、シリコン系活物質基材と電解液との間に存在することになり、シリコン系活物質基材の界面安定性を向上させ、寿命特性を改善させることができる。前記金属酸化物ナノ粒子がリチウムイオン伝導性を有する場合、電解液とシリコン系活物質との直接的な接触を阻むバリア(barrier)の役割だけではなく、リチウムイオンの移動通路の役割も行うことができる。
【0060】
前記金属酸化物ナノ粒子は、リチウムに対して不活性でもある。例えば、前記金属酸化物は、リチウム反応してリチウム金属酸化物を形成しないこともある。すなわち、前記金属酸化物は、リチウムを吸蔵/放出することができる負極活物質ではなく、単純なリチウムイオン及び/または電子の伝達経路である伝導体であり、電解液との副反応を防止する保護層を形成することができる。代案としては、前記金属酸化物ナノ粒子は、電気的絶縁体でありながら、電解液との副反応を防止する保護層を形成することができる。
【0061】
一実施例によれば、前記金属酸化物ナノ粒子が、前記シリコン系活物質基材の表面に、アイランド状のコーティング層を形成することができる。ここで、「アイランド」状とは、金属酸化物ナノ粒子がいくつか合わさり、所定の体積を有する形状を意味し、球形、半球形、非球形または不定形など、多様な形状を有することができる。前記金属酸化物ナノ粒子は、シリコン系活物質基材の表面に、均一または不均一に分散配置されながらアイランド状を形成することができる。
【0062】
一実施例によれば、前記金属酸化物ナノ粒子は、CuKα線を利用するX線回折(XRD(X−ray diffraction))測定で、回折角2θが27°〜28°の位置で主ピークを有することができる。前記金属酸化物ナノ粒子は、X線回折測定で、回折角2θが36°〜37°及び55°〜56°の位置で、第2及び第3のピークをさらに有することができる。
【0063】
前記X線回折ピーク特性を有する金属酸化物ナノ粒子は、ルチル(rutile)構造を有することができる。ルチル構造は、例えば、微晶格子状の酸化チタンからもなるが、それに限定されるものではない。
【0064】
ルチル構造のX線回折ピーク特性は、アナターゼ(anatase)構造のX線回折ピーク特性と区分される。アナターゼ構造の金属酸化物は、回折角2θが25°〜26°の位置で主ピークを有し、37°〜38°及び約48°前後の位置で、第2及び第3のピークをさらに有することができる。
【0065】
図2Aは、ルチルの単位セル構造を示したものであり、
図2Bは、アナターゼの単位セル構造を示したものである。ルチル構造の金属酸化物ナノ粒子は、アナターゼ構造の金属酸化物ナノ粒子よりシリコン系活物質基材の寿命特性にさらに効果的であるということを、後述する実施例を介して確認することができる。
【0066】
ルチル構造の形成方法は、当該技術分野で公知された全ての方法によるものでもあり、特別に限定されるものではない。ルチル構造の金属酸化物ナノ粒子を形成するために、例えば、シリコン系活物質基材を、金属酸化物前駆体を含むコーティング溶液でコーティングした後、700℃以上ほどの温度で熱処理することによって得られる。700℃以上の温度でルチル相が形成され始める。ルチル構造は、X線回折スペクトロスコピーで、その形成の様子を確認することができる。前記熱処理温度が800℃以上である場合、アナターゼ相が混合していないルチル相のみが得られる。ルチル相のみを得るための前記熱処理温度は、例えば、800ないし900℃でもある。
【0067】
前記負極活物質で、前記金属酸化物ナノ粒子の含量は、前記負極活物質総重量を基準に、0.01ないし10重量%ほどでもある。例えば、前記金属酸化物ナノ粒子の含量は、負極活物質総重量を基準に、0.1ないし5重量%、または0.5ないし2重量%でもある。前記金属酸化物コーティング層の含量が前記範囲であるとき、寿命特性改善に効果的である。
【0068】
前述のように、前記負極活物質は、シリコン系活物質基材の表面に金属酸化物ナノ粒子が配置されることにより、前記シリコン系活物質基材と電解液との界面安定性を上昇させ、リチウム電池の寿命特性を向上させることができる。
【0069】
他の具現例による負極は、前述の負極活物質を含む。
【0070】
前記負極は、例えば、前記負極活物質、結着剤、及び選択的に導電剤を含む負極活物質組成物が、一定の形状に成形されるか、あるいは前述の負極活物質組成物が、銅箔(copper foil)などの集電体に塗布される方法によって製造される。
【0071】
具体的には、前記負極活物質、導電剤、結着剤及び溶媒が混合された負極活物質組成物を準備する。前記負極活物質組成物が金属集電体上に直接コーティングされ、負極板が製造される。代案としては、前記負極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされ、負極板が製造される。前記負極は、前記形態に限定されるものではなく、前記形態以外の形態も含む。
【0072】
前記負極活物質組成物は、前述の負極活物質以外に、当該技術分野でリチウム電池の負極活物質として使用される一般的な負極材料をさらに含んでもよい。例えば、リチウム金属、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された一つ以上をさらに含んでもよい。
【0073】
例えば、前記リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などでもある。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせでもある。
【0074】
例えば、前記非遷移金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などでもある。
【0075】
例えば、前記非遷移金属酸化物は、SnO
2、SiO
x(0<x<2)などでもある。
【0076】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物でもある。前記結晶質炭素は、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛でもあり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどでもある。
【0077】
前記結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアニリン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンスルホン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で結着剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。前記結着剤は、負極活物質100重量部を基準にして、1ないし50重量部で添加される。例えば、負極活物質100重量部を基準にして、1ないし30重量部、1ないし20重量部、または1ないし15重量部の範囲で結着剤を添加することができる。
【0078】
前記導電剤は、前述の負極活物質に導電通路を提供し、電気伝導性をさらに向上させるために選択的にさらに含まれる。前記導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素ファイバ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属ファイバ;などを使用することができ、またポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種、または1種以上を混合して使用することができるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で導電剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。また、前述の結晶性炭素系材料が導電剤として追加される。導電剤の含量は、適当に調節して使用することができる。例えば、前記負極活物質及び導電剤の重量比が、99:1ないし90:10の範囲で添加される。
【0079】
前記溶媒としては、N−メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0080】
前記負極活物質、導電剤、結着剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用されるレベルである。リチウム電池の用途及び構成により、前記導電剤、結着剤及び溶媒のうち一つ以上が省略される。
【0081】
また、前記集電体は、一般的に、3ないし500μm厚に作られる。前記集電体としては、当該電池に化学的変化を誘発させずに、導電性を有したものであるならば、特別に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に、カーボン・ニッケル・チタン・銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが使用される。また、表面に微細な凹凸を形成し、負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用される。
【0082】
さらに他の具現例によるリチウム電池は、前述の負極活物質を含む負極を採用する。前記リチウム電池は、次のような方法によって製造される。
【0083】
まず、前記負極の製造方法によって負極を準備する。
【0084】
次に、正極活物質、導電剤、結着剤及び溶媒が混合された正極活物質組成物を準備する。前記正極活物質組成物が、金属集電体上に直接コーティングされて乾燥されて正極板が製造される。代案としては、前記正極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが、金属集電体上にラミネーションされて正極板が製造される。
【0085】
前記正極活物質として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物及びリチウムマンガン酸化物からなる群から選択された一つ以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で利用可能な全ての正極活物質が使用される。
【0086】
例えば、Li
aA
1−bB’
bD
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li
aE
1−bB’
bO
2−cD
c(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE
2−bB’
bO
4−cD
c(前記化学式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cD
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cO
2−αF’
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cCo
bB’
cO
2−αF’
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cD
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cO
2−αF’
α(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
1−b−cMn
bB’
cO
2−αF’
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);Li
aNi
bE
cG
dO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);Li
aNiG
bO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aCoG
bO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMnG
bO
2(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);Li
aMn
2G
bO
4(前記化学式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO
2;QS
2;LiQS
2;V
2O
5;LiV
2O
5;LiI’O
2;LiNiVO
4;Li
3−fJ
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
3−fFe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);LiFePO
4の化学式のうちいずれか一つで表現される化合物を使用することができる。
【0087】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0088】
それら化合物の表面にコーティング層を有するものを使用することができ、または前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使用することができるということは言うまでもない。該コーティング層は、コーティング元素の酸化物、コーティング元素の水酸化物、コーティング元素のオキシ水酸化物、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネート、のコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質でもある。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使用することができる。コーティング層の形成工程は、前記化合物にかような元素を使用し、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング法、浸漬法など)でコーティングすることができるのであれば、いかなるコーティング方法を使用してもよく、それについては、当該分野の当業者に周知されている内容であるので、詳細な説明は省略する。
【0089】
例えば、LiNiO
2、LiCoO
2、LiMn
xO
2x(x=1,2)、LiNi
1−xMn
xO
2(0<x<1)、LiNi
1−x−yCo
xMn
yO
2(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFeO
2、V
2O
5、TiS、MoSなどが使用される。
【0090】
正極活物質組成物において、導電剤、結着剤及び溶媒は、前記負極活物質組成物の場合と同一のものを使用することができる。一方、前記正極活物質組成物及び/または負極活物質組成物に可塑剤をさらに付加し、電極板内部に気孔を形成することも可能である。
【0091】
前記正極活物質、導電剤、結着剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用するレベルである。リチウム電池の用途及び構成により、前記導電剤、結着剤及び溶媒のうち一つ以上が省略される。
【0092】
次に、前記正極と負極との間に挿入されるセパレータを準備する。前記セパレータは、リチウム電池で一般的に使用されるものであるならば、いずれも使用される。電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、電解液保持能にすぐれるものが使用される。例えば、ガラスファイバ、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはそれらの化合物のうちから選択されたものであり、不織布形態でも織布形態でもよい。例えば、リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンのような巻取り可能なセパレータが使用され、リチウムイオンポリマー電池には、有機電解液含浸能にすぐれるセパレータが使用される。例えば、前記セパレータは、下記方法によって製造される。
【0093】
高分子樹脂、充填剤及び溶媒を混合し、セパレータ組成物を準備する。前記セパレータ組成物が電極上部に直接コーティングされて乾燥され、セパレータが形成される。または、前記セパレータ組成物が支持体上にキャスティングされて乾燥された後、前記支持体から剥離させたセパレータフィルムが電極上部にラミネーションされ、セパレータが形成される。
【0094】
前記セパレータ製造に使用される高分子樹脂は、特別に限定されるものではなく、電極板の結着剤に使用される物質がいずれも使用される。例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの混合物などが使用される。
【0096】
前記電解質は、非水電解質とリチウム塩とからなる。非水電解質としては、非水電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0097】
前記非水電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用される。
【0098】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用される。
【0099】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2のようなLiのチッ化物、ハロゲン化物、硫酸塩、ケイ酸塩などが使用される。
【0100】
前記リチウム塩は、リチウム電池で一般的に使用されるものであるならば、いずれも使用可能であり、前記非水系電解質に溶解されやすい物質として、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、リチウムクロロボレート、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、リチウムイミドなどの物質を一つ以上使用することができる。
【0101】
リチウム電池は、使用するセパレータと電解質との種類により、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池及びリチウムポリマー電池に分類され、形態により、円筒状、角形、コイン型、ポーチ型などに分類され、サイズにより、バルクタイプと薄膜タイプとに分けることができる。また、リチウム一次電池及びリチウム二次電池のいずれも可能である。
【0102】
それらの電池の製造方法は、当該分野において周知されているので、詳細な説明は省略する。
【0103】
図3は、本発明の一具現例によるリチウム電池の代表的な構造を概略的に図示したものである。
【0104】
図3を参照すれば、前記リチウム電池30は、正極23、負極22、及び前記正極23と負極22との間に配置されたセパレータ24を含む。前述の正極23、負極22及びセパレータ24が、巻き取られたり、あるいは折り畳まれたりして、電池容器25に収容される。次に、前記電池容器25に電解質が注入され、封入部材26に密封され、リチウム電池30が完成される。前記電池容器25は、円筒状、角形、薄膜型などでもある。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でもある。
【0105】
前記リチウム電池は、既存の携帯電話、携帯用コンピュータなどの用途以外に、電気車両(electric vehicle)のような高容量、高出力及び高温駆動が要求される用途にも適しており、既存の内燃機関、燃料電池、スーパーキャパシタなどと結合し、ハイブリッド車両(hybrid vehicle)などにも使用される。また、前記リチウム電池は、高出力、高電圧及び高温駆動が要求されるその他全ての用途に使用される。特に、前記リチウム電池は、高率特性及び寿命特性にすぐれるので電気車両(EV)に適する。また、プラグインハイブリッド車両(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)などのハイブリッド車両にも適する。
【0106】
さらに他の具現例による負極活物質の製造方法は、シリコン系活物質基材、金属酸化物前駆体及び溶媒を混合して混合溶液を準備する段階と、前記混合溶液を乾燥させて乾燥物を準備する段階と、前記乾燥物を熱処理する段階と、を含む。
【0107】
前記金属酸化物前駆体は、Ti、Zr、Ni、Co、Mn、Cr、Zn、Mo、Ta、B、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Fe、Cu及びAlからなる群から選択された一つ以上の金属を含む金属塩でもある。前記金属塩としては、前記金属の水酸化物、オキシ水酸化物、アルコキシド、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩(carbonate)などが例示される。
【0108】
例えば、前記金属酸化物前駆体として、金属アルコキシドを使用することができる。金属アルコキシドは、金属イオンにアルコキシド基が配位された有機金属化合物であり、ゾル(sol)形態でもある。
【0109】
例えば、前記金属アルコキシドは、下記化学式2で表示される。
M(OR)
x (化学式2)
前記化学式2で、1≦x≦5であり、Rは、C
1−C
20のアルキル基であり、Mは、Ti、Zr、Ni、Co、Mn、Cr、Zn、Mo、Ta、B、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Fe、Cu及びAlからなる群から選択される。前記「アルキル基」において、一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC
1−C
20のアルキル基(例えば、CCF
3、CHCF
2、CH
2F、CCl
3など)、C
1−C
20のアルコキシ基、C
2−C
20のアルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基やその塩、スルホニル基、スルファモイル(sulfamoyl)基、スルホニル基やその塩、リン酸基やその塩で置換される。
【0110】
前記シリコン系活物質基材及び金属酸化物前駆体の総重量を基準に、金属酸化物前駆体の含量が0.01ないし20重量%でもあり、例えば、0.01ないし10重量%、0.1ないし5重量%、または0.1ないし1重量%である。前記金属アルコキシドの含量が過度に少なければ、コーティング量が少なく、コーティング効果が微々たるものであり、前記金属アルコキシド含量が過度に多ければ、比容量が低減する。
【0111】
使用可能な溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物でもあり、前記アルコールとしては、C
1−C
4低級アルコールであり、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物が使用される。しかし、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で公知の溶媒であり、前記製造方法の目的を達成することができるものであるならば、いずれも可能である。
【0112】
前記製造方法で、結晶性炭素系基材、金属酸化物前駆体及び溶媒を混合し、混合溶液を乾燥させて乾燥物を得た後、それを熱処理し、結晶性炭素系基材の表面に、金属酸化物ナノ粒子が形成された負極活物質を得ることができる。
【0113】
一実施例によれば、前記熱処理は、窒素雰囲気または大気雰囲気で、700℃以上の温度で行われる。熱処理温度700℃以上でルチル構造が形成され、700℃未満では、アナターゼ構造だけが得られる。例えば、熱処理温度が700℃以上、800℃未満の温度では、アナターゼ構造とルチル構造とが混在して現れ、熱処理温度が800℃以上では、ルチル構造が単独で存在する金属酸化物ナノ粒子を形成することができる。一実施例によれば、前記熱処理は、800℃ないし900℃の温度で、30分ないし10時間行われる。
【0114】
前記製造方法において、前記熱処理段階で得られた熱処理結果物を粉砕する段階を追加して含んでもよい。
【0115】
また、前記負極活物質は、前述の湿式方法以外に、金属酸化物粒子をシリコン系活物質基材と機械的に混合し、シリコン系活物質基材上に、金属酸化物ナノ粒子を含むコーティング層を形成させる乾式方法で製造することもできる。前記混合方法は、メカノフュージョン法(mechanofusion method)などが使用される。また、前記乾式方法で、シリコン系活物質基材上に、金属酸化物ナノ粒子を形成させた後、それを熱処理する段階を追加して含んでもよい。
【0116】
以下の実施例及び比較例を介して、例示的な具現例についてさらに詳細に説明する。ただし、当該実施例は、技術的思想を例示するためのものであり、それらによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0117】
(負極活物質の製造)
製造例1:1.5重量%ルチルコーティング相
まず、シリコン系活物質基材として、Si合金粉末を下記のように準備した。
Si及びFeを、それぞれ25at%及び75at%の比率で混合した後、それを真空誘導溶解炉(Yein Tech.、韓国)に投入し、大気による酸化を最大限抑制するために、真空雰囲気下で溶解させて親合金(mother alloy)を製造した。
【0118】
そのように製造された親合金を、大きい塊状で粉砕した後、メルトスピナ(melt spinner)(Yein Tech.、韓国)の射出管内に入れ、アルゴンガス雰囲気内で、高周波誘導加熱して親合金を溶融させ、溶融された親合金を、ノズルを介して回転するCuホイールに噴射し、リボン状に合金を射出して急速凝固させた。
【0119】
生成された合金リボンを、ボールミルを利用して粉砕し、平均粒径(D50)3〜5μmほどのFe
3Si組成のSi合金粉末を得た。
【0120】
前記Si合金粉末25g及びチタンイソプロポキシド((Ti(OCH(CH
3)
2)
4、Aldrich、製品番号205273)1.32gを、イソプロピルアルコール200mlに添加して混合し、混合溶液を製造した。加熱することができる撹拌機で、前記混合溶液を100℃で300rpmで撹拌しながら溶媒を除去して乾燥粉末を得た。前記乾燥粉末を、窒素(N
2)雰囲気で800℃で1時間焼成させて焼成物を得た。前記焼成物を粉砕し、Si合金粉末表面に、1.5重量%含量でルチル相を有するTiO
2ナノ粒子をコーティングさせた負極活物質を製造した。
【0121】
製造例2:0.5重量%ルチルコーティング相
前記製造例1で、Si合金粉末表面に、0.5重量%含量でルチル相を有するTiO
2ナノ粒子をコーティングさせたことを除いては、製造例1と同一の過程を実施し、負極活物質を製造した。
【0122】
比較製造例1:1.5重量%アナターゼコーティング相
前記製造例1で、負極活物質の製造時、焼成温度を600℃にし、Si合金粉末表面に、1.5重量%含量でアナターゼ相を有するTiO
2ナノ粒子をコーティングさせたことを除いては、前記製造例1と同一の過程を実施し、負極活物質を製造した。
【0123】
比較製造例2:0.5重量%アナターゼコーティング相
前記比較製造例1で、負極活物質の製造時、Si合金粉末表面に、0.5重量%含量でアナターゼ相を有するTiO
2ナノ粒子をコーティングさせたことを除いては、比較製造例1と同一の過程を実施し、負極活物質を製造した。
【0124】
比較製造例3:コーティング処理なしの場合
前記製造例1で製造したSi合金粉末表面に、何らのコーティング処理もせず、前記Si合金粉末自体を負極活物質として使用した。
【0125】
(コインハーフセルの製造)
コーティング相によるリチウム電池の寿命特性効果を確認するために、下記のようにコインハーフセルを製造した。
【0126】
実施例1
前記製造例1で製造した負極活物質、及び結着剤としてポリアミドイミド(PAI)を、90:10重量比で混合した混合物に、粘度を調節するために、N−メチルピロリドンを、固形分の含量が60wt%になるように添加し、負極活物質スラリーを準備した。
【0127】
準備した負極活物質スラリーを、厚みが10μmである銅ホイル集電体に、9mg/cm
2レベルでコーティングした。コーティングが完了した極板を、120℃で15分間乾燥させた後、圧延(pressing)して負極を製造した。
【0128】
相対電極としては、Li金属を使用し、セパレータとして、ポリエチレンセパレータ(STAR20、Asahi)を使用し、電解質としては、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:3:4体積比の混合溶媒に、1.15M LiPF
6が溶解されたものを使用して、コインハーフセルを製造した。
【0129】
比較例1
前記製造例1で製造した負極活物質の代わりに、前記比較製造例1で製造した負極活物質を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の過程を実施し、コインハーフセルを製造した。
【0130】
比較例2
前記製造例1で製造した負極活物質の代わりに、前記比較製造例3で製造した負極活物質を使用したことを除いては、前記実施例1と同一の過程を実施し、コインハーフセルを製造した。
【0131】
(コインフルセルの製造)
コーティング量によるリチウム電池の寿命特性効果を確認するために、下記のように、コインフルセルを製造した。
【0132】
実施例2
負極活物質として、前記製造例1で製造した1.5重量%のルチル相コーティングのSi合金及び黒鉛を、2:8の重量比で混合した粉末を使用した。前記負極活物質、及び結着剤として、ポリアミドイミド(PAI)を90:10重量比で混合した混合物に、粘度を調節するために、N−メチルピロリドンを、固形分の含量が60wt%になるように添加し、負極活物質スラリーを準備した。
【0133】
準備した負極活物質スラリーを、厚みが10μmである銅ホイル集電体に、9mg/cm
2レベルでコーティングした。コーティングが完了した極板を、120℃で15分間乾燥させた後、圧延(pressing)して負極を製造した。
【0134】
正極としては、正極活物質であるLCO(LiCoO
2)、導電剤であるカーボンブラック、及び結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)が、97.5:1:1.5の重量比になるように、正極活物質、導電剤及び結着剤溶液を混合し、正極活物質スラリーを準備した。
【0135】
準備した正極活物質スラリーを、厚みが12μmであるアルミニウムホイル集電体に、18mg/cm
2レベルにコーティングし、コーティングの完了した極板を、120℃で15分間乾燥させた後、圧延(pressing)して正極を製造した。
【0136】
前記正極及び負極を使用して、セパレータとして、ポリエチレンセパレータ(STAR20、Asahi)を使用して、電解質としては、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:3:4体積比の混合溶媒に、1.15M LiPF
6が溶解されたものを使用して、コインフルセルを製造した。
【0137】
実施例3
負極活物質の製造時、前記製造例2で製造した0.5重量%のルチル相がコーティングされたSi合金及び黒鉛を混合した粉末を使用したことを除いては、前記実施例2と同一の過程を実施し、コインフルセルを製造した。
【0138】
比較例3
負極活物質の製造時、前記比較製造例1で製造した1.5重量%のアナターゼ相がコーティングされたSi合金及び黒鉛を混合した粉末を使用したことを除いては、前記実施例2と同一の過程を実施し、コインフルセルを製造した。
【0139】
比較例4
負極活物質の製造時、前記比較製造例2で製造した0.5重量%のアナターゼ相がコーティングされたSi合金及び黒鉛を混合した粉末を使用したことを除いては、前記実施例2と同一の過程を実施し、コインフルセルを製造した。
【0140】
比較例5
負極活物質の製造時、前記比較製造例3で製造したコーティングされていないSi合金及び黒鉛を混合した粉末を使用したことを除いては、前記実施例2と同一の過程を実施し、コインフルセルを製造した。
【0141】
評価例1:コーティング状態の確認
前記製造例1で製造された負極活物質のコーティング状態を確認するために、焼成後の前記Si合金粉末の電界放射走査電子顕微鏡(FE−SEM:field emission scanning electron microscope)イメージを
図4に示した。
【0142】
図4から分かるように、焼成後に、シリコン合金基材の表面に、TiO
2ナノ粒子がアイランド状にコーティングされていることが分かる。完全な層状にコーティングされたものに比べ、かようなアイランド状にTiO
2ナノ粒子がコーティングされた負極活物質は、リチウムイオンの移動特性にさらにすぐれると予想される。
【0143】
評価例2:X線回折分析
前記製造例1及び比較製造例1の負極活物質に対して、CuKα線を利用して、X線回折(XRD)パターンを測定した結果を
図5に示した。
図5においてRは、TiO
2のルチル相の略字である。XRD分析条件は、次の通りである。
- モデル名: X′pert PRO MPD (製作社:PANalytical)
- 最大定格出力: 3kW
- 最大電圧/電流: 60kV/60mA
- Min. Step Size: 0.001°
- 2θ range : -40 〜 +220 °
- Diffractometer Diameter : 430mm
- 測定条件: scan rate: 1 °/min, range: 20 〜 80 °
【0144】
図5から分かるように、チタンイソプロポキシドがコーティングされたSi合金粉末を800℃で熱処理したもの(製造例1)は、28℃近辺で、ルチル相の主ピークが示されているものと見られ、ルチル相のTiO
2がコーティングされているということが分かり、600℃で熱処理したものは、ルチル相のTiO
2が存在しないということが分かる。
【0145】
参考として、熱処理温度によるTiO
2結晶相の変化を確認するために、黒鉛を除去した状態で、チタンイソプロポキシド溶液を、それぞれ600℃、700℃、800℃及び900℃で熱処理した後に得られたTiO
2ナノ粒子に係わるX線回折分析結果を
図6に示した。
【0146】
図6から分かるように、800℃以上で熱処理したものは、ルチル単独で存在し、700℃で熱処理したものは、ルチル及びアナターゼが混在している相として存在し、600℃で熱処理したものは、アナターゼ単独で存在するということが分かる。その結果は、
図5で得たところと一致する。
【0147】
評価例3:コーティング相による電池特性評価
コーティング相によるリチウム電池の寿命特性を評価するために、前記実施例1並びに比較例1及び2で製造した各コインハーフセルに対して、25℃で、0.2Cレートの電流で、電圧が0.01V(リチウム対比)に至るまで定電流充電し、0.01Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が1.5V(リチウム対比)に至るまで0.2Cの定電流で放電した。
【0148】
次に、0.5Cレートの電流で、電圧が0.01V(リチウム対比)に至るまで定電流充電し、0.01Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が1.5V(リチウム対比)に至るまで、0.5Cの定電流で放電した(化成段階)。
【0149】
前記化成段階を経たリチウム電池に対して、60℃で、1.0Cレートの電流で、電圧が0.01V(リチウム対比)に至るまで定電流充電し、0.01Vを維持しながら、電流が0.01Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が1.5V(リチウム対比)に至るまで、1.0Cの定電流で放電するサイクルを100回反復した。
【0150】
実施例1並びに比較例1及び2のコインハーフセルの初期効率結果を、下記表1に示した。初期効率は、下記数式1で定義される充放電効率(CDE:charge-discharge efficiency)によって決定される。
【0151】
充放電効率[%]=[最初のサイクルでの放電容量/最初のサイクルでの充電容量]×100 (数式1)
【0153】
また、実施例1並びに比較例1及び2のコインハーフセルの容量維持率を
図7に示した。容量維持率(CRR:capacity retention ratio)は、下記数式2で定義される。
【0154】
容量維持率[%]=[各サイクルでの放電容量/最初のサイクルでの放電容量]×100 (数式2)
【0155】
図7から分かるように、ルチル構造のTiO
2ナノ粒子がコーティングされた場合(実施例1)は、TiO
2ナノ粒子がコーティングがされていない場合(比較例2)と比較するとき、初期非可逆が増加するが、アナターゼ構造のTiO
2ナノ粒子がコーティングされた場合(比較例1)に比べ、初期非可逆を低減させ、初期効率面で有利であり、かつ寿命特性が改善されているということが分かる。
【0156】
評価例4:コーティング量による電池特性評価
コーティング含量によるリチウム電池の寿命特性を評価するために、前記実施例2及び3並びに比較例3〜5で製造した各コインフルセルに対して、25℃で、0.2Cレートの電流で、電圧が4.3V(リチウム対比)に至るまで定電流充電し、4.3Vを維持しながら、電流が0.02Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が2.75V(リチウム対比)に至るまで、0.2Cの定電流で放電した(化成段階)。
【0157】
前記化成段階を経たコインフルセルに対して、60℃で、0.5Cレートの電流で、電圧が4.3V(リチウム対比)に至るまで定電流充電し、4.3Vを維持しながら、電流が0.02Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時に、電圧が2.75V(リチウム対比)に至るまで、0.2Cの定電流で放電するサイクルを70回反復した。
【0158】
実施例2及び3並びに比較例3〜5のコインハーフセルの容量維持率は、
図8に図示した。
【0159】
図8から分かるように、コーティング含量が変わっても、ルチル構造のTiO
2ナノ粒子がコーティングされた場合(実施例2,3)が、アナターゼ構造のTiO
2ナノ粒子がコーティングされた場合(比較例3,4)及びTiO
2ナノ粒子がコーティングされていない場合(比較例5)に比べて、寿命維持特性が改善されていることが分かる。
【0160】
評価例5:高温保存特性評価
高温保存特性評価のために、前記実施例1並びに比較例1及び2で製造したコインハーフセルに対して、0.01V(0.01Cカットオフ)だけで充電し、90℃で3日間保存し、保存前後について、Solartron装備(Solartron 1470E)を利用して、1,000Hz〜0.1Hz範囲で、0.5mV交流電流で、AC(alternating current)インピーダンスを測定した。
【0161】
前記実施例1並びに比較例1及び2のコインハーフセルにおいて、90℃で3日間高温保存した前後のインピーダンス測定結果を、下記表2に示した。
【0163】
前記表2から分かるように、ルチル構造のTiO
2ナノ粒子がコーティングされた場合(実施例1)が、アナターゼ構造のTiO
2ナノ粒子がコーティングされた場合(比較例1)及びTiO
2ナノ粒子がコーティングされていない場合(比較例2)に比べて、高温保存時の抵抗上昇が小さいということが推し測られ、高温保存特性にすぐれているということが分かる。
【0164】
以上、図面及び実施例を参照し、本発明による望ましい具現例について説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有する者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決められるものである。