特許第6560101号(P6560101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560101
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】プリーツフィルター
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/07 20060101AFI20190805BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B01D29/06 520A
   B01D39/16 A
   B01D29/06 520D
   B01D29/06 520F
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-214305(P2015-214305)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-80712(P2017-80712A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507416827
【氏名又は名称】JNCフィルター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 巧実
(72)【発明者】
【氏名】山口 修
(72)【発明者】
【氏名】トレバー マーシャル
【審査官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−544974(JP,A)
【文献】 特開2015−183327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/07
B01D 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形のプリーツフィルターであって、当該プリーツフィルターのフィルター材は、融点が異なる二成分以上からなる熱可塑性複合繊維又は融点が異なる二成分以上の熱可塑性繊維の混繊繊維からなるウェブ及び/又は不織布を複数枚重ね合わせて一体化してなる、厚さ3mm以上のひだ折りされた不織繊維集合体であり、当該フィルター材は荷重0.5MPaを掛けた場合の圧縮率(圧縮率=(フィルター材の初期厚さ−荷重を0.5MPaを掛けた時の厚さ)÷(フィルター材の初期厚さ))が0.2以下である、プリーツフィルター。
【請求項2】
円筒形のプリーツフィルターであって、当該プリーツフィルターのフィルター材は、融点が異なる二成分以上からなる熱可塑性複合繊維又は融点が異なる二成分以上の熱可塑性繊維の混繊繊維からなるウェブ及び/又は不織布を複数枚重ね合わせて一体化してなる、厚さ3mm以上のひだ折りされた不織繊維集合体であり、当該不織繊維集合体は繊維交点が融着している、プリーツフィルター。
【請求項3】
前記プリーツフィルターの外径が50〜80mmである、請求項1又は2に記載のプリーツフィルター。
【請求項4】
プリーツの山の高さが7〜20mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリーツフィルター。
【請求項5】
前記不織繊維集合体は、交絡された短繊維、メルトブロー不織布、及び、スパンボンド不織布からなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリーツフィルター。
【請求項6】
前記不織繊維集合体が、少なくとも1層の並列型複合繊維からなるウェブと、該ウェブの両面に積層されたスパンボンド不織布とを有し、前記ウェブ及び前記スパンボンド不織布は一体化されている、請求項5に記載のプリーツフィルター。
【請求項7】
(1)融点が異なる二成分以上からなる熱可塑性複合繊維又は融点が異なる二成分以上の熱可塑性繊維の混繊繊維からなるウェブ及び/又は不織布を複数枚重ね合わせて、厚さ3mm以上の不織繊維集合体を製造する工程と、
(2)前記不織繊維集合体をひだ折り加工する工程と、
(3)前記工程にてひだ折りされた不織繊維集合体を円筒形のコアに巻き付け、当該不織繊維集合体のコアの軸方向に沿う両端辺を結合して円周方向に無端のフィルター材とする工程と、
(4)フィルター材が巻き付けられたコアの両端にキャップを取り付けて円筒形フィルターとする工程と、
(5)前記工程(4)で得た円筒形フィルターに、前記融点が異なる二成分以上からなる熱可塑性複合繊維又は融点が異なる二成分以上の熱可塑性繊維の混繊繊維のうち少なくとも1種類の溶融温度以上の温度を付与し、前記ウェブ及び/又は不織布を一体化する工程と、を含む、
プリーツフィルターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツ状に折り畳まれたフィルター材を有する円筒形プリーツフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
流体中に含まれる微粒子や固形物を除去するためのフィルターの一つとして、プリーツフィルターが知られている。プリーツフィルターは、濾材をプリーツ状に折り畳む加工(ひだ折り加工またはプリーツ加工ともいう。)によって大きな濾過面積を確保するもので、濾材の表面が濾過物で覆われるまでの時間が長くなるため、濾過ライフの長いフィルターを得ることができる。
【0003】
特許文献1は、濾過ライフ延長を実現し、濾材強度や濾過精度安定性を向上させたプリーツフィルターとして、繊維径の異なる熱可塑性繊維からなる異繊度混繊不織繊維集合体がひだ折り加工されたシートを濾材として用いることを開示している。前記異繊度混繊不織繊維集合体シートは、繊維交点が熱接着され、かつ、表層部と裏層部で繊維径勾配を形成していることを特徴とする。
【0004】
特許文献1のプリーツフィルターは、濾材を形成する繊維に表層部から裏面部にかけて繊維径勾配が付与されていることによって、濾過機能としての孔径勾配が形成され、粒子を表面だけでなく濾材内部でも捕捉することが可能となって、濾過ライフが向上すると考えらえている。また、高融点樹脂と低融点樹脂とからなる複合繊維又は混繊繊維を使用することで、熱処理によって繊維交点が一体化される。この結果、濾材の強度を上げ、プリーツ(ひだ)の変形を防止し、さらに、繊維間の動きが抑えられることで、安定した濾過精度が得られるものである。
【0005】
特許文献2には、プリーツフィルターとして、プリーツ加工された熱接着性複合モノフィラメントからなる網状物と熱接着性繊維とが該網状物の網目を通して絡合分散して不織布を形成し、谷部の不織布の厚みが山部よりも大であり、かつ繊維同士の接点及び繊維と網状物の接点が熱接着され、該網状物と不織布とが接合一体化されたものが開示されている。
【0006】
特許文献2のプリーツフィルターは、先ず熱接着性複合モノフィラメント等の網状体を作製し、プリーツ加工を行う。続いて、メルトブローン法やスパンボンド法にて前記の網状体の上に不織布層を形成し、熱処理を行うことによって網状体と不織布層が一体となった濾材を得るものである。この時に不織布材料の積層量をコントロールすることによってプリーツの谷部と山部の厚みを変化させる。特許文献2の発明によれば、長時間使用によるプリーツの変形による濾過ライフの低下を、谷部に多く積層した不織布によって、低減できることが開示されている。
【0007】
特許文献1、2のプリーツフィルターはいずれも、外径が60〜70mm程度でプリーツの山数が100〜120程度の円筒形フィルターであり、濾材の目付は50〜200g/m程度である。また、特許文献1,2では、濾過ライフは水を分散媒とした試験流体のみで確認されており、粘性の流動体の濾過については何ら検討されていない。実際に、このようなフィルターは水及び低粘性流体の濾過に適しているが、高粘度スラリーやゲル状流動体の濾過には必ずしも好適とはいえないものであった。
【0008】
特許文献3には、プリーツフィルターにおいて、シート状のフィルター材の両面に支持部材を重ねたものをプリーツ加工し、フィルターとして用いることが開示されている。特許文献3のフィルターは、特に高粘性流体を濾過する際に、濾過圧力によってフィルターの形状が変形するのを防止することを目的としており、シート状フィルター材として合成繊維不織布等を使用し、支持部材として金属線材を用いた金網、金属線材を用いた不織布等が利用される。
【0009】
特許文献3のフィルターは合成繊維の製造において、高分子高粘性流体を濾過して紡糸する紡糸パックの部材として口金とともに一体に組み立てられるのに好適な、盤状体のフィルターであって、円筒形フィルターに関するものではない。また、特許文献3のフィルターは、金属線材の使用によってフィルター材の強度を向上させているが、フィルターの用途によっては金属の使用が好ましくない場合もあり、必ずしも汎用的とはいえないものであった。またこれは、単にシートを重ねたものであり、3次元的に交絡した繊維成形物が厚みを持ったものではなかった。そのため、見た目の耐圧強度はすぐれていても、実際には高粘性流体などで高い圧力で濾過すると、フィルター材に目開きが生じて異物が流れ出る恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−90135号公報
【特許文献2】特開2000−271417号公報
【特許文献3】WO2003/099417号公開パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のとおりプリーツフィルターについて様々な構成が提案されているが、粘度の高いゲル状流動体や高粘度のスラリーに対しても濾過ライフが長く、かつ、濾過精度と耐圧性とに優れた円筒形のプリーツフィルターとして十分なものはなかった。すなわち本発明は、円筒形フィルターにおいて、粘性流動体に対しても濾過ライフが長く、濾過精度と耐圧性に優れたプリーツフィルターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは前記課題を解決するために検討を重ね、プリーツフィルターにおいて、フィルター材の厚みが大きく、フィルター材の表面だけでなく内部にも粒子を捕捉できるデプスフィルターを採用することによって、濾過ライフが長く、特に高粘度液体の濾過について優れた効果を発揮することを見出した。そして、フィルター材の厚みを3mm以上とすること、同時に、圧縮率の低い(荷重0.5MPaを掛けた場合の圧縮率が0.2以下)すなわち硬いフィルター、特に、フィルター材を繊維交点が融着された構成とすることによって、濾過ライフが長く、耐圧に優れるだけでなく、濾過精度も向上することを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち本発明は次の構成を有する。
[1]円筒形のプリーツフィルターであって、当該プリーツフィルターのフィルター材は、熱可塑性繊維からなる厚さ3mm以上のひだ折りされた不織繊維集合体であり、当該フィルター材は荷重0.5MPaを掛けた場合の圧縮率が0.2以下である、プリーツフィルター。
[2]円筒形のプリーツフィルターであって、当該プリーツフィルターのフィルター材は、熱可塑性繊維からなる厚さ3mm以上のひだ折りされた不織繊維集合体であり、当該不織繊維集合体は繊維交点が融着している、プリーツフィルター。
[3]前記熱可塑性繊維が、融点が異なる二成分以上からなる複合繊維である、[1]又は[2]に記載のプリーツフィルター。
[4]前記熱可塑性繊維が、融点が異なる二成分以上の混繊繊維である、[1]又は[2]に記載のプリーツフィルター。
[5]前記プリーツフィルターの外径が50〜80mmである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のプリーツフィルター。
[6]プリーツの山の高さが7〜20mmである、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のプリーツフィルター。
[7]前記不織繊維集合体は、交絡された短繊維、メルトブロー不織布、及び、スパンボンド不織布からなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせからなる、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のプリーツフィルター。
[8]前記不織繊維集合体が、少なくとも1層の並列型複合繊維からなるウェブと、該ウェブの両面に積層されたスパンボンド不織布とを有し、前記ウェブ及び前記スパンボンド不織布は一体化されている、[7]に記載のプリーツフィルター。
[9](1)熱可塑性繊維からなる厚さ3mm以上の不織繊維集合体を製造する工程と、
(2)前記不織繊維集合体をひだ折り加工する工程と、
(3)前記工程にてひだ折りされた不織繊維集合体を円筒形のコアに巻き付け、当該不織繊維集合体のコアの軸方向に沿う両端辺を結合して円周方向に無端のフィルター材とする工程と、
(4)フィルター材が巻き付けられたコアの両端にキャップを取り付けて円筒形フィルターとする工程と、
(5)前記工程(4)で得た円筒形フィルターに、前記熱可塑性繊維のうち少なくとも1種類の溶融温度以上の温度を付与する工程と、を含む、
プリーツフィルターの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高粘度の流動体に対しても濾過ライフが長く、耐圧に優れるだけでなく、濾過精度の高いプリーツフィルターを提供することができる。本発明のプリーツフィルターは、特に、塗料、塗工剤等の高粘性液体の濾過等の用途に好適に使用できる。
また、本発明のプリーツフィルターにおいて、フィルター材を構成する熱可塑性繊維を融着させることによって繊維交点が接着されているものは、熱可塑性繊維を構成する樹脂以外に接着剤などを含まないためフィルターの使用における異物混入や汚染のリスクが低く、濾過対象物の品質管理面で有利である。また前記フィルターは、フィルターの製造工程における製造原料点数が少なくコスト面、製造管理面でも有利である。また、接着剤によるフィルター材の開口率の低下がない。また、接着剤の不足やムラによるフィルター材の脱落の恐れもない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のプリーツフィルターは円筒形のプリーツフィルターである。円筒形のプリーツフィルターは、ひだ折り加工によって山折り及び谷折りを繰り返したフィルター材を、稜線方向がフィルターの軸方向となるように円筒形のコアの外周に巻き付け、フィルター材の軸方向の端辺同士を結合して無端とした上で、両端にキャップを取り付けた構造を有している。
【0016】
なお、本明細書において、プリーツフィルターの外径とは、プリーツの山の頂部同士を結ぶ仮想円の直径をいう。またプリーツの山の高さとは、プリーツの山の頂部同士を結ぶ仮想円と、プリーツの谷の最下部同士を結ぶ仮想円との直径の差の2分の1をいう。
【0017】
本発明において、フィルターの外径は50〜80mmであることが好ましく、60〜70mmであるとより好ましい。この範囲であれば、ひだ無しのものと比べて加工の手間に見合うだけの効果が得られる。60〜70mmであれば既存の濾過設備の標準的なフィルターとして使用できるため、特に好ましい。
【0018】
本発明のフィルター材は、プリーツフィルターを構成する部材のうち、濾過機能を担う部材であり、不織繊維集合体からなる。不織繊維集合体とは、不織布(不織ネット、不織シート、不織フィルム等を含む)を1枚ないし複数枚重ね合せて一体化した集合体であり、複数枚である場合、例えば3〜25枚を重ね合せることができる。複数枚の不織布を重ね合せる場合、用いる不織布の種類は1種類でもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。不織繊維集合体の目付は、所望の濾過性能が得られれば特に制限されないが、例えば700〜1500g/mであることが好ましく、830〜1330g/mであることがより好ましい。
【0019】
不織繊維集合体の厚みは3mm以上であり、3mm〜10mm程度であることが好ましく、3〜5mmであればより好ましい。不織繊維集合体の厚みが3mm以上であれば異物をより強固に捕集することができ、ゲル状物が通過してしまうこともなく、十分な効果が得られる。不織繊維集合体の厚み方向が、濾液の通過方向となる。本発明のプリーツフィルターはいわゆるデプスプリーツフィルターである。
【0020】
不織繊維集合体の厚み方向の不織繊維の疎密は、一定であってもよいし、疎密の勾配があってもよい。疎密の勾配がある場合、例えば上流側を疎とし、下流側に近くなるにつれて密になるように構成することができる。また、下流側に近い方を疎として逆流を容易にしたり、密な部が過度に密接することを防いだりすることによって、より濾過ライフの延長を図ることができる。
【0021】
不織繊維集合体の山の高さは、7〜20mmであることが好ましい。不織繊維集合体は、ひだ折りによって山が形成されるため、山の高さは不織繊維集合体の厚みによって制限され、山の高さは不織繊維集合体の厚みの2倍以上となる。典型的には、不織繊維集合体の厚みを3〜5mm程度、山の高さを10〜15mm程度とすることが好ましい。
【0022】
本発明のプリーツフィルターの山の数は、円筒コアの直径、所望の濾過面積、不織繊維集合体であるフィルター材の厚み等によって適宜選択すればよいが、例えば、円筒コアの直径が40〜50mm、不織繊維集合体の厚みが3〜5mm程度である時、12〜18個の山が円周上に並ぶように構成することが好ましい。
【0023】
本発明のプリーツフィルターは、フィルター材の少なくとも一部の層が0.5MPaの荷重を掛けた場合の圧縮率が0.2以下であり、0.1以下であることがより好ましい。本発明のプリーツフィルターはデプスプリーツフィルターであって、かつ、圧縮率が低い、すなわち硬いフィルターであることが特徴である。かかる構成とすることによって、耐圧が高く、さらに、使用に伴うフィルター材の変形が少なくなり、また、フィルター中での繊維同士の動きやズレが少なくなるため濾過精度が向上するものと考えられている。圧縮率の測定方法については後に詳述する。
また、フィルター材の過度の密着を防ぐために、あるいは成形途中でフィルター材が崩れるのを防ぐために、フィルター材の上流側、下流側、中間部分などに、間隙を設けるための高空隙率のシートを重ねてもよい。このようなシートとしては、スパンボンド不織布、ネットなどが好ましい。
【0024】
不織繊維集合体は熱可塑性繊維からなる。熱可塑性繊維としては、各種のポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドが例示でき、耐薬品性の面からとりわけ好ましいのは、ポリオレフィンである。
【0025】
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1などのうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体のことであり、またはこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、耐薬品性の点で、ポリエチレン、ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0026】
ポリアミドとしてはナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ポリメタキシリデンアジパミド、ポリパラキシリデンデカンアミド、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミド若しくはこれらのコポリアミド等を挙げることができる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレートの他、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ(1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)若しくはこれらの共重合体を挙げることができる。
【0027】
本発明のプリーツフィルターのフィルター材は、上記熱可塑性繊維が交絡した不織繊維の集合体からなり、繊維交点(交絡点)が融着していることが好ましい。ここで、融着とは、不織繊維集合体に含まれる単繊維の少なくとも一部が融解して他の単繊維に付着し、その後固化することによって単繊維同士が固着されることをいう。不織繊維集合体中の繊維交点のうち、50%以上が融着していればよく、70%以上が融着していることが好ましく、略100%の繊維交点が融着していることがより好ましい。繊維交点の融着は、例えば、電子顕微鏡によって確認し、融着している繊維交点の割合を算出することができる。
【0028】
不織繊維集合体を構成する熱可塑性繊維としては、1成分のみで使用することもできるが、熱接着性繊維同士の交点の融着の効果を考慮したとき、低融点樹脂と高融点樹脂の複合成分からなる繊維、すなわち、融点が異なる二成分以上からなる複合繊維を用いることが好ましい。二成分の融点差は10℃以上であれば、熱接着加工時の管理が容易であり、好ましい。複合繊維である場合、繊維表面の少なくとも一部を低融点樹脂が連続して占めるような複合繊維が、熱接着による成形が容易であり接着後に交点以外の繊維形状が大きく損なわれない、言いかえれば同じ断面形状の繊維形状が保たれるので好ましい。
【0029】
高融点樹脂と低融点樹脂の複合比(重量比)は、接着強度と接着性から70:30から30:70が好ましい。複合成分樹脂の組み合わせ例としては、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種のポリエチレン/熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン/熱可塑性ポリエステル、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/熱可塑性ポリエステル、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体、または三元共重合体/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエステルなどを挙げることができる。複合形態は例えば鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型を挙げることができる。
【0030】
また、不織繊維集合体を構成する熱可塑性繊維として、融点が異なる二成分以上の混繊繊維を用いることも好ましい。混繊繊維とは上記の高融点樹脂からなる繊維と低融点樹脂からなる繊維とが独立して存在し、混合されてなる繊維である。高融点樹脂からなる繊維と低融点樹脂からなる繊維との混合割合は前述の複合繊維の場合と同様であり、組み合わせとしても同様のものが挙げられる。
【0031】
上記の複合繊維及び混繊繊維には、本発明の効果を妨げない限りにおいて繊維ないしフィルターに機能性を付与する他の添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、例えば、抗菌剤、消臭剤、帯電防止剤、平滑剤、親水剤、撥水剤、酸化防止剤、耐候剤などを挙げることができる。また、複合繊維及び混繊繊維は、その表面が機能材料で処理されていてもよく、これによって親水性や撥水性、制電制、表面平滑性、耐摩耗性などの機能を付与することができる。本発明は特に液体用フィルターとして有用なので、液中に脱離することがないよう、例えば化学結合などで強固に固定されていることが好ましい。
【0032】
本発明で用いる不織繊維集合体は、交絡された短繊維、メルトブロー不織布、及びスパンボンド不織布からなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせからなることが好ましい。いずれも公知の方法に従って製造することができる。不織繊維集合体は、これらを1枚ないし複数枚重ね合せてなることが好ましい。重ね合せの枚数は、用いる交絡された短繊維、メルトブロー不織布、またはスパンボンド不織布の厚みと所望の集合体(フィルター材)の厚みとに応じて適宜選択すればよいが、例えば、3〜25枚程度とすることができ、5枚〜15枚程度であることがより好ましい。また、異なる種類を組み合わせて使用することも好ましい。例えば、交絡された短繊維からなる不織布またはウェブを複数枚重ね合せた最上層と最下層とに、スパンボンド不織布を配した構成とすることが好ましい。不織布やウェブ同士は1枚1枚が分かれてもよいが、後の工程で不織布またはウェブ同士の一部または全部を接着すると本発明の効果を更に上げられる。
【0033】
本発明のプリーツフィルターは、大略的に、(1)熱可塑性繊維からなる厚さ3mm以上の不織繊維集合体を製造し、(2)前記不織繊維集合体をひだ折り加工し、(3)前記工程にてひだ折りされた不織繊維集合体を円筒形のコアに巻き付け、不織布繊維集合体のコアの軸方向に沿う両端辺同士を結合して、円周方向に無端のフィルター材とし、(4)両端にキャップを取り付け、さらに、(5)前記工程で得た円筒形フィルターに、前記熱可塑性繊維のうち少なくとも1種類の溶融温度以上の温度を付与する工程を含む製造方法よって製造される。
【0034】
前記(1)熱可塑性繊維からなる厚さ3mm以上の不織繊維集合体の製造は、従来公知の方法によることができる。すなわち、例えば、二種類の熱可塑性樹脂を原料として並列型複合短繊維を紡糸し、カード機によって交絡してウェブを製造し、複数枚のウェブを積層した両端層にスパンボンド不織布を重ね合せて不織繊維集合体を得ることができる。また例えば、二種類の熱可塑性樹脂を原料として鞘芯型複合繊維を紡糸し、続いてメルトブロー不織布を製造し、複数枚のメルトブロー不織布を重ね合せて不織繊維集合体を得ることができる。
【0035】
前記(1)で得られたシート状の不織繊維集合体について、工程(2)ひだ折り加工を行う。ひだ折り加工は、従来公知の方法を適宜選択して実施することができる。なお、工程(1)と(2)との間に、必要に応じて、カッティング、成形、乾燥、圧密等の処理を行うことができる。
【0036】
続いて、前記(2)で得られたひだ折りされた不織繊維集合体を、工程(3)では、所定の山数、或いは所定の表面積となるように円筒形コアに巻き付け、不織繊維集合体のフィルターの軸方向の端辺同士を結合して、円周方向に無端の円筒形フィルター材とする。結合の方法は、ヒートシール、超音波溶着を用いて貼り合わせる等公知の方法を適宜選択して用いればよい。円筒形コアとしては従来公知のコアを用いることができ、例えば、ポリオレフィン樹脂製の多孔性円筒形フィルターを用いることができる。
【0037】
続いて、(4)フィルター材が巻き付けられたコアの両端にキャップを取り付け、円筒形フィルターとする。キャップの取り付けも公知の方法を適宜選択して行うことができる。
【0038】
続いて、フィルター材を融着させるために、(5)フィルター材の不織繊維集合体を構成する熱可塑性繊維のうち少なくとも1種類の溶融温度以上の温度を付与する。加熱は例えばオーブンで行うことができ、加熱時間は15分〜30分程度とすることができる。加熱温度は、フィルター材を構成する熱可塑性樹脂のうち、低融点樹脂成分が溶融し、高融点樹脂は溶融しない温度を適宜選択すればよい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらによって制限されるものではない。
実施例中に示した物性値の測定方法や定義は次のとおりである。
<単一繊維の平均繊維径>
電子顕微鏡で撮影した繊維の断面より、1本当たりの繊維の長さ方向と直角方向の長さ(直径)を100本計測し、算術平均値を平均繊維径とした。この計算は、Scion Corporation社の画像処理ソフト「Scion Image」を使用して行った。
<圧縮率>
フィルター材を20mm×20mmに切断し、元の厚さを測定した。この小片に0.5MPaの荷重を掛けた時の、小片の厚さを測定した。
(初期厚さ−荷重を掛けた時の厚さ)÷(初期厚さ)=圧縮率として、圧縮率を算出した。
<濾過精度>
循環式濾過性能試験機のハウジングに、フィルター1本を取り付け、50リットル用水槽からポンプで通水循環する。流量を毎分30リットルに調節後、水槽の試験粉体として基礎物性用標準粉体であるJIS粉体7種を毎分0.2gで連続添加し、添加開始から5分後に原液と濾液を採取し、原液に含まれる粒子の個数(A)を光遮断式粒子検出器を用いて計測し、各粒径の粒子ごとにフィルターが捕集した粒子の個数(B)と比較して、式=(B/A×100%)により算出した値を捕集効率とした。その値を解析して、捕集効率が99.9%となる粒径を濾過精度とした。
<圧力損失>
前記の循環式濾過精度試験において、粉体を添加せず、水のみ毎分30リットルの流量で循環させる。循環開始1分後、圧力損失(MPa)を測定した。
<濾過ライフ(水)>
循環式濾過性能試験機のハウジングに、フィルター1本を取り付け、50リットル用水槽からポンプで通水循環する。流量を毎分30リットルに調節後、水槽の試験粉体として基礎物性用標準粉体であるJIS粉体7種を毎分0.5gで連続添加し、フィルター前後の差圧が0.3MPaになるまで続け、濾過ライフ(水)を測定した。
<濾過ライフ(グリセリン)>
グリセリンを水で希釈して、粘度100mPa・s(25℃)にし、それを水の代わりとして、上記と同様に濾過ライフ(グリセリン)を測定した。
<耐圧>
循環式濾過性能試験機のハウジングに、フィルター1本を取り付け、50リットル用水槽からポンプで通水循環する。流量を毎分30リットルに調節後、水槽の試験粉体として基礎物性用標準粉体であるJIS粉体7種を毎分0.5gで連続添加し、圧力を上昇させる。フィルターに破損が生じる時の圧力を、耐圧と定義した。
<表面積>
フィルターの外周部接液部の側面全面積を、フィルターの表面積と定義した。
【0040】
[実施例1]
高密度ポリエチレン(融点137℃)とポリプロピレン(融点168℃)を280℃で並列型口金を用いて、複合比50/50で紡糸し、並列型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4倍に延伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短繊維とした。この短繊維は、顕在捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、繊維径約50μmの並列型複合繊維であった。
得られた並列型複合繊維を、カード機にて目付30g/mのウェブとした。これを25枚重ね、その上下に目付40g/m、厚さ0.27mmのスパンボンド不織布を重ね、240mm幅にカットして、折幅13mmのプリーツ加工を行なったものを、ポリプロピレン製の多孔性円筒形コアに15山巻き、シートの端同士を加熱シールした後、円筒形状の両端に射出成形で作ったキャップを接着させた。
この後、135℃のオーブンで30分間加熱して、内径30mm、外径68mm、長さ250mmのプリーツフィルターを作製した。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は830g/mであった。
上記プリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0041】
[比較例1]
ポリプロピレン(融点168℃)を290℃で単一型口金を用いて、80℃で2倍に延伸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mmであった。上記プリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例1のプリーツフィルターは、実施例1と比べて、圧力損失が同じにも関わらず、濾過精度が大きく耐圧が低いものであった。
【0042】
[比較例2]
実施例1と同様の方法でウェブを作成し、これを重ねず1枚使い、その上下に目付40g/m、厚さ0.27mmのスパンボンド不織布を重ね、実施例1と同様の方法でプリーツフィルターを作成した。山の数は100個とした。このときの不織繊維集合体の厚さは1mm、山の高さは13mmであった。上記プリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例2のプリーツフィルターは、実施例1と比べて、濾過精度が同じにも関わらず、濾過ライフが短く、耐圧が低いものであった。
【0043】
[比較例3]
実施例1と同様の方法でウェブを作成し、135℃で加熱してすぐに鉄芯に巻き付け、外径68mmになるまで巻き付けた。その後、鉄芯を抜いてデプスフィルターを得た。当該デプスフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例3のプリーツフィルターは、実施例1と比べて、濾過精度が同じにも関わらず、濾過ライフが短く、耐圧が低いものであった。
【0044】
[実施例2]
芯成分としてMFR(試験条件230℃、2.16kg)が280g/10分であり、融点が164℃であるポリプロピレンを用い、鞘成分としてMFR(試験条件190℃、2.16kg)が124g/10分であり、融点が122℃であるPPコポリマーを用い、紡糸温度をそれぞれ290℃、260℃とし、両成分を芯鞘複合比50/50、総吐出量120g/分で、孔径0.3mm、孔数501個の紡糸口が一列に並んだメルトブロー用鞘芯型複合紡糸口に供給し、押し出した。
さらに、紡糸口から押し出されたポリマーを380℃の加圧空気を用いてネットコンベヤーに吹き付けることにより目付50g/mのメルトブロー法の極細複合繊維ウェブを得た。
これを実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は1330g/mであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0045】
[実施例3]
2台の押出機及び、孔径0.3mm、孔数501のメルトブロー紡糸口金を主構成要素とする混繊型メルトブロー装置を用い、混繊紡糸をした。該口金は、2台の押出機から押し出された2種の溶融樹脂が各孔で混合せず、1孔毎に第1成分と第2成分が吐出されるように並んだ構造の口金になっている。
第1成分としてMFR(試験条件190℃、2.16kg)が120であり、融点が121℃であるPPコポリマーを用い、第2成分としてMFR(試験条件30℃、2.16kg)が120であり、融点が164℃であるポリプロピレンを用い、紡糸温度が第1成分260℃、第2成分280℃一定とし、前記混繊型メルトブロー装置から溶融押し出しし(メルトブロー紡糸)、紡糸孔から吐出された繊維を、温度360℃の空気を圧力0.12MPaGに加圧して、噴出気体吸引装置付きのコンベアーネット上に吹き付け、メルトブロー法の極細繊維ウェブを得た。
これを実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は830g/mであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0046】
[比較例4]
MFR(試験条件230℃、2.16kg)が180g/10分であり、融点が164℃であるポリプロピレンを用い、紡糸温度280℃で、吐出量を120g/分で、孔径0.3mm、孔数501個の紡糸口が一列に並んだメルトブロー用紡糸口金に供給し、押し出した。
紡糸口から押し出されたポリマーを380℃の加圧空気を用いてネットコンベヤーに吹き付けることによりメルトブロー法の極細繊維ウェブを得た。
これを実施例2と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mmであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例4のプリーツフィルターは、実施例2と比べて、濾過精度が大きく、耐圧が低いものであった。また、実施例3と比べて、濾過精度が大きく、耐圧が低いものであった。
【0047】
[実施例4]
複合紡糸機、エアサッカー、ネットコンベアー等を備えた複合スパンボンド紡糸装置、及びネットコンベアーを使用し、ポリプロピレン製スパンボンド不織布を製造した。使用した口金は孔径0.4mmの鞘芯型複合紡糸口金であった。第1成分として融点が133℃であり、MFR(試験条件190℃、2.16kg)が22g/10分である高密度ポリエチレンを鞘側に使用し、第2成分として融点が164℃であり、MFR(試験条件230℃、2.16kg)が60g/10分であるポリプロピレンを芯側に使用し、複合比50/50(重量%)、第1成分の紡糸温度を290℃、第2成分の紡糸温度を310℃として、紡糸し、エアサッカーで繊維を3,000m/分の速度で吸引し、繊維をエアーと共にネットコンベアーに吹き付けた。
得られた繊維は、繊維径14μmの鞘芯型長繊維であった。得られたスパンボンド不織布の目付けは30g/mであった。吹き付けられたエアーはネットコンベアー下部に備えられた吸引装置で吸引除去した。
これを25枚重ねて、実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は830g/mであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0048】
[比較例5]
融点が164℃であり、MFR(試験条件230℃、2.16kg)が60g/10分であるポリプロピレンのみを使用した以外は、実施例4と同じ方法でウェブを得た。得られた繊維は、繊維径14μmの長繊維であった。又目付けは30g/mであった。
これを実施例4と同様の工程で加工しフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mmであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例5のプリーツフィルターは、実施例4と比べて、濾過精度が大きく、耐圧が低いものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のプリーツフィルターは、高粘度の流動体に対して濾過ライフが長く、耐圧に優れるだけでなく、濾過精度が高いことから、フィルター用途全般に用いることができるが、特に、塗料、塗工剤等の高粘性液体の濾過等の用途に好適に使用できる。