特許第6559500号(P6559500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559500
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】防爆モータ
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/12 20060101AFI20190805BHJP
   G01H 3/00 20060101ALI20190805BHJP
   H02K 5/136 20060101ALI20190805BHJP
   H02K 11/00 20160101ALI20190805BHJP
   G01N 29/46 20060101ALN20190805BHJP
   G01M 13/04 20190101ALN20190805BHJP
【FI】
   G01N29/12
   G01H3/00 Z
   H02K5/136
   H02K11/00
   !G01N29/46
   !G01M13/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-164035(P2015-164035)
(22)【出願日】2015年8月21日
(65)【公開番号】特開2017-40627(P2017-40627A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−119988(JP,A)
【文献】 特開2015−048742(JP,A)
【文献】 特開昭56−027633(JP,A)
【文献】 特開平03−269221(JP,A)
【文献】 特開昭58−026260(JP,A)
【文献】 特開2007−296516(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0130810(US,A1)
【文献】 米国特許第05214960(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
G01H 1/00−17/00
G01M 3/00− 3/40
G01M 13/04
H02K 5/00− 5/26
H02K 11/00−11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、該電動モータを収容する防爆容器と、を備える防爆モータであって、
音波を受振する受振手段と、
該受振手段で受振した音波の音調が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段で音調が前記所定の範囲外であると判定された場合、報知信号を発する報知手段と、
超音波発振手段と、から構成される異常検知器と、を備え
該受振手段は、該超音波発振手段が発振した超音波を該防爆容器を介して受振し、
該判定手段は、
該受振手段が受振した該電動モータの音波の音調が前記所定の範囲外の際に、該超音波発振手段で超音波を発振し、
該防爆容器を介した超音波の音調が前記所定の範囲外であった場合、該防爆容器の破損有りと判断し、
超音波の音調が前記所定の範囲内であった場合、該電動モータの不調と判断する防爆モータ。
【請求項2】
電動モータと、該電動モータを収容する防爆容器と、を備える防爆モータであって、
音波を受振する受振手段と、
該受振手段で受振した音波の音調が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段で音調が前記所定の範囲外であると判定された場合、報知信号を発する報知手段と、
超音波発振手段と、から構成される異常検知器を備え
該受振手段は、該電動モータの音波を該防爆容器を介して受振し、
該判定手段は、
該受振手段が受振した該電動モータの音波の音調が前記所定の範囲外の際に、該超音波発振手段で超音波を発振し、
該防爆容器を介した超音波の音調が前記所定の範囲外であった場合、該防爆容器の破損有りと判断し、
超音波の音調が前記所定の範囲内であった場合、該電動モータの不調と判断する防爆モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防爆モータに関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性ガス等の引火性を有する雰囲気が充満されることにより、引火の危険性がある場所に設置されるモータとして、防爆容器内に電動モータが収容された防爆モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−219681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防爆モータは、引火性を有する雰囲気中で使用されるため、電動モータを収容する防爆容器が気密に保たれている事が非常に重要である。しかしながら、各種製造工程等で防爆モータの稼働中に、作業者等が誤って防爆容器を叩いたり、作業者等が防爆容器に衝突したりして、防爆容器に衝撃を加えてしまう恐れがある。この場合、特許文献1に示された防爆モータは、防爆容器が破損したとしても、確実に破損を検知する事が困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、防爆容器が破損したことを容易に把握することができる防爆モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の防爆モータは、電動モータと、該電動モータを収容する防爆容器と、を備える防爆モータであって、音波を受振する受振手段と、該受振手段で受振した音波の音調が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段と、該判定手段で音調が前記所定の範囲外であると判定された場合、報知信号を発する報知手段と、超音波発振手段と、から構成される異常検知器と、を備え、該受振手段は、該超音波発振手段が発振した超音波を該防爆容器を介して受振し、該判定手段は、該受振手段が受振した該電動モータの音波の音調が前記所定の範囲外の際に、該超音波発振手段で超音波を発振し、該防爆容器を介した超音波の音調が前記所定の範囲外であった場合、該防爆容器の破損有りと判断し、超音波の音調が前記所定の範囲内であった場合、該電動モータの不調と判断することを特徴とする。
【0009】
本発明の防爆モータは、電動モータと、該電動モータを収容する防爆容器と、を備える防爆モータであって、音波を受振する受振手段と、該受振手段で受振した音波の音調が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段と、該判定手段で音調が前記所定の範囲外であると判定された場合、報知信号を発する報知手段と、超音波発振手段と、から構成される異常検知器を備え、該受振手段は、該電動モータの音波を該防爆容器を介して受振し、該判定手段は、該受振手段が受振した該電動モータの音波の音調が前記所定の範囲外の際に、該超音波発振手段で超音波を発振し、該防爆容器を介した超音波の音調が前記所定の範囲外であった場合、該防爆容器の破損有りと判断し、超音波の音調が前記所定の範囲内であった場合、該電動モータの不調と判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
そこで、本願発明の防爆モータは、受振手段が受振した音波の音調が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段を備えているため、防爆容器が僅かに破損したとしても、防爆容器が破損したことを容易に把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る防爆モータの概略の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る防爆モータの受振手段の音調の検知結果の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る防爆モータの防爆容器に破損が生じた状態の概略を示す図である。
図4図4は、実施形態2に係る防爆モータの概略の構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態2に係る防爆モータの判定手段のフローチャートの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態3に係る防爆モータの判定手段のフローチャートの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態2及び実施形態3の変形例に係る防爆モータの概略の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る防爆モータを図面に基いて説明する。図1は、実施形態1に係る防爆モータの概略の構成例を示す図である。図2は、実施形態1に係る防爆モータの受振手段の音調の検知結果の一例を示す図である。図3は、実施形態1に係る防爆モータの防爆容器に破損が生じた状態の概略を示す図である。
【0014】
実施形態1に係る防爆モータ1は、揮発性塗料を扱う塗装現場、その他、可燃性ガス等の引火性を有する雰囲気が充満することにより引火の危険がある場所に設置されるものである。防爆モータ1は、図1に示すように、電動モータ10と、電動モータ10を収容する防爆容器20とを備える。
【0015】
電動モータ10は、ロータとステータとを備えるモータ本体11が防爆容器20内に収容され、ロータとともに回転する出力軸12が防爆容器20外に配置されている。防爆容器20は、アルミニウム合金、鉄などにより構成され、箱状に形成されている。防爆容器20は、電動モータ10のモータ本体11を収容している。防爆容器20は、内部が密閉されて、気密に保たれている。防爆容器20は、鋳物により製造される。
【0016】
また、防爆モータ1は、図1に示すように、音波を受振する受振手段31と、判定手段32と、報知手段33とから構成される異常検知器30を備える。
【0017】
受振手段31は、防爆容器20に取り付けられている。実施形態1において、受振手段31は、防爆容器20の内壁面21に取り付けられているが、これに限定されない。実施形態1において、受振手段31は、電動モータ10が発生する音波である音及び振動を防爆容器20を介して受振するものである。即ち、本明細書でいう音波とは、人間や動物の可聴周波数である空中を伝播する弾性波である音と、気体、液体、固体を問わず、弾性体を伝播するあらゆる弾性波である振動とを総称するものである。受振手段31は、電動モータ10が発生及び防爆容器20が伝搬又は反射した音波である音を検知するマイクロフォン、及び防爆容器20を伝搬する音波である振動を検知可能な振動センサにより構成される。受振手段31の検知した音及び振動は、FFT(fast fourier Transform)アナライザーにより周波数が解析され、判定手段32により音調である周波数帯が所定の範囲内であるか否か判定される。即ち、本明細書でいう音波の音調とは、音波の周波数毎の大きさ(例えば音量)を示すものである。
【0018】
判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内であるか否かを判定するものである。判定手段32は、例えば制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)と、CPUにより情報が書き込まれる不揮発性メモリと、を備えたコンピュータである。判定手段32は、例えば、図2中に二点鎖線で示す受振手段31が検知しFFTアナライザーにより周波数が解析された音及び振動の所定の音量Xを超える周波数の下限値C及び上限値Dの、防爆容器20に異常(破損)がない時の予め定められた下限値A及び上限値Bとの差Δf1、差Δf2が所定値を超えるか否かを判定することで、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0019】
判定手段32は、下限値Cの下限値Aとの差Δf1と、上限値Dの上限値Bとの差Δf2との双方が所定値以下であると、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内であると判定し、防爆容器20に異常が無いと判定する。判定手段32は、下限値Cの下限値Aとの差Δf1と、上限値Dの上限値Bとの差Δf2との少なくとも一方が所定値を超えると、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外であると判定し、防爆容器20に異常(破損)があると判定する。判定手段32は、防爆容器20に異常(破損)があると判定すると、報知手段33に防爆容器20が異常である旨を示す信号を出力するとともに、電動モータ10を停止する。
【0020】
報知手段33は、判定手段32で音調である音及び振動が所定の範囲外であると判定された場合、報知信号を発して、オペレータに防爆容器20に異常(破損)があることを報知するものである。報知手段33は、防爆容器20の外壁面22に取り付けられている。報知手段33は、通常時には青色光を発する点灯手段とスピーカのうち少なくとも一方により構成される。報知手段33は、判定手段32から防爆容器20が異常である旨を示す信号が入力した防爆容器20の異常時に、点灯手段により構成されている場合には報知信号として赤色光を発する又は点滅する。報知手段33は、判定手段32から防爆容器20が異常である旨を示す信号が入力した防爆容器20の異常時に、スピーカにより構成されている場合には、報知信号として音を発する。また、報知手段33は、防爆容器20の異常時に、報知信号を送信する無線送信機と、無線送信機からの報知信号を受振して、液晶表示パネルなどにより構成される表示手段に防爆容器20が異常である警告を表示する端末装置とを備えてもよい。また、この場合、無線ネットワークを介して多数の端末装置の表示手段に防爆容器20が異常である警告を表示してもよい。
【0021】
次に、前述した実施形態1に係る防爆モータ1の動作を説明する。防爆モータ1は、電動モータ10が駆動されると、電動モータ10が発生した音及び振動が防爆容器20に伝搬する。そして、受振手段31が、防爆容器20に伝搬した音及び振動を検知し、検知した結果をFFTアナライザーにより周波数解析した後、判定手段32に出力する。
【0022】
判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内であるか否かを判定する。このとき、例えば、図3に示すように、防爆容器20の一部に亀裂CRなどの破損が生じると、この亀裂CRによって音及び振動が伝搬できなくなり、受振手段31が検知しFFTアナライザーにより周波数が解析された音及び振動の所定の音量Xを超える周波数の下限値C及び上限値Dの下限値A及び上限値Bとの差Δf1、差Δf2の少なくとも一方が所定値を超えることとなる。すると、報知手段33が、オペレータに防爆容器20が異常である旨を報知し、判定手段32が電動モータ10を停止する。
【0023】
以上のように、実施形態1に係る防爆モータ1は、電動モータ10が発生する音及び振動を防爆容器20を介して受振する受振手段31と、受振手段31で受振した音及び振動の周波数帯が所定の範囲内であるか否かを判定する判定手段32とを備える。このため、防爆モータ1は、防爆容器20が僅かに破損すると、受振手段31が受振する音及び振動の周波数帯が変化するために、受振手段31で受振した音及び振動の周波数帯が所定の範囲外であると判定手段32が判定することができる。したがって、防爆モータ1は、防爆容器20が破損したことを容易に把握することができる。
【0024】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る防爆モータを図面に基いて説明する。図4は、実施形態2に係る防爆モータの概略の構成例を示す図である。図5は、実施形態2に係る防爆モータの判定手段のフローチャートの一例を示す図である。なお、図4及び図5において、実施形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
実施形態2に係る防爆モータ1−2は、図4に示すように、異常検知器30が超音波発振手段40を備える。超音波発振手段40は、防爆容器20に取り付けられている。実施形態2において、超音波発振手段40は、防爆容器20の内壁面21に取り付けられているが、これに限定されない。超音波発振手段40は、周知のスピーカ及び圧電素子により構成され、電圧が印加されることで、20kHz(キロヘルツ)以上の超音波を発振するとともに、防爆容器20を20kHz以上の周波数で振動させる。
【0026】
実施形態2に係る防爆モータ1の判定手段32が記憶した下限値A、上限値B、差Δf1、差Δf2は、防爆容器20に異常が無い時に超音波発振手段40が超音波を発振するとともに防爆容器20を振動させた時に応じた値である。実施形態2に係る受振手段31は、超音波発振手段40が発振した超音波及び振動を防爆容器20を介して受振する。
【0027】
次に、前述した実施形態2に係る防爆モータ1の動作を説明する。まず、判定手段32が、電動モータ10が駆動しているか否かを判定する(ステップST1)。判定手段32は、電動モータ10が駆動していないと判定する(ステップST1:No)と、前回、超音波発振手段40を駆動してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップST2)。判定手段32は、前回、超音波発振手段40を駆動してから所定時間経過したと判定する(ステップST2:Yes)と、超音波発振手段40に所定時間電圧を印加して、超音波発振手段40を所定時間駆動する。そして、受振手段31が、防爆容器20に伝搬した超音波及び振動を検知し、検知した結果をFFTアナライザーにより周波数解析した後、判定手段32に出力する(ステップST3)。
【0028】
判定手段32は、受振手段31で受信した音波である超音波及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内であるか否か、即ち、防爆容器20に異常があるか否かを判定する(ステップST4)。判定手段32は、受振手段31で受信した音波である超音波及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外である、即ち、防爆容器20に異常があると判定する(ステップST4:Yes)と、報知手段33が、オペレータに防爆容器20が異常である旨を報知し、判定手段32が電動モータ10を停止する(ステップST5)。
【0029】
また、判定手段32は、電動モータ10が駆動していると判定した場合(ステップST1:Yes)と、前回、超音波発振手段40を駆動してから所定時間経過していないと判定した場合(ステップST2:No)と、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内である、即ち、防爆容器20に異常がないと判定した場合(ステップST4:No)とには、ステップST1に戻る。こうして、実施形態2に係る防爆モータ1は、電動モータ10が停止している状態で、所定時間毎に、超音波発振手段40から超音波を発振するとともに防爆容器20を振動させて、防爆容器20の異常の有無を把握する。
【0030】
以上のように、実施形態2に係る防爆モータ1−2は、超音波発振手段40が発振した超音波及び振動を防爆容器20を介して受振する受振手段31と、受振手段31で受振した超音波及び振動の周波数帯が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段32とを備える。このため、実施形態2に係る防爆モータ1−2は、実施形態1と同様に、防爆容器20が破損したことを容易に把握することができる。
【0031】
また、実施形態2に係る防爆モータ1−2は、電動モータ10が停止している時に超音波発振手段40が超音波を発振するとともに防爆容器20を振動させて、防爆容器20の異常を把握する。このために、防爆モータ1−2は、電動モータ10の停止中に防爆容器20の異常を把握することができるので、引火の虞を抑制することができる。
【0032】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る防爆モータを図面に基いて説明する。図6は、実施形態3に係る防爆モータの判定手段のフローチャートの一例を示す図である。なお、図6において、実施形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
実施形態3に係る防爆モータ1は、実施形態2と同様に、異常検知器30が超音波発振手段40を備える。実施形態3に係る防爆モータ1の判定手段32は、電動モータ10が駆動し超音波発振手段40が駆動していない状態において、防爆容器20に異常が無い時の下限値A、上限値B、差Δf1、差Δf2と、電動モータ10と超音波発振手段40との双方が駆動した状態において、防爆容器20に異常が無い時の下限値A、上限値B、差Δf1、差Δf2と、を記憶している。
【0034】
次に、前述した実施形態3に係る防爆モータ1の動作を説明する。まず、判定手段32が、電動モータ10が駆動しているか否かを判定する(ステップST1)。判定手段32は、電動モータ10が駆動していると判定する(ステップST1:Yes)と、受振手段31が防爆容器20に伝搬した音及び振動を検知し、検知した結果をFFTアナライザーにより周波数解析した後、判定手段32に出力する。判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外であるか否かを判定する(ステップST10)。
【0035】
判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外であると判定する(ステップST10:Yes)と、超音波発振手段40に所定時間電圧を印加して、超音波発振手段40を所定時間駆動する。即ち、判定手段32は、受振手段31で受信した電動モータ10の音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外の際に、超音波発振手段40で超音波を発振する。そして、受振手段31が、音、音波及び防爆容器20に伝搬した振動を検知し、検知した結果をFFTアナライザーにより周波数解析した後、判定手段32に出力する(ステップST11)。
【0036】
判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音、超音波及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内であるか否か、即ち、防爆容器20に異常があるか否かを判定する(ステップST12)。判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音、超音波及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外である、即ち、防爆容器20に異常があると判定する(ステップST12:Yes)と、防爆容器20に異常があると判定して、報知手段33が、オペレータに防爆容器20が異常である旨を報知し、判定手段32が電動モータ10を停止する(ステップST13)。即ち、判定手段32は、防爆容器20を介して超音波及び振動の音調が所定の範囲外であった場合、防爆容器20の破損ありと判断する。なお、この場合、電動モータ10の駆動中の受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外であっても(ステップST10:Yes)、超音波発振手段40が超音波を発振した際に防爆容器20の破損ありと判断するため、電動モータ10に異常なしとは判定できない。
【0037】
判定手段32は、受振手段31で受信した音波である音、超音波及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内である、即ち、防爆容器20に異常がないと判定する(ステップST12:No)と、電動モータ10に異常があると判定して、報知手段33が、オペレータに電動モータ10が異常である旨を報知し、判定手段32が電動モータ10を停止する(ステップST14)。即ち、判定手段32は、防爆容器20を介して超音波及び振動の音調が所定の範囲内であった場合、電動モータ10の不調と判断する。
【0038】
また、判定手段32は、電動モータ10が駆動していないと判定した場合(ステップST1:No)と、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲内である、即ち、防爆容器20に異常がないと判定した場合(ステップST10:No)とには、ステップST1に戻る。こうして、実施形態3に係る防爆モータ1は、電動モータ10が駆動している状態で、受振手段31で受信した音波である音及び振動の音調である周波数帯が所定の範囲外であると、超音波発振手段40により防爆容器20を振動させる。
【0039】
以上のように、実施形態3に係る防爆モータ1は、超音波発振手段40が発振した超音波及び振動を防爆容器20を介して受振する受振手段31と、受振手段31で受振した長音波及び振動の周波数帯が所定の範囲であるか否かを判定する判定手段32とを備えるため、防爆容器20が僅かに破損したとしても、防爆容器20が破損したことを容易に把握することができる。
【0040】
また、実施形態3に係る防爆モータ1は、電動モータ10が駆動した時に受振手段31で受振した振動の周波数帯が所定の範囲外になると、超音波発振手段40が防爆容器20を振動させる。このために、防爆モータ1は、防爆容器20の異常にくわえて、電動モータ10の異常を把握することができる。
【0041】
〔変形例〕
本発明の実施形態2及び実施形態3の変形例に係る防爆モータを図面に基いて説明する。図7は、実施形態2及び実施形態3の変形例に係る防爆モータの概略の構成例を示す図である。なお、図7において、実施形態1〜実施形態3と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
実施形態2及び実施形態3の変形例に係る防爆モータ1−4は、図7に示すように、超音波発振手段40を防爆容器20の外壁面22でかつ出力軸12の近傍に配置している。変形例に係る防爆モータ1は、実施形態2及び実施形態3と同様に、防爆容器20が破損したことを容易に把握することができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1,1−2,1−4 防爆モータ
10 電動モータ
20 防爆容器
30 異常検知器
31 受振手段
32 判定手段
33 報知手段
40 超音波発振手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7