(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配線基板と、 前記配線基板に接続される平面光導波路基板と、 を具備し、 前記平面光導波路基板は、光導波路上に設けられた複数のヒータと、前記ヒータにそれぞれ接続される電極と、を具備し、 前記配線基板と前記平面光導波路基板の前記電極が、80℃〜120℃の加熱温度における反応率が50%〜75%のアクリル系接着剤またはエポキシ系接着剤と、導電性粒子と、からなる異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して接続され、 前記異方性導電フィルムまたは前記異方性導電ペーストのピール強度が1〜7N/cmであることを特徴とするベアモジュール。
配線基板と、 前記配線基板に接続される平面光導波路基板と、 を用い、 前記平面光導波路基板は、光導波路上に設けられた複数のヒータと、前記ヒータにそれぞれ接続される電極と、を具備し、 前記配線基板と前記平面光導波路基板の前記電極とを、80℃〜120℃の加熱温度における反応率が50%〜75%のアクリル系接着剤またはエポキシ系接着剤と、導電性粒子と、からなる異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して、80℃〜120℃の温度に加熱して仮接続する工程と、 前記ヒータの特性測定または特性調整を行った後、前記平面光導波路基板を前記配線基板から剥がす工程と、 前記平面光導波路基板を他の基板に異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して接続する工程と、 を具備することを特徴とする光モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5にはツリー型の8×1の光スイッチ100の構成を示す。光スイッチ100は、一端に1の共通ポート103と、他端に8の分岐ポート101を有する。光スイッチ100は、複数のMZI(マッハツェンダ型干渉計)105を有する。MZI105の入力/出力ポートの間にはカプラ105a、105bと、カプラ105a、105bで挟まれた二つの導波路105c、105dが設けられる。一方の導波路105dには、加熱手段であるヒータ105eが設けられる。光スイッチ100は、ヒータ105eのオン/オフによって、光信号の通る経路を変更することができる。
【0006】
一方、MZI105は、作製する際のプロセス誤差によって動作点がずれる可能性がある。このため、光スイッチ100の作製後に、いわゆる位相トリミングによってそれぞれのMZI105の動作点を調整する必要がある。
【0007】
MZI105の動作点調整は、まず、各MZI105の動作点を測定後、必要に応じて過大電流を流すことで行われる。このため、各MZI105のヒータ105eに通電する必要がある。
【0008】
図6(a)は、各MZI105の動作点の測定及び調整を行う状態を示す模式図である。光スイッチ100が搭載された平面光導波路基板111には、各ヒータ105eと接続される電極113が形成される。各ヒータ105eに通電するためには、複数のプローバ109を有する動作点調整装置107が用いられる。プローバ109は、電極113と同一のピッチで同数設けられる。なお、プローバ109は、図示を省略する弾性部材によって、先端側に突出するように力が付与される。
【0009】
図6(b)に示すように、各プローバ109を電極113に接触させて押圧すると、各プローバ109は動作点調整装置107の内部に押し込まれる。すなわち、各プローバ109は、弾性部材に応じた所定の力で電極113に押し付けられて接触する。この状態で、各プローバ109に通電することで、それぞれのヒータ105eに対して通電を行うことができる。
【0010】
しかし、大規模な光スイッチを数百個オーダーで調整する際には、プローバ109を数百本も使用しなければならず、非常にコストがかかる。また,プローバ109のピッチを500μm以下にすることは、製造上困難であるため、電極113のピッチをそれ以下に狭めることはできない。このため、平面光波回路自体を小さくすることができたとしても、電極113の部分を所定以上小さくすることができず、十分な基板の小型化に繋がらなかった。
【0011】
また、プローバ109を用いると、動作点調整を行う際に、プローバ109によって基板に応力がかかるために、偏波依存特性等が変化する恐れがある。このため、動作点の調整前後で、偏波依存特性が異なってしまうといった問題がある。また、プローバ109の先端で電極113やガラス膜を引っ掻くなどの外観不良が生じるといった問題もある。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、多数の光スイッチを有する平面光波回路の電極ピッチを狭くすることができ、基板サイズを小型化することが可能なベアモジュール等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、配線基板と、前記配線基板に接続される平面光導波路基板と、を具備し、前記平面光導波路基板は、光導波路上に設けられた複数のヒータと、前記ヒータにそれぞれ接続される電極と、を具備し、前記配線基板と前記平面光導波路基板の前記電極が、80℃〜120℃の加熱温度における反応率が50%〜75%のアクリル系接着剤
またはエポキシ系接着剤と、導電性粒子と、からなる異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して接続され、前記異方性導電フィルムまたは前記異方性導電ペーストのピール強度が1〜7N/cmであることを特徴とするベアモジュールである。
【0014】
前記異方性導電フィルムまたは前記異方性導電ペーストの反応率が75%以下であることが望ましい。
【0015】
第1の発明によれば、配線基板と平面光導波路基板の電極が、異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して接続される。このため、前述したプローバを用いる必要がない。このため、電極間のピッチを狭くすることができ、基板を小型化することができる。また、プローバを用いないため、動作点調整時に基板に応力が加わることがない。
【0016】
また、異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストのピール強度が1〜7N/cmであるため、動作点調整後には、配線基板と平面光導波路基板とを剥離することができる。このため、動作点調整を終えた平面光導波路基板を、製品として使用するための制御基板等に再接続することができる。
【0017】
また、異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストの反応率が75%以下であれば、動作点調整後に、容易に接着剤等を除去することができる。
【0018】
第2の発明は、配線基板と、前記配線基板に接続される平面光導波路基板と、を用い、前記平面光導波路基板は、光導波路上に設けられた複数のヒータと、前記ヒータにそれぞれ接続される電極と、を具備し、前記配線基板と前記平面光導波路基板の前記電極とを、80℃〜120℃の加熱温度における反応率が50%〜75%のアクリル系接着剤
またはエポキシ系接着剤と、導電性粒子と、からなる異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して、80℃〜120℃の温度に加熱して仮接続する工程と、前記ヒータの特性測定または特性調整を行った後、前記平面光導波路基板を前記配線基板から剥がす工程と、前記平面光導波路基板を他の基板に異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストを介して接続する工程と、を具備することを特徴とする光モジュールの製造方法である。 前記導電性粒子の最外周には、絶縁層が被覆されていてもよい。
【0019】
第2の発明によれば、動作点調整を行う際に、配線基板と平面光導波路基板の電極とを、異方性導電フィルムまたは異方性導電ペーストで接合するため、プローバを用いることなく動作点調整を行うことができる。また、その後、配線基板と平面光導波路基板とを剥離して、平面光導波路基板を他の基板に接続することで、コンパクトな光モジュールを得ることができる。
また、導電性粒子最外周には、絶縁層が被覆されていれば、電極間のみ導通し、それ以外の部分は絶縁性が維持されるため、短絡の発生をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多数の光スイッチを有する平面光波回路の電極ピッチを狭くすることができ、基板サイズを小型化することが可能なベアモジュール等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態にかかる平面光導波路基板と配線基板との接続方法について説明する。
図1(a)は配線基板1と平面光導波路基板3とを接続する前の状態を示す概念図、
図1(b)は配線基板1と平面光導波路基板3とを接続した状態を示す概念図である。なお、図は、簡略化のため、電極7、9がそれぞれ3個である例を示すが、電極7、9の個数は任意である。また、以下の図において、電極7、9に接続される配線は図示を省略する。
【0023】
平面光導波路基板3は、前述した光スイッチ100等が複数配置された基板である。電極9は、各ヒータ105eと接続される。電極9は、平面光導波路基板3の表面に露出する。
【0024】
なお、平面光導波路基板3の小型化のためには、クラッドに対するコアの比屈折率差が2.5%以上10%以下の高比屈折率差光学素子であることが望ましい。また、隣り合う電極9同士のピッチは特に限定されないが、平面光導波路基板3の小型化のためには、例えば、500μm以下が望ましく、さらに望ましく100μm以下である。
なお、比屈折率差とは、以下で定まる数値である。
Δ={(n
c1−n
c)/n
c1}×100
ここで、n
c1はコアの最大屈折率、n
cはクラッドの屈折率である。
【0025】
配線基板1は、例えば、各ヒータの動作点調整を行うための基板である。電極7は、電極9と同一のピッチで同数配置される。電極7は、電極9と導通して、通電を行うためのものである。電極7は、配線基板1の表面に露出する。
【0026】
異方性導電フィルム5は、フィルム状の接着剤6aと、接着剤6a中に混合されている導電性粒子6bとを備える。接着剤6aとしては、例えば熱硬化性のエポキシ樹脂やアクリル樹脂を用いることができる。導電性粒子6bとしては、例えば金属粒子や、樹脂に導電層を被覆してなる粒子を用いることができる。
【0027】
なお、導電性粒子6bの最外周には、圧力により破れる絶縁層が被覆されていてもよい。その場合には、導電性粒子6bが電極7と電極9とで挟まれると、その圧力により絶縁層が破れて導電性が発生するため、電極7と電極9との間のみ導通し、それ以外の部分は絶縁性が維持される。その結果、短絡の発生をより効果的に抑制することができる。なお、異方性導電フィルム5に代えて、ペースト状の接着剤に導電性粒子を混合させた異方性導電ペーストを用いてもよく、その場合でも本実施形態の構成および接続方法は同様である。
【0028】
配線基板1と平面光導波路基板3との接続を行う際には、まず
図1(a)のように平面光導波路基板3の電極9が設けられている側の表面と、配線基板1の電極7が設けられている側の表面とを対向させ、電極7と電極9の位置が合うように配置する。その後、平面光導波路基板3と配線基板1との間に異方性導電フィルム5を挟み、加熱しながら平面光導波路基板3と配線基板1とが近付く方向に圧力を掛ける。このようにすることで、
図1(b)のように平面光導波路基板3と配線基板1とが異方性導電フィルム5によって接着される。
【0029】
この際、
図1(b)に示すように、電極7と電極9の間には導電性粒子6bが挟まっている。すなわち、導電性粒子6bが電極7と電極9に同時に接触することで、両者の導通が確保される。
【0030】
ここで、異方性導電フィルム5による接着状態は、加熱温度によって変化する。
図2は、異方性導電フィルム5の加熱温度に対する、異方性導電フィルム5のピール強度と反応率の変化を示す図であり、図中白四角がピール強度(左軸)の変化を示し、黒丸が反応率(右軸)の変化を示す。なお、反応率は、DSC(示差走査熱量測定)によって算出した。また、ピール強度は、JISZ0237に準じて行い、測定幅は10mmとし、引張速度は50mm/分とした。
【0031】
なお、図は、エポキシ系の接着剤6aの例を示す。また、接着時の圧力は2MPaとし、接着時間は10秒としたが、圧力および時間については、それぞれ1〜5MPa、10〜60秒の範囲で条件を変えたが、ほとんど同様の結果であった。
【0032】
通常、図に示したような異方性導電フィルム5を用いて、平面光導波路基板3と配線基板1とを接続する場合には、170℃程度の温度で接着を行うことで、十分な反応率(略100%)と、高いピール強度(約15N/cm)を得ることができる。
【0033】
一方、ピール強度が高くなると、平面光導波路基板3と配線基板1とを剥がすことが困難となる。また、反応率が高くなると、接着剤6aが残りやすく、その除去が困難となる。したがって、平面光導波路基板3を、前述した動作点調整などを行う配線基板1に接続する際に、従来の条件で接着を行うと、その後に当該平面光導波路基板3を使用することができなくなる。すなわち、当該平面光導波路基板3を制御基板などの他の基板と接続することができず、動作点調整後の平面光導波路基板3を、実際に製品として使用することができなくなる。
【0034】
そこで、本発明では、従来の使用条件とは異なる加熱条件で異方性導電フィルム5を使用する。具体的には、ピール強度が1〜7N/cmとなる加熱条件とする。図に示す例では、80℃以上120℃以下(図中範囲A)の条件で平面光導波路基板3と配線基板1を接続する。
【0035】
このような条件とすることで、平面光導波路基板3と配線基板1とを導通させて、最低限のピール強度を得ることができるとともに、使用後には、平面光導波路基板3と配線基板1とを剥離することができる。なお、ピール強度が1N/cm未満では、作業中に両者が剥離する恐れがあるとともに、導通を確実に取れない恐れがある。また、ピール強度が10N/cmを超えると、両者を剥離することが困難となり、平面光導波路基板3と配線基板1とが破損する恐れがある。
【0036】
また、この際の接着剤6aの反応率は、50%〜75%であることが望ましい。反応率が、50%未満では十分な接着強度を得ることができず、また、75%を超えると、接着剤を除去することが困難となる。
【0037】
なお、アクリル系の接着剤6aを用いた異方性導電フィルム5を使用する場合であっても、ピール強度を適切な範囲とするためには、加熱温度を80〜120℃程度とすればよいが、さらに望ましくは、80℃〜100℃の範囲とすることが望ましい。アクリル系接着剤の場合には、100℃を超えると、反応率が上記範囲よりも高くなる場合があるためである。いずれにしても、通常の加熱温度条件(反応率が少なくとも80%を超えて、十分なピール強度が得られる温度であって、エポキシ系接着剤の場合は約170℃、アクリル系接着剤の場合には約150℃)に対して、十分に低い加熱温度とすることで、ピール強度を適切な範囲とすることができ、動作点調整などを行う際の仮接着を行うことができるとともに、その後、容易に剥離し、他の基板と再接続することができる。
【0038】
次に、光モジュールを製造する具体的な工程について説明する。まず、
図3(a)に示すように、平面光導波路基板3と配線基板1が接続されたフレキシブルプリント配線板17とを対向させ、間に異方性導電フィルム5を配置する。なお、フレキシブルプリント配線板17と配線基板1とは、予め異方性導電フィルムで接続される。フレキシブルプリント配線板17は、平面光導波路基板3の電極9に対応した複数の電極7aを有する。なお、以下の説明では、異方性導電フィルム5は、エポキシ系の接着剤6aを含む例を示す。
【0039】
次に、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17とで異方性導電フィルム5を挟み込み、例えば2MPaの圧力下で80〜120℃の温度範囲で、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17の接続を行う。
【0040】
図3(b)は、平面光導波路基板3と配線基板1とがフレキシブルプリント配線板17を介して接続されたベアモジュール10を示す図である。前述した様に、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17とを接続する異方性導電フィルム5のピール強度は、1〜7N/cmである。この状態で、フレキシブルプリント配線板17(配線板11)から電極7aを介して電極9に通電を行うことで、各ヒータの特性の測定と、動作点調整(位相トリミング)とを行うことができる。
【0041】
次に、
図4(a)に示すように、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17とを剥離する。この際、接続部に残存する異方性導電フィルム5(接着剤6a等)は完全に除去される。前述した様に、反応率が75%以下であれば、異方性導電フィルム5(接着剤6a等)の除去が容易である。
【0042】
次に、
図4(b)に示すように、平面光導波路基板3と、他の基板である制御基板13が接続されたフレキシブルプリント配線板17aとを対向させ、間に異方性導電フィルム5aを配置する。なお、フレキシブルプリント配線板17aと制御基板13とは、予め異方性導電フィルムで接続される。異方性導電フィルム5aは、異方性導電フィルム5と同一の材質であってもよく、別の材質でも良い。フレキシブルプリント配線板17aは、平面光導波路基板3の電極9に対応した複数の電極7bを有する。また、制御基板13は、例えば、製品として平面光導波路基板3を制御するための基板である。
【0043】
次に、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17aとで異方性導電フィルム5aを挟み込み、例えば2MPaの圧力下で160〜180℃の温度範囲で、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17aの接続を行う。
【0044】
図4(c)は、平面光導波路基板3と制御基板13とがフレキシブルプリント配線板17aを介して接続された光モジュール20を示す図である。平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17aとを接続する異方性導電フィルム5aのピール強度は、10N/cm以上である。したがって、製品として使用した際に、平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線板17aとが剥離することがなく、高い信頼性を確保することができる。
【0045】
以上、本実施の形態によれば、平面光導波路基板3の動作点調整を行うための配線基板1との電気的な接続を、従来のプローバ109との接触により行うのではなく、異方性導電フィルム5を用いて行う。このため、電極9のピッチを狭くすることができ、基板サイズを小さくすることができる。
【0046】
また、プローバ109の押圧によって基板へ応力が付与されることがないため、動作点調整前後において、偏波依存特性などの変化がない。また、プローバ109との接触に伴う傷や破損等が生じることもない。
【0047】
また、異方性導電フィルム5を用いると、通常は、再度剥がして使用することができず、仮接続を行うことができなかったが、本発明では、仮接続時におけるピール強度を最適化することで、動作点調整時に必要な接着強度を確保することができるとともに、動作点調整後には、平面光導波路基板3から配線基板1を容易に剥離することができる。
【0048】
特に、反応率が75%以下であれば、平面光導波路基板3から配線基板1を剥離した後、接着剤6aを容易に除去することができる。
【0049】
なお、最終製品として使用するために、平面光導波路基板3と制御基板13とを接続する際には、異方性導電フィルム5aのピール強度が、10N/cm以上であるため、平面光導波路基板3と制御基板13とが剥離することがなく、高い信頼性を確保することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、配線基板1とフレキシブルプリント配線板17を先に接続したが、これに限ることなく、先に平面光導波路基板3とフレキシブルプリント配線基板17を接続したのち、フレキシブルプリント配線板17と配線基板1を接続してもよい。
【実施例】
【0051】
実施例について説明する。
図5に示した光スイッチ100を16アレイ配置したチップをFHD(Flame Hydrolysis Deposition)法、フォトリソグラフィー、反応性イオンエッチング等のPLC作製プロセス技術を用いて作製した。導波路形成後、ヒータ、電極、絶縁膜を形成し、最後にエッチングにて電極パッド部にコンタクトホールを形成させた。比屈折率差Δは5%とした。また、チップサイズは23mm×18mmであった。
【0052】
ここで、この16アレイの光スイッチ100の調整しなければならないヒータ個数は、22(個/アレイ)×16(アレイ)で、352個となる。したがって、平面光導波路基板の電極のパッド数は、チップの両端に各200個程度作製されることになる。
【0053】
電極パッドの幅は50μmとし、ピッチは100μmとした。すなわち、電極ピッチが100μmであるため、電極パッドの総サイズは、100μm×200個=約20mmとなる。これは、チップサイズの23mmよりも小さい。したがって、電極パッド数を200個としたことによってチップサイズが大きくなることはなかった。
【0054】
続いて、動作点の調整のために、配線板付きのフレキシブル基板と光導波路基板とをエポキシ系の異方性導電フィルム(
図2)を用いて接続した。このときの接続条件は、加熱温度100℃、加圧2MPa、時間10秒とした。すなわち、ピール強度は、2N/cm、反応率は60%であった。その後、プロセス誤差によってずれたすべてのスイッチの動作点を位相トリミングによって調整した。
【0055】
その後、配線板付きのフレキシブル基板を光導波路基板から剥がして、チップ上の接着剤をきれいに除去したのち、光導波路基板に制御基板付きのフレキシブル基板をエポキシ系の異方性導電フィルム(
図2)で接続した。このときの接続条件は、加熱温度170℃、加圧2MPa、時間10秒とした。この加熱温度で接続すると、ピール強度15N/cm、接着剤の反応率95%以上となり、接続部の高い信頼性が得られた。
【0056】
一方、配線板付きのフレキシブル基板と光導波路基板との接続時の加熱温度を140℃とした場合には、動作点の調整後、配線板付きのフレキシブル基板と光導波路基板とを破損なく剥離することができなかった。また、配線板付きのフレキシブル基板と光導波路基板との接続時の加熱温度を50℃とした場合には、配線板付きのフレキシブル基板と光導波路基板とが作業中に剥離してしまった。
【0057】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
たとえば、配線基板1との仮接続の目的として、動作点調整を行う例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、前述した光スイッチにおいて、ヒータがオフの場合には光が通らない導波路がある場合に、各ポートのアクティブ調芯(一方から光を入射し、他方から光を検出しながら調芯を行い、光の強度が高くなる位置で両者の接続を行う調芯方法)を行う際には、各ヒータに通電を行い、光を任意の導波路に導く必要がある。このような場合に、ヒータへの通電を行うための仮接続としても利用することができる。また、PBSの調整など、位相トリミングに関するものには適用が可能である。