(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559572
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ポリマー性エンボスを備える真空チャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20190805BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20190805BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 B
B65G49/07 G
【請求項の数】33
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-558073(P2015-558073)
(86)(22)【出願日】2014年2月11日
(65)【公表番号】特表2016-510167(P2016-510167A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】US2014015735
(87)【国際公開番号】WO2014126896
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】61/834,748
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/764,170
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/831,656
(32)【優先日】2013年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グラスコ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クック,リチャード・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リン,イクアン
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−305713(JP,A)
【文献】
特開2000−286330(JP,A)
【文献】
特開平10−233433(JP,A)
【文献】
特開平04−324658(JP,A)
【文献】
特表2012−527125(JP,A)
【文献】
特開平10−275853(JP,A)
【文献】
特開平09−283605(JP,A)
【文献】
特開平10−229115(JP,A)
【文献】
特開2012−121120(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/166256(WO,A1)
【文献】
特開2006−319093(JP,A)
【文献】
特開2001−237303(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/033922(WO,A2)
【文献】
特表2011−504960(JP,A)
【文献】
特開平05−205997(JP,A)
【文献】
特表2010−515258(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0157420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65G 49/07
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャックであって、
第1の山対谷の平坦度を含むベース基板;および
ポリマーを含み、かつ前記ベース基板の上側に配置されている少なくとも1つのエンボス構造であって、前記少なくとも1つのエンボス構造は、前記少なくとも1つのエンボス構造を取り囲む前記真空チャックの部分を超える高さまで延在して、基板を真空チャックする最中に、前記少なくとも1つのエンボス構造上に前記基板を支持し、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは前記ベース基板の山対谷の高さのばらつきを越えていて、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは下層の前記ベース基板の上面から5ミクロン〜100ミクロンである、少なくとも1つのエンボス構造
を含み、
前記少なくとも1つのエンボス構造の前記高さは、前記少なくとも1つのエンボス構造に対して前記真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、前記第1の山対谷の平坦度を下回る第2の山対谷の平坦度を有するような高さにされ、および
前記少なくとも1つのエンボス構造は、前記真空チャックの表面の複数の異なる領域にわたって形状またはパターンの少なくとも一方が変化する複数のエンボス構造を含み、前記表面の複数の異なる領域は、前記真空チャックのリフトピンホールおよび前記真空チャックのガスシールの少なくとも一方の周りに少なくとも1つの領域を含む、真空チャック。
【請求項2】
前記第2の山対谷の平坦度が、干渉分光法による測定で、前記真空チャックと前記プライムウエハの裏面との間に50トール〜750トールの圧力デルタで前記プライムウエハが前記真空チャックによってクランプされるとき、前記プライムウエハの少なくとも一部分にわたる山対谷のばらつきが5ミクロン以下である平坦度である、請求項1に記載の真空チャック。
【請求項3】
前記第2の山対谷の平坦度が、干渉分光法による測定で、前記真空チャックと前記プライムウエハの裏面との間に50トール〜750トールの圧力デルタで前記プライムウエハが前記真空チャックによってクランプされるとき、前記プライムウエハの少なくとも一部分にわたる山対谷のばらつきが2.5ミクロン以下である平坦度である、請求項1または2に記載の真空チャック。
【請求項4】
前記第2の山対谷の平坦度が、干渉分光法による測定で、前記真空チャックと前記プライムウエハの裏面との間に50トール〜750トールの圧力デルタで前記プライムウエハが前記真空チャックによってクランプされるとき、前記プライムウエハの少なくとも一部分にわたる山対谷のばらつきが1.5ミクロン以下である平坦度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項5】
前記第1の山対谷の平坦度が、前記ベース基板にわたって、5ミクロン以下の山対谷の平坦度を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項6】
さらに:
ガスシール;
1つ以上のリフトピンホールおよび対応するガスシール;および
1つ以上の真空孔
を含む、請求項1〜5いずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエンボス構造が:三角形パターン;円形パターン;正方形パターン;矩形パターン;卵形パターン;ハニカム構造パターン;つながった円形構造パターン;つながった卵構造パターン;およびつながった矩形構造パターンからなる群から選択されるパターンに配置された複数のエンボス構造を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項8】
前記少なくとも1つのエンボス構造が:丸;卵;三角形;矩形;正方形;六角形;五角形;8面体からなる群から選択される形状を備える少なくとも1つのエンボス構造を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項9】
前記少なくとも1つのエンボス構造が:ボール形状;シリンダー形状;らせん形状;砂時計形状;バルーン形状;波形;テーパ;およびひだ状からなる群から選択される3次元形状を含む少なくとも1つのエンボス構造を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項10】
さらに、前記ベース基板の1つ以上の面に少なくとも1つの金属バリア層を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項11】
前記少なくとも1つのエンボス構造が、約1.5〜3.5GPaのヤング率、および約70〜120MPaの引張強度を有するポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項12】
前記少なくとも1つのエンボス構造の前記高さは、前記少なくとも1つのエンボス構造に対して前記真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、以下の山対谷の測定値:1ミクロン、または1ミクロン未満の、前記真空チャックのリフトピンホールを覆いかつそれにわたって測定された前記プライムウエハの面での山対谷の測定値;0.7ミクロン、または0.7ミクロン未満の、前記クランプされたプライムウエハの縁部から前記真空チャックのリフトピンの中心にある点までの山対谷の測定値;1.5ミクロンまたは1.5ミクロン未満の、前記クランプされたプライムウエハ全体にわたる山対谷の測定値のうちの少なくとも1つを有する前記少なくとも1つのエンボス構造に対向する面を有するような高さである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項13】
前記真空チャックの、その上面における形状が、部分的にまたは実質的に凸状である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項14】
前記真空チャックの、その上面における前記形状が、実質的に平坦である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項15】
前記少なくとも1つのエンボス構造が、三角形パターンに配置された複数のエンボス構造を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項16】
前記少なくとも1つのエンボス構造が、20メガパスカルを上回るせん断粘着力を有するポリマーを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項17】
真空チャックを作製する方法であって、
ポリマーを含みかつ前記真空チャックのベース基板の上側に配置されている少なくとも1つのエンボス構造をラッピングするステップであって、前記ベース基板は、第1の山対谷の平坦度を含み、前記少なくとも1つのエンボス構造は、前記少なくとも1つのエンボス構造を取り囲む前記真空チャックの部分を超える高さまで延在して、基板を真空チャックする最中に、前記少なくとも1つのエンボス構造上に前記基板を支持し、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは前記ベース基板の山対谷の高さのばらつきを越えていて、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは下層の前記ベース基板の上面から5ミクロン〜100ミクロンである、ステップ
を含み、
前記少なくとも1つのエンボス構造の前記ラッピングは平坦になるまで行われ、それにより、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは、前記少なくとも1つのエンボス構造に対して前記真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、前記第1の山対谷の平坦度を下回る第2の山対谷の平坦度を有するような高さにされ、および
前記少なくとも1つのエンボス構造は、前記真空チャックの表面の複数の異なる領域にわたって形状またはパターンの少なくとも一方が変化する複数のエンボス構造を含み、前記表面の複数の異なる領域は、前記真空チャックのリフトピンホールおよび前記真空チャックのガスシールの少なくとも一方の周りに少なくとも1つの領域を含む、方法。
【請求項18】
真空チャックを磨き直す方法であって、
前記真空チャックの表面の上から、ポリマーを含む少なくとも1つの以前から存在する構造を除去するステップ;
前記真空チャックの清浄な表面を形成するステップであって、前記清浄な表面が、第1の山対谷の平坦度を有するステップ;および
前記真空チャックの前記清浄な表面の上に、ポリマーを含む少なくとも1つの新しいエンボス構造を形成するステップであって、前記少なくとも1つの新しいエンボス構造は、前記少なくとも1つの新しいエンボス構造を取り囲む前記真空チャックの部分を超える高さに延在して、基板を真空チャックする最中に、前記少なくとも1つの新しいエンボス構造上に前記基板を支持し、前記少なくとも1つの新しいエンボス構造の高さは前記清浄な表面の山対谷の高さのばらつきを越えていて、前記少なくとも1つの新しいエンボス構造の高さは下層の前記真空チャックの上面から5ミクロン〜100ミクロンである、ステップ
を含み、
前記少なくとも1つの新しいエンボス構造の前記高さは、前記少なくとも1つの新しいエンボス構造に対して前記真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、前記第1の山対谷の平坦度を下回る第2の山対谷の平坦度を有するような高さにされ、および
前記少なくとも1つの新しいエンボス構造は、前記真空チャックの表面の複数の異なる領域にわたって形状またはパターンの少なくとも一方が変化する複数の新しいエンボス構造を含み、前記表面の複数の異なる領域は、前記真空チャックのリフトピンホールおよび前記真空チャックのガスシールの少なくとも一方の周りに少なくとも1つの領域を含む、方法。
【請求項19】
前記真空チャックの前記清浄な表面に対する前記少なくとも1つの新しいエンボス構造のせん断粘着力が、20メガパスカル超である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の表面プロファイルを含むベース基板;および
ポリマーを含み、かつ前記ベース基板の上側に配置されている少なくとも1つのエンボス構造であって、前記少なくとも1つのエンボス構造は、前記少なくとも1つのエンボス構造を取り囲む真空チャックの部分を超える高さに延在して、基板を真空チャックする最中に、前記少なくとも1つのエンボス構造上に前記基板を支持し、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは前記ベース基板の山対谷の高さのばらつきを越えていて、前記少なくとも1つのエンボス構造の高さは下層の前記ベース基板の上面から5ミクロン〜100ミクロンである、少なくとも1つのエンボス構造
を含む真空チャックであって;
前記少なくとも1つのエンボス構造の表面プロファイルは、前記少なくとも1つのエンボス構造に対して前記真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、前記第1の表面プロファイルとは異なる予め決められた目標表面プロファイルを有するようにされ、および
前記少なくとも1つのエンボス構造は、前記真空チャックの表面の複数の異なる領域にわたって形状またはパターンの少なくとも一方が変化する複数のエンボス構造を含み、前記表面の複数の異なる領域は、前記真空チャックのリフトピンホールおよび前記真空チャックのガスシールの少なくとも一方の周りに少なくとも1つの領域を含む、真空チャック。
【請求項21】
前記予め決められた目標表面プロファイルが実質的に凹状である、請求項20に記載の真空チャック。
【請求項22】
前記予め決められた目標表面プロファイルが実質的に凸状である、請求項20に記載の真空チャック。
【請求項23】
前記少なくとも1つのエンボス構造がポリマーエンボスを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項24】
前記少なくとも1つのエンボス構造が、前記ベース基板および下層のエンボスベースを覆うポリマー性オーバーコートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項25】
前記少なくとも1つのエンボス構造が、1つ以上の垂直エンボス層を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項26】
前記1つ以上の垂直エンボス層のうちの1つの層が誘電体材料層を含む、請求項25に記載の真空チャック。
【請求項27】
前記1つ以上の垂直エンボス層のうちの1つの層が導電性材料層を含む、請求項25または26に記載の真空チャック。
【請求項28】
前記1つ以上の垂直エンボス層のうちの1つの層が:ポリマー性材料層、およびポリマーを含む複合材料層からなる群から選択される、請求項25〜27のいずれか1項に記載の真空チャック。
【請求項29】
前記ポリマー性材料層が、導電性のポリマー性材料、および光パターニング可能なポリマー性材料からなる群から選択される材料を含む、請求項28に記載の真空チャック。
【請求項30】
前記1つ以上の垂直エンボス層が複数のポリマー材料層を含み、前記複数のポリマー材料層の各ポリマー材料層は、異なる硬度のポリマーを含む、請求項28または29に記載の真空チャック。
【請求項31】
前記導電性のポリマー性材料が:カーボンナノチューブとポリマーとのブレンド;および導電性ナノ粒子ドープポリマーからなる群から選択される材料を含む、請求項29に記載の真空チャック。
【請求項32】
前記光パターニング可能なポリマー性材料が:ポリイミドベースの光パターニング可能なポリマー、およびベンゾシクロブテンベースの光パターニング可能なポリマーからなる群から選択される材料を含む、請求項29に記載の真空チャック。
【請求項33】
前記誘電体材料層が:炭化ケイ素;酸化ケイ素;窒化ケイ素;酸窒化ケイ素;ケイ素と少なくとも1種の他の元素との合金;不定比炭化ケイ素;希土類酸化物;希土類酸窒化物;希土類酸炭化物;アルミナ酸化物;窒化アルミニウム;アルミニウム酸窒化物;遷移金属酸化物;遷移金属炭化物;遷移金属酸窒化物からなる群から選択される材料を含む、請求項26に記載の真空チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年2月13日出願の米国仮特許出願第61/764,170号の利益を主張し;2013年6月6日出願の米国仮特許出願第61/831,656号の利益を主張し;および2013年6月13日出願の米国仮特許出願第61/834,748号の利益を主張する。上記出願の教示全体を参照することにより本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
実質的に平坦な基板表面を維持しながら、真空チャックを使用して、シリコンウエハ、ガリウムヒ素ウエハなどの様々な基板および他の基板をクランプすることが、継続的に必要とされている。平坦な基板表面は、ウエハ融着などのマイクロエレクトロニクス製造プロセスにおいて重要である。ウエハの場合、平坦なウエハ表面によって、ウエハの特徴の適切なアライメントを可能にするため、第2のウエハとの、ウエハレベルでのパッケージングおよび3次元集積化のためのアライメントされたウエハ融着を行うことができる。真空チャック表面上のエンボスの高さにばらつきがあることによって、クランプされたウエハに凸凹したウエハ表面を生じ、これにより、ウエハボンディングプロセスの最中にミスアライメントを生じ得る。これらのばらつきに対処するために、エンボスの下層の真空チャックのベース基板表面を平坦にするためにラッピングが使用されてきている。しかしながら、半導体素子のサイズが縮小し続けているために、これは、アライメントを改善することに関するニーズには、適切に対処していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一変形例によれば、ポリマー性エンボスを備える真空チャックが提供される。ポリマー性エンボスは、ベース基板の表面に形成され、かつ、真空チャックによってクランプされたウエハ基板が、ベース基板にわたる山対谷の平坦度(peak to valley flatness)を下回る山対谷の平坦度を有するように、平坦にラッピングされる。ポリマー性エンボスのラッピングは、ベース基板の山対谷の高さのばらつきを越えて立ち上がっている(stand over)ほどエンボスが十分に高い限り、ベース基板の平坦性のばらつきに対応する。
【0004】
本発明による一変形例では、真空チャックが提供される。真空チャックは、第1の山対谷の平坦度を含むベース基板;およびポリマーを含み、かつベース基板の上側に配置されている少なくとも1つのエンボス構造であって、少なくとも1つのエンボス構造は、少なくとも1つのエンボス構造を取り囲む真空チャックの部分を超える高さまで延在して、基板を真空チャックする最中に、少なくとも1つのエンボス構造上に基板を支持する、少なくとも1つのエンボス構造を含む。少なくとも1つのエンボス構造の高さは、少なくとも1つのエンボス構造に対して真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、第1の山対谷の平坦度を下回る第2の山対谷の平坦度を有するようにされる。
【0005】
さらなる関連の変形例では、第2の山対谷の平坦度は、干渉分光法による測定で、真空チャックとプライムウエハの裏面との間に50トール〜750トールの圧力デルタ(pressure delta)でプライムウエハが真空チャックによってクランプされるとき、プライムウエハの少なくとも一部分にわたる山対谷のばらつきが5ミクロン以下、例えば2.5ミクロン以下、より詳細には例えば1.5ミクロン以下の平坦度を有し得る。第1の山対谷の平坦度は、5ミクロン以下のベース基板にわたる山対谷の平坦度を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は、ポリマーエンボス、またはベース基板および下層のエンボスベースを覆うポリマー性オーバーコート、または1つ以上の垂直エンボス層を含み得る。1つ以上の垂直エンボス層のうちの1つの層は、誘電体材料層を含み得る。1つ以上の垂直エンボス層のうちの1つの層は、導電性材料層を含み得る。1つ以上の垂直エンボス層のうちの1つの層は:ポリマー性材料層;およびポリマーを含む複合材料層からなる群から選択され得る。ポリマー性材料層は:導電性のポリマー性材料および光パターニング可能なポリマー性材料からなる群から選択される材料を含み得る。1つ以上の垂直エンボス層は複数のポリマー材料層を含み、複数のポリマー材料層の各ポリマー材料層は、異なる硬度のポリマーを含み得る。導電性のポリマー性材料は:カーボンナノチューブとポリマーとのブレンド;および導電性ナノ粒子ドープポリマー(conductive nanoparticle doped polymer)からなる群から選択される材料を含み得る。光パターニング可能なポリマー性材料は:ポリイミドベースの光パターニング可能なポリマーおよびベンゾシクロブテンベースの光パターニング可能なポリマーからなる群から選択される材料を含み得る。誘電体材料層は、低応力誘電体材料を含み得る。低応力誘電体材料は:非晶質誘電体材料および多結晶誘電体材料からなる群から選択される材料を含み得る。誘電体材料層は:炭化ケイ素;酸化ケイ素;窒化ケイ素;酸窒化ケイ素;ケイ素と少なくとも1種の他の元素との合金;不定比炭化ケイ素;希土類酸化物;希土類酸窒化物;希土類酸炭化物;アルミナ酸化物;窒化アルミニウム;アルミニウム酸窒化物;遷移金属酸化物;遷移金属炭化物;遷移金属酸窒化物からなる群から選択される材料を含み得る。
【0006】
さらなる関連の変形例では、真空チャックは、さらに、ガスシール、1つ以上のリフトピンホールおよび対応するガスシール、および1つ以上の真空孔を含む。少なくとも1つのエンボス構造は:三角形パターン;円形パターン;正方形パターン;矩形パターン;卵形パターン;ハニカム構造パターン;つながった円形構造パターン;つながった卵構造パターン;およびつながった矩形構造パターンからなる群から選択されるパターンに配置された複数のエンボス構造を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は:丸;卵;三角形;矩形;正方形;六角形;五角形;8面体からなる群から選択される形状を備える少なくとも1つのエンボス構造を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は、真空チャックの表面の複数の異なる領域にわたって形状およびパターンが変化する複数のエンボス構造を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は:ボール形状;シリンダー形状;らせん形状;砂時計形状;バルーン形状;波形;テーパ;およびひだ状(corrugated)からなる群から選択される3次元形状を含む少なくとも1つのエンボス構造を含み得る。真空チャックは、さらに、ベース基板の1つ以上の面に少なくとも1つの金属バリア層を含み得る。
【0007】
他の関連の変形例では、少なくとも1つのエンボス構造は、ヤング率が約1.5〜3.5GPa、および引張強度が約70〜120MPaのポリマーを含み得る。少なくとも1つのエンボス構造の高さは、少なくとも1つのエンボス構造に対して真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、以下の山対谷の測定値の少なくとも1つを有する少なくとも1つのエンボス構造に対向する面を有するように、され得る:1ミクロン、または1ミクロン未満の、真空チャックのリフトピンホールを覆いかつそれにわたって測定されたプライムウエハの面での山対谷の測定値;0.7ミクロン、または0.7ミクロン未満の、クランプされたプライムウエハの縁部から真空チャックのリフトピンの中心にある点までの山対谷の測定値;1.5ミクロンまたは1.5ミクロン未満の、クランプされたプライムウエハ全体にわたる山対谷の測定値。真空チャックの、その上面における形状は、部分的にまたは実質的に凸状であっても;または実質的に平坦であってもよい。少なくとも1つのエンボス構造は、三角形パターンに配置された複数のエンボス構造を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は、20メガパスカルを超えるせん断粘着力を有するポリマーを含み得る。
【0008】
本発明による別の変形例では、真空チャックを作製する方法が提供される。方法は、ポリマーを含みかつ真空チャックのベース基板の上側に配置されている少なくとも1つのエンボス構造をラッピングするステップであって、ベース基板は、第1の山対谷の平坦度を含み、少なくとも1つのエンボス構造は、少なくとも1つのエンボス構造を取り囲む真空チャックの部分を超える高さまで延在して、基板を真空チャックする最中に、少なくとも1つのエンボス構造上に基板を支持するステップを含む。少なくとも1つのエンボス構造のラッピングは、平坦になるまで行われ、それにより、少なくとも1つのエンボス構造の高さは、少なくとも1つのエンボス構造に対して真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、第1の山対谷の平坦度を下回る第2の山対谷の平坦度を有するようにされる。
【0009】
本発明による別の変形例では、真空チャックを磨き直す方法が提供される。方法は、真空チャックの表面の上から、ポリマーを含む少なくとも1つの以前から存在する構造を除去するステップ;真空チャックの清浄な表面を形成するステップであって、清浄な表面は、第1の山対谷の平坦度を含むステップ;および真空チャックの清浄な表面の上に、ポリマーを含む少なくとも1つの新しいエンボス構造を形成するステップであって、少なくとも1つの新しいエンボス構造は、少なくとも1つの新しいエンボス構造を取り囲む真空チャックの部分を超える高さまで延在して、基板を真空チャックする最中に、少なくとも1つの新しいエンボス構造上に基板を支持するステップを含む。少なくとも1つの新しいエンボス構造の高さは、少なくとも1つの新しいエンボス構造に対して真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、第1の山対谷の平坦度を下回る第2の山対谷の平坦度を有するようにされる。
【0010】
さらに関連の変形例では、真空チャックの清浄な表面に対する少なくとも1つの新しいエンボス構造のせん断粘着力は、20メガパスカルを上回り得る。
【0011】
本発明による別の変形例では、第1の表面プロファイルを含むベース基板;およびポリマーを含み、かつベース基板の上側に配置されている少なくとも1つのエンボス構造であって、少なくとも1つのエンボス構造は、少なくとも1つのエンボス構造を取り囲む真空チャックの部分を超える高さまで延在して、基板を真空チャックする最中に、少なくとも1つのエンボス構造上に基板を支持する、少なくとも1つのエンボス構造を含む、真空チャックが提供される。少なくとも1つのエンボス構造の表面プロファイルは、少なくとも1つのエンボス構造に対して真空チャックによってクランプされたプライムウエハが、第1の表面プロファイルとは異なる予め決められた目標表面プロファイルを有するようにされる。
【0012】
さらなる関連の変形例では、予め決められた目標表面プロファイルは、実質的に凹状または実質的に凸状とし得る。
【0013】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の説明および添付図面と併せて考慮すると、認識および理解が深まる。以下の説明は、本発明の様々な実施形態かつその多数の具体的詳細を示すが、説明のために与えられ、限定するためのものではない。本発明の範囲内で多くの代替、修正、追加または再配置を行ってもよく、および本発明は、そのような代替形態、修正形態、追加形態または再配置形態を含む。
【0014】
本明細書に付随しかつその一部を形成する図面は、本発明のいくつかの態様を示すために含まれる。本発明、および本発明が提供されるシステムの構成要素および動作のより明瞭な印象が、図面に示す例示的な、それゆえ非限定的な実施形態を参照することによって、より容易に明らかとなり、同一の参照符号は、同じ構成要素を指す。図面に示す特徴は、必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の変形例による真空チャックの概略図である。
【
図2】ベース基板の上に配置された1つ以上のエンボスベースが、ポリマー性オーバーコートによって被覆されている、本発明の別の変形例による真空チャックの概略図である。
【
図3】少なくとも1つのエンボス構造が1つ以上の垂直層を含む、本発明の別の変形例による真空チャックの概略図である。
【
図4A-C】本発明の変形例による真空チャックの図である。
【
図5】本発明の変形例による、真空チャックの表面上のエンボス構造のパターンの図であり、ここでは、パターンは、基板とエンボス構造との間の力を削減するために使用される。
【
図6】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図7】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図8】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図9】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図10】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図11】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図12】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図13】本発明の変形例によるエンボス構造の異なるパターンを示すマスク細工(mask work)の一部分を示す図である。
【
図14】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図15】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図16】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【
図17】本発明の変形例による真空チャックの実験において得られたインターフェログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な組成物および方法を説明するが、説明する特定の分子、組成物、設計、方法論またはプロトコールは変更し得るため、本発明はそれらに限定されないことを理解されたい。説明において使用される用語法は、特定の変形例または実施形態のみを説明するためのものであり、および添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、複数形を含むことにも留意する必要がある。それゆえ、例えば、「エンボス」への言及は、1つ以上のエンボスおよび当業者に公知のその等価物を指すなどである。他の意味を定義する場合を除いて、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験において、本明細書で説明するものと同様または等価の方法および材料を使用できる。本明細書で述べる全ての出版物は、それらの全体を、参照することにより本書に援用する。本明細書では、先行発明であるゆえにそのような開示に本発明が先行する権利を有しないことを承認するものであるとはみなされない。「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に説明する事象または環境が発生してもまたは発生しなくてもよいこと、および説明は、事象が発生する場合、および事象が発生しない場合を含むことを意味する。本明細書の数値は全て、明白に示すか否かに関わらず、用語「約」によって修飾され得る。用語「約」は、一般的に、当業者が、列挙した値と等価とみなす数字の範囲を指す(すなわち、同様の機能または結果を有する)。一部の実施形態では、用語「約」は、表示の値の±10%であり、他の実施形態では、用語「約」は、表示の値の±2%を指す。組成物および方法を、様々な構成要素またはステップを「含む(comprising)」(「含む(including)が、それらに限定されない」を意味すると解釈される)という点で説明するが、組成物および方法はまた、様々な構成要素およびステップ「から本質的になる」または「からなる」ことができ、そのような用語法は、本質的に閉じたまたは閉じたメンバーグループを定義すると解釈する必要がある。
【0018】
本発明を、1つ以上の実装例に関して示しかつ説明したが、本明細書および付属の図面を読みかつ理解することに基づいて、当業者には、等価の代替例および修正例が思い浮かぶ。本発明は、そのような修正例および代替例を全て含み、および以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本発明の特定の特徴または態様を、いくつかの実装例のうちの1つのみを参照して開示し得るが、そのような特徴または態様は、いずれかの所与のまたは特定の適用例に望まれかつ好都合とし得るように、他の実装例の1つ以上の他の特徴または態様と組み合わせてもよい。さらに、用語「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「備える(with)」またはそれらの変形例が、詳細な説明または特許請求の範囲で使用される範囲で、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様に包括的であるものとする。また、用語「例示的な」は、最良ではなく、単に例を意味する。本明細書で説明する特徴、層および/または要素は、簡潔にするため、および理解を容易にするために、互いに対して特定の寸法および/または向きで示すこと、および実際の寸法および/または向きは、本明細書に図示するものから実質的に異なってもよいことも認識される。
【0019】
用語「隆起」および「エンボス」は、本開示および特許請求の範囲では、交換可能に使用できる。
【0020】
図1は、本発明の変形例による真空チャック100の概略図である。本発明の一変形例によれば、真空チャックによってクランプされる基板の平坦度を改善する問題は、高弾性率のセラミック(例えばアルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素など)または他のなんらかの高剛性の合金(例えば鋼)のベース基板101を含む真空チャックによって解決され、この真空チャックは、チャックのベース基板101の上面、および任意選択的な底面に、炭化ケイ素または他の高純度金属バリア材料102を有し得る。ポリマー性エンボス103が、ベース基板101の上面、またはベース基板を覆う金属バリア層材料102の上面に位置決めされている。ポリマー性エンボス103の高さは、ポリマー性エンボス103の頂面が、真空チャックによってクランプされたプライムシリコンウエハによって特徴づけられ得る表面を規定するようにされており、クランプされたプライムシリコンウエハは、例えば、干渉分光法による測定で、チャックとプライムシリコンウエハの裏面との間に50トール〜750トール(150トールなど)の圧力でプライムシリコンウエハがクランプされるとき、プライムシリコンウエハの部分にわたる山対谷のばらつきが5ミクロン以下(2.5ミクロン以下など)の平坦度を有する。
【0021】
図2は、本発明の別の変形例による真空チャックの概略図であり、ここでは、ベース基板201の上側に配置された1つ以上のエンボスベース203が、ポリマー性オーバーコート204によって被覆されている。
【0022】
図3は、本発明の別の変形例による真空チャックの概略図であり、ここでは、少なくとも1つのエンボス構造が、ベース基板301の上側に配置された1つ以上の垂直層305、306、307を含む。
【0023】
本明細書では、「エンボス構造」は、
図1〜3のエンボス配置構成のうちのいずれか1つ、および他のエンボス構造を含み得る。例えば、エンボス構造は、
図1に示すようなポリマーエンボス、
図2に示すような、ポリマー性オーバーコートによって被覆されたエンボスベース、または
図3に示すような、1つ以上の垂直層を含むエンボス構造を含み得る。
【0024】
1つ以上の垂直エンボス層305、306、307のうちの1つ以上の層は:ポリマー性材料層;導電性材料層(金属を含み得る);誘電体材料層(誘電体もポリマー性材料とし得る);ポリマーを含む複合材料層;および上述のいずれかの組み合わせを含む層からなる群から選択され得る。誘電体材料は、約1〜約100の誘電率を含み得る。ポリマー性材料層は、導電性のポリマー性材料または光パターニング可能なポリマー性材料を含み得る。1つ以上の垂直エンボス層は複数のポリマー材料層を含んでもよく、複数のポリマー材料層の各ポリマー材料層は、異なる硬度のポリマーを含む。本明細書では、「異なる硬度」は、ショアー押込硬度測定によって測定されるときに異なる硬度を有する材料を意味する。例えば、そのような材料は、Themal Propertiesで、2014年2月10日にインターネットからダウンロードしたウェブサイトhttp://www.plasticsintl.com/sortable_materialsにおいて、見つかり得る。それらの教示全体を参照することにより本願明細書に援用する。導電性のポリマー性材料は:カーボンナノチューブとポリマーとのブレンド;および導電性ナノ粒子ドープポリマーからなる群から選択される材料を含み得る。例えば、導電性ポリマーは、カーボンナノチューブとポリマーとのブレンド(例えば、Entegris,Inc.(Billerica、MA、U.S.A.)で販売されているEntegris TEGO(商標)ポリマー);カーボンナノチューブ充填ポリカーボネート;および/または導電性ナノ粒子ドープポリマーを含み得る。光パターニング可能なポリマー性材料は:ポリイミドベースの光パターニング可能なポリマーおよびベンゾシクロブテンベースの光パターニング可能なポリマーからなる群から選択される材料を含み得る。誘電体材料層は、低応力誘電体材料を含み得る。低応力誘電体材料は:非晶質誘電体材料および多結晶誘電体材料からなる群から選択される材料を含み得る。誘電体材料層は:炭化ケイ素;酸化ケイ素;窒化ケイ素;酸窒化ケイ素;ケイ素と少なくとも1種の他の元素との合金;不定比炭化ケイ素;希土類酸化物;希土類酸窒化物;希土類酸炭化物;アルミナ酸化物;窒化アルミニウム;アルミニウム酸窒化物;遷移金属酸化物;遷移金属炭化物;遷移金属酸窒化物からなる群から選択される材料を含み得る。
【0025】
本発明の別の変形例は、ベース基板の表面上のポリマー性エンボスをラッピングして平坦にし、それにより、ポリマー性エンボスの頂面は、真空チャックによってクランプされたプライムシリコンウエハの山対谷の平坦度がベース基板の山対谷の平坦度を下回るという特徴を有する行為またはステップを含む、真空チャックの作製方法である。例えば、干渉分光法による測定でのプライムウエハの平坦度は、プライムウエハが真空チャックによって、チャックと基板の裏面との間に50トール〜750トール、例えば150トールの圧力でクランプされるとき、基板の部分にわたって、5ミクロン以下、例えば2.5以下、より詳細には1.5ミクロン以下の山対谷のばらつきを有し得る。エンボスは、反応性イオン・エッチングによるさらなるステップまたは行為において修正され得る;イオン・エッチングは、ポリマー性エンボスの表面を清浄にし得る。ポリマー性エンボスは、新しいベース基板または新しい金属バリア層の上に形成され得るか、またはポリマー性エンボスは、元のポリマー性エンボスがプラズマ処理または化学的処理によって除去された真空チャック上に形成され得る。これらの表面のいずれかに形成されたポリマー性エンボスは、下層のベース基板または金属バリア層に対するせん断粘着力を有し、ポリマー性エンボスがそれらの最終高さにラッピングされ得るようにする。
【0026】
本発明の別の変形例は、ポリマーエンボスを備える真空チャックを磨き直す方法である。方法は、真空チャックのベース基板または金属バリア層の上からポリマー(エンボスおよびまたは金属バリア層を含む)を除去して、清浄なベース基板または金属バリア層の表面を作製し、かつその後、ベース基板または金属バリア層の清浄な表面の上にポリマー性エンボスを形成する行為またはステップを含む。これらの表面のいずれかに形成されたポリマー性エンボスは、下層のベース基板または金属バリア層に対するせん断粘着力を有して、ポリマー性エンボスが、それらの最終高さにラッピングされ得るようにする。金属バリア層がポリマーである場合、古いエンボスを含むポリマーは、除去され得る。金属バリア層が、限定はされないがSiCのような材料である場合、エンボスは、金属バリア層の上から除去され得る。ポリマーは、例えば、限定されるものではないが、反応性プラズマ、例えば酸素含有プラズマまたはフッ素含有プラズマを使用することによって除去され得るか、またはポリマーは、限定されるものではないが、オゾン水などの、化学的性質に基づいた溶液、および紫外線光によって除去され得る。本発明の変形例における清浄な表面は、ベース基板表面または上層の金属バリア層表面上のエンボスポリマー材料のせん断粘着力によって、その後、エンボスをそれらの最終高さにラッピングできるようにするようなものであり、一部の変形例では、ベース基板表面または上層の金属バリア層表面上のエンボスのせん断粘着力は20メガパスカル超であり、一部の変形例では、ベース基板表面または上層の金属バリア層表面上のエンボスポリマーのせん断粘着力は35メガパスカル超であり、および本発明のさらに他の変形例では、ベース基板表面または上層の金属バリア層表面上のエンボスポリマー材料のせん断粘着力は70メガパスカル超である。
【0027】
エンボスを含むポリマー性材料のヤング率は、約1.5〜3.5GPa、引張強度は約70〜120MPaであり、およびポリマー性エンボスは、下層の基板に接着し、かつラッピングされ得る。本発明の変形例におけるエンボス用のポリマー性材料の非限定的な例は、ポリイミド、および米国特許第4,882,245号明細書に開示されているポリマー、例えば、SU−8に基づくポリマーエポキシ樹脂を含む。
【0028】
本発明の変形例では、適切なリソグラフィー技術と併せて、チャック本体にフォトレジスト、例えばSU−8のようなポリマーエポキシ樹脂をスプレーコーティングまたはスピンコーティングすることによって、ガスシールおよびエンボスが形成され得る。任意選択的に、ポリマーエンボスは、ベース基板または上層の金属バリア層に適用またはラミネートされるポリマー薄膜を使用して形成され得る。ポリマー薄膜は、エンボスを形成するために、フォトリソグラフィー的にパターン形成および現像され得る。例えば、使用され得る光パターニング可能なポリマーシートは、ガスシールおよびエンボスを形成するための適切なラミネーションおよびリソグラフィー技術と併せて、エポキシベースのポリマーシート、ポリイミドベースのポリマーシートおよびベンゾシクロブテン(BCB)ポリマーシートを含む。例えば、E.I.DuPont de Nemours and Company(Wilmington、DE、U.S.A.)から販売されているPerMx(商標)シリーズ、MXシリーズおよびRiston(登録商標)シリーズのポリマーシートなどのエポキシベースのポリマーシートを使用しても、またはTokyo Ohko Kogyo Co.,Limitedから販売されているTMMF S2000およびTMMR S2000ポリマーシートを使用してもよい。
【0029】
ポリマーエンボスを備える真空チャックを作製する一部の変形例では、ベース基板または上層の金属バリア層は、反応性プラズマまたは他の処理によって清浄にされ、エンボス用のポリマーが適用されて、パターン形成、および現像されるとき、下層のベース基板または下層の金属バリア層に対するポリマーのせん断粘着力が20メガパスカル超となり、一部の変形例では、下層のベース基板または金属バリア層に対するポリマーのせん断粘着力が35メガパスカル超となり、およびさらにいくつかの他の変形例では、下層のベース基板または金属バリア層に対するポリマーのせん断粘着力が70メガパスカル超となるようにする。任意選択的に、ポリマー材料を適用する前に、ベース基板または金属バリア層の表面を処理するために接着促進剤を使用し得る。接着促進剤の非限定的な例は、HMDS(ヘキサメチルジシルザン(hexamethyldisilzane)である。接着促進剤は、ポリマー性フォトレジストと、ベース基板または金属バリア層などのボンディング面との間に、ボンディングすなわち結合を生じる。
【0030】
本発明の変形例では、エンボスに好適なポリマー材料は、パターン形成されることができ、かつ、パターン形成されたポリマー性エンボスをそれらの最終高さにラッピングできるようにする、下層の金属バリア層またはベース基板材料に対するせん断粘着力を有し、ラッピングプロセスの最中に、下層の表面からパターン形成されたエンボスを引き裂いたりまたはそれに損傷を与えたりしないとして特徴づけられ得るポリマーを含む。本発明の一部の変形例では、エンボス用の好適なポリマー材料は、パターン形成されることができ、かつ、パターン形成されたポリマー性エンボスを、ダイアモンド研磨パッドおよび精密研磨スラリー(fine polishing slurry)を用いて、チャック自体の重量下でそれらの最終高さにラッピングできるようにする、下層の金属バリア層またはベース基板材料に対するせん断粘着力を有し、ラッピングプロセスの最中に、下層の表面からパターン形成されたエンボスを引き裂いたりまたはそれに損傷を与えたりしないとして特徴づけられ得るポリマーを含む。エンボスがないことまたは損傷されたエンボスは、エンボスがないまたは損傷されたエンボス部位付近でウエハを過度にたるませる原因となり、これは、ウエハとウエハとのボンディングの最中に、ウエハ構造のアライメントを不十分にし得るかまたはミスアライメントさせ得る。エンボスと下層の金属バリア層またはベース基板材料との間の結合のせん断粘着力は、接着結合に関するASTM標準D 1002に従って測定されてもよく、そのASTM標準の教示全体を、参照することにより本願明細書に援用する。
【0031】
本発明の一部の変形例では、エンボスは、ベース基板の上面にわたって、第1の密度(単位面積当たりのエンボス数)の実質的に六角形パターンに配置される一方、他の変形例では、リフトピンおよびガスシールのようなチャック構造付近のエンボスは、異なる密度のエンボス、または異なるパターン(非六角形のエンボスパターン)を有し得る。本発明の一部の変形例では、エンボスの配置は、シールリング(「リフトピンホール」シールリングおよび外縁シールリングの双方)の近傍に適用され得る除外ルール(exclusion rule)に従うことができ、ここでは、隆起またはエンボスの縁部が、シールリングの縁部と一致する場合、それは、チャック上の最終的なエンボスパターンから除外される。他の変形例では、エンボスの配置は、シールリングの近傍にある隆起またはエンボス用の除外ルールに従わない。一部の変形例では、リフトピンホールおよび真空孔のすぐ近くにおいて、隆起の直径を縮小でき、および隆起間の間隔を縮小できる。一部の変形例では、エンボスの配置は、シールリング(「リフトピンホール」シールリングおよび外縁シールリングの双方)の近傍に適用され得る除外ルールに従うことができ、ここでは、エンボスのパターンが六角形パターンであり、かつエンボスの縁部がシールリングの縁部と一致する場合、エンボスは、チャック上の最終的なエンボスパターンから除外される。他の変形例では、エンボスの六角形の配置は、シールリングの近傍にある隆起またはエンボス用の除外ルールに従わない。さらに、リフトピンホールおよび真空孔のすぐ近くにおいて、エンボス(隆起)の直径を縮小でき、およびエンボス間(隆起間)の間隔を縮小できる。
【0032】
本発明の一部の変形例では、ポリマー性エンボスは、エンボスがベース基板の中心またはその付近に配置された状態で、六角形パターンに配置される(除外ルールが適用される箇所、またはエンボス間の間隔または直径が異なる個所を除いて)。エンボスが、パターンを構成する六角形の頂点のそれぞれに配置され得る。クランプされた基板の厚さに依存して、クランプ力(圧力によって決定される)およびウエハとウエハとのボンディングプロセスに対するアライメント条件、エンボスおよびそれらの直径の、例えば2つの六角形頂点間の中心間の間隔を変更して、基板と基板とのボンディングプロセスに許容可能な基板のたるみを与えることができる。非限定的な例では、中心で2.5ミリメートル離間したエンボスは、約4ナノメートルの最小たるみをもたらす。チャック上のポリマーエンボスの中心間の間隔は、0.5mm〜7mmの範囲であり、およびウエハのたるみを最小にし、かつ必要に応じて、ウエハとウエハとのボンディングおよびアライメントを改善するように選択され得る。
【0033】
本発明の一部の変形例では、エンボスの直径は、0.25ミリメートル〜1ミリメートルとし、および他のエンボスから、中心で1ミリメートル〜3ミリメートル程度、離間し得る(中心間の間隔)。エンボスの高さは、ベース基板(またはベース基板の上を覆っているSiCなどの層)の山対谷の高さのばらつきを越えて立ち上がっているように選択されて、最終高さにラッピングされ得る。
【0034】
本発明の変形例では、ラッピング後のエンボスの高さは、下層のベース基板または金属バリア層の上面から測定するとき、5ミクロン〜100ミクロンとし得る。真空チャックの一部の変形例では、エンボスの高さは、5ミクロン〜50ミクロンとし得る。ポリマー性エンボスの高さは平均値にでき、および一部の変形例では、ポリマー性エンボスの高さは、高さの平均値の±20パーセント内にある。エンボスの高さが一様であることによって、クランピングの最中のウエハのたるみを低減し得る。
【0035】
本発明の一変形例によれば、ポリマー性エンボスは上面を有してもよく、その上面の高さは、垂直にまたは水平に向けられたプライムシリコンウエハ(今日使用されているプライム300mmシリコンウエハは一般に750〜800μmの厚さである)をクランプできると特徴づけられ得るため、干渉分光法による測定で、クランプされたウエハ表面の全てまたは一部の、山対谷の高さのばらつきは、ウエハの裏面での測定で、150トールの圧力でウエハが真空チャックによってクランプされるとき、2.5ミクロン以下であり、一部の変形例では、山対谷のばらつきは、1.5ミクロン以下であり、一部の変形例では、山対谷のばらつきは、0.7ミクロン以下である。本発明の変形例では、ポリマー性エンボスを備える真空チャックは、3点ゲージまたは干渉分光法(
図6)によってさらに特徴付けられることができ、ゲージまたは干渉分光法による測定で、真空チャックにわたる高さのばらつきは2.5ミクロン以下である。
【0036】
本発明の一部の変形例では、ポリマーエンボスを備える真空チャックは、チャックされたプライムウエハに、エンボスに対向する面を備えることに特徴づけられることができ、そのエンボスは:1ミクロン、または1ミクロン未満の、リフトピンホールを覆いかつそれらにわたって測定されたウエハ表面での山対谷の測定値;0.7ミクロン、または0.7ミクロン未満の、チャックされたウエハの縁部からリフトピンの中心にある点までの山対谷の測定値;1.5ミクロンまたは1.5ミクロン未満の、チャックされたウエハ全体にわたる山対谷の測定値のうちの1つまたはいずれかの組み合わせを有する。ウエハとウエハとのボンディングまたは基板と基板とのボンディングプロセスに使用されるウエハおよび他の基板上のアライメント特徴には、山対谷の値が小さいことが好都合である。
【0037】
本発明の一変形例は、クランプ力を適用することによって、チャックのエンボスに試験基板(ウエハ)を取り付け、および干渉分光法を使用して試験基板の山対谷のプロファイルを測定することを含む、チャック表面を特徴付ける方法である。
【0038】
本発明の一変形例によれば、真空チャックのベース基板は、セラミック材料、例えばアルミナ、または炭化ケイ素または窒化ケイ素のような他の材料とし得る。ベース基板は、その表面にわたって5ミクロン以下の平坦度を有し(干渉分光法による山対谷測定)、一部の変形例では、ベース基板のその表面にわたる平坦度は3.7ミクロン以下、およびさらにいくつかの他の変形例では、ベース基板のその表面にわたる平坦度は2.5ミクロン以下とし得る。さらに他の変形例では、ベース基板の平坦度はその表面にわたって1ミクロン以下とし得る。ベース基板は、その表面にわたって3.7ミクロン〜0.5ミクロンの平坦度(干渉分光法による山対谷測定)を有し、およびさらにいくつかの他の変形例では、ベース基板のその表面にわたる平坦度は2.5ミクロン〜0.5ミクロンとし得る。さらに他の変形例では、ベース基板のその表面にわたる平坦度は1ミクロン〜0.5ミクロンとし得る。平坦なチャック表面は、ウエハボンディングの最中にウエハがより良好にアライメントできるようにし、かつより高い製造歩留りを可能にし、これは好都合である。
【0039】
一部の変形例では、ベースは、その上を向く面に凸形状または実質的に凸形状を有する。他の変形例では、ベースは、その上を向く面に実質的に平坦な形状を有する。さらに他の変形例では、ベースは、その上を向く面に凹形状または実質的に凹形状を有する。
【0040】
本発明の一変形例によれば、1つ以上の金属バリア層およびポリマー性エンボスを含み得る真空チャックは、その上面に、部分的にまたは実質的に凸状の形状を有し得る。例えば、
図6に示す真空チャックは、部分的に凸状の上面の真空チャックの非限定的な例である一方、
図9に示す真空チャックの上面(上層のクランプされたウエハによって特徴付けられる)は、実質的に対称的にドーム形状または実質的に凸形状の真空チャックの非限定的な例である。
図14は、実質的にドーム形状または実質的に凸形状を有する金属バリア層のコーティングを備えるベース基板の例である。
【0041】
本発明の一変形例では、ベース基板は、その面の1つ以上に金属バリア層を含み得る。この金属バリア層は、基板ベースからの、クランプされた基板を汚染し得る金属および金属イオンの移動を防止するかまたは遅くする。金属バリア層の非限定的な例は、SiC、SiN、およびSU−8のようなある種のポリマーエポキシ樹脂を含む。
【0042】
本発明の変形例では、真空チャックに使用されるベース基板は、厚さ5ミリメートル〜25ミリメートルとし、場合によっては厚さ8mm〜10mm、および300mm〜450mmのチャックに関しては20mm〜25mmとし得る。金属バリア層、例えばSiC、SiN、または他の材料は、ベース基板の上面およびまたは底面に適用され得る。金属バリア層の厚さは、金属汚染を低減させる(厚い層が移動を減速させる)一方でベース基板の形状を最適にもするように、選択される。いくつかの金属バリア層(例えばSiCおよびSiN)と基板ベースとの間の応力によって、金属バリアがコーティングされた基板ベースに反りを生じ得る。0.1ミクロン〜5ミクロンの厚さの金属バリア層コーティング(良好な表面被覆率をもたらす)を、基板ベースの面(上面、底面、側面)のいずれかに使用して、基板ベースからの金属移動を防止または抑制し、かつ応力のバランスを取り、それにより、金属バリアがコーティングされた基板ベースの形状を制御し得る。金属バリア層の厚さを選択すること、および/または金属バリア層およびチャックベース複合材をラッピングすることによって、金属バリア層およびチャックベース複合材の形状を修正でき、かつ凸状、凹状、または実質的に平坦にできる。チャックの一部の変形例では、チャックの上面は、凸形状またはドーム形状を有する。理論に縛られることは望まないが、チャックの上面がわずかに凸状またはドーム形状(ラッピングされたエンボスを含む)であることがウエハボンディングプロセスに好都合であると思われる。なぜなら、結合ピンが、ボンディング開始時に上側ウエハを曲げるときに(クランプされたウエハに凸面を与える)、クランプされたウエハをわずかに凸状に保つことによって、下側ウエハ(その元の凸形状から平坦にされている)が結合ピンの曲げをオフセットし、およびボンディングおよび結合波伝播の開始時に、2つのウエハが、より最適な構成になるためである。
【0043】
図4A〜4Cは、本発明の変形例による真空チャックの図である。真空チャックは、ベース基板の表面に1つ以上の真空ポートまたは孔408(
図4Bおよび
図4Cの拡大図参照)、ベース基板の外縁に沿って配置されたガスシール409(
図4A)、およびリフトピンガスシールを備える1つ以上のリフトピン開口部または孔410(
図4A)を含む。
【0044】
図5は、本発明の変形例による真空チャックの表面にあるエンボス構造503のパターンの図であり、ここでは、パターンを使用して、基板とエンボス構造503との間の力を減少させる。そのような力を均等に分配させるパターンを、例えば三角形または全体的に六角形のパターンに使用し得る。本明細書では、「三角形」パターンは、正三角形のエンボス構造のパターンが規則的に繰り返され、エンボス構造が、実質的に等間隔で離間していることを意味するものと認識されたい。そのようなパターンはまた、正六角形の頂点を形成する6個の突起のアレイの中心に中心突起を備えて、全体的に六角形の形状であると見え、それゆえ、また、本明細書では「六角形」と称し得る。エンボス構造は、(限定されるものではないが)以下のパターン:三角形パターン;円形パターン;正方形パターン;矩形パターン;卵形パターン;ハニカム構造パターン;つながった円形構造パターン;つながった卵構造パターン;およびつながった矩形構造パターンのうちの1つ以上に配置された少なくともいくつかのエンボス構造を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は:丸;卵;三角形;矩形;正方形;六角形;五角形;8面体からなる群から選択される形状を備える少なくとも1つのエンボス構造を含み得る。少なくとも1つのエンボス構造は、真空チャックの表面の複数の異なる領域にわたって形状およびパターンが変化する複数のエンボス構造を含み得る。さらに、少なくとも1つのエンボス構造は:ボール形状;シリンダー形状;らせん形状;砂時計形状;バルーン形状;波形;テーパ;およびひだ状からなる群から選択される3次元形状を含む少なくとも1つのエンボス構造を含み得る。そのような形状を使用して、水平方向および/または垂直方向におけるエンボス構造の弾性を調整し得る。
【0045】
一変形例では、エンボスおよびチャック表面のラッピングは、ダイアモンド、窒化ホウ素のような研磨材、および他の公知の研磨材を含むラッピングパッドを備えるラッピングプレートを使用して実施され得る。ラッピングパッドとポリマーエンボスを備えるチャックの表面との間には潤滑液が塗布される。チャックおよびそのエンボスは、チャック自体の重量下で、またはチャック表面の上に置かれた重りによって、ラッピングされ得る。
【0046】
円周ガスシールおよびリフトピンガスシールも、ポリマー性エンボスに使用されるポリマーで作製され得る。
【0047】
本発明の変形例によれば、本明細書で開示したようなチャックの利点は、ベース基板の平坦度が重要ではないことである。なぜなら、ベース基板の山対谷の高さのばらつき(上述の通り5ミクロン以下)を越えて立ち上がっているほどエンボスが十分に高い限り、エンボスがラッピングされて、「平」面を提供し得るか、またはエンボスの頂面によって規定された全体的にドーム状表面を提供し得るためである。エンボスにポリマーを使用し、およびそれらをラッピングすることは、明らかではない。なぜなら、ポリマーは柔らかく、それによりラッピングを困難にし、およびラッピングは、基板表面からのエンボスの引き裂きを生じ、それにより、製造歩留りを減少させ得るためである。
【0048】
本発明の変形例によるチャックの別の利点は、チャックを使用した後に、エンボスをベース基板表面または金属バリア層から、プラズマ処理、例えば限定されるものではないが、酸素含有プラズマによって除去し、および上述の通り清浄な表面に新しいエンボスを形成することである。ポリマー性エンボスを備えるこれらの真空チャックを磨き直す(古いポリマー性エンボスを剥がして新しいポリマー性エンボスを適用する)能力は、コストを削減し(ベース基板を再使用できる)、かつ廃棄ベース基板からの廃棄物を削減するため、環境にやさしい。
【0049】
本発明による別の変形例では、エンボス構造は、ベース基板の表面プロファイルとは異なる、チャックされたウエハのための所望の予め決められた目標表面プロファイルを生じさせるのに適合された表面プロファイルを有し得る。例えば、目標表面プロファイルは平坦である必要はなく、および凸状、凹状、または別の予め決められた所望の目標プロファイルとし得る。
【実施例】
【0050】
実施例1
本実施例は、ポリマーチャックのエンボスの上面に垂直にクランプされた基板ウエハの表面を特徴付けるために干渉分光法を使用する。チャックと基板ウエハの裏面との間の空間における圧力は150トールであり、およびこれによりポリマー性エンボスに基板をクランプした力を生じた。Zygo Interferometerを使用して:(A)ラッピング前の真空チャックのエンボスの面(
図6)、(B)エンボスのラッピング前の、ポリマーエンボスを備える真空チャックによってクランプされたブランク試験プライム(blank test prime)300mmシリコンウエハの面(エンボスに対向する面)(
図7および
図8)、および(C)エンボスがラッピングされた後の、エンボスを備える真空チャックによってクランプされたブランク試験プライム300mmシリコンウエハの面(ラッピングされたエンボスに対向する面)(
図9)を特徴付けた。
【0051】
セラミックチャックの上面上に、エポキシベースのポリマーを含むポリマー性エンボスをパターン形成するために、リソグラフィ・マスクを使用した。チャック表面は、チャック表面にわたって約2.5ミクロンの平坦度内に予めラッピングされている。ポリマー性エンボスまたは隆起は、このラッピングされたセラミックチャック表面の面でリソグラフ的に形成され、かつ現像されており、および全て直径0.75mmであり、および六角形パターンで2.5mm離間していた(中心間)。ポリマー性エンボスは、MicroChem Corporation(Newton、MA、U.S.A)から入手可能な、SU 8ポリマーとも呼ばれるエポキシベースの樹脂を含んだ。エンボスの配置は、シールリング(「リフトピンホール」シールリングおよび外縁シールリングの双方)の近傍に適用された除外ルールに従った:隆起縁部がシールリングの縁部と一致した場合、隆起縁部は、チャックの最終的なエンボスパターンから除外された。
【0052】
この場合、アルミナ基板ベースは、厚さ8mm程度であり、上面層金属バリアSiCコーティングの厚さが2.5ミクロン〜3ミクロンであり、およびSiCの底部コーティングの厚さが約1.5ミクロンであった。エポキシベースのポリマーエンボスは、ラッピング前、高さが35ミクロン〜45ミクロンであった。炭化ケイ素は、アルミナベースからの金属に対するバリアを提供し、およびアルミナベースの上部と底部との炭化ケイ素の厚さの組み合わせによって、
図6に示すように、チャックの上を向く面に、わずかな凸形状をもたらす。
【0053】
図6は、チャックにわたる、干渉分光法によって決定された山対谷の測定値を示し、これは、2.5ミクロンであった(ウエハなし、ラッピング前)。チャックは、インターフェログラムによって示すように、その表面の一部分にわたって部分的な凸形状を有した。
【0054】
図7は、クランプまたは保持されたウエハにわたる、干渉分光法による山対谷の測定値を示す(チャックのポリマー性エンボスのラッピング前);ウエハのこの中心部分(中心)にわたる山対谷の高さは、約2.7ミクロンである。
【0055】
図8は、クランプまたは保持されたウエハにわたる、干渉分光法による山対谷の測定値を示す(チャックのポリマー性エンボスのラッピング前);ウエハのこの縁部分にわたる山対谷の高さは、約3.4ミクロンである。
【0056】
図9は、チャックのポリマー性エンボスのラッピング後のクランプまたは保持されたウエハにわたる干渉分光法による山対谷の測定値を示す;リフトピンホールを通るウエハのこの部分にわたる山対谷の高さは、約1ミクロンである。この画像は、ポリマー性エンボスを備える実質的に凸状またはドーム形状の真空チャックにクランプされる結果、実質的に凸状またはドーム形状となった、クランプされたウエハを示す。
【0057】
図10は、チャックのポリマー性エンボスのラッピング後の、クランプまたは保持されたウエハにわたる、干渉分光法による山対谷の測定値を示す;リフトピンホールを通るクランプされたウエハにわたる山対谷の高さは、約1.3ミクロンである。
【0058】
図11は、
図10のインターフェログラムの詳細な検討結果(close up examination)であり、および下層の真空チャックの表面のリフトピンの領域のクランプされたウエハ表面を示す。
【0059】
図12は、チャックのポリマー性エンボスのラッピング後の、クランプまたは保持されたウエハにわたる、干渉分光法による山対谷の測定値を示す;リフトピンホールの中心からクランプされたウエハの縁部までのウエハのこの縁部分にわたる山対谷の高さは、約0.7ミクロンである。
【0060】
本実施例での干渉法測定の結果は、エポキシベースのポリマーエンボスのラッピングは、下層のチャック表面の平坦度とは無関係に(
図6に示すように山対谷の値2.5ミクロン)、真空チャックによってクランプされたウエハの平坦度を改善することを、はっきりと示す。干渉法測定は、エンボスのラッピング前、クランプされた基板ウエハは、ウエハ表面上の様々なスポットでの山対谷の測定値が2.7ミクロン〜3.3ミクロンの平坦度を有したことを示す。エンボスのラッピング後、ウエハ表面上の様々なスポットでの山対谷の測定値は、リフトピンホールを通して1ミクロンであり(
図9)、山対谷の測定値は、リフトピンの中心への基板ウエハの縁部付近で0.7ミクロンであり(
図12)、および山対谷の測定値は、チャック全体にわたって1.3ミクロンであった(例えば基板の直径とし得る、または例えば
図10に示すように2つのリフトピンを通って測定され得る)。
【0061】
実施例2
本実施例では、シールリングの近傍の隆起またはエンボスに除外ルールが適用されなかった。さらに、リフトピンホールおよび真空孔のすぐ近くでは、隆起の直径が縮小され、かつ隆起間の間隔が縮小された。「リフトピンホール」シールリングの直径も縮小された。これらの領域では、隆起は、直径が0.5mmであり、および中心間が1.92mm離間している一方、他の領域では、実施例1のように、隆起またはエンボスは、直径が0.75ミリメートルであり、および2.5ミリメートル(mm)離間している(中心間)。リフトピンホールの周りのシールリングの外径(OD)は11.15mm、および内径(ID)は7.65mmであった。
【0062】
図13に、本実施例におけるエンボスの異なるパターンを示すマスク細工の一部分を示す。
【0063】
この場合、アルミナベースは、厚さが8mm程度であり、上面SiCコーティングの厚さが2.5ミクロン〜3ミクロンであり、およびSiCの底部コーティングの厚さが約1.5ミクロンであった。エポキシベースのポリマーエンボスは、ラッピング前、高さが35〜45ミクロンであった。
【0064】
実施例3
本実施例は、金属バリア層がコーティングされたベース基板のインターフェログラム(
図14)を示す。SiCがコーティングされたベース基板は、実質的にドーム形状を有する。アルミナベース基板は、上を向く側面(コーティングされた側面)に3ミクロンのSiC金属バリア層コーティングを有した。インターフェログラムでは、このコーティングされたベース基板の山対谷の測定値は、チャックにわたっておよびリフトピンのうちの1つを通って測定されるときに、4.48ミクロンであることを示す。画像は、3個のリフトピンホールの箇所を示す。
【0065】
実施例4
本実施例は、ベース基板の表面のポリマー性エンボスを平坦にラッピングすることによって作製された、実質的に平坦であるかまたはわずかに凹状である真空チャックを示し、ここでは、ポリマー性エンボスの頂面は、真空チャックによってクランプされたプライムシリコンウエハが、干渉分光法による測定で、チャックと基板の裏面との間に150トールの圧力でプライムウエハが真空チャックによってクランプされるとき、基板の複数の部分にわたる山対谷のばらつきが1ミクロン以下である平坦度を有することを、特徴とする。
【0066】
エンボスは、パターン形成され、現像されおよび硬化されたエポキシベースのポリマーから作製された。エンボスは、下層の金属バリア層に対するせん断粘着力を有し、ラッピングプロセスの最中に、下層のラッピングパッドの表面からパターン形成されたエンボスを引き裂いたりまたはそれに損傷を与えたりすることなく、ダイアモンド研磨パッドおよび水性潤滑液を用いてチャック自体の重量下でそれらの最終高さまで、パターン形成されたポリマー性エンボスをラッピングできるようにした。
【0067】
チャックは、150トールの圧力(絶対真空)でエンボスにクランプされたプライムウエハを使用して特徴付けられた。クランプされたウエハの表面は、以下の構成を使用する干渉分光法を使用して分析された。試験用取付具(test fixture)を使用して、チャックおよび真空クランプされたウエハを干渉計の前に吊るした。試験用取付具は、測定中、干渉計の伝達用平坦部(transmission flat)の前で、ゴニオメータに吊るされた(ゴニオメータは、伝達用平坦部とチャックされたウエハ表面とのより正確なアライメントを可能にするアライメントノブを有する)。干渉計に取付具を位置決めするためにブラケットが使用された。光源の波長は632nmであった。
【0068】
図15は、クランプされたウエハを使用する、ラッピングされたチャック基板にわたる、山対谷の値が測定されるときの基板平坦度を示す。本実施例では、チャックの直径にわたる山対谷の高さの測定値は、0.54ミクロンである。リフトピンは、インターフェログラムの中心付近に見える。比較的高い点および低い点を示す色むらによって示すように、ラッピングされたチャック基板は、クランプされたウエハによって示すように、実質的に平坦な上面を有する。
【0069】
図16は、本実施例のラッピングされたチャック基板の中心領域のインターフェログラム(クランプされたウエハを使用する)をより詳細に示す。この領域での山対谷の高さの測定値は、約0.42ミクロンである。
【0070】
図17は、本実施例のラッピングされたチャック基板の縁部領域のインターフェログラム(クランプされたウエハを使用する)をより詳細に示す。この領域での山対谷の高さの測定値は、約0.56ミクロンである。
【0071】
本実施例の結果は、そのウエハクランプ面にわたって1ミクロン〜0.5ミクロンの平坦度を有するポリマー性エンボスを備えるチャックをクランプすることを示す。チャックのいくつかの局所領域では、平坦度は0.4ミクロン〜0.5ミクロンである。
【0072】
本発明を、そのいくつかの実施形態を参照してかなり詳細に説明したが、他の変形例が可能である。本明細書で開示した真空チャックは、SOI(silicon on insulator)、またはウエハスタッキングなどの他の基板のボンディング適用例に使用してもよい。真空チャックの形状は、異なる形状の基板、ならびに異なるサイズの基板に修正されてもよい。例えば、ウエハ基板は、限定されるものではないが、直径200ミリメートル、直径300ミリメートル、または直径450ミリメートルのウエハを含み得る。真空チャックを、幾何学的形状または不規則な形状を含む基板をチャック(保持)するために使用し得る。それゆえ、添付の特許請求の範囲および趣旨は、説明に限定されるべきではなく、および変形例が、本明細書内に含まれる。
【0073】
特許、公開出願および本明細書で引用した参照文献全ての教示は、それらの全体を参照することにより本書に援用する。
【0074】
本発明は、特に、その例示的な実施形態を参照して示しかつ説明されたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱せずに、形態および詳細における様々な変更をなし得ることが理解される。