【実施例】
【0032】
以下、実施例、比較例、試験例、及び製造例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例、試験例、及び製造例に何ら限定されるものではない。
【0033】
(実施例1〜2、及び比較例1〜4:小麦粉加工食品用品質改良剤の製造)
下記の表1の配合にて、実施例1〜2、及び比較例1〜4の小麦粉加工食品用品質改良剤を製造した。
【0034】
【表1】
【0035】
(試験例1:油揚げ即席麺の製造)
前記実施例1〜2、及び比較例1〜4の小麦粉加工食品用品質改良剤を用い、下記の配合及び工程で、油揚げ即席麺を製造した。なお、小麦粉加工食品用品質改良剤を用いなかった以外は同様にして製造した油揚げ即席麺を対照とした。
<配合>
・ 小麦粉(準強力粉) ・・・ 90.0質量部
・ 加工澱粉(タピオカ) ・・・ 10.0質量部
・ 小麦粉加工食品用品質改良剤 ・・・ 1.0質量部
・ 食塩 ・・・ 2.0質量部
・ 粉末かんすい(赤) ・・・ 0.3質量部
(オリエンタル酵母工業株式会社製)
・ 水 ・・・ 34.0質量部
<工程>
・ ミキシング時間 ・・・ 高速6分低速7分
・ 捏上温度 ・・・ 25℃
・ 複合回数 ・・・ 1回
・ 圧延・切出し ・・・ 22番角刃、1.1mm
・ 蒸し ・・・ 0.2MPa、2分
・ 揚げ ・・・ 155℃、1分30秒
・ 冷却 ・・・ 品温35℃以下
【0036】
<評価>
−吸油率−
得られた油揚げ即席麺の吸油率を下記の方法で算出した。結果を下記表2に示す。
吸油率(%)=吸油量
※1/フライ後の麺質量
※1 : 吸油量=フライ後の麺質量−(麺乾燥質量
※2+フライ後の水分量)
※2 : 麺乾燥質量=フライ前の麺質量−(加水量+小麦粉の水分量)
(なお、小麦粉の水分量は、14質量%とした。)
【0037】
−食味(油っぽさ)、食感、及び湯伸び−
また、得られた油揚げ即席麺(個食80g)を容器に収納し、これに熱湯を約400mL注ぎ、ふたをして3分間置いて湯戻しさせた。
下記の評価基準に従い、湯戻し直後の食味(油っぽさ)及び食感を評価した。また、湯伸び(以下、「茹で伸び性」と称することがある)を湯戻し後5分間後に評価した。結果を下記表2に示す。
[評価基準]
−−食味(油っぽさ)−−
○ ・・・ 油っぽさを感じない。
△ ・・・ やや油っぽさを感じる。
× ・・・ 油っぽさを感じる。
−−食感−−
◎ ・・・ 麺のコシ・歯切れが非常に良い。
○ ・・・ 麺のコシ・歯切れが良い。
△ ・・・ 麺のコシが強すぎるが歯切れが良い。
× ・・・ 麺のコシ・歯切れが悪い。
−−湯伸び(湯戻し後5分間後)−−
○ ・・・ 湯伸びがしにくい。
△ ・・・ 湯伸びがややする。
× ・・・ 湯伸びがする。
【0038】
【表2】
【0039】
前記表2に示されたように、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する実施例1及び2の小麦粉加工食品用品質改良剤を用いた場合には、吸油が抑制され、食味及び食感が優れ、また、湯伸びが抑制されていた。また、実施例1及び2の小麦粉加工食品用品質改良剤の中でも、炭酸カルシウムを含有する実施例2の小麦粉加工食品用品質改良剤を用いた場合は、食感がより優れた結果となった。
【0040】
(試験例2:油揚げ即席麺の製造)
前記試験例1において、小麦粉加工食品用品質改良剤を実施例2の小麦粉加工食品用品質改良剤とし、該小麦粉加工食品用品質改良剤の配合量を、対粉で、0.01質量%(試験例2−1)、0.04質量%(試験例2−2)、0.4質量%(試験例2−3)、1.0質量%(試験例2−4)、4.0質量%(試験例2−5)、又は10質量%(試験例2−6)とした以外は試験例1と同様にして、油揚げ即席麺を製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
前記表3に示されたように、小麦粉を主体とする穀粉類に対して、アルギン酸プロピレングリコールエステル0.005質量%〜2質量%及びカルボキシメチルセルロースナトリウム0.005質量%〜2質量%で用いた試験例2−2〜試験例2−5の油揚げ即席麺は、吸油の抑制、食味及び食感、及び湯伸びの抑制の点で、より優れていた。また、試験例2−2〜試験例2−5の中でも、試験例2−4が更に優れた結果となった。
なお、試験例2−6は、上記評価基準では湯伸びしないが、食感はコシはあるものの硬過ぎで好ましくないものであった。
【0043】
(試験例3:中華まんの製造)
前記実施例1〜2、及び比較例1〜4の小麦粉加工食品用品質改良剤を用い、下記の配合及び工程で、中華まんを製造した。なお、小麦粉加工食品用品質改良剤を用いなかった以外は同様にして製造した中華まんを対照とした。
<配合>
・ 小麦粉(強力粉) ・・・ 50.0質量部
・ 小麦粉(薄力粉) ・・・ 50.0質量部
・ イースト ・・・ 2.0質量部
(オリエンタルNFイースト、オリエンタル酵母工業株式会社製)
・ 小麦粉加工食品用品質改良剤 ・・・ 0.2質量部
・ ベーキングパウダー ・・・ 1.0質量部
(中華饅頭用#1、オリエンタル酵母工業株式会社製)
・ 砂糖 ・・・ 10.0質量部
・ 食塩 ・・・ 0.5質量部
・ ショートニング ・・・ 6.0質量部
・ 水 ・・・ 50.0質量部
<工程>
・ ミキシング時間 ・・・ 低速3分中速7分
・ 捏上温度 ・・・ 28℃
・ フロア時間 ・・・ 5分
・ 分割重量 ・・・ 60g
・ ベンチ時間 ・・・ 10分
・ フィリング重量(肉まんの具) ・・・ 35g
・ ホイロ時間 ・・・ 30分
・ ホイロ条件 ・・・ 生地膨張量 2.0倍
・ 蒸し条件 ・・・ 13分、100℃
【0044】
<評価>
−外観及び食感(ソフト性、歯切れ)−
得られた中華まんの外観及び食感(ソフト性、歯切れ)を下記の評価基準に従って評価した。結果を下記表4に示す。
[評価基準]
−−外観−−
○ ・・・ 表面に張り、つやがある。中華まんの高さ(腰持ち)が良好。
△ ・・・ 表面の張りはやや弱いがしわは無い。中華まんの高さが若干低下するが底面の幅の広がりはない。
× ・・・ 表面の張りが弱くしわが発生する、及び/又は、中華まんの高さが低下し、底面の幅が広がる(ダレている状態)。
−−ソフト性−−
○ ・・・ 軟らかく、かつ、しっとりした食感。
△ ・・・ 硬い食感、又はパサつく食感。
× ・・・ 硬く、かつ、パサつく食感。
−−歯切れ−−
○ ・・・ 歯切れが良く軽い食感で、咀嚼時に歯に付かない。
△ ・・・ 咀嚼時にくちゃつきを感じるが咀嚼回数には影響ない。
× ・・・ 咀嚼時に歯に付き、咀嚼回数が多く必要。
【0045】
【表4】
【0046】
前記表4に示されたように、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する実施例1及び2の小麦粉加工食品用品質改良剤を用いた場合には、外観及び食感(ソフト性、歯切れ)が優れていた。また、実施例1及び2の小麦粉加工食品用品質改良剤の中でも、炭酸カルシウムを含有する実施例2の小麦粉加工食品用品質改良剤を用いた場合は、食感(歯切れ)がより優れた結果となった。
【0047】
(試験例4:中華まんの製造)
前記試験例3において、以下の点を変更した以外は、試験例3と同様にして、中華まんを製造した。なお、下記の各試験例では、小麦粉加工食品用品質改良剤を用いなかった以外は同様にして製造した中華まんを対照とした。
<試験例4−1>
小麦粉加工食品用品質改良剤を実施例2の小麦粉加工食品用品質改良剤とし、該小麦粉加工食品用品質改良剤の配合量を、0.2質量部から0.3質量部(対粉で0.3質量%)に変更した。
<試験例4−2>
小麦粉加工食品用品質改良剤を実施例2の小麦粉加工食品用品質改良剤とし、該小麦粉加工食品用品質改良剤の配合量を、0.2質量部から0.3質量部(対粉で0.3質量%)に変更し、ホイロ時間を30分から約40分に変更し、ホイロ条件(生地膨張量)を2.0倍から3.0倍に変更した。
【0048】
−評価−
得られた中華まんの外観の安定性を、中華まんの高さ及び底面の幅を測定することにより評価した。
図1Aに試験例4−1の中華まん(左側:対照、右側:小麦粉加工食品用品質改良剤添加)を示し、
図1Bに試験例4−2の中華まん(左側:対照、右側:小麦粉加工食品用品質改良剤添加)を示す。
図1A及び
図1Bから明らかなように、対照では、ホイロ時間が異なると、中華まんの高さ/底面の幅の値の変化が大きかったのに対し(試験例4−1:0.53、試験例4−2:0.44)、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する小麦粉加工食品用品質改良剤を用いた場合には、ホイロ時間が異なった場合であっても、中華まんの高さ/底面の幅の値の変化が小さく(試験例4−1:0.55、試験例4−2:0.50)、外観の安定性(保型性)に優れ、生地ダレが抑制されていた。なお、試験例4−1の対照の中華まんは、中華まんの高さ/底面の幅の値は適正であったが、しわが発生していた。
【0049】
(製造例1:イーストドーナツの製造)
前記実施例2の小麦粉加工食品用品質改良剤を用い、下記表5に記載の配合及び工程で、イーストドーナツを製造した。
【0050】
【表5】
【0051】
本発明の小麦粉加工食品用品質用改良剤を用いて製造したイーストドーナツも食感(ソフト性、歯切れ)が優れていた。