【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらによって制限されるものではない。
実施例中に示した物性値の測定方法や定義は次のとおりである。
<単一繊維の平均繊維径>
電子顕微鏡で撮影した繊維の断面より、1本当たりの繊維の長さ方向と直角方向の長さ(直径)を100本計測し、算術平均値を平均繊維径とした。この計算は、Scion Corporation社の画像処理ソフト「Scion Image」を使用して行った。
<圧縮率>
フィルター材を20mm×20mmに切断し、元の厚さを測定した。この小片に0.5MPaの荷重を掛けた時の、小片の厚さを測定した。
(初期厚さ−荷重を掛けた時の厚さ)÷(初期厚さ)=圧縮率として、圧縮率を算出した。
<濾過精度>
循環式濾過性能試験機のハウジングに、フィルター1本を取り付け、50リットル用水槽からポンプで通水循環する。流量を毎分30リットルに調節後、水槽の試験粉体として基礎物性用標準粉体であるJIS粉体7種を毎分0.2gで連続添加し、添加開始から5分後に原液と濾液を採取し、原液に含まれる粒子の個数(A)を光遮断式粒子検出器を用いて計測し、各粒径の粒子ごとにフィルターが捕集した粒子の個数(B)と比較して、式=(B/A×100%)により算出した値を捕集効率とした。その値を解析して、捕集効率が99.9%となる粒径を濾過精度とした。
<圧力損失>
前記の循環式濾過精度試験において、粉体を添加せず、水のみ毎分30リットルの流量で循環させる。循環開始1分後、圧力損失(MPa)を測定した。
<濾過ライフ(水)>
循環式濾過性能試験機のハウジングに、フィルター1本を取り付け、50リットル用水槽からポンプで通水循環する。流量を毎分30リットルに調節後、水槽の試験粉体として基礎物性用標準粉体であるJIS粉体7種を毎分0.5gで連続添加し、フィルター前後の差圧が0.3MPaになるまで続け、濾過ライフ(水)を測定した。
<濾過ライフ(グリセリン)>
グリセリンを水で希釈して、粘度100mPa・s(25℃)にし、それを水の代わりとして、上記と同様に濾過ライフ(グリセリン)を測定した。
<耐圧>
循環式濾過性能試験機のハウジングに、フィルター1本を取り付け、50リットル用水槽からポンプで通水循環する。流量を毎分30リットルに調節後、水槽の試験粉体として基礎物性用標準粉体であるJIS粉体7種を毎分0.5gで連続添加し、圧力を上昇させる。フィルターに破損が生じる時の圧力を、耐圧と定義した。
<表面積>
フィルターの外周部接液部の側面全面積を、フィルターの表面積と定義した。
【0040】
[実施例1]
高密度ポリエチレン(融点137℃)とポリプロピレン(融点168℃)を280℃で並列型口金を用いて、複合比50/50で紡糸し、並列型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4倍に延伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短繊維とした。この短繊維は、顕在捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、繊維径約50μmの並列型複合繊維であった。
得られた並列型複合繊維を、カード機にて目付30g/m
2のウェブとした。これを25枚重ね、その上下に目付40g/m
2、厚さ0.27mmのスパンボンド不織布を重ね、240mm幅にカットして、折幅13mmのプリーツ加工を行なったものを、ポリプロピレン製の多孔性円筒形コアに15山巻き、シートの端同士を加熱シールした後、円筒形状の両端に射出成形で作ったキャップを接着させた。
この後、135℃のオーブンで30分間加熱して、内径30mm、外径68mm、長さ250mmのプリーツフィルターを作製した。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は830g/m
2であった。
上記プリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0041】
[比較例1]
ポリプロピレン(融点168℃)を290℃で単一型口金を用いて、80℃で2倍に延伸した以外は、実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mmであった。上記プリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例1のプリーツフィルターは、実施例1と比べて、圧力損失が同じにも関わらず、濾過精度が大きく耐圧が低いものであった。
【0042】
[比較例2]
実施例1と同様の方法でウェブを作成し、これを重ねず1枚使い、その上下に目付40g/m
2、厚さ0.27mmのスパンボンド不織布を重ね、実施例1と同様の方法でプリーツフィルターを作成した。山の数は100個とした。このときの不織繊維集合体の厚さは1mm、山の高さは13mmであった。上記プリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例2のプリーツフィルターは、実施例1と比べて、濾過精度が同じにも関わらず、濾過ライフが短く、耐圧が低いものであった。
【0043】
[比較例3]
実施例1と同様の方法でウェブを作成し、135℃で加熱してすぐに鉄芯に巻き付け、外径68mmになるまで巻き付けた。その後、鉄芯を抜いてデプスフィルターを得た。当該デプスフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例3のプリーツフィルターは、実施例1と比べて、濾過精度が同じにも関わらず、濾過ライフが短く、耐圧が低いものであった。
【0044】
[実施例2]
芯成分としてMFR(試験条件230℃、2.16kg)が280g/10分であり、融点が164℃であるポリプロピレンを用い、鞘成分としてMFR(試験条件190℃、2.16kg)が124g/10分であり、融点が122℃であるPPコポリマーを用い、紡糸温度をそれぞれ290℃、260℃とし、両成分を芯鞘複合比50/50、総吐出量120g/分で、孔径0.3mm、孔数501個の紡糸口が一列に並んだメルトブロー用鞘芯型複合紡糸口に供給し、押し出した。
さらに、紡糸口から押し出されたポリマーを380℃の加圧空気を用いてネットコンベヤーに吹き付けることにより目付50g/m
2のメルトブロー法の極細複合繊維ウェブを得た。
これを実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は1330g/m
2であった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0045】
[実施例3]
2台の押出機及び、孔径0.3mm、孔数501のメルトブロー紡糸口金を主構成要素とする混繊型メルトブロー装置を用い、混繊紡糸をした。該口金は、2台の押出機から押し出された2種の溶融樹脂が各孔で混合せず、1孔毎に第1成分と第2成分が吐出されるように並んだ構造の口金になっている。
第1成分としてMFR(試験条件190℃、2.16kg)が120であり、融点が121℃であるPPコポリマーを用い、第2成分としてMFR(試験条件30℃、2.16kg)が120であり、融点が164℃であるポリプロピレンを用い、紡糸温度が第1成分260℃、第2成分280℃一定とし、前記混繊型メルトブロー装置から溶融押し出しし(メルトブロー紡糸)、紡糸孔から吐出された繊維を、温度360℃の空気を圧力0.12MPaGに加圧して、噴出気体吸引装置付きのコンベアーネット上に吹き付け、メルトブロー法の極細繊維ウェブを得た。
これを実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は830g/m
2であった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0046】
[比較例4]
MFR(試験条件230℃、2.16kg)が180g/10分であり、融点が164℃であるポリプロピレンを用い、紡糸温度280℃で、吐出量を120g/分で、孔径0.3mm、孔数501個の紡糸口が一列に並んだメルトブロー用紡糸口金に供給し、押し出した。
紡糸口から押し出されたポリマーを380℃の加圧空気を用いてネットコンベヤーに吹き付けることによりメルトブロー法の極細繊維ウェブを得た。
これを実施例2と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mmであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例4のプリーツフィルターは、実施例2と比べて、濾過精度が大きく、耐圧が低いものであった。また、実施例3と比べて、濾過精度が大きく、耐圧が低いものであった。
【0047】
[実施例4]
複合紡糸機、エアサッカー、ネットコンベアー等を備えた複合スパンボンド紡糸装置、及びネットコンベアーを使用し、ポリプロピレン製スパンボンド不織布を製造した。使用した口金は孔径0.4mmの鞘芯型複合紡糸口金であった。第1成分として融点が133℃であり、MFR(試験条件190℃、2.16kg)が22g/10分である高密度ポリエチレンを鞘側に使用し、第2成分として融点が164℃であり、MFR(試験条件230℃、2.16kg)が60g/10分であるポリプロピレンを芯側に使用し、複合比50/50(重量%)、第1成分の紡糸温度を290℃、第2成分の紡糸温度を310℃として、紡糸し、エアサッカーで繊維を3,000m/分の速度で吸引し、繊維をエアーと共にネットコンベアーに吹き付けた。
得られた繊維は、繊維径14μmの鞘芯型長繊維であった。得られたスパンボンド不織布の目付けは30g/m
2であった。吹き付けられたエアーはネットコンベアー下部に備えられた吸引装置で吸引除去した。
これを25枚重ねて、実施例1と同様の工程で加工しプリーツフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mm、目付は830g/m
2であった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0048】
[比較例5]
融点が164℃であり、MFR(試験条件230℃、2.16kg)が60g/10分であるポリプロピレンのみを使用した以外は、実施例4と同じ方法でウェブを得た。得られた繊維は、繊維径14μmの長繊維であった。又目付けは30g/m
2であった。
これを実施例4と同様の工程で加工しフィルターを得た。このときの不織繊維集合体の厚さは3mm、山の高さは13mmであった。
得られたプリーツフィルターについて、圧縮率、濾過精度、圧力損失、濾過ライフ(水)、耐圧、表面積、濾過ライフ(グリセリン)を測定した。結果を表1、表2に示す。
比較例5のプリーツフィルターは、実施例4と比べて、濾過精度が大きく、耐圧が低いものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】