(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スラリーについて動的光散乱法による散乱光強度から求めた前記スラリーに含まれる粒子の分散数平均粒子径が166.5nm以上188.4nm以下である請求項1記載の固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法。
前記第2粒子は、水または水を含む分散媒と、前記分散媒中の分散平均粒子径が20nm以下であるジルコニア粒子と、前記分散媒に溶解した希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属イオンのいずれか一方または両方と、を含むジルコニア酸性分散液に、炭酸アルカリ溶液を添加して中和沈殿物を生成し、
前記中和沈殿物を乾燥させた後、前記中和沈殿物を400℃以上かつ600℃以下の温度にて熱処理し、
得られた熱処理物から炭酸アルカリ成分を除去することで得られる請求項1または2に記載の固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[固体酸化物燃料電池用電解質、固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法]
本実施形態の固体酸化物燃料電池用電解質は、下記(a),(b)とバインダーと分散媒とを含み、下記(c),(d)を満たすスラリーを塗布して形成される塗膜を焼成してなる固体酸化物を有する。
(a)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である第1粒子
(b)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、水または水を含む分散媒中の分散数平均粒子径が1nm以上20nm以下である第2粒子
(c)前記スラリーにおける前記第1粒子の走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径aと前記第2粒子の分散数平均粒子径bとの比が、b/a=5〜100
(d)前記スラリーについて動的光散乱法による散乱光強度から求めた前記スラリーに含まれる粒子の分散数平均粒子径が50nm以上250nm以下
【0022】
また、本実施形態の固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法は、下記(a),(b)とバインダーと分散媒とを含み、下記(c),(d)を満たすスラリーを塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を1150℃以上1300℃以下の温度条件で焼成する工程と、を有する。
(a)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である第1粒子
(b)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、水または水を含む分散媒中の分散数平均粒子径が1nm以上20nm以下である第2粒子
(c)前記スラリーにおける前記第1粒子の走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径aと前記第2粒子の分散数平均粒子径bとの比が、b/a=5〜100
(d)前記スラリーについて動的光散乱法による散乱光強度から求めた前記スラリーに含まれる粒子の分散数平均粒子径が50nm以上250nm以下
【0024】
<第1粒子、第2粒子>
本実施形態で用いる第1粒子および第2粒子は、ジルコニア微粒子中に希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方を固溶してなるジルコニア複合微粒子である。第1粒子および第2粒子は、同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
【0025】
このようなジルコニア複合粒子として、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)やスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)が挙げられる。
YSZの場合、イットリアの固溶量は6mol%〜15mol%、好ましくは8mol%〜10mol%である。またScSZの場合、スカンジアの固溶量は8mol%〜12mol%、好ましくは9mol%〜11mol%である。上記の範囲以外では酸素イオン導電性を有する立方晶を形成することが困難となる。上記の条件を満たしていれば市販されている粉末を使用しても構わない。
【0026】
第1粒子は走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である。第1粒子の平均粒子径は走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社、型番:S−4800)を用いて観察した300個の粒子の個数平均粒子径である。
第2粒子は、水または水を含む分散媒中の分散数平均粒子径が1nm以上20nm以下である。
【0027】
なお、本明細書において、「分散数平均粒子径」は、レーザー光の散乱による動的光散乱法を原理とする方法で測定した値から、ストークス−アインシュタイン式に基づいて求めた値を採用する。
【0028】
(分散液)
上述の第1粒子の分散液については、例えば、上記第1粒子を構成するジルコニア粒子を分散媒中に分散させ、分散剤を添加し、得られる分散液についてビーズミルを用いて分散処理を施すことにより、作製することができる。第1粒子の分散液の濃度は15質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0029】
分散媒は、エタノールやイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒、トルエンなどの芳香族化合物系溶媒など、非水溶媒を用いる。また必要に応じてα−テルピネオール等の高沸点溶媒を配合してもよい。
【0030】
分散剤としては、金属元素を含まないアセチルアセトンやポリカルボン酸などの有機物を用いる。
【0031】
ビーズミルによる分散処理では、メディア径0.6μm以下のビーズを使用し、周速4m/s以上で2時間以上行うことが好ましい。
また、分散処理はビーズミルを用いた方法に限らず。超音波ホモジナイザーや液体ジェットミルを用いた方法であってもよい。またこれらの方法を組み合わせもよい。
【0032】
上述の第2粒子の分散液については、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属イオンのいずれか一方または両方を含むジルコニア酸性分散液に、炭酸アルカリ溶液を添加して中和沈殿物を生成する中和沈殿物生成工程と、この中和沈殿物を乾燥し、この乾燥した中和沈殿物を400℃以上かつ600℃以下の温度にて熱処理する熱処理工程と、得られた熱処理物を水にて洗浄し、炭酸アルカリ成分を除去する炭酸アルカリ除去工程とを経て作製される。なお、得られる粒子の粒子径を制御することで、同様の方法により第1粒子の分散液を作製することも可能である。
【0033】
これらの各工程について、詳細に説明する。
【0034】
(ジルコニア酸性分散液の作製)
まず、結晶性のジルコニア微粒子を含むジルコニア分散液を用意する。
この結晶性のジルコニア微粒子は、水熱合成法や焼成法により作製することができ、例えば、次に挙げる方法が好適である(特開2006−16236号公報参照)。
【0035】
この方法は、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させて金属酸化物前駆体を生成させ、この金属酸化物前駆体から金属酸化物ナノ粒子を製造する方法であり、この金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、この塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらm及びnが次式
0.5<n<m ……(1)
を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液部分中和させ、次いで、この部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶液とし、この混合溶液を加熱する方法である(特開2006−16236号公報参照)。
【0036】
第2粒子を製造する場合、このジルコニア分散液におけるジルコニア微粒子の分散平均粒子径は、20nm以下であることが好ましい。
上記のジルコニア微粒子中に、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方を低温にて均一に固溶させるためには、この工程で得られる中和沈殿物中の結晶性のジルコニアの分散状態と、その粒子径が重要であり、特に、酸性の分散液におけるジルコニアの分散平均粒子径が20nm以下であることが必要である。その理由は、ジルコニアの分散平均粒子径が20nmを超えてしまうと、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア微粒子中に固溶せずに、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方の酸化物や炭酸化物が生成してしまい、その結果、ジルコニア微粒子と、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方の酸化物や炭酸化物との混合物が生成されてしまうからである。
【0037】
次いで、このジルコニア分散液に、塩酸、硝酸、酢酸等の酸を添加し、この分散液のpH(水素イオン濃度)を2以上かつ5以下、好ましくは2以上かつ4以下に調製し、ジルコニア酸性分散液とする。
この分散液のpHを5以下としたのは、ジルコニア微粒子の凝集を防いで良好な分散状態を保つためである。
ここで、pHが5を越えると、ジルコニア微粒子の凝集が生じ、以後の反応において希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方を固溶させた場合に、固溶が不均一となってしまうので好ましくない。
一方、pHが低いと、ジルコニア微粒子の分散については特段の問題は無いが、後の中和沈殿物生成時に必要となる炭酸アルカリ量が増加し、生産性の低下や製造コストの上昇を招くため、必要以上にpHを下げることは好ましくない。
これらの理由から、ジルコニア分散液のpHを2以上かつ5以下とする。
【0038】
次いで、このジルコニア酸性分散液に、希土類元素化合物およびアルカリ土類金属化合物のいずれか一方または両方、すなわち希土類元素の塩化物、硝酸塩、酢酸塩等の希土類塩、アルカリ土類金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩等のアルカリ土類金属塩、等の塩類を含む溶液を添加し、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属イオンのいずれか一方または両方が共存するジルコニア酸性分散液を作製する。
【0039】
ここで、希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、及びランタノイドのランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)の計17個の元素群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。
アルカリ土類金属としては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)の計6個の元素群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。
【0040】
この希土類元素及びアルカリ土類金属の添加量は、希土類元素及びアルカリ土類金属の酸化物(MOまたはM
2O
3:Mは希土類元素またはアルカリ土類金属)換算で、
(MOまたはM
2O
3)/(ZrO
2+MOまたはZrO
2+M
2O
3)=2mol%〜20mol%の範囲が好ましい。
ただし、この希土類元素及びアルカリ土類金属の添加量は、対象となる構造セラミックス部材、固体酸化物形燃料電池部材、センサー部材等に合わせて、最適な添加量を選択する必要がある。
【0041】
この分散液における、ジルコニア微粒子と、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属イオンのいずれか一方または両方との合計量の濃度は、酸化物換算で0.5質量%以上かつ10質量%以下の範囲が好ましい。
その理由は、合計量の濃度が0.5質量%未満であると、生産性が低下し、実用的でなく、一方、合計量の濃度が10質量%を超えると、後述する炭酸アルカリ添加後のスラリーの粘度が高くなり、得られた中和沈殿物が不均一な組成となるからである。
【0042】
(中和沈殿物の生成)
上記の希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属イオンのいずれか一方または両方が共存するジルコニア酸性分散液に、炭酸アルカリ溶液を添加し、中和沈殿物を生成する。
炭酸アルカリとしては、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムが好ましい。これらの炭酸アルカリは、400℃〜600℃の温度範囲では蒸発・溶融することがなく、また、上記の中和沈殿物と反応物を生じる虞がない。
【0043】
この炭酸アルカリは、中和沈殿物中に残留することにより、400℃〜600℃の温度にて熱処理された際に、ジルコニア微粒子同士の融着を防止する効果がある。
この炭酸アルカリの添加量は、上記の事情を勘案して、ジルコニア微粒子に対して50質量%以上かつ500質量%以下が好ましい。添加量が50質量%を下回ると、ジルコニア微粒子同士の融着が生じ易くなり、分散性が低下してしまうので好ましくない。また、500質量%を超えても、得られる希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方が固溶したジルコニア微粒子の性状は、500質量%以下の添加量で得られるものと何等代わりがなく、しかも、生産性の低下や製造コストの上昇を招くので好ましくない。
【0044】
この炭酸アルカリ溶液における炭酸アルカリの濃度は、0.5質量%以上かつ10質量%以下の範囲が好ましい。
その理由は、濃度が0.5質量%未満であると、生産性が低下し、実用的でなく、一方、濃度が10質量%を超えると、後述する炭酸アルカリ添加後のスラリーの粘度が高くなり、得られた中和沈殿物が不均一な組成となるからである。
【0045】
炭酸アルカリ溶液の添加方法としては、特に制限するものではないが、例えば、添加混合時の温度は、室温の範囲が好ましく、例えば、5℃〜40℃程度である。また、混合方法については、攪拌機で分散液を攪拌しながら炭酸アルカリ溶液を滴下させる方法、あるいは炭酸アルカリ溶液をスプレー等により噴霧状にして分散液に添加する方法等が挙げられる。
【0046】
(熱処理)
上記にて得られた中和沈殿物を乾燥する。
この中和沈殿物に含まれる炭酸アルカリは、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属イオンのいずれか一方または両方が共存するジルコニア微粒子の分散液の中和剤として作用するとともに、同時に、熱処理時のジルコニア微粒子同士の融着を防止する作用も有するので、炭酸アルカリを中和沈殿物中に均一に残留させることが重要となる。
例えば、炭酸アルカリを中和沈殿物中に均一に残留させる方法としては、炭酸アルカリを含む中和沈殿物スラリーを、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥させるスプレードライ法等を挙げることができる。
【0047】
次いで、得られた乾燥物を、例えば、電気炉等を用いて、大気雰囲気中、400℃以上かつ600℃以下、好ましくは450℃以上かつ550℃以下の最高保持温度にて、30分以上かつ120分以下の時間、熱処理することにより、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア微粒子中に固溶する。
【0048】
ここで、熱処理の最高保持温度を400℃以上かつ600℃以下と限定した理由は、最高保持温度が400℃より低いと、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方の炭酸化合物が生成して、希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方が固溶したジルコニア微粒子が得られず、一方、最高保持温度が600℃を超えると、ジルコニア微粒子同士の融着が生じてしまうからである。
【0049】
(炭酸アルカリの除去)
上記の熱処理により得られた熱処理物を水にて洗浄し、炭酸アルカリ成分を除去する。
この工程では、熱処理物から炭酸アルカリに由来するアルカリイオンを除去するために、この熱処理物を純水中に投入・撹拌して懸濁液とすることにより、この熱処理物中の炭酸アルカリ成分をイオン化させ、次いで、この懸濁液に塩酸、硝酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸等の酸を加えてpH2〜5の酸性懸濁液とし、この酸性懸濁液に、限外濾過装置等の洗浄装置を用いて、純水を加えながらアルカリイオンを除去する。
以上により、ジルコニア微粒子中に希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方を固溶してなるジルコニア複合微粒子、すなわち本実施形態における第2粒子が得られる。
【0050】
第2粒子の分散液は、上記のジルコニア複合微粒子(第2粒子)を、水または水を含む分散媒中に分散平均粒子径20nm以下にて分散してなる分散液である。
水を含む分散媒は、水を主成分とし、有機溶媒、液状の樹脂モノマー、液状の樹脂オリゴマーのうち1種または2種以上を含有したものである。
【0051】
上記の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0052】
上記の液状の樹脂モノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系またはメタクリル系のモノマー、エポキシ系モノマー等が好適に用いられる。
また、上記の液状の樹脂オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、アクリレート系オリゴマー等が好適に用いられる。
【0053】
このジルコニア複合微粒子分散液における希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方を固溶してなるジルコニア微粒子の分散平均粒子径は、上記のジルコニア分散液と同様の理由により、20nm以下であることが好ましい。
このジルコニア複合微粒子分散液のpHは、2以上かつ5以下が好ましく、より好ましくは2以上かつ4以下である。
このジルコニア複合微粒子分散液における希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方を固溶してなるジルコニア微粒子の濃度は、0.5質量%以上かつ10質量%以下の範囲が好ましい。
その理由は、濃度が0.5質量%未満であると、生産性が低下し、実用的でなく、一方、濃度が10質量%を超えると、この分散液の濃度が高くなるために分散性が低下し、このジルコニア複合微粒子分散液を用いて得られる製品の品質が低下するからである。
【0054】
<分散媒>
第1粒子と第2粒子とを分散させる分散媒としては、上記第2粒子の分散液で用いることができるものとして示した分散媒を挙げることができる。
【0055】
<スラリー>
本実施形態の固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法で用いるスラリーは、上記第1粒子および第2粒子を上記分散媒に分散させて得られる。具体的には、第1粒子を含む分散液に、第2粒子を含む分散液を添加し、分散させることにより得られる。
【0056】
第2粒子を含む分散液は、第1粒子のスラリーに含まれる第1粒子の質量を100質量%としたときに、第2粒子が0.1質量%〜40質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲となる量を添加する。
【0057】
スラリー中の第1粒子および第2粒子の含有量は、スラリーに含まれる粒子全体について動的光散乱法による散乱光強度から求めた分散数平均粒子径が50nm以上250nm以下となるように制御されていればよい。
【0058】
第1粒子については、71.4質量%以上99.9質量%以下であり、80質量%以上99.8質量%以下が好ましく、90質量%以上99.8質量%以下がより好ましい。
【0059】
第2粒子については、0.1質量%以上28.6質量%以下であり、0.2質量%以上20質量%以下が好ましく、0.2質量%以上7.5質量%以下がより好ましい。
【0060】
また、スラリーの固形分濃度は、10質量%以上35質量%以下が好ましく、15質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0061】
スラリーには、さらにバインダーを添加する。
バインダーとしてはエチルセルロースやポリビニルブチラール等の公知の物を使用する。バインダーは1種類であってもよく、分子量の異なる2種以上を併用してもよい。また添加量は、第1粒子及び第2粒子の合計重量に対して1質量%〜20質量%であると好ましく、5質量%〜15質量%であるとより好ましい。
【0062】
また、スラリーには、必要に応じてフタル酸ジブチル等の可塑剤を添加してもよい。可塑剤が添加されていると、塗膜の柔軟性を向上させ、塗膜の割れを抑制することができる。
【0063】
このようにして得られたスラリーは、第1粒子の走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径a(nm)と第2粒子の分散数平均粒子径b(nm)との比が、b/a=5〜100である。第1粒子と第2粒子の粒子径の比b/aが=5以下では第1粒子の周りに第2粒子が分布するヘテロ粒子構造が得にくくなり、b/a=100以上では第2粒子に起因する収縮応力の増大とスラリー粘度の上昇による設計の自由度低下するなどのおそれがある。
【0064】
また、得られたスラリーは、動的光散乱法による散乱光強度から求めた前記スラリーに含まれる粒子の分散数平均粒子径が50nm以上250nm以下である。
【0065】
<固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法>
本実施形態の固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法は、上記スラリーを塗布して塗膜を形成する工程と、得られた塗膜を1150℃以上1300℃以下の温度条件で焼成する工程と、を有する。
【0066】
スラリーを塗布する方法としては、公知の方法を採用することができ、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、ディスペンサーコート、ロールコート、刷毛塗りなど、通常知られた方法を例示することができる。
【0067】
スラリーを塗布した後、加熱、送風、減圧またはこれらの組み合わせにより、スラリーの分散媒を除去し、塗膜を形成する。
【0068】
得られた塗膜について、1150℃以上1300℃以下、好ましくは1175℃以上1300℃以下の温度条件で焼成することで、固体酸化物が得られる。得られた固体酸化物は固体酸化物燃料電池用電解質として用いることができる。
【0069】
この際、スラリーを塗布する基材の形成材料として、NiO−YSZ、NiO−ScSZ、NiO−GDC等の、燃料極の材料として知られたものを採用することにより、燃料極の表面に固体電解質を作製すると同時に、燃料極と固体電解質とを一体化させることができる。
【0070】
ここで、上記スラリーに含まれる第2粒子は、第1粒子と比較して焼結温度が低い。そのため、第1粒子の近傍に第2粒子が均一に存在していると、第2粒子が焼結助剤の役割を果たし、第1粒子のみを含む電解質スラリーを用いた場合と比べて低温の焼成温度であっても、緻密な固体電解質を形成することができる。
【0071】
本発明によれば、(a)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である第1粒子と、(b)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、水または水を含む分散媒中の分散数平均粒子径が1nm以上20nm以下である第2粒子と、バインダーと分散媒とを含み、(c)前記スラリーにおける前記第1粒子の走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径aと前記第2粒子の分散数平均粒子径bとの比が、b/a=5〜100、(d)前記スラリーについて動的光散乱法による散乱光強度から求めた前記スラリーに含まれる粒子の分散数平均粒子径が50nm以上250nm以下、であるスラリーを塗布して形成される塗膜を焼成してなる固体酸化物を有するため、焼結助剤を用いることなく緻密な固体酸化物燃料電池用電解質を提供することができる。
【0072】
また、本発明によれば、(a)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径が0.1μm以上1μm以下である第1粒子と、(b)希土類元素およびアルカリ土類金属のいずれか一方または両方がジルコニア粒子に固溶し、水または水を含む分散媒中の分散数平均粒子径が1nm以上20nm以下である第2粒子と、バインダーと分散媒とを含み、(c)前記スラリーにおける前記第1粒子の走査型電子顕微鏡で観察した平均粒子径aと前記第2粒子の分散数平均粒子径bとの比が、b/a=5〜100、(d)前記スラリーについて動的光散乱法による散乱光強度から求めた前記スラリーに含まれる粒子の分散数平均粒子径が50nm以上250nm以下、であるスラリーを塗布して塗膜を形成し、焼結助剤を用いることなく1150℃以上1300℃以下の温度条件で焼成することで緻密な固体酸化物燃料電池用電解質が得られる固体酸化物燃料電池用電解質の製造方法を提供することが出来る。
【0073】
[固体酸化物燃料電池]
本実施形態の固体酸化物燃料電池10は、燃料極1と、空気極2と、燃料極1および空気極2に挟持され燃料極1で生じた酸素イオンを燃料極1に伝達可能な固体電解質の層(固体電解質層)3と、を有し、固体電解質層3の形成材料が、上述の固体酸化物燃料電池用電解質であるものである。
【0074】
燃料極1としては、通常知られた形成材料を用いることができる。たとえば、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア(NiO−YSZ)、酸化ニッケル−スカンジウム安定化ジルコニア(NiO−ScSZ)、酸化ニッケル−ガドリニウムドープジルコニア(NiO−GDZ)を用いることができる。
【0075】
空気極2としては、通常知られた形成材料を用いることができる。たとえば、ランタンコバルト−セリア系材料(La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3、LSCF)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)−イットリア安定化ジルコニア(LSM−YSZ)を用いることができる。
【0076】
なお、空気極2の形成材料として、LSCFを用いる場合、空気極2に含まれるLaやSrが固体電解質層3に含まれるYSZやScSZと反応し、高抵抗層を形成するおそれがある。そのため、固体電解質層3と空気極2との間に、このような高抵抗層の形成を防ぐ中間層を形成してもよい。
【0077】
中間層の形成材料としては、たとえば、ガドリニウムドープセリア(GDC)を用いることができる。
【0078】
また、本発明によれば、燃料極と、空気極と、前記燃料極および前記空気極に挟持され前記燃料極で生じた酸化物イオンを前記燃料極に伝達可能な固体電解質と、を有し、前記固体電解質が、上記の固体酸化物燃料電池用電解質であるため、電極における三相界面の減少が抑制され特性の低下が生じにくく、焼結助剤の残存による不具合もない、高品質な固体酸化物燃料電池を提供することができる。
【0079】
以上、本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成の組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
[実施例]
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0081】
(第2粒子の調整:イットリア安定化ジルコニア分散液の調整)
本実施例で用いるイットリア安定化ジルコニア(シングルナノYSZ)分散液は、以下のようにして調整した。
【0082】
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:8nm、住友大阪セメント製)3449.9gに、塩化イットリウム6水和物(YCl
3・6H2O)73.86gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合して希土類元素イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K
2CO
3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下してスラリーを得た。
次いで、このスラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体を作製した。
次いで、この乾燥粉体から200gを採取し、それを、電気炉を用いて400℃にて1時間、熱処理を行った。
【0083】
次いで、この熱処理した粉体を純水3000gに投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に5mol/Lの塩酸を添加してpHを2.0に調整した後、限外濾過装置を用い、純水10Lを加えながら洗浄操作を行った。この洗浄操作は、5回繰り返して実施した。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5mol/Lの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY
2O
3が固溶したジルコニア酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は8nmであった。
【0084】
(第2粒子の調整:スカンジア安定化ジルコニア分散液の調整)
本実施例で用いるスカンジア安定化ジルコニア(シングルナノScSZ)分散液は、以下のようにして調整した。
【0085】
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:8nm、住友大阪セメント製)3644.9gに、塩化スカンジウム6水和物(ScCl
3・6H
2O)66.74gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合して希土類元素イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K
2CO
3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下してスラリーを得た。
次いで、得られたスラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体を作製した。
次いで、この乾燥粉体から200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
【0086】
次いで、この熱処理した粉体を純水3000gに投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に5mol/Lの塩酸を添加してpHを2.0に調整した後、限外濾過装置を用い、純水10Lを加えながら洗浄操作を行った。この洗浄操作は、5回繰り返して実施した。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5mol/Lの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のSc
2O
3が固溶したジルコニア酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は10nmであった。
【0087】
[実施例1]
本発明における第1粒子であるスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ、第一希元素製)に、イソプロピルアルコール(IPA)及び分散剤としてアセチルアセトンを添加して、混合液を作成した。混合液の固形分は30質量%とし、アセチルアセトンの添加量は、スカンジア安定化ジルコニアに対して10質量%とした。
【0088】
得られた混合液について、φ0.3mmジルコニアビーズを用い、ビーズミルにて2500rpm、4時間分散処理を行い、ジルコニア分散液を得た。
【0089】
得られたジルコニア分散液について、第1粒子(ScSZ)の粒子径を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社、型番:S−4800)で確認した。
図2は、得られた第1粒子のSEM写真である。第1粒子の平均粒子径は、SEM写真を用いて観察した300個の粒子の個数平均粒子径として求めた。第1粒子の平均粒子径は、0.15μmであり、0.1μm以上1μm以下の範囲に含まれていた。
【0090】
得られた分散液にポリビニルブチラール(電気化学工業製、型番4000−2、重量平均分子量167000)及び可塑剤としてフタル酸ジブチルを添加した。さらに上述のシングルナノYSZ分散液を、ScSZ粉末100質量%としたときにシングルナノYSZ粒子が2.5質量%となるように添加した。
【0091】
得られた混合液を12時間撹拌してスラリー(電解質スラリー)を作製した。電解質スラリーの固形分は25質量%とした。得られた電解質スラリーについては、レーザー光の散乱による動的光散乱法を原理とする方法で測定した値から、ストークス−アインシュタイン式に基づいて分散平均粒子径を求めた。また、以下の全ての実施例、比較例においても同様にして、分散平均粒子径を求めた。
【0092】
得られた電解質スラリーを用い、ディップコート法を用いてNiO−YSZ製の基材上にScSZ粉末およびシングルナノYSZ粉末を含む膜を製膜し、4時間室温で乾燥させた後、基材とともに1250℃で3時間焼成を行い、実施例1の固体酸化物a−1を作製した。
【0093】
(評価)
作製した固体酸化物1は光学顕微鏡及びSEMにより形態観察を行った。
固体酸化物1を形成した基材上の固体酸化物1の上に、ガドリニウムドープセリア(GDC)のスラリー(中間層スラリー)をディップコーターを用いて塗布し、乾燥させた後、焼成することで中間層を形成した。さらに対極となる空気極スラリーを中間層の上に同様に塗布、乾燥、焼成することで空気極を形成した。空気極の材料としてはランタンコバルト−セリア系材料(LaSrCoFeO
3、LSCF)を用いた。なお中間層は使用する空気極材料によっては形成しなくても良い。セルの燃料極部と空気極部にAgワイヤー及びAgペーストを使用して集電部を形成することでSOFCセルを作製した。
SOFCセルは電気化学測定装置を用いて、開回路電圧(OCV)の測定を行った。OCVは、SOFCセルの作製後、燃料極のNiOをNiに還元した後、電気化学測定装置を用いて測定した。
【0094】
[実施例2]
シングルナノYSZ分散液の代わりに、上述のシングルナノScSZ分散液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の固体酸化物a−2を作製し、評価を行った。
【0095】
[実施例3]
ScSZ粉末に対してシングルナノYSZ粒子が7.5質量%となるようにシングルナノYSZ分散液の添加量を添加したこと、および焼成温度を1150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の固体酸化物a−3を作製し、評価を行った。
【0096】
[実施例4]
ScSZ粉末に対してシングルナノYSZ粒子が0.5質量%となるようにシングルナノYSZ分散液の添加量を添加したこと、および焼成温度を1300℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の固体酸化物a−4を作製し、評価を行った。
【0097】
[実施例5]
ScSZ粉末の代わりに、イットリア安定化ジルコニア(東ソー製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の固体酸化物a−5を作製し、評価を行った。
【0098】
[実施例6]
シングルナノYSZ分散液の代わりに、上述のシングルナノScSZ分散液を用いること以外は、実施例5と同様にして、実施例6の固体酸化物a−6を作製し、評価を行った。
【0099】
[実施例7]
YSZ粉末に対してシングルナノScSZ粒子が7.5質量%となるようにシングルナノScSZ分散液の添加量を添加したこと、混合液を24時間撹拌し、固形分が12質量%の電解質スラリーを作製したこと、および焼成温度を1150℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例7の固体酸化物a−7を作製し、評価を行った。
【0100】
[実施例8]
YSZ粉末に対してシングルナノScSZ粒子が7.5質量%となるようにシングルナノYSZ分散液の添加量を添加したこと、固形分が5質量%の電解質スラリーを作製したこと、および焼成温度を1300℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例8の固体酸化物a−8を作製し、評価を行った。
【0101】
[実施例9]
YSZ粉末としてイットリアが8.5モル%固溶し、分散平均粒子径が0.1μmである粉末を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の固体酸化物a−9を作製し、評価を行った。
【0102】
[比較例1]
本発明における第1粒子であるスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ、第一希元素製)に、イソプロピルアルコール(IPA)及び分散剤としてアセチルアセトン、バインダーとしてポリビニルブチラール(電気化学工業製、型番4000−2、重量平均分子量167000)及び可塑剤としてフタル酸ジブチルを添加した。混合液の固形分は30質量%とし、アセチルアセトンの添加量は、スカンジア安定化ジルコニアに対して10質量%とした。
【0103】
得られた混合液について、φ5mmジルコニアボールを用い、ボールミルにて200rpm、24時間分散処理を行い、ジルコニア分散液を得た。
【0104】
得られた電解質スラリーを用い、ディップコート法を用いてNiO−YSZ製の基材上にScSZ粉末を含む膜を製膜し、4時間室温で乾燥させた後、基材とともに1300℃で3時間焼成を行い、比較例1の固体酸化物b−1を作製した。
【0105】
[比較例2]
本発明における第1粒子であるスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ、第一希元素製)に、イソプロピルアルコール(IPA)及び分散剤としてアセチルアセトン、バインダーとしてポリビニルブチラール(電気化学工業製、型番4000−2、重量平均分子量167000)及び可塑剤としてフタル酸ジブチルを添加した。
【0106】
さらに上述のシングルナノYSZ分散液を、ScSZ粉末に対してシングルナノYSZ粒子
が0.1質量%となるように添加した。混合液の固形分は27質量%とし、アセチルアセトンの添加量は、スカンジア安定化ジルコニアに対して10質量%とした。
得られた混合液について、φ5mmジルコニアボールを用い、ボールミルにて200rpm、24時間分散処理を行い、ジルコニア分散液を得た。
【0107】
得られたジルコニア分散液を用いること以外は実施例1と同様にして、比較例2の固体酸化物b−2を作製し、評価を行った。
【0108】
[比較例3]
ScSZ粉末に対してシングルナノYSZ粒子
が40質量%なるようにシングルナノYSZ分散液の添加量を添加したこと、および焼成温度を1200℃としたこと以外は、比較例2と同様にして、実施例3の固体酸化物b−3を作製し、評価を行った。
【0109】
[比較例4]
ScSZ粉末の代わりにイットリア安定化ジルコニア(東ソー製)を用いたこと以外は比較例1と同様にして、比較例1の固体酸化物b−4を作製し、評価を行った。
【0110】
[比較例5]
ScSZ粉末の代わりにイットリア安定化ジルコニア(東ソー製)を用いたこと以外は比較例2と同様にして、比較例1の固体酸化物b−5を作製し、評価を行った。
【0111】
[比較例6]
ScSZ粉末の代わりにイットリア安定化ジルコニア(東ソー製)を用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較例1の固体酸化物b−6を作製し、評価を行った。
【0112】
評価結果を下記表1、および
図3〜
図18に示す。
図3〜
図11は、実施例1〜9の固体酸化物のSEM写真、
図12〜
図17は、比較例1〜6の固体酸化物のSEM写真、
図18は、実施例1、比較例1,2に係る固体酸化物をそれぞれ用いたSOFCセルについてのOCV曲線である。
【0114】
実施例1〜9の固体酸化物は、光学顕微鏡およびSEMによる観察の結果、気孔の存在が確認できなかった。また、実施例1〜9の固体酸化物は、OCV測定において、1.1V近くの出力を確認できた。上記表1に示すように、実施例1〜9の固体酸化物は、スラリーの分散数平均粒子径が250nm以下であることから、緻密な固体電解質が形成され、比較例1〜6の固体電解質は、スラリーの分散数平均粒子径が300nmを超えるものであることから、緻密な固体電解質が形成されなかったものと考えられる。
【0115】
一方、比較例1〜6の固体酸化物は、光学顕微鏡およびSEMによる観察の結果、気孔の存在が確認された。また、比較例1〜6の固体酸化物は、実施例1〜9の固体酸化物と比べ、OCV測定において出力の低下が確認できた。比較例1〜6の固体酸化物では、気孔から燃料ガスがリークした結果、出力密度や燃料利用率が低下し、特性が低下したものと考えられる。
【0116】
これらの結果から、本発明が有用であることが分かった。