特許第6559618号(P6559618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559618半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559618
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20190805BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   C23C16/455
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-124828(P2016-124828)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-228700(P2017-228700A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】笹島 亮太
(72)【発明者】
【氏名】亀田 賢治
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−032610(JP,A)
【文献】 特開2004−124193(JP,A)
【文献】 特開2011−181681(JP,A)
【文献】 特開2009−062599(JP,A)
【文献】 特開2000−173925(JP,A)
【文献】 特開2005−340283(JP,A)
【文献】 特開2009−055000(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/080785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/31−21/32、21/365、
21/469−21/475、21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内の基板に対して原料を供給し第1排気系より排気する工程と、
前記処理室内の前記基板に対して反応体を供給し第2排気系より排気する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に膜を形成する工程を有し、
前記膜を形成する工程では、前記原料が前記第1排気系内を流れていないときに、前記第1排気系に設けられた供給ポートより、前記第1排気系内へ、前記反応体とは異なる物質である失活体を直接供給する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記膜を形成する工程では、前記第1排気系内に、前記原料と、前記失活体と、が交互に流れるようにする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記失活体は酸化剤と触媒とを含む請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板に対して処理が行われる処理室と、
前記処理室内の基板に対して原料を供給する原料供給系と、
前記処理室内の基板に対して反応体を供給する反応体供給系と、
前記処理室内から原料を排気する第1排気系と、
前記処理室内から反応体を排気する第2排気系と、
前記第1排気系に設けられた供給ポートと、
前記供給ポートより前記第1排気系内へ前記反応体とは異なる物質である失活体を供給する失活体供給系と、
前記処理室内の基板に対して前記原料を供給し前記第1排気系より排気する処理と、前記処理室内の前記基板に対して前記反応体を供給し前記第2排気系より排気する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に膜を形成する処理を行わせ、前記膜を形成する処理では、前記原料が前記第1排気系内を流れていないときに、前記供給ポートより、前記第1排気系内へ、前記失活体を直接供給するように、前記原料供給系、前記反応体供給系、前記失活体供給系、前記第1排気系、および前記第2排気系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項5】
基板処理装置の処理室内の基板に対して原料を供給し第1排気系より排気する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して反応体を供給し第2排気系より排気する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に膜を形成する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させ、
前記膜を形成する手順では、前記原料が前記第1排気系内を流れていないときに、前記第1排気系に設けられた供給ポートより、前記第1排気系内へ、前記反応体とは異なる物質である失活体を直接供給する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、処理室内の基板に対して原料や反応体を供給して排気系より排気する工程を含む成膜処理が行われることがある。成膜処理を行うことで排気系内に所定量の付着物が堆積したら、所定のタイミングで排気系のメンテナンスが行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−069844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、排気系のメンテナンス頻度を低下させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
処理室内の基板に対して原料を供給し第1排気系より排気する工程と、
前記処理室内の前記基板に対して反応体を供給し第2排気系より排気する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に膜を形成する工程を有し、
前記膜を形成する工程では、前記原料が前記第1排気系内を流れていないときに、前記第1排気系に設けられた供給ポートより、前記第1排気系内へ、前記反応体とは異なる物質である失活体を直接供給する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排気系のメンテナンス頻度を低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A線断面図で示す図である。
図3】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】本発明の一実施形態における処理室内および排気系内でのガスの流れを示すシーケンス図である。
図5】本発明の一実施形態における排気系の動作を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図7】本発明の他の実施形態における処理室内および排気系内でのガスの流れを示すシーケンス図である。
図8】本発明の他の実施形態における排気系の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、図1図3を用いて説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成されている。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。
【0011】
処理室201内には、ノズル249a,249bが、反応管203の下部側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bがそれぞれ接続されている。
【0012】
ガス供給管232a,232bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、上流方向から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0013】
ノズル249a,249bは、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0014】
ガス供給管232aからは、原料として、所定元素(主元素)およびハロゲン元素を含むハロゲン系原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。ハロゲン元素には、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等が含まれる。すなわち、ハロゲン系原料ガスには、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲン基が含まれる。ハロゲン系原料ガスとしては、例えば、所定元素としてのシリコン(Si)およびClを含むハロシラン原料ガス、すなわち、クロロシラン原料ガスを用いることができる。クロロシラン原料ガスとしては、例えば、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを用いることができる。
【0015】
ガス供給管232bからは、反応体として、窒素(N)を含むガス(窒化ガス、窒化剤)が、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。窒化剤としては、例えば窒化水素系ガスを用いることができ、例えば、アンモニア(NH)ガスを用いることができる。
【0016】
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスが、それぞれMFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。不活性ガスとしては、例えば、窒素(N)ガスを用いることができる。
【0017】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、原料供給系(ハロシラン原料供給系)が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、反応体供給系(窒化剤供給系)が構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0018】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231の上流側には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245が設けられている。排気管231の下流側は、排気管231a,231bに分岐している。排気管231a,231bには、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244a,244b、および、真空排気装置としての真空ポンプ246a,246bがそれぞれ設けられている。APCバルブ244a,244bは、それぞれ、真空ポンプ246a,246bを作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246a,246bを作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。図1に斜線で示すように、排気管231の外周、および、APCバルブ244a,244bよりも上流側の排気管231a,231bの外周には、それぞれ、これらを加熱する加熱手段(加熱機構)として、例えばリボン状のヒータ231hが巻き付けられている。
【0019】
主に、排気管231、排気管231a、APCバルブ244aにより、第1排気系が構成される。真空ポンプ246aを第1排気系に含めて考えてもよい。主に、排気管231、排気管231b、APCバルブ244bにより、第2排気系が構成される。真空ポンプ246bを第2排気系に含めて考えてもよい。第1排気系、第2排気系のいずれか、或いは、これら全体を排気系と称することもできる。圧力センサ245、ヒータ231hを排気系に含めて考えてもよい。後述するように、第1排気系と第2排気系とは、交互に切り替えられながら用いられる。すなわち、処理室201内から原料を含む雰囲気を排気する際には第1排気系が用いられ、処理室201内から反応体を含む雰囲気を排気する際には第2排気系が用いられる。
【0020】
排気管231aのAPCバルブ244aよりも下流側には、排気管231a内へ直接的なガス供給を行うことが可能な供給ポート261a,262aが設けられている。供給ポート261a,262aには、ガス供給管232e,232fがそれぞれ接続されている。ガス供給管232e,232fには、上流方向から順に、MFC241e,241fおよびバルブ243e,243fがそれぞれ設けられている。ガス供給管232e,232fのバルブ243e,243fよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232g,232hがそれぞれ接続されている。ガス供給管232g,232hには、上流方向から順に、MFC241g,241hおよびバルブ243g,243hがそれぞれ設けられている。
【0021】
ガス供給管232eからは、反応体とは異なる物質である失活体として、酸素(O)を含むガス(酸化ガス、酸化剤)が、MFC241e、バルブ243e、供給ポート261aを介して排気管231a内へ供給される。酸化剤は、排気管231a内に残留している原料を失活(酸化)させ、活性(不安定)な状態から不活性(安定)な状態へと変化させる改質ガス(失活促進ガス)として作用する。酸化剤としては、例えば、O−H結合、すなわち、ヒドロキシ基を含む水蒸気(HOガス)を用いることができる。
【0022】
ガス供給管232fからは、触媒が、MFC241f、バルブ243f、供給ポート262aを介して排気管231a内へ供給される。触媒は、それ単体では酸化作用は得られないが、上述の酸化剤と一緒に排気管231a内へ供給されることで、酸化剤による酸化反応、すなわち、排気管231a内に残留している原料の失活を促進させるよう作用する。そのため、触媒は、上述の酸化剤と同様に失活体に含めて考えることができる。触媒としては、例えば、C、NおよびHを含むアミン系ガスであるピリジン(CN)ガスを用いることができる。なお、ここに示す触媒は、上述の酸化反応の過程において分子構造の一部が分解する場合もある。このような、化学反応の前後でその一部が変化する物質は、厳密には「触媒」ではない。しかしながら、本明細書では、化学反応の過程でその一部が分解する場合であっても、大部分は分解せず、また、反応の速度を変化させ、実質的に触媒として作用する物質を、「触媒」と称することとしている。
【0023】
ガス供給管232g,232hからは、不活性ガスが、それぞれMFC241g,241h、バルブ243g,243h、ガス供給管232e,232f、供給ポート261a,262aを介して排気管231a内へ供給される。不活性ガスとしては、例えば、Nガスを用いることができる。
【0024】
主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより、酸化剤供給系が構成される。主に、ガス供給管232f、MFC241f、バルブ243fにより、触媒供給系が構成される。主に、酸化剤供給系および触媒供給系により、失活体供給系が構成される。主に、ガス供給管232g,232h、MFC241g,241h、バルブ243g,243hにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0025】
上述の各種供給系(原料、反応体、失活体、不活性ガスの各供給系)のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a〜243hやMFC241a〜241h等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a〜232hのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a〜232h内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a〜243hの開閉動作やMFC241a〜241hによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a〜232h等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、供給システムのメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0026】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217すなわちウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0027】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。
【0028】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0029】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0030】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0031】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241h、バルブ243a〜243h、圧力センサ245、APCバルブ244a,244b、真空ポンプ246a,246b、ヒータ207,231h、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0032】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241hによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243hの開閉動作、APCバルブ244a,244bの開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244a,244bによる圧力調整動作、真空ポンプ246a,246bの起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、ヒータ231hの温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0033】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0034】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上にシリコン窒化膜(SiN膜)を形成するシーケンス例について、図4図5を用いて説明する。図5において、○印はAPCバルブ244a,244bの開放状態を、●印はこれらの閉塞状態をそれぞれ示している。また、図4図5では、便宜上、各排気系を流れるNガスの図示を一部省略している。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0035】
図4に示す成膜シーケンスでは、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給し第1排気系より排気するステップ1Aと、処理室201内のウエハ200に対してNHガスを供給し第2排気系より排気するステップ2Aと、を含むサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上にSiN膜を形成する。また、この成膜シーケンスでは、HCDSガスが第1排気系内を流れていないときに、第1排気系に設けられた供給ポート261a,262aより、第1排気系内へ、HOガスおよびピリジンガスを直接供給する。
【0036】
本明細書では、図4に示す成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例等の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0037】
(HCDS→NH)×n ⇒ SiN
【0038】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0039】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217を、ボートエレベータ115によって持ち上げて、処理室201内へ搬入(ボートロード)する。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
【0040】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、第1排気系および第2排気系より処理室201内を真空排気(減圧排気)する。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244a,244bがそれぞれフィードバック制御される。真空ポンプ246a,246bは、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態をそれぞれ維持する。
【0041】
また、処理室201内のウエハ200が所定の温度(成膜温度)となるように、ヒータ207によってウエハ200を加熱する。この際、処理室201内が所定の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、排気管231内、および、APCバルブ244a,244bよりも上流側の排気管231a,231b内が所定の温度(原料吸着を抑制することのできる温度)となるように、ヒータ231hによってこれらを加熱する。ヒータ207,231hによる上述の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0042】
また、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。ボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0043】
(成膜ステップ)
その後、次のステップ1A,2Aを順次実行する。
【0044】
[ステップ1A]
このステップでは、ウエハ200に対してHCDSガスを供給する。具体的には、図5の上段左に示すように、APCバルブ244bを全閉(フルクローズ)とし、APCバルブ244aを開いた状態で、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231を介し、排気管231aより、すなわち、第1排気系より排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給される。このとき同時にバルブ243cを開き、ガス供給管232c内へNガスを流す。Nガスは、HCDSガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231aより排気される。また、ノズル249b内へのHCDSガスの侵入を防止するため、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231aより排気される。
【0045】
ウエハ200に対してHCDSガスを供給することで、ウエハ200の最表面上に、Clを含むSi含有層が形成される。Clを含むSi含有層は、Clを含むSi層であってもよいし、HCDSの吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。以下、Clを含むSi含有層を、単にSi含有層とも称する。
【0046】
ウエハ200上にSi含有層が形成されたら、バルブ243aを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、図5の上段右に示すように、APCバルブ244a,244bの開閉状態を、図5の上段左に示す状態のままそれぞれ所定時間維持する。これにより、処理室201内に残留するHCDSガスを、第1排気系より排気する。このとき、バルブ243c,243dは開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内、排気管231内、排気管231a内からの残留ガス(HCDSガス)の排気が促される。
【0047】
但し、上述のようにNガスによるパージを行ったとしても、HCDS等のハロゲン系の物質は、NH等の非ハロゲン系の物質と比較して、反応容器内や排気系内に残留しやすい傾向がある。特に、ヒータ207,231hによる加熱が行われない排気管231aの低温領域(APCバルブ244aよりも下流側)では、その内壁にHCDSが付着(吸着、凝集)し、活性(不安定)な状態のまま残留しやすい傾向がある。排気管231a内に残留したHCDS(以下、残留HCDSとも称する。)は、反応容器や排気系の微量な大気リークによって僅かに酸化される場合もあるが、いずれにせよ、排気管231aの内壁には、Clを多く含むパウダー状の活性な物質が堆積しやすい傾向がある。
【0048】
[ステップ2A]
ステップ1Aが終了した後、ウエハ200に対してNHガスを供給する。このステップでは、図5の下段左に示すように、APCバルブ244aを全閉とし、APCバルブ244bを開いた状態で、バルブ243b〜243dの開閉制御を、ステップ1Aにおけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行い、ガス供給管232b内へNHガスを流す。NHガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231を介し、排気管231bより、すなわち、第2排気系より排気される。このとき、ウエハ200に対してNHガスが供給される。
【0049】
ウエハ200に対してNHガスを供給することで、ウエハ200上に形成されたSi含有層の少なくとも一部を改質(窒化)させることができる。これにより、ウエハ200上に、SiおよびNを含む層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)が形成される。SiN層を形成する際、Si含有層に含まれていたCl等の不純物は、改質反応の過程においてこの層から分離し、少なくともClを含むガス状物質を構成して処理室201内から排出される。これにより、SiN層は、Si含有層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0050】
ウエハ200上にSiN層が形成されたら、バルブ243bを閉じ、NHガスの供給を停止する。このとき、図5の下段右に示すように、APCバルブ244a,244bの開閉状態を、図5の下段左に示す状態のままそれぞれ所定時間維持する。これにより、処理室201内に残留するNHガスを、第2排気系より排気する。このとき、バルブ243c,243dは開いたままとして、処理室201内、排気管231内、排気管231b内からの残留ガス(NHガス)の排気を促進させる。
【0051】
なお、ステップ2Aを実施するとき(第2排気系よりNHガスを排気しているとき)、すなわち、HCDSガスが第1排気系内を流れていないときに、バルブ243e,243fを開き、図5の下段左に示すように、第1排気系内へHOガスおよびピリジンガスを直接供給する。HOガスおよびピリジンガスは、それぞれ、MFC241e,241fにより流量調整され、供給ポート261a,262aより排気管231a内へ供給されて混合し、真空ポンプ246aにより排気される。なお、このときAPCバルブ244aは全閉状態としており、第1排気系内と処理室201内とは非連通となっている。
【0052】
排気管231a内へHOガスを直接供給することで、排気管231a内の残留HCDSが酸化(改質)される。残留HCDSが改質されることで、排気管231aの内壁等には、SiおよびOを含む緻密かつ強固な膜、すなわち、シリコン酸化膜(SiO膜)が形成される。
【0053】
上述の反応系において、ピリジンガスは、HOガスが有するO−H結合の結合力を弱め、HOガスの分解を促し、HOガスと残留HCDSとの反応を促進させる触媒として作用する。例えば、ピリジンは、HOガスが有するO−H結合に作用し、その結合力を弱めるように作用する。結合力の弱まったHと、残留HCDSが有するClと、が反応することで、塩酸(HCl)等のCl、Hを含むガス状物質が生成され、その際、HOガスからHが脱離すると共に、残留HCDSからClが脱離する。Hを失ったHOガスのOは、Clが脱離した残留HCDSのSiと結合する。この触媒作用により、ヒータ231hにより加熱されていない排気管231a内の低温条件下においても、上述の酸化を効率的に進行させることが可能となる。残留HCDSからClが脱離することで、排気管231a内に形成されるSiO膜は、Clの含有量が極めて少ない安定な膜となる。
【0054】
ピリジンガスの触媒作用により、HOガスが有するO−H結合の結合力が弱まるのは、ピリジン分子中の孤立電子対を有するNが、Hを引きつけるように作用するためである。酸解離定数(pKa)が大きい化合物は、Hを引き付ける力が強くなる。pKaが5以上の化合物を触媒として用いることで、HOガスが有するO−H結合の結合力を適正に弱めることができ、上述の酸化反応を促進させることが可能となる。但し、pKaが過度に大きな化合物を触媒として用いると、残留HCDSから引き抜かれたClと触媒とが反応して塩化アンモニウム(NHCl)等の塩が発生する場合がある。そのため、pKaが例えば11以下、好ましくは7以下である化合物を触媒として用いるのが好ましい。ピリジンは、pKaが約5.67と比較的大きく、また、7以下であることから、触媒として好適に用いることが可能である。
【0055】
残留HCDSの改質、すなわち、排気管231aの内壁等へのSiO膜の形成が終了したら、バルブ243e,243fを閉じ、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給を停止し、その状態を所定時間維持する。これにより、排気管231a内に残留するHOガスおよびピリジンガスを、排気管231a内より排気する。またこのとき、バルブ243g,243hを開き、図5の下段右に示すように、排気管231a内へNガスを直接供給する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、排気管231a内からの残留ガス(HOガス、ピリジンガス)の排気が促される。ステップ2Aの終了時までに、排気管231a内からHOガス、ピリジンガスを排気しておくことにより、次のステップ1Aにおいて、排気管231a内でのHCDSと残留HOガスとの気相反応を抑制することができる。
【0056】
[所定回数実施]
上述したステップ1A,2Aを交互に行うサイクルを所定回数(n回(nは1以上の整数))行うことで、処理室201内には、HCDSガスとNHガスとが間欠的かつ非同時に所定回数流れる。これにより、ウエハ200上に、所定膜厚のSiN膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0057】
また、上述のサイクルを行うことで、図4に示すように、第1排気系内(排気管231a内)には、HCDSガスと、HOガスおよびピリジンガスと、が間欠的かつ交互(非同時)に所定回数流れる。これにより、排気管231a内では、残留HCDSと、HOガスおよびピリジンガスと、が間欠的に反応し、排気管231aの内壁には、SiO膜が積層される。この積層膜は、Clの含有量が少なく安定しており、また、緻密かつ強固であって剥離しにくい膜となる。
【0058】
ステップ1Aの処理条件(処理室内)としては、
HCDSガス供給流量:100〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccm
HCDSガス供給時間:1〜120秒、好ましくは1〜60秒
ガス供給流量(ガス供給管毎):10〜10000sccm
成膜温度:250〜800℃、好ましくは400〜700℃
成膜圧力:1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Pa
が例示される。
【0059】
また、ステップ1Aの処理条件(排気系内)としては、
排気管(APCバルブよりも上流側)の温度:150〜200℃
排気管(APCバルブよりも下流側)の温度:10〜90℃、好ましくは室温(25℃)〜70℃
排気管231a内の圧力:1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Pa
が例示される。
【0060】
ステップ2Aの処理条件(処理室内)としては、
NHガス供給流量:1〜4000sccm、好ましくは1〜3000sccm
NHガス供給時間:1〜120秒、好ましくは1〜60秒
ガス供給流量(ガス供給管毎):10〜10000sccm
成膜温度:ステップ1Aの温度条件と同じ
成膜圧力:1〜4000Pa、好ましくは1〜3000Pa
が例示される。
【0061】
また、ステップ2Aの処理条件(排気系内)としては、
Oガス供給流量:100〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccm
Oガス供給時間:1〜120秒、好ましくは1〜60秒
ピリジンガス供給流量:100〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccm
ピリジンガス供給時間:1〜120秒、好ましくは1〜60秒
ガス供給流量(ガス供給管毎):10〜10000sccm
排気管(APCバルブよりも上流側)の温度:ステップ1Aの温度条件と同じ
排気管(APCバルブよりも下流側)の温度:ステップ1Aの温度条件と同じ
排気管231a内の圧力:1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Pa
が例示される。
【0062】
原料としては、HCDSガスの他、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等のSi−Cl結合を含むクロロシラン原料ガスを用いることができる。
【0063】
反応体としては、NHガスの他、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等のN−H結合を含む窒化水素系ガスを用いることができる。
【0064】
酸化剤としては、HOガスの他、過酸化水素(H)ガス等のO−H結合を含むO含有ガスや、酸素(O)ガス、オゾン(O)ガス、水素(H)ガス+Oガス、Hガス+Oガス等のO−H結合を含まずO−O結合を含むO含有ガスを用いることができる。
【0065】
触媒としては、ピリジンガスの他、アミノピリジン(C、pKa=6.89)ガス、ピコリン(CN、pKa=6.07)ガス、ルチジン(CN、pKa=6.96)ガス、ピペラジン(C10、pKa=9.80)ガス、ピペリジン(C11N、pKa=11.12)ガス等の環状アミン系ガスや、トリエチルアミン((CN、略称:TEA、pKa=10.7)ガス、ジエチルアミン((CNH、略称:DEA、pKa=10.9)ガス、モノエチルアミン((C)NH、略称:MEA、pKa=10.6)ガス、トリメチルアミン((CHN、略称:TMA、pKa=9.8)ガス、ジメチルアミン((CHNH、略称:DMA、pKa=10.8)ガス、モノメチルアミン((CH)NH、略称:MMA、pKa=10.6)ガス等の鎖状アミン系ガスや、NHガス等の非アミン系ガスを用いることができる。
【0066】
不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0067】
(アフターパージ及び大気圧復帰)
ウエハ200上へのSiN膜の形成が終了したら、ガス供給管232c,232dのそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、第1排気系および第2排気系より処理室201内を真空排気する。これにより、処理室201内がNガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気を不活性ガスに置換し(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力を常圧に復帰させる(大気圧復帰)。
【0068】
(ボートアンロード及びウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219を下降させ、反応管203の下端を開口させる。そして、処理済のウエハ200を、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出する(ボートアンロード)。処理済のウエハ200は、ボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0069】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0070】
(a)HCDSガスが第1排気系内を流れていないときに、第1排気系内へHOガスおよびピリジンガスを直接供給することにより、排気管231aの内壁等に付着した残留HCDSを酸化させ、失活させることが可能となる。この反応により形成されるSiO膜は、安定かつ緻密な膜であり、排気管231aの内壁から剥離しにくく、真空ポンプ246aにダメージを与えにくい特性がある。結果として、排気系のメンテナンス頻度を低下させたり、真空ポンプ246aの寿命を延ばしたりすることが可能となる。
【0071】
(b)上述の酸化反応により形成されるSiO膜は、Clの含有量が少ない不活性な膜であることから、大気暴露されても、HClガスや塩素(Cl)ガス等の有害ガスを発生させにくい特性がある。結果として、排気系のメンテナンス作業時における安全性を高めることが可能となる。また、メンテナンス作業前に排気系内を長時間パージする必要がなくなり、基板処理装置のダウンタイムを短縮させることが可能となる。なお、排気管231a内での残留HCDSの酸化処理を行わない場合、メンテナンス作業前に、排気管231a内をNHガスで例えば24時間以上パージし、さらに、Nガスで例えば48時間以上パージする等の準備作業を行う必要がある。この準備作業を怠ると、排気管231a内が大気暴露された際に、排気管231a内のClを多量に含む堆積物から有害ガスが発生したり、堆積物が発火したりする場合があり、作業の安全性が脅かされる場合がある。
【0072】
(c)第1排気系内へHOガスを直接供給する際、HOガスと一緒にピリジンガスを供給することから、排気管231a内の温度を上述の低温条件としても、残留HCDSを確実に酸化させることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、例えば数十m以上の長距離にわたって配設される排気管231aの外周にヒータ231hを巻き付ける必要がなく、基板処理装置の設置コストや運転コストを低く抑えることが可能となる。なお、APCバルブ244aの下流側を加熱する場合であっても、耐熱性の低いOリングを内包するジョイント部等を200℃以上の温度に加熱することは困難である。このような低温部位(加熱不良箇所)においては、HCDSの付着量が局所的に増加する傾向がある。本実施形態によれば、このような課題を回避することが可能となる。
【0073】
(d)ヒータ231h等による排気管231aの加熱を行わないことから、排気管231aの熱膨張・熱収縮に伴う排気管231aの内壁に付着した堆積物(SiO膜)の剥離を抑制することが可能となる。結果として、排気系のメンテナンス頻度を低下させたり、真空ポンプ246aの寿命を延ばしたりすることが可能となる。
【0074】
(e)処理室201内からHCDSガスを排気する際には第1排気系を用い、処理室201内からNHガスを排気する際には第2排気系を用いることから、これらの内部でのHCDSガスとNHガスとの混合や反応を回避することが可能となる。これにより、排気管231a,231b内におけるNHCl等の生成や、NHCl等を含むパーティクルの発生を抑制することができる。結果として、排気系のメンテナンス頻度を低下させたり、真空ポンプ246a,246bの寿命を延ばしたりすることが可能となる。
【0075】
(f)上述の効果は、原料としてHCDSガス以外のハロゲン系原料ガスを用いる場合や、反応体としてNHガス以外の窒化水素系ガスやそれ以外の反応ガスを用いる場合や、酸化剤としてHOガス以外のO含有ガスを用いる場合や、触媒としてピリジン以外のアミン系ガスや非アミン系ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
【0076】
(4)変形例
本実施形態における成膜シーケンスは、上述の態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。
【0077】
(変形例1)
ステップ1Aでは、第1排気系内へ、すなわち、HCDSガスが流れる排気管231a内へピリジンガスを直接供給するようにしてもよい。ピリジンガスは、排気管231a内を流れるHCDSガスにおけるSi−Cl結合の切断を促し、排気管231aの内壁へのHCDSの吸着を促進させる触媒として作用する。HCDSを排気管231aの内壁に吸着させることで、真空ポンプ246aへ到達するHCDSガスの量を減らすことが可能となる。このように、排気管231aをHCDSのトラップ機構として用いることで、真空ポンプ246aのメンテナンス頻度を低下させたり、寿命を延ばしたりすることが可能となる。
【0078】
(変形例2)
ステップ2Aでは、プラズマ励起させたOガス(O)を失活体として用いるようにしてもよい。すなわち、排気系231a内へHOガス、ピリジンガスを供給する代わりに、Oを直接供給するようにしてもよい。ただし、Oの活性種としての寿命は限られることから、排気管231aの長さや構造によっては、上述の酸化処理を排気管231a内の全域でくまなく進行させることは困難となる場合がある。HOガスをピリジンガスと一緒に排気管231a内へ直接供給する方が、排気管231aの長さや構造によらず、上述の酸化処理を排気管231a内の全域で進行させることが容易となる点で、好ましい。
【0079】
<本発明の他の実施形態>
上述の実施形態では、圧力センサ245を排気管231に設ける場合について説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、圧力センサを、排気管231a,231bのそれぞれに設けるようにしてもよい。すなわち、圧力センサを、APCバルブ244a,244bのそれぞれに対応するように設けるようにしてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態では、APCバルブ244a,244bを排気管231a,231bのそれぞれに設ける場合について説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、APCバルブを、排気管231に1つだけ設けるようにしてもよい。その場合、排気管231a,231bのそれぞれに、APCバルブ244a,244bの代わりに切り替えバルブとして開閉バルブを設けてもよい。また、排気管231が分岐する部分に、切り替えバルブとして三方バルブを設けてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、第1排気系と第2排気系とを異なる排気系として構成した場合について説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、図6に示すように、排気管231の下流側を分岐させず(排気管231b、APCバルブ244b、真空ポンプ246b等を設けず)、第1排気系と第2排気系とを同一の排気系として構成してもよい。すなわち、原料の排気と反応体の排気とを同一の排気系を用いて行うようにしてもよい。この場合、例えば、この同一の排気系よりHCDSガスを排気した後、排気系よりNHガスの排気を開始する前に、排気系内へHOガスおよびピリジンガスを供給すればよい。以下、図6に示す基板処理装置を用いて行う成膜ステップについて、図7図8を用いて説明する。この成膜ステップでは、次のステップ1B,2Bを順次実行する。
【0082】
[ステップ1B]
図7に示すように、このステップでは、上述の実施形態のステップ1Aと同様の処理手順、処理条件により、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する。このとき、図8の上段左に示すように、処理室201内へ供給されたHCDSガスは排気管231aより排気される。
【0083】
ウエハ200上にSi含有層が形成されたら、処理室201内へのHCDSガスの供給を停止する。そして、図8の上段右(前半動作)に示すように、処理室201内へのNガスの供給を維持しつつ、処理室201内、排気管231内、排気管231a内から残留ガス(HCDSガス)を排気する。
【0084】
処理室201内、排気管231内、排気管231a内からHCDSガスが排気された後、すなわち、HCDSガスが排気管231a内を流れていないときに、バルブ243e,243fを開き、図8の上段右(後半動作)に示すように、排気管231a内へHOガスおよびピリジンガスを直接供給する。これにより、排気管231aの内壁に付着した残留HCDSを失活(酸化)させ、排気管231aの内壁に安定かつ緻密なSiO膜を形成することができる。このときの排気系内の処理条件は、上述のステップ1Aにおける排気系内の処理条件と同様とすることができる。
【0085】
[ステップ2B]
残留HCDSの改質、すなわち、排気管231a内でのSiO膜の形成が終了したら、バルブ243e,243fを閉じ、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給を停止する。その後、ステップ2Aと同様の処理手順、処理条件により、処理室201内のウエハ200に対してNHガスを供給する。このとき、図8の下段左に示すように、処理室201内へ供給されたNHガスと、処理室201内および排気管231内の残留ガス(HOガス、ピリジンガス)と、が排気管231aより排気される。このときの排気系内の処理条件は、上述のステップ2Aにおける排気系内の処理条件と同様とすることができる。
【0086】
ウエハ200上にSiN層が形成されたら、処理室201内へのNHガスの供給を停止する。そして、図8の下段右に示すように、処理室201内へのNガスの供給を所定時間維持し、処理室201内、排気管231内、排気管231a内から残留ガス(主にNHガス)を排気する。
【0087】
[所定回数実施]
上述したステップ1B,2Bを交互に行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiN膜を形成することができる。このサイクルを所定回数行うことで、図7に示すように、排気管231a内には、HCDSガス、HOガスおよびピリジンガス、NHガスがこの順に間欠的かつ非同時に所定回数流れる。これにより、排気管231a内では、上述の実施形態と同様、残留HCDSと、HOガスおよびピリジンガスと、が間欠的に反応する。その結果、排気管231aの内壁には、Clの含有量が少なく、安定かつ緻密なSiO膜が積層される。
【0088】
本実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
なお、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給は、ステップ1Bで行うだけでなく、ステップ2Bでも行うようにしてもよい。例えば、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給を、ステップ1Bの終了時に停止せず、ステップ2Bを開始してからNHガスの供給を停止するまで継続するようにしてもよい。この場合、ステップ2Bの一部の実施期間(前半)では、排気管231a内へNHガス、HOガス、ピリジンガスが流れる。この場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、排気系内の処理条件を上述のように低温条件としていることから、NHガスをピリジンガスと同様に触媒として作用させることができ、排気管231a内での残留HCDSの酸化をより確実に進行させることが可能となる。
【0090】
また、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給を、ステップ1Bで行わず、ステップ2Bでのみ行うようにしてもよい。例えば、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給を、ステップ2BでNHガスの供給を開始してから停止するまでの間にのみ行うようにしてもよい。この場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、上述のようにNHガスをピリジンガスと同様に触媒として作用させることができ、排気管231a内での残留HCDSの酸化を確実に進行させることが可能となる。
【0091】
また、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給をステップ1Bでのみ行う場合、ステップ2Bを開始する前に、排気管231a内に残留しているHOガス、ピリジンガスを予め排気しておくようにしてもよい。ステップ2Bを開始する前に、排気管231a内へのHOガスおよびピリジンガスの供給を停止し、その状態を所定時間維持することで、処理室201内から排気されたNガスによって、排気管231a内をパージし、排気管231a内からのHOガス、ピリジンガスの排気を促すことが可能となる。この場合、NHガスと、HOガスおよびピリジンガスと、の排気管231a内での混合を回避することが可能となる。
【0092】
<本発明のさらに他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0093】
例えば、本発明は、ウエハ200上に、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)等を形成する場合にも、好適に適用可能である。これらの膜は、例えば、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジメチルジシラン((CHSiCl、略称:TCDMDS)ガス等の炭素(C)を含むハロゲン系原料や、プロピレン(C)ガス、TEAガス、Oガス等の反応体を用い、以下に示す成膜シーケンスにより形成することが可能である。
【0094】
(HCDS→C→NH→O)×n ⇒ SiOCN
(HCDS→C→O→NH)×n ⇒ SiOCN
(C→HCDS→O→NH)×n ⇒ SiOCN
(C→HCDS→C→O→NH)×n ⇒ SiOCN
(TCDMDS→NH→O)×n ⇒ SiOCN
(HCDS→TEA→O)×n ⇒ SiOC(N)
(HCDS→NH→O)×n ⇒ SiON
(HCDS→C→NH)×n ⇒ SiCN
(TCDMDS→NH)×n ⇒ SiCN
(HCDS→TEA)×n ⇒ SiCN
【0095】
これらの基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0096】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0097】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0098】
上述の実施形態や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。また、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0099】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0100】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
処理室内の基板に対して原料を供給し第1排気系より排気する工程と、
前記処理室内の前記基板に対して反応体を供給し第2排気系より排気する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板上に膜を形成する工程を有し、
前記膜を形成する工程では、前記原料が前記第1排気系内を流れていないときに、前記第1排気系に設けられた供給ポートより、前記第1排気系内へ、前記反応体とは異なる物質である失活体を直接供給する半導体装置の製造方法、または、基板処理方法が提供される。
【0101】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記第1排気系内に、前記原料と、前記失活体と、が交互に流れるようにする。
【0102】
(付記3)
付記1または2に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記第1排気系内に付着した前記原料と、前記失活体と、を間欠的に反応させる。
【0103】
(付記4)
付記1〜3のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記原料はハロゲン元素を含み、
前記膜を形成する工程では、前記失活体により、前記第1排気系内に付着した前記原料からハロゲン元素を引き抜く。
【0104】
(付記5)
付記1〜4のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記第1排気系内に付着した前記原料と、前記失活体と、を反応させて、前記第1排気系内に酸化膜を形成する。
【0105】
(付記6)
付記1〜5のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記第1排気系は前記第2排気系とは異なる排気系である。
【0106】
(付記7)
付記6に記載の方法であって、好ましくは、
前記第2排気系より前記反応体を排気しているときに、前記第1排気系内へ前記失活体を供給する。
【0107】
(付記8)
付記7に記載の方法であって、好ましくは、
前記第1排気系内へ前記失活体を供給する際は、前記第1排気系内と前記処理室内とを非連通とする。
【0108】
(付記9)
付記1〜5のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記第1排気系は前記第2排気系と同一の排気系である。
【0109】
(付記10)
付記9に記載の方法であって、好ましくは、
前記排気系より前記原料を排気した後、前記排気系より前記反応体の排気を開始する前に前記排気系内へ前記失活体を供給する。
【0110】
(付記11)
付記9または10に記載の方法であって、好ましくは、
前記排気系より前記反応体を排気しているときに、前記排気系内へ前記失活体を供給する。
【0111】
(付記12)
付記1〜11のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記失活体は酸化剤と触媒とを含む。好ましくは、前記酸化剤はO−H結合を含む。
【0112】
(付記13)
付記1〜12のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記原料を供給し前記第1排気系より排気する工程と、前記反応体を供給し前記第2排気系より排気する工程と、を間欠的かつ非同時に行う。
【0113】
(付記14)
本発明の他の態様によれば、
基板に対して処理が行われる処理室と、
前記処理室内の基板に対して原料を供給する原料供給系と、
前記処理室内の基板に対して反応体を供給する反応体供給系と、
前記処理室内から原料を排気する第1排気系と、
前記処理室内から反応体を排気する第2排気系と、
前記第1排気系に設けられた供給ポートと、
前記供給ポートより前記第1排気系内へ前記反応体とは異なる物質である失活体を供給する失活体供給系と、
付記1に記載の処理を行わせるように、前記原料供給系、前記反応体供給系、前記失活体供給系、前記第1排気系、および前記第2排気系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0114】
(付記15)
本発明のさらに他の態様によれば、
付記1に記載の手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0115】
200 ウエハ(基板)
201 処理室
261a,262a 供給ポート
図1
図2
図3
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図8