(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弾性及び絶縁性を有する中空の管状部材と、前記管状部材の内側に互いに離間して保持された第1の電極線及び第2の電極線と、前記第1の電極線と前記第2の電極線との間に挟まれた一対の絶縁性の介在部材とを備え、前記管状部材が外部からの圧力を受けた際に弾性変形して前記第1の電極線と前記第2の電極線とが接触する感圧センサであって、
前記第1の電極線及び前記第2の電極線は、前記管状部材の中心軸線に対して平行に延在し、
前記管状部材の中心軸線に対して直交する断面における前記第1の電極線と前記第2の電極線との間の隙間の形状がS字状に湾曲し、
前記一対の介在部材は、前記管状部材と異なる材料で形成され、その一部が前記管状部材の内面に接して設けられると共に、その先端部が前記第1の電極線又は前記第2の電極線に形成された凸部に食い込んでいる、
感圧センサ。
弾性及び絶縁性を有する中空の管状部材と、前記管状部材の内側に互いに離間して保持された第1の電極線及び第2の電極線と、前記第1の電極線と前記第2の電極線との間に挟まれた一対の絶縁性の介在部材とを備え、前記管状部材が外部からの圧力を受けた際に弾性変形して前記第1の電極線と前記第2の電極線とが接触する感圧センサの製造方法であって、
前記第1の電極線及び前記第2の電極線のそれぞれは、金属線と前記金属線を被覆する導電性を有する導電性弾性体とからなり、前記管状部材の中心軸線に対して平行に延在し、
前記一対の介在部材は、前記管状部材とは異なる材料からなり、
前記管状部材の中心軸線に対して直交する断面における前記第1の電極線と前記第2の電極線との間の隙間の形状がS字状に湾曲すると共に、前記一対の介在部材の一部が前記管状部材の内面に接し、且つその先端部が前記第1の電極線又は前記第2の電極線に形成される凸部に食い込むように、前記管状部材と前記第1の電極線及び前記第2の電極線の前記導電性弾性体と前記一対の介在部材とを一括して押し出し成形する、
感圧センサの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を、
図1乃至
図4を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0014】
(感圧センサの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサを示す断面図である。
図2は、感圧センサの構成部材を軸方向の異なる箇所で切断して示す断面斜視図である。
【0015】
この感圧センサ1は、弾性及び絶縁性を有する中空の管状部材10と、管状部材10の内側に互いに離間して保持された第1の電極線21及び第2の電極線22と、第1の電極線21及び第2の電極線22との間に挟まれた一対の介在部材31,32とを備えている。また、感圧センサ1は、管状部材10が外部からの圧力を受けた際に弾性変形して第1の電極線21と第2の電極線22とが接触(短絡)する。
図1では、外部からの圧力を受けていない状態における感圧センサ1を、管状部材10の中心軸線Cに対して直交する断面で示している。
【0016】
管状部材10は、中心軸線Cに直交する断面における形状が円形であり、その長手方向(中心軸線Cに平行な方向)における長さは、例えば1〜2mである。また、管状部材10の外径は、例えば4mmである。管状部材10の材料としては、例えば耐水性、耐薬品性、耐候性、及び耐寒性に優れたエチレンプロピレンゴムを好適に用いることができる。第1の電極線21及び第2の電極線22は、管状部材10の中心軸線Cに対して平行に延在している。
【0017】
第1の電極線21は、金属線210と、金属線210を被覆する導電性を有する導電性弾性体211とからなる。同様に、第2の電極線22は、金属線220と、金属線220を被覆する導電性を有する導電性弾性体221とからなる。
【0018】
第1の電極線21及び第2の電極線22において、複数の金属線210,220は、銅等の良導電性の金属からなる複数(本実施の形態では7本)の素線200を互いに撚り合わせた撚線である。また、導電性弾性体211,221は、例えばカーボンブラック等の導電性充填剤を配合したゴムを架橋した導電エラストマーからなり、外部からの圧力によって管状部材10と共に変形する弾性を有している。
【0019】
一対の介在部材31,32は、絶縁性の弾性体からなる。本実施の形態では、一対の介在部材31,32が絶縁性エラストマーからなる。また、一対の介在部材31,32は、その一部が管状部材10の内面10aに接して設けられている。
【0020】
第1の電極線21と第2の電極線22との間には、隙間Sが形成されている。この隙間Sは、第1の電極線21の導電性弾性体211における第2の電極線22との対向面211aと、第2の電極線22の導電性弾性体221における第1の電極線21との対向面221aとの間の空間である。管状部材10の中心軸線Cに直交する断面における隙間Sの形状は非直線状であり、本実施の形態では、この断面における隙間Sの形状がS字状に湾曲した1本の曲線である。
【0021】
図1に示す断面において、隙間Sの一方の端部は介在部材31によって終端され、他方の端部は介在部材32によって終端されている。隙間Sの幅(第1の電極線21及び第2の電極線22における導電性弾性体211,221の対向面211a,221a間の距離)は、隙間Sの全長に亘って実質的に均一である。以下の説明では、便宜上、隙間Sの第1の電極線21側を上方といい、隙間Sの第2の電極線22側を下方という。また、管状部材10の中心軸線Cに対する介在部材31側を左側といい、管状部材10の中心軸線Cに対する介在部材32側を右側という。
【0022】
第1の電極線21には、下方に向かって突出する凸部21aと、上方に向かって窪む凹部21bとが形成されている。また、第2の電極線22には、上方に向かって突出する凸部22aと、下方に向かって窪む凹部22bとが形成されている。第1の電極線21の凸部21aは、第2の電極線22の凹部22bに入り込んでいる。また、第2の電極線22の凸部22aは、第1の電極線21の凹部21bに入り込んでいる。これにより、感圧センサ1は、中心軸線Cに直交する断面において隙間SがS字状に湾曲し、第1の電極線21及び第2の電極線22の断面形状が中心軸線Cに対して点対称な形状となっている。
【0023】
介在部材31の先端部(中心軸線C側の端部)は第1の電極線21の凸部21aに食い込み、介在部材32の先端部(中心軸線C側の端部)は第2の電極線22の凸部22aに食い込んでいる。また、第1の電極線21の金属線210は、第1の電極線21の凸部21aの中心部に位置し、第2の電極線22の金属線220は、第2の電極線22の凸部22aの中心部に位置している。
【0024】
図3(a)〜(d)は、感圧センサ1が管状部材10の外部から圧力を受けて変形した状態を図示している。これらの
図3(a)〜(d)では、感圧センサ1が受ける圧力の方向をそれぞれ一対の矢印で示している。
【0025】
図3(a)は、感圧センサ1が上下方向の圧力を受けた状態を示している。この状態では、第1の電極線21の凸部21aにおける先端部と、第2の電極線22の凹部22bの底部とが接触すると共に、第2の電極線22の凸部22aにおける先端部と、第1の電極線21の凹部21bの底部とが接触する。
【0026】
図3(b)は、感圧センサ1が左右方向(上下方向に対して直交する方向)の圧力を受けた状態を示している。この状態では、第1の電極線21の凸部21aにおける右側の側面と、第2の電極線22の凸部22aにおける左側の側面とが接触する。
【0027】
図3(c)は、感圧センサ1が左斜め上方と右斜め下方から圧力を受けた状態を示している。この状態では、
図3(b)に示す状態に比較して、第1の電極線21の凸部21aが第2の電極線22の凹部22bの底部側により深く入り込み、かつ第2の電極線22の凸部22aが第1の電極線21の凹部21bの底部側により深く入り込む。これにより、
図3(b)に示す状態に比較して、より広い面積で第1の電極線21と第2の電極線22とが接触する。
【0028】
図3(d)は、感圧センサ1が右斜め上方と左斜め下方から圧力を受けた状態を示している。この状態では、第1の電極線21の凸部21aにおける先端部よりも左側の側面の一部が第2の電極線22の凹部22bの内面に接触すると共に、第2の電極線22の凸部22aにおける先端部よりも右側の側面の一部が第1の電極線21の凹部21bの内面に接触する。
【0029】
このように、感圧センサ1は、何れの方向から圧力を受けても、第1の電極線21と第2の電極線22とが少なくとも1箇所において接触する。また、仮に中心軸線Cに直交する断面における隙間Sの形状が直線状である場合に比較して、特定の方向の圧力に対して感度が大きく低下してしまうことを抑制することができる。ここで、感度とは、例えば第1の電極線21と第2の電極線22とを接触させるために最低限必要な圧力の大きさの逆数として表すことができる。すなわち、感度が高いほど小さな圧力で第1の電極線21と第2の電極線22とが接触する。
【0030】
(感圧センサを含む電気回路)
図4は、感圧センサ1に外部から圧力が作用した場合にこれを検出するための電気回路4の構成例を示す図である。この電気回路4は、感圧センサ1と、直流電源41と、電流計42と、第1及び第2の抵抗器43,44とによって構成される。
【0031】
直流電源41、電流計42、及び第1の抵抗器43は、感圧センサ1の一端部において第1の電極線21の金属線210と第2の電極線22の金属線220との間に直列に接続されている。第2の抵抗器44は、感圧センサ1の他端部において第1の電極線21の金属線210と第2の電極線22の金属線220との間に接続されている。
【0032】
感圧センサ1に外部から圧力が作用しない場合には、第1の電極線21と第2の電極線22とが接触せず、電流計42では、直流電源41の電源電圧を第1の抵抗器43及び第2の抵抗器44の合成抵抗の抵抗値で除した値の電流が測定される。一方、感圧センサ1に外部から圧力が作用して第1の電極線21と第2の電極線22とが少なくとも1箇所において接触すると、電流計42では、直流電源41の電源電圧を第1の抵抗器43の抵抗値で除した値の電流が測定される。すなわち、仮に第1の抵抗器43の抵抗値と第2の抵抗器44の抵抗値とが同じである場合には、感圧センサ1に外部から圧力が作用すると、約2倍の電流値が電流計42によって測定される。よって、この電流計42の測定値に基づいて、第1の電極線21と第2の電極線22との接触の有無を判別することができる。
【0033】
なお、電流計42としては、電気回路4に流れる電流が所定の閾値以上か否かを判別することができればよいため、例えばシャント抵抗の両端部間の電位差が所定値以上か否かを判別することのみが可能な簡易な構成のものを用いることができる。
【0034】
(感圧センサの製造方法)
感圧センサ1は、管状部材10の中心軸線Cに対して直交する断面における第1の電極線21と第2の電極線22との間の隙間Sの形状が非直線状となるように、管状部材10、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221、ならびに一対の介在部材31,32を一括して押し出し成形することにより製造される。具体的には、管状部材10、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221、ならびに一対の介在部材31,32のそれぞれの形状に対応した形状の開口を有するダイスを用いた多色押し出し成型法によって、感圧センサ1が製造される。
【0035】
第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221ならびに一対の介在部材31,32は、管状部材10と共に押し出し成形されることにより、管状部材10の内面10aに接触して一体化されている。すなわち、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221ならびに一対の介在部材31,32は、管状部材10の内面10aに接触するように押し出し成形される。
【0036】
また、この押し出し成型では、第1の電極線21の凸部21aが第2の電極線22の凹部22bに入り込み、かつ第2の電極線22の凸部22aが第1の電極線21の凹部21bに入り込むように、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221を押し出し成形する。すなわち、中心軸線Cに直交する断面における隙間Sの形状がS字状となるように、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221を押し出し成形する。これにより、例えば従来の感圧センサの製造時に使用されていたスペーサを用いることなく、第1の電極線21と第2の電極線22との間に隙間Sを形成することができる。
【0037】
また、隙間Sの両端部にあたる部位に一対の介在部材31,32を設けることにより、外部からの圧力が作用していないときに確実に第1の電極線21と第2の電極線22とを離間させることができる。
【0038】
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下に述べる効果を得ることができる。
【0039】
(1)中心軸線Cに直交する断面における隙間Sの形状が非直線状であるので、管状部材10の内側に第1の電極線21及び第2の電極線22を中心軸線Cに対して平行に配置しながら、特定の方向の圧力に対して感度が大きく低下してしまうことを避けることが可能となる。
(2)中心軸線Cに直交する断面における隙間SがS字状であることから、圧力が作用する方向による感度のばらつきが十分に抑制される。
【0040】
(3)第1の電極線21と第2の電極線22との間に一対の介在部材31,32が挟まれて配置されているので、押し出し成形時に第1の電極線21の導電性弾性体211と第2の電極線22の導電性弾性体221とが接触してしまうことを防ぐことができる。また、隙間Sを挟む上下方向の圧力を受けた場合に第1の電極線21と第2の電極線22とが容易に接触してしまい、この方向の圧力に対して感度が高くなりすぎてしまうことが抑制される。
【0041】
(4)一対の介在部材31,32は、中心軸線Cに直交する断面における隙間Sの延伸方向の両端部に配置され、管状部材10の内面10aに接して設けられているので、第1の電極線21と第2の電極線22との接触を過度に抑制し過ぎてしまうことがなく、圧力に対する感度が適度に調整されている。
【0042】
(5)感圧センサ1は、管状部材10、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221、ならびに一対の介在部材31,32を一括して押し出し成形することにより製造されるので、従来の感圧センサの製造時に使用されていたスペーサを用いる必要がなく、このようなスペーサを引き抜く作業を省くことができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、管状部材10、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221、ならびに一対の介在部材31,32を一括して押し出し成形することにより、感圧センサ1を、隙間Sを形成するためのスペーサを用いることなく製造する場合について説明したが、これに限らず、隙間Sを形成するための断面S字状のスペーサを用いて感圧センサ1を製造してもよい。この場合でも、第1の電極線21及び第2の電極線22は、管状部材10の中心軸線Cと平行に延在しているので、スペーサを容易に引き抜くことができる。
【0044】
また、本実施の形態では、第1の電極線21及び第2の電極線22の金属線210,220が複数の素線200を撚り合せた撚線である場合について説明したが、これに限らず、金属線210,220が例えば箔状であってもよい。
図5は、金属線210,220を銅箔によって形成した場合の変形例に係る感圧センサ1Aを示している。この感圧センサ1Aでは、第1の電極線21の金属線210が、管状部材10の内面10aと導電性弾性体211の外周面211bとの間に配置され、第2の電極線22の金属線220が、管状部材10の内面10aと導電性弾性体221の外周面221bとの間に配置されている。その他の構成については、第1の実施の形態に係る感圧センサ1と同様であるので、
図1等に用いた符号と共通する符号を各部材に付して重複した説明を省略する。この変形例によっても、上記(1)〜(5)の効果を得ることができる。
【0045】
[他の実施の形態]
次に、本発明の他の実施の形態について、
図6乃至
図8を参照して説明する。
【0046】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る感圧センサ1Bを示す断面図である。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る感圧センサ1Cを示す断面図である。
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る感圧センサ1Dを示す断面図である。
【0047】
第2乃至第4の実施の形態に係る感圧センサ1B,1C,1Dは、第1の実施の形態に係る感圧センサ1と同様に、管状部材10と、管状部材10の内側で中心軸線Cと平行に延在する第1の電極線21及び第2の電極線22と、第1の電極線21及び第2の電極線22との間に挟まれた一対の介在部材31,32とを備え、第1の電極線21及び第2の電極線22は、複数の金属線210,220が導電性弾性体211,221で被覆されているが、第1の電極線21及び第2の電極線22の形状、及び一対の介在部材31,32の位置が、第1の実施の形態とは異なっている。
図6乃至
図8では、感圧センサ1B,1C,1Dを、管状部材10の中心軸線Cに直交する断面で示している。この断面において、第1の電極線21及び第2の電極線22との間の隙間Sは、何れも非直線状である。
【0048】
また、感圧センサ1B,1C,1Dは、第1の実施の形態に係る感圧センサ1と同様に、管状部材10、第1の電極線21及び第2の電極線22の導電性弾性体211,221、ならびに一対の介在部材31,32を一括して押し出し成形することにより製造される。以下、感圧センサ1B,1C,1Dのそれぞれの構成について、詳細に説明する。
【0049】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る感圧センサ1Bは、第1の電極線21に断面三角形状の凹部21cが形成され、この凹部21cに第2の電極線22に形成された凸部22cが入り込んでいる。これにより、第1の電極線21と第2の電極線22との間の隙間Sは、1つの折曲部S
0から互いに異なる方向に延びる第1直線部S
1及び第2直線部S
2を含んでいる。本実施の形態では、第1直線部S
1と第2直線部S
2とがなす角度が直角であるが、これに限らず、第1直線部S
1と第2直線部S
2とがなす角度は、例えば60°から120°の間で鋭角又は鈍角であってもよい。
【0050】
また、感圧センサ1Bは、一対の介在部材31,32のうち、一方の介在部材31が第1直線部S
1における折曲部S
0とは反対側の端部に配置され、他方の介在部材32が第2直線部S
2における折曲部S
0とは反対側の端部に配置されている。
【0051】
この感圧センサ1Bが上下方向(隙間Sを挟む第1の電極線21と第2の電極線22との並び方向)の圧力を受けると、折曲部S
0における隙間Sが詰まり、第2の電極線22に形成された凸部22cの先端部が、第1の電極線21の凹部21cの底部に接触する。また、感圧センサ1Bが上下方向に対して傾斜又は直交する方向の圧力を受けると、第1直線部S
1及び第2直線部S
2の少なくとも何れかにおける隙間Sが詰まり、第1の電極線21と第2の電極線22とが接触する。これにより、特定の方向の圧力に対して感度が大きく低下してしまうことが回避されている。
【0052】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る感圧センサ1Cは、第2の実施の形態に係る感圧センサ1Bと同様に、第1の電極線21に断面三角形状の凹部21cが形成され、第2の電極線22には第1の電極線21の凹部21cに入り込む凸部22cが形成されているが、凹部21c及び凸部22cの大きさが、感圧センサ1Bよりも小さく形成されている。このため、感圧センサ1Cにおける第1の電極線21と第2の電極線22との間の隙間Sは、3つの折曲部(第1折曲部S
01、第2折曲部S
02、及び第3折曲部S
03)と、4つの直線部(第1直線部S
11、第2直線部S
12、第3直線部S
13、及び第4直線部S
14)とを含んでいる。
【0053】
第1折曲部S
01は、第1の電極線21の凹部21cにおける先端部と、第2の電極線22の凸部22cにおける底部との間に位置している。また、第2折曲部S
02は、第1折曲部S
01と介在部材31との間に、第3折曲部S
03は、第1折曲部S
01と介在部材32との間に、それぞれ位置している。第1直線部S
11及び第2直線部S
12は、第1折曲部S
01から互いに異なる方向に延び、第1直線部S
11は第1折曲部S
01と第2折曲部S
02との間に、第2直線部S
12は第1折曲部S
01と第3折曲部S
03との間に、それぞれ位置している。また、第3直線部S
13は第2折曲部S
02と介在部材31との間に、第4直線部S
14は第3折曲部S
03と介在部材32との間に、それぞれ位置している。
【0054】
本実施の形態では、第1直線部S
11と第2直線部S
12とがなす角度が直角であり、第1直線部S
11と第3直線部S
13とがなす角度、及び第2直線部S
12と第4直線部S
14とがなす角度が、それぞれ鈍角である。ただし、それぞれの直線部がなす角度は、これに限らない。
【0055】
この感圧センサ1Cでも、第2の実施の形態に係る感圧センサ1Bと同様に、特定の方向の圧力に対して感度が大きく低下してしまうことが回避されている。
【0056】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る感圧センサ1Dは、第1の電極線21と第2の電極線22との間の隙間Sが円弧状であり、第1の電極線21に形成された凹部21dに第2の電極線22に形成された凸部22dが入り込んでいる。隙間Sの円弧中心点C
Sを中心とする隙間Sの円弧角θは、90°以上である。
【0057】
この感圧センサ1Dでも、第2及び第3の実施の形態に係る感圧センサ1B,1Cと同様に、特定の方向の圧力に対して感度が大きく低下してしまうことが回避されている。
【0058】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0059】
[1]弾性及び絶縁性を有する中空の管状部材(10)と、前記管状部材(10)の内側に互いに離間して保持された第1の電極線(21)及び第2の電極線(22)とを備え、前記管状部材(10)が外部からの圧力を受けた際に弾性変形して前記第1の電極線(21)と前記第2の電極線(22)とが接触する感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)であって、前記第1の電極線(21)及び前記第2の電極線(22)は、前記管状部材(10)の中心軸線(C)に対して平行に延在し、前記管状部材(10)の中心軸線(C)に対して直交する断面における前記第1の電極線(21)と前記第2の電極線(22)との間の隙間(S)の形状が非直線状である、感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)。
【0060】
[2]前記第1の電極線(21)と前記第2の電極線(22)との間に挟まれた絶縁性の介在部材(31,32)をさらに備えた、前記[1]に記載の感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)。
【0061】
[3]前記介在部材(31,32)は、前記管状部材(10)の内面(10a)に接して設けられた、前記[2]に記載の感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)。
【0062】
[4]前記断面において、前記第1の電極線(21)及び第2の電極線(22)のうち少なくとも何れか一方の電極線に形成された凹部(21b,21c,21d,22b)に他方の電極線に形成された凸部(21a,22a,22c,22d)が入り込んでいる、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)。
【0063】
[5]前記断面において、前記隙間(S)の形状がS字状に湾曲している、前記[4]に記載の感圧センサ(1,1A)。
【0064】
[6]前記断面において、前記隙間(S)の形状が少なくとも一つの折曲部(S
0,S
01,S
02,S
03)から互いに異なる方向に延びる一対の直線部(S
1,S
2,S
11,S
12,S
13,S
14)を含む、前記[4]に記載の感圧センサ(1B,1C,1D)。
【0065】
[7]弾性及び絶縁性を有する中空の管状部材(10)と、前記管状部材(10)の内側に互いに離間して保持された第1の電極線(21)及び第2の電極線(22)とを備え、前記管状部材(10)が外部からの圧力を受けた際に弾性変形して前記第1の電極線(21)と前記第2の電極線(22)とが接触する感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)の製造方法であって、前記第1の電極線(21)及び前記第2の電極線(22)のそれぞれは、金属線(210,220)と前記金属線(210,220)を被覆する導電性を有する導電性弾性体(211,221)とからなり、前記管状部材(10)の中心軸線(C)に対して平行に延在し、前記管状部材(10)の中心軸線(C)に対して直交する断面における前記第1の電極線(21)と前記第2の電極線(22)との間の隙間(S)の形状が非直線状となるように、前記管状部材(10)と前記第1の電極線(21)及び前記第2の電極線(22)の前記導電性弾性体(211,221)とを一括して押し出し成形する、感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)の製造方法。
【0066】
[8]前記第1の電極線(21)と前記第2の電極線(22)との間に挟まれた絶縁性の介在部材(31,32)をさらに備え、前記介在部材(31,32)を前記管状部材(10)ならびに前記第1の電極線(21)及び前記第2の電極線(22)の前記導電性弾性体(211,221)と一括して押し出し成形する、前記[7]に記載の感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)の製造方法。
【0067】
[9]前記介在部材(31,32)が前記管状部材(10)の内面(10a)に接するように押し出し成形する、前記[8]に記載の感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)の製造方法。
【0068】
[10]前記断面において、前記第1の電極線(21)及び第2の電極線(22)のうち少なくとも何れかの電極線に形成された凹部(21b,21c,21d,22b)に他方の電極線に形成された凸部(21a,22a,22c,22d)が入り込むように、前記第1の電極線(21)及び前記第2の電極線(22)の導電性弾性体(211,221)を押し出し成形する、前記[7]乃至[9]の何れか1つに記載の感圧センサ(1,1A,1B,1C,1D)の製造方法。
【0069】
[11]前記押し出し成形により前記断面における前記隙間(S)の形状をS字状とする、前記[10]に記載の感圧センサ(1,1A)の製造方法。
【0070】
[12]前記押し出し成形により前記断面における前記隙間(S)の形状を少なくとも一つの折曲部(S
0,S
01,S
02,S
03)から互いに異なる方向に延びる一対の直線部(S
1,S
2,S
11,S
12,S
13,S
14)を含む形状とする、前記[10]に記載の感圧センサ(1B,1C,1D)の製造方法。
【0071】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0072】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、第2乃至第4の実施の形態に係る感圧センサ1B,1C,1Dの金属線210,220を、第1の実施の形態の変形例に係る感圧センサ1Aのように、銅箔によって形成してもよい。また、管状部材10の内部に配置される電極線の数は、2本に限らず、3本以上であってもよい。