特許第6560616号(P6560616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6560616
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】フライ麺塊の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20190805BHJP
   A23L 7/113 20160101ALI20190805BHJP
【FI】
   A23L7/109 B
   A23L7/113
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-541629(P2015-541629)
(86)(22)【出願日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】JP2014077031
(87)【国際公開番号】WO2015053350
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-212144(P2013-212144)
(32)【優先日】2013年10月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】田中 充
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−034941(JP,A)
【文献】 特開平05−328923(JP,A)
【文献】 特開昭52−064445(JP,A)
【文献】 特開昭53−015448(JP,A)
【文献】 実開昭59−092689(JP,U)
【文献】 実開昭62−070791(JP,U)
【文献】 特開昭53−050350(JP,A)
【文献】 特開昭50−004269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/109−7/113
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/WPIDS(STN)
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ形状のカップ状容器に封入された状態において、外部からの衝撃によるカップ内での反転が抑制される、テーパ形状であって上部に平坦部を有するフライ麺塊の製造方法であって、
α化後の麺線群を蓋付きリテーナに収納し、リテーナ高さの10%〜80%をフライオイルに浸漬し、当該フライオイルに浸漬した状態で所定時間保持することによって麺線群の下端部分をフライすることにより、フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する工程の後に、リテーナ全体をフライオイル中に浸漬する工程を含む、フライ麺塊の製造方法。
【請求項2】
請求項に記載の製造方法により製造されるフライ麺塊。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法により製造されるフライ麺塊をテーパ形状のカップ状容器に収納した即席カップめん。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップに収納した場合に、輸送や保管時に受ける物理的衝撃によってもフライ麺塊の反転が抑制されたフライ麺塊に関する。
【背景技術】
【0002】
フライされた麺塊が収納されたカップ入り即席麺(即席カップめん)は、常温での長期保存が可能で、調理が簡便、かつ安価に提供される優れた加工食品である。カップ入り即席麺は、カップ状容器内の側面部にフライ麺塊の側面が当接する形態で麺塊が封入されている場合が多い。
【0003】
このカップ入り即席麺において、稀ではあるが、流通時などに受ける容器外部からの想定外の物理的衝撃により、フライ麺塊の下部が破損し、容器内部で麺塊が移動し、麺塊が傾いたり、上面と底面がひっくり返る、いわゆる反転が起こる場合が報告されている。
フライ麺塊が反転してしまうと、フライ麺塊上部に添加された乾燥具材などが麺塊下部の空間へ落ち込み、復元後も具材が麺の下へ埋もれるため、喫食時の見栄えが悪くなり、商品価値を低下させるものとなる。このような問題点を解決する先願技術はいまのところ開示されていない。
【0004】
尚、関連する先行技術として、麺塊と当該麺塊の上部に具材等を配置した状態のまま、深絞り型の軟包材に脱気封入してコンパクトな状態とする包装即席食品が開示されている(特許文献1)。本包装即席食品であれば、具材等の位置を確保しやすい。但し、喫食時に別途準備したカップ状容器に深絞りを拡張し該調理に必要とする内容積を確保する必要があり、また、深絞り型の軟包材を必要とする難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国・特許第4904147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、即席カップめんの流通時に予期できない想定以上に強い物理的衝撃が加わった場合でもフライ麺塊の反転を抑制できる技術を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
フライ処理される即席麺に使用されるフライ麺塊の製造工程においては、通常、小麦粉等の粉体より調製し、切出した麺線群を蒸煮してα化した後、着味等の処理を適宜施した後、多孔性の型枠であるリテーナに麺線群を収納し、フライオイル中にリテーナを浸漬してフライしてフライされた麺塊を調製する。
本発明者らはこれらの工程を再度検討した結果、α化後の麺線群をリテーナに収納し、麺線群の下端部分をフライすることにより、フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する工程を経れば、その後の工程によらず、カップ状容器に封入された状態において、外部からの衝撃によるカップ内での反転が抑制されるフライ麺塊となることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本願第一の発明は、
「カップ状容器に封入された状態において、外部からの衝撃によるカップ内での反転が抑制されるフライ麺塊の製造方法であって、
α化後の麺線群をリテーナに収納し、麺線群の下端部分をフライすることにより、フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する工程を含むことを特徴とするフライ麺塊の製造方法。」、である。
【0009】
次に、上記の底面下端部の保形性を確保する工程の後に、リテーナ全体をフライオイル中に浸漬する工程を採用すると好ましい。
すなわち、本願第二の発明は、
「前記フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する工程の後に、リテーナ全体をフライオイル中に浸漬する工程を含む、第一の発明に係るフライ麺塊の製造方法。」、である。
【0010】
さらに、出願人は第一または第二の発明に係る方法で製造されるフライ麺塊も意図している。すなわち、本願第三の発明は、
「第一または第二の発明に係る製造方法により製造されるフライ麺塊。」、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフライ麺塊をカップ状容器に収納することで、反転を抑制できるカップ入り即席麺とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】カップ状容器の例を示した斜視図である。(a)開口部が円形タイプ(b)開口部が四角形のタイプ(c)開口部が広いどんぶり形のタイプ。
図2】カップ状容器の例の正面断面図である。(a)縦型カップ(b)どんぶり形カップ。
図3】(a)フライ麺塊の正面模式図である。(b)カップ状容器にフライ麺塊が収納された状態の断面模式図である。
図4】(a)リテーナの例の斜視図である。(b)蓋の例の斜視図である。
図5】リテーナの下方部をフライオイルに浸漬する場合のフライ工程を示す模式図である。
図6】リテーナの下方部をフライオイルに浸漬した後、リテーナ全体をフライオイルに浸漬してフライする場合のフライ工程を示す模式図である。
【符号の説明】
【0013】
1:カップ状容器
2:フライ麺塊(麺線群)
3:乾燥具材
4:粉末スープ
5:リテーナ本体
6:蓋
7:フライオイル
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための形態について説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0015】
─カップ状容器─
本発明に使用するカップ状容器とは、種々の形態を含む。開口部については図1(a)に示すように円形が主であるが、これに限定されるものではなく、図1(b)の四角形や五角形であってもよい。また、開口部の比較的小さな縦型カップのみならず、図1(c)に示すような開口部の大きなどんぶり形の容器であってもよいことはもちろんである。
また、特に図2(a)、(b)に示すように胴部が容器の開口部に向かって開拡状に広がっている略テーパ形状を有するカップ状容器が好適に使用できる。また、この場合のテーパ角については特に限定されるものではないが、概ね3゜〜15゜程度である。
本発明におけるカップ状容器は縦長のタイプの容器に好適に利用することができるが、これに限定されるものではない。
【0016】
尚、カップの材質は特に限定されるものではない。紙、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の種々の素材を用いることができる。但し、本発明の効果の点においてはポリプロピレン製のカップを使用すると特に好適である。
【0017】
─フライ麺塊─
本発明にいうフライ麺塊とは、後述するフライ工程を経て製造される即席麺塊である。フライ麺塊は常法によって調製することができる。具体的には、小麦粉等原料粉に、副原料、練り水を加えて混練した後、圧延・切出して麺線とするか、押出して麺線とした後、麺線を蒸煮又は茹でてα化処理し、必要に応じて着味した後、これをリテーナに入れてフライ処理を行って乾燥処理し、フライ麺塊を完成させる。
【0018】
─カップ状容器に封入されたフライ麺塊─
本発明のフライ麺塊は種々の形状が可能であるが、上述のカップ状容器の開口部(胴部)の形状と同様の形状とすることが好ましい。すなわち、開口部(胴部)が円形であれば、麺塊の胴部が円形であり、開口部が多角形であれば当該多角形の形状とすることが好ましい。このようにすることで麺塊とカップ状容器の少なくとも一部の胴部を当接させ、カップ状容器内でのフライ麺塊の揺動を抑制することができる。
【0019】
特に、カップ状容器がテーパ形状を有している場合、前記フライ麺塊についても、同様か又は容器のテーパ角よりもわずかに大きめのテーパ形状を有する麺塊とし、さらに、当該カップ状容器の中間付近位置で該麺塊側面と該カップ状容器内側面とが当接して保持されるような構成とすることが好ましい(図3(a)、(b))。このようにカップ状容器(1)内で、麺塊(2)が容器の底に着かずに中空保持される構造とすれば、麺塊(2)が容器(1)内で固定されて動きにくく、注湯した場合に熱湯が麺塊底面にも回るため、湯戻り性が向上する。
尚、麺塊(2)上には具材(3)やスープ(4)を載置してもよいことは勿論である(図3(b))。尚、図3(b)には、粉末状のスープが載置される場合を示しているが、本発明はこれらの態様に限定されず、別途小袋に封入した液体や粉末スープを添付してもよい。
【0020】
─外部からの衝撃によるカップ内での反転が抑制される─
カップ状容器内にフライ麺塊を収納したカップ入り即席麺の場合、輸送等の場合に種々の衝撃が加わる場合がある。すなわち、輸送等における落下や衝撃又は店頭における処理時における落下等の場合である。
【0021】
このような場合においては、このような流通時などに受ける容器外部からの想定外の物理的衝撃により、フライ麺塊の下部が破損し、容器内部で麺塊が移動し、麺塊が傾いたり、上面と下面がひっくり返る、いわゆる反転が起こる場合がある。すなわち、麺塊が反転してしまうと、麺塊上部に添加された乾燥具材や粉末スープなどが麺塊下部の空間へ落ち込み、復元後も具材が麺の下へ埋もれるため、喫食時の見栄えが悪くなる。特に、当該カップ状容器の中間位置で該麺塊側面と該カップ状容器内側面が当接して保持されるような構成の場合、麺塊の表面に乾燥具材を配置して湯戻し後も麺塊の表面に具材等が載置された状態で喫食できることが予定されているため、麺塊の傾きやひっくり返りは可能であれば、避けることが好ましい。本発明による製造方法におけるフライ麺塊を用いることで上述の"反転"を抑制できる。
【0022】
尚、上述のように本発明にいう"反転"とは、麺塊がカップ内で上面と下面がひっくり返る状態のみならず、カップ内の水平面に対して概ね角度20゜程度以上の傾きを有する場合を含む。これらの傾きを有する場合も本発明の反転に含まれるものとする。
次に本発明のフライ麺塊の製造工程を説明する。
【0023】
─麺線群のα化─
本発明においてはα化後の麺線群をフライ処理する。具体的には、小麦粉等原料粉に、副原料、練り水を加えて混練した後、圧延・切出して麺線を調製する。当該麺線を蒸煮又は茹でる等の方法によりα化処理する。尚、α化には過熱蒸気やその他の種々の方法を用いてもよい。
【0024】
─リテーナへの収納─
フライの工程は、α化された麺線を120℃〜170℃程度の油中を1〜3分間程度通過させることにより、油熱乾燥させる工程である。
そして、上記フライの工程においては、麺線を収納し、図4(a)に示すようにフライするためのリテーナと称される多孔性(通液性)の金属製型枠が用いられる。当該リテーナについては様々なタイプを用いることができる。一般には、当該リテーナ本体(5)は麺線を収納する複数のカップ型枠が連続して配置され一体となる場合が多い。また、図4(b)に示すように当該リテーナ本体のそれぞれのカップ型枠の開口部に対応し、複数の蓋部が連続して配置され一体となった多孔性(通液性)の蓋(6)が用いられる場合が多い。
【0025】
α化された麺線群がリテーナ本体(5)に収納され、当該リテーナ本体部の上部に蓋(6)が載置され、フライオイル内に浸漬されてフライ処理が行われる。リテーナ本体内には、α化後の麺線群をリテーナ容器内の6〜8分目以上を収納することが好ましい。収納する麺線の量が多い方が、後述するリテーナ全体をフライオイル中に浸漬する場合においてフライ麺塊の上面を平坦にすることが容易となる。
【0026】
─フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する─
本発明においては、柔軟性のある麺線群をリテーナに収納し、まずフライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する。これによって外部の衝撃対してもフライ麺塊の下部の破損を防止し、容器内部で麺塊が移動し、麺塊が傾いたり、上面と底面がひっくり返る、いわゆる"反転"現象を防止することができる。
【0027】
フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保する方法としては、特に限定されるものではない。一旦、底面下端部の保形性を確保すればどのように処理してもよい。
例えば一例として、図5に示すようなリテーナ本体(5)の下方部のフライオイル(7)への浸漬によるフライ処理方法がある。すなわち、麺線群を収納したリテーナ本体(5)にα化後の麺線群(2)を収納した状態で上部に蓋(6)をしてフライオイル(7)中に浸漬する。ここで、本発明ではリテーナ本体(5)の下方部のみをまず、フライオイル(7)に浸漬する。この場合、リテーナ本体(5)内の麺線群(2)がリテーナ底面より遊離しない状態でフライすることが好ましい。
【0028】
上記のようなリテーナ本体の下方部のフライオイルへの浸漬方法以外にも、麺線群が収納されたリテーナの下方部から高温のフライオイルを吹き付けて、リテーナ底部に設けられた孔を介してフライオイルを供給することにより、麺線群の底部下端部分をフライして保形性を確保することも可能である。
これらの方法によって、フライ麺塊の下端部分が、密な状態となり保形性が確保される。フライオイルへのリテーナ下方部の浸漬は特に限定されないが、リテーナ高さの10%〜80%程度であれば好ましい。さらに好ましくは、30〜70%程度である。具体的には、深さが45〜65mm程度のリテーナであれば、概ね10〜40mm程度であることが好ましい。
また、フライ時間はフライオイルのフライ温度等によって異なるが、フライ温度が140℃〜180℃であれば概ね10秒〜60秒である。特に、20秒〜50秒程度が好ましい。さらに好ましくは、20秒〜40秒程度である。
【0029】
このようにリテーナの下方部をフライオイルに浸漬した状態で所定時間の保持することによりフライ麺塊の下端部分の保形性が確保される。尚、上記の工程は、複数回のステップで徐々にフライオイル中に浸漬する方法でもよい。例えば、麺線群を収納し蓋を施したリテーナを所定時間(5〜20秒程度)ごとに5〜15mm段階的にフライオイル中に深く浸漬して行き、その後、リテーナ全体をフライオイル中に浸漬し、所定時間フライする方法も可能である。
【0030】
さらに、ステップではなく徐々にリテーナをフライオイル中に深く浸漬していきフライ後のフライ麺塊の下端部分の保形性を確保してもよい。例えば、1〜5mm/秒程度の速度で5秒〜40秒程度、フライ開始からフライオイル中への浸漬を徐々に深くしていくという方法も可能である。フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保した後、リテーナ全体をフライオイル中に浸漬するか、フライオイルを上部から滝がけする等の種々の方法により麺塊全体のフライを完了することができる。フライ麺塊の底部下端部の保形性を確保した後であれば様々な工程を採用することが可能である。
【0031】
また、リテーナ全体をフライオイル中に浸漬する場合、リテーナに収納された麺線群のうち、フライオイル中に浸漬されていない上部の麺線群がフライ中によってリテーナ内で上方に移動して蓋部で平坦部を形成しながらフライさせることが好ましい(図6)。
尚、本発明による製造方法を採用することにより、フライ麺塊のフライ時間を短縮できるという効果も奏することできる。
【0032】
すなわち、図6に示すようにリテーナ本体(5)全体をフライオイル中に浸漬することで麺線群(2)がフライされながら上部に浮上し、リテーナ上部に載置された蓋(6)に押圧され、蓋(6)で平坦部を形成する。尚、この場合、すでにフライ処理されて保形性を有するフライ麺塊(2)の下端部分も浮上する場合もあるが、下端部の保形性が確保されている限り、麺線群がどのような動きをしてもよい。
【0033】
─カップ状容器への封入─
上述の製造方法により製造されたフライ麺塊については蓋をはずした後、リテーナ本体よりフライ後のフライ麺塊を取り出す。取り出し方法としては、種々の方法がありうるが連続のラインであればリテーナを反転させてリテーナから麺塊を分離したり、反転時に衝撃を与えてリテーナからの分離を促進させてもよい。
【0034】
当該リテーナより分離したフライ麺塊についてカップ状容器に収納する。上述のようにこの場合には、麺塊をカップ状容器の胴部に保持する中空保持とするタイプが好ましい。
その後、乾燥具材や、粉末スープ又は別袋の液体スープを収納し、上部をヒートシール等によって蓋をしてカップ入り即席麺が完成する。
完成後のカップ入り即席麺については適宜、ポリプロピレンやポリエチレン等のシュリンクフィルムで包装してもよいことはもちろんである。
【実施例】
【0035】
以下に本願発明の実施例を記載する。本願発明の実施例はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)(本願製法の場合)
リテーナ本体として、長方形状の枠体に、予め製造した金属性のカップ型枠の4つを一列に連続して並べ(四連)、カップ型枠の隣接する部分と枠体を溶接してリテーナ本体を準備した。当該リテーナ本体のカップ型枠の開口部の内径は90mm、底部の内径は74.2mm、深さは62mmであり、底部に細孔が多数設けられている。
使用したα化麺線は以下のように調製した。小麦粉10重量部とデンプン1重量部を混合し、当該粉体1kgに対して、食塩、かんすい等を溶解させた水340mlを加えて、混練・複合・圧延した。得られた麺帯を18番手の切刃で麺線を切出し、約2分間蒸煮した後、カットした後、食塩を含む着味液を付加したα化後の麺線100gを調製した。
当該α化後の麺線100gを前記のリテーナ本体に収納し、金属製の蓋を被せた。当該蓋をしたリテーナ本体を温度150℃のフライヤーのフライオイル中に、フライオイルに浸漬されるリテーナ本体の下方部がリテーナ本体の底面から約30mmとなるように浸漬し、この状態で30秒間保持した。その後、リテーナ本体に被せられた蓋までフライオイル中に浸漬するようにリテーナ本体をフライオイル中に浸漬し、約1分40秒保持してフライ処理を行い、フライ麺塊を調整した。
調製されたフライ麺塊を開口部の内径96mm、底面部内径68mm、高さ107mmのポリプロピレン製のカップ状容器に収納して、上部を紙及びアルミニウム層を含む蓋でヒートシールして封鎖して、カップ入り即席麺を調製した。
【0037】
(比較例1)
麺線を収納後のフライリテーナ本体をフライオイル中にその全部を浸漬させて、約2分10秒浸漬して、フライし、フライ麺塊を調製した点を除いては実施例1と同様である。
【0038】
─試験方法─
比較例1及び実施例1の方法のそれぞれで製造したカップ入り即席麺10個のそれぞれについて、底面→右側面→左側面→上面の順にそれぞれを下向きとした状態で30cmの高さから床に落下させ強制的に衝撃を加えた。さらに、同様のサイクルを2順行い、計12回強制的に衝撃を加えた。次に、カップ入り即席麺の蓋部をすべて開封して内部の麺塊の状態について調べた。評価は以下の3種類で評価した。
○:麺の傾き無し
△:麺がカップ内で傾きあり(水平面に対して20゜以上)
×:麺の傾きが大きく横向き程度以上(水平面対して50゜以上)
10点のサンプルのうち、それぞれに該当する点数を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】
実施例1の場合の方がカップ内においてフライ麺塊が傾いたりや横向きとなることが大幅に抑制されることが判明した。
【0040】
本出願は、2013年10月9日出願の日本特許出願・出願番号2013―212144に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6